JP3623382B2 - 画像監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車道、歩道、横断歩道、踏切等の平面領域において人や車両を画像中から検出し、歩行者数、通過車両台数・速度、人や車の移動方向等を計測し、信号機の最適制御、道路の渋滞・事故検出、踏切等での危険状況検出等を実現する画像監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数台のカメラを用い、高さの情報から車両や人間等を求める場合、TVカメラを横に並べる手法が一般的であるが、道路等広い領域を監視する場合、カメラ間隔を大きく取らないと高さ情報が十分得られないため、道路の両端やトンネルの両側壁等にそれぞれカメラを設置する必要があった。また、ポール等に設置する場合には、横方向に長い棒を付加し、その両端にTVカメラを設置する必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2車線以上の道路の場合、道路両端やトンネルの両側壁等にそれぞれカメラを設置すると、保守の際に通行制限する車線数が増え、交通渋滞等を招く危険がある。また、保守する場所が2倍になるため、足場の設置等といった保守の作業量が大幅に増大するという問題点がある。ポール等に設置する場合、横方向に長い棒を付加するため、不安定であり、かつ設置場所を取るといった問題点がある。
【0004】
特に、道路脇に設置されている照明灯に複数台のカメラを据え付ける場合、横方向に長い棒を付加しカメラを並べるのは風の影響を受け易く、揺れないようカメラを固定するのは困難である。また、道路を渡っている歩道橋や陸橋、アングル等に設置する場合も複数車線に跨る形でカメラが設置されるため、道路両端やトンネルの両側壁に設置した場合と同じ問題が発生する。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、保守する場所を増やすことなく、カメラ間隔が広くとれ、かつ照明灯等に安定にカメラを設置することができ、高さ情報から影を含まない車両や人間等の対象領域を検出することが可能な画像監視装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の画像監視装置は、共通視野を撮影するそれぞれ垂直方向に設置された第1および第2のTVカメラと、これらのTVカメラにより前記共通視野を同時刻に撮像した画像をそれぞれ蓄積する第1および第2の画像メモリ、および前記第2のTVカメラにより移動体が存在しない前記共通視野を予め撮影した背景画像を記憶した第3の画像メモリと、この第1の画像メモリに蓄積された画像を、前記共通視野内の平面に逆投影し、さらにこの投影像を前記第2のTVカメラで撮像した場合の画像に変換する画像変換手段と、この画像変換手段により得られた変換画像を、前記第2の画像メモリに蓄積された画像と比較し、対応する各点の類似度の値が予め設定しておいたしきい値より大きい領域からなるマスク領域を有するマスク画像を生成するマスク生成手段と、前記第2の画像メモリに蓄積された画像を、対応する各画素毎に輝度を前記背景画像と比較し、その差分値が予め設定しておいたしきい値より大きい値の画素からなる変化領域を検出する変化検出手段と、前記変化領域内の前記マスク領域に含まれる領域のみを抽出する影領域除去手段とを有することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、上記本発明の画像監視装置においては、前記第1および第2のTVカメラが照明灯等ポール状の柱の上下に配置されることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、上記本発明の画像監視装置においては、前記第1および第2のTVカメラが遮音壁、トンネル、建物等の壁面領域に上下に配置されることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、上記本発明の画像監視装置においては、前記第1および第2のTVカメラが陸橋、歩道橋等空中を渡っているものに上下に配置されることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、上記本発明の画像監視装置においては、前記第1および第2のTVカメラが陸橋、歩道橋等空中を渡っているものから上下に吊下げられる形で配置されることを特徴とするものである。
【0014】
このように複数台のカメラをポール、壁面、歩道橋等の上下に配置することにより、カメラ間隔を広くとりつつ、メインテナンス箇所が増えない多眼視による車両、人の検出が実現できる。照明灯等にも安定にカメラが設置できるため、照明の保守の際に同時にカメラの保守も可能となり、保守作業量が大幅に軽減できる。また、高さ情報を用いて検出するため、道路面上の影やヘッドライトの照り返し等の影響を除去することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の詳細を図面に従い説明する。
【0016】
図1は本実施例における画像監視装置の概略構成を示すもので、2台のTVカメラを用いた例である。1:TVカメラi(i=1〜2)、2:画像メモリi(i=1〜2)、3:検出部から構成されている。
【0017】
TVカメラは図2に示すように、ポールの上下に設置されており、道路等の広範囲な領域を共通視野に収めている。このポールとしては、新たに設置するのではなく、道路端または中央分離体等に設置された照明灯を用いることも可能である。
【0018】
TVカメラi(i=1〜2)より入力された画像は画像メモリi(i=1〜2)に蓄積される。検出部は画像メモリ1、2に蓄積されている画像から影を含まない車両や人等の対象領域を検出する。
【0019】
図3に検出部の構成例を示す。画像変換部、マスク生成部、変化検出部、影領域除去部から構成されている。
【0020】
画像変換部は画像メモリ1に蓄積されている画像を予め設定しておいた平面へ逆投影し、逆投影された平面領域をTVカメラ2で撮像した際の画像に変換する。本実施例では、道路平面に画像を逆投影すること考える。図4を用いてこの変換手法を説明する。TVカメラ1のカメラ座表系をO−XYZ、TVカメラ2のカメラ座標系をO’−X’Y’Z’とし、カメラの焦点距離は共にfとする。車両上の点PのTVカメラ1の画像面への投影点をp1、TVカメラ2の画像面への投影点をp2とする。また、p1を平面上に逆投影した点をP′とし、P′のTVカメラ2の画像面への投影点をp′とする。この時、p1の画像座標(x,y)とp′の画像座標(x’,y’)の間には以下の関係式が成り立つ。
【数1】
ここで、Mij(i=1〜3、j=1〜3)は変換パラメータであり、TVカメラ1、2の各画像面において、設定平面上に存在する点の対応する画像座標(x,y)(x’,y’)の組を5個以上与えれば、最小自乗法により求めることができる。このため、TVカメラ1、2を設置した後、例えば道路平面上の特徴点(横断歩道やセンターライン等の輪郭に含まれる角点等を通常用いる)を5点以上対話的に選び、それぞれの特徴点をTVカメラ1と2の画像上で対応付け、変換パラメータMijを求めておく。カメラは固定されているため、変換パラメータMijは装置を動作する前に一度だけ求めれば良い。
【0021】
求めた変換パラメータMijと既知である焦点距離fを用い、TVカメラ1の画像の各点(x,y)の変換後の画像座標(x’,y’)を式(1)(2)より求め、TVカメラ1の画像の変換画像IM(x,y)を作成する。式(1)(2)により得られる変換後のx’またはy’の値が、TVカメラ2の画像座標の範囲内(例えば、640×480画素の画像の場合、x’=0〜640、y’=0〜480の範囲)に含まれるTVカメラ1の画像座標(x,y)のみを用いて変換画像IM(x,y)は作成される。
【0022】
図5(a)に道路上の車両を撮影したTVカメラ2の画像の模式図を示す。画像変換部は、図5(b)に示すように、道路面上の車両の影が図5(a)と同じ位置になるような変換画像IM(x,y)を生成する。また、道路面とは高さが異なる車両は後方に倒れ込み引き延ばされた様な形状に変換され、TVカメラ2で撮影された画像中の車両(図5(a))をほぼ含む領域となる。
【0023】
マスク生成部では、画像変換部により作成された変換画像IM(x,y)と、変換に用いた画像と同時刻に入力された画像メモリ2上の画像I2(x,y)との間で、対応する各点の類似度を算出する。類似度としては、例えば以下の相関値C1を用いる。
【数2】
IM(x,y)とI2(x,y)の各点の類似度C1を求め、その値が予め設定しておいた閾値Thrより大きい領域のみを取り出した画像、例えばC1>Thrの点なら255、C1<Thrの点なら0とした画像をマスク画像として作成する。マスク画像は設定した平面とは高さの異なる対象物が存在する点のみ255の値を持つ画像となる。IM中の車両領域はI2中の車両領域をほぼ含むため、図5(c)に示すようにIM中の車両領域がマスク画像として得られる。道路面上の車両の影やヘッドライトの照り返し等は、IMとI2において同位置に存在するため、類似度C2が小さくなり、マスク画像の255輝度領域には含まれず、このため、車両の影領域を除去することが可能となる。
【0024】
マスク生成部の類似度C1の替わりに以下のC2あるいはC3あるいはC4を用いても良い。
【数3】
ここで、I’M、I’2は類似度を算出するために設定した領域内におけるIM、I2の平均値である。
【0025】
変化検出部では、画像メモリ2に入力される画像を用い、予め、車両や人等の存在しない背景画像を用意しておく。そして、画像メモリ2に入力されてくる画像と背景画像との間で、輝度の差分の絶対値Vを各画素毎に求める。輝度差分の絶対値Vが大きい領域は、背景に対し輝度変化が大きかった領域を示す。このため、画像メモリ2に入力されてくる画像からVの大きな領域を閾値処理により求めると、予め背景画像に存在しなかった車両や人等の対象物領域、及びこれらに付随した影領域が変化領域として得られる。
【0026】
影領域除去部では、変化検出部より得られた変化領域において、マスク生成部で作成されたマスク画像IM内の255の値を持つ領域(以後、マスク領域と呼ぶ)に含まれる領域を抽出する。図5(c)に示すように、マスク領域には道路面上の影領域が含まれないため、図5(d)に示すように、変化領域から影領域が除去される。このため、影を含まない車両や人等の対象物領域が検出できる。
【0027】
変化検出部では、背景差分法の他に、フレーム間差分法やオプティカルフローによる動領域抽出法等を用いても構わない。
【0028】
本実施例では、TVカメラ1の画像をTVカメラ2の見え方に変換し、TVカメラ2の画像を基に変化領域を抽出しているが、TVカメラ2の画像をTVカメラ1の見え方に変換し、TVカメラ1の画像を基に変化領域を抽出しても良い。また、TVカメラ1の画像をTVカメラ2の見え方に変換し作成したマスク画像を、再度TVカメラ1の画像の見え方に逆変換し、TVカメラ1の画像を基に変化領域を抽出しても良い。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、複数台のカメラをポール、壁面、歩道橋等の上下に配置することにより、カメラ間隔を広くとりつつ、メインテナンス箇所が増えない多眼視による車両、人の検出が実現できる。照明灯等にも安定にカメラが設置できるため、照明の保守の際に同時にカメラの保守も可能となり、保守作業量が大幅に軽減できる。また、高さ情報を用いて検出するため、道路面上の影やヘッドライトの照り返し等の影響を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成図である。
【図2】本発明のカメラ配置を説明する図である。
【図3】本発明の検出部の構成図である。
【図4】画像の変換手法を説明する図である。
【図5】変換画像及びマスク画像を説明する図である。
【符号の説明】
1:TVカメラ
2:画像メモリ
3:検出部
Claims (5)
- 共通視野を撮影するそれぞれ垂直方向に設置された第1および第2のTVカメラと、
これらのTVカメラにより前記共通視野を同時刻に撮像した画像をそれぞれ蓄積する第1および第2の画像メモリ、および前記第2のTVカメラにより移動体が存在しない前記共通視野を予め撮影した背景画像を記憶した第3の画像メモリと、
この第1の画像メモリに蓄積された画像を、前記共通視野内の平面に逆投影し、さらにこの投影像を前記第2のTVカメラで撮像した場合の画像に変換する画像変換手段と、
この画像変換手段により得られた変換画像を、前記第2の画像メモリに蓄積された画像と比較し、対応する各点の類似度の値が予め設定しておいたしきい値より大きい領域からなるマスク領域を有するマスク画像を生成するマスク生成手段と、
前記第2の画像メモリに蓄積された画像を、対応する各画素毎に輝度を前記背景画像と比較し、その差分値が予め設定しておいたしきい値より大きい値の画素からなる変化領域を検出する変化検出手段と、
前記変化領域内の前記マスク領域に含まれる領域のみを抽出する影領域除去手段と、
を有する画像監視装置。 - 前記第1および第2のTVカメラが、照明灯のポール状の柱の上下に配置されることを特徴とする請求項1記載の画像監視装置。
- 前記第1および第2のTVカメラが、遮音壁またはトンネルまたは建物の壁面領域に、上下に配置されることを特徴とする請求項1記載の画像監視装置。
- 前記第1および第2のTVカメラが、陸橋または歩道橋の空中を渡っている部分に、上下に配置されることを特徴とする請求項1記載の画像監視装置。
- 前記第1および第2のTVカメラが、陸橋または歩道橋の空中を渡っている部分から、上下に吊下げられて配置されることを特徴とする請求項1記載の画像監視装置。
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