JP3622935B2 - 自己診断型圧力調整器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ダイヤフラムを有する流体圧力調整器の閉塞状態を段階的に検知し、その圧力及び閉塞状態を流体圧力調整器自体により判断可能な自己診断型圧力調整器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤフラム付きの流体圧力調整器は既に多くの型式の調整器が知られており使用されている。図4に従来のレバー式圧力調整器の基本構造と作動原理を説明する。出口側Bに接続されている図示されないガス燃焼器具等の流体消費装置がガスの消費を開始すると、調整器1の減圧室1a内部は減圧されるので、ダイヤフラム2が下方へ撓み、調整バネ3に押されて調整桿4が揺動レバー5をピン6を支点に右旋させ、揺動レバー5の摺動係合溝5aに係合している弁体7の係合ピン7aが弁体7を右の方向に引くことになるので、弁体先端に固定された弁ゴム7bが弁座8の当接面から離れ高圧のガスは弁と弁体の間隙から弁体7の周囲に設けられた通過孔を通って本体とダイヤフラムで囲まれた減圧室1aに入り、流体消費装置であるガス燃焼器具などに接続される流体流出口Bから流出する。ガスが一定流量安定して消費されている時は、弁ゴム7bと弁座8の当接面の間隙から流入するガス量と消費されるガス量とのバランスがとられ、ダイヤフラム2の下部には圧力の変動が無く調整バネ3の押し下げる力とダイヤフラム2を持ち上げようとするガスの圧力とが釣り合った状態となっているので、ダイヤフラム2は動かない。
【0003】
ガスの使用量が更に増加すると、流入するガスの量よりも流出するガスの量の方が多くなるのでダイヤフラム2の下方側の圧力は低下しダイヤラム2は調整バネ3により押し下げられる結果、弁体7と弁座8の距離はさらに大きくなり、ダイヤフラム2の位置は使用量の増加分に見合う一定の高さの位置で釣り合いがとられる。ガスの使用が止まると、ダイヤフラム2の下部側の圧力が上昇し、ダイヤフラム2は調整バネ3の押し下げる力に打ち勝って持ち上がり、弁体7は閉じる方向に移動し、弁座8に当接することにより、弁座8と弁ゴム7bの間隙は塞がれ、ガスの流入は停止する。このレバー式圧力調整器の作用をその性能曲線図で説明すると、流体消費装置であるガス燃焼器のガスの消費量と、圧力調整器の圧力の関係は、一般的には図3(a)及び閉塞付近を拡大した図3(b)に示されるような特性曲線で示される。
【0004】
つまり、入口圧力が一定圧力の条件下においては、前述のダイヤフラムを持ち上げようとするガスの押圧力と調整バネの押し下げる力の釣りあった状態にあるため、(a)点から(b)点に示すように圧力調整器を通過するガス量に対する圧力の関係が比較的緩やかに変化するが、圧力調整器の閉塞付近では弁座8と弁ゴム7bはダイヤフラム2の下部側の圧力によって上昇した調整桿4に連動して左旋回したレバー5によって弁座側に移動した弁体7によって押しつけられて弁ゴム7bを変形させながらガスの圧力調整器内部への流入を止める方向に動くため、弁ゴムの反発力により(b)点から(c)点のように比較的急激に変化するのである。(c)点はガスの消費が全くない状態で完全に密着して弁座8から高圧のガスが圧力調整器内に進入することなく閉塞した状態である。
【0005】
しかしながら、ガスを消費していたり、何らかの原因で圧力調整器とガス器具の間において一定以上のガス漏れが生じていた場合には、弁体7は完全には閉塞せず、弁座8と弁ゴム7bとの間には隙間が生じた儘になっている。すなわち原理的には性能曲線の(a)点から(b)点までのいずれかのガスの流量や漏れ量に応じた圧力以上には圧力上昇がなく、何時までも弁体7が完全には閉塞しない儘の状態が持続するのである。
【0006】
このため、圧力調整器を用いて流体の制御を行う場合、弁体が閉塞しているか否かが直接診断可能となれば、ガス配管中に漏れが存在するか否かの判断が可能となるばかりでなく、閉塞時の閉塞圧力の確定や、ガス消費時における圧力を測定することによって、ガス消費時の調整圧力の認定が可能となるわけであるが、圧力調整器の閉塞付近において僅かなガス流量が存在する場合には、弁座8と弁ゴム7bとの間には間隙が殆どなく、また、閉塞時にも弁ゴムの変形量は非常に僅かであるため、単なる弁体や弁座の移動量の差や、ダイヤフラム位置の変化による閉塞状態の判別は不可能である。また、単に圧力センサを減圧室内や配管途中に組み込んで閉塞圧力に達しているか否かを判断しようと試みても外部に漏洩等がない密閉されたガス配管内のガス圧力は、ボイル・シャールの法則で明らかな通り、温度変化によって圧力変化をもたらすために、閉塞時の圧力であるか、又は弁体や弁ゴムの異常やゴミのか咬み込み等に起因する閉塞不良による圧力であるか判断できないばかりか、僅かなガス流量が生じているときの圧力変化であるか否かも判断が困難である。
【0007】
圧力調整器が閉塞していれば、圧力調整器以降に漏れは存在しないと判断出来ると言う前提にたって、弁座内部に感圧センサを設け、弁ゴムが弁座を押す荷重を感圧センサで検知することによりガス流量の有無を判断する方法や、漏洩検知のための副圧力調整器を備えたバイパス回路に微小流量計を組み込んだ監視システム(例えば特開昭61−38438号公報)等が知られているが、いずれの場合も複雑な構成とシステムを必要とするため、簡単で正確な圧力調整器の閉塞を判断できる自己診断型調整器の開発が期待されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、ガス等の流体用弁体の閉塞時における過程での、一定以下の微小流量から閉塞に至るまでのダイヤフラム受圧板の位置と、それ以上の流量におけるダイヤフラム受圧板の位置の差を検出可能とすることにより、調整器自体によって調整器が閉塞したか否かを判断出来る自己診断型圧力調整器の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、流体の流量を制御する押圧開閉弁を有する自己診断型圧力調整器の弁体と弁座の当接面に微小な流体逃がし用の切欠を設けることにより、弁体閉塞時における過程での、弁体の完全閉塞状態のダイヤフラム受圧板の位置から、切欠より微小のガスが調整器内部を通過している受圧板の位置と、弁体が弁座より離れて一定量以上のガスが流れてる時の受圧板の位置の差を圧力調整器自体で判断出来るようにしたものである。
【0010】
図1はこの発明の自己診断型圧力調整器に使用される押圧開閉弁の弁座6の部分拡大断面図で、小さな切欠6bが形成されている。この場合、当接する相手側の弁体5はゴムや合成樹脂のような弾性体が使用される。この切欠 6bは必要に応じて複数ヶ所形成され、その深さと形状も使用する調節弁の性能や、圧力調整器内部へのガス逃がし量によって定められる。
【0011】
図2は、この発明の自己診断型圧力調整器の性能曲線のガス閉塞時の部分拡大図で、図3と同様にガスの消費量と調整圧力との関係を示している。従来の圧力調整器では図3(a)で示された通り(b)点から急激に上昇して(c)点に移行するが、この発明では切欠を設けて流体を完全に閉塞する直前まで流体の微小流量の流入を許容させる構造としているため、(b)点から(e)点を経て(c)点に至る2段構えの変化が可能となる。すなわち、(a)点から(b)点に至る状態、つまり弁体が弁座に当接するまではダイヤフラムと弁体とはその流量に応じて連動し、(b)点から(e)点に至る状態、つまり弁体が弁座に当接して流体逃がし用の切欠から微小のガスが調整器内部に流入している位置においては、弁体は殆ど動かないにもかかわらず、ダイヤフラムは圧力の変化に応じて更に移動し(e)点から(c)点に至る閉塞付近では、ダイヤフラムも弁体も移動しない完全閉塞状態を構成する。したがって、完全閉塞の状態、微小流量状態及びそれ以上の流量の状態を容易に自己診断する事ができるのである。
【0012】
【発明の実施形態】
図5はこの発明の一実施形態を示す自己診断型圧力調整器の説明用断面図で、弁体5の完全閉塞状態を示している。1は、この発明の自己診断型圧力調整器の全体図を示しており、2はダイヤフラムで、5は押圧開閉弁の弁体、6は弁座で、弁座基台6aに一体形成された弁座開口部7における弁体5との当接面を構成する。4はダイヤフラム2と弁体5と連動する調整桿である。2aはダイヤフラム2の圧力を受ける受圧板で、調整桿4に形成された挟圧フランジ4bと安全弁バネ3とで挟持され、ダイヤフラム2と調整桿4とを受圧板2aを介して連結している。12は調整バネ12aの圧力調整用の皿蓋で、調整桿4の貫通孔とその外周に調整ネジ有し上部カバー1b内で上下位置を調整できるようになっている。
【0013】
13は安全圧力調整板で、調整桿4に調整ネジにより上下位置調整出来るように設けられ、受圧板2aとの間に拡張された安全弁バネ3の拡張力を調整できるようになっている。また、調整桿4の上部には、上部カバーのキャップ14に設けた位置センサ17と対応する位置にセンサ用マグネット4cが設けられており、調整桿4の位置を検知するようになっている。この位置センサ用マグネットはリング状のリニアマグネットスケールが好ましいが、必要な測定精度を満たすものであれば、位置センサ17はリードスッチやマイクロスイッチ等が使用でき、格別な制限はない。15はキャップ14の先端に設けられた透明な表示窓で、調整桿4の先端表示部4dの位置を表示することにより自己診断を行うものである。
【0014】
調整桿4の下端部は、更にフランジ付きの中間連結部材9の中空部に摺動自在に挿入され、中間連結部材9の長孔9aと、この長孔9aを貫通して外部に突出したストッパーピン4aと拡張連結バネ9eにより連結されている。中間連結部材9の下部は摺り割部9bが形成され、揺動レバー10の一端部をピン9cにより枢着している。そして、この揺動レバー10の他端部には球継ぎ手10aが形成され、下部本体部1aに揺動自在に支承され、ピン10bにより弁棒11と枢着されている。この弁棒11の他端部は弁体5が取り付けられており、揺動レバー10により、弁体5を弁座6の当接面に対し、近接或いは離間させ、ダイヤフラム2の動きに応じて弁座開口部7を開閉制御するようになっている。なお、16は圧力調整器内の圧力を測定する圧力センサである。
【0015】
【作用】
以下、この発明の作用を説明する。図5は、この発明の圧力調整器の弁体5の閉塞状態を示しており、(A)側がガスの供給源、(B)側が流体消費装置であるガス燃焼器の接続側を示している。この状態では、調整桿4の先端表示部4dは表示窓15の中に突出しており、圧力調整器の弁が完全に閉塞状態であることを視覚により直接確認することができると共に、位置センサ17により位置の信号出力を得ることができる。ガス燃焼器のバルブが開かれ、ガスの消費が開始されると、ガス燃焼器側(B)の圧力が低下するので、ダイヤフラム2が下方へ撓み、調整バネ13aは受圧板2aを介して調整桿4を押し下げ、揺動レバー10が玉継ぎ手10aを支点に矢印方向に左旋するので、ピン軸10bに枢着されている弁棒11が左方向に引かれ、弁体5を弁座6から引き離して開弁する。そしてガス供給源側(A)からガスが流入し、圧力調整器内の圧力が上昇すると、ダイヤフラム2は再び上方へ撓み、調整桿4を引き上げるので、揺動レバー10は右旋し弁棒11を右方向に押し戻し、弁体5を弁座に接近させ、弁座開口7から流入するガスの量を制限することにより流入するガスの量と消費されるガスの量とが均衡し、圧力調整器内の圧力が一定となる弁体の開口位置で停止し、安定した一定の圧力でガスの供給を維持する。
【0016】
この時、調整桿4の先端表示部4dは、図6に実線で示されるような位置にあって,表示窓15の下方に引っ込んでいるので、表示窓15から調整桿の先端表示部4dを見ることが出来ないことで、一定量以上の正常なガスの供給が行われていることを確認することができる。ガス燃焼器側(B)のバルブが閉じられてガスの消費が停止すると、ガス燃焼器側の圧力、つまり圧力調整器内の圧力が上昇するので、ダイヤフラム2は上方へ撓み、調整桿4を引き上げる。すると揺動レバー4が右旋し、弁棒11右方向に移動させ弁体5を弁座6に押しつける。しかしながら、この弁座6には図1に示すような切欠が形成されているので、僅かではあるが、この切欠を通って圧力調整器と供給源側とが連通しており、弁座開口部は急激には完全な閉塞状態とはならない(第1の段階)。この状態は図2において(b)点から(e)点の間にあって、完全閉塞状態を示す(c)点までの圧力上昇には至っていない。
【0017】
更に、調整器内の圧力上昇に伴いダイヤフラム2が更に上方へ撓むことにより調整桿4はストッパピン4aにより、中間部材9の長孔9aに沿って連結バネ9eを押し縮めながら上昇し、ついにストッパピン4aが長孔9の上端に当接すると、揺動レバー10はピン4aによって中間連結部材9が引き上げられるため、再び右旋させられ、更に弁体5を強く弁座6に押しつけることになる。そのため、弁座6の切欠は押し潰されてガスの逃げ溝が無くなるので、弁座開口部7は完全に閉塞され、調整器内の圧力は急激に図2における(c)点まで上昇し、完全な閉塞状態(第2の段階)となって、調整桿4の先端表示部4dは再び表示窓15の中に突出し、図5の状態に復帰し、ガスの供給が完全に止ったことを表示する。
【0018】
何らかの原因で、ガス燃焼器側に(b)〜(c)点の間に相当する微小なガス漏れが生じていると、調整器内のガス圧は図2における(b)〜(c)点の間にあって、(c)点までは上昇せず、弁座開口部7の閉塞が不完全なままの状態が継続し、調整桿4は図7に示すように、中間連結部材9の長孔9aの中間部にそのストッパピン4aの上昇が停止した状態となる。したがって、調整桿4の先端表示部4dは、図6において表示窓に破線で示されるように半分ほど突出した状態で観察することができる。つまり、この時の弁体の移動量は弁体が弁座に押しつけられて切欠を押し潰す距離より少ないが、調整桿4は、その下端部に設けられたストッパピン4aが中間連結部材9の長孔9aの中を連結バネ9eを押し縮めながらダイヤフラムの動きに追従して上方に移動し、不完全閉塞状態位置である長孔9aのほぼ中間位置に停止するので(図7参照)、調整桿4の先端表示部4dは前述のように表示窓に破線で示される様に半分程突出した状態で観察することができるのである。したがって、目視により直ちに微小漏洩の生じていることを確認できるとともに、位置センサ17によっても漏洩の有無を検知できるのである。
【0019】
以上の通り、この発明の圧力調整器は、押圧開閉弁の弁体と弁座の当接面に切欠を設け、閉塞付近において保安上許容される微小なガスの調整器内への流入をコントロールすると共に、圧力調整器の調整桿4を2段階に作動するように、中間連結部材9を介して揺動レバー10に連結したことにより、弁体の微小な移動量を拡大検出し、流体の流れの状態を迅速、且つ正確に確認することができるので、迅速な安全対策を行うことができると共に、位置センサ17や圧力センサ16の出力をマイクロコンピュータに入力し、流体制御管理システムの情報源として利用することにより、更に優れた種々の安全対策、表示の向上が期待できるものである。
【0020】
【実施例】
この発明の圧力調整器にゴムを主材する弁体を使用し、これに当接する弁座に底辺の長さが0.1mm、深さ0.08mmの直角三角形の切欠を形成し、図2における(e)点で調整圧力を290mm水柱とした30kg/hr型のLPガス用圧力調整器において、燃焼器側から2.8リットル/hr以上の漏洩を生じさせた場合と、漏洩を中止させた場合のそれぞれで、調整桿4の先端表示部4dの目視及びマイクロスイッチの接点の状態よって、明らかにダイヤフラムの位置が(b)点〜(c)点の範囲のいずれかにある場合と、(b)点〜(a)点の範囲に有る場合とを明確に判別することができた。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、弁体閉塞過程での弁体の完全閉塞状態のダイヤフラム受け板の位置と、微小漏洩の生じた場合のダイヤフラム受け板の閉塞直前の微小な位置の差を明確に検出できる自己診断型圧力調整器を実現できると共に、この圧力調整器を使用することにより、迅速且つ正確な流体制御管理システムの構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の弁座の部分拡大断面図である。
【図2】この発明の性能曲線の部分拡大図である。
【図3】従来のレバー式圧力調整器における性能曲線である。
【図4】従来のレバー式圧力調整器の断面図である。
【図5】この発明の一実施形態を示す説明用断面図である。
【図6】この発明の圧力調整器の開弁状態の断面図である。
【図7】微小漏洩時の調整桿のストッパピンの位置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 自己診断型圧力調整器
2 ダイヤフラム
2a 受圧板
4 調整桿
4b 先端表示部
5 弁体
6 弁座
6b 切欠
9 中間連結部材
9e 拡張連結バネ
15 表示窓
16 圧力センサ
17 位置センサ
Claims (1)
- ダイヤフラムの受圧版の動きに連動する調整桿と、該調整桿に
連動して流体の流量を制御する弁体の弁座との当接面に微少な流体逃がし用の切欠を設け
た押圧開閉弁とを有し、前記調整桿の位置により流体の流量及び圧力の状態を判断する圧
力調整器において、前記調整桿は中間連結部材と拡張連結バネによって弁体開閉レバーに
連結され、圧力調整器内の弁体閉塞圧力が比較的低い第1の段階において、弁体と弁座の
当接面には前記切欠による小さな隙間が出来た状態で調整桿が作動しており、更に圧力が
高くなると弁体が強い力で弁座に押しつけられることにより、弁体に設けられた切欠が押
しつぶされて弁体と弁座が完全に閉塞される第2の段階を有することを特徴とする自己診
断型圧力調整器。
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