JP3621529B2 - Pneumatic tire - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに係り、特に、氷上性能を向上させた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、氷上及び雪上の性能を高めたタイヤとしてスタッドレスタイヤが使用されている。
【0003】
この種のスタッドレスタイヤのトレッドには、雪上性能を高めるために複数のブロックからなるブロップパターンが形成されている。
【0004】
他方、氷上性能を高めるために、この種のスタッドレスタイヤのトレッドには、氷路面との摩擦力を得るために通常のタイヤと比較して柔軟なゴム材を使用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
氷上性能を高めるために、トレッドのゴム材をより柔らかくすることも考えられるが、ブロック剛性の低下、耐摩耗性の低下等の問題が生じるので限度がある。また、サイプを多用することも考えられるが、偏摩耗やブロック剛性の低下につながるため、サイプの多用にも限界がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、他性能を低下させること無く氷上性能を高めることのできる空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層とトレッドを順次配置した空気入りタイヤであって、前記トレッドの少なくとも接地部分は、踏面と直交する一断面において耐摩耗性の異なるゴム層がタイヤ幅方向、又はタイヤ周方向に沿って互いに隣り合い、前記ゴム層は10mm当たり2層以上積層され、かつ前記2層以上積層されたゴム層のうち最も耐摩耗性の高いゴム層及び最も耐摩耗性の低いゴム層が無数の短繊維を有し、最も耐摩耗性の高いゴム層と最も耐摩耗性の低いゴム層の短繊維の含有率の差が10重量%以上であることを特徴としている。
【0008】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
耐摩耗性の高いゴム層と耐摩耗性の低いゴム層とを比較すると、耐摩耗性の低いゴム層の方が摩耗の進展速度が早い。したがって、走行によりトレッド表面(踏面)が摩耗すると、耐摩耗性の高いゴム層部分に比較して耐摩耗性の低いゴム層部分が低くなり、トレッド表面に比較的深さが浅く細い溝が多数出現する。このようにして出現した溝により、排水性及びエッジ効果が得られ、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能が向上する。
【0009】
また、摩耗初期のみならず、摩耗が進行してもこの状態を維持することが可能であるため、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能の向上を継続的に図ることができる。
【0010】
ここで、最も耐摩耗性の高いゴム層、即ち、摩耗したときに摩耗した踏面の凹凸の凸部となる層が短繊維を有している場合、走行によって踏面が摩耗すると、最も耐摩耗性の高いゴム層の踏面に無数の短繊維が表れ、踏面に表れたこれら無数の短繊維が氷面を引っかくので、氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能を向上させることができる。
【0011】
また、踏面に表れたこれら無数の短繊維が路面との摩擦等によってゴムから脱落すると、短繊維の脱落したところには微小な凹部が形成される。踏面に形成された無数の凹部は踏面と路面との間の水分を吸収するので、これにより氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能を向上させることができる。
【0012】
即ち、最も耐摩耗性の高いゴム層が短繊維を有している場合には、踏面に突出した短繊維の引っかき効果と、短繊維の脱落したあとの凹部による吸水効果が得られる。
【0013】
短繊維の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等を上げることができるが、これら以外の繊維であっても良い。
【0014】
また、短繊維の径は10μm〜1.0mmが好ましく、短繊維の長さは2〜50mmが好ましい。さらに、短繊維の長さと短繊維の径との比率は、(短繊維の長さ/短繊維の径)>10とすることが好ましい。
【0015】
なお、最も耐摩耗性の高いゴム層の短繊維の含有率を増やすと氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能が向上するが、耐摩耗性は低下する。
【0016】
一方、耐摩耗性の低いゴム層が無数の短繊維を有する場合、その耐摩耗性の低いゴム層を一層摩耗し易くでき、溝をより一層深くすることができる。
【0017】
これにより、水分の吸収能力を高めることができ、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能を向上させることができる。
【0018】
また、最も耐摩耗性の高いゴム層と最も耐摩耗性の低いゴム層の短繊維の含有率の差を10%以上としたので、最も耐摩耗性の低いゴム層を確実に摩耗させて踏面に確実に溝を形成することができるようになる。
ここで、含有率の差が10%未満の場合は、耐摩耗性の高いゴム層と耐摩耗性の低いゴム層の耐摩耗性が近くなり、摩耗差によって得られる溝の形成が困難になる。
また、耐摩耗性の異なるゴム層がタイヤ幅方向に沿って互いに隣り合う場合には、摩耗により出現した溝の方向がタイヤ周方向となるので、路面の水膜を蹴りだし側へ排水する性能、即ち排水性を向上でき、特に氷上ブレーキ性能を向上させることができる。また、横方向の摩擦係数を増大させることもでき、コーナリング性能を向上させることもできる。
一方、耐摩耗性の異なるゴム層がタイヤ周方向に沿って互いに隣り合う場合には、摩耗により出現した溝の方向がタイヤ幅方向となるので、幅方向に延びるエッジ成分の水切り作用により、特に氷上トラクション性能が向上する。
なお、トレッドの接地する部分がこのような耐摩耗性の異なるゴム層の積層構造となっていれば良く、必ずしもトレッド全体を耐摩耗性の異なるゴム層の積層構造としなくても良い。例えば、トレッドがキャップ・ベース構造である場合には、キャップ部のみをこのような積層構造とすれば良い。
【0019】
また、耐摩耗性の高いゴム層と耐摩耗性の低いゴム層とを交互に積層した場合、耐摩耗性の低いゴム層の厚さは、耐摩耗性の高いゴム層の厚さよりも薄い事が好ましい。耐摩耗性の高いゴム層が厚くなり過ぎると、水が溝まで届きにくくなり、排水性が向上せず氷上性能が向上しない。逆に、耐摩耗性の低いゴム層が増加しすぎてしまう場合には、耐摩耗性の高いゴム層が少なくなるので実接地面積の減少により氷上性能と耐摩耗性が低下する。したがって、トレッドの接地面にあらわれる耐摩耗性の高いゴム層の厚さと耐摩耗性の低いゴム層の厚さとの比率は、耐摩耗性の高いゴム層を100とした場合、耐摩耗性の低いゴム層を5〜40にすることが好ましい。
【0020】
また、耐摩耗性の低いゴム層の厚さを0.05mm未満にするとトレッド表面が摩耗してもトレッド表面に溝が生じ難くなり、耐摩耗性の高いゴム層の厚さを5.0mm以上にすると、耐摩耗性の高いゴム層が厚いため、溝までの距離が長くなり、水が溝まで届きにくく、氷上性能が向上しない。
【0021】
隣接するゴム層同士で耐摩耗性に差をつける方法としては、各々のゴム層の硬度を変える方法を上げることができるが、各々のゴム層のゴム種を変えても良い。
【0022】
なお、ゴムの耐摩耗性の高い低いは、例えば、JIS K 6264に従って、ランボーン試験を標準試験条件(速度80m/min、スリップ率30%、負荷加重40N、落砂量20g/min)で行って測定することができる。
【0023】
また、隣接するゴム層同士で硬度差をつける場合には、隣接するゴム層同士で3度(JIS K6301に準拠し、室温にて測定した値。)以上の硬度差を付けることが好ましく、5度以上の硬度差を付ける事がさらに好ましい。
【0024】
また、トレッドは、ブロックパターン、リブパターン、ラグパターン等の何れのパターンであっても良く、パターン無し(溝無し)であっても良い。
【0025】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ゴム層のうち最も耐摩耗性の高いゴム層が有する無数の短繊維の含有率が1〜15重量%であることを特徴としている。
【0026】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項2に記載の空気入りタイヤは、凸部分となる最も耐摩耗性の高いゴム層が有する無数の短繊維の含有率を1〜15重量%としたため、踏面に表れる短繊維による引っかき作用が十分に確保されると共に、短繊維がゴムから脱落してできる微小な凹部による水分の吸収作用が十分に確保される。
【0027】
なお、短繊維の含有率が1重量%未満になると、踏面に表れる短繊維の数が少なくなり、引っかき作用が得られなくなる。また、短繊維がゴムから脱落してできる微小な凹部の数が少なくなり、摩耗差によって得られる溝で吸収排出できなかった水の吸収作用が無くなる。このため、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能が向上しない。
【0028】
一方、短繊維の含有率が15重量%を越えると、耐摩耗性の高いゴム層の耐摩耗性が低下し、耐摩耗性の低いゴム層との耐摩耗性の差が小さくなり、摩耗差によって得られる溝の形成が困難になる。
【0029】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ゴム層のうち最も耐摩耗性の低いゴム層が有する無数の短繊維の含有率が16〜30重量%であることを特徴としている。
【0030】
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
ゴムに短繊維を含有させることによってゴムの耐摩耗性を低下させることができる。この請求項3に記載の空気入りタイヤは、最も耐摩耗性の低いゴム層が有する無数の短繊維の含有率が16〜30重量%とされている。このため、最も耐摩耗性の低いゴム層の耐摩耗性を一層低下させることができ、最も耐摩耗性の低いゴム層の摩耗を促進させて踏面に確実に溝を形成することができるようになる。
【0031】
なお、短繊維の含有率が16%未満では、短繊維を含有させることによってゴムの耐摩耗性をより一層低下させる、という効果が少なくなり、最も耐摩耗性の低いゴム層の耐摩耗性を十分に低下させることができず、摩耗差によって得られる溝の形成が困難になる。
【0032】
一方、短繊維の含有率が30重量%を越えると、踏面全体の耐摩耗性が低下する。
【0036】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、少なくとも最も耐摩耗性の高いゴム層が無数の粒子を有することを特徴としている。
【0037】
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項4に記載の空気入りタイヤは、最も耐摩耗性の高いゴム層、即ち、摩耗したときに摩耗した踏面の凹凸の凸部となる層が無数の粒子を有している。走行によって踏面が摩耗すると、踏面に無数の粒子が表れ、踏面に表れたこれら無数の粒子が氷面を引っかき、氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能を向上させることができる。
【0038】
また、踏面に表れたこれら無数の粒子が路面との摩擦等によってゴムから脱落すると、粒子の脱落したところには微小な凹部が形成される。踏面に形成された無数の凹部は踏面と路面との間の水分を吸収するので、これにより氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能を向上させることができる。
【0039】
即ち、本発明では、踏面に突出した粒子の引っかき効果と、粒子の脱落したあとの凹部による吸水効果が得られる。
【0040】
粒子の具体例としては、表面にアルミニウム結合水酸基及びケイ素結合水酸基を有するもの(一例として昭和電工製のハイジライト(商品名))、SPB樹脂(結晶性シンジオタクティック−1,2−ポリブタジエン樹脂)等が好ましいが、これら以外のものであっても良い。また、粒子の径は、5μm〜250μmが好ましい。なお、粒子の形状は特に問わない。
【0041】
粒子の含有率を増やすと氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能が向上するが、耐摩耗性は低下する。このため、粒子の含有率は、1〜15重量%が好ましい。粒子の含有率が1重量%未満では氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能が向上せず、15重量%を越えると耐摩耗性が低下する。
【0051】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る空気入りタイヤ10を図1乃至図5にしたがって説明する。
【0052】
本実施形態の空気入りタイヤ(サイズ:185/70R13、リム:51/2J−13、内圧1.9kg/cm2)10は、一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層としてのベルトとトレッドとを順次配置したラジアル構造の空気入りタイヤである。なお、トレッド以外の内部構造は、一般のラジアルタイヤの構造と変わりないので説明は省略する。
【0053】
図1に示すように、トレッド12には、複数本の周方向溝14及びこの周方向溝14と交差する複数本の横溝16とによって複数のブロック18が形成されている。
【0054】
各ブロック18には、タイヤ幅方向に沿って直線状に延びるサイプ19がタイヤ周方向に等間隔で4本形成されており、各々の両端はブロック18の側面に開口している。なお、ブロック18は、タイヤ周方向の長さが25mm、タイヤ軸方向の幅が20mmである。また、サイプ19は幅が0.4mmであり、タイヤ周方向に約5mm間隔で形成されている。
【0055】
図2に示すように、トレッド12は、直接路面に接地する上層のキャップ部12Aと、このキャップ部12Aのタイヤ内方に隣接して配置される下層のベース部12Bとから構成されており、いわゆるキャップ・ベース構造とされている。
【0056】
キャップ部12Aは、耐摩耗性の低いゴム層20と耐摩耗性の高いゴム層22とがタイヤ幅方向に交互に積層されている。
【0057】
ここで、図3(A)に示すように、耐摩耗性の高いゴム層22には短繊維50が無数に含有されたゴムが用いられている。
【0058】
このようなトレッド12を備えた空気入りタイヤ10は、図4に示すような耐摩耗性の低いゴム層20と短繊維50を含む耐摩耗性の高いゴム層22とを幅方向に交互に積層した生(未加硫)のゴム帯状物24を形成し、これを生タイヤの外周に貼り付けてモールドで加硫することで形成することができる。
(作用)
次に本実施形態の作用を説明する。
【0059】
走行によりトレッド12の表面が摩耗すると、耐摩耗性の低いゴム層20が耐摩耗性の高いゴム層22よりも摩耗が進展するので、図5に示すように、耐摩耗性の高いゴム層22部分に比較して耐摩耗性の低いゴム層20部分が低くなり、トレッド12表面に比較的深さが浅く細い溝26が多数出現する。
【0060】
このようにして出現する溝26はタイヤ周方向に沿って延びた形状となり、複数出現した溝26により排水性が得られ、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能が向上し、特に氷上ブレーキ性能が向上する。
【0061】
また、耐摩耗性の高いゴム層22が摩耗すると、図3(B)に示すように踏面に無数の短繊維50が表れ、踏面に表れたこれら無数の短繊維50が氷面を引っかき、氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能をより一層向上させることができる。
【0062】
また、踏面に表れたこれら無数の短繊維50が路面との摩擦等によってゴムから脱落すると、短繊維50の脱落したところには微小な凹部52が形成される。踏面に形成された無数の凹部52は踏面と路面との間の水分を吸収するので、これにより氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能をより一層向上させることができる。
【0063】
なお、摩耗初期のみならず、摩耗が進行してもこの状態を維持することが可能であるため、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能の向上を継続的に図ることができる。
【0064】
また、踏面にタイヤ周方向に沿って延びる溝26が出現するのでコーナリング時の横滑り防止効果も得られる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る空気入りタイヤ10を図6にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
図6に示すように、この第2の実施形態に係る空気入りタイヤ10では、キャップ部12Aが、耐摩耗性の低いゴム層20と耐摩耗性の高いゴム層22とがタイヤ周方向(図6の矢印A方向)に交互に積層されている。
【0066】
次に本実施形態の作用を説明する。
走行によりトレッド12の表面が摩耗すると、前記第1の実施形態で説明したように、耐摩耗性の高いゴム層22部分に比較して耐摩耗性の低いゴム層20部分が低くなるが、本実施形態では、トレッド12表面にタイヤ幅方向に沿って延る溝26が複数出現する。出現した溝26の方向がタイヤ幅方向となるので、本実施形態の空気入りタイヤ10は、幅方向に延びるエッジ成分の水切り作用により特に氷上トラクション性能が向上する。
【0067】
また、耐摩耗性の高いゴム層22の踏面に表れた短繊維50が氷面を引っかき、短繊維50の脱落したあとの凹部52(図6では図示せず。)が路面との間の水を吸収するので、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能をより一層向上させることができる。
【0076】
(試験例)
従来例のタイヤ1種、本発明の適用された実施例のタイヤ16種、比較例のタイヤ1種を用い、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及び耐摩耗性能を比較した。
【0077】
次に氷上ブレーキ性能の試験方法を説明する。
タイヤを実車に装着して氷上平坦路を走行させ、時速20km/hの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定した。結果は、距離の逆数を従来タイヤ100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上ブレーキ性能が良いことを示す。
【0078】
氷上トラクション性能の試験方法
タイヤを実車に装着し、氷上平坦路を停止した状態から車を発進させ、50mの距離までに到達した時間の逆数を従来タイヤ100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上トラクション性能が良いことを示す。
【0079】
耐摩耗性能の試験方法
タイヤを実車に装着し、10000km走行後の摩耗量(摩耗した溝深さ)を測定し、摩耗量の逆数を従来タイヤ100として指数表示した。なお、数値が大きいほど耐摩耗性能が良いことを示す。
【0080】
次に供試タイヤの説明をする。
各供試タイヤ共に、図1に示すブロックパターンを有しており、タイヤ幅方向に4個、タイヤ周方向に50mmピッチでブロックが配列されている。また、ブロックのサイズはタイヤ周方向の寸法が25mm、タイヤ幅方向の寸法が20mmである。
【0081】
耐摩耗性の低いゴム層には硬度が38度のゴムを用い、耐摩耗性の高いゴム層には硬度が50度のゴムを用いた。
【0082】
実施例1〜16のタイヤは、耐摩耗性の低いゴム層及び又は耐摩耗性の高いゴム層に短繊維を有しているタイヤである。なお、短繊維には平均径50μm、平均長さ2000μmである円柱体状のPETを用いた。なお、短繊維の含有率は以下の表1〜3に示す通りである。
【0083】
実施例11、12のタイヤは、耐摩耗性の高いゴム層に発泡ゴムを用いたタイヤである。
【0084】
ここで、発泡ゴムの空洞率Vsは、Vs=(ρ0 /ρ1 −1)×100(%)で表される。なお、ρ1 は微小空洞を有するゴムの密度(g/cm3 )、ρ0 は微小空洞を有するゴムの固相部の密度(g/cm3 )である。なお、発泡ゴムの発泡率Vsが大きくなると耐摩耗性が低下する。
【0085】
また、水膜を効率的に吸収するためには、微小空洞の平均空洞径は5〜150μmが望ましく、好ましくは10〜100μmである。
【0086】
なお、最も耐摩耗性の高いゴム層の空洞率が2%未満では、溝で排出できなかった水を吸収する効果が得られない。一方、最も耐摩耗性の高いゴム層の空洞率が20%を越えると、耐摩耗性が低下して耐摩耗性の低いゴム層の耐摩耗性に近くなる。このため、踏面にあらわれる溝を深くすることができなくなり、排水性が低下する。
【0087】
実施例13、14のタイヤは、踏面との摩擦等によってゴムから脱落する無数の粒子を耐摩耗性の高いゴム層に含有させたタイヤである。なお、粒子には平均径50μmのSPB樹脂を用いた。なお、粒子の含有率は以下の表1〜3に示す通りである。
【0088】
実施例16のタイヤは、ブロックに耐摩耗性の高いゴム層と耐摩耗性の低いゴム層とが年輪状に積層されたタイヤである。なお、表内に記載されている積層数はブロックに表れる最大の層数であり、厚さは平均値である。
【0089】
比較例のタイヤは、短繊維の含まれていない耐摩耗性の低いゴム層と耐摩耗性の高いゴム層とがタイヤ幅方向に交互に積層されたタイヤである。ゴム層の硬度、サイプ、ブロックのサイズ及び配置は実施例1のタイヤと同様である。なお、ゴム層の厚さ及び積層数は以下の表1に示す通りである。
【0090】
従来例のタイヤは、トレッドのキャップ部が全て短繊維の含まれた耐摩耗性の高いゴム層で形成されたタイヤである。なお、サイプ、ブロックのサイズ及び配置は実施例1のタイヤと同様である。
【0091】
ゴム層の積層数、厚さ、形態、短繊維の含有率、含有率の差、粒子の含有率、氷上ブレーキ性能の試験結果、氷上トラクション性能の試験結果、耐摩耗性能の試験結果は以下の表1〜3に示す通りである。
【0092】
なお、試験には、ならし走行を行ってトレッド表面に溝が出現したタイヤを使用した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
短繊維=材質:PET、平均径:50μm、平均長さ:2000μmである円柱体。
粒 子=材質:SPB樹脂、平均径:50μmである球体。
【0097】
上記の表1〜3に示すように、ゴム層の積層方向をタイヤ周方向とし、かつゴム層に短繊維を含有した実施例1〜16のタイヤは氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能が従来例のタイヤ及び比較例のタイヤに比較して向上していることが分かる。
【0098】
中でも、ゴム層の積層方向をタイヤ幅方向とした実施例1〜14のタイヤは、氷上トラクション性能よりも氷上ブレーキ性能が一層向上していることが分かる。
【0099】
また、ゴム層の積層方向をタイヤ周方向とした実施例15の氷上ブレーキ性能よりも氷上トラクション性能が一層向上していることが分かる。
【0100】
さらに、ゴム層を年輪状にした実施例16のタイヤは、氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能の両方がほぼ同じレベルで向上していることが分かる。
【0101】
なお、耐摩耗性に関しては、指数90以上あれば実用上で特には問題にならないレベルである。
【0102】
ところで、前記実施形態の空気入りタイヤ10は、新品時にはトレッド表面に溝26が出現していないため、極めて短い距離ではあるが慣らし走行が必要となる。このため、新品時から高い氷上性能を得るために、ゴムの摩耗差によってこの溝26が出現するまでの間、摩耗差により出現する溝26とほぼ同じ寸法で、且つ、この溝26が出現した際に消滅するような浅い細溝をトレッド12の表面に多数形成しておいても良い。
【0103】
また、前記第1の実施形態及び第2の実施形態の空気入りタイヤ10では、耐摩耗性の低いゴム層20及び耐摩耗性の高いゴム層22が、トレッド12の表面で直線状となっていたが、波状やジグザグ状となっていても良い。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の空気入りタイヤは、トレッド表面に比較的深さが浅く細い溝を多数出現させ、これらの溝の排水作用及びエッジ効果により氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能を向上できる、という優れた効果を有する。さらに、摩耗初期のみならず、摩耗が進行してもこの状態を維持することが可能であるため、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能の向上を継続的に図ることができる、という優れた効果を有する。
また、最も耐摩耗性の高いゴム層と最も耐摩耗性の低いゴム層の短繊維の含有率の差を10重量%以上としたので、最も耐摩耗性の低いゴム層を確実に摩耗させて踏面に確実に溝を形成することができる、という優れた効果を有する。
また、ゴム層の積層方向をタイヤ幅方向とすることにより、摩耗により出現した溝の方向がタイヤ周方向となるので、路面の水膜を蹴りだし側へ排水する性能、即ち排水性を向上でき、特に氷上ブレーキ性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。また、横方向の摩擦係数を増大させることもでき、コーナリング性能を向上させることもできる。
一方、ゴム層の積層方向をタイヤ周方向とすることにより、摩耗により出現した溝の方向がタイヤ幅方向となるので、幅方向に延びるエッジ成分の水切り作用により、特に氷上トラクション性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0105】
請求項2に記載の空気入りタイヤは、摩耗した踏面の凹凸の凸となる最も耐摩耗性の高いゴム層の踏面に表れた無数の短繊維が氷面を引っかく作用により氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能をさらに向上させることができる、という優れた効果を有する。さらに、踏面に表れた短繊維がゴムから脱落したあとに形成される微小な凹部が、踏面に形成された溝で排出できなかった水膜を吸収することができ、これにより氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能をさらに向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0106】
請求項3に記載の空気入りタイヤは、最も耐摩耗性の低いゴム層の摩耗を促進させて踏面に確実に溝を形成することができ、高い氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能を確保できる、という優れた効果を有する。
【0108】
請求項4に記載の空気入りタイヤは、踏面に表れた無数の粒子が氷面を引っかく作用により氷上ブレーキ性能及び氷上トラクション性能をさらに向上させることができる、という優れた効果を有する。さらに、踏面に表れた粒子がゴムから脱落したあとに形成される微小な凹部が、踏面に形成された溝で排出できなかった水膜を吸収することができ、これにより氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能及びウエット性能をさらに向上させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図2】図1に示すトレッドのタイヤ幅方向に沿った断面図である。
【図3】(A)は短繊維の含まれた耐摩耗性の高いゴム層の拡大断面図であり、(B)は摩耗した耐摩耗性の高いゴム層の拡大断面図である。
【図4】後に図2に示すトレッドのキャップ部分となるゴム帯状物の斜視図である。
【図5】摩耗後のトレッドの断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドのタイヤ周方向に沿った断面図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a pneumatic tire, and more particularly to a pneumatic tire with improved performance on ice.
[0002]
[Prior art]
In recent years, studless tires have been used as tires with improved performance on ice and snow.
[0003]
A tread of this type of studless tire is formed with a flop pattern composed of a plurality of blocks in order to enhance the performance on snow.
[0004]
On the other hand, in order to improve the performance on ice, the tread of this type of studless tire uses a soft rubber material as compared with a normal tire in order to obtain a frictional force with the icy road surface.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
In order to improve the performance on ice, it may be possible to make the rubber material of the tread softer, but there is a limit because problems such as a decrease in block rigidity and a decrease in wear resistance occur. Although it is conceivable to use many sipes, there is a limit to the frequent use of sipes because it leads to uneven wear and lower block rigidity.
[0006]
In view of the above facts, an object of the present invention is to provide a pneumatic tire capable of improving the performance on ice without lowering other performance.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The invention according to claim 1 is a pneumatic tire in which a reinforcing layer and a tread are sequentially arranged on the outer periphery of a crown portion of a carcass extending in a toroidal shape between a pair of bead cores, and at least a ground contact portion of the tread is The rubber layers having different wear resistances are adjacent to each other along the tire width direction or the tire circumferential direction in a cross section orthogonal to the tread surface, and two or more rubber layers are laminated per 10 mm, and the two or more rubber layers are laminated. Among the rubber layers, the rubber layer with the highest wear resistance and the rubber layer with the lowest wear resistance have countless short fibers, and the shortest of the rubber layer with the highest wear resistance and the rubber layer with the lowest wear resistance. The difference in fiber content is 10% by weight or more .
[0008]
Next, the operation of the pneumatic tire according to claim 1 will be described.
When comparing a rubber layer with high wear resistance and a rubber layer with low wear resistance, the rubber layer with low wear resistance has a faster wear progress rate. Therefore, when the tread surface (tread surface) is worn by running, the rubber layer portion having low wear resistance is lower than the rubber layer portion having high wear resistance, and there are many thin grooves having a relatively shallow depth on the tread surface. Appear. Due to the grooves thus appearing, drainage and edge effects are obtained, and braking performance on ice, traction performance on ice and wet performance are improved.
[0009]
Further, since this state can be maintained not only in the initial stage of wear but also as wear progresses, it is possible to continuously improve the brake performance on ice, the traction performance on ice, and the wet performance.
[0010]
Here, when the rubber layer having the highest wear resistance, i.e., the layer that becomes the projections and depressions of the tread that was worn when worn, has short fibers, the most wear-resistant when the tread is worn by running. Innumerable short fibers appear on the tread surface of the high rubber layer, and these innumerable short fibers appearing on the tread surface scratch the ice surface, so that the braking performance on ice and the traction performance on ice can be improved.
[0011]
Further, when these innumerable short fibers appearing on the tread fall off from the rubber due to friction with the road surface or the like, a minute concave portion is formed at the place where the short fibers fall off. The infinite number of recesses formed on the tread absorbs moisture between the tread and the road surface, thereby improving the braking performance on ice, the traction performance on ice, and the wet performance.
[0012]
That is, when the rubber layer having the highest wear resistance has short fibers, the effect of scratching the short fibers protruding on the tread surface and the water absorption effect by the recesses after the short fibers are dropped off can be obtained.
[0013]
Specific examples of the short fiber include polyethylene terephthalate, polyester represented by polyethylene naphthalate, polyethylene, polypropylene, and the like, but other fibers may be used.
[0014]
The diameter of the short fiber is preferably 10 μm to 1.0 mm, and the length of the short fiber is preferably 2 to 50 mm. Further, the ratio of the length of the short fiber to the diameter of the short fiber is preferably (short fiber length / short fiber diameter)> 10.
[0015]
Increasing the short fiber content of the rubber layer having the highest wear resistance improves the brake performance on ice, the traction performance on ice, and the wet performance, but decreases the wear resistance.
[0016]
On the other hand, when the rubber layer with low wear resistance has innumerable short fibers, the rubber layer with low wear resistance can be more easily worn and the groove can be made deeper.
[0017]
Thereby, the water absorption capacity can be increased, and the braking performance on ice, the traction performance on ice, and the wet performance can be improved.
[0018]
In addition, the difference in the short fiber content between the rubber layer with the highest wear resistance and the rubber layer with the lowest wear resistance is set to 10% or more. Thus, the groove can be surely formed.
Here, when the difference in content is less than 10%, the wear resistance of the rubber layer having high wear resistance and the rubber layer having low wear resistance are close to each other, and it becomes difficult to form a groove obtained by the wear difference. .
Also, when rubber layers with different wear resistance are adjacent to each other along the tire width direction, the direction of the groove that appears due to wear is the tire circumferential direction, so the water film on the road surface is drained to the kicking side. That is, drainage can be improved, and in particular, braking performance on ice can be improved. Moreover, the coefficient of friction in the lateral direction can be increased, and the cornering performance can be improved.
On the other hand, when the rubber layers having different wear resistances are adjacent to each other along the tire circumferential direction, the direction of the groove that appears due to wear is the tire width direction. Ice traction performance is improved.
It should be noted that the portion of the tread that contacts the ground may have such a laminated structure of rubber layers having different wear resistances, and the entire tread may not necessarily have a laminated structure of rubber layers having different wear resistances. For example, when the tread has a cap-base structure, only the cap portion may have such a laminated structure.
[0019]
In addition, when the rubber layer with high wear resistance and the rubber layer with low wear resistance are alternately laminated, the thickness of the rubber layer with low wear resistance should be smaller than the thickness of the rubber layer with high wear resistance. Is preferred. If the rubber layer with high wear resistance becomes too thick, it will be difficult for water to reach the groove, drainage will not improve, and performance on ice will not improve. On the other hand, if the number of rubber layers with low wear resistance increases too much, the number of rubber layers with high wear resistance decreases, so that the performance on the ice and the wear resistance are reduced due to the decrease in the actual contact area. Therefore, the ratio between the thickness of the rubber layer having high wear resistance and the thickness of the rubber layer having low wear resistance that appears on the ground contact surface of the tread is low when the rubber layer having high wear resistance is 100. The rubber layer is preferably 5 to 40.
[0020]
Also, if the thickness of the rubber layer with low wear resistance is less than 0.05 mm, it becomes difficult to form a groove on the tread surface even if the tread surface is worn, and the thickness of the rubber layer with high wear resistance is 5.0 mm or more. In this case, since the rubber layer having high wear resistance is thick, the distance to the groove becomes long, water hardly reaches the groove, and the performance on ice is not improved.
[0021]
As a method of making a difference in wear resistance between adjacent rubber layers, a method of changing the hardness of each rubber layer can be raised, but the rubber type of each rubber layer may be changed.
[0022]
The high and low wear resistance of the rubber is, for example, that the Lambone test is performed under standard test conditions (speed 80 m / min, slip rate 30%, load load 40 N, sand fall 20 g / min) in accordance with JIS K 6264. Can be measured.
[0023]
Moreover, when making a hardness difference between adjacent rubber layers, it is preferable to give a hardness difference of 3 degrees or more (value measured at room temperature in accordance with JIS K6301) between adjacent rubber layers. It is more preferable to give a hardness difference of more than 1 degree.
[0024]
Further, the tread may be any pattern such as a block pattern, a rib pattern, or a lag pattern, and may have no pattern (no groove).
[0025]
The invention according to claim 2 is the pneumatic tire according to claim 1, wherein the content of countless short fibers of the rubber layer having the highest wear resistance among the rubber layers is 1 to 15% by weight. It is characterized by that.
[0026]
Next, the operation of the pneumatic tire according to claim 2 will be described.
In the pneumatic tire according to claim 2, since the content of the innumerable short fibers included in the rubber layer having the highest wear resistance that becomes the convex portion is 1 to 15% by weight, the scratching action by the short fibers appearing on the tread surface is exhibited. In addition to being sufficiently secured, the moisture absorbing action by the minute recesses formed by the short fibers falling off from the rubber is sufficiently secured.
[0027]
In addition, when the content rate of a short fiber will be less than 1 weight%, the number of the short fibers which appear on a tread will reduce, and a scratching effect will not be acquired. In addition, the number of minute recesses formed by the short fibers falling off from the rubber is reduced, and the water absorbing function that cannot be absorbed and discharged by the grooves obtained by the difference in wear is lost. For this reason, braking performance on ice, traction performance on ice, and wet performance do not improve.
[0028]
On the other hand, when the content of short fibers exceeds 15% by weight, the wear resistance of the rubber layer having high wear resistance is reduced, and the difference in wear resistance with the rubber layer having low wear resistance is reduced. Therefore, it becomes difficult to form the groove obtained.
[0029]
According to a third aspect of the present invention, in the pneumatic tire according to the first aspect, the countless short fiber content of the rubber layer having the lowest wear resistance among the rubber layers is 16 to 30% by weight. It is characterized by that.
[0030]
Next, the operation of the pneumatic tire according to claim 3 will be described.
By incorporating short fibers into the rubber, the wear resistance of the rubber can be reduced. In the pneumatic tire according to the third aspect, the content of innumerable short fibers included in the rubber layer having the lowest wear resistance is 16 to 30% by weight. For this reason, the wear resistance of the rubber layer with the lowest wear resistance can be further reduced, and the wear of the rubber layer with the lowest wear resistance can be promoted to reliably form a groove on the tread. Become.
[0031]
If the short fiber content is less than 16%, the effect of further reducing the wear resistance of the rubber by containing the short fibers is reduced, and the wear resistance of the rubber layer having the lowest wear resistance is reduced. It cannot be sufficiently lowered, and it becomes difficult to form a groove obtained by a difference in wear.
[0032]
On the other hand, if the content of short fibers exceeds 30% by weight, the wear resistance of the entire tread surface decreases.
[0036]
According to a fourth aspect of the present invention, in the pneumatic tire according to any one of the first to third aspects, at least the rubber layer having the highest wear resistance has innumerable particles.
[0037]
Next, the operation of the pneumatic tire according to claim 4 will be described.
The pneumatic tire according to claim 4 has an infinite number of particles in the rubber layer having the highest wear resistance, that is, the layer that becomes the uneven portion of the tread that is worn when worn. When the tread is worn by running, countless particles appear on the tread, and these countless particles appearing on the tread scratch the ice surface, thereby improving the braking performance on ice and the traction performance on ice.
[0038]
Further, when these innumerable particles appearing on the tread fall off from the rubber due to friction with the road surface or the like, minute recesses are formed where the particles fall off. The infinite number of recesses formed on the tread absorbs moisture between the tread and the road surface, thereby improving the braking performance on ice, the traction performance on ice, and the wet performance.
[0039]
That is, in the present invention, the effect of scratching the particles protruding on the tread surface and the water absorption effect by the recesses after the particles fall off are obtained.
[0040]
Specific examples of the particles include those having an aluminum-bonded hydroxyl group and a silicon-bonded hydroxyl group on the surface (as an example, Hygielite (trade name) manufactured by Showa Denko), SPB resin (crystalline syndiotactic-1,2-polybutadiene resin). Etc. are preferable, but other than these may be used. The particle diameter is preferably 5 μm to 250 μm. The shape of the particles is not particularly limited.
[0041]
Increasing the particle content improves braking performance on ice, traction performance on ice, and wet performance, but reduces wear resistance. For this reason, the content of particles is preferably 1 to 15% by weight. If the particle content is less than 1% by weight, the brake performance on ice, the traction performance on ice and the wet performance will not be improved, and if it exceeds 15% by weight, the wear resistance will be reduced.
[0051]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[First Embodiment]
A
[0052]
A pneumatic tire (size: 185 / 70R13, rim: 51 / 2J-13, internal pressure: 1.9 kg / cm 2 ) 10 of the present embodiment is a crown portion of a carcass straddling a toroid between a pair of bead cores. A pneumatic tire having a radial structure in which a belt and a tread as a reinforcing layer are sequentially arranged on the outer periphery. Since the internal structure other than the tread is the same as that of a general radial tire, description thereof is omitted.
[0053]
As shown in FIG. 1, a plurality of
[0054]
Four
[0055]
As shown in FIG. 2, the
[0056]
In the
[0057]
Here, as shown in FIG. 3 (A), the
[0058]
A
(Function)
Next, the operation of this embodiment will be described.
[0059]
When the surface of the
[0060]
The grooves 26 appearing in this way have a shape extending along the tire circumferential direction, and the plurality of grooves 26 provide drainage, improving ice braking performance, ice traction performance and wet performance, and particularly ice braking performance. Will improve.
[0061]
Further, when the
[0062]
Further, when these innumerable
[0063]
In addition, since this state can be maintained not only in the initial stage of wear but also as wear progresses, it is possible to continuously improve the brake performance on ice, the traction performance on ice, and the wet performance.
[0064]
Further, since a groove 26 extending along the tire circumferential direction appears on the tread surface, an effect of preventing a skid during cornering can be obtained.
[Second Embodiment]
A
[0065]
As shown in FIG. 6, in the
[0066]
Next, the operation of this embodiment will be described.
When the surface of the
[0067]
Further, the
[0076]
(Test example)
The brake performance on ice, the traction performance on ice, and the wear resistance performance were compared using one type of conventional tire, 16 types of tires of the examples to which the present invention was applied, and one type of comparative example.
[0077]
Next, a test method for on-ice brake performance will be described.
The tire was mounted on a real vehicle and traveled on a flat surface on ice, and the brake pedal was pressed at the time of 20 km / h to lock the tire, and the distance to stop was measured. As a result, the reciprocal of the distance is indicated as an index as the conventional tire 100. The larger the value, the better the braking performance on ice.
[0078]
Test method for ice traction performance A tire was mounted on a real vehicle, the vehicle was started from a state where the flat surface on ice was stopped, and the reciprocal of the time to reach a distance of 50 m was displayed as an index as the conventional tire 100. In addition, it shows that traction performance on ice is so good that a numerical value is large.
[0079]
Test method for wear resistance A tire was mounted on an actual vehicle, the amount of wear (depth of worn groove) after traveling 10,000 km was measured, and the reciprocal of the amount of wear was indicated as an index as the conventional tire 100. In addition, it shows that abrasion resistance performance is so good that a numerical value is large.
[0080]
Next, the test tire will be explained.
Each of the test tires has the block pattern shown in FIG. 1, and four blocks are arranged in the tire width direction and at a pitch of 50 mm in the tire circumferential direction. The block size is 25 mm in the tire circumferential direction and 20 mm in the tire width direction.
[0081]
A rubber having a hardness of 38 degrees was used for the rubber layer having low wear resistance, and a rubber having a hardness of 50 degrees was used for the rubber layer having high wear resistance.
[0082]
The tires of Examples 1 to 16 are tires having short fibers in a rubber layer having low wear resistance and / or a rubber layer having high wear resistance. As the short fibers, cylindrical PET having an average diameter of 50 μm and an average length of 2000 μm was used. In addition, the content rate of a short fiber is as showing to the following Tables 1-3.
[0083]
The tires of Examples 11 and 12 are tires using foamed rubber for a rubber layer having high wear resistance.
[0084]
Here, the void ratio Vs of the foamed rubber is expressed by Vs = (ρ 0 / ρ 1 −1) × 100 (%). Here, ρ 1 is the density (g / cm 3 ) of rubber having a microcavity, and ρ 0 is the density (g / cm 3 ) of the solid phase part of rubber having a microcavity. In addition, when the foaming rate Vs of the foamed rubber increases, the wear resistance decreases.
[0085]
In order to absorb the water film efficiently, the average cavity diameter of the microcavity is desirably 5 to 150 μm, preferably 10 to 100 μm.
[0086]
If the void ratio of the rubber layer having the highest wear resistance is less than 2%, the effect of absorbing water that could not be discharged by the groove cannot be obtained. On the other hand, when the void ratio of the rubber layer having the highest wear resistance exceeds 20%, the wear resistance is lowered to be close to the wear resistance of the rubber layer having low wear resistance. For this reason, it becomes impossible to deepen the groove | channel which appears on a tread, and drainage property falls.
[0087]
The tires of Examples 13 and 14 are tires in which countless particles that fall off the rubber due to friction with the tread or the like are contained in a rubber layer having high wear resistance. Note that SPB resin having an average diameter of 50 μm was used for the particles. In addition, the content rate of particle | grains is as showing to the following Tables 1-3.
[0088]
The tire of Example 16 is a tire in which a rubber layer having high wear resistance and a rubber layer having low wear resistance are laminated on a block in an annual ring shape. In addition, the number of lamination | stacking described in the table | surface is the maximum number of layers which appear in a block, and thickness is an average value.
[0089]
The tire of the comparative example is a tire in which a rubber layer having a low wear resistance and a rubber layer having a high wear resistance not containing short fibers are alternately laminated in the tire width direction. The rubber layer hardness, sipes, block size and arrangement are the same as in the tire of Example 1. The thickness of the rubber layer and the number of laminated layers are as shown in Table 1 below.
[0090]
The tire of the conventional example is a tire in which the cap portion of the tread is formed of a rubber layer having high wear resistance and containing short fibers. The size and arrangement of sipes and blocks are the same as those of the tire of Example 1.
[0091]
The number of rubber layers, thickness, shape, short fiber content, content difference, particle content, ice brake performance test results, ice traction performance test results, and wear resistance test results are as follows: It is as shown in Tables 1-3.
[0092]
In the test, a tire having a groove on the tread surface after running-in was used.
[0093]
[Table 1]
[0094]
[Table 2]
[0095]
[Table 3]
[0096]
Short fiber = material: PET, average diameter: 50 μm, average length: 2000 μm.
Particle = Material: SPB resin, sphere with average diameter: 50 μm.
[0097]
As shown in Tables 1 to 3 above, the tires of Examples 1 to 16 in which the laminating direction of the rubber layer is the tire circumferential direction and the rubber layer contains short fibers are the brake performance on ice and the traction performance on ice of the conventional example. It turns out that it is improving compared with the tire and the tire of a comparative example.
[0098]
Especially, it turns out that the brake performance on ice further improves the tire of Examples 1-14 which made the lamination direction of the rubber layer the tire width direction rather than the traction performance on ice.
[0099]
Moreover, it turns out that the traction performance on ice is further improved compared with the brake performance on ice of Example 15 which made the lamination direction of the rubber layer the tire circumferential direction.
[0100]
Furthermore, it can be seen that the tire of Example 16 in which the rubber layer has an annual ring shape has improved both on-ice brake performance and on-ice traction performance at substantially the same level.
[0101]
As for the wear resistance, an index of 90 or more is a level that does not cause a problem in practical use.
[0102]
By the way, since the groove | channel 26 does not appear in the tread surface when the
[0103]
In the
[0104]
【The invention's effect】
As described above, the pneumatic tire according to claim 1 has a large number of thin grooves with a relatively shallow depth appearing on the tread surface, and the braking performance on ice and the traction performance on ice by the drainage action and the edge effect of these grooves. And it has the outstanding effect that wet performance can be improved. Furthermore, since it is possible to maintain this state not only in the early stage of wear but also as wear progresses, it is possible to continuously improve on-ice brake performance, on-ice traction performance and wet performance. Has an effect.
In addition, since the difference in the short fiber content between the rubber layer having the highest wear resistance and the rubber layer having the lowest wear resistance is 10% by weight or more, the rubber layer having the lowest wear resistance is surely worn. It has the outstanding effect that a groove | channel can be reliably formed in a tread.
Also, by setting the rubber layer laminating direction to the tire width direction, the direction of the groove that appears due to wear becomes the tire circumferential direction, so the performance of draining the water film on the road surface to the kicking side, that is, drainage performance can be improved. In particular, it has an excellent effect that the braking performance on ice can be improved. Moreover, the coefficient of friction in the lateral direction can be increased, and the cornering performance can be improved.
On the other hand, by setting the rubber layer laminating direction as the tire circumferential direction, the direction of the groove that appears due to wear becomes the tire width direction, so that the traction on the ice is particularly improved by the draining action of the edge component extending in the width direction. It has an excellent effect of being able to.
[0105]
The pneumatic tire according to claim 2, the infinite number of short fibers appearing on the tread of the rubber layer having the highest wear resistance, which are convex and concave of the worn tread, cause the braking performance on ice and traction on ice by the action of scratching the ice surface. It has an excellent effect that the performance can be further improved. In addition, the minute recesses formed after the short fibers appearing on the tread fall off the rubber can absorb the water film that could not be discharged by the groove formed on the tread, thereby improving braking performance on ice, It has the outstanding effect that traction performance and wet performance can be further improved.
[0106]
The pneumatic tire according to claim 3 can promote the wear of the rubber layer having the lowest wear resistance and can surely form a groove on the tread, ensuring high brake performance on ice, traction performance on ice and wet performance. It has an excellent effect of being able to.
[0108]
The pneumatic tire according to claim 4 has an excellent effect that the brake performance on ice and the traction performance on ice can be further improved by innumerable particles appearing on the tread surface by scratching the ice surface. In addition, the minute recesses formed after the particles appearing on the tread fall off the rubber can absorb the water film that could not be discharged by the grooves formed on the tread, thereby improving braking performance on ice and traction on ice. It has the outstanding effect that performance and wet performance can be further improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view of a tread of a pneumatic tire according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view of the tread shown in FIG. 1 along the tire width direction.
FIG. 3A is an enlarged cross-sectional view of a highly wear-resistant rubber layer containing short fibers, and FIG. 3B is an enlarged cross-sectional view of a worn and highly wear-resistant rubber layer.
4 is a perspective view of a rubber band that later becomes a cap portion of the tread shown in FIG. 2. FIG.
FIG. 5 is a cross-sectional view of the tread after wear.
FIG. 6 is a cross-sectional view along the tire circumferential direction of a tread of a pneumatic tire according to a second embodiment of the present invention.
Claims (4)
前記トレッドの少なくとも接地部分は、踏面と直交する一断面において耐摩耗性の異なるゴム層がタイヤ幅方向、又はタイヤ周方向に沿って互いに隣り合い、
前記ゴム層は10mm当たり2層以上積層され、かつ前記2層以上積層されたゴム層のうち最も耐摩耗性の高いゴム層及び最も耐摩耗性の低いゴム層が無数の短繊維を有し、最も耐摩耗性の高いゴム層と最も耐摩耗性の低いゴム層の短繊維の含有率の差が10重量%以上であることを特徴とする空気入りタイヤ。A pneumatic tire in which a reinforcing layer and a tread are sequentially arranged on the outer periphery of a crown portion of a carcass that forms a toroid between a pair of bead cores,
At least the ground contact portion of the tread is adjacent to each other along the tire width direction or the tire circumferential direction with different rubber layers having different wear resistance in a cross section perpendicular to the tread surface,
The rubber layer is laminated two or more per 10 mm, and the rubber layer having the highest wear resistance and the rubber layer having the lowest wear resistance among the two or more laminated rubber layers have innumerable short fibers, A pneumatic tire characterized in that a difference in short fiber content between the rubber layer having the highest wear resistance and the rubber layer having the lowest wear resistance is 10% by weight or more .
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