JP3619553B2 - 医療用ガイド装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、細長い医療器具を案内するための医療用ガイド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、内臓の手術において患者の腹をメスで切り裂かずに、腹に穴を明けて手術する方法が開発されている。このような手術の際にトラカールが用いられる。詳述すると、トラカールは真直な案内通路を有している。トラカールにトラカール芯を挿入し、トラカール芯の尖った先端部を露出させた状態で患者の腹壁に突き刺す。この後で、トラカール芯を抜いてトラカールだけを腹に突き刺した状態にする。そして、このトラカールの案内通路を介して内視鏡や鉗子を体腔に挿入して腹腔内の内臓の観察や手術を行う。
【0003】
ところで、上記観察や手術の際に、腹腔内を膨らませるのが好ましい。そのため、上記観察,手術用のトラカールまたは他のトラカールから圧縮空気や圧縮炭酸ガスを体腔内に送るようにしている。そして、上記観察,手術が実際になされるまでは、案内通路を一時的に閉じて空気や炭酸ガスの漏れを防ぎ、観察,手術が始まる時にこの案内通路を開くようにしている。
【0004】
上記案内通路を開閉する従来の手段は、特開平5ー123287号公報に開示されている。詳述すると、トラカールの基端近傍には案内通路の軸と直交する方向に延びる筒形状のケースが設けられており、このケースにピストンがスライド可能に収容されている。ピストンはケースの一方の端壁を貫通して外部に突出した操作部を有するとともに、案内通路の軸と平行に延びる貫通孔を有している。ケースの他方の端壁とピストンとの間にはコイルスプリングが介在されている。ピストンはコイルスプリングに押されて第1スライド位置にあるとき、貫通孔が案内通路から離れており、これにより案内通路は閉じられている。操作部をコイススプリングに抗して押した時に、ピストンは第2スライド位置に至り、貫通孔が案内通路と一致するため、この案内通路が開くようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来装置では、案内通路が閉じた状態において、ピストンの周面とケースとの間のクリアランスから気体が少しずつ漏れ、シール性が十分ではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の医療用ガイド装置では、開閉手段は、ピストンと、弁体と、付勢手段とを備え、上記ピストンは、上記通路構成手段に支持されて上記案内通路の軸と直交する方向にスライド可能とされ、上記ピストンにはスライド方向に互いに離れる貫通孔と収容凹部が形成され、この貫通孔は案内通路の軸とほぼ平行に延び、収容凹部は案内通路の先端側に向かって開口し、上記案内通路にはその先端開口に連なるとともに収容凹部の開口に臨む環状の弁座が形成され、さらに収容凹部には上記弁体が収容されており、上記ピストンの第1スライド位置では、貫通孔が上記案内通路の軸線上に位置して案内通路を開き、上記ピストンの第2スライド位置では、収容凹部を囲むピストン周壁により案内通路を閉じるとともに、上記弁体が上記付勢手段により弁座に着座することを特徴とする。
【0007】
請求項2では、請求項1の医療用ガイド装置において、上記弁体が球弁として提供され、この球弁は上記収容凹部において案内通路の軸方向にのみ移動可能に収容されており、上記付勢手段は、上記ピストンに支持されてピストンのスライド方向とほぼ平行にスライド可能とされた押圧部材と、この押圧部材を球弁に向かって付勢するスプリングとを有し、この押圧部材が球弁において弁座と反対側を向く球面部分に当接することを特徴とする。
請求項3では、請求項2の医療用ガイド装置において、上記開閉手段は、さらに上記ピストンをスライド可能に案内するケースを備え、このケースは、案内通路の軸と直交する筒部とその両端に形成された端壁とを有し、上記通路構成手段は、上記案内通路となる内部空間をそれぞれ有するとともに互いに同軸をなす第1,第2筒を備え、これら第1,第2筒の互いに離れて対峙する一端は、上記ケースの筒部において直径方向に対峙する部位に固定されており、上記ピストンの一端側には、上記ケースにおいて上記貫通孔に近い一方の端壁を貫通して外部に突出する操作部が形成されており、上記スプリングは、上記収容凹部に近い他方の端壁と上記ピストンとの間に配置されていて、上記押圧部材を介して上記ピストンを上記ケースの一方の端壁に向かって付勢することを特徴とする。
【0008】
請求項4の医療用ガイド装置では、開閉手段は、案内通路と交差する方向に移動可能に配置された球弁と、この球弁を案内通路に向かって付勢する付勢手段とを備え、上記案内通路には、案内通路の先端開口と連なるとともに上記球弁に対峙する環状の弁座が、案内通路の軸に対して傾斜して形成され、上記球弁は付勢手段により付勢されて弁座に着座した状態で、案内通路に一部だけを臨ませていることを特徴とする。
請求項5では、請求項4に記載の医療用ガイド装置において、上記開閉手段は、さらに上記球弁を上記案内通路の軸と直交する方向に移動可能に収容するケースを備え、上記案内通路となる内部空間をそれぞれ有するとともに互いに同軸をなす第1,第2筒とを備え、これら第1,第2筒の互いに離れて対峙する一端は、上記ケースの筒部において直径方向に対峙する部位に固定されており、上記付勢手段は、上記ケースに支持されて案内通路の軸と直交する方向にスライド可能とされた押圧部材と、この押圧部材を球弁に向かって付勢するスプリングとを有し、この押圧部材が、球弁において弁座と反対側を向きかつ案内通路と反対側を向く球面部分に当接することを特徴とする。
請求項6では、請求項1〜5のいずれかの医療用ガイド装置において、上記通路構成手段には、上記開閉手段と案内通路の先端との間において、案内通路に連なる圧縮気体導入孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
請求項1の発明では、ピストンが第1スライド位置にあるとき貫通孔が案内通路と一致して案内通路を開く。これにより細長い医療器具を案内通路を介して体腔内へ挿入することができる。ピストンが第2スライド位置にある時には、収容凹部を囲むピストンの周壁が案内通路を閉じる。この閉じ状態において、案内通路に形成された環状の弁座に、弁体が付勢手段に付勢されて着座するので、十分なシール性が得られ、体腔内に供給された圧縮気体の漏れを防ぐことができる。
請求項2の発明では、球弁を用い、その球面部分を利用して押圧部材に働くスプリング力を弁座に向かう力に変換でき、球弁の弁座への着座を確実なものとすることができる。しかも、押圧部材およびスプリングを球弁の横に配置することができるので、ピストンの径を大きくしなくて済む。また、ピストンが第2スライド位置から第1スライドへとスライドする際に、球弁は弁座から容易に離れることができる。
請求項3の発明では、押圧部材を付勢するためのスプリングがピストンの付勢をも兼ねており、ピストンを第2スライド位置に維持でき、ひいては案内通路の閉じ状態を安定して維持することができる。
【0010】
請求項4の発明では、球弁は通常時には付勢手段により付勢されて弁座に着座し、案内通路をシール性良く閉じており、体腔内の圧縮気体の漏れを防止できる。細長い医療器具を案内通路に挿入する際には、医療器具の先端が案内通路に臨む球弁の球面部分に当たる。球面部分は案内通路の軸に対して傾斜しているので、この挿入力により球弁が案内通路と交差する方向に移動されて弁座から離れる。このようにして案内通路が開いて医療器具の挿入がなされる。この発明では、ピストンを用いないので、構成を簡略化することができるとともに、ピストン操作も不要であるので操作性が向上する。
請求項5の発明では、球弁の球面部分を利用して押圧部材に働くスプリング力を弁座に向かう力に変換でき、押圧部材およびスプリングが球弁の横に配置されていても、球弁の弁座への着座を確実なものとすることができる。
請求項6の発明では、シール性の良好な開閉手段と案内通路の先端開口との間に形成された圧縮気体導入孔から圧縮気体を導入することにより、効率良く圧縮気体を体腔内に供給することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図1〜図3を参照して説明する。図1に示すように、一般にトラカールと称される医療用ガイド装置は、通路構成手段10と、開閉手段20とを備えている。
【0012】
上記通路構成手段10は、同軸上に配置された円筒形状の第1筒11と第2筒12とを備えている。第1筒11の基端には短い取付筒13が固定されており、この取付筒13には開口14aを有するゴム製のキャップ14が嵌められている。第1筒11,第2筒12の内部空間は、それぞれ第1通路部分11a,第2通路部分12aとして提供されている。これら通路部分11a,12aにより案内通路15が構成されている。第12筒12の先端は若干径が小さい縮径部12xとなっている。
【0013】
上記開閉手段20は、ケース21を備えている。このケース21は、円筒形状の筒体21a(筒部)と、この筒体21aの両端にねじ結合された端壁21b,21cとを有している。上記筒体21aにおいて径方向に互いに対峙した部位には、上記第1筒11,第2筒12の互いに離間対峙する厚肉の端部が貫通固定されている。その結果、筒体21aは、上記案内通路15の軸と直交している。
【0014】
上記開閉手段20は、さらに、円柱形状のピストン22と、球弁23(弁体)と、付勢手段25とを有している。
上記ピストン22は、若干のクリアランスをもって筒体21aに収容され案内通路21の軸と直交する方向にスライド可能となっている。ピストン22には、スライド方向に互いに離れた断面円形の貫通孔22aと収容凹部22bが形成されている。貫通孔22aは、案内通路15と同径をなし、案内通路15の軸と平行に延びている。また、収容凹部22bは、案内通路15の軸と平行に延び、しかも第2通路部分12aに向かって開口している。
【0015】
図2に示すように、ピストン22の周面には、スライド方向に延びる溝22cが形成されており、この溝22cにはケース21の筒体21aに固定された規制ピン24の先端部が入り込んでいる。これによりピストン22は回動を禁じられ、上記貫通孔22aおよび収容孔22bが案内通路15の軸と平行な状態が維持されている。
【0016】
上記ピストン22の収容凹部22bには、上記球弁23が僅かなクリアランスを介して収容されており、案内通路15の軸と平行な方向に沿って移動可能となっている。第2通路部分12aの球弁23に対峙する端部には、環状の弁座12yが形成されている。
【0017】
図1に示すように、上記ピストン22の一端側には、ピストン22の軸方向に延びる操作部22xが形成されており、この操作部22xは、ケース21の端壁21bを貫通して外部に突出している。
【0018】
上記付勢部材25は、押圧部材26とコイルスプリング27とを備えている。押圧部材26は次のようにしてピストン22に支持されている。すなわち、ピストン22には、その軸方向に延びて収容凹部22bの奥部に連なるガイド孔22dが形成されており、このガイド孔22dに押圧部材26がスライド可能に収容されている。押圧部材26の先端部は半球面を有していて、上記収容凹部22bに臨み、上記球弁23の球面部分(弁座12yとは反対側を向く球面部分)に常に当接している。コイルスプリング27は、圧縮状態で押圧部材26と端壁21cとの間に介在されており、この押圧部材26を球弁23に向かって付勢している。
【0019】
図2に示すように、第2筒12の弁座12y近傍には、継手管30が接続されている。この継手管30には圧縮空気または圧縮炭酸ガス等の圧縮気体源35が図示しないチューブを連なっている。チューブの中途部には弁(図示しない)が設けられている。継手管30内の通路は圧縮気体導入孔30aとなっている。
【0020】
次に、上記構成の医療用ガイド装置の作用を説明する。ピストン22の操作部22xをコイルスプリング27に抗して押すことにより、ピストン22を図1において左方向にスライドさせると、ピストン22が左側の端壁21cに当たる。このピストン22の位置を以下第1スライド位置と称す。ピストン22の操作部22xへの押圧力を解除すると、ピストン22は押圧部材26を介してコイルスプリング27の力を受けるため図1において右方向に移動され、右側の端壁21bに当たる。このピストン22の位置を以下第2スライド位置と称す。
【0021】
上記のようにピストン22を第1スライド位置にすると、貫通孔22aが案内通路15の軸と一致し、案内通路15が開く。この状態で図3に示すトラカール芯40を、キャップ14の開口14aから案内通路15に挿入する。トラカール芯40は、先端部が尖っており、この先端部の近くに環状の段41を有している。上記挿入状態において、段41が第2筒12の先端の縮径部12xに係止されるため、尖った先端部が第2筒12の先端から突出した状態で、トラカール芯40の位置決めがなされる。このようにトラカール芯40を挿入した医療用ガイド装置を患者の腹壁に突き刺して穴を明け、第2筒12の先端部を腹腔内に臨ませる。
【0022】
次に、トラカール芯40を案内通路15から抜き取る。すると、ピストン22はコイルスプリング27の力で第2スライド位置に戻る。この第2スライド位置では、収容凹部22bが第2通路部分12aに臨んでおり、第1通路部分11aは、収容部22bを囲むピストン22の周壁により第2通路部分12aから遮断される。しかも、球弁23は押圧部材26を介してコイルスプリング27の力を受け、弁座12yに着座するので、案内通路15は十分なシール性をもって閉じられる。なお、押圧部材26が当接する球弁23の球面部分は案内通路15の軸に対して傾斜しているので、コイルスプリング27の力から案内通路15の軸方向の分力を得ることができ、上記球弁23を十分な力で弁座12yに着座させることができる。
【0023】
上記のような案内通路15の閉じ状態で、圧縮気体源35から案内通路15の第2通路部分12aを介して腹腔内に圧縮気体を供給し、腹腔を膨らませる。次に、細長い医療器具、例えば内視鏡の長い挿入部を案内通路15に挿入し、その先端部を腹腔内に臨ませ、内臓等の観察を行う。また、内視鏡に細長い鉗子を通して内臓の手術を行う。この場合、内視鏡の挿入部の周面にキャップ14の開口14aの周縁が弾性をもって接するので、圧縮気体の漏れはほぼ防ぐことができる。なお、内視鏡の代わりに細長い鉗子を案内通路に直接挿入することもある。この場合には腹壁に突き刺した他の医療用ガイド装置に内視鏡の挿入部を挿入して手術箇所を観察する。
【0024】
上述したように、球弁23が弁座12yにコイルスプリング27の力で着座してシール性が高いので、腹腔への圧縮気体の供給を効率良く行うことができ、また、内視鏡や鉗子を案内通路15に挿入して観察や手術が始まるまでの期間において、案内通路15から圧縮気体が漏れるのを防ぐことができ、腹腔が膨れた状態を良好に維持することができる。
【0025】
図4は本発明の他の実施例を示す。この実施例において、通路構成手段10については、前述の実施例と同様であるので、図中同番号を付してその説明を省略する。開閉手段20Aは、ケース50と、球弁60と、付勢手段70を備えている。
【0026】
上記ケース50は、円筒形状の筒体51(筒部)と、この筒体51の左端に取り付けられた端壁52と、筒体51の右端に取り付けられた端壁53と、筒体51の右端部に収容された円柱形状の支持ブロック54とを備えている。筒体51と端壁52と支持ブロック54に囲われて収容凹部55が形成されている。
【0027】
筒体51の左端部に通路構成手段10の第1筒11と第2筒体12の互いに離間対峙する端部が貫通固定されている。端壁52には第2筒12の端部に対応した位置にボス部52aが形成されており、このボス部52aには、第2筒12の第2通路部分12aに連なり案内通路15の一部となる貫通孔52xが形成されている。貫通孔52xの収容空間55に臨む端部には環状の弁座52yが形成されている。この弁座52yは、案内通路15の軸に対して傾斜している。
【0028】
筒体51の収容空間55には、筒体51の内周面と僅かなクリアランスをもって上記球弁60が収容されている。この球弁60は、筒体51の軸方向すなわち案内通路15の軸と直交する方向に移動可能である。
【0029】
上記付勢手段70は、ピン形状の押圧部材71と、この押圧部材71を付勢するコイルスプリング72とを有している。押圧部材71は、次のようにして支持ブロック54に支持されている。すなわち、支持ブロック54にはその中心軸から離れた位置に、この中心軸と平行に延びるガイド孔54aが形成されている。このガイド孔54aに上記押圧部材71がスライド可能に収容されている。押圧部材71の先端部は半球面を有し常に球弁60の球面部分(弁座52yとは反対側を向くとともに案内通路15とは反対側を向く球面部分)に当たっている。
【0030】
上記支持ブロック54の周面には、その軸方向に延びる溝54bが形成されており、この溝54bには、筒体51に固定された規制ピン65の先端部が収容されている。これにより、支持ブロック54は、筒体51に収容される際に周方向に位置決めがなされ、上記押圧部材71と球弁60の接触位置を図示の所望位置にすることができる。
【0031】
上記端壁52には圧縮気体源35に連なる継手管80が接続されている。この継手管80内の通路は圧縮気体導入孔80aとして提供され、貫通孔52xを経て第2通路部分12aに連なっている。
【0032】
上記図4の実施例では、通常時には球弁60が押圧部材71を介してコイルスプリング72の力を受けて弁座52yに着座することにより、案内通路15を高いシール性をもって遮断している。なお、押圧部材71が当接する球弁60の球面部分は弁座52yと反対側を向いているので、コイルスプリング72の力を上記球弁60の弁座52yに向かう付勢力として利用することができる。
【0033】
上記トラカール芯を挿入すると、その先端が球弁60の球面部分A(第1通路部分11aを向く球面部分)に当たる。この球面部分Aは案内通路15の軸に対して傾斜しているので、球弁60は案内通路15の軸と直交する方向の力を受けて右方向に移動し、弁座52yから離れて案内通路15を開く。これにより、トラカール芯は案内通路15に挿入されて先端部が第2筒12の先端から突出する。細長い医療器具、すなわち内視鏡の挿入部や細長い鉗子を案内通路15に挿入する時も、トラカール芯の場合と同様にして球弁60を移動させて案内通路15を開くことができる。
【0034】
本発明は上記実施例に制約されず種々の態様が可能である。例えば、圧縮気体導入孔を通路構成手段に設けなくてもよい。この場合、腹壁に突き刺した他のトラカールから圧縮気体が腹腔内に供給される。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明では、案内通路の閉じ状態において、弁体が付勢手段に付勢されて弁座に着座するので、十分なシール性が得られ、体腔内に供給された圧縮気体の漏れを防ぐことができる。
請求項2の発明では、球弁を用いることにより球弁の弁座への着座を確実なものとすることができ、しかも、押圧部材およびスプリングを球弁の横に配置することができるので、ピストンの径を大きくしなくて済む。また、球弁は弁座から容易に離れることができる。
請求項3の発明では、押圧部材を付勢するためのスプリングがピストンの付勢をも兼ねており、案内通路の閉じ状態を安定して維持することができる。
請求項4の発明では、球弁が付勢手段により付勢されて弁座に着座することにより、案内通路をシール性良く閉じることができ、体腔内の圧縮気体の漏れを防止できる。また、細長い医療器具を案内通路に挿入するだけで案内通路を開くことができるので、構成が簡略になるとともに、操作性が向上する。
請求項5の発明では、押圧部材およびスプリングが球弁の横に配置されていても、球弁の弁座への着座を確実なものとすることができる。
請求項6の発明では、効率良く圧縮気体を体腔内に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる医療用ガイド装置の縦断面図である。
【図2】図1においてIIーII線に沿う縦断面図である。
【図3】上記ガイド装置とともに用いられるトラカール芯の縦断面図である。
【図4】他の態様を示す医療用ガイド装置の縦断面図である。
【符号の説明】
10 … 通路構成手段
11 … 第1筒
11a … 第1通路部分
12 … 第2筒
12a … 第2通路部分
12y … 弁座
15 … 案内通路
20,20A … 開閉手段
21 … ケース
21a … 筒体(筒部)
21b,21c … 端壁
22 … ピストン
22a … 貫通孔
22b … 収容凹部
22x … 操作部
23 … 球弁(弁体)
25 … 付勢手段
26 … 押圧部材
27 … コイルスプリング
30a … 圧縮気体導入孔
50 … ケース
52y … 弁座
60 … 球弁
70 … 付勢手段
71 … 押圧部材
72 … コイルスプリング
80a … 圧縮気体導入孔
【産業上の利用分野】
本発明は、細長い医療器具を案内するための医療用ガイド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、内臓の手術において患者の腹をメスで切り裂かずに、腹に穴を明けて手術する方法が開発されている。このような手術の際にトラカールが用いられる。詳述すると、トラカールは真直な案内通路を有している。トラカールにトラカール芯を挿入し、トラカール芯の尖った先端部を露出させた状態で患者の腹壁に突き刺す。この後で、トラカール芯を抜いてトラカールだけを腹に突き刺した状態にする。そして、このトラカールの案内通路を介して内視鏡や鉗子を体腔に挿入して腹腔内の内臓の観察や手術を行う。
【0003】
ところで、上記観察や手術の際に、腹腔内を膨らませるのが好ましい。そのため、上記観察,手術用のトラカールまたは他のトラカールから圧縮空気や圧縮炭酸ガスを体腔内に送るようにしている。そして、上記観察,手術が実際になされるまでは、案内通路を一時的に閉じて空気や炭酸ガスの漏れを防ぎ、観察,手術が始まる時にこの案内通路を開くようにしている。
【0004】
上記案内通路を開閉する従来の手段は、特開平5ー123287号公報に開示されている。詳述すると、トラカールの基端近傍には案内通路の軸と直交する方向に延びる筒形状のケースが設けられており、このケースにピストンがスライド可能に収容されている。ピストンはケースの一方の端壁を貫通して外部に突出した操作部を有するとともに、案内通路の軸と平行に延びる貫通孔を有している。ケースの他方の端壁とピストンとの間にはコイルスプリングが介在されている。ピストンはコイルスプリングに押されて第1スライド位置にあるとき、貫通孔が案内通路から離れており、これにより案内通路は閉じられている。操作部をコイススプリングに抗して押した時に、ピストンは第2スライド位置に至り、貫通孔が案内通路と一致するため、この案内通路が開くようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来装置では、案内通路が閉じた状態において、ピストンの周面とケースとの間のクリアランスから気体が少しずつ漏れ、シール性が十分ではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の医療用ガイド装置では、開閉手段は、ピストンと、弁体と、付勢手段とを備え、上記ピストンは、上記通路構成手段に支持されて上記案内通路の軸と直交する方向にスライド可能とされ、上記ピストンにはスライド方向に互いに離れる貫通孔と収容凹部が形成され、この貫通孔は案内通路の軸とほぼ平行に延び、収容凹部は案内通路の先端側に向かって開口し、上記案内通路にはその先端開口に連なるとともに収容凹部の開口に臨む環状の弁座が形成され、さらに収容凹部には上記弁体が収容されており、上記ピストンの第1スライド位置では、貫通孔が上記案内通路の軸線上に位置して案内通路を開き、上記ピストンの第2スライド位置では、収容凹部を囲むピストン周壁により案内通路を閉じるとともに、上記弁体が上記付勢手段により弁座に着座することを特徴とする。
【0007】
請求項2では、請求項1の医療用ガイド装置において、上記弁体が球弁として提供され、この球弁は上記収容凹部において案内通路の軸方向にのみ移動可能に収容されており、上記付勢手段は、上記ピストンに支持されてピストンのスライド方向とほぼ平行にスライド可能とされた押圧部材と、この押圧部材を球弁に向かって付勢するスプリングとを有し、この押圧部材が球弁において弁座と反対側を向く球面部分に当接することを特徴とする。
請求項3では、請求項2の医療用ガイド装置において、上記開閉手段は、さらに上記ピストンをスライド可能に案内するケースを備え、このケースは、案内通路の軸と直交する筒部とその両端に形成された端壁とを有し、上記通路構成手段は、上記案内通路となる内部空間をそれぞれ有するとともに互いに同軸をなす第1,第2筒を備え、これら第1,第2筒の互いに離れて対峙する一端は、上記ケースの筒部において直径方向に対峙する部位に固定されており、上記ピストンの一端側には、上記ケースにおいて上記貫通孔に近い一方の端壁を貫通して外部に突出する操作部が形成されており、上記スプリングは、上記収容凹部に近い他方の端壁と上記ピストンとの間に配置されていて、上記押圧部材を介して上記ピストンを上記ケースの一方の端壁に向かって付勢することを特徴とする。
【0008】
請求項4の医療用ガイド装置では、開閉手段は、案内通路と交差する方向に移動可能に配置された球弁と、この球弁を案内通路に向かって付勢する付勢手段とを備え、上記案内通路には、案内通路の先端開口と連なるとともに上記球弁に対峙する環状の弁座が、案内通路の軸に対して傾斜して形成され、上記球弁は付勢手段により付勢されて弁座に着座した状態で、案内通路に一部だけを臨ませていることを特徴とする。
請求項5では、請求項4に記載の医療用ガイド装置において、上記開閉手段は、さらに上記球弁を上記案内通路の軸と直交する方向に移動可能に収容するケースを備え、上記案内通路となる内部空間をそれぞれ有するとともに互いに同軸をなす第1,第2筒とを備え、これら第1,第2筒の互いに離れて対峙する一端は、上記ケースの筒部において直径方向に対峙する部位に固定されており、上記付勢手段は、上記ケースに支持されて案内通路の軸と直交する方向にスライド可能とされた押圧部材と、この押圧部材を球弁に向かって付勢するスプリングとを有し、この押圧部材が、球弁において弁座と反対側を向きかつ案内通路と反対側を向く球面部分に当接することを特徴とする。
請求項6では、請求項1〜5のいずれかの医療用ガイド装置において、上記通路構成手段には、上記開閉手段と案内通路の先端との間において、案内通路に連なる圧縮気体導入孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】
請求項1の発明では、ピストンが第1スライド位置にあるとき貫通孔が案内通路と一致して案内通路を開く。これにより細長い医療器具を案内通路を介して体腔内へ挿入することができる。ピストンが第2スライド位置にある時には、収容凹部を囲むピストンの周壁が案内通路を閉じる。この閉じ状態において、案内通路に形成された環状の弁座に、弁体が付勢手段に付勢されて着座するので、十分なシール性が得られ、体腔内に供給された圧縮気体の漏れを防ぐことができる。
請求項2の発明では、球弁を用い、その球面部分を利用して押圧部材に働くスプリング力を弁座に向かう力に変換でき、球弁の弁座への着座を確実なものとすることができる。しかも、押圧部材およびスプリングを球弁の横に配置することができるので、ピストンの径を大きくしなくて済む。また、ピストンが第2スライド位置から第1スライドへとスライドする際に、球弁は弁座から容易に離れることができる。
請求項3の発明では、押圧部材を付勢するためのスプリングがピストンの付勢をも兼ねており、ピストンを第2スライド位置に維持でき、ひいては案内通路の閉じ状態を安定して維持することができる。
【0010】
請求項4の発明では、球弁は通常時には付勢手段により付勢されて弁座に着座し、案内通路をシール性良く閉じており、体腔内の圧縮気体の漏れを防止できる。細長い医療器具を案内通路に挿入する際には、医療器具の先端が案内通路に臨む球弁の球面部分に当たる。球面部分は案内通路の軸に対して傾斜しているので、この挿入力により球弁が案内通路と交差する方向に移動されて弁座から離れる。このようにして案内通路が開いて医療器具の挿入がなされる。この発明では、ピストンを用いないので、構成を簡略化することができるとともに、ピストン操作も不要であるので操作性が向上する。
請求項5の発明では、球弁の球面部分を利用して押圧部材に働くスプリング力を弁座に向かう力に変換でき、押圧部材およびスプリングが球弁の横に配置されていても、球弁の弁座への着座を確実なものとすることができる。
請求項6の発明では、シール性の良好な開閉手段と案内通路の先端開口との間に形成された圧縮気体導入孔から圧縮気体を導入することにより、効率良く圧縮気体を体腔内に供給することができる。
【0011】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図1〜図3を参照して説明する。図1に示すように、一般にトラカールと称される医療用ガイド装置は、通路構成手段10と、開閉手段20とを備えている。
【0012】
上記通路構成手段10は、同軸上に配置された円筒形状の第1筒11と第2筒12とを備えている。第1筒11の基端には短い取付筒13が固定されており、この取付筒13には開口14aを有するゴム製のキャップ14が嵌められている。第1筒11,第2筒12の内部空間は、それぞれ第1通路部分11a,第2通路部分12aとして提供されている。これら通路部分11a,12aにより案内通路15が構成されている。第12筒12の先端は若干径が小さい縮径部12xとなっている。
【0013】
上記開閉手段20は、ケース21を備えている。このケース21は、円筒形状の筒体21a(筒部)と、この筒体21aの両端にねじ結合された端壁21b,21cとを有している。上記筒体21aにおいて径方向に互いに対峙した部位には、上記第1筒11,第2筒12の互いに離間対峙する厚肉の端部が貫通固定されている。その結果、筒体21aは、上記案内通路15の軸と直交している。
【0014】
上記開閉手段20は、さらに、円柱形状のピストン22と、球弁23(弁体)と、付勢手段25とを有している。
上記ピストン22は、若干のクリアランスをもって筒体21aに収容され案内通路21の軸と直交する方向にスライド可能となっている。ピストン22には、スライド方向に互いに離れた断面円形の貫通孔22aと収容凹部22bが形成されている。貫通孔22aは、案内通路15と同径をなし、案内通路15の軸と平行に延びている。また、収容凹部22bは、案内通路15の軸と平行に延び、しかも第2通路部分12aに向かって開口している。
【0015】
図2に示すように、ピストン22の周面には、スライド方向に延びる溝22cが形成されており、この溝22cにはケース21の筒体21aに固定された規制ピン24の先端部が入り込んでいる。これによりピストン22は回動を禁じられ、上記貫通孔22aおよび収容孔22bが案内通路15の軸と平行な状態が維持されている。
【0016】
上記ピストン22の収容凹部22bには、上記球弁23が僅かなクリアランスを介して収容されており、案内通路15の軸と平行な方向に沿って移動可能となっている。第2通路部分12aの球弁23に対峙する端部には、環状の弁座12yが形成されている。
【0017】
図1に示すように、上記ピストン22の一端側には、ピストン22の軸方向に延びる操作部22xが形成されており、この操作部22xは、ケース21の端壁21bを貫通して外部に突出している。
【0018】
上記付勢部材25は、押圧部材26とコイルスプリング27とを備えている。押圧部材26は次のようにしてピストン22に支持されている。すなわち、ピストン22には、その軸方向に延びて収容凹部22bの奥部に連なるガイド孔22dが形成されており、このガイド孔22dに押圧部材26がスライド可能に収容されている。押圧部材26の先端部は半球面を有していて、上記収容凹部22bに臨み、上記球弁23の球面部分(弁座12yとは反対側を向く球面部分)に常に当接している。コイルスプリング27は、圧縮状態で押圧部材26と端壁21cとの間に介在されており、この押圧部材26を球弁23に向かって付勢している。
【0019】
図2に示すように、第2筒12の弁座12y近傍には、継手管30が接続されている。この継手管30には圧縮空気または圧縮炭酸ガス等の圧縮気体源35が図示しないチューブを連なっている。チューブの中途部には弁(図示しない)が設けられている。継手管30内の通路は圧縮気体導入孔30aとなっている。
【0020】
次に、上記構成の医療用ガイド装置の作用を説明する。ピストン22の操作部22xをコイルスプリング27に抗して押すことにより、ピストン22を図1において左方向にスライドさせると、ピストン22が左側の端壁21cに当たる。このピストン22の位置を以下第1スライド位置と称す。ピストン22の操作部22xへの押圧力を解除すると、ピストン22は押圧部材26を介してコイルスプリング27の力を受けるため図1において右方向に移動され、右側の端壁21bに当たる。このピストン22の位置を以下第2スライド位置と称す。
【0021】
上記のようにピストン22を第1スライド位置にすると、貫通孔22aが案内通路15の軸と一致し、案内通路15が開く。この状態で図3に示すトラカール芯40を、キャップ14の開口14aから案内通路15に挿入する。トラカール芯40は、先端部が尖っており、この先端部の近くに環状の段41を有している。上記挿入状態において、段41が第2筒12の先端の縮径部12xに係止されるため、尖った先端部が第2筒12の先端から突出した状態で、トラカール芯40の位置決めがなされる。このようにトラカール芯40を挿入した医療用ガイド装置を患者の腹壁に突き刺して穴を明け、第2筒12の先端部を腹腔内に臨ませる。
【0022】
次に、トラカール芯40を案内通路15から抜き取る。すると、ピストン22はコイルスプリング27の力で第2スライド位置に戻る。この第2スライド位置では、収容凹部22bが第2通路部分12aに臨んでおり、第1通路部分11aは、収容部22bを囲むピストン22の周壁により第2通路部分12aから遮断される。しかも、球弁23は押圧部材26を介してコイルスプリング27の力を受け、弁座12yに着座するので、案内通路15は十分なシール性をもって閉じられる。なお、押圧部材26が当接する球弁23の球面部分は案内通路15の軸に対して傾斜しているので、コイルスプリング27の力から案内通路15の軸方向の分力を得ることができ、上記球弁23を十分な力で弁座12yに着座させることができる。
【0023】
上記のような案内通路15の閉じ状態で、圧縮気体源35から案内通路15の第2通路部分12aを介して腹腔内に圧縮気体を供給し、腹腔を膨らませる。次に、細長い医療器具、例えば内視鏡の長い挿入部を案内通路15に挿入し、その先端部を腹腔内に臨ませ、内臓等の観察を行う。また、内視鏡に細長い鉗子を通して内臓の手術を行う。この場合、内視鏡の挿入部の周面にキャップ14の開口14aの周縁が弾性をもって接するので、圧縮気体の漏れはほぼ防ぐことができる。なお、内視鏡の代わりに細長い鉗子を案内通路に直接挿入することもある。この場合には腹壁に突き刺した他の医療用ガイド装置に内視鏡の挿入部を挿入して手術箇所を観察する。
【0024】
上述したように、球弁23が弁座12yにコイルスプリング27の力で着座してシール性が高いので、腹腔への圧縮気体の供給を効率良く行うことができ、また、内視鏡や鉗子を案内通路15に挿入して観察や手術が始まるまでの期間において、案内通路15から圧縮気体が漏れるのを防ぐことができ、腹腔が膨れた状態を良好に維持することができる。
【0025】
図4は本発明の他の実施例を示す。この実施例において、通路構成手段10については、前述の実施例と同様であるので、図中同番号を付してその説明を省略する。開閉手段20Aは、ケース50と、球弁60と、付勢手段70を備えている。
【0026】
上記ケース50は、円筒形状の筒体51(筒部)と、この筒体51の左端に取り付けられた端壁52と、筒体51の右端に取り付けられた端壁53と、筒体51の右端部に収容された円柱形状の支持ブロック54とを備えている。筒体51と端壁52と支持ブロック54に囲われて収容凹部55が形成されている。
【0027】
筒体51の左端部に通路構成手段10の第1筒11と第2筒体12の互いに離間対峙する端部が貫通固定されている。端壁52には第2筒12の端部に対応した位置にボス部52aが形成されており、このボス部52aには、第2筒12の第2通路部分12aに連なり案内通路15の一部となる貫通孔52xが形成されている。貫通孔52xの収容空間55に臨む端部には環状の弁座52yが形成されている。この弁座52yは、案内通路15の軸に対して傾斜している。
【0028】
筒体51の収容空間55には、筒体51の内周面と僅かなクリアランスをもって上記球弁60が収容されている。この球弁60は、筒体51の軸方向すなわち案内通路15の軸と直交する方向に移動可能である。
【0029】
上記付勢手段70は、ピン形状の押圧部材71と、この押圧部材71を付勢するコイルスプリング72とを有している。押圧部材71は、次のようにして支持ブロック54に支持されている。すなわち、支持ブロック54にはその中心軸から離れた位置に、この中心軸と平行に延びるガイド孔54aが形成されている。このガイド孔54aに上記押圧部材71がスライド可能に収容されている。押圧部材71の先端部は半球面を有し常に球弁60の球面部分(弁座52yとは反対側を向くとともに案内通路15とは反対側を向く球面部分)に当たっている。
【0030】
上記支持ブロック54の周面には、その軸方向に延びる溝54bが形成されており、この溝54bには、筒体51に固定された規制ピン65の先端部が収容されている。これにより、支持ブロック54は、筒体51に収容される際に周方向に位置決めがなされ、上記押圧部材71と球弁60の接触位置を図示の所望位置にすることができる。
【0031】
上記端壁52には圧縮気体源35に連なる継手管80が接続されている。この継手管80内の通路は圧縮気体導入孔80aとして提供され、貫通孔52xを経て第2通路部分12aに連なっている。
【0032】
上記図4の実施例では、通常時には球弁60が押圧部材71を介してコイルスプリング72の力を受けて弁座52yに着座することにより、案内通路15を高いシール性をもって遮断している。なお、押圧部材71が当接する球弁60の球面部分は弁座52yと反対側を向いているので、コイルスプリング72の力を上記球弁60の弁座52yに向かう付勢力として利用することができる。
【0033】
上記トラカール芯を挿入すると、その先端が球弁60の球面部分A(第1通路部分11aを向く球面部分)に当たる。この球面部分Aは案内通路15の軸に対して傾斜しているので、球弁60は案内通路15の軸と直交する方向の力を受けて右方向に移動し、弁座52yから離れて案内通路15を開く。これにより、トラカール芯は案内通路15に挿入されて先端部が第2筒12の先端から突出する。細長い医療器具、すなわち内視鏡の挿入部や細長い鉗子を案内通路15に挿入する時も、トラカール芯の場合と同様にして球弁60を移動させて案内通路15を開くことができる。
【0034】
本発明は上記実施例に制約されず種々の態様が可能である。例えば、圧縮気体導入孔を通路構成手段に設けなくてもよい。この場合、腹壁に突き刺した他のトラカールから圧縮気体が腹腔内に供給される。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明では、案内通路の閉じ状態において、弁体が付勢手段に付勢されて弁座に着座するので、十分なシール性が得られ、体腔内に供給された圧縮気体の漏れを防ぐことができる。
請求項2の発明では、球弁を用いることにより球弁の弁座への着座を確実なものとすることができ、しかも、押圧部材およびスプリングを球弁の横に配置することができるので、ピストンの径を大きくしなくて済む。また、球弁は弁座から容易に離れることができる。
請求項3の発明では、押圧部材を付勢するためのスプリングがピストンの付勢をも兼ねており、案内通路の閉じ状態を安定して維持することができる。
請求項4の発明では、球弁が付勢手段により付勢されて弁座に着座することにより、案内通路をシール性良く閉じることができ、体腔内の圧縮気体の漏れを防止できる。また、細長い医療器具を案内通路に挿入するだけで案内通路を開くことができるので、構成が簡略になるとともに、操作性が向上する。
請求項5の発明では、押圧部材およびスプリングが球弁の横に配置されていても、球弁の弁座への着座を確実なものとすることができる。
請求項6の発明では、効率良く圧縮気体を体腔内に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる医療用ガイド装置の縦断面図である。
【図2】図1においてIIーII線に沿う縦断面図である。
【図3】上記ガイド装置とともに用いられるトラカール芯の縦断面図である。
【図4】他の態様を示す医療用ガイド装置の縦断面図である。
【符号の説明】
10 … 通路構成手段
11 … 第1筒
11a … 第1通路部分
12 … 第2筒
12a … 第2通路部分
12y … 弁座
15 … 案内通路
20,20A … 開閉手段
21 … ケース
21a … 筒体(筒部)
21b,21c … 端壁
22 … ピストン
22a … 貫通孔
22b … 収容凹部
22x … 操作部
23 … 球弁(弁体)
25 … 付勢手段
26 … 押圧部材
27 … コイルスプリング
30a … 圧縮気体導入孔
50 … ケース
52y … 弁座
60 … 球弁
70 … 付勢手段
71 … 押圧部材
72 … コイルスプリング
80a … 圧縮気体導入孔
Claims (6)
- 真直な案内通路を有する管形状の通路構成手段と、この通路構成手段に設けられて案内通路を開閉する開閉手段とを備え、通路構成手段の先端部が患者の体壁を貫通して体腔内に臨むとともに上記開閉手段が上記案内通路を開いた状態で、この案内通路を介して細長い医療器具を体腔内へ案内する医療用ガイド装置において、
上記開閉手段は、ピストンと、弁体と、付勢手段とを備え、
上記ピストンは、上記通路構成手段に支持されて上記案内通路の軸と直交する方向にスライド可能とされ、
上記ピストンにはスライド方向に互いに離れる貫通孔と収容凹部が形成され、この貫通孔は案内通路の軸とほぼ平行に延び、収容凹部は案内通路の先端側に向かって開口し、上記案内通路にはその先端開口に連なるとともに収容凹部の開口に臨む環状の弁座が形成され、さらに収容凹部には上記弁体が収容され、
上記ピストンの第1スライド位置では、貫通孔が上記案内通路の軸線上に位置して案内通路を開き、
上記ピストンの第2スライド位置では、収容凹部を囲むピストン周壁により案内通路を閉じるとともに、上記弁体が上記付勢手段により弁座に着座すること
を特徴とする医療用ガイド装置。 - 上記弁体が球弁として提供され、この球弁は上記収容凹部において案内通路の軸方向にのみ移動可能に収容されており、上記付勢手段は、上記ピストンに支持されてピストンのスライド方向とほぼ平行にスライド可能とされた押圧部材と、この押圧部材を球弁に向かって付勢するスプリングとを有し、この押圧部材が球弁において弁座と反対側を向く球面部分に当接することを特徴とする請求項1に記載の医療用ガイド装置。
- 上記開閉手段は、さらに上記ピストンをスライド可能に案内するケースを備え、このケースは、案内通路の軸と直交する筒部とその両端に形成された端壁とを有し、上記通路構成手段は、上記案内通路となる内部空間をそれぞれ有するとともに互いに同軸をなす第1,第2筒を備え、これら第1,第2筒の互いに離れて対峙する一端は、上記ケースの筒部において直径方向に対峙する部位に固定されており、上記ピストンの一端側には、上記ケースにおいて上記貫通孔に近い一方の端壁を貫通して外部に突出する操作部が形成されており、上記スプリングは、上記収容凹部に近い他方の端壁と上記ピストンとの間に配置されていて、上記押圧部材を介して上記ピストンを上記ケースの一方の端壁に向かって付勢することを特徴とする請求項2に記載の医療用ガイド装置。
- 真直な案内通路を有する管形状の通路構成手段と、この通路構成手段に設けられて案内通路を開閉する開閉手段とを備え、通路構成手段の先端部が患者の体壁を貫通して体腔内に臨むとともに上記開閉手段が上記案内通路を開いた状態で、この案内通路を介して細長い医療器具を体腔内へ案内する医療用ガイド装置において、
上記開閉手段は、案内通路と交差する方向に移動可能に配置された球弁と、この球弁を案内通路に向かって付勢する付勢手段とを備え、
上記案内通路には、案内通路の先端開口と連なるとともに上記球弁に対峙する環状の弁座が、案内通路の軸に対して傾斜して形成され、上記球弁は付勢手段により付勢されて弁座に着座した状態で、案内通路に一部だけを臨ませていること
を特徴とする医療用ガイド装置。 - 上記開閉手段は、さらに上記球弁を上記案内通路の軸と直交する方向に移動可能に収容するケースを備え、上記案内通路となる内部空間をそれぞれ有するとともに互いに同軸をなす第1,第2筒とを備え、これら第1,第2筒の互いに離れて対峙する一端は、上記ケースの筒部において直径方向に対峙する部位に固定されており、上記付勢手段は、上記ケースに支持されて案内通路の軸と直交する方向にスライド可能とされた押圧部材と、この押圧部材を球弁に向かって付勢するスプリングとを有し、この押圧部材が、球弁において弁座と反対側を向きかつ案内通路と反対側を向く球面部分に当接することを特徴とする請求項4に記載の医療用ガイド装置。
- 上記通路構成手段には、上記開閉手段と案内通路の先端との間において、案内通路に連なる圧縮気体導入孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医療用ガイド装置。
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