JP3617804B2 - Pcm信号符号化装置及び復号化装置 - Google Patents

Pcm信号符号化装置及び復号化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PCM信号符号化装置及び復号化装置に係るものであり、特に、ハフマン符号化及び階層化符号化方式を採用したエントロピー符号化方式に基づく符号化及び復号化の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ある情報源を可逆的にデータ圧縮する場合、その方式は2つに大別される。一つは、情報源を平均的に短いコードで表現できるよう、確率統計に基づき別のコードへモデル化するエントロピー符号化(可変長符号化)であり、もう一つは情報源の持つサンプル間の相関性を利用した予測差分符号化である。
【0003】
ここで、予測差分符号化が近接するサンプル間の相関性を必要とするのに対し、エントロピー符号化は出現確率に偏りさえあれば情報源のデータ圧縮が期待できる。エントロピー符号化は情報源がノイズ成分でない限り、例えば差分符号化を施した信号に対しても効果があり、実際に複合的な情報圧縮方式では、最後の工程にエントロピー符号化を用いている例もある。
【0004】
一般に、PCM信号をエントロピー符号化、特に、静的ハフマン符号化のような静的符号化で情報圧縮する場合、サンプルの出現確率から辞書を作成し、その辞書を用いてもう一度コードを生成することによって符号化を行っている。
【0005】
符号化信号を送信する伝送路、又は記録する媒体に制限がある場合は、元信号の重要な部分を抽出し符号化する手法が採られている。元信号がマルチビットPCM信号の場合では、ダウンサンプリングして帯域制限する方法や、隣接する信号を合成し分解能を下げる方法や、下位ビットを省略し量子化精度を荒くする方法によってデータ量を削減し伝送又は記録する方法がある。
【0006】
ダウンサンプリングによって帯域制限する方法は、帯域外の高調波成分をカットする工程がサンプルを間引く前か後かのどちらかに必要となる。この工程には通常ローパスフィルターが用いられ、高調波成分が失われることによってフィルター通過後のサンプル値は元信号と比較し変化を伴う。
【0007】
隣接する信号を合成する方法は、例えば符号化対象となる信号が周波数領域信号の場合、隣り合う周波数帯を一つにまとめることによって情報量を削減するわけだが、この結果、周波数分解能の低下と共に、合成前の元信号(周波数領域信号)の復元はできなくなる。
【0008】
それに対し、下位ビットを省略、言い換えれば重要な上位ビット長を指定し符号化する方法は、単純に上位と下位のビットグループに分割し符号化することによってデータ量を削減している。この際、伝送路に余裕が生じたり、伝送過程に時間差を与えたりした場合や、媒体の記録容量が増加又は空きが生じた場合、後に下位ビットを符号化した符号化信号を取得することによって、上位ビットと下位ビットを対応するサンプル同士で結合することで完全に元信号を復元することが可能である。
【0009】
上記のような方法は階層符号化方式と呼ばれる。1又は複数の最上位ビットを含む上位ビット列で第1階層(グループ)を構成し、第2、第3と階層が深くなるに従い順に下位ビット列を符号化する。この階層符号化方式では第1階層のみで復号が可能であるが、符号化信号が通過又は保存される伝送路や記録媒体の状態が良好な場合には、更に伝送又は記録された下位の階層を復号し結合することにより、精細な信号値を得ることができる。
【0010】
そして、上記の階層符号化方式では、従来から、それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い上位グループとそれ以外の下位グループとに分けてグループ化することによりデータ列の再構築を行い、この再構築したPCMデータ列の上位グループのみにデータ保護のための補助情報を付加し、その後このPCMデータ列を上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化することが行われている(例えば、本出願人により提示された特願平11−325951号を参照)。
【0011】
すなわち、図11(a)は階層符号化方式の符号化装置に入力される当初のPCMデータ列の構成を示す説明図である。この図に示すように、PCMデータ列は総数がmのサンプル1〜mにより構成されており、各サンプルはn個のビットにより構成されている。つまり、各サンプルの量子化ビット数はnとなっている。このように、nビットの各サンプルの連なりにより構成されるPCMデータ列は、図11(b)に示すように、m個のサンプル1〜mにより構成される各ビット列の連なりにより形成されるように並び替えられる。そして、各ビット桁数を最小単位としてグループ化される。例えば、ビットn列が第1グループ、ビットn−1列が第2グループ、…、ビット2列が第n−1グループ、ビット1列が第nグループのように、各ビット桁数毎にグループ化される。あるいはまた、ビットn列及びビットn−1列が第1グループ、ビットn−2列〜ビットn−4列が第2グループ、…、のように複数のビット列を1グループとしてグループ化されることもある。
【0012】
図12は、上記のようにビット桁数毎にデータの並び替えが行われたPCMデータ列の多重化後の構成図である。この図に示すように、ヘッダーの後に最上位グループ(第1グループ)のn列符号化データが配置され、以下、第2グループ以降の各グループのデータが配置されている。そして、第1グループから数えて複数番目のグループまでが上位グループとして設定されており、この上位グループには「ブック番号」及び「符号化データ」の他に「誤り検出・訂正符号」がデータ保護のための補助情報として付加されている。符号化の際にこのようなデータ保護のための補助情報を付加することにより、ビットエラー等の異常が発生した場合にも、少なくとも上位グループのみのデータを用いて元信号の復元がある程度可能となっている。
【0013】
図13は、上記のようにビット桁数毎にデータの並び替えが行われ、且つ上位グループにはデータ保護のための補助情報が付加されたデータ列をフレーム毎に区切って形成した場合のPCMデータ列を示す構成図である。このように、PCMデータ列を1フレーム毎に区切ることにより、並び替え用メモリの容量は1フレームを構成する所定サンプル数により決まる容量で足りることになり、必要なメモリ容量を低減することができるようになっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、階層符号化方式ではPCMデータ列の下位グループ側は省略されることが多く、上位グループのみが符号化され、これが復号されることが多くなる。しかし、このような復号に基づく上位グループのみの出力信号は、図14に示すように量子化雑音(量子化誤差、量子化歪みともいう)を含むものとなっている。この場合、量子化レベルが実信号に対して充分に高いものであれば量子化雑音も小さなものとなり影響も小さなものとなるが、時として無視できない大きさとなることがある。
【0015】
図15は出力信号における量子化誤差の現れ方すなわち量子化雑音波形を示したものであり、(a)は振幅が大きな場合、(b)は振幅が小さな場合を示している。これらの図から明らかなように、振幅が小さな場合の方が量子化誤差が顕著に現れている。
【0016】
そして、図16は出力信号の周波数スペクトルを示したものであり、(a)は振幅が大きな場合、(b)は振幅が小さな場合を示している。この図16(b)に示されているように、量子化歪みが高次高調波成分として現れている。したがって、この高次高調波成分のために、例えば画像装置の場合には大幅な画像劣化となり、またオーディオ機器の場合には大きな雑音となるなど、深刻な影響を及ぼす結果となっていた。このような影響を低減する方策の一つとして、いわゆるディザを付加する方法があるが、この方法は更にノイズフロアを持ち上げてしまい、SNの悪化をもたらすという欠点を有している。
【0017】
上記のように、従来の階層符号化方式は上位グループのデータについては必ず符号化及び復号化が行われるようにして必要最低限の出力信号が得られるようにしているが、それでも量子化誤差に起因する影響が出力信号に大きく表れてしまい、再生信号の品質を大きく低下させる要因となっている。
【0018】
したがって、階層符号化方式では上記の量子化誤差を小さくするために、上位グループのみでなく、極力下位グループについても符号化及び復号化が行われることが望ましい。しかし、そのためには伝送路容量やメモリ容量等を充分に大きくしなければならず、コストアップを招く結果となる。
【0019】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より効率的なデータ圧縮を行うことにより、コストアップを招くことなく量子化誤差を小さくすることができ、もって再生信号の品質を向上させることが可能なPCM信号符号化装置及び復号化装置を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、同一データの連続の有無を判別し、同一データの連続がない場合は可変長符号化を行い、同一データの連続がある場合はその同一連続データに代えて予め設定してある連続データ用コードブック識別番号を、符号量に余裕を生じさせその余裕分をより下位のグループに費やすための番号として、割り当てる動作を、前記可変長符号化が所定回数に達するまで、前記上位グループから下位グループに向けて繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、ことを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、可変長符号化を行って同一コードの連続の有無を判別し、同一コードの連続がない場合には可変長符号化が所定回数に達したか否かを判別し、同一コードの連続がある場合にはその同一連続コードに代えて予め設定してある連続コード用コード番号を、符号量に余裕を生じさせその余裕分をより下位のグループに費やすための番号として、割り当てる動作を、前記同一コードの連続のない場合の可変長符号化が前記所定回数に達するまで、前記上位グループから下位グループに向けて繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、ことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、同一データの連続の有無を判別し、同一データの連続がない場合は可変長符号化を行い、同一データの連続がある場合はその同一連続データに代えて予め設定してある連続データ用コードブック識別番号を、符号化の際の圧縮率を向上させるための番号として、割り当てる動作を、予め最終グループとして設定されているグループまで繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、ことを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、可変長符号化を行って、同一コードの連続の有無を判別し、同一コードの連続がある場合にはその同一連続コードに代えて予め設定してある連続コード用コード番号を、符号化の際の圧縮率を向上させるための番号として、割り当てる動作を、予め最終グループとして設定されているグループまで繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、ことを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1又は3記載のPCM信号符号化装置により符号化されたPCMデータ列を入力して前記連続データ用コードブック識別番号の有無を前記グループ毎に検出し、この番号を検出しないグループからは可変長コードを抽出して可変長復号化を行い、この番号を検出したグループに対してはその番号の代わりに予め設定してあるコードを割り当てるようにし、しかも、グループ毎の可変長復号化を上位グループから下位グループに向けて所定回数に達するまで行う可変長復号化部を備えた、ことを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項2又は4記載のPCM信号符号化装置により符号化されたPCMデータ列を入力してグループ毎に可変長コードを抽出すると共に前記連続コード用コード番号の有無を検出し、この番号を検出しないグループに対しては可変長復号化を行い、この番号を検出したグループに対してはその番号の代わりに予め設定してあるコードを割り当てるようにし、しかも、グループ毎の可変長復号化を上位グループから下位グループに向けて所定回数に達するまで行う可変長復号化部を備えた、ことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき説明する。但し、本発明の実施形態を具体的に説明する前に、本発明の実施形態で採用している基本的技術につき先に説明しておく。可変長符号化には、大きく分けて動的な方式と静的な方式とがあるが、本実施形態では理解を容易にするため静的符号化方式を用いることを前提として説明することとする。すなわち、本実施形態では、符号化器及び復号化器において予め作成された共通の辞書を複数個持ち、その中で最適なコードブックを選択し、その情報を伝送することによって符号化及び復号化を行う。このような符号化方法は信号元を前もってモデル化することが必要であるが、辞書を最初から用意することにより、コードブックを伝送するためのオーバーヘッドを省くことができ、また、ブック長が1つの場合より短いため個々のコード長を短くできることから圧縮率を改善することができ、更にコード探索のスピード化を期待することができる。
【0027】
本実施形態では、最初に、元信号を所定のサンプル数によって区切り、新たなフレーム構造を持つ信号群に形成し直す。符号化処理はこのフレーム内で完結させる。このような方法はフレーム毎に補助情報を必要とするため若干の符号化情報量が増加するものの、可変長符号化方式には避けられないエラー伝播を単位長内で終結させることができると共に、刻々と変化する信号元においても最適なコードブックの選択により効果的な符号化を提供することができる。
【0028】
以降の符号化処理では、フレーム内でマルチビットである信号をビット単位に分解し、ビット桁数毎に並び替え(グループ化)を行い、次に、この新規に生成されたビット列グループに対し可変長符号化を施す。これを全てのビット列グループに行った後、コードブック選択情報とビット列終端符号あるいはグループ内サンプル数情報や、必要に応じ元信号の量子化ビット長、サンプリング周波数などを付加して多重化することによりビットストリームを生成するようにしている。
【0029】
次に、階層化符号化方式における高解像度化方法につき説明する。上位ビットと下位ビットで分けられた信号源を対象に階層符号化を施された第一階層の符号化列は、通常、ある決められた量子化精度を持っている。一般的に階層符号化の第一階層に与えられたこの量子化精度は、必要最低限の品質を維持したレベルであり、復号時の信号は図14に示したような量子化歪みを含んでおり、この量子化誤差は時として高次高調波成分が強調され、非常に大きな問題となることがある。この高次高調波成分を防止するために信号群にランダムな誤差成分(ディザ)を加える方法は有効な一つの手段である。しかし、ディザが付加された場合、その量子化最下位ビットレベルより高いノイズフロアが現れ、SNの悪化に伴い再生信号がノイズ成分によって劣化してしまうことになる。
【0030】
人間の持つ感覚の特性上、信号の持つ性質を主観的に捉える時は、振幅が大きい信号群ほど粗く、振幅が小さい信号群ほど緻密に感じとっている。例えば、このような特性を利用して信号を作成する方式に、浮動小数点処理を用いた符号化がある。浮動小数点処理は指数部によって信号値の大きさを示し、仮数部によって有効桁が与えられる。信号元が固定小数点方式であるPCM信号の場合、浮動小数点化するにはサンプル単位又は複数のサンプルを含むブロック単位であっても、その指数値を示す補助的な情報が必要である。その指数値はサンプルの振幅の大きさで決まるため指数値を得るにはその値を検出しなければならない。
【0031】
本実施形態に係るPCM信号符号化装置では、ビット列毎にブロック化し、これを可変長符号化することによりデータ圧縮を行っている。このとき、上位ビット列の信号値を判断材料にして、おおよその信号群の大きさを検出することができる。例えば、正の整数である信号群を対象とすると、信号群の振幅が小さければ上位ビット列に「0」符号が連続して出現することになる。この連続する「0」符号を後述する方法で一意的にあるコードに変換することによって、所定の値に従い細分化されるビット列より長いビット長を、短いコードに置き換えられることから圧縮率を著しく改善することができる。また、このコードが選択された頻度からフレーム内信号群の大きさを把握できる。
【0032】
ここで余裕が生じた符号量を下位ビット列に費やすことで平均的な符号化転送レートを保ちつつ復号化後信号品質を向上させることが可能である。上位ビットの圧縮率が高く、伝送可能な又は記録可能な情報量に余裕があると判断したとき、指定される量子化精度より解像度を高めるため、上記の「0」が連続するビット列とそれより1ビット下位のビット列を同グループに再編し符号化する。すなわち、「0」が連続するビット列が存在すると、グループ内で複数のビット桁数を持つことが許されるので、第1符号化階層が本来持つ量子化精度以上の下位ビット列を付加して符号化することができる
上位ビット列に「0」ビットの出現する割合が高い微弱な信号元ほど、自然に下位ビットが取り込まれ、あたかも浮動小数点処理を行っているような作用が働く。更に、フレーム毎の符号化レートを均一化することができ、伝送路の有効活用や再生装置の安定動作にも寄与し、しかも解像度を増加させることによる負担は殆ど生じることがない。以下、このような基本的技術を用いた各実施形態につき順次説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係るPCM信号符号化装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、PCM信号符号化装置は、入力FIFO1、フレーム構成部2、PCMデータ列並び替え制御部3、ビット列並び替え用メモリ4、可変長符号用コードブック6を有する可変長符号化部5、符号化信号用メモリ7、及び多重化部8により構成されている。
【0034】
入力FIFO1は、入力信号すなわちそれぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を入力し、これをファーストイン・ファーストアウト方式でフレーム構成部2に出力するものである。フレーム構成部2は、入力FIFO1から入力したPCMデータ列を所定のサンプル数毎に区切ってフレームを形成し、このPCMデータ列をフレーム毎にPCMデータ列並び替え制御部3に出力するものである。
【0035】
PCMデータ列並び替え制御部3は、フレーム構成部2から1フレーム毎のPCMデータ列を入力すると、このPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い上位グループとそれ以外の下位グループとに分けてグループ化することによりPCMデータ列の再構築を行うようになっている。そして、PCMデータ列並び替え制御部3は、この再構築したPCMデータ列をビット列並び替え用メモリ4に格納する。この場合、PCMデータ列並び替え制御部3はPCMデータ列の並び替えを1フレーム毎に行うので、ビット列並び替え用メモリ4のメモリ容量については1フレーム分のみを確保しておけばよい。
【0036】
可変長符号化部5は、ビット列並び替え用メモリ4に格納されている1フレーム分のPCMデータ列を取り出してグループ毎に可変長符号化を行うものである。この場合のグループ毎の可変長符号化は、上位グループから優先的に行なわれ、以下順次下位グループへ移行して所定回数だけ行われるようになっている。そして、可変長符号化部5は、この可変長符号化を行うに際し、同一データの連続の有無をグループ毎に判別し、同一データの連続がない場合に上記の可変長符号化を行い、同一データの連続が有る場合には可変長符号用コードブック6を識別するための番号をその同一連続データに代えてそのグループに割り当てるようにしている。ここで、「同一データの連続が有る場合」とは、そのグループの全てのデータが同一データである場合のことを指している。
【0037】
可変長符号化部5は、このようにしてグループ毎に可変長符号化又はコードブック識別番号の割り当てを行なって1フレームについてのビットストリームを生成し、これを符号化信号用メモリ7に格納する。そして、多重化部8は各フレームのビットストリームをつなぎ合わせて多重化を行い、これを出力信号として出力する。
【0038】
次に、上記のように構成される本実施形態に係るPCM信号符号化装置の動作をフローチャートに基づき説明する。ここで、本実施形態は第1乃至第4の実施形態に分かれており、図2乃至図5のフローチャートは各実施形態に対応している。なお、図1のブロック構成図は、可変長符号化部5の機能がそれぞれ異なるけれども、その他の構成要素については各実施形態において共通のものである。また、図2及び図3は「浮動小数点処理方式」による可変長符号化につき説明するものであり、図4及び図5は「浮動小数点処理方式」によらない可変長符号化につき説明するものである。
【0039】
図2は第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。この図において、まず、入力FIFO1が入力信号を取り込み(ステップ21)、フレーム構成部2がPCMデータ列を所定サンプル数毎に区切ってフレームを形成する(ステップ22)。そして、PCMデータ列並び替え制御部3が、ビット桁数別のグループ化を行う(ステップ23)。すなわち、まず、最上位の第1グループの構成を行う。なお、「浮動小数点処理方式」の場合、1ビット列が必ずしも1グループとなるわけではなく、複数ビット列が1グループを構成することもある。例えば、ビット列n、ビット列n−1が最上位の第1グループを構成し、ビット列n−2、ビット列n−3、ビット列n−4が第2グループを構成するなど、以下同様にして他のグループが構成され、最後にビット列2、ビット列1が最下位の第jグループを構成することになる。
【0040】
次いで、可変長符号化部5は、第1グループに対して同一データの連続が有るか否かにつき判別を行う(ステップ24)。この場合、第1グループに同一データの連続がなかったものとすると、可変長符号化部5は通常の可変長符号化を行い(ステップ25)、その後に可変長符号化がk(k≦j)回終了したか否かを判別する(ステップ26)。この場合は、未だk回終了しているわけではないので、ステップ23に戻ってPCMデータ列並び替え制御部3が次の第2グループの構成を行う。そして、可変長符号化部5はこの第2グループに対して同一データの連続が有るか否かにつき判別を行う(ステップ24)。
【0041】
今度は、同一データの連続があったとすると、可変長符号化部5は可変長符号用コードブック6を識別するための識別番号をその同一連続データに割り当てるようにする(ステップ27)。次いで、PCMデータ列並び替え制御部3は次の第3グループのグループ化を行い(ステップ23)、以下同様にして同一データの連続の有無の判別(ステップ24)の後、可変長符号化(ステップ25)又は連続データ用コードブック識別番号(可変長符号用コードブック6を識別するための識別番号)の割り当てを行う(ステップ27)。そして、ステップ26において可変長符号化がk回終了したことを判別すると、それまで可変長符号化及び識別番号の割り当てを行ったグループをつなぎ合わせてビットストリームを生成し(ステップ28)、これを符号化信号用メモリ7に出力する。多重化部8は、符号化信号用メモリ7に格納されている各ビットストリームをつなぎ合わせ、これを出力信号として出力する。
【0042】
ところで、上記のステップ27の識別番号の割り当ては可変長符号化の回数には含まれないため、ステップ27の識別番号の割り当て回数が多ければ多いほど、より下位のグループに対しても可変長符号化を行うことができ、その分、解像度を高めることができる。例えば、上記のグループ数jをj=10とし、可変長符号化の回数kをk=5とした場合に、ステップ27の実行回数がゼロであれば可変長符号化が行われるグループの範囲は第1グループから第5グループまでであるが、ステップ27が3回実行されたとすれば可変長符号化が行われるグループの範囲は第1グループから第8グループまでとなる。つまり、同一データが「0」であるものとすると、既述したように、「0」ビットの出現する微弱な信号元ほど自然に下位ビットが取り込まれ、あたかも浮動小数点処理を行っているかのような処理となる。したがって、この第1の実施形態では、符号化の際の圧縮率の向上と共に、再生時の高調波の影響の除去の双方の効果を得ることができる。
【0043】
図3は第2の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。図3が図2と異なっている主な点は、ビット桁数別グループ化(ステップ33)の後直ちに可変長符号化(ステップ34)を行うようにしている点である。可変長符号化部5は、ステップ34の可変長符号化の後、同一コードの連続が有るか否かを判別し(ステップ34)、同一コードの連続が有れば次に可変長符号化がk回行われたか否かを判別する(ステップ36)。
【0044】
この場合は、未だk回終了しているわけではないので、ステップ33に戻ってPCMデータ列並び替え制御部3が次の第2グループのグループ化を行う。そして、可変長符号化部5はこの第2グループに対して可変長符号化を行った後(ステップ34)、同一コードの連続が有るか否かにつき判別を行う(ステップ35)。今度は、同一コードの連続があったとすると、可変長符号化部5は連続コード用コード番号をその同一連続データに割り当てるようにする(ステップ37)。次いで、PCMデータ列並び替え制御部3は、次の第3グループのグループ化及び可変長符号化を行い(ステップ33,34)、以下同様にして同一コードの連続の有無の判別(ステップ35)の後、可変長符号化がk回行われたか否かの判別(ステップ36)又は連続コード用コード番号の割り当てを行う(ステップ37)。そして、ステップ36において可変長符号化がk回終了したことを判別すると、それまで可変長符号化及び連続コード用コード番号の割り当てを行ったグループをつなぎ合わせてビットストリームを生成し(ステップ38)、これを符号化信号用メモリ7に出力する。多重化部8は、符号化信号用メモリ7に格納されている各ビットストリームをつなぎ合わせて、これを出力信号として出力する。
【0045】
この第2の実施形態においても、ステップ37のコード番号の割り当ては可変長符号化の回数には含まれないため、ステップ37の識別番号の割り当て回数が多ければ多いほど、より下位のグループに対しても可変長符号化を行うことができ、その分解像度を高めることができる。つまり、第1の実施形態の場合と同様、あたかも浮動小数点処理を行っているかのような処理となり、符号化の際の圧縮率の向上と共に、再生時の高調波の影響の除去の双方の効果を得ることができる。
【0046】
図4は、第3の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。この第3の実施形態は浮動小数点処理方式によるものではないため、1ビット列が1グループに対応している。したがって、PCMデータ列が、ビット列n、ビット列n−1、…ビット列2、ビット列1のn個のビット列により形成されている場合は、そのグループ数もnとなる。
【0047】
ステップ41〜43は、図2におけるステップ21〜23と同様であるため、ステップ44以降につき説明する。可変長符号化部5は、まず、最上位の第1グループ(ビット列nのグループ)に対して同一データの連続が有るか否かにつき判別を行う(ステップ44)。この場合、第1グループに同一データの連続がなかったものとすると、可変長符号化部5は通常の可変長符号化を行い(ステップ45)、その後に最終グループ(例えば、第5グループを最終グループとして設定する)まで処理が行われたか否かを判別する(ステップ46)。この場合は、未だ最終グループまで終了しているわけではないので、ステップ43に戻ってPCMデータ列並び替え制御部3が次の第2グループのグループ化を行う。そして、可変長符号化部5はこの第2グループに対して同一データの連続が有るか否かにつき判別を行う(ステップ44)。
【0048】
今度は、同一データの連続があったとすると、可変長符号化部5は可変長符号用コードブック6を識別するための識別番号をその同一連続データに割り当て(ステップ47)、その後に最終グループまでの処理が行われたか否かにつき判別する(ステップ46)。次いで、PCMデータ列並び替え制御部3は次の第3グループのグループ化を行い(ステップ43)、以下同様にして同一データの連続の有無の判別(ステップ44)の後、可変長符号化(ステップ45)又は連続データ用コードブック識別番号(可変長符号用コードブック6を識別するための識別番号)の割り当てを行う(ステップ47)。そして、ステップ46において最終グループである第5グループまでの処理が終了したことを判別すると、それまで可変長符号化及び識別番号の割り当てを行ったグループをつなぎ合わせてビットストリームを生成し(ステップ48)、これを符号化信号用メモリ7に出力する。多重化部8は、符号化信号用メモリ7に格納されている各ビットストリームをつなぎ合わせ、これを出力信号として出力する。
【0049】
この図4のフローチャートにおいては、識別番号の割り当て(ステップ47)が行われた場合も可変長符号化(ステップ45)と同様に処理の一つとしてカウントされるようになっているため、同一データの連続が多くなっても浮動小数点処理方式のように下位ビットがより多く取り込まれるような結果とはならない。したがって、この第3の実施形態では符号化の際の圧縮率の向上という効果のみが得られる。
【0050】
図5は、第4の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。この第4の実施形態も浮動小数点処理方式によるものではないため、1ビット列が1グループに対応している。ステップ51〜54は、図3におけるステップ31〜34と同様であるため、ステップ55以降につき説明する。可変長符号化部5は、まず、最上位の第1グループ(ビット列nのグループ)に対して同一コードの連続が有るか否かにつき判別を行い(ステップ55)
同一コードの連続が有れば次に最終グループまでの処理が行われたか否かを判別する(ステップ56)。この場合は、未だ最終グループまで終了しているわけではないので、ステップ53に戻ってPCMデータ列並び替え制御部3が次の第2グループのグループ化を行う。そして、可変長符号化部5はこの第2グループに対して可変長符号化を行った後(ステップ54)、同一コードの連続が有るか否かにつき判別を行う(ステップ55)。今度は、同一コードの連続があったとすると、可変長符号化部5は連続コード用コード番号をその同一連続データに割り当てるようにする(ステップ57)。
【0051】
次いで、PCMデータ列並び替え制御部3は、次の第3グループのグループ化及び可変長符号化を行い(ステップ53,54)、以下同様にして同一コードの連続の有無の判別(ステップ55)の後、可変長符号化が最終グループまで行われたか否かの判別(ステップ56)又は連続コード用コード番号の割り当てを行う(ステップ57)。そして、ステップ56において可変長符号化が最終グループまで行われたことを判別すると、それまで可変長符号化及び連続コード用コード番号の割り当てを行ったグループをつなぎ合わせてビットストリームを生成し(ステップ58)、これを符号化信号用メモリ7に出力する。多重化部8は、符号化信号用メモリ7に格納されている各ビットストリームをつなぎ合わせて、これを出力信号として出力する。
【0052】
この図5のフローチャートにおいては、予め可変長符号化が行われ(ステップ54)、連続コード用コード番号の割り当て(ステップ57)が行われた場合も、それまで行われていた可変長符号化(ステップ54)の回数が減じられるわけではないため、同一コードの連続が多くなっても浮動小数点処理方式のように下位ビットがより多く取り込まれるような結果とはならない。したがって、この第4の実施形態の場合も符号化の際の圧縮率の向上という効果のみが得られる。
【0053】
図6は、本発明の実施形態に係るPCM信号復号化装置の構成を示すブロック図である。この図に示すように、PCM信号復号化装置は、入力FIFO9、ヘッダー解析部10、可変長復号用コードブック12を有する可変長復号化部11、フレーム単位PCM信号用メモリ13、及び出力FIFO14により構成されている。
【0054】
入力FIFO9は、図1のPCM信号符号化装置により符号化されたPCMデータ列を入力信号として取り込み、これをヘッダー解析部10に送出するものである。ヘッダー解析部10は、符号化信号の正規の量子化精度、サンプリング周波数、フレーム内サンプル数など必要に応じて付加された補助情報を解析するものである。可変長復号化部11は、ヘッダー解析部10の解析に基づき、1フレーム分の符号化されたPCMデータ列についてグループ毎の復号化を可変長復号用コードブック12を用いて行うものである。この場合の復号化は、上位グループから順次下位グループへ移行して所定回数に達するまで又は最終グループに達するまで行われるようになっている。可変長復号化部11により復号化されたデータはフレーム単位PCM信号用メモリ13に格納され、この格納されたデータを出力FIFO14が取り出して出力する。
【0055】
なお、フレーム毎に符号化される量子化ビット長はそれぞれ異なるが、符号化装置にて付加されたコードブック識別番号の数によって一意的に量子化精度は求まる。第1階層の符号化ビット長をnビットとすると、フレーム内符号化信号には可変長符号が施されたビット桁数別グループn個が常に含まれ、信号状態によっては、ビット桁数別グループ内全ビットが同一信号であることを示すコードブック識別番号を持ったグループを含むこともある。
【0056】
次に、上記のように構成される本実施形態に係るPCM信号復号化装置の動作をフローチャートに基づき説明する。ここで、本実施形態は第5乃至第8の実施形態に分かれており、図7乃至図10のフローチャートは各実施形態に対応している。なお、図6のブロック構成図は、可変長復号化部11の機能がそれぞれ異なるけれども、その他の構成要素については各実施形態において共通のものである。また、図7乃至図10の各復号化装置はそれぞれ図2乃至図5の各符号化装置に対応するものである。但し、図7の復号化装置は、図2の符号化装置ばかりでなく図4の符号化装置とも組み合わせることができ、同様に、図8の復号化装置は、図3の符号化装置ばかりでなく図5の符号化装置とも組み合わせることができる。
【0057】
図7は第5の実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図2の第1の実施形態のフローチャートに対応するものである。この図において、まず、可変長復号化部11は、ヘッダー解析部10の解析情報に基づき符号化されたPCMデータ列についての可変長復号をスタートし(ステップ71)、最上位グループである第1グループについてコードブック識別情報の解読を可変長復号用コードブック12を用いて行う(ステップ72)。そして、同一データが連続していることを示す連続データ用識別番号の有無を判別し(ステップ73)、この識別番号がないものとすると可変長コードを抽出し(ステップ74)、PCMメモリへ復号信号を書き込む(ステップ75)。 この後、第1グループにおけるこのような可変長コード抽出及び復号信号書き込みが全て終了したか否かを判別し(ステップ76)し、終了していなければステップ74に戻って終了するまで同様の動作を繰り返す。
【0058】
ステップ76での判別結果が「YES」となると、可変長復号化部11は、復号化がk回終了したか否かを判別する(ステップ78)。この場合は、未だk回終了しているわけではないので、ステップ72に戻って第2グループについてコードブック識別情報の解読を可変長復号用コードブック12を用いて行う。そして、同一データが連続していることを示す連続データ用識別番号の有無を判別し(ステップ73)、今度はこの識別番号が有ったものとすると、可変長復号化部11は、PCM信号用メモリ13へこの識別番号に対応する復号信号を書き込むと共に、次に対象とするグループを1つ繰り下げ第3グループとする、(ステップ77)。
【0059】
可変長復号化部11は、次にステップ72に戻って第3グループについてコードブック識別情報の解読を可変長復号用コードブック12を用いて行い、同一データが連続していることを示す連続データ用識別番号の有無を判別する(ステップ73)。そして、上記と同様にしてステップ74〜78又はステップ77の処理を行い、ステップ78での判別が「YES」となった場合に可変長復号の動作を停止する(ステップ79)。ここで、ステップ77における復号信号の書き込みは、ステップ78で設定されているk回の復号化回数にはカウントされない。したがって、図2の浮動小数点処理方式により符号化されたPCMデータ列を忠実に復号化することができ、また、図4の浮動小数点処理方式によらずに符号化されたPCMデータ列についても復号化を行うことができる。
【0060】
図8は第6の実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図3の第2の実施形態のフローチャートに対応するものである。図8が図7と異なっている主な点は、コードブック識別情報の解読(ステップ82)の後直ちに可変長コードの抽出(ステップ83)を行っている点である。
【0061】
すなわち、可変長復号化部11は可変長復号をスタートし(ステップ81)、まず、第1グループについてのコードブック識別情報を解読した後(ステップ82)、可変長コードを抽出し(ステップ83)、同一コードが連続していることを示す連続コード用識別番号の有無を判別する(ステップ84)。そして、ステップ84の判別結果が「NO」の場合はステップ85,86の処理を行った後ステップ83に戻って第2グループについて可変長コードを抽出し、また、ステップ84の判別結果が「YES」の場合はステップ87の処理を行った後ステップ83に戻って第2グループについて可変長コードを抽出する。以下、同様にして、第2グループ以降についてステップ82〜88の処理を行い、ステップ88での判別が「YES」となった場合に可変長復号の動作を停止する(ステップ89)。ここで、ステップ87における復号信号の書き込みは、図7の場合と同様に、ステップ88で設定されているk回の復号化回数にはカウントされない。したがって、図3の浮動小数点処理方式により符号化されたPCMデータ列を忠実に復号化することができ、また、図5の浮動小数点処理方式によらずに符号化されたPCMデータ列についても復号化を行うことができる。
【0062】
図9は第7の実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図4の第3の実施形態のフローチャートに対応するものである。但し、図4の第3の実施形態に係る符号化装置により生成されたPCMデータ列は、この第7の実施形態に係る復号化装置だけでなく、図7の第5の実施形態に係る復号化装置によっても復号化が可能なことは既述した通りである。
【0063】
図9が図7と異なっている主な点は、ステップ93において連続データ用識別番号の有無について「YES」と判別した場合に、該当ビット列(又は対象グループ)を設定コードで置き換える(ステップ97)と共にPCM信号用メモリ13に復号信号を書き込み(ステップ98)、その後最終グループの処理が終了したか否かについての判別を行っている点である(ステップ99)。したがって、もし図2の第1の実施形態に係る符号化装置により符号化されたPCMデータ列を、この第7の実施形態に係る復号化装置により復号化しても、折角より下位のグループまで取り込んで符号化したデータを復号できないことになる。それ故、この第7の実施形態は第3の実施形態に係る符号化装置により符号化されたPCMデータ列を復号化する場合のみに有効なものである。
【0064】
図10は第8の実施形態の動作を説明するためのフローチャートであり、図5の第4の実施形態のフローチャートに対応するものである。但し、図5の第4の実施形態に係る符号化装置により生成されたPCMデータ列は、この第8の実施形態に係る復号化装置だけでなく、図8の第6の実施形態に係る復号化装置によっても復号化が可能なことは既述した通りである。
【0065】
図10が図8と異なっている主な点は、ステップ104において連続コード用識別番号の有無について「YES」と判別した場合に、該当ビットメモリ(又は対象グループ)を設定コードで置き換える(ステップ107)と共にPCM信号用メモリ13に復号信号を書き込み(ステップ108)、その後最終グループの処理が終了したか否かについての判別を行っている点である(ステップ110)。したがって、もし図3の第2の実施形態に係る符号化装置により符号化されたPCMデータ列を、この第8の実施形態に係る復号化装置により復号化しても、折角より下位のグループまで取り込んで符号化したデータを復号できないことになる。それ故、この第8の実施形態は第4の実施形態に係る符号化装置により符号化されたPCMデータ列を復号化する場合のみに有効なものである。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、同一データの連続がないグループに対しては可変長符号化を行い、同一データの連続があるグループに対しては連続データ用コードブックを識別するための番号を割り当てるようにしてより効率的なデータ圧縮を行う構成としているので、コストアップを招くことなく量子化誤差を小さくすることができ、もって再生信号の品質を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るPCM信号符号化装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明の第3の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の第4の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明の実施形態に係るPCM信号復号化装置の構成を示すブロック図。
【図7】本発明の第5の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明の第6の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明の第7の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明の第8の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図11】階層符号化方式の符号化装置に入力されるPCMデータ列の構成を示す説明図であり、(a)は並び替え前のものを示し、(b)は並び替え後のものを示している。
【図12】ビット桁数毎にデータの並び替えが行われたPCMデータ列の多重化後の構成図。
【図13】ビット桁数毎にデータの並び替えが行われ、且つ上位グループにはデータ保護のための補助情報が付加されたデータ列をフレーム毎に区切って形成した場合のPCMデータ列を示す構成図。
【図14】階層符号化方式による上位グループのみの出力信号に含まれる量子化雑音についての説明図。
【図15】階層符号化方式における出力信号における量子化誤差の現れ方すなわち量子化雑音波形を示した説明図であり、(a)は振幅が大きな場合、(b)は振幅が小さな場合を示している。
【図16】階層符号化方式における出力信号の周波数スペクトルを示したものであり、(a)は振幅が大きな場合、(b)は振幅が小さな場合を示している。
【符号の説明】
1 入力FIFO
2 フレーム構成部
3 PCMデータ列並び替え制御部
4 ビット列並び替え用メモリ
5 可変長符号化部
6 可変長符号用コードブック
7 符号化信号用メモリ
8 多重化部
9 入力FIFO
10 ヘッダー解析部
11 可変長復号化部
12 可変長復号用コードブック
13 フレーム単位PCM信号用メモリ
14 出力FIFO

Claims (6)

  1. それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、
    前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、同一データの連続の有無を判別し、同一データの連続がない場合は可変長符号化を行い、同一データの連続がある場合はその同一連続データに代えて予め設定してある連続データ用コードブック識別番号を、符号量に余裕を生じさせその余裕分をより下位のグループに費やすための番号として、割り当てる動作を、前記可変長符号化が所定回数に達するまで、前記上位グループから下位グループに向けて繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、
    ことを特徴とするPCM信号符号化装置。
  2. それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、
    前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、可変長符号化を行って同一コードの連続の有無を判別し、同一コードの連続がない場合には可変長符号化が所定回数に達したか否かを判別し、同一コードの連続がある場合にはその同一連続コードに代えて予め設定してある連続コード用コード番号を、符号量に余裕を生じさせその余裕分をより下位のグループに費やすための番号として、割り当てる動作を、前記同一コードの連続のない場合の可変長符号化が前記所定回数に達するまで、前記上位グループから下位グループに向けて繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、
    ことを特徴とするPCM信号符号化装置。
  3. それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、
    前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、同一データの連続の有無を判別し、同一データの連続がない場合は可変長符号化を行い、同一データの連続がある場合はその同一連続データに代えて予め設定してある連続データ用コードブック識別番号を、符号化の際の圧縮率を向上させるための番号として、割り当てる動作を、予め最終グループとして設定されているグループまで繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、
    ことを特徴とするPCM信号符号化装置。
  4. それぞれ複数のビットからなる複数のサンプルが連なったPCMデータ列を、量子化ビット桁数を最小単位として重要度の高い順に順次グループ化し、データ列の再構築を行い、前記グループ化した重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次符号化し、これを多重化するPCM信号符号化装置において、
    前記グループ化された重要度の高い上位グループから下位グループへ向けて順次グループ毎に、可変長符号化を行って、同一コードの連続の有無を判別し、同一コードの連続がある場合にはその同一連続コードに代えて予め設定してある連続コード用コード番号を、符号化の際の圧縮率を向上させるための番号として、割り当てる動作を、予め最終グループとして設定されているグループまで繰り返し行ってビットストリームを生成する可変長符号化部を備えた、
    ことを特徴とするPCM信号符号化装置。
  5. 請求項1又は3記載のPCM信号符号化装置により符号化されたPCMデータ列を入力して前記連続データ用コードブック識別番号の有無を前記グループ毎に検出し、この番号を検出しないグループからは可変長コードを抽出して可変長復号化を行い、この番号を検出したグループに対してはその番号の代わりに予め設定してあるコードを割り当てるようにし、しかも、グループ毎の可変長復号化を上位グループから下位グループに向けて所定回数に達するまで行う可変長復号化部を備えた、
    ことを特徴とするPCM信号復号化装置。
  6. 請求項2又は4記載のPCM信号符号化装置により符号化されたPCMデータ列を入力してグループ毎に可変長コードを抽出すると共に前記連続コード用コード番号の有無を検出し、この番号を検出しないグループに対しては可変長復号化を行い、この番号を検出したグループに対してはその番号の代わりに予め設定してあるコードを割り当てるようにし、しかも、グループ毎の可変長復号化を上位グループから下位グループに向けて所定回数に達するまで行う可変長復号化部を備えた、
    ことを特徴とするPCM信号復号化装置。
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