JP3617017B2 - 酒造用自動製麹装置の空調方法及び装置 - Google Patents
酒造用自動製麹装置の空調方法及び装置 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、主として醸造に用いられる酒造用自動製麹装置の空調方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
種々の酒造用自動製麹装置では室内温度環境を麹の生育状況に関係なく経験的に理想的と判断される設定条件に沿って室内温度環境を制御するため、麹の生育状態が変動した場合に、最適の室内温度条件を与えることが不可能であった。又、室内温度環境を制御する場合には、室内温度と異なる調製空気を高低差のない吹込み口から吹込むために、室内の上部と下部に大きな温度差が発生していた。更に、麹の発熱を抑える目的で麹堆積層表面の空気を一方向から換気する場合、空気の吹出し口と吸込み口近傍の麹品質に不均一を生じ、又麹堆積層の表層が温度と湿度などの影響を大きく受けるため麹堆積層上部の麹品質に悪影響を及ぼしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
麹の生育状況に対応した室内環境を適宜自動調節すると共に、麹品質を均一に維持する酒造用自動製麹装置の空調方法及び装置を提供することがこの発明の課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1は、設定麹温度を基準として測定麹温度の変化により室内温度を調節する。すなわち、断熱壁で構成した室内に単数又は複数の麹培養床を設ける。製麹の経過時間に応じて設定麹温度を各々の麹培養床毎に設定する。製麹の経過時間に応じて設定室内温度を1点又は各々の麹培養床毎に設定する。設定麹温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各々の設定麹温度に麹上限偏差(KH1 < KH2 < … < KHn < …)、麹下限偏差(KL1 <KL2 < … < KLn < …)を設定する。設定室内温度に対する上下の偏差も複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各々の設定室内温度には、室内上限偏差(RH1 < RH2 < … < RHn < …)と室内下限偏差(RL1 < RL2 < … < RLn < …)を設定する。
【0005】
各々の麹培養床毎に設けた複数の温度センサにより経時的に測定麹温度と測定室内温度を測定する。設定麹温度に麹上限偏差(KHn)を加算した温度より測定麹温度が高い状態では、設定麹温度に麹上限偏差(KHn-1)を加算した温度に測定麹温度が下降するまで測定室内温度を下降させる。ただし設定室内温度に室内下限偏差(RLn)を減算した温度まで測定室内温度が下降した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内下限偏差(RLn)を減算した温度に維持する。設定麹温度に麹下限偏差(KLn)を減算した温度より測定麹温度が低い状態では、設定麹温度に麹下限偏差(KLn-1)を減算した温度に測定麹温度が上昇するまで測定室内温度を上昇させる。ただし設定室内温度に室内上限偏差(RHn)を加算した温度まで測定室内温度が上昇した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内上限偏差(RHn)を加算した温度に維持する。
【0006】
この発明の請求項2は、設定室内温度を基準として測定室内温度の変化により室内温度を調節する。すなわち、断熱壁で構成した室内に単数又は複数の麹培養床を設ける。製麹の経過時間に応じて設定室内温度を1点又は各々の麹培養床毎に設定する。設定室内温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各々設定室内温度には、室内上限偏差(RH1 < RH2 < … < RHn <…)と室内下限偏差(RL1 < RL2 < … < RLn < …)を設定する。室内又は各々の麹培養床に設けた複数の温度センサにより経時的に測定室内温度を測定する。室内又は各麹培養床の測定室内温度が設定室内温度に所定の値(RHn)を加算した温度より高い状態では、室内の上部から調整空気を吹出して、設定室内温度に所定の値(RHn-1)を加算した温度に測定室内温度を下降させる。測定室内温度が設定室内温度に所定の値(RLn)を減算した温度より低い状態では、室内の下部から調整空気を吹出して、設定室内温度に所定の値(RLn-1)を減算した温度に室内温度を上昇させる。
【0007】
この発明の請求項3は、設定麹温度を基準として麹温度の変化により室内温度を調節する請求項1記載の酒造用自動製麹装置の空調方法において、麹の品質を低下させないと判断できる設定麹温度に所定の麹上限偏差(KHx)を加算した温度と設定麹温度に所定の麹下限偏差(KLx)を減算した温度の範囲内に測定麹温度が到達した場合に、請求項2記載の酒造用自動製麹装置の空調方法を用いる。すなわち、設定室内温度に室内上限偏差を加算した温度又は設定室内温度に室内下限偏差を減算した温度の中で偏差が小さく測定室内温度に最も近い温度へ室内温度を調整する。
【0008】
この発明の請求項4は、断熱壁で構成した室内に単数又は複数の麹培養床を設ける。各々の麹培養床の中央上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口、室内上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口、室内下部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口の3種類の空調口から2種類以上を設ける。製麹の経過時間に応じて設定麹温度を各々の麹培養床毎に設定する。製麹の経過時間に応じて設定室内温度を1点又は各々の麹培養床毎に設定する。設定麹温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各々の設定麹温度に麹上限偏差(KH1 < KH2 < … < KHn < …)、麹下限偏差(KL1 < KL2 <…< KLn < …)を設定する。設定室内温度に対する上下の偏差も複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各々設定室内温度には、室内上限偏差(RH1 < RH2< … < RHn < …)と室内下限偏差(RL1 < RL2 < … < RLn < …)を設定する。
【0009】
各々の麹培養床毎に設けた複数の温度センサにより経時的に測定麹温度と測定室内温度を測定する。設定麹温度に麹上限偏差(KHn)を加算した温度より測定麹温度が高い状態では、設定麹温度に麹上限偏差(KHn-1)を加算した麹温度に測定麹温度が下降するまで空調口より調整空気を吹出して測定室内温度を下降させる。但し、設定室内温度に室内下限偏差(RLn)を減算した温度まで測定室内温度が下降した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内下限偏差(RLn)を減算した温度に維持する。
【0010】
設定麹温度に麹下限偏差(KLn)を減算した温度より測定麹温度が低い状態では、設定麹温度に麹下限偏差(KLn-1)を減算した麹温度に測定麹温度が上昇するまで空調口より調整空気を吹出して測定室内温度を上昇させる。但し、設定室内温度に室内上限偏差(RHn)を加算した温度まで測定室内温度が上昇した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内上限偏差(RHn)を加算した温度に維持する。
【0011】
この発明の請求項5は、断熱壁で構成した室内に単数又は複数の麹培養床を設ける。各々の麹培養床の中央上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口、室内上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口、室内下部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口の3種類の空調口から2種類以上を設ける。
【0012】
製麹の経過時間に応じて設定室内温度を1点又は各々の麹培養床毎に設定する。設定室内温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各々設定室内温度には、室内上限偏差(RH1 < RH2 < … < RHn < …)と室内下限偏差(RL1 < RL2 < … < RLn < …)を設定する。室内又は各々の麹培養床毎に設けた複数の温度センサにより経時的に測定室内温度を測定する。室内又は各麹培養床の測定室内温度が設定室内温度に所定の値(RHn)を加算した温度より高い状態では、設定室内温度に所定の値(RHn-1)を加算した温度に、測定室内温度を室内の上方にある空調口より調整空気を吹出して下降させる。測定室内温度が設定室内温度に所定の値(RLn)を減算した温度より低い状態では、設定室内温度に所定の値(RLn-1)を減算した温度に、室内温度を室内の下方にある空調口から調整空気を吹出して上昇させる。
【0013】
この発明の請求項6は、設定麹温度を基準として麹温度の変化により室内温度を2種類以上の空調口から調節する請求項4記載の酒造用自動製麹装置の空調装置において、麹の品質を低下させないと判断できる設定麹温度に麹上限偏差を加算した麹温度と設定麹温度に麹下限偏差を減算した麹温度の範囲内に測定麹温度が到達した場合に、設定室内温度を基準として室内温度の変化から室内温度を2種類以上の空調口により調節する請求項5記載の酒造用自動製麹装置の空調装置である。
【0014】
【作用】
この発明の請求項1は、設定麹温度を基準とする麹生産において、測定麹温度の変化に対応して自動的に室内温度を調節し、麹品質を維持する。すなわち、製麹の経過時間に応じて設定麹温度、設定室内温度、麹上限偏差(KH1< KH2 < … < KHn < …)、麹下限偏差(KL1 < KL2 < … < KLn < …)、室内上限偏差(RH1 < RH2 < … < RHn < …)、室内下限偏差(RL1 < RL2 < … < RLn <…)を設定する。
【0015】
設定麹温度に麹上限偏差(KHn)を加算した麹温度より測定麹温度が高い状態は、麹の品質を低下させる状態に麹温度が上昇しつつあると判断できる。そこで、麹温度を設定麹温度に近づけ麹の品質低下を防止する。すなわち、設定麹温度に麹上限偏差(KHn-1)を加算した温度に測定麹温度が下降するまで、室内温度を下降させる。ただし室内温度の下降速度に比較して麹温度の下降速度が極めて緩やかであることから、測定麹温度が設定麹温度に麹上限偏差(KHn-1)を加算した温度に下降するまで、設定室内温度に室内下限偏差(RLn)を減算した室内温度を維持する。
【0016】
設定麹温度に麹下限偏差(KLn)を減算した麹温度より測定麹温度が低い状態は、麹の品質を低下させる状態に麹温度が下降しつつあると判断できる。そこで、麹温度を設定麹温度に近づけ麹の品質低下を防止する。すなわち、設定麹温度に麹下限偏差(KLn-1)を減算した温度に測定麹温度が上昇するまで、室内温度を上昇させる。ただし室内温度の上昇速度に比較して麹温度の上昇速度が極めて緩やかであることから、測定麹温度が設定麹温度に麹下限偏差(KLn-1)を減算した温度に上昇するまで、設定室内温度に室内上限偏差(RHn)を加算した室内温度を維持する。この発明の請求項2は、設定室内温度を基準として測定室内温度の変化に対応して自動的に室内温度を調節する。
【0017】
すなわち、製麹の経過時間に応じて設定室内温度、室内上限偏差(RH1 < RH2 <… < RHn < …)、室内下限偏差(RL1 < RL2 < … < RLn < …)を設定する。測定室内温度が設定室内温度に所定の値(RHn)を加算した温度より高い状態は、麹温度を制御する上で高すぎると判断できる。そこで、室内の上部から室内温度に比較して低い温度の調整空気を吹出し、室内空気と調整空気を自然対流により混合させ室内の下部空調口より吸込み、設定室内温度に所定の値(RHn-1)を加算した温度に測定室内温度を下降させる。
【0018】
測定室内温度が設定室内温度に所定の値(RLn)を減算した温度より低い状態は、麹温度を制御する上で低すぎると判断できる。そこで、室内の下部から室内温度に比較して高い温度の調整空気を吹出し、室内空気と調整空気を自然対流により混合させ室内の上部空調口より吸込み、設定室内温度に所定の値(RLn-1)を減算した温度に測定室内温度を上昇させる。
【0019】
この発明の請求項3は、設定麹温度を基準として麹温度の変化により室内温度を調節する請求項1記載の酒造用自動製麹装置の空調方法において、麹の品質を低下させないと判断できる麹温度の範囲、すなわち設定麹温度に所定の麹上限偏差を加算した温度と設定麹温度に所定の麹下限偏差を減算した温度の範囲内に測定麹温度が到達した場合には、麹温度の制御のために室内温度を調節する必要はない。しかしながら、測定室内温度と設定室内温度の差が大きい状態は異常な状態であるため、新たな麹温度の変化に対応できない場合がある。ただし麹温度の制御のために室内温度が現状の温度に調節されていることから、現状の室内温度を急激に設定室内温度に調節することは適当でない。そこで、設定室内温度に室内上限偏差を加算した温度又は設定室内温度に室内下限偏差を減算した温度の中で偏差がより小さい温度で、測定室内温度に最も近い温度へ室内温度を調整する。
【0020】
【実施例】
次に表1及び図1及び図2によつてこの発明の実施例を詳細に説明する。この表1は、設定麹温度と設定室内温度と各偏差(n=2)を経過時間に応じて設定した制御データの一例である。
【0021】
【表1】
【0022】
麹の使用目的に応じて理想的な麹温度経過と室内温度経過を、製麹の経過時間に応じて制御装置に入力する。表1の設定麹温度(KSP)と設定室内温度(RSP)は、その一例である。
【0023】
設定麹温度に麹上限偏差2(KH2)を加算した温度(以下、麹上限温度2とする)以上に麹温度が上昇すると、麹の品質を急激に下降させる温度範囲と判断可能な値として、麹上限偏差2を経過時間に応じて制御装置8に入力する。設定麹温度に麹上限偏差1(KH1)を加算した温度(以下、麹上限温度1とする)以上に麹温度が上昇すると、麹の品質を徐々に低下させる温度範囲と判断する。麹上限温度1以下で設定麹温度以上の麹温度は、麹の品質を維持すると判断可能な値として、麹上限偏差1を経過時間に応じて制御装置8に入力する。
【0024】
設定麹温度に麹下限偏差2(KL2)を減算した温度(以下、麹下限温度2とする)以下に麹温度が下降すると、麹の品質を急激に下降させる温度範囲と判断可能な値として、麹下限偏差2を経過時間に応じて制御装置8に入力する。設定麹温度に麹下限偏差1(KL1)を減算した温度(以下、麹下限温度1とする)以下に麹温度が下降すると、麹の品質を徐々に低下させる温度範囲と判断する。麹下限温度1以上で設定麹温度以下の麹温度は、麹の品質を維持すると判断可能な値として、麹下限偏差1を経過時間に応じて制御装置8に入力する。
【0025】
設定室内温度(RSP)に室内上限偏差2(RH2)を加算した温度(以下、室内上限温度2とする)は、麹の温度制御安定性を保ちながら麹温度を速やかに上昇させると判断可能な値として、室内上限偏差2を経過時間に応じて制御装置8に入力する。
【0026】
設定室内温度(RSP)に室内上限偏差1(RH1)を加算した温度(以下、室内上限温度1とする)は、麹の温度制御安定性を保ちながら麹温度を緩やかに上昇させると判断可能な値として、室内上限偏差2を経過時間に応じて制御装置8に入力する。設定室内温度(RSP)に室内下限偏差2(RL2)を減算した温度(以下、室内下限温度2とする)は、麹の温度制御安定性を保ちながら麹温度を速やかに下降させると判断可能な値として、室内下限偏差2を経過時間に応じて制御装置8に入力する。
【0027】
設定室内温度(RSP)に室内下限偏差1(RL1)を減算した温度(以下、室内下限温度1とする)は、麹の温度制御安定性を保ちながら麹温度を緩やかに下降させると判断可能な値として、室内上限偏差2を経過時間に応じて制御装置8に入力する。設定麹温度(KSP)と麹上限偏差2(KH2)、麹上限偏差1(KH1)、麹下限偏差2(KL2)、麹下限偏差1(KL1)には、数1の関係がある。
【0028】
【数1】
【0029】
設定室内温度(RSP)と室内上限偏差2(RH2)、室内上限偏差1(RH1)、 室内下限偏差2(RL2)、室内下限偏差1(RL1)には、数2の関係がある。
【0030】
【数2】
【0031】
製麹を開始した後、麹上限温度1より測定麹温度が高い場合は、測定麹温度が麹上限温度1へ下降するまで室内温度を下降させ、麹温度の上昇を防止する。ただし空調装置により直接熱交換される室内空気の温度下降速度に比較して、室内空気により間接的に熱交換される麹温度の下降速度が極めて緩やかである。そのため、測定麹温度が麹上限温度1に下降するまで、室内温度を室内下限温度1まで下降させ維持する。同様に、麹上限温度2より測定麹温度が高い場合は、測定麹温度が麹上限温度2へ下降するまで室内温度を室内下限温度2まで下降させ維持する。
【0032】
麹下限温度1より測定麹温度が低い場合は、測定麹温度が麹下限温度1へ上昇するまで室内温度を下降させ、麹温度の下降を防止する。ただし空調装置により直接熱交換される室内空気の温度上昇速度に比較して、室内空気により間接的に熱交換される麹温度の上昇速度が極めて緩やかである。そのため、測定麹温度が麹下限温度1に上昇するまで、室内温度を室内上限温度1まで上昇させ維持する。同様に、麹下限温度2より測定麹温度が低い場合は、測定麹温度が麹下限温度2へ上昇するまで室内温度を室内上限温度2まで上昇させ維持する。
【0033】
測定麹温度が麹下限温度1以上で麹上限温度1以下の場合は、麹温度が麹の品質を維持する状態であると判断できるため、測定麹温度からの室内温度調節は行わず測定室内温度から室内温度の調節を行なう。すなわち、測定室内温度と設定室内温度の差が大きい状態は、異常な状態であるため新たな麹温度の変化に対応できない場合がある。しかし、適正な麹温度の制御のために室内温度が現状の温度に調節されていることから、現状の室内温度を急激に設定室内温度に調節することは適当でない。そこで、室内上限温度又は室内下限温度の中で設定室内温度との偏差がより小さい温度で、測定室内温度に最も近い温度へ室内温度を調整し、新たな麹温度の変化に対応する。
【0034】
設定麹温度に対して上下に3個以上の偏差(KH1,KH2,KH3,…,KHn:KL1,KL2,KL3,…,KLn)を設定する場合には、設定室内温度に対して上下に複数の偏差(RH1,RH2,RH3,…,Rhn:RL1,RL2,RL3,…,RLn)を設定し、同様に制御する。
【0035】
空調口として、麹培養床1の中心円筒2の中央上部の中央空調口3、製麹室内上部の上部空調口4、製麹室内下部の下部空調口5を設けた多段式製麹装置の縦断面図を図1に、横断面図を図2に示す。麹培養床1上に堆積した麹層の温度を測定する麹温度センサ6を各々の培養床に設け、麹層の上方に、室内温度を測定する室内温度センサ7を各々の培養床に設ける。
【0036】
3段の培養床1a〜1cの麹温度を同時に室内温度により制御するには、室内温度を上昇させる場合、調整空気を下部空調口5から吹出し、麹培養床の中央上部に設けた空調口3a〜3cより吸込む。室内温度を下降させる場合は、調整空気を上部空調口4から吹出し、中央空調口3a〜3cより吸込む。中央空調口3a〜3cは、必要に応じて開閉度を自動的に調節する。
【0037】
3段の培養床の中で、特定の培養床1aの麹温度を室内温度により制御するには、室内温度を上昇させる場合、調整空気を麹培養床の中央空調口3aから吹出し、上部空調口4と下部空調口5より吸込む。室内温度を下降させる場合は、調整空気を中央空調口3aから吹出し、上部空調口4と下部空調口5より吸込む。
【0038】
測定室内温度により室内温度を調整する場合には、上部空調口4と下部空調口5を使用する。室内温度を上昇する場合には、下部空調口5より調整空気を吹出し上部空調口4から吸込む。室内温度を下降する場合には、上部空調口4より調整空気を吹出し下部空調口5より吸込む。
【0039】
中央空調口3、上部空調口4、下部空調口5の各々の空調口は、吸込み吹出し自在であり、実施例に限定されるものではない。また製麹装置は、単段から複数段の製麹装置であればよく、実施例の円盤式自動製麹装置に限定されない。
【0040】
【発明の効果】
この発明の酒造用自動製麹装置の空調方法及び装置は以上の方法及び装置とすることにより、麹の生育状態の変動に適応して室内環境を制御するため、常に最適の室内条件を目的とする吟醸麹に与えることが可能となった。また繊細な空調制御を必要とする酒造麹製造において、製麹室内の上下の温度環境を均一に制御し、麹堆積層表面に急激な温度変化を与えることなく、確実に麹温度を制御することができる。特に、各種の形態の自動製麹装置にも利用可能な点は、この発明を更に有益有用なものとしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の酒造用自動製麹装置の空調方法を実施すべき装置を設けた多段式製麹装置の縦断面図である。
【図2】図1の横断面図である。
【符号の説明】
1 培養床
2 中心円筒
3 中央空調口
4 上部空調口
5 下部空調口
6 麹温度センサ
7 室内温度センサ
8 制御装置
9 空調ユニット
Claims (6)
- 断熱質(10)で構成した室(11)内に単数又は複数の麹培養床(1)を設けた自動製麹装置において、製麹の経過時間に応じて理想的な麹温度(以下、設定麹温度とする)を各々の麹培養床(1)毎に設定し、製麹の経過時間に応じて理想的な室内温度(以下、設定室内温度とする)を単数又は各々の麹培養床(1)毎に設定し、各麹培養床(1)毎に設けた複数の温度センサ(6,7)により、経時的に測定麹温度と測定室内温度を測定し、設定麹温度に麹上限偏差( KH n)を加算した温度より測定麹温度が高い状態では、設定麹温度に麹上限偏差( KH n−1)を加算した温度に測定麹温度が下降するまで測定室内温度を下降させるが、設定室内温度に室内下限偏差( RL n)を減算した温度まで測定室内温度が下降した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内下限偏差( RL n)を減算した温度に維持し、設定麹温度に麹下限偏差( KL n)を減算した温度より測定麹温度が低い状態では、設定麹温度偏差( KL n−1)を減算した温度に測定麹温度が上昇するまで、測定室内温度を上昇させるが、設定室内温度に室内上限偏差( RH n)を加算した温度まで測定室内温度が上昇した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度に室内上限偏差( RH n)を加算した温度まで測定室内温度が上昇した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度を設定室内温度に室内上限偏差( RH n)を加算した温度に維持するようにした酒造用自動製麹装置の空調方法。
- 設定室内温度を基準として , 測定室内温度の変化により室内温度を調節するものであって、断熱壁(10)で構成した室(11)内に単数又は複数の麹培養床(1)を設け、製麹の経過時間に応じて設定室内温度を各々の麹培養床(1)毎に設定し、設定室内温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各設定室内温度には、室内上限偏差( RH n)を設定し、室内又は各麹培養床(1)に設けた複数の温度センサ(6,7)により、経時的に測定室内温度を測定し、前記室(11)内又は各培養床(1)の測定室内温度が設定室内温度に所定の値( RH n)を加算した温度より高い状態では、 z 前記室(11)内の上部から調整空気を吹出して、設定室内温度に所定の値 (RLn-1) を加算した温度に測定室内温度を下降させ、測定室内温度が設定室内温度に所定の値( RL n)を減算した温度より低い状態では、前記室(11)内の下部から調整空気を吹出して、設定室内温度に所定の値( RL n−1)を減算した温度に室内温度を上昇させるようにした酒造用自動製麹装置の空調方法。
- 設定麹温度を基準として麹温度の変化により室内温度を調節する請求項1記載の酒造用自動製麹装置の空調方法において、麹の品質を低下させないと判断できる設定麹温度に、所定の麹上限偏差(KHx)を加算した温度と設定麹温度に所定の麹下限偏差(KLx)を減算した温度の範囲内に測定麹温度が到達した場合に、設定室内温度に室内上限偏差を加算した温度又は設定室内温度に室内下限偏差を減算した温度の中で偏差が小さく測定室内温度に最も近い温度へ室内温度を調整する酒造用自動製麹装置の空調方法。
- 断熱壁(10)で構成した室(11)内に単数又は複数の麹培養床(1)を設け、各々の麹培養床(1)の中央上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し吸込み自在な空調口(3)、前記室(11)内上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能な吹出し , 吸込み自在な空調口(4)、前記室(11)内下部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し、吸込み自在な空調口(5)の3種類の空調口(3,4,5)から2種類以上を設け、製麹の経過時間に応じて設定麹温度を各培養床(1)毎に設定し、設定麹温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各設定麹温度に麹上限偏差( KH n)、麹下限偏差( KL n)を設定し、設定室内温度に対する上下の偏差も複数設定可能であり , 製麹の経過時間に応じて各設定室内温度には、室内上限偏差( RH n)と室内下限偏差( RL n)を設定してなり、各々の麹培養床(1)毎に設けた複数のセンサ(6,7)により、経時的に測定麹温度と測定室内温度を測定し、設定麹温度に麹上限偏差( KH n)を加算した温度より測定麹温度が高い状態では、設定麹温度に麹上限偏差( KHn −1)を加算した麹温度に測定麹温度が下降するまで、空 調口(3,4,5)から調整空気を吹出して測定室内温度を下降させるが、設定室内温度に室内下限偏差( RL n)を減算した温度まで測定室内温度が下降した場合には、測定麹温度関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内下限偏差( RL n)を減算した温度に維持し、設定麹温度に麹下限偏差( KL n)を減算した温度より測定麹温度が低い状態では、設定麹温度に麹下限偏差( KL n−1)を減算した麹温度に測定工事温度が上昇するまで、空調口(3,4,5)から調整空気が吹出して測定室内温度を上昇させるが、設定室内温度に室内上昇偏差( RH n)を加算した温度まで、測定室内温度が上昇した場合には、測定麹温度に関係なく測定室内温度を設定室内温度に室内上限偏差( RH n)を加算した温度に維持するようにした、酒造用自動製麹装置の空調装置。
- 断熱壁(10)で構成した室(11)内に単数又は複数の麹培養床(1)を設けた自動製麹装置において、各々の麹培養床(1)の中央上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し、吸込み自在な空調口(3)、前記室(11)ない上部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し、吸込み自在な空調口(4)、前記室(11)内下部に位置する1個又は複数個の開閉度調節可能で吹出し , 吸い込み自在な空調口(5)の3種類の空調口から2種類以上を設け、製麹の経過時間に応じて設定室内温度を1又は各麹培養床(1)毎に設定し、設定室内温度に対する上下の偏差は複数設定可能であり、製麹の経過時間に応じて各設定室内温度には、室内の上限偏差 (RH n ) と、前記室(11)内の下限偏差( RL n)を設定し、室内又は麹培養床(1)毎に設けた複数の温度センサ(6,7)により経時的に測定室内温度を測定し、室内又は各培養床(1)の測定室内温度が設定室内温度に所定の値( RH n)を加算した温度より高い状態では、設定室内温度に所定の値( RH n−1)を加算した温度に、測定室内温度を前記室( 11 )内の上方にある空調口(4)から調整空気を吹出して下降させ、測定室内温度が設定室内温度に所定の値( RL n)を減算した温度より低い状態では、設定室内温度に所定の値( RL-1 」を減算した温度に、室内温度を前記室(11)ないの下方にある空調口(5)から、調整空気を吹出して上昇させるようにした酒造用自動製麹装置の空調装置。
- 設定麹温度を基準として麹温度の変化により室内温度を2種類以上の空調口(3,4,5)から調節する装置において、麹の品質を低下させないと判断できる設定麹温度に麹上限偏差(RHn)を加算した麹温度と設定麹温度に麹下限偏差)RLn)を減算した麹温度の範囲内に測定麹温度が到達した場合に、設定室内温度を基準として室内温度の変化から室内温度を2種類以上の空調口(3,4,5)により調節する請求項5記載の酒造用自動製麹装置の空調装置。
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