JP3616906B2 - 汚染土壌の浄化方法および浄化施設 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は汚染土壌を浄化するための浄化方法および浄化施設に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、化学物質や重金属等により汚染された土壌を浄化するには、汚染土壌を掘削除去して処分する、汚染物質を微生物処理により分解させる、汚染物質を不溶化して土壌中への溶出を防止する、汚染物質が溶出した地下水を地上に揚水あるいは真空吸引して処理する、といった方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の浄化方法はいずれも多大の時間と費用を要するものである。特に、汚染物質が油類や有機塩素系化合物等の流動性を有するものであったり水溶性を有するものである場合には、汚染物質が地盤中に広範囲に拡散するので大規模な処理が長期間にわたって必要であり、汚染土壌を効率的に浄化し得る有効な方策が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の汚染土壌の浄化方法は、汚染土壌を含む地盤に建物を構築し、該建物の地下躯体に地盤中の地下水を通水せしめて地下階に導く集水口を設けるとともに該地下階には集水槽を設け、該集水槽に集水した地下水を浄化処理する処理装置を前記建物内もしくは屋外に付設し、該建物を任意の用途に供用しつつ前記処理装置により汚染土壌の浄化を行うものである。
【0005】
請求項2の発明の汚染土壌の浄化施設は、汚染土壌を含む地盤に構築された建物の地下躯体に地盤中の地下水を通水せしめて地下階に導く集水口を設けるとともに該地下階には集水槽を設け、該集水槽に集水した地下水を浄化処理する処理装置を前記建物内もしくは屋外に付設してなるものである。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2の発明の浄化施設において、前記集水口を地下躯体に有孔パネルを組み込んで形成したものである。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3の発明の浄化施設において、前記有孔パネルの各孔に透水性充填材を充填したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して本発明の一実施形態を説明するが、以下の実施形態はあくまで一例であって本発明はこれに限定されるものでは勿論ない。
【0009】
図1は本実施形態の浄化施設をその施工手順とともに示す概要図である。図1における符号1は浄化対象の汚染土壌であり、これを浄化するべく、その汚染土壌1を含む地盤2に建物3を構築してその建物3に浄化設備4を付設し、汚染土壌1により汚染された地下水を集水口としての有孔パネル5(詳細後述)により地盤2中から集水してそれを地下階の集水槽6に集水し、処理装置9により浄化処理することとする。
【0010】
その建物3を施工するには、まず(b)に示すように地下階部分の掘削を行い、続いて(c)に示すように集水槽6の掘削を行った後、(d)に示すように地下躯体7を設けてそこに有孔パネル5を組み込むとともに地上階の躯体を施工して建物3を構築する。そして地下階に上記の集水槽6を設けるともに処理装置9を設置し、地上階は任意の用途たとえば工場や事務所とし、地上階を供用しつつ浄化設備4により汚染土壌1に対する浄化処理を行う。
【0011】
図2〜図6に浄化設備4の構成例を示す。集水槽6の側面および底面となっている地下躯体7には上記の集水口としての有孔パネル5が組み込まれ、地盤2中の地下水がそれら有孔パネル5を通って集水槽6に集められ、ピット8から処理装置9に汲み上げられて浄化処理されて無害化された後、外部に排水あるいは地盤2に浸透されるようになっている。処理装置9としては浄化対象の汚染物質に応じた公知のもの、たとえば有機塩素系化合物を対象とする場合には曝気と活性炭吸着によるものを採用すれば良い。
【0012】
集水口としての有孔パネル5の一例を図4〜図6に示す。これはたとえば平板状のコンクリート製パネル10に100〜200mm径程度の短管状の鋼管11を貫通状態で埋設することによって多数の孔を形成し、地下躯体7を施工する際に一体に打ち込むようにしたものである。鋼管11内には透水性樹脂等の透水性充填材12を充填することで地盤2の土砂による閉塞は防止されるが、図4に示すように有孔パネル5の背面側には砕石や珪砂等を充填したフィルタ層13を形成しておくと良い。また、鋼管11の先端にはネジを切っておき、図6に示すように必要に応じて鋼管11にキャップ14を被せて集水を停止したり、地下水を処理装置9まで直接的に導くための管路15や地盤2中の地下水を真空吸引するための吸引管16を接続することも考えられる。さらに、図4に示すように鋼管11を案内管として集水槽6内から地盤2にボーリング孔17を形成して地下水の集水を促進することも考えられる。
【0013】
上記構成の浄化施設にあっては、建物3の地上階を任意の用途に供用しつつ浄化設備4により汚染土壌1に対する浄化処理を行うことが可能である。すなわち、従来においては汚染土壌1を含む地盤2を活用するためには浄化処理が完了するまで長期間にわたって待つ必要があったが、上記施設によればその必要はなく、汚染土壌1を含む地盤2を活用しながらの浄化処理が可能である。
【0014】
なお、汚染土壌1を含む地盤2にその浄化を目的として構築した建物3を利用するのみならず、既存建物が存する地盤が汚染された場合、あるいは汚染されていることが判明したような場合には、その既存建物を利用して本発明の浄化施設を設けることも可能である。その場合、既存建物に上記実施形態のような集水槽6および処理装置9を設置するのみで、既存建物の地上階をそのまま使用しながら汚染土壌の浄化処理を行うことができる。
【0015】
また、上記実施形態のように有孔パネル5を地下躯体7に組み込むことで集水口を設けることが最適であるが、集水口としては地下躯体7を通して地下水を直接的に集水できるものであれば良く、たとえばメッシュ状や格子状、スリット状のパネルを用いることも可能であるし、地下躯体自体を集水可能な形態に施工することで集水口を設けることでも良い。
【0016】
さらに、処理装置9は上記実施形態のように地下階に設けることに限らず、可能であれば地上階や屋外に設置することでも良い。また、所定の浄化処理作業が終了したと判断された場合には処理装置9は撤去することができるし、必要に応じて再設置することもできる。また、上記実施形態はベタ基礎の場合を例にとって説明したが、たとえば杭基礎の場合には杭の位置を避けて集水口や集水槽を設置する等、基礎の構造や形態に応じて集水口や集水槽の位置、形態を最適に設計すれば良い。なお、処理装置9で処理した後の無害化した処理水は、外部へ放流したり地盤へ復水するのみならず、建物内において利用することも可能である。
【0017】
【発明の効果】
請求項1の発明の汚染土壌の浄化方法は、汚染土壌を含む地盤に建物を構築し、該建物の地下躯体に地盤中の地下水を通水せしめて地下階に導く集水口を設けるとともに該地下階には集水槽を設け、該集水槽に集水した地下水を浄化処理する処理装置を前記建物内もしくは屋外に付設し、該建物を任意の用途に供用しつつ前記処理装置により汚染土壌の浄化を行うので、汚染土壌を含む地盤を浄化処理の完了を待つことなく早期に活用しつつ、浄化処理を支障なく行うことができる。
【0018】
請求項2の発明の汚染土壌の浄化施設は、汚染土壌を含む地盤に構築された建物の地下躯体に地盤中の地下水を通水せしめて地下階に導く集水口を設けるとともに、該地下階には集水槽を設け、該集水槽に集水した地下水を浄化処理する処理装置を前記建物内もしくは屋外に付設したので、汚染された地下水を集水口により直接的にかつ安定に処理装置に導いて効率的な浄化処理が可能である。
【0019】
請求項3の発明は、有孔パネルを地下躯体に組み込んで集水口を設けたので、実質的に面的な広がりを持つ範囲から効率的に集水することができる。
【0020】
請求項4の発明は、有孔パネルの各孔に透水性充填材を充填したので、汚染土壌の流入や目詰まりを防止しつつ地下水を有効に集水することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である浄化施設をその施工手順とともに示す概要図である。
【図2】同施設の要部断面図である。
【図3】同、平面図である。
【図4】同、要部拡大図である。
【図5】同、有孔パネルの概要図である。
【図6】同、有孔パネルの拡大断面図である。
【符号の説明】
1 汚染土壌
2 地盤
3 建物
5 有孔パネル(集水口)
6 集水槽
7 地下躯体
8 ピット
9 処理装置
11 鋼管
12 透水性充填材
Claims (4)
- 汚染土壌を含む地盤に建物を構築し、該建物の地下躯体に地盤中の地下水を通水せしめて地下階に導く集水口を設けるとともに該地下階には集水槽を設け、該集水槽に集水した地下水を浄化処理する処理装置を前記建物内もしくは屋外に付設し、該建物を任意の用途に供用しつつ前記処理装置により汚染土壌の浄化を行うことを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
- 汚染土壌を含む地盤に構築された建物の地下躯体に地盤中の地下水を通水せしめて地下階に導く集水口を設けるとともに該地下階には集水槽を設け、該集水槽に集水した地下水を浄化処理する処理装置を前記建物内もしくは屋外に付設してなることを特徴とする汚染土壌の浄化施設。
- 前記集水口を地下躯体に有孔パネルを組み込んで形成してなることを特徴とする請求項2記載の汚染土壌の浄化施設。
- 前記有孔パネルの各孔には透水性充填材を充填してなることを特徴とする請求項3記載の汚染土壌の浄化施設。
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