JP3616736B2 - Sliding mode controller - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライディングモード制御に関し、例えば内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を目標値にフィードバック制御するのに用いられるスライディングモード制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させることで、吸・排気バルブの開閉時期を連続的に可変制御する係る構成のバルブタイミング制御装置として、特開平10−141022号公報に開示されるようなベーン式バルブタイミング制御装置がある。
【0003】
このものは、カムスプロケットに固定される筒状のハウジングの内周面に凹部を形成する一方、カムシャフトに固定される羽車の羽部(ベーン)が前記凹部に収容させ、前記凹部内で前記羽部が移動できる範囲内でカムシャフトがカムスプロケットに対して相対的に回転できるよう構成する。
【0004】
そして、前記羽部が前記凹部を回転方向の前後に区画して形成される一対の油圧室に対して相対的に油を給排することで、前記羽部を前記凹部の中間位置に保持させ、回転位相の連続的な可変制御を行わせる構成となっており、前記一対の油圧室の油圧が目標の回転位相が得られる油圧に調整されると、油圧通路を制御バルブで閉じて油の給排を停止させるよう構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記カムシャフト回転位相の制御方式としては、PID制御などが一般的に採用されるが、この場合、制御量は、制御対象であるカムシャフトの実際の角度と目標角度との偏差(エラー量)のみを、ただ1つの変数として算出される。
【0006】
しかしながら、前記PID制御を応答性よく実行するためには、油温や油圧に応じて油の粘性が変化するため、フィードバックゲインを可変に設定することが望ましいが、該設定のマッチングが容易でない。
【0007】
また、油圧制御では、油の給排を切り換える切換弁(スプール弁)の大きな動作不感帯が存在し、該不感帯を乗り越えるために、PIDとは別にディザー分を付加してディザー制御を行なうようにしているが、ディザー分の付加判定を細かく設定する必要があって複雑な制御となり、ROMやRAMの容量をとってしまい、また、部品毎の不感帯幅のバラツキを小さくして制御精度を確保するためには、部品の加工精度を上げなければならず、加工コストが増大していた。
【0008】
このため、一般的なPID制御から外乱の影響が小さいスライディングモード制御への移行が検討されている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、スライディングモード制御によりフィードバック制御を行なう装置において、より高精度な制御を行うことができる装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、
スライディングモード制御により制御量を算出して制御対象を目標値にフィードバック制御するスライディングモード制御装置において、
前記スライディングモード制御により算出される制御量を、ディザー制御により補正して制御し、
かつ、前記スライディングモード制御における切換関数Sを下記演算式により算出するとともに、
前記ディザー制御による補正量が付加される条件を、前記切換関数Sに基づいて下記条件より設定することを特徴とする。
切換関数Sの演算式;
S=γ×PERR+d(PERR)/dt
γ:傾き
PERR:制御対象の目標値と実際の値との偏差
d(PERR)/dt:上記偏差の微分値
ディザー制御による補正量が付加される条件;
S・ΔS≧0 但し、ΔSはSの変化量
【0010】
請求項1に係る発明によると、
スライディングモード制御により、通常のPID制御によるフィードバック制御等と比較して外乱による影響の小さなロバスト性の高い制御を行うことができると同時に、ディザー制御による補正を行なうことにより、より高精度な制御を行なうことができる。
【0012】
また、スライディングモード制御において、切換関数Sを制御対象の目標値と実際の値との偏差の関数とすることで該偏差に応じた制御量(非線形項)を与えることができ、これにより、不感帯等に対してもこれを乗り越えるための制御量が自動的に算出されて応答性の良いフィードバック制御を行なえる。
【0013】
さらに、ディザー制御による補正を行なうことで、前記スライディングモード制御における非線形項が微調整されて、最適な応答性を確保した高精度な制御を行なうことができる。換言すれば、ディザー制御はスライディングモード制御を補足する調整機能のみ持たせればよいから、従来のPID制御で付加されるディザー制御に比較して付加判定条件等を含めて制御が簡易となり、ROMやRAMの容量も節約できる。
【0015】
さらに、前記切換関数Sが前記偏差の関数として算出されているため、ディザー制御による補正量も、該偏差に応じて必要時のみ付加させることができる。また、スライディングモード制御用に算出される切換関数を流用すればよく、判定用の演算負荷も軽減される。
【0016】
そして、切換係数Sとして、制御対象の目標値と実際の値との偏差PERRに加えて、該偏差の微分値d(PERR)/dtを与えることにより、切換線上に沿ったスライディングモードをより滑らかなものとすることができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明は、
前記切換関数Sが、次式により算出されることを特徴とする。
S=γ×PERR+d(NOW)/dt
γ:傾き
PERR:制御対象の目標値と実際の値との偏差
d(NOW)/dt:制御対象の実速度
前記請求項1における偏差PERR量の微分値d(PERR)/dtの代わりに、制御対象の位置の微分値である実速度を与えるようにしても、同様に切換線上に沿ったスライディングモードを滑らかなものとすることができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明は、
前記スライディングモード制御における制御量Uが、次式により算出されることを特徴とする。
【0019】
U=c×PERR+d×{d(NOW)/dt}−K[S/(|S|+δ)]
d(NOW)/dt:制御対象の変化速度
c,d:定数
δ:チャタリング防止係数
請求項3に係る発明によると、
前記c×PERR+d×{d(NOW)/dt]で表わされる線形項制御量ULは、制御系の状態を切換線(S=0)に近づける速さを調整する役割を有し、−K[(S/(|S|+δ)]で表わされる非線形項制御量UNLは、切換線上に沿ったスライディングモードを生じさせる役割を有する。
【0021】
そして、全請求項にかかる発明に共通して、前記ディザー制御による補正量が付加される条件を、前記切換関数Sに基づいて下記条件より設定することにより、以下の効果が得られる。
S・ΔS≧0 但し、ΔSはSの変化量
例えば、切換弁等が不感帯にある定常状態から制御対象の目標位置(目標値)が変化する場合、不感帯から外れるまでの間は、制御対象の実際の位置は変化しないので、偏差と共に切換関数S(共に絶対値、以下同様)は増大しつづける。即ち、S・ΔS≧0となる。この間は、速やかに不感帯から外れて制御対象が迅速に動作を開始するように、無条件でディザー分を付加する。
【0024】
また、上記のようなディザー分の付加条件の設定は、スライディングモード制御における線形項(例えば偏差に比例的に設定)と共に、制御状態を切換線(S=0)にオーバーシュートを抑制しつつ速やかに近づけて、切換線上でのスライディングモードを開始させる機能も有する。
【0025】
また、請求項4に係る発明は、
前記制御対象が、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相であり、前記回転位相を目標値にフィードバック制御することで、吸・排気バルブの開閉時期を連続的に可変制御することを特徴とする。
【0026】
請求項4に係る発明によると、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させることで、バルブタイミングを連続的に変化させる構成において、スライディングモード制御にディザー制御を併用して、前記バルブタイミング(実質的な制御対象)を目標に高精度にフィードバック制御することができる。
【0027】
また、請求項5に係る発明は、
前記カムシャフトの回転位相は、油圧制御される油圧アクチュエータに対する油の給排を、切換弁によって選択的に制御することにより制御されることを特徴とする。
【0028】
請求項5に係る発明によると、
油圧アクチュエータに対する油の給排を、切換弁によって選択的に制御することにより、油圧アクチュエータの駆動方向が切り換えられると共に、油圧室への油量を調整することにより、カムシャフトの回転位相が、連続的に可変制御される。
【0029】
そして、該油圧制御機構にスライディング制御を適用することにより、前記切換弁の不感帯のバラツキ、油温や油圧などの外乱による影響を受けにくく、ロバスト性の高い制御を行うことができ、部品の加工精度を下げられ、加工コストを低減でき、さらにディザー制御を併用することにより、不感帯に対して木目細かな微調整を行なうことができ、制御精度を可及的に高めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図6は、本実施形態において、スライディングモード制御にディザー制御を併用してフィードバック制御を行なう内燃機関のバルブタイミング制御装置の機構部分を示すものであり、吸気バルブ側に適用したものを示す。
【0031】
図に示すバルブタイミング制御装置は、機関のクランクシャフト(図示省略)によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット1(タイミングスプロケット)と、該カムスプロケット1に対して相対回転可能に設けられたカムシャフト2と、該カムシャフト2の端部に固定されてカムスプロケット1内に回転自在に収容された回転部材3と、該回転部材3をカムスプロケット1に対して相対的に回転させる油圧回路4と、カムスプロケット1と回転部材3との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構10とを備えている。
【0032】
前記カムスプロケット1は、外周にタイミングチェーン(又はタイミングベルト)が噛合する歯部5aを有する回転部5と、該回転部5の前方に配置されて回転部材3を回転自在に収容したハウジング6と、該ハウジング6の前端開口を閉塞する蓋体たる円板状のフロントカバー7と、ハウジング6と回転部5との間に配置されてハウジング6の後端部を閉塞する略円板状のリアカバー8とから構成され、これら回転部5とハウジング6及びフロントカバー7,リアカバー8は、4本の小径ボルト9によって軸方向から一体的に結合されている。
【0033】
前記回転部5は、略円環状を呈し、周方向の約90°の等間隔位置に各小径ボルト9が螺着する4つの雌ねじ孔5bが前後方向へ貫通形成されていると共に、内部中央位置に後述する通路構成用のスリーブ25が嵌合する段差径状の嵌合孔11が貫通形成されている。更に、前端面には、前記リアカバー8が嵌合する円板状の嵌合溝12が形成されている。
【0034】
また、前記ハウジング6は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面の周方向の90°位置には、4つの隔壁部13が突設されている。この隔壁部13は、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング6の軸方向に沿って設けられて、各両端縁がハウジング6の両端縁と同一面になっていると共に、基端側には、小径ボルト9が挿通する4つのボルト挿通孔14が軸方向へ貫通形成されている。更に、各隔壁部13の内端面中央位置に軸方向に沿って切欠形成された保持溝13a内に、コ字形のシール部材15と該シール部材15を内方へ押圧する板ばね16が嵌合保持されている。
【0035】
更に、前記フロントカバー7は、中央の比較的大径なボルト挿通孔17が穿設されていると共に、前記ハウジング6の各ボルト挿通孔14と対応する位置に4つのボルト孔18が穿設されている。
【0036】
また、リアカバー8は、後端面に前記回転部材5の嵌合溝12内に嵌合保持される円板部8aを有していると共に、中央にスリーブ25の小径な円環部25aが嵌入する嵌入孔8cが穿設され、更に、前記ボルト挿通孔14に対応する位置に4つのボルト孔19が同じく形成されている。
【0037】
前記カムシャフト2は、シリンダヘッド22の上端部にカム軸受23を介して回転自在に支持され、外周面の所定位置に、バルブリフターを介して吸気バルブを開動作させるカム(図示省略)が一体に設けられていると共に、前端部にはフランジ部24が一体に設けられている。
【0038】
前記回転部材3は、フランジ部24と嵌合穴11にそれぞれ前後部が嵌合した前記スリーブ25を介して軸方向から挿通した固定ボルト26によってカムシャフト2の前端部に固定されており、中央に前記固定ボルト26が挿通するボルト挿通孔27aを有する円環状の基部27と、該基部27の外周面周方向の90°位置に一体に設けられた4つのベーン28a,28b,28c,28dとを備えている。
【0039】
前記第1〜第4ベーン28a〜28dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部13間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン28a〜28dの両側と各隔壁部13の両側面との間に、進角側油圧室32と遅角側油圧室33を構成する。また、各ベーン28a〜28dの外周面の中央に軸方向に切欠された保持溝29にハウジング6の内周面6aに摺接するコ字形のシール部材30と該シール部材30を外方に押圧する板ばね31がそれぞれ嵌着保持されている。
【0040】
前記ロック機構10は、前記回転部5の嵌合溝12の外周側所定位置に形成された係合溝20と、前記係合溝20に対応した前記リアカバー8の所定位置に貫通形成されて、内周面がテーパ状の係合孔21と、該係合孔21に対応した前記1つのベーン28の略中央位置に内部軸方向に沿って貫通形成された摺動用孔35と、該1つのベーン28の前記摺動用孔35内に摺動自在に設けられたロックピン34と、該ロックピン34の後端側に弾装されたばね部材であるコイルスプリング39と、ロックピン34と摺動用孔35との間に形成された受圧室40とから構成されている。
【0041】
前記ロックピン34は、中央側の中径状の本体34aと、該本体34aの先端側に略先細り円錐状に形成された係合部34bと、本体34aの後端側に形成された段差大径状のストッパ部34cとから構成されており、ストッパ部34cの内部凹溝34dの底面とフロントカバー7の内端面との間に弾装された前記コイルスプリング39のばね力によって係合孔21方向へ付勢されるようになっていると共に、前記本体34aとストッパ部34cとの間の外周面及び摺動用孔35の内周面との間に形成された受圧室40内の油圧によって、係合孔21から抜け出る方向に摺動するようになっている。また、この受圧室40は、前記ベーン28の側部に形成された通孔36によって前記遅角側油圧室33に連通している。また、ロックピン34の係合部34bは、回転部材3の最大遅角側の回動位置において係合部34bが係合孔21内に係入するようになっている。
【0042】
前記油圧回路4は、進角側油圧室32に対して油圧を給排する第1油圧通路41と、遅角側油圧室33に対して油圧を給排する第2油圧通路42との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路41,42には、供給通路43とドレン通路44とがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁45を介して接続されている。前記供給通路43には、オイルパン46内の油を圧送するオイルポンプ47が設けられている一方、ドレン通路44の下流端がオイルパン46に連通している。
【0043】
前記第1油圧通路41は、シリンダヘッド22内からカムシャフト2の軸心内部に形成された第1通路部41aと、固定ボルト26内部の軸線方向を通って頭部26a内で分岐形成されて第1通路部41aと連通する第1油路41bと、頭部26aの小径な外周面と回転部材3の基部27内に有するボルト挿通孔27aの内周面との間に形成されて第1油路41bに連通する油室41cと、回転部材3の基部27内に略放射状に形成されて油室41cと各進角側油圧室32に連通する4本の分岐路41dとから構成されている。
【0044】
一方、第2油圧通路42は、シリンダヘッド22内及びカムシャフト2の内部一側に形成された第2通路部42aと、前記スリーブ25の内部に略L字形状に折曲形成されて第2通路部42aと連通する第2油路42bと、回転部材5の嵌合孔11の外周側孔縁に形成されて第2油路42bと連通する4つの油通路溝42cと、リアカバー8の周方向の約90°の位置に形成されて、各油通路溝42cと遅角側油圧室33とを連通する4つの油孔42dとから構成されている。
【0045】
前記電磁切換弁45は、内部のスプール弁体が各油圧通路41,42と供給通路43及びドレン通路44a,44bとを相対的に切り換え制御するようになっていると共に、コントローラ48からの制御信号によって切り換え作動されるようになっている。
【0046】
具体的には、図4〜図6に示すように、シリンダブロック49の保持孔50内に挿通固定された筒状のバルブボディ51と、該バルブボディ51内の弁孔52に摺動自在に設けられて流路を切り換えるスプール弁体53と、該スプール弁体53を作動させる比例ソレノイド型の電磁アクチュエータ54とから構成されている。
【0047】
前記バルブボディ51は、周壁の略中央位置に前記供給通路43の下流側端と弁孔52とを連通する供給ポート55が貫通形成されていると共に、該供給ポート55の両側に前記第1,第2油圧通路41,42の他端部と弁孔52とを連通する第1ポート56及び第2ポート57がそれぞれ貫通形成されている。また、周壁の両端部には、両ドレン通路44a,44bと弁孔52とを連通する第3,第4ポート58,59が貫通形成されている。
【0048】
前記スプール弁体53は、小径軸部の中央に供給ポート55を開閉する略円柱状の第1弁部60を有していると共に、両端部に第3,第4ポート58,59を開閉する略円柱状の第2,第3弁部61,62を有している。また、スプール弁体53は、前端側の支軸53aの一端縁に有する傘部53bと弁孔52の前端側内周壁に有するスプリングシート51aとの間に弾装された円錐状の弁ばね63によって、図中右方向、つまり第1弁部60で供給ポート55と第2油圧通路42とを連通する方向に付勢されている。
【0049】
前記電磁アクチュエータ54は、コア64,移動プランジャ65,コイル66,コネクタ67などを備え、移動プランジャ65の先端に前記スプール弁体53の傘部53bを押圧する駆動ロッド65aが固定されている。
【0050】
前記コントローラ48は、機関回転速度を検出する回転センサ101や吸入空気量を検出するエアフローメータ102からの信号によって現在の運転状態(負荷、回転)を検出すると共に、クランク角センサ103及びカムセンサ104からの信号によってカムスプロケット1とカムシャフト2との相対回動位置、即ち、クランクシャフトに対するカムシャフト2の回転位相を検出する。
【0051】
前記コントローラ48は、前記電磁アクチュエータ54に対する通電量をデューティ制御信号に基づいて制御する。
例えば、コントローラ48から電磁アクチュエータ54にデューティ比0%の制御信号(OFF信号)を出力すると、スプール弁体53が弁ばね63のばね力で図4に示す位置、つまり、最大右方向に移動する。これによって、第1弁部60が供給ポート55の開口端55aを開成して第2ポート57と連通させると同時に、第2弁部61が第3ポート58の開口端を開成すると共に、第4弁部62が第4ポート59を閉止する。このため、オイルポンプ47から圧送された作動油は、供給ポート55,弁孔52,第2ポート57,第2油圧通路42を通って遅角側油圧室33に供給されると共に、進角側油圧室32内の作動油が、第1油圧通路41,第1ポート56,弁孔52,第3ポート58を通って第1ドレン通路44aからオイルパン46内に排出される。
【0052】
従って、遅角側油圧室33の内圧が高、進角側油圧室32の内圧が低となって、回転部材3は、ベーン28a〜28bを介して最大一方向に回転する。これによって、カムスプロケット1とカムシャフト2とは一方側へ相対回動して位相が変化し、この結果、吸気バルブの開時期が遅くなり、排気バルブとのオーバーラップが小さくなる。
【0053】
一方、コントローラ48から電磁アクチュエータ54にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、スプール弁体53が弁ばね63のばね力に抗して図6に示すように左方向へ最大に摺動して、第3弁部61が第3ポート58を閉止すると同時に、第4弁部62が第4ポート59を開成すると共に、第1弁部60が、供給ポート55と第1ポート56とを連通させる。このため、作動油は、供給ポート55、第1ポート56、第1油圧通路41を通って進角側油圧室32内に供給されると共に、遅角側油圧室33内の作動油が第2油圧通路42、第2ポート57、第4ポート59、第2ドレン通路44bを通ってオイルパン46に排出され、遅角側油圧室33が低圧になる。
【0054】
このため、回転部材3は、ベーン28a〜28dを介して他方向へ最大に回転し、これによって、カムスプロケット1とカムシャフト2とは他方側へ相対回動して位相が変化し、この結果、吸気バルブの開時期が早くなり(進角され)、排気バルブとのオーバーラップが大きくなる。
【0055】
前記コントローラ48は、第1弁部60が供給ポート55を閉止し、かつ、第3弁部61が第3ポート58を閉止し、かつ、第4弁部62が第4ポート59を閉止する位置となるデューティ比をベースデューティ比BASEDTYとする一方、クランク角センサ103及びカムセンサ104からの信号に基づいて検出されるカムスプロケット1とカムシャフト2との相対回動位置(回転位相)と、運転状態に応じて設定した前記相対回動位置(回転位相)の目標値(目標進角値)とを一致させるためのフィードバック補正分UFBDTYを設定し、前記ベースデューティ比BASEDTYとフィードバック補正分UFBDTYとの加算結果を最終的なデューティ比VTCDTYとし、該デューティ比VTCDTYの制御信号を電磁アクチュエータ54に出力するようにしてある。なお、前記ベースデューティ比BASEDTYは、供給ポート55,第3ポート58,第4ポート59が共に閉止され、いずれの油圧室32,33でも油の給排が行われないデューティ比範囲の略中央値(例えば50%)に設定されている。
【0056】
つまり、前記相対回動位置(回転位相)を遅角方向へ変化させる必要がある場合には、前記フィードバック補正分UFBDTYによりデューティ比が減少され、オイルポンプ47から圧送された作動油が遅角側油圧室33に供給されると共に、進角側油圧室32内の作動油がオイルパン46内に排出されるようになり、逆に、前記相対回動位置(回転位相)を進角方向へ変化させる必要がある場合には、前記フィードバック補正分UFBDTYによりデューティ比が増大され、作動油が進角側油圧室32内に供給されると共に、遅角側油圧室33内の作動油がオイルパン46に排出されるようになる。そして、前記相対回動位置(回転位相)を現状の状態に保持する場合には、前記フィードバック補正分UFBDTYの絶対値が減ることで、ベースデューティ比付近のデューティ比に戻るよう制御され、供給ポート55,第3ポート58,第4ポート59の閉止(油圧の給排の停止)により各油圧室32,33の内圧を保持するように制御される。
【0057】
ここで、前記フィードバック補正分UFBDTYが、スライディングモード制御とディザー制御との併用により、以下のように算出される。なお、以下では、前記検出されるカムスプロケット1とカムシャフト2との相対回動位置(回転位相)をバルブタイミング制御装置(VTC)の実角度、その目標値をVTCの目標角度として説明する。
【0058】
図7は、上記のように設計されたスライディングモード制御及びディザー制御を適用した前記コントローラ48による電磁アクチュエータ54のデューティ制御の様子を示すブロック図である。
【0059】
まず、スライディングモード制御部において、線形項算出部では、VTCの目標角度VTCTRGと実角度VTCNOWとの偏差PERRを算出し、該偏差PERRにP分ゲインcを乗じた比例分制御量UPと、実角度VTCNOWの微分値(d(VTCNOW)/dt)に速度ゲインdを乗じた速度制御量UN(=d×d(VTCNOW)/dt)を加算して線形項制御量ULを算出する。
【0060】
また、非線形項算出部では、前記偏差PERRに傾きγを乗じた値と、偏差PERRの微分値d(PERR)/dtとを加算して、切換関数Sを算出し、該切換関数Sを用いた平滑関数−kS/(|S|+δ)として非線形項制御量UNLを算出する。
【0061】
なお、前記平滑関数において、kは非線形項ゲイン、δはチャタリング防止係数である。
前記線形項制御量ULは、制御系(VTC)の状態を切換線(S=0)に近づける速さを調整する役割を有し、非線形項制御量UNLは、切換線上に沿ったスライディングモードを生じさせる役割を有する。これにより、初期状態から位相平面上の切換線(S=0)上にシステム状態を向かわせ、切換線(S=0)上に状態が乗ったら、切換線(S=0)上に拘束され滑りながら原点(目標値)に到達する(図8参照)。
【0062】
そして、前記線形項制御量ULと、非線形項制御量UNLとを加算して、スライディングモード制御におけるトータルの制御量UDTYを算出する。
一方、ディザー制御部において、付加判定部では、前記切換関数Sに基づいて、ディザー分(補正量)を付加するかを判定する。具体的には、S×ΔS≧0又は|S|≧S0(>0)のときにディザー分D0を付加し、それ以外の時つまり|S|<S0のときはディザー分D0の付加を停止する。つまり、D0=0とする。このようにして付加判定が行なわれた後、出力部からディザー分D0が出力される。
【0063】
即ち、切換弁が不感帯にある状態からVTCの目標角度が変化すると、図9に示すように、切換弁が不感帯から外れるまでの間は、実角度は変化しないので、偏差と共に切換関数S(共に絶対値、以下同様)は増大しつづけ、S・ΔS≧0となる。したがって、この間は、切換弁が速やかに不感帯から外れてVTCが速やかに動作を開始するように、無条件でディザー分を付加する。
【0064】
また、切換弁が不感帯から外れて、VTCが動作を開始すると、偏差と共に切換関数Sは減少し始めるが、目標角度にある程度近づくまで、即ち、|S|≧S0を満たしているときは、ディザー分を付加することにより、速やかに目標角度に接近させて高応答性を確保する。
【0065】
VTCが目標角度に接近して|S|<S0となったときは、ディザー分の付加を停止することにより、過度な制御量によるオーバーシュートを抑制し、速やかに目標角度に収束させることができる。
【0066】
なお、偏差PERR(目標角度−実角度)が正の値のときは、ディザー分D0は実角度を増大させる方向の値(例えば正の値)に設定され、偏差が負の値のときは、ディザー分D0は実角度を増大させる方向の値(例えば負の値)に設定される。
【0067】
また、ディザー分D0の値は、PID制御の場合は不感帯から抜け出すのに十分な大きさに設定されるが、本発明では、スライディングモード制御における前記非線形項がディザー制御の機能を大方果たすことになるので、ディザー分D0は微調整機能を持たせる程度の値に設定すればよい。但し、ディザー分D0を十分大きく設定し、油温,油圧による要求変化分をスライディングモード制御の非線形項で調整するように設計することもできる。
【0068】
そして、前記スライディングモード制御におけるトータルの制御量UDTYに、前記ディザー制御におけるディザー分D0(付加停止時はD0=0)を加算して、フィードバック補正分UFBDTYを算出し、該フィードバック補正分UFBDTYを前記不感帯中立位置相当のベースデューティ比BASEDTYと加算して該加算結果を最終的なデューティ比VTCDTYとして出力する。
【0069】
このように、基本的にはスライディングモード制御によって、前記切換弁の不感帯のバラツキ、油温や油圧などの外乱による影響を受けにくく、ロバスト性の高い制御を行うことができ、部品の加工精度を下げられ、加工コストを低減でき、かつ、ディザー制御による補正を行なうことにより、調整機能が作用して、最適な応答性が得られるなど制御性能が向上する。
【0070】
また、ディザー制御の負担が従来のPID制御で併用される場合に比較して軽減され、ディザー分の付加判定条件も従来の油温、油圧その他を含めた複雑な付加判定に比較して簡易な判定条件ですむ。特に、本実施の形態のように前記偏差PERRの関数として算出されている切換関数Sに基づくディザー分の付加判定では、ディザー分を該偏差に応じて必要時のみ付加させることができ、切換関数Sの流用により判定用の演算負荷も軽減される。また、上記のような切換関数Sに基づくディザー分の付加条件の設定は、スライディングモード制御における線形項(例えば偏差に比例的に設定)と共に、制御状態を切換線(S=0)にオーバーシュートを抑制しつつ速やかに近づけて、切換線上でのスライディングモードを開始させる機能も有する。ディザー分の付加判定としては、この他、偏差PERRに基づいて、例えば、PERR・ΔPERR≧0又は|PERR|>PERR0(>0)のときにディザー分を付加するような判定とすることもできる。
【0071】
このようにスライディングモード制御を含めた制御全体が簡易化され、ROMやRAMの容量も節約できる。
なお、上記の実施の形態では、前記油圧ベーン式VTCに適用したものを示したが、油圧制御式のVTCに限らず、電磁式のVTC等にも適用でき、かつ、本発明は、VTCに限定されることなく、基本的にスライディングモード制御により制御量を算出して制御対象を目標値にフィードバック制御する装置に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるバルブタイミング制御機構を示す断面図。
【図2】図1のB−B断面図。
【図3】上記バルブタイミング制御機構の分解斜視図。
【図4】上記バルブタイミング制御機構における電磁切換弁を示す縦断面図。
【図5】上記バルブタイミング制御機構における電磁切換弁を示す縦断面図。
【図6】上記バルブタイミング制御機構における電磁切換弁を示す縦断面図。
【図7】上記バルブタイミング制御機構の制御ブロック図。
【図8】上記バルブタイミング制御機構のスライディングモード制御時の目標角度への収束の様子を示すタイムチャート。
【図9】上記バルブタイミング制御機構の制御時の切換関数Sの変化と、それによるディザー分付加の有無を示す図。
【符号の説明】
2…カムシャフト
4…油圧回路
32…進角側油圧室
33…遅角側油圧室
45…電磁切換弁
47…オイルポンプ
53…スプール弁体
101…回転センサ
102…エアフローメータ
103…クランク角センサ
104…カムセンサ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a sliding mode control, for example, a sliding mode control device used for feedback control of a rotational phase of a camshaft with respect to a crankshaft of an internal combustion engine to a target value.
[0002]
[Prior art]
Japanese Laid-Open Patent Publication No. 10-141022 discloses a valve timing control device having such a configuration that continuously changes the intake / exhaust valve opening / closing timing by changing the rotational phase of the camshaft relative to the crankshaft. There is such a vane type valve timing control device.
[0003]
In this case, a recess is formed on the inner peripheral surface of a cylindrical housing fixed to the cam sprocket, while a vane of a impeller fixed to the camshaft is accommodated in the recess, The camshaft can be rotated relative to the cam sprocket within a range in which the wing can move.
[0004]
And the said wing | blade part hold | maintains the said wing | blade part in the intermediate position of the said recessed part by supplying and discharging oil relatively with respect to a pair of hydraulic chamber formed by dividing the said recessed part into the front and back of a rotation direction. The rotation phase is continuously variable. When the hydraulic pressure in the pair of hydraulic chambers is adjusted to the hydraulic pressure at which the target rotation phase is obtained, the hydraulic passage is closed by the control valve. It is configured to stop supply and discharge.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, as a control method of the camshaft rotation phase, PID control or the like is generally adopted. In this case, the control amount is a deviation (error) between the actual angle of the camshaft to be controlled and the target angle. Only) is calculated as a single variable.
[0006]
However, in order to execute the PID control with high responsiveness, it is desirable to variably set the feedback gain because the viscosity of the oil changes according to the oil temperature and oil pressure. However, matching of the settings is not easy.
[0007]
Also, in hydraulic control, there is a large operating dead zone of the switching valve (spool valve) that switches between oil supply and discharge. In order to overcome this dead zone, dither control is performed by adding a dither component separately from PID. However, it is necessary to finely set the additional judgment for dither, and it becomes complicated control, which takes up the capacity of ROM and RAM, and in order to secure the control accuracy by reducing the variation of the dead zone width for each part In this case, the machining accuracy of the parts had to be increased, and the machining cost was increased.
[0008]
For this reason, the transition from general PID control to sliding mode control in which the influence of disturbance is small is being studied.
The present invention has been made in view of such a situation, and an object of the present invention is to provide an apparatus capable of performing higher-precision control in an apparatus that performs feedback control by sliding mode control.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
For this reason, the invention according to claim 1
In a sliding mode control device that calculates a control amount by sliding mode control and performs feedback control of a control target to a target value,
The control amount calculated by the sliding mode control is corrected by dither control.Control
And while calculating the switching function S in the said sliding mode control by the following arithmetic expression,
The condition for adding the correction amount by the dither control is set from the following conditions based on the switching function S.
Formula for the switching function S;
S = γ × PERR + d (PERR) / dt
γ: inclination
PERR: Deviation between the target value to be controlled and the actual value
d (PERR) / dt: differential value of the above deviation
Conditions for adding a correction amount by dither control;
S · ΔS ≧ 0 where ΔS is the amount of change in S
[0010]
According to the invention of claim 1,
By sliding mode control, it is possible to perform highly robust control with less influence of disturbance compared to feedback control by normal PID control, etc., and at the same time, more accurate control can be performed by correcting by dither control. Can be done.
[0012]
Also,Switching function in sliding mode controlSCan be given as a function of the deviation between the target value of the control target and the actual value, a control amount (nonlinear term) corresponding to the deviation can be given, so that the dead zone can be overcome. Control amount is automatically calculated, and feedback control with good responsiveness can be performed.
[0013]
Further, by performing correction by dither control, the nonlinear term in the sliding mode control is finely adjusted, and high-accuracy control that secures optimum responsiveness can be performed. In other words, since the dither control only needs to have an adjustment function that supplements the sliding mode control, the control including the additional determination conditions is simplified compared to the dither control added in the conventional PID control. RAM capacity can also be saved.
[0015]
further,The switching functionSIs calculated as a function of the deviation, the correction amount by the dither control can be added only when necessary according to the deviation. In addition, a switching function calculated for sliding mode control may be used, and the calculation load for determination is reduced.
[0016]
AndAs the switching coefficient S, in addition to the deviation PERR between the target value to be controlled and the actual value, the differential value d (PERR) / dt of the deviation is given, so that the sliding mode along the switching line is smoother. It can be.
[0017]
Also,Claim 2The invention according to
The switching function S is calculated by the following equation.
S = γ × PERR + d (NOW) / dt
γ: inclination
PERR: Deviation between the target value to be controlled and the actual value
d (NOW) / dt: Actual speed of the controlled object
SaidClaim 1Even if the actual speed, which is the differential value of the position to be controlled, is given instead of the differential value d (PERR) / dt of the deviation PERR amount at, the sliding mode along the switching line is similarly smoothed. be able to.
[0018]
Also,Claim 3The invention according to
The control amount U in the sliding mode control is calculated by the following equation.
[0019]
U = c * PERR + d * {d (NOW) / dt} -K [S / (| S | + δ)]
d (NOW) / dt: Speed of change of control target
c, d: constant
δ: Chattering prevention coefficient
Claim 3According to the invention according to
The linear term control amount UL represented by c × PERR + d × {d (NOW) / dt] has a role of adjusting the speed at which the state of the control system approaches the switching line (S = 0), and −K [ Nonlinear term control amount U expressed by (S / (| S | + δ)]NLHas a role of generating a sliding mode along the switching line.
[0021]
In addition, by setting the conditions for adding the correction amount by the dither control from the following conditions based on the switching function S, the following effects can be obtained in common with the inventions according to all the claims.
S · ΔS ≧ 0 where ΔS is the amount of change in S
For example,When the target position (target value) of the controlled object changes from the steady state where the switching valve or the like is in the dead zone, the actual position of the controlled object does not change until it is out of the dead zone. The absolute value (same below) continues to increase. That is, S · ΔS ≧ 0. During this time, the dither is added unconditionally so that the control object quickly moves out of the dead zone and starts operating quickly.
[0024]
Further, the setting of the additional condition for the dither as described above is promptly performed while the control state is set to the switching line (S = 0) and the overshoot is suppressed together with the linear term (for example, set in proportion to the deviation) in the sliding mode control. It also has a function of starting a sliding mode on the switching line.
[0025]
Also,Claim 4The invention according to
The control object is a rotational phase of a camshaft with respect to a crankshaft of an internal combustion engine, and the open / close timing of intake and exhaust valves is continuously variably controlled by feedback controlling the rotational phase to a target value. To do.
[0026]
Claim 4According to the present invention, in the configuration in which the valve timing is continuously changed by changing the rotational phase of the camshaft with respect to the crankshaft, the valve timing (substantial control) is combined with sliding mode control and dither control. The target can be feedback controlled with high accuracy.
[0027]
Also,Claim 5The invention according to
The rotational phase of the camshaft is controlled by selectively controlling the supply and discharge of oil to and from a hydraulic actuator that is hydraulically controlled by a switching valve.
[0028]
Claim 5According to the invention according to
By selectively controlling the supply and discharge of oil to and from the hydraulic actuator, the drive direction of the hydraulic actuator can be switched by adjusting the amount of oil to the hydraulic chamber, and the camshaft rotation phase can be continuously controlled. Are variably controlled.
[0029]
And, by applying sliding control to the hydraulic control mechanism, it is difficult to be affected by disturbances such as the dead zone of the switching valve, disturbances such as oil temperature and hydraulic pressure, and it is possible to perform highly robust control and process parts The accuracy can be lowered, the processing cost can be reduced, and by using the dither control together, fine adjustment can be made to the dead zone, and the control accuracy can be increased as much as possible.
[0030]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below.
1 to 6 show a mechanism portion of a valve timing control device for an internal combustion engine that performs feedback control using sliding mode control together with dither control in this embodiment, and is applied to the intake valve side. Show.
[0031]
The valve timing control device shown in the figure is provided so as to be rotatable relative to the cam sprocket 1 (timing sprocket) that is rotationally driven via a timing chain by an engine crankshaft (not shown).
[0032]
The cam sprocket 1 includes a
[0033]
The rotating
[0034]
The
[0035]
Further, the
[0036]
The
[0037]
The
[0038]
The rotating
[0039]
The first to
[0040]
The
[0041]
The
[0042]
The
[0043]
The first
[0044]
On the other hand, the second
[0045]
The
[0046]
Specifically, as shown in FIGS. 4 to 6, a
[0047]
The
[0048]
The
[0049]
The
[0050]
The
[0051]
The
For example, when a control signal (OFF signal) with a duty ratio of 0% is output from the
[0052]
Therefore, the internal pressure of the retard side
[0053]
On the other hand, when a control signal (ON signal) with a duty ratio of 100% is output from the
[0054]
For this reason, the rotating
[0055]
The
[0056]
That is, when it is necessary to change the relative rotation position (rotation phase) in the retarding direction, the duty ratio is reduced by the feedback correction amount UFBDTY, and the hydraulic oil pumped from the
[0057]
Here, the feedback correction amount UFBDTY is calculated as follows by using sliding mode control and dither control together. In the following description, the detected relative rotation position (rotation phase) between the cam sprocket 1 and the
[0058]
FIG. 7 is a block diagram showing a state of duty control of the
[0059]
First, in the sliding mode control unit, the linear term calculation unit calculates a deviation PERR between the target angle VTCTRG of the VTC and the actual angle VTCNOW, and a proportional control amount U obtained by multiplying the deviation PERR by a P-component gain c.PAnd the speed control amount U obtained by multiplying the differential value (d (VTCNOW) / dt) of the actual angle VTCNOW by the speed gain d.N(= D × d (VTCNOW) / dt) is added to the linear term control amount ULIs calculated.
[0060]
The nonlinear term calculation unit calculates a switching function S by adding a value obtained by multiplying the deviation PERR by the slope γ and a differential value d (PERR) / dt of the deviation PERR, and uses the switching function S. Nonlinear term control amount U as smoothing function −kS / (| S | + δ)NLIs calculated.
[0061]
In the smoothing function, k is a nonlinear term gain, and δ is a chattering prevention coefficient.
The linear term control amount ULHas a role of adjusting the speed at which the state of the control system (VTC) is brought close to the switching line (S = 0), and the nonlinear term control amount UNLHas a role of generating a sliding mode along the switching line. As a result, when the system state is shifted from the initial state to the switching line (S = 0) on the phase plane and the state is on the switching line (S = 0), the system line is restrained on the switching line (S = 0). The origin (target value) is reached while sliding (see FIG. 8).
[0062]
And the linear term control amount ULAnd the nonlinear term control amount UNLAre added to calculate the total control amount UDTY in the sliding mode control.
On the other hand, in the dither control unit, the addition determination unit determines whether to add a dither amount (correction amount) based on the switching function S. Specifically, the dither amount D0 is added when S × ΔS ≧ 0 or | S | ≧ S0 (> 0), and the addition of the dither amount D0 is stopped at other times, that is, when | S | <S0. To do. That is, D0 = 0. After the addition determination is performed in this manner, the dither amount D0 is output from the output unit.
[0063]
That is, when the target angle of the VTC changes from the state in which the switching valve is in the dead zone, the actual angle does not change until the switching valve is removed from the dead zone, as shown in FIG. The absolute value (same below) continues to increase and S · ΔS ≧ 0. Therefore, during this time, the dither is unconditionally added so that the switching valve is quickly removed from the dead zone and the VTC starts to operate quickly.
[0064]
When the switching valve moves out of the dead zone and the VTC starts to operate, the switching function S begins to decrease with the deviation. However, until the target angle is approached to some extent, that is, when | S | ≧ S0 is satisfied, By adding the minute, it quickly approaches the target angle to ensure high responsiveness.
[0065]
When the VTC approaches the target angle and | S | <S0, by stopping the addition of the dither, it is possible to suppress overshoot due to an excessive control amount and quickly converge to the target angle. .
[0066]
When the deviation PERR (target angle−actual angle) is a positive value, the dither amount D0 is set to a value in a direction that increases the actual angle (for example, a positive value), and when the deviation is a negative value, The dither amount D0 is set to a value (for example, a negative value) in a direction that increases the actual angle.
[0067]
In addition, the value of the dither amount D0 is set to a value large enough to get out of the dead band in the case of PID control, but in the present invention, the nonlinear term in the sliding mode control largely performs the function of the dither control. Therefore, the dither amount D0 may be set to a value that gives a fine adjustment function. However, the dither amount D0 can be set to be sufficiently large, and the required change due to the oil temperature and hydraulic pressure can be adjusted by the nonlinear term of the sliding mode control.
[0068]
Then, the dither amount D0 in the dither control (D0 = 0 at the time of addition stop) is added to the total control amount UDTY in the sliding mode control to calculate the feedback correction amount UFBDTY, and the feedback correction amount UFBDTY is calculated. The base duty ratio BASEDTY corresponding to the dead zone neutral position is added and the addition result is output as the final duty ratio VTCDTY.
[0069]
In this way, basically, the sliding mode control makes it difficult to be affected by disturbances such as the dead zone of the switching valve, disturbances such as oil temperature and hydraulic pressure, and the control can be performed with high robustness, and the machining accuracy of the parts can be increased. By reducing the machining cost and performing correction by dither control, the adjustment function acts to improve the control performance such as obtaining an optimum response.
[0070]
In addition, the burden of dither control is reduced compared to the case where the conventional PID control is used together, and the additional determination conditions for the dither are also simpler than the complicated additional determination including the conventional oil temperature, hydraulic pressure, etc. Judgment conditions are sufficient. In particular, in the addition determination of the dither based on the switching function S calculated as a function of the deviation PERR as in the present embodiment, the dither can be added only when necessary according to the deviation. The diversion of S also reduces the calculation load for determination. Further, the setting of the additional condition for the dither based on the switching function S as described above is performed by overshooting the control state on the switching line (S = 0) together with a linear term (for example, set in proportion to the deviation) in the sliding mode control. It also has a function of quickly approaching while suppressing and starting a sliding mode on the switching line. In addition to this, the addition determination of the dither may be determined based on the deviation PERR, for example, the addition of the dither when PERR · ΔPERR ≧ 0 or | PERR |> PERR0 (> 0). .
[0071]
In this way, the entire control including the sliding mode control is simplified, and the capacity of the ROM and RAM can be saved.
In the above embodiment, the one applied to the hydraulic vane type VTC is shown. However, the present invention can be applied not only to the hydraulic control type VTC but also to an electromagnetic type VTC, and the present invention is applied to the VTC. Without being limited thereto, the present invention can be widely applied to apparatuses that basically calculate a control amount by sliding mode control and perform feedback control of a control target to a target value.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a valve timing control mechanism in an embodiment.
2 is a cross-sectional view taken along the line BB in FIG.
FIG. 3 is an exploded perspective view of the valve timing control mechanism.
FIG. 4 is a longitudinal sectional view showing an electromagnetic switching valve in the valve timing control mechanism.
FIG. 5 is a longitudinal sectional view showing an electromagnetic switching valve in the valve timing control mechanism.
FIG. 6 is a longitudinal sectional view showing an electromagnetic switching valve in the valve timing control mechanism.
FIG. 7 is a control block diagram of the valve timing control mechanism.
FIG. 8 is a time chart showing how the valve timing control mechanism converges to a target angle during sliding mode control.
FIG. 9 is a diagram showing a change in the switching function S during the control of the valve timing control mechanism and whether or not dither is added due to the change.
[Explanation of symbols]
2 ... Camshaft
4 ... Hydraulic circuit
32 ... Advance side hydraulic chamber
33 ... retarded-side hydraulic chamber
45 ... Electromagnetic switching valve
47 ... Oil pump
53 ... Spool valve body
101 ... Rotation sensor
102 ... Air flow meter
103 ... Crank angle sensor
104: Cam sensor
Claims (5)
前記スライディングモード制御により算出される制御量を、ディザー制御により補正して制御し、
かつ、前記スライディングモード制御における切換関数Sを下記演算式により算出するとともに、
前記ディザー制御による補正量が付加される条件を、前記切換関数Sに基づいて下記条件より設定することを特徴とするスライディングモード制御装置。
切換関数Sの演算式;
S=γ×PERR+d(PERR)/dt
γ:傾き
PERR:制御対象の目標値と実際の値との偏差
d(PERR)/dt:上記偏差の微分値
ディザー制御による補正量が付加される条件;
S・ΔS≧0 但し、ΔSはSの変化量 In a sliding mode control device that calculates a control amount by sliding mode control and performs feedback control of a control target to a target value,
The control amount calculated by the sliding mode control is corrected and controlled by dither control ,
And while calculating the switching function S in the said sliding mode control by the following arithmetic expression,
A sliding mode control apparatus, wherein a condition for adding a correction amount by the dither control is set from the following condition based on the switching function S.
Formula for the switching function S;
S = γ × PERR + d (PERR) / dt
γ: inclination
PERR: Deviation between the target value to be controlled and the actual value
d (PERR) / dt: differential value of the above deviation
Conditions for adding a correction amount by dither control;
S · ΔS ≧ 0 where ΔS is the amount of change in S
前記スライディングモード制御により算出される制御量を、ディザー制御により補正して制御し、The control amount calculated by the sliding mode control is corrected and controlled by dither control,
かつ、前記スライディングモード制御における切換関数Sを下記演算式により算出するとともに、And while calculating the switching function S in the said sliding mode control by the following arithmetic expression,
前記ディザー制御による補正量が付加される条件を、前記切換関数Sに基づいて下記条件より設定することを特徴とするスライディングモード制御装置。A sliding mode control apparatus, wherein a condition for adding a correction amount by the dither control is set based on the switching function S based on the following condition.
切換関数Sの演算式;Formula for the switching function S;
S=γ×PERR+d(NOW)/dtS = γ × PERR + d (NOW) / dt
γ:傾きγ: inclination
PERR:制御対象の目標値と実際の値との偏差PERR: Deviation between the target value to be controlled and the actual value
d(NOW)/dt:制御対象の変化速度d (NOW) / dt: Speed of change of control target
ディザー制御による補正量が付加される条件;Conditions for adding a correction amount by dither control;
S・ΔS≧0 但し、ΔSはSの変化量S · ΔS ≧ 0 where ΔS is the amount of change in S
U=c×PERR+d×{d(NOW)/dt}−K[S/(|S|+δ)]
d(NOW)/dt:制御対象の変化速度
c,d:定数
δ:チャタリング防止係数 The sliding mode control device according to claim 1 or 2, wherein the control amount U in the sliding mode control is calculated by the following equation.
U = c * PERR + d * {d (NOW) / dt} -K [S / (| S | + δ)]
d (NOW) / dt: speed of change c, d: constant δ: chattering prevention coefficient
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