JP3612794B2 - 光電子集積回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ通信などで使用される、光を受信して電気信号に変換する光電子集積回路、および、これを用いる光情報伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ通信の発展に伴い、この分野で使用される光送受信器や光情報伝送網は高速性や小型化が要求されている。これらの要求を満たすため、受光素子とトランジスタとを組み合わせた光電子集積回路や、光電子集積回路と光伝送路網を用いた光情報伝送システムが、研究・試作されている。
【0003】
光電子集積回路として、例えば、「S. Chandrasekhar, etal., IEEE Photon. Technol. Lett., vol.3, No.9, 1991, pp.823−825 」や「矢野ら、1991年電子情報通信学会春季大会、C−179」に示されるような光電子集積回路が報告されている。
【0004】
図8は、従来の光電子集積回路の回路図である。この図に示される光電子集積回路では、8個のフォトダイオードPD1ないしPD8と、多数のトランジスタや抵抗、および、フォトダイオードPD1ないしPD8それぞれに対応する同数の出力端子OP1ないしOP8とが、半導体基板上に形成されて、それぞれのフォトダイオードPDi(i=1,2,3,..,8)に入射した光の光量に応じた電気信号を、そのフォトダイオードに対応する出力端子OPiから、半導体基板外部に取り出していた。そして、この光電子集積回路の出力端子OPiから出力されたそれぞれの信号を、別に設けたセレクタ回路に入力して、所望の1つのフォトダイオードが受信した光信号を選択して取り出していた。
【0005】
又、従来、光情報伝送システムとして、例えば、「C. Lin, ”Optoelectronic Technology and Lightwave Communications Systems”, Chap.18, Van Nostrand Reinhold (1989) 」に示されるような光情報伝送システムがある。
【0006】
図9は、従来の光情報伝送システムの光伝送路網トポロジである。従来の光情報伝送システムでは、複数の光接続ノードは、スター状(図9(a))、バス状(図9(b))またはループ状(図9(c))のトポロジの光伝送路網で接続されて、1つの光接続ノードから出力された光信号は、この光伝送路網を経由して、他の光接続ノードへ伝送される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の光電子集積回路では、集積化しようとするフォトダイオードの数が増加すると、単純にはそのフォトダイオード数に比例して半導体基板面積が増加する。しかし、半導体基板上に形成されるフォトダイオードの個数に応じて、それぞれの出力端子からの電気信号を、その半導体基板が実装されているパッケージ外部へ取り出す為のボンディングパッドも増える。これらのボンディングパッドを半導体基板上の周辺部に配置する必要があるため、実際には、フォトダイオードの集積度は半導体基板上のボンディングパッドの数に制約されるという問題点がある。更に、ボンディングパッド数が増えると、半導体基板を実装するパッケージが大きくなり、又、実装不良の割合が増加するという問題点もある。
【0008】
又、通常、フォトダイオードから直接出力される信号は弱いので、増幅回路を設けて増幅する必要がある。もし、増幅回路を光電子集積回路内に設けるとすれば、それぞれのフォトダイオードに対応して同数の増幅回路を設ける必要があるため、半導体基板面積は更に大きくなり、又、消費電力が大きくなるという問題点がある。一方、増幅回路を光電子集積回路とは別に設けると、光電子集積回路から出力されたフォトダイオード出力が、セレクタ回路を経て増幅回路に到達するまでに雑音が混入して誤動作やクロストークを招くという問題点がある。
【0009】
従来の光情報伝送システムでは、光伝送路網に接続される複数の光接続ノードが同時に光信号を伝送する場合に問題がある。即ち、スター状の光伝送路網の場合には、第1の光接続ノードから他の第2の光接続ノードへ光信号を伝送するに際して、これらとは別の第3の光接続ノードを経由することがある。又、バス状またはループ状の光伝送路網の場合には、1本の光ファイバに対して同時に光信号を出力することができる光接続ノードは唯1つに限られ、その他の光接続ノードは、光信号が伝送されてくるのを待っている状況であり、処理が実質的に停止している。従って、複数の光接続ノードから同時に光信号を出力することはできないので、光情報伝送速度向上に関して問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、小型で、消費電力が少なく、安定した出力を得ることができる光電子集積回路、及び、この光電子集積回路を用いるのに好適で光情報伝送を高速に行うことができる光情報伝送システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光電子集積回路は、(1)入射する光の光量を光量に応じた電気信号に変換する光電変換素子と、受光素子選択信号に応じて電気信号を出力制御するスイッチ素子と、をそれぞれ備える複数の受光素子と、(2)アドレス信号を入力し、アドレス信号に応じて複数の受光素子の内の何れかの受光素子を指示する受光素子選択信号を出力する受光素子選択部と、(3)受光素子選択信号によって指示された受光素子から出力される電気信号を入力して、電気信号に応じた出力信号を出力する出力部と、を備えて、半導体基板上にモノリシックに形成されることを特徴とする。
【0012】
光電変換素子は、フォトダイオードであり、スイッチ素子は、エミッタ端子がフォトダイオードのカソード端子に接続するnpn型バイポーラトランジスタであり、出力部は、受光素子選択信号によって指定された受光素子のnpn型バイポーラトランジスタのコレクタ端子に流れる電流信号を入力して電流信号に応じた電圧信号に変換して出力する、こととしてもよい。この時、受光素子選択信号は、npn型バイポーラトランジスタのベース端子に入力してもよいし、フォトダイオードのアノード端子に入力してもよい。
【0013】
光電変換素子は、フォトダイオードであり、スイッチ素子は、エミッタ端子がフォトダイオードのアノード端子に接続するpnp型バイポーラトランジスタであり、出力部は、受光素子選択信号によって指定された受光素子のpnp型バイポーラトランジスタのコレクタ端子に流れる電流信号を入力して電流信号に応じた電圧信号に変換して出力する、こととしてもよい。この時、受光素子選択信号は、pnp型バイポーラトランジスタのベース端子に入力してもよいし、フォトダイオードのカソード端子に入力してもよい。
【0014】
フォトダイオードはpin型フォトダイオードであるのが好ましい。複数の受光素子は半導体基板上に2次元状に配列されるのが好ましい。半導体基板はInPであるのが好ましい。
【0022】
【作用】
本発明に係る光電子集積回路は上述のように構成されるので以下のように作用する。
【0023】
受光素子選択部にアドレス信号が入力されると、そのアドレス信号に応じた受光素子選択信号が出力される。この受光素子選択信号は、複数の受光素子の内の何れかの受光素子を指示する。受光素子選択信号により指定された受光素子では、スイッチ素子がオン状態となり、光電変換素子に入射して光電変換された電気信号は、受光素子から出力される。それ以外の受光素子では、スイッチ素子がオフ状態となり、光電変換素子に入射して光電変換された電気信号は、受光素子から出力されない。これによって、アドレス信号に応じた受光素子選択信号によって選択された受光素子からのみ電気信号が出力され、その電気信号は、出力部に入力し、その電気信号に応じた出力信号に変換されて出力される。
【0024】
光電変換素子がフォトダイオードであり、スイッチ素子が、エミッタ端子がフォトダイオードのカソード端子に接続するnpn型バイポーラトランジスタである場合には、npn型バイポーラトランジスタのベース端子またはフォトダイオードのアノード端子に入力される受光素子選択信号によって、フォトダイオードで光電変換された電気信号が、npn型バイポーラトランジスタのコレクタ端子に電流信号として出力されるのが制御される。このコレクタ端子に出力される電流信号は、出力部に入力されて、電圧信号に変換されて出力される。
【0025】
光電変換素子がフォトダイオードであり、スイッチ素子が、エミッタ端子がフォトダイオードのアノード端子に接続するpnp型バイポーラトランジスタである場合には、pnp型バイポーラトランジスタのベース端子またはフォトダイオードのカソード端子に入力される受光素子選択信号によって、フォトダイオードで光電変換された電気信号が、pnp型バイポーラトランジスタのコレクタ端子に電流信号として出力されるのが制御される。このコレクタ端子に出力される電流信号は、出力部に入力されて、電圧信号に変換されて出力される。
【0026】
フォトダイオードがpin型フォトダイオードである場合には、低い動作電圧で動作し、半導体基板上に集積化するに好適である。複数の受光素子が半導体基板上に2次元状に配列される場合には、光伝送路と受光素子との位置調整を容易に行える。半導体基板がInPである場合には、その基板上に形成されるフォトダイオードは、広い波長帯域の光信号を受信し得る。
【0034】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
(第1の実施例)
先ず、第1の実施例について説明する。本実施例は、外部から与えられるアドレス信号に応じて複数の受光素子から1つの受光素子が選択されて、その1つの受光素子から出力される信号を外部に出力する光電子集積回路である。図1は、第1の実施例に係る光電子集積回路の構成図である。
【0036】
本実施例に係る光電子集積回路は、(1)半導体基板100上に2次元状に形成された複数の受光素子からなる受光部110と、(2)外部から入力されるアドレス信号200の値に応じて受光部110内の複数の受光素子の内の1つの受光素子を指示する受光素子選択信号を出力する受光素子選択部120および121と、(3)受光素子選択部120および121から出力された受光素子選択信号で指示された受光素子からの出力を増幅して半導体基板100外部に向けて出力する出力バッファ130と、を備える。
【0037】
半導体基板100は、この光電子集積回路が受光すべき光の波長に対して感度よい受光素子を形成することができる材料であることが好ましい。一般に光ファイバ通信には、GaAs基板上に形成され0.8μmないし1.0μm帯の波長の光を出力する発光素子、或いは、InP基板上に形成され1.3μmないし1.55μm帯の波長の光を出力する発光素子が使用される。これらの波長帯域の光を効率よく受光する受光素子を形成するために、半導体基板100は、InPを用いるのが好ましい。
【0038】
受光部110は、半導体基板100上に2次元状に複数の受光素子が形成されてなる。受光素子は、入射した信号光の光量に応じた電気信号に変換する光電変換素子と、その電気信号を出力制御するスイッチ素子とからなる。光電変換素子として例えばフォトダイオードが形成される。スイッチ素子として例えばトランジスタが形成される。本実施例の説明においては、受光部110は、64(=8×8)個の受光素子PDij(i,j=0,1,2,..,7)が2次元状に配置されているとする。尚、受光部110において第 (i+1)行第 (j+1)列(i,j=0,1,2,..,7)にある受光素子を符号PDijで表す。
【0039】
受光素子選択部120と121は、半導体基板100外部から入力されたアドレス信号200を入力し、そのアドレス信号200の値に応じて、受光部110内の64個の受光素子PDij(i,j=0,1,2,..,7)の内から1つの受光素子PDmnを指示する受光素子選択信号を出力する。受光素子の個数が64個である場合には、アドレス信号200の値は6ビット(=log64)でよい。
【0040】
例えば、受光素子選択部120は、6ビットのアドレス信号200の値の内の上位3ビット信号210の値を入力して、指定されるべき受光素子の行位置mを指定する行選択信号220を出力する。受光素子選択部121は、6ビットのアドレス信号200の値の内の下位3ビット信号211の値を入力して、指定されるべき受光素子の列位置nを指定する列選択信号221を出力する。受光素子選択部120から出力された行選択信号220の値と受光素子選択部121から出力された列選択信号221の値とから、受光部110から1つの受光素子PDmnが指定される。
【0041】
出力バッファ130は、受光素子選択部120および121で指定された1つの受光素子PDmnからの出力230を増幅して、半導体基板100外部に向けて出力信号240を出力する。
【0042】
次に、1つの受光素子の構成について説明する。図2は、1つの受光素子の回路図である。
【0043】
受光素子は、光電変換素子であるpin型フォトダイオードと、スイッチ素子であるバイポーラトランジスタとを含んで構成される。pin型フォトダイオードは、アバランシュフォトダイオードが要求するような高い動作電圧が必要でなく、集積化に好適である。バイポーラトランジスタは、電界効果型トランジスタに比べてしきい値電圧が一定であって、比較器機能を実現するのに好適である。
【0044】
図2(a)に示した受光素子は、pin型フォトダイオード300とnpn型バイポーラトランジスタ310とから構成され、pin型フォトダイオード300のカソード端子300cとnpn型バイポーラトランジスタ310のエミッタ端子310eとが接続される。
【0045】
このような受光素子が、光電子集積回路の受光部110に2次元状に配置される。全ての受光素子のnpn型バイポーラトランジスタのコレクタ端子が共通にされて、出力バッファ130の入力端に接続される。或いは、全ての受光素子のpin型フォトトランジスタのアノード端子が共通にされて、出力バッファ130の入力端に接続されてもよい。
【0046】
この受光素子が受光素子選択部120および121で指定されている時には、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cの電位およびベース端子310bの電位は、pin型フォトダイオード300のアノード端子300aの電位よりも高電位に設定される。指定されていない時には、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cの電位またはベース端子310bの電位は、pin型フォトダイオード300のアノード端子300aの電位よりも低電位に設定される。
【0047】
そして、受光素子が受光素子選択部120および121で指定されている時には、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cとpin型フォトダイオード300のアノード端子300aとの間に流れる電流信号は、出力バッファ130に入力し、出力バッファ130で増幅され電圧信号に変換される。
【0048】
例えば、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cには常に1Vが印加されている。そして、この受光素子が受光素子選択部120および121で指定されている時には、npn型バイポーラトランジスタ310のベース端子310bには0Vが、pin型フォトダイオード300のアノード端子300aには−2Vが、印加される。指定されていない時には、npn型バイポーラトランジスタ310のベース端子310bには−4Vが、pin型フォトダイオード300のアノード端子300aには−2Vが、印加される。又、指定されていない時には、npn型バイポーラトランジスタ310のベース端子310bには0Vが、pin型フォトダイオード300のアノード端子300aには2Vが、印加されてもよい。
【0049】
このように、受光素子選択部120から出力される行選択信号220および受光素子選択部121から出力される列選択信号221に応じて、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cとベース端子310bおよびpin型フォトダイオード300のアノード端子300aの各電位を設定すれば、受光素子選択部120および121で指定されている受光素子PDmnについては、pin型フォトダイオード300には逆バイアス電圧が印加され、且つ、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cとエミッタ端子310eとの間は低抵抗状態になるので、pin型フォトダイオード300が受光した光の光量に応じて発生した電流が、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cとpin型フォトダイオード300のアノード端子300aとの間に流れる。それ以外の受光素子については、pin型フォトダイオード300には順バイアス電圧が印加されるので、pin型フォトダイオード300に入射した光の光量に応じた電流が、npn型バイポーラトランジスタ310のコレクタ端子310cとpin型フォトダイオード300のアノード端子300aとの間には流れることはない。従って、出力バッファ130には、受光素子選択部120および121で指定された受光素子PDmnのpin型フォトダイオードが受光した光信号に応じて発生した電流信号230のみが入力される。
【0050】
図2(b)に示した受光素子は、pin型フォトダイオード320とpnp型バイポーラトランジスタ330とから構成され、pin型フォトダイオード320のアノード端子320aとpnp型バイポーラトランジスタ330のエミッタ端子330eとが接続される。
【0051】
この場合も、図2(a)の場合と同様に、pin型フォトトランジスタ320のカソード端子320cの電位に対して、pnp型バイポーラトランジスタ330のコレクタ端子330cおよびベース端子330bの電位を適切に設定することにより、この受光素子が受光素子選択部120および121で指定されている時にのみ、pin型フォトダイオード320が受光した光の光量に応じて発生した電流が、pnp型バイポーラトランジスタ330のコレクタ端子330cとpin型フォトダイオード320のカソード端子320cとの間に流れる。
【0052】
以上のように構成すれば、受光素子PDij(i,j=0,1,2,..,7)の内から受光素子選択部120および121によって指定された1つの受光素子PDmnに到達した光信号に応じて発生した電流信号は、出力バッファ130に入力して、出力バッファ130において電圧信号に変換されて、出力信号240として光電子集積回路から取り出される。従って、出力信号240を取り出すのに必要な端子数は1つでよいので、光電子集積回路の半導体基板のサイズやパッケージは小さい。又、出力バッファを1つだけ備えればよいので、消費電力は少ない。
【0053】
本実施例に係る光電子集積回路は以上のように構成されるので以下のように作用する。
【0054】
例えば、半導体基板100外部から入力されたアドレス信号200の値が2進表記で101011であるとする。この時、受光素子選択部120に入力される3ビットのアドレス信号210の値は101であり、受光素子選択部120から出力される行選択信号220の値は5である。受光素子選択部121に入力される3ビットのアドレス信号211の値は011であり、受光素子選択部121から出力される列選択信号221の値は3である。従って、このアドレス信号210の値は、受光素子PD53が指定されるべきことを示している。
【0055】
従って、受光部110内の64個の受光素子PDij(i,j=0,1,2,..,7)の内、PD53のみが指定された状態となる。即ち、PD53を構成するpin型フォトダイオードとバイポーラトランジスタの各端子に所定の電位が印加されて、PD53を構成するpin型フォトダイオードが受光した光の光量に応じて発生した電流信号230のみが、出力バッファ130に入力し、電圧信号に変換され適当に増幅され、出力信号240として半導体基板100外部へ出力される。
【0056】
(第2の実施例)
次に、第2の実施例について説明する。本実施例は、それぞれ光情報送信部と光情報受信部とを有する複数の光接続ノードの相互間を光伝送路網で接続して、これら光接続ノード間で光信号を伝送する光情報伝送システムである。
【0057】
図3は、第2の実施例に係る光情報伝送システムの構成図である。図4は、光接続ノードの光情報送信部の光電子集積回路と光伝送路の配置図である。図5は、光接続ノードの光情報受信部の光電子集積回路と光伝送路の配置図である。尚、図3では、説明を簡便にする為に光接続ノードの個数を4としているが、更に多数の光接続ノードがある場合でも同様である。
【0058】
本実施例に係る光情報伝送システムは、(1)光信号を送信する光情報送信部と光信号を受信する光情報受信部とをそれぞれ有する光接続ノード400ないし403と、(2)光接続ノード400ないし403の間で光信号を伝送する光伝送路網500、とからなる。
【0059】
光接続ノード400ないし403のそれぞれは光情報送信部と光情報受信部とを備える。例えば、光接続ノード400は、光情報送信部400Tと光情報受信部400Rとを備える。1つの光接続ノードの光情報送信部から出力された光信号は、他の1つの光接続ノードの光情報受信部へ、光伝送路網500を介して伝送される。
【0060】
光接続ノード400の光情報送信部400Tは、自己以外の光接続ノードの数である3個(またはそれ以上の)の発光素子を備え、自己以外の光接続ノードそれぞれに対応する発光素子から、その自己以外の光接続ノードの光情報受信部へ向けて光信号を出力する。光情報送信部400Tは、例えば、アレイ状に配列された発光素子を備えてもよい。又、図4に示すように半導体基板600上に発光素子LEDij(i,j=1,2,3,..)がアレイ状に形成された光電子集積回路を備えてもよい。この場合、発光素子として例えばLEDやレーザダイオードが形成される。尚、第 (i+1)行第 (j+1)列(i,j=0,1,2,..)にある発光素子LEDを符号LEDijで表す。他の光接続ノード401ないし403の光情報送信部も同様である。
【0061】
光情報送信部400Tが、図4に示すような半導体基板600上に発光素子LEDij(i,j=1,2,3,..)がアレイ状に形成された光電子集積回路を備える場合には、この光電子集積回路とは別に設けられる情報信号部(図示せず)から、光信号を送信しようとする相手の光接続ノードに対応した発光素子に対して、送信すべき情報信号が入力される。光電子集積回路は、指定された発光素子から、情報信号に応じた光信号を出力する。
【0062】
光接続ノード400の光情報受信部400Rは、自己以外の光接続ノードの数である3個(またはそれ以上の)受光素子を備え、自己以外の光接続ノードそれぞれに対応する受光素子で、その自己以外の光接続ノードの発光部から到達する光信号を入力する。光情報受信部400Rは、例えば、アレイ状に配列された受光素子を備えてもよい。又、図5に示すように前述の第1の実施例で説明した光電子集積回路を備えてもよい。他の光接続ノード401ないし403の光情報受信部も同様である。
【0063】
光情報受信部400Rが、図5に示すような前述の第1の実施例で説明した光電子集積回路を備える場合には、以下のようにして光信号を受信する。光情報受信部400Rには、更にこの光電子集積回路を制御する受光素子検索部(図示せず)が設けられる。この受光素子検索部は、光電子集積回路の受光素子PDij(i,j=1,2,3,..)それぞれに対応するアドレス信号200の値を順次出力して、光電子集積回路に対して入力させ、同時に、光電子集積回路の出力バッファ130から出力される出力信号240を入力して監視して、光信号を受光している受光素子PDijを検索する。受光素子検索部は、光電子集積回路の出力バッファ130から出力される出力信号240が、光電子集積回路の何れかの受光素子PDijが光信号を受けてその光信号に応じて出力した信号であると判断すると、その時のアドレス信号200の値が示す受光素子PDmnが光信号を受光していると判断する。以降、受光素子検索部は、そのアドレス信号200の値を出力して光電子集積回路に入力させ、その受光素子PDmnが受光する光信号に応じて出力される出力信号240を入力し、必要に応じてその出力信号240の内容を処理、表示あるいは保存をする。受光素子検索部は、その受光素子PDmnに光信号が伝送され終えたと判断すると、再び、光信号を受光している受光素子PDijを検索する。
【0064】
光伝送路網500は、1つの光接続ノード40i(i=0,1,2,3 )の光情報送信部40iTから出力される光信号を、他の1つの光接続ノード40j(j=0,1,2,3 、j≠i)の光情報受信部40jRへ伝送する光伝送路5ij(i,j=0,1,2,3 、j≠i)からなる。これら光伝送路5ij(i,j=0,1,2,3 、j≠i)として例えば光ファイバが用いられる。
【0065】
光伝送路網500の入射端と光接続ノードの光情報送信部の光電子集積回路とは、図4のように配置される。例えば、光伝送路501ないし503それぞれの入射端は、光接続ノード400の光情報送信部400Tの発光素子の発光面に対面して配置される。
【0066】
光伝送路網500の出射端と光接続ノードの光情報受信部の光電子集積回路とは、図5のように配置される。例えば、光伝送路510、520および530それぞれの出射端は、光接続ノード400の光情報受信部400Rの個々の受光素子の受光面に対面して配置される。
【0067】
例えば、光接続ノード400の光情報送信部400Tから光接続ノード401の光情報受信部401Rへ光信号を伝送する光伝送路501は、光接続ノード400の光情報送信部400Tの発光素子の内、光接続ノード401の光情報受信部401Rに向けて光信号を送信する為の発光素子から出力される光信号を入力する。光伝送路501は、光接続ノード401の光情報受信部401Rの受光素子の内、光接続ノード400の光情報送信部400Tから到達する光信号を受信する為の受光素子に対して光信号を出力する。
【0068】
以上のように構成すれば、例えば、光接続ノード400から光接続ノード401へ光伝送路501を介して光信号を伝送している最中であっても、光接続ノード402と光接続ノード403との間で光伝送路523または532を介して光信号を伝送することができる。
【0069】
本実施例に係る光情報伝送システムは以上のように構成されるので以下のように作用する。例えば、光接続ノード400から光接続ノード401へ光信号を伝送する場合について説明する。
【0070】
光接続ノード400の光情報送信部400Tでは、情報信号部より、光信号を送信しようとする相手の光接続ノード401に対応する発光素子へ、送信すべき情報信号が入力され、情報信号に応じた光信号がその発光素子から出力される。その発光素子から出力された光信号は、その発光素子の発光面に対面した位置に配置されている光伝送路501の入射端に入射し、光伝送路501内を伝送されて、光伝送路501の出射端から出力される。光伝送路501の出射端から出力された光信号は、光伝送路501の出射端に対面する位置にある、光接続ノード401の光情報受信部401Rの光電子集積回路にある1つの受光素子の受光面に照射される。
【0071】
光接続ノード401の光情報受信部401Rでは、受光素子検索部が、光電子集積回路の受光素子それぞれに対応するアドレス信号200の値を順次出力して、そのアドレス信号200の値を光電子集積回路に入力し、同時に、光電子集積回路の出力バッファ130から出力される出力信号240を監視することにより、光信号が到達した受光素子を検索する。その結果、受光素子検索部は、光伝送路501の出射端に対面する位置にある受光素子に光信号が到達していることを知る。そして、受光素子検索部は、光電子集積回路に対し、その受光素子に対応するアドレス信号200の値を入力し続けて、光電子集積回路の出力バッファ130から出力される出力信号240を入力する。
【0072】
(第3の実施例)
次に、第3の実施例について説明する。本実施例は、接続ボックスを設けて、その接続ボックスと光接続ノードとの間を接続用光伝送路で接続して光伝送路網を形成して、光接続ノード間で光信号の伝送を行う光情報伝送システムである。図6は、第3の実施例に係る光情報伝送システムの構成図である。図7は、第3の実施例に係る光情報伝送システムに用いられる接続ボックスの構成図である。
【0073】
本実施例に係る光情報伝送システムは、(1)光信号を送信する光情報送信部と光信号を受信する光情報受信部とをそれぞれ有する光接続ノード400ないし403と、(2)光接続ノード400ないし403それぞれの発光素子それぞれに対応する光入力端子と、光接続ノード400ないし403それぞれの受光素子それぞれに対応する光出力端子と、任意の1つの光接続ノードの任意の1つの発光素子に対応する光入力端子と他の任意の1つの光接続ノードの任意の1つの受光素子に対応する光出力端子との間で光信号を伝送する中継用光伝送路、とを備える接続ボックス700と、(3)光接続ノード400ないし403それぞれについて、発光素子それぞれとそれに対応する接続ボックス700の光入力端子との間、および、受光素子それぞれとそれに対応する接続ボックス700の光出力端子との間で光信号を伝送する接続用光伝送路800ないし803と、からなる。
【0074】
接続ボックス700は、▲1▼光接続ノード40iの光情報送信部40iT(i=0,1,2,3 )の発光素子それぞれに対応する光入力端子7ijT(j=0,1,2,3 、j≠i)と、▲2▼光接続ノード40iの光情報受信部40iR(i=0,1,2,3 )の受光素子それぞれに対応する光出力端子7jiR(j=0,1,2,3 、j≠i)と、▲3▼光入力端子7ijT(i,j=0,1,2,3 、j≠i)に入力された光信号を光出力端子7ijRへ伝送する中継用光伝送路7ijと、を備える。
【0075】
光入力端子7ijT(i,j=0,1,2,3 、j≠i)は、光接続ノード40iの光情報送信部40iTから接続用光伝送路80iを経由して伝送されてきた光信号を、中継用光伝送路7ijへ中継する。中継用光伝送路7ij(i,j=0,1,2,3 、j≠i)は、光入力端子7ijTに入力した光信号を光出力端子7ijRへ伝送する。これら中継用光伝送路7ij(i,j=0,1,2,3 、j≠i)は例えば光ファイバが用いられる。光出力端子7ijR(i,j=0,1,2,3 、j≠i)は、中継用光伝送路7ijから伝送されてきた光信号を、接続用光伝送路80jを経由して光接続ノード40jの光情報受信部40jRへ向けて中継する。
【0076】
接続用光伝送路800ないし803それぞれは、光接続ノード400ないし403と接続ボックス700との間で、光信号を伝送する。即ち、接続用光伝送路80i(i=0,1,2,3 )は、光接続ノード40iの光情報送信部40iTの発光素子それぞれから出力した光信号を、その発光素子に対応する接続ボックス700の光入力端子7ijT(j≠i)へ伝送する送信用光伝送路、及び、光接続ノード40iの光情報受信部40iRの受光素子それぞれへ、その受光素子に対応する接続ボックス700の光出力端子7jiR(j≠i)から光信号を伝送する受信用光伝送路からなる。
【0077】
以上のような構成にすれば、接続ボックス700と接続用光伝送路800ないし803との接続、及び、光接続ノード400ないし403と接続用光伝送路800ないし803との接続が容易となり、光情報伝送システムを容易にかつ確実に構築することができる。又、接続用光伝送路800ないし803としてアレイファイバを用いれば、更に、接続ボックス700、光接続ノード400ないし403および接続用光伝送路800ないし803との間の接続が容易となる。
【0078】
本実施例に係る光情報伝送システムは以上のように構成されるので以下のように作用する。例えば、前述の第2の実施例と同じく、光接続ノード400から光接続ノード401へ光信号を伝送する場合について説明する。
【0079】
光接続ノード400では、前述の第2の実施例の場合と同様に、光信号を送信する。光信号を送信しようとする相手の光接続ノード401に対応する、光情報送信部400Tの発光素子から出力された光信号は、その発光素子の発光面に対面した位置に配置されている接続用光伝送路800の内の1本の光伝送路の入射端に入射する。この光信号は、その光伝送路内を伝送されて、接続ボックス700の光入力端子701Tに到達し、中継用光伝送路701内を伝送されて、光出力端子701Rに到達する。そして、この光信号は、接続ボックス700の光出力端子701Rに接続されている、接続用光伝送路801の内の1本の光伝送路に入力し、その光伝送路内を伝送されて、その光伝送路の出射端から出力される。この光伝送路の出射端から出力された光信号は、この光伝送路の出射端に対面する位置にある、光接続ノード401の光情報受信部401Rにある1つの受光素子の受光面に照射される。光接続ノード401では、前述の第2の実施例の場合と同様に、光信号を受信する。
【0080】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、光電子集積回路の半導体基板上に発光素子または受光素子は1次元状に配列されていても構わない。光電子集積回路に形成される発光素子または受光素子の個数は任意で構わない。
【0081】
又、光電子集積回路の半導体基板上に複数の発光素子と発光素子選択部とが形成され、光電子集積回路は、これら複数の発光素子の内の1つを指定するアドレス信号と、光信号に変換されて出力されるべき電気信号とを入力して、発光素子選択部がアドレス信号に従って指定した1つの発光素子から光信号を出力してもよい。光情報伝送システムの光接続ノードは、このような光電子集積回路を備えてもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり本発明によれば、光電子集積回路の半導体基板上に、複数の受光素子、複数の受光素子の内の1つを指定する受光素子選択部、及び、指定された受光素子に到達した光信号に応じた電気信号を出力する出力バッファを形成し、外部から入力するアドレス信号に応じて受光素子選択部により指定された1つの受光素子からの信号のみを出力する。従って、受光素子の集積個数が増えても、出力端子の個数は1個で済み、半導体基板のサイズは受光素子の個数にのみ略依存し、半導体基板を実装するパッケージは小さくて済み、実装不良の割合は小さい。又、半導体基板上に1個の出力バッファが形成されるので、消費電力は小さく、雑音やクロストークの問題は発生しない。
【0083】
受光素子として、光電変換素子であるpin型フォトダイオードと、スイッチ素子であるバイポーラトランジスタとを組み合わせれば、低い動作電圧で動作可能であり集積化に好適であり、又、しきい値電圧が一定であって比較器機能を実現するのに好適である。
【0084】
光電子集積回路の半導体基板としてInP基板を用いれば、一般に光伝送路通信でよく用いられる、0.8μmないし1.0μm帯の波長の光を出力するGaAs基板上に形成される発光素子、或いは、1.3μmないし1.55μm帯の波長の光を出力するInP基板上に形成される発光素子から出力されるこれらの波長帯域の光を効率よく受光することができる受光素子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係る光電子集積回路の構成図である。
【図2】受光素子の回路図である。
【図3】第2の実施例に係る光情報伝送システムの構成図である。
【図4】光接続ノードの光電子集積回路の送信部と光伝送路の配置図である。
【図5】光接続ノードの光電子集積回路の受信部と光伝送路の配置図である。
【図6】第3の実施例に係る光情報伝送システムの構成図である。
【図7】第3の実施例に係る光情報伝送システムに用いられる接続ボックスの構成図である。
【図8】従来の光電子集積回路の回路図である。
【図9】従来の光情報伝送システムの光伝送路網トポロジである。
【符号の説明】
100…半導体基板、110…受光部、120,121…受光素子選択部、130…出力バッファ、PD00,・・,PD77…受光素子、200…アドレス信号、240…出力信号、300,320…pin型フォトダイオード、310…npn型バイポーラトランジスタ、330…pnp型バイポーラトランジスタ、400,401,402,403…光接続ノード、500…光伝送路網、700…接続ボックス、800,801,802,803…接続用光伝送路。

Claims (10)

  1. 入射する光の光量を前記光量に応じた電気信号に変換する光電変換素子と、受光素子選択信号に応じて前記電気信号を出力制御するスイッチ素子と、をそれぞれ備える複数の受光素子と、
    アドレス信号を入力し、前記アドレス信号に応じて前記複数の受光素子の内の何れかの受光素子を指示する前記受光素子選択信号を出力する受光素子選択部と、
    前記受光素子選択信号によって指示された前記受光素子から出力される前記電気信号を入力して、前記電気信号に応じた出力信号を出力する出力部と、
    を備えて、半導体基板上にモノリシックに形成されることを特徴とする光電子集積回路。
  2. 前記光電変換素子は、フォトダイオードであり、
    前記スイッチ素子は、エミッタ端子が前記フォトダイオードのカソード端子に接続するnpn型バイポーラトランジスタであり、
    前記出力部は、前記受光素子選択信号によって指定された前記受光素子の前記npn型バイポーラトランジスタのコレクタ端子に流れる電流信号を入力して前記電流信号に応じた電圧信号に変換して出力する、
    ことを特徴とする請求項1記載の光電子集積回路。
  3. 前記受光素子選択信号は、前記npn型バイポーラトランジスタのベース端子に入力する、ことを特徴とする請求項2記載の光電子集積回路。
  4. 前記受光素子選択信号は、前記フォトダイオードのアノード端子に入力する、ことを特徴とする請求項2記載の光電子集積回路。
  5. 前記光電変換素子は、フォトダイオードであり、
    前記スイッチ素子は、エミッタ端子が前記フォトダイオードのアノード端子に接続するpnp型バイポーラトランジスタであり、
    前記出力部は、前記受光素子選択信号によって指定された前記受光素子の前記pnp型バイポーラトランジスタのコレクタ端子に流れる電流信号を入力して前記電流信号に応じた電圧信号に変換して出力する、
    ことを特徴とする請求項1記載の光電子集積回路。
  6. 前記受光素子選択信号は、前記pnp型バイポーラトランジスタのベース端子に入力する、ことを特徴とする請求項5記載の光電子集積回路。
  7. 前記受光素子選択信号は、前記フォトダイオードのカソード端子に入力する、ことを特徴とする請求項5記載の光電子集積回路。
  8. 前記フォトダイオードはpin型フォトダイオードである、ことを特徴とする請求項2または5記載の光電子集積回路。
  9. 前記複数の受光素子は前記半導体基板上に2次元状に配列される、ことを特徴とする請求項1記載の光電子集積回路。
  10. 前記半導体基板はInPである、ことを特徴とする請求項1記載の光電子集積回路。
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