JP3612646B2 - 医療用枕 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用枕に関する。特に、眼病手術後等において、長期間、俯せ(フェースダウン)の姿勢で、続いて、横向き(横臥)の姿勢療養する必要がある等の場合に好適な医療用枕に関する。
【0002】
【背景技術・発明が解決しようとする課題】
眼病手術後等においては、病院のベッドの上で、、上記の如く、俯せ姿勢、続いて横向きの姿勢を維持して、長期間(例えば1〜2ケ月)療養をする(寝ている)必要がある。
【0003】
そして、患者は、汎用の枕や、小型の座布団を折り畳んで枕として、俯せ状態を維持して寝ていた。
【0004】
しかし、そのような枕に、額や顎又は肩部を載せた状態で、眼部等の術後局部を他部材にできるだけ接触させることなく浮かした状態を維持することは、大きな苦痛を伴った。いずれの状態も本来的に不自然な姿勢であり、また、俯せであるため呼吸も容易でないためである。
【0005】
しかも、術後においては、通常、発熱と多量の発汗が伴い、それらへの対処も上記のような枕では、容易でなく、療養中の患者の苦痛を更に増大させるものであった。
【0006】
このような、苦痛は、術後の回復を遅らせる一因となり望ましくない。
【0007】
本発明は、上記にかんがみて、フェースダウンの姿勢で寝ることが容易であり、かつ、術後の発汗・発熱にも対応も容易である医療用枕を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、俯せに続いて横臥状態で療養する場合にも、楽な姿勢を維持して寝ることが可能な医療用枕を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る医療用枕は、上記課題を、下記構成により解決するものである。
【0010】
本発明の医療用枕は、枕本体が、基準ブロック部と該基準ブロック部の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部とからなることを特徴とする。
【0011】
他の本発明の該医療用枕は、基準ブロック部と該基準ブロック部の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部とからなる枕本体と、前記回動ブロックの自由端側相互に架設に可能な額載せバンドと、該額載せバンドに額を載せたとき、該額載せバンドの実質的な撓みを阻止するバンド撓み阻止手段とからなり、フェイスダウン用として使用可能とされていることを特徴とする。
【0012】
上記バンド撓み阻止手段と一態様として、前記額載せバンドに額を載せたとき額載せバンドを介して受ける荷重で実質的な沈み込みのない形態保持性を回動ブロック部に付与するとともに、回動ブロック部両端の内側に、該内側への移動を阻止する内支持部材を配して形成されるものがある。
【0013】
上記内支持部材は、任意長さに伸縮・固定可能なテレスコピックタイプとすることが望ましい。
【0014】
上記バンド撓み阻止手段の他の態様として、額載せバンドに額を載せたとき額載せバンドを介して受ける荷重で実質的な沈み込みのない形態保持性を回動ブロック部に付与するとともに、基準ブロック部に埋設される第一インサートと、該第一インサートの両端部に回動可能かつ摩擦乃至ねじ止め等の手段で任意位置固定可能に連結され、回動ブロック部に埋設される第二インサートとからなるもので、額載せバンドに額を載せたとき回動ブロック部両端の内側への移動を阻止して形成されるものがある。
【0015】
上記バンド撓み阻止手段の更に他の態様として、回動ブロック部の先端側に外嵌め可能な一対の額載せバンド支持筒体を備えて形成されているものがある。
【0016】
上記額載せバンド支持筒体が任意間隔に調整可能なテレスコピック棒体で連結されていることが望ましい。
【0017】
上記各医療用枕において、枕本体の枕皮を綿布とし、充填材が蕎麦殻又はもみ殻とすることが望ましい。
【0018】
また、枕本体の充填材は、流体として、枕の内圧を調整可能に維持してもよい。
【0019】
充填材として、流体を使用するとき、基準ブロック部と回動ブロック部とに区画し、各区画毎に、内圧を調整可能とすることが望ましい。
【0020】
さらに、枕本体の充填材としては、第一・第二インサートを発泡軟質高分子材でインサート成形されたものとすることもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態を、図例に基づいて、説明をする。
【0022】
図2に本発明の一実施形態を示す。
【0023】
本医療用枕の枕本体12は、基準ブロック部14と該基準ブロック部14の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部16とからなることを基本的構成とする。
【0024】
このとき、各ブロック部14、16は、通常の枕と同様、患者の頭・肩等を載せたとき実質的な沈み込みのない形態保持性を備えていることが望ましい。
【0025】
ここで回動可能に連接とは、必ずしも明確な回動支点を有する必要はなく、回動ブロック部16相互が、平行状態から若干(±30°前後)、開き閉じ可能であればよい。患者の顔の大きさに適合させるためである。
【0026】
また、上記のような形態保持性が要求されるのは、沈み込みがあると、後述の額載せバンド18に額(頭)を載せたとき、額載せバンド18が安定せず、額、即ち術後眼部を、床面から所定距離(通常10cm前後)浮かすことが困難となり、呼吸も困難となるためである。
【0027】
ただし、若干(通常1〜2cm以内)の沈み込みがあった方が、皮膚が枕本体に触れたとき異物感を感じないため望ましい。
【0028】
なお、後述の如く、別部材により額載せバンド18を支持する場合は、必然的ではなく、頭や肩部を枕本体に載せたとき、最適な硬度・剛性をすることが望ましい。
【0029】
ここで、枕本体12の大きさは、人種、男女、大人子供等により異なるが、日本人の場合、例えば、横幅a=35〜50cm(望ましくは40〜45cm)、長さb=45〜65(望ましくは50〜60cm)、高さh=10〜18cm(望ましくは12〜15cm)、切り欠き部開口c=20〜30cm(望ましくは23〜27cm)、切り欠き部深さl=20〜45cm(望ましくは25〜40cm)とする。
【0030】
また、基準ブロック部14、回動ブロック部16の横断面形状は、図例では、略矩形としたが、丸形、半円形、台形形、それらの組み合わせ等任意である。また、各ブロック部の断面形状は、同一断面である必要はなく、例えば、基準ブロック部14の場合、中央部幅広乃至くぼみ形状、回動ブロック部16の場合、自由端側、平面形状及び又は立面形状で先細り又は先太りであってもよい。
【0031】
更には、基準ブロック部14の先端側を延設させて、胸受け用テーパ部15を形成してもよい(図2参照二点鎖線参照)。
【0032】
また、このとき、枕本体12の構造は、通常の枕と同様、枕皮12aと充填材12bとからなるもので、通常、枕カバー12cを被せて使用する。当然、枕皮12aには、充填材12bを出し入れ可能とし、枕の高さ・硬さを調整可能にしておくことが望ましい。
【0033】
枕皮12aの形成材としては、綿布、麻布、ビロード、サラサ、シュス、ネル等を挙げることができ(キルティング加工したものが望ましい。)、充填材12bとしては、蕎麦殻、もみ殻、穀物粒(あずき等)、筒状プラスチック粒、発泡プラスチック粒、等の粒状体や、合成繊維(巻縮させたポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維等)、天然繊維、無機繊維の群から選択される綿状材料を挙げることができる。
【0034】
これらの内で、吸湿性の良好な綿布と熱放散の良好な蕎麦殻又はもみ殻との組み合わせが望ましい。発汗や発熱への対応が容易なためである。
【0035】
なお、発汗が激しいことが予測される場合は、一時的に高吸水性ポリマーからなる顆粒体を充填しておき、発汗現象が納まった後、蕎麦がら等と入れ替えてもよい。
【0036】
枕本体12の充填材12bを流体とし、枕本体12の内圧を調整可能として維持してもよい。このとき枕皮12aはシール性を有する、合成樹脂・ゴムシート等で形成する。枕本体の内圧は、通常、0.2〜0.5MPaとする。また、上記充填流体としては、空気、氷水、温水等を挙げることがでいるが、病状に応じて、枕本体12をそれらを交互に入れ替え可能な構造としておくことが望ましい。
【0037】
また、流体を充填材として使用する場合は、ウォータベッドの如く、枕本体の内部を複数室に区画し、各室の内圧を調整可能として、ウォータベッドの如く、人間工学的に最適な内圧を維持させて、患者により快適さを提供することも可能となる。
【0038】
次に、上記実施形態の医療用枕の使用態様を説明する。
【0039】
まず、上記枕本体12をフェースダウン用に使用するには、回動ブロック部16の自由端側相互に架設可能な額載せバンド18が必要である。額載せバンド18は、通常、長さ調整可能にしておくことが望ましく、枕皮12aと同じ綿布等で形成することが望ましい。その額載せバンド18の幅は、通常、1〜6cm、望ましく2〜3cmとする。幅が狭すぎると、額を載せたとき、局部圧が作用するおそれがあり、広すぎると、眼部等の術後局部に触れるおそれがある。なお、額載せバンド18は両端にボタンやフック等の止め手段の一方を設け、回動ブロック部16の各側面に止め手段の他方を設けてもよい。
【0040】
そして、枕本体12の回動ブロック16は、通常、固定状態でないため、額載せバンド18に額Fを載せたとき回動ブロック16両端の内側への移動を阻止する内支持部材20が更に必要となる。即ち、バンド撓み阻止手段が必要となる。具体的には、棒体22の両端に支持板24を備えたものである。当該内支持部材20は、汎用硬質プラスチック(発泡ポリウレタン、高密度PE、ブロックドPP、ABS等が望ましい。)で一体成形をして製造する。このとき、棒体22は、内支持部材20の長さを調整可能なテレスコピックタイプとすることが、回動ブロック16の開口角度を患者各自の顔面に最適な状態に適合させることができ望ましい。なお、開口角度は、内支持部材の位置を前後方向にずらすことにより、若干調整できる。
【0041】
このとき、額載せバンド18に額Fを載せたとき回動ブロック部16両端の内側への移動を阻止する手段を、図2に示す如く、基準ブロック部14に埋設される第一インサート26と、該第一インサート26の両端部に回動可能かつ任意位置固定可能に連結され、回動ブロック部16に埋設される第二インサート28とからなる構成とし、各連結部を摩擦抵抗乃至ねじ締結により移動不能(固定)してもよい。この構成の場合の充填材は、上記のものの他、枕本体12の充填材12bが、第一・第二インサート26、28を発泡ポリウレタン等の高分子材でインサート成形されたものとしてもよい。
【0042】
次に、上記医療用枕の使用態様を説明する。
【0043】
ダウンフェース用の場合は、患者に適した開口量になるような内支持部材20を枕本体12の内側に配した後、額載せバンドで回動ブロック部16の先端側を縛り、回動ブロック部16が先端側で開閉不能に固定する。
【0044】
そして、図3に示す如く、額載せバンド18の上に額Fを載せて、俯せの状態で寝る。このとき、顔面の術後局部(術後眼)は床面から浮いた状態(約10cm)となる。そして、顔面の口や鼻も完全に浮いた状態であり、回動ブロック部16の先端側で開口Oが形成されているため、空気の流通性も良好で、呼吸も楽である。
【0045】
そして、ダウンフェースの姿勢を維持する必要がなくなって、横臥状態のときは、上記額載せバンド18及び内支持部材20を枕本体12から外し、図4に示す如く、肩部Sを切り欠き部13に入れる。すると、患者の肩部Sは枕本体12に支持されて安定するため、横臥姿勢も楽に維持できる(図4参照)。
【0046】
更に、身体が回復してきて、患者同士が寝たまま向かい合って付した状態で話し合うような場合、枕本体12の基準ブロック部14に肩部前面を載せれば、切り欠き部13により患者の胸部が圧迫されず、胸部圧迫状態を長時間維持することによる疲れも発生し難い(図5参照)。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に限られず、本発明の各請求項に記載されている範囲内で、種々の態様に及ぶものである。
【0048】
例えば、バンド撓み阻止手段として、図6に示す如く、一対の回動ブロック部16に外嵌する一対の額載せバンド支持体32を任意間隔に調整可能なテレスコピック棒体34で連結したものを使用してもよい。この場合、額載せバンド支持体32の各上部には、額載せバンド18の張設長さを調整可能にボタン等の止め部乃回し金具を取付ける。ここで、額載せバンド支持体32は、筒状であるが、上側から各回動ブロック部16に被せ可能な門形にしてもよい。こられの額載せバンド支持体は、通常、ポリプロピレンやABS等の硬質剛性樹脂等から成形する。更には、額載せバンド18を、額載せバンド支持体32の全周に巻き回す場合は、額載せバンド支持体32の外周に位置決め用バンド溝を設けてもよい。
【0049】
【発明の作用効果】
本発明の医療用枕は、上記のような構成により、ダウンフェース用に使用したとき、呼吸が楽であり苦痛を与えず、更に、ダウンフェース後の横臥状態も楽に維持でき、患者の術後回復に多大に寄与するものである。本医療用枕は、療養に使用後は、一般用枕としても勿論使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用枕の一例を示す斜視図
【図2】本発明の医療用枕の変形態様を示す斜視図
【図3】図1の医療用枕をフェースダウン用とし使用する場合の使用態様図
【図4】同じく横臥用として使用する場合の使用態様図
【図5】同じく俯せ状態で談話用として使用する場合の使用態様図
【図6】額載せバンド支持体を枕本体とは別部材で形成した場合のバンド撓み阻止手段の一態様を示す斜視図
【符号の説明】
12 枕本体
14 基準ブロック部
16 回動ブロック部
18 額載せバンド
20 内支持部材
22 内支持部材の棒体
24 内支持部材の支持板
26 第一インサート
28 第二インサート
32 額載せバンド支持体
34 テレスコピック棒
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用枕に関する。特に、眼病手術後等において、長期間、俯せ(フェースダウン)の姿勢で、続いて、横向き(横臥)の姿勢療養する必要がある等の場合に好適な医療用枕に関する。
【0002】
【背景技術・発明が解決しようとする課題】
眼病手術後等においては、病院のベッドの上で、、上記の如く、俯せ姿勢、続いて横向きの姿勢を維持して、長期間(例えば1〜2ケ月)療養をする(寝ている)必要がある。
【0003】
そして、患者は、汎用の枕や、小型の座布団を折り畳んで枕として、俯せ状態を維持して寝ていた。
【0004】
しかし、そのような枕に、額や顎又は肩部を載せた状態で、眼部等の術後局部を他部材にできるだけ接触させることなく浮かした状態を維持することは、大きな苦痛を伴った。いずれの状態も本来的に不自然な姿勢であり、また、俯せであるため呼吸も容易でないためである。
【0005】
しかも、術後においては、通常、発熱と多量の発汗が伴い、それらへの対処も上記のような枕では、容易でなく、療養中の患者の苦痛を更に増大させるものであった。
【0006】
このような、苦痛は、術後の回復を遅らせる一因となり望ましくない。
【0007】
本発明は、上記にかんがみて、フェースダウンの姿勢で寝ることが容易であり、かつ、術後の発汗・発熱にも対応も容易である医療用枕を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、俯せに続いて横臥状態で療養する場合にも、楽な姿勢を維持して寝ることが可能な医療用枕を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る医療用枕は、上記課題を、下記構成により解決するものである。
【0010】
本発明の医療用枕は、枕本体が、基準ブロック部と該基準ブロック部の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部とからなることを特徴とする。
【0011】
他の本発明の該医療用枕は、基準ブロック部と該基準ブロック部の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部とからなる枕本体と、前記回動ブロックの自由端側相互に架設に可能な額載せバンドと、該額載せバンドに額を載せたとき、該額載せバンドの実質的な撓みを阻止するバンド撓み阻止手段とからなり、フェイスダウン用として使用可能とされていることを特徴とする。
【0012】
上記バンド撓み阻止手段と一態様として、前記額載せバンドに額を載せたとき額載せバンドを介して受ける荷重で実質的な沈み込みのない形態保持性を回動ブロック部に付与するとともに、回動ブロック部両端の内側に、該内側への移動を阻止する内支持部材を配して形成されるものがある。
【0013】
上記内支持部材は、任意長さに伸縮・固定可能なテレスコピックタイプとすることが望ましい。
【0014】
上記バンド撓み阻止手段の他の態様として、額載せバンドに額を載せたとき額載せバンドを介して受ける荷重で実質的な沈み込みのない形態保持性を回動ブロック部に付与するとともに、基準ブロック部に埋設される第一インサートと、該第一インサートの両端部に回動可能かつ摩擦乃至ねじ止め等の手段で任意位置固定可能に連結され、回動ブロック部に埋設される第二インサートとからなるもので、額載せバンドに額を載せたとき回動ブロック部両端の内側への移動を阻止して形成されるものがある。
【0015】
上記バンド撓み阻止手段の更に他の態様として、回動ブロック部の先端側に外嵌め可能な一対の額載せバンド支持筒体を備えて形成されているものがある。
【0016】
上記額載せバンド支持筒体が任意間隔に調整可能なテレスコピック棒体で連結されていることが望ましい。
【0017】
上記各医療用枕において、枕本体の枕皮を綿布とし、充填材が蕎麦殻又はもみ殻とすることが望ましい。
【0018】
また、枕本体の充填材は、流体として、枕の内圧を調整可能に維持してもよい。
【0019】
充填材として、流体を使用するとき、基準ブロック部と回動ブロック部とに区画し、各区画毎に、内圧を調整可能とすることが望ましい。
【0020】
さらに、枕本体の充填材としては、第一・第二インサートを発泡軟質高分子材でインサート成形されたものとすることもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態を、図例に基づいて、説明をする。
【0022】
図2に本発明の一実施形態を示す。
【0023】
本医療用枕の枕本体12は、基準ブロック部14と該基準ブロック部14の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部16とからなることを基本的構成とする。
【0024】
このとき、各ブロック部14、16は、通常の枕と同様、患者の頭・肩等を載せたとき実質的な沈み込みのない形態保持性を備えていることが望ましい。
【0025】
ここで回動可能に連接とは、必ずしも明確な回動支点を有する必要はなく、回動ブロック部16相互が、平行状態から若干(±30°前後)、開き閉じ可能であればよい。患者の顔の大きさに適合させるためである。
【0026】
また、上記のような形態保持性が要求されるのは、沈み込みがあると、後述の額載せバンド18に額(頭)を載せたとき、額載せバンド18が安定せず、額、即ち術後眼部を、床面から所定距離(通常10cm前後)浮かすことが困難となり、呼吸も困難となるためである。
【0027】
ただし、若干(通常1〜2cm以内)の沈み込みがあった方が、皮膚が枕本体に触れたとき異物感を感じないため望ましい。
【0028】
なお、後述の如く、別部材により額載せバンド18を支持する場合は、必然的ではなく、頭や肩部を枕本体に載せたとき、最適な硬度・剛性をすることが望ましい。
【0029】
ここで、枕本体12の大きさは、人種、男女、大人子供等により異なるが、日本人の場合、例えば、横幅a=35〜50cm(望ましくは40〜45cm)、長さb=45〜65(望ましくは50〜60cm)、高さh=10〜18cm(望ましくは12〜15cm)、切り欠き部開口c=20〜30cm(望ましくは23〜27cm)、切り欠き部深さl=20〜45cm(望ましくは25〜40cm)とする。
【0030】
また、基準ブロック部14、回動ブロック部16の横断面形状は、図例では、略矩形としたが、丸形、半円形、台形形、それらの組み合わせ等任意である。また、各ブロック部の断面形状は、同一断面である必要はなく、例えば、基準ブロック部14の場合、中央部幅広乃至くぼみ形状、回動ブロック部16の場合、自由端側、平面形状及び又は立面形状で先細り又は先太りであってもよい。
【0031】
更には、基準ブロック部14の先端側を延設させて、胸受け用テーパ部15を形成してもよい(図2参照二点鎖線参照)。
【0032】
また、このとき、枕本体12の構造は、通常の枕と同様、枕皮12aと充填材12bとからなるもので、通常、枕カバー12cを被せて使用する。当然、枕皮12aには、充填材12bを出し入れ可能とし、枕の高さ・硬さを調整可能にしておくことが望ましい。
【0033】
枕皮12aの形成材としては、綿布、麻布、ビロード、サラサ、シュス、ネル等を挙げることができ(キルティング加工したものが望ましい。)、充填材12bとしては、蕎麦殻、もみ殻、穀物粒(あずき等)、筒状プラスチック粒、発泡プラスチック粒、等の粒状体や、合成繊維(巻縮させたポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維等)、天然繊維、無機繊維の群から選択される綿状材料を挙げることができる。
【0034】
これらの内で、吸湿性の良好な綿布と熱放散の良好な蕎麦殻又はもみ殻との組み合わせが望ましい。発汗や発熱への対応が容易なためである。
【0035】
なお、発汗が激しいことが予測される場合は、一時的に高吸水性ポリマーからなる顆粒体を充填しておき、発汗現象が納まった後、蕎麦がら等と入れ替えてもよい。
【0036】
枕本体12の充填材12bを流体とし、枕本体12の内圧を調整可能として維持してもよい。このとき枕皮12aはシール性を有する、合成樹脂・ゴムシート等で形成する。枕本体の内圧は、通常、0.2〜0.5MPaとする。また、上記充填流体としては、空気、氷水、温水等を挙げることがでいるが、病状に応じて、枕本体12をそれらを交互に入れ替え可能な構造としておくことが望ましい。
【0037】
また、流体を充填材として使用する場合は、ウォータベッドの如く、枕本体の内部を複数室に区画し、各室の内圧を調整可能として、ウォータベッドの如く、人間工学的に最適な内圧を維持させて、患者により快適さを提供することも可能となる。
【0038】
次に、上記実施形態の医療用枕の使用態様を説明する。
【0039】
まず、上記枕本体12をフェースダウン用に使用するには、回動ブロック部16の自由端側相互に架設可能な額載せバンド18が必要である。額載せバンド18は、通常、長さ調整可能にしておくことが望ましく、枕皮12aと同じ綿布等で形成することが望ましい。その額載せバンド18の幅は、通常、1〜6cm、望ましく2〜3cmとする。幅が狭すぎると、額を載せたとき、局部圧が作用するおそれがあり、広すぎると、眼部等の術後局部に触れるおそれがある。なお、額載せバンド18は両端にボタンやフック等の止め手段の一方を設け、回動ブロック部16の各側面に止め手段の他方を設けてもよい。
【0040】
そして、枕本体12の回動ブロック16は、通常、固定状態でないため、額載せバンド18に額Fを載せたとき回動ブロック16両端の内側への移動を阻止する内支持部材20が更に必要となる。即ち、バンド撓み阻止手段が必要となる。具体的には、棒体22の両端に支持板24を備えたものである。当該内支持部材20は、汎用硬質プラスチック(発泡ポリウレタン、高密度PE、ブロックドPP、ABS等が望ましい。)で一体成形をして製造する。このとき、棒体22は、内支持部材20の長さを調整可能なテレスコピックタイプとすることが、回動ブロック16の開口角度を患者各自の顔面に最適な状態に適合させることができ望ましい。なお、開口角度は、内支持部材の位置を前後方向にずらすことにより、若干調整できる。
【0041】
このとき、額載せバンド18に額Fを載せたとき回動ブロック部16両端の内側への移動を阻止する手段を、図2に示す如く、基準ブロック部14に埋設される第一インサート26と、該第一インサート26の両端部に回動可能かつ任意位置固定可能に連結され、回動ブロック部16に埋設される第二インサート28とからなる構成とし、各連結部を摩擦抵抗乃至ねじ締結により移動不能(固定)してもよい。この構成の場合の充填材は、上記のものの他、枕本体12の充填材12bが、第一・第二インサート26、28を発泡ポリウレタン等の高分子材でインサート成形されたものとしてもよい。
【0042】
次に、上記医療用枕の使用態様を説明する。
【0043】
ダウンフェース用の場合は、患者に適した開口量になるような内支持部材20を枕本体12の内側に配した後、額載せバンドで回動ブロック部16の先端側を縛り、回動ブロック部16が先端側で開閉不能に固定する。
【0044】
そして、図3に示す如く、額載せバンド18の上に額Fを載せて、俯せの状態で寝る。このとき、顔面の術後局部(術後眼)は床面から浮いた状態(約10cm)となる。そして、顔面の口や鼻も完全に浮いた状態であり、回動ブロック部16の先端側で開口Oが形成されているため、空気の流通性も良好で、呼吸も楽である。
【0045】
そして、ダウンフェースの姿勢を維持する必要がなくなって、横臥状態のときは、上記額載せバンド18及び内支持部材20を枕本体12から外し、図4に示す如く、肩部Sを切り欠き部13に入れる。すると、患者の肩部Sは枕本体12に支持されて安定するため、横臥姿勢も楽に維持できる(図4参照)。
【0046】
更に、身体が回復してきて、患者同士が寝たまま向かい合って付した状態で話し合うような場合、枕本体12の基準ブロック部14に肩部前面を載せれば、切り欠き部13により患者の胸部が圧迫されず、胸部圧迫状態を長時間維持することによる疲れも発生し難い(図5参照)。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に限られず、本発明の各請求項に記載されている範囲内で、種々の態様に及ぶものである。
【0048】
例えば、バンド撓み阻止手段として、図6に示す如く、一対の回動ブロック部16に外嵌する一対の額載せバンド支持体32を任意間隔に調整可能なテレスコピック棒体34で連結したものを使用してもよい。この場合、額載せバンド支持体32の各上部には、額載せバンド18の張設長さを調整可能にボタン等の止め部乃回し金具を取付ける。ここで、額載せバンド支持体32は、筒状であるが、上側から各回動ブロック部16に被せ可能な門形にしてもよい。こられの額載せバンド支持体は、通常、ポリプロピレンやABS等の硬質剛性樹脂等から成形する。更には、額載せバンド18を、額載せバンド支持体32の全周に巻き回す場合は、額載せバンド支持体32の外周に位置決め用バンド溝を設けてもよい。
【0049】
【発明の作用効果】
本発明の医療用枕は、上記のような構成により、ダウンフェース用に使用したとき、呼吸が楽であり苦痛を与えず、更に、ダウンフェース後の横臥状態も楽に維持でき、患者の術後回復に多大に寄与するものである。本医療用枕は、療養に使用後は、一般用枕としても勿論使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用枕の一例を示す斜視図
【図2】本発明の医療用枕の変形態様を示す斜視図
【図3】図1の医療用枕をフェースダウン用とし使用する場合の使用態様図
【図4】同じく横臥用として使用する場合の使用態様図
【図5】同じく俯せ状態で談話用として使用する場合の使用態様図
【図6】額載せバンド支持体を枕本体とは別部材で形成した場合のバンド撓み阻止手段の一態様を示す斜視図
【符号の説明】
12 枕本体
14 基準ブロック部
16 回動ブロック部
18 額載せバンド
20 内支持部材
22 内支持部材の棒体
24 内支持部材の支持板
26 第一インサート
28 第二インサート
32 額載せバンド支持体
34 テレスコピック棒
Claims (6)
- 枕本体が、基準ブロック部と該基準ブロック部の両端部からそれぞれ回動可能に連接された一対の回動ブロック部とからなる医療用枕であって、
前記枕本体と、前記回動ブロックの自由端側相互に架設可能な額載せバンドと、該額載せバンドに額を乗せたとき、該額載せバンドの実質的な撓みを阻止するバンド撓み阻止手段とからなり、フェイスダウン用として使用可能とされていることを特徴とする医療用枕。 - 前記バンド撓み防止手段が、前記額載せバンドに額を載せたとき前記額載せバンドを介して受ける荷重で実質的な沈み込みのない形態保持性を前記回動ブロック部に付与するとともに、回動ブロック部両端の内側に、該内側への移動を阻止する内支持部材を配して形成されることを特徴とする請求項1記載の医療用枕。
- 前記内支持部材が、任意長さに伸縮・固定可能なテレスコピックタイプであることを特徴とする請求項2記載の医療用枕。
- 前記バンド撓み阻止手段が、前記額載せバンドに額を乗せたとき前記額載せバンドを介して受ける荷重で実質的な沈み込みのない形態保持性を前記回動ブロック部に付与するとともに、基準ブロック部に埋設される第一インサートと、該第一インサートの両側部に回動可能かつ摩擦乃至ねじ止め等の手段で任意位置固定可能に連結され、前記回動ブロック部に埋設される第二インサートとからなるもので、額載せバンドに額を載せたとき回動ブロック両端の内側への移動を阻止して形成されることを特徴とする請求項1記載の医療用枕。
- 前記バンド撓み阻止手段が、前記回動ブロック部の先端側に外嵌め可能な一対の額載せバンド支持体を備えて形成されていることを特徴とする請求項1記載の医療用枕。
- 前記額載せバンド支持体が任意間隔に調整可能なテレスコピック棒体で連結されていることを特徴とする請求項5記載の医療用枕。
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