【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アーク溶接または切断などに使われるアーク加工装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、アーク起動に高周波高電圧を使った場合の従来装置の例をアーク溶接の場合について示した図である。図1において、10は溶接電源、1ないし3は1次入力線、4は電極で図示を省略した溶接トーチに保持されている。5は被加工物即ち被溶接物、6は電極側ケーブル、7は被溶接物側ケーブル、8は起動スイッチ、9は遠隔出力調整器である。溶接電源10において、DR1は1次整流回路、TR1はインバータ回路、T1はインバータトランス、DR2は2次整流回路、L1はリアクトル、C1は高周波バイパスコンデンサ、HFは高周波高電圧発生器、CCはカップリングコイル、CT1は出力電流検出器、CL1は制御回路、Tm1は電極側出力端子、Tm2は被溶接物側出力端子である。
【0003】
図1において、起動スイッチ8を押すと、制御回路CL1はこの起動信号の入力によって図示を省略したガス供給回路を駆動する。ガス供給回路は電極4と被溶接物5との間にシールドガスを放出する。シールドガスが電極4に達する時間を見計らって制御回路CL1は、インバータ回路TR1および高周波高電圧発生器HFを駆動する。インバータ回路TR1は、数10KHzの周波数でスイッチング動作し、インバータトランスT1の2次側に溶接アークに必要な電圧を誘起し2次整流回路DR2によって整流されて、無負荷電圧がカップリングコイルCCの2次巻線を経て電極側出力端子Tm1と被溶接物側出力端子Tm2に現れ、電極4と被溶接物5との間に加わる。 高周波発生器HFは高周波高電圧をカップリングコイルCCの1次コイルに加え、2次コイルに誘起する高周波高電圧は電極側の出力端子Tm1、電極側ケーブル6、高周波バイパスコンデンサC1、被溶接物側出力端子Tm2を経て電極4と被溶接物5との間に加わる。このとき電極4と被加工物5との距離が近いと火花放電が発生する。この火花放電に引続いて電極4と被溶接物5との間に溶接用主アークが誘発される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような高周波高電圧を用いてアークを起動する従来装置においては、大型でかつ高価な高周波発生装置を用意する必要があるとともに、アーク起動時に発生させる高周波高電圧が隣接するケーブルや大地へもれ出したり、ケーブルや電極がアンテナとなって空中に高周波の電磁波を放射したりする。その結果、自機はもちろん近隣の他機にノイズ障害をもたらし、誤動作をひき起こすことが多かった。さらにケーブルが長くなると、ケーブル間・ケーブルと大地間の浮遊容量に高周波がバイパスされて減衰し、電極4と被溶接物5との間到達しないことになり、アーク起動が不確実になる。このため、高周波を用いる従来の方式ではケーブルの長さはせいぜい10メートル程度が限度である。これよりも長いケーブルを用いるときには高周波の出力を極端に大きくすることが必要になり、このために高周波障害が増大し、使用に耐えないものであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来装置の問題点を解決するために、高周波高電圧を用いず、アーク起動に先だって電源内部に設けられているリアクトルに強制的に加工用(溶接用)主電流と同じ極性の電流を流しておき、この電流を遮断する時に発生する高電圧を利用して、電極と被加工物間の絶縁を破ってアークを誘発させるようにしたアーク加工装置を提案したものである。
【0006】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例によって説明する。
【0007】
図2は本発明の実施例を示す接続図である。図2においてL2はリアクトル、TR2はリアクトルL2と2次整流回路DR2の正出力端子との間を短絡して、リアクトルL2に強制的に溶接電流と同極性の電流を流すためのスイッチング回路であり、スイッチング用トランジスタやゲートターンオフサイリスタ(GTO)などの自己消弧型スイッチング素子または適当な転流回路を設けたサイリスタあるいは真空スイッチのような高耐圧の機械式スイッチ等が使用出来る。DR3は2次整流回路DR2の出力に対して順方向に極性が定められた逆阻止ダイオードであり、2次整流回路DR2に逆電圧が印加されることを防止するためのものである。CL2は制御回路であり、インバータ回路TR1とともにスイッチング回路TR2も制御する。同図において、その他は図1の従来装置と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0008】
図2において、溶接の開始に当り作業者は電極4を被溶接物5に接近させ、起動スイッチ8を押す。制御回路CL2は起動スイッチ8からの起動信号を受けて、インバータ回路TR1に駆動信号を送ってこれを起動するとともにスイッチング回路TR2に導通指令信号を供給する。インバータ回路TR1の起動によってインバータトランスT1の1次側には数10kHzの電圧が加わり、2次側でアーク溶接に必要な電圧値に変換されて、2次整流回路DR2によって直流に変換されてリアクトルL2とスイッチング回路TR2の直列接続回路に加えられる。スイッチング回路TR2が導通すると2次整流回路DR2の出力はリアクトルL2を通して短絡されることになり、このリアクトルL2とスイッチング回路TR2の直列回路を流れる電流は時間の経過とともに増加してゆく。制御回路CL2はリアクトルL2とスイッチング回路TR2との直列回路を流れる電流がある一定値になる頃に、インバータ回路TR1への駆動信号は加えたままにしておいて、スイッチング回路TR2に対する導通指令信号を絶ち、これを遮断する。この結果リアクトルL2の電流が零に向って急変しようとするので、その急変を阻止する方向、すなわちリアクトルの2次整流回路DR2側端子に正、逆阻止ダイオードDR3側端子に負のパルス状の高電圧が発生する。このパルス状の高電圧は、正側は2次整流回路DR2と被溶接物側出力端子Tm2および被溶接物側ケーブル7を経て、また負側は逆阻止ダイオードDR3、電極側出力端子Tm1および電極側ケーブル6を経て、電極4と被溶接物5との間に加わる。
【0009】
ここで、このパルス状の高電圧が電極4と被溶接物5との間の絶縁破壊電圧よりも高い時は、この間に火花放電が発生し、この火花放電によって溶接用の主アーク放電が誘発される。一方、このときのパルス状電圧が電極4と被溶接物5との間の絶縁を破壊するには不十分であるときは、このパルス状電圧は、ケーブル6と7との間の浮遊容量に充電される。この充電電荷は、逆阻止ダイオードDR2によって阻止されて2次整流回路DR2に逆流することが防止され維持される。制御回路CL2は、先のスイッチング回路の開放によって主アークが発生しなかったときには、一定の時間の後に再度スイッチング回路TR2を一定時間閉じて再度解放する。このスイッチング回路の再度の閉路及び開放によってリアクトルL2は再びパルス状の高電圧を発生する。この高電圧はさきにケーブル6と7との間の浮遊容量に充電されていた電圧と同極性であるので、この電圧をさらに上昇させる。この結果によっても電極4と被溶接物5との間の絶縁が破壊されない時は、再びスイッチング回路TR2がON−OFFを繰返す。これによって、ケーブル6と7との間の浮遊容量の充電が進行し、ついには電極4と被溶接物5との間の絶縁を破壊するに至り、火花放電が発生し、これによって主アークが誘発されることになる。
【0010】
このようにして主アークが発生すると電流検出器CT1がこれを検出し、制御回路CL2はスイッチング回路TR2をOFFに保つと共に遠隔出力調整器9からの指令値と出力電流値とが一致するように出力電流を制御する。また、起動指令から主アークが発生するまでの間はスイッチング回路は適当な間隔でON−OFFを繰返すことになるが、その回数はケーブル6、7が長くこれらの間の浮遊容量が大きくなるほど多くなる。したがってケーブルが長くなっても電極と被溶接物との間に印加される最終電圧は変わらないので、アークの起動がケーブルの長さに関係なく確実となる。また、アーク起動のために発生させるパルス状電圧は1回ないし数回程度であるので、当然従来の高周波方式のものと比べて比較にならないほどノイズ障害は少ない。
【0011】
なお、図2の実施例において、スイッチング回路のON−OFF動作を主アークが発生するまで繰返さず、予め定めた回数に制限し、これらの動作によってケーブル6、7間に充電された電圧を用いて、電極4を被溶接物5にさらに接近させて火花放電を発生せるようにしてもよい。
【0012】
なお、スイッチング回路TR2の1回のON−OFF動作でケーブル6と7との間の浮遊容量に充電に使われるエネルギーは、スイッチング回路TR2のOFFの瞬間にリアクトルL2に流れていた電流値できまる。それ故、このエネルギーは、制御回路CL2にあらかじめスイッチング回路をOFFにするときの電流値を設定しておき、電流検出器CT1の出力が設定値なったときにOFFする方法、スイッチング回路TR2に直列に接続する抵抗器の抵抗値を調整する方法、インバータ回路TR1の動作と同期させてスイッチング回路をOFFさせる位相を定める方法、またはこれらの種々の方法を組み合わせることによって調整することができる。
【0013】
図3は、図2の実施例を改善した別の実施例を示す接続図である。同図において、L3はリアクトルであるが中間端子を有するところが図2に示した実施例のリアクトルL2と異なる。スイッチング回路TR2はリアクトルL3の中間端子と被溶接物側出力端子Tm2(2次整流回路DR2の正出力端子)との間に接続される。同図においてその他は、図2に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同一の符号を付して説明を省略する。
【0014】
図3において、起動時に起動スイッチ8を押すと起動信号が制御回路CL2に入力され、これによってインバータ回路TR1が起動するとともにスイッチング回路TR2が導通する。この時、出力回路はリアクトルL3の2次整流回路DR2側とその中間端子との間の巻線とスイッチング回路TR2の直列回路によって短絡される。ここで、リアクトルL3の2次整流回路DR2側端子と中間端子間の巻数をN1、リアクトルL3の中間端子と電極側出力端子Tm1間の巻数をN2とすると、スイッチング回路TR2が導通状態から遮断するときに電極4と被溶接物5との間に加わる電圧は、リアクトルL3の両端間に現れる電圧で、これはリアクトルL3の2次整流回路DR2側端子と中間端子間の電圧の{(N1+N2)/N1}倍である。このことは、アーク起動のために出力端子Tm1とTm2との間に要求される電圧は同じであるから、スイッチング回路TR2にかかる電圧はリアクトルL3の2次整流回路DR2側端子と中間端子間の電圧のみであるので、スイッチング回路TR2に必要な耐電圧は、図2の実施例の場合のN1/(N1+N2)でよいことを意味する。
【0015】
図3の実施例においても1回のスイッチング回路TR2のON−OFF動作で主アークが発生しないときは、所定の間隔でON−OFFを繰返し、主アークの発生を検出して、または予め定めた回数だけON−OFFを繰返した後にスイッチング回路TR2の動作を停止する。
【0016】
図4は、本発明の別の実施例を示す接続図である。同図の実施例は、図3に示した実施例にさらにアーク安定用の直流リアクトルL4を出力回路に直列に追加したものに相当する。この場合、リアクトルL3は起動時にその中間端子に接続されたスイッチング回路TR2がON−OFFすることによって、高電圧を発生するためのものであり、溶接用主アークが発生した後は、その大きな溶接用電流によって飽和してもよいものである。それ故、リアクトルL3は小電流域で大きなインダクタンスを示し、大電流域ではほとんどインダクタンスが消滅する特性のものを用いると、スイッチング回路TR2に流す電流を小さな値にすることができ、その電流容量を低減できる。リアクトルL4は溶接時に流れる電流に対してアークの安定・継続に適したインダクタンスを示すものを用いるのはもちろんである。
【0017】
なお、図4において、リアクトルL4と逆阻止ダイオードDR3の位置は互いに図示と逆の位置であってもよい。
【0018】
図5は本発明のさらに別の実施例を示す接続図である。L5は1個の鉄心に2個の巻線L5(1/2) およびL5(2/2) を有するリアクトルである。同図においてその他は、図2と同じ機能の部品またはアセンブリのものに同符号を付して説明を省略する。リアクトルL5は互いに絶縁された二つの巻線が一つの共通の鉄心に巻かれて磁気的に結合した二つのリアクトル巻線からなっており、各巻線の電流は同じ向きに鉄心を励磁する極性となるように巻き方向が定められている。リアクトルL5の一方の巻線L5(1/2) は、2次整流回路DR2の負出力端子と逆阻止ダイオードDR3との間、また他方の巻線L5(2/2) は2次整流回路DR2の正出力端子と被溶接物側出力端子Tm2間に接続される。スイッチング回路TR2はリアクトルL5(1/2) と逆阻止ダイオードDR3との接続点とリアクトルL5(2/2) と出力端子Tm2との間に接続されて、2次整流回路DR2の出力をリアクトルL5(1/2) とL5(2/2) とを介して短絡するように構成されている。
【0019】
図5の実施例において、その動作は図2の実施例とリアクトル部分を除いて同じである。図5において、各巻線の極性は前述のように同じ方向に鉄心を励磁する極性に定められているので、両巻線の発生する電圧は加算されることになる。そこで、リアクトルL5の各巻線の巻回数をそれぞれ図2のリアクトルL2の2分の1とするとスイッチング回路TR2が導通から解放になるときに電極4と被溶接物5間に発生するパルス状の高電圧の大きさは図2に示した実施例と同じ電圧が得られる。
【0020】
なお、図5において、スイッチング回路TR2はリアクトルL5(1/2) と逆阻止ダイオードDR3との間と2次整流回路DR2の正出力端子との間(図中のA−B点間)、または2次整流回路DR2の負出力端子と出力端子Tm2との間(図中のC−D点間)に接続して、その導通によりリアクトルL5(1/2) またはL5(2/2) のいずれか一方に強制的に電流を流すようにしてもよい。
【0021】
図6は本発明のさらに別の実施例を示す接続図である。L6は図5に示した実施例に用いたリアクトルとほぼ同様のリアクトルであるが、各巻線には中間端子を設けてある。同図においてその他は図5に示した実施例と同じ機能の部品またはアセンブリに同符号を付して説明を省略する。
【0022】
図6において、リアクトルL6のそれぞれの巻線L6(1/2) 、L6(2/2) は2次整流回路DR2の負出力端子と逆阻止ダイオードDR3との間および2次整流回路DR2の正出力端子と被溶接物側出力端子Tm2との間に接続される。それぞれの巻線には中間端子を設け両中間端子間にスイッチング回路TR2を接続している。同図の実施例は、図5の実施例に対して図3の実施例に用いたリアクトルを応用したものであり、図3の実施例において説明したのと同じ理由でスイッチング回路TR2に印加される電圧は中間端子間での巻数に応じて低くなるのでその耐電圧は低いものでよい。
【0023】
図7は、本発明の別の実施例を示す接続図である。同図において、直流電源10には、逆阻止ダイオードDR3と直列に接続されたリアクトルL7の他に2次整流回路DR2の出力端子間に接続された補助リアクトルL8とスイッチング回路TR2との直列回路を有する。リアクトルL7と補助リアクトルL8とは磁気的に密に結合されており、各リアクトルの巻線は、2次整流回路DR2の出力によってそれぞれ流れる電流によって同じ方向に磁束が発生する極性に定められている。同図において、上記以外の構成は、図1ないし図6に示した例と同機能のものに同符号を付して説明を省略する。
【0024】
図7の実施例において、スイッチング回路TR2が導通すると補助リアクトルL8に2次整流回路DR2から電流が流れ、この電流がスイッチング回路TR2によって遮断されたときにリアクトルL7に2次整流回路DR2の出力と同じ極性の高電圧が両リアクトルの巻数比に応じて発生し、その電圧がケーブル6と7との間の浮遊容量に充電される。この充電電圧がスイッチング回路TR2のON−OFFごとに上昇し、図2などに示した実施例と同様に電極4と被溶接物5との間の絶縁破壊電圧を超えると火花放電が発生し、溶接用主アークが誘発される。
【0025】
図7の実施例においては、補助リアクトルL8には、アーク起動時にのみ1回ないし数回だけ電流が短時間ずつ流れるだけであるので、リアクトルL8の巻線の電流容量は、ごく小さなものでよいことになる。
【0026】
図8は、図7の補助リアクトルL8とスイッチング回路TR2との直列回路を別に設けた直流電源E1に接続したものであって、その動作は図7に示した実施例と同様である。
【0027】
図9は、図8の実施例における直流電源E1をインバータトランスT2に設けた補助巻線の出力を補助整流回路DR4にて直流にした補助直流電源に代えたものであり、図8の実施例と同様に図7の実施例と同じ動作をする。
【0028】
なお、図2ないし図6に示した実施例においても、スイッチング回路TR2によって2次整流回路DR2からリアクトルに電流を流す代りに、図8または図9のように別に設けた直流電源を用意して、この直流電源からスイッチング回路TR2を介してリアクトルに電流を流すようにしてもよいのはもちろんである。
【0029】
図10は、本発明の別の実施例を示す接続図であり、先に示した図3の実施例をさらに改良したものに相当する。同図において、インバータトランスT3に設けた補助巻線、この補助巻線の出力を整流して直流に変換する整流回路DR5、出力電流制限用抵抗器R1および逆阻止ダイオードDR6は、2次整流回路DR2、リアクトルL3、逆阻止ダイオードDR3よりなる主回路の出力よりも比較的高電圧で小電流の補助直流電源を構成しており、主回路と並列にして出力端子Tm1、Tm2に接続されている。また、CT2は補助整流回路DR5の出力電流を検出する電流検出器である。
同図において、その他は図3に示した実施例と同機能のものに同符号を付して説明を省略する。
【0030】
同図において、アークスタート時に、起動スイッチ8から起動指令信号が供給されると、図3において説明したのと同様に、スイッチング回路TR2のON−OFF動作によって高電圧が発生し、この高電圧によってケーブル6、7間の浮遊容量が充電されて電極4と被溶接物5との間の電圧が上昇し、両者間の絶縁破壊電圧に至って火花放電が発生する。この時、電極4と被溶接物5との間には2次整流回路DR2からの出力と補助整流回路DR5からの出力とが供給されている。この補助整流回路DR5からの出力は、前述のように2次整流回路DR2の出力よりも高電圧であるので、火花放電に続いてこの補助整流回路からの出力によってまず小電流の初期アークが発生する。この初期アークの発生を電流検出器CT2によって検出し、制御回路CL2はスイッチング回路TR2の動作を停止し、これを開放状態に保持する。初期アークに引き続いて主電源である2次整流回路DR2からの出力によって主アークが発生し溶接が開始される。この2次整流回路DR2からの出力は電流検出器CT1によって検出されて遠隔出力調整器9の設定値と比較され、出力電流が設定値に一致するように制御される。
【0031】
このように図10の実施例においては、スイッチング回路TR2の動作によって発生した高電圧によって発生した火花電放電から主放電に移行する時の電流の立上がり時の不安定期間に比較的高い電圧の補助電源から電力を供給することによって主アークへの移行がより確実となる。
【0032】
図11は、図10に示した実施例の変形例に相当するものであり、スイッチング回路を補助整流回路側に移したものである。同図においては、補助電源の整流回路DR5の出力側に中間タップを有するリアクトルL9が逆阻止ダイオードDR6と直列にして設けられており、スイッチング回路TR2はこのリアクトルL9の中間タップと整流回路DR5の正出力端子との間に接続されている。主出力回路は直流リアクトルL1と逆阻止ダイオードDR3とが直列に接続されて出力端子Tm1、Tm2に接続されている。
【0033】
同図の装置において、補助整流回路DR5は、比較的高電圧小電流であり、2次整流回路DR2は比較的低電圧であるが主アークを賄うのには十分な出力電流と電圧とを供給する。同図において、スイッチング回路TR2がONすることによって図10の実施例と同様に整流回路DR5からの出力がリアクトルL9に流れ、スイッチング回路TR2がOFFすることによって高いパルス状電圧が発生し、この電圧がケーブル6と7との間の浮遊容量に充電される。スイッチング回路TR2のON−OFFの繰り返しによって電極4と被溶接物5との間の電圧が上昇し両者間の絶縁破壊電圧に達したときに火花放電が発生し、これにつづいて補助整流回路DR5からの出力が抵抗器R1、リアクトルL9を通して供給されて小さな初期アークに移行し、これに続いて2次整流回路DR2からの主電源から主アークが発生する。
【0034】
図11の実施例においては、補助整流回路DR5の出力が2次整流回路DR2の出力に比べて高電圧であるので、スイッチング回路TR2のON−OFFによって発生するパルス状電圧もその分だけ高くなり、これに逆比例してスイッチング回路TR2に流すべき電流は少なくてすむことになる。また、主アークが確立した後は、補助整流回路DR5からの出力電流は流れないから、リアクトルL9の電流容量は小さなものでよく、極く小形のリアクトルを用意すればよいことになる。
【0035】
なお、スイッチング回路(TR2)のON−OFFによってケーブル6と7との間の浮遊容量に充電された電圧は、極めて高く、数1000Vに達する。もしもこの充電されたままの状態で実際のアーク起動が行なわれないときには、この高電圧が電極と被溶接物との間にとどまることになって出力端子やケーブル等の絶縁破壊を招くのみならず、万一電極に作業者が触れた時には感電する可能性がある。そこで起動操作をしなくなった後は、速やかにこの充電電荷を放電させることが必要となる。このためには、出力端子Tm1、Tm2の間に高抵抗、例えば、100MΩないし数100MΩ程度の抵抗器を接続しておけばよい。通常ケーブル6と7との間の浮遊容量は数10pFないし数100pF程度であるので上記の抵抗器を出力端子に接続しておけば起動操作を止めて、スイッチング回路TR2がON−OFF動作を停止した後は数10msないし数100msでほぼ安全な電圧まで放電してしまうことになる。また、この放電用抵抗器に直列に発光ダイオードやネオン管などの表示素子を接続しておくと、電極間に高電圧が印加されている間はこれが発光して高充電状態を表示し、警告灯に代えることができる。
【0036】
さらに、起動操作をするときは、電極4を被溶接物5に接近させた状態で行うものであり、スイッチング回路TR2のON−OFFを数回繰返したときにアークは起動されるのが通常である。しかし、電極が被溶接物から極端に離れ過ぎているとこれが永久にスタート出来ないことになる。このようなときは、スイッチング回路TR2のON−OFF動作の繰返しは無駄であり、かつ高電圧が電極に印加され続けることになるので、これを防止し、機器の保護をはかるためにスイッチング回路のON−OFF動作は数回ないし10数回程度行なうと停止するように、その動作回数を制限するようにしてもよい。このためには、制御回路CL2にスイッチング回路TR2の動作回数を計数しその繰返し回数が設定回数に達したときに異常として装置を停止する機能を持たせればよい。
【0037】
前記いずれの実施例においても、溶接電源の主回路はインバータ制御式を用いて説明したが、本発明の実施に当たっては溶接電源の主回路方式はインバータ制御式に限られるものではない。すなわちトランスの2次側でのサイリスタ制御、直流のチョッパ制御等であってもよい。さらにその出力形態は先に説明した直流出力でも交流出力でも良くさらには直流あるいは交流の各波形に周期的に脈動する成分を含むものやパルス波形のものでも良いのはもちろんである。
【0038】
さらに、上記各実施例は、本発明をアーク溶接に適用する場合についてのみ説明したが、本発明はアーク放電を利用して加工を行うものであればなんでも適用出来るものであり、例えば溶接以外にアーク切断、アーク溶射、アーク加熱、アーク溶融などに適用出来る。
【0039】
また、パイロットアークを用いないプラズマアーク溶接やプラズマアーク切断にも適用出来る。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、上記の通り高周波発生装置が発生する高周波を使わずに、加工用電源の主回路のリアクトルにあらかじめ強制的に電流を流しておき、これを遮断するときに発生する高電圧をアーク起動に利用するものであるので大形で高価な高周波発生装置が不要となるばかりでなくケーブルの長さにかかわらず確実なアーク起動が可能となり、かつ、高周波ノイズ障害をほとんど無くすことができるものである。それ故、従来ではアーク起動が不可能であった数10mにおよぶ長大なケーブルを使用したアーク加工装置においても確実なアーク起動ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波高電圧回路によってアーク起動をする従来装置の例を示す接続図
【図2】本発明をアーク溶接に適用したときの実施例を示す接続図
【図3】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図4】本発明をアーク溶接に適用したときのさらに別の実施例を示す接続図
【図5】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図6】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図7】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図8】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図9】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図10】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【図11】本発明をアーク溶接に適用したときの別の実施例を示す接続図
【符号の説明】
1、2、3 1次入力線
4 電極
5 被溶接物
6 電極側ケーブル
7 被溶接物側ケーブル
8 起動スイッチ
9 遠隔出力調整器
10 溶接電源
DR1 1次整流回路
DR2 2次整流回路
DR3 逆阻止ダイオード
DR4 補助整流回路
DR5 補助整流回路
DR6 逆阻止ダイオード
TR1 インバータ回路
TR2 スイッチング回路
T1、T2、T3 インバータトランス
L1、L2、L3、L4 リアクトル
L5(1/2) 、L5(2/2) リアクトル
L6(1/2) 、L6(2/2) リアクトル
L7、L9 リアクトル
L8 補助リアクトル
CT1、CT2 出力電流検出器
CL1、CL2、 制御回路
Tm1 電極側出力端子
Tm2 被溶接物側出力端子
R1 抵抗器
E1 直流電源
HF 高周波高電圧発生器
CC カップリングコイル[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to an improvement of an arc machining apparatus used for arc welding or cutting.
[0002]
[Prior art]
FIG. 1 is a diagram showing an example of a conventional apparatus in the case of arc welding when a high frequency high voltage is used for arc starting. In FIG. 1, 10 is a welding power source, 1 to 3 are primary input lines, and 4 is an electrode, which is held by a welding torch (not shown). 5 is a workpiece, that is, a workpiece, 6 is an electrode side cable, 7 is a workpiece side cable, 8 is a start switch, and 9 is a remote output regulator. In welding power source 10, DR1 is a primary rectifier circuit, TR1 is an inverter circuit, T1 is an inverter transformer, DR2 is a secondary rectifier circuit, L1 is a reactor, C1 is a high frequency bypass capacitor, HF is a high frequency high voltage generator, and CC is a cup. A ring coil, CT1 is an output current detector, CL1 is a control circuit, Tm1 is an electrode side output terminal, and Tm2 is a workpiece side output terminal.
[0003]
In FIG. 1, when the start switch 8 is pressed, the control circuit CL1 drives a gas supply circuit (not shown) by the input of the start signal. The gas supply circuit releases a shielding gas between the electrode 4 and the workpiece 5. The control circuit CL1 drives the inverter circuit TR1 and the high-frequency high-voltage generator HF in anticipation of the time for the shield gas to reach the electrode 4. The inverter circuit TR1 performs a switching operation at a frequency of several tens of KHz, induces a voltage required for the welding arc on the secondary side of the inverter transformer T1, is rectified by the secondary rectifier circuit DR2, and the no-load voltage is applied to the coupling coil CC. It passes through the secondary winding and appears at the electrode-side output terminal Tm1 and the workpiece-side output terminal Tm2, and is applied between the electrode 4 and the workpiece 5 to be welded. The high-frequency generator HF applies a high-frequency high voltage to the primary coil of the coupling coil CC, and the high-frequency high voltage induced in the secondary coil is the electrode-side output terminal Tm1, the electrode-side cable 6, the high-frequency bypass capacitor C1, and the workpiece. It is added between the electrode 4 and the workpiece 5 through the side output terminal Tm2. At this time, if the distance between the electrode 4 and the workpiece 5 is short, spark discharge occurs. Subsequent to this spark discharge, a welding main arc is induced between the electrode 4 and the workpiece 5.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
In the conventional apparatus for starting an arc using the high-frequency high voltage as described above, it is necessary to prepare a large and expensive high-frequency generator, and the high-frequency high voltage generated at the start of the arc is applied to an adjacent cable or ground. Leaks out, and cables and electrodes act as antennas to radiate high-frequency electromagnetic waves into the air. As a result, noise disturbances were caused not only to the own aircraft but also to other nearby aircraft, often causing malfunctions. When the cable becomes longer, the high frequency is bypassed and attenuated by the stray capacitance between the cable and between the cable and the ground, so that it does not reach between the electrode 4 and the workpiece 5 and arc starting becomes uncertain. For this reason, in the conventional system using a high frequency, the length of the cable is limited to about 10 meters at most. When a cable longer than this is used, it is necessary to extremely increase the output of the high frequency. For this reason, the high frequency interference increases, and it cannot be used.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-described problems of the conventional apparatus, the present invention forcibly uses a high-frequency and high-voltage, and forcibly applies to a reactor provided inside the power supply prior to arc starting, and has the same polarity as the main current for processing (welding). An arc machining apparatus is proposed in which an arc is induced by breaking the insulation between an electrode and a workpiece by using a high voltage generated when the current is cut off and the high voltage generated when the current is cut off.
[0006]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described with reference to the illustrated embodiments.
[0007]
FIG. 2 is a connection diagram showing an embodiment of the present invention. In FIG. 2, L2 is a reactor, and TR2 is a switching circuit for short-circuiting between the reactor L2 and the positive output terminal of the secondary rectifier circuit DR2, and forcibly flowing a current having the same polarity as the welding current to the reactor L2. A self-extinguishing switching element such as a switching transistor or a gate turn-off thyristor (GTO), a thyristor provided with an appropriate commutation circuit, or a high-breakdown-voltage mechanical switch such as a vacuum switch can be used. DR3 is a reverse blocking diode whose polarity is determined in the forward direction with respect to the output of the secondary rectifier circuit DR2, and is intended to prevent a reverse voltage from being applied to the secondary rectifier circuit DR2. CL2 is a control circuit that controls the switching circuit TR2 as well as the inverter circuit TR1. In the figure, the other components or assemblies having the same functions as those of the conventional apparatus shown in FIG.
[0008]
In FIG. 2, when starting welding, the operator brings the electrode 4 close to the workpiece 5 and presses the start switch 8. The control circuit CL2 receives a start signal from the start switch 8, sends a drive signal to the inverter circuit TR1, starts it, and supplies a conduction command signal to the switching circuit TR2. When the inverter circuit TR1 is started, a voltage of several tens of kHz is applied to the primary side of the inverter transformer T1, and is converted into a voltage value necessary for arc welding on the secondary side, and is converted into a direct current by the secondary rectifier circuit DR2 to be converted into a reactor. It is added to the series connection circuit of L2 and switching circuit TR2. When the switching circuit TR2 becomes conductive, the output of the secondary rectifier circuit DR2 is short-circuited through the reactor L2, and the current flowing through the series circuit of the reactor L2 and the switching circuit TR2 increases with time. When the current flowing through the series circuit of the reactor L2 and the switching circuit TR2 reaches a certain value, the control circuit CL2 keeps the drive signal applied to the inverter circuit TR1 and sends a conduction command signal to the switching circuit TR2. Cut off this. As a result, the current of the reactor L2 tends to change suddenly toward zero, so that the sudden change is prevented, that is, the positive secondary rectifier circuit DR2 side terminal of the reactor, and the negative blocking high voltage at the reverse blocking diode DR3 side terminal. Voltage is generated. The pulse-like high voltage passes through the secondary rectifier circuit DR2, the workpiece-side output terminal Tm2 and the workpiece-side cable 7 on the positive side, and the reverse blocking diode DR3, the electrode-side output terminal Tm1 and the electrode on the negative side. It passes between the electrode 4 and the workpiece 5 through the side cable 6.
[0009]
Here, when the pulsed high voltage is higher than the breakdown voltage between the electrode 4 and the work 5, a spark discharge is generated during this time, and the main arc discharge for welding is induced by this spark discharge. Is done. On the other hand, when the pulse voltage at this time is insufficient to break the insulation between the electrode 4 and the work 5, the pulse voltage is applied to the stray capacitance between the cables 6 and 7. Charged. This charged charge is prevented by the reverse blocking diode DR2 and prevented from flowing back to the secondary rectifier circuit DR2, and is maintained. When the main arc is not generated due to the opening of the previous switching circuit, the control circuit CL2 closes the switching circuit TR2 again after a certain time and releases it again. Reactor L2 again generates a pulsed high voltage by reclosing and opening the switching circuit. Since this high voltage has the same polarity as the voltage previously charged in the stray capacitance between the cables 6 and 7, this voltage is further increased. When the insulation between the electrode 4 and the workpiece 5 is not broken also by this result, the switching circuit TR2 repeats ON-OFF again. As a result, charging of the stray capacitance between the cables 6 and 7 proceeds, eventually leading to breakdown of the insulation between the electrode 4 and the workpiece 5 and spark discharge is generated. Will be triggered.
[0010]
When the main arc is generated in this way, the current detector CT1 detects this, and the control circuit CL2 keeps the switching circuit TR2 OFF, and the command value from the remote output regulator 9 matches the output current value. Controls the output current. In addition, the switching circuit repeats ON-OFF at appropriate intervals from the start command to the generation of the main arc, but the number of times increases as the cables 6 and 7 become longer and the stray capacitance between them increases. Become. Therefore, even if the cable becomes longer, the final voltage applied between the electrode and the workpiece is not changed, so that the starting of the arc is assured regardless of the length of the cable. Further, since the pulse voltage generated for starting the arc is about once to several times, naturally, there are few noise disturbances as compared with the conventional high frequency system.
[0011]
In the embodiment of FIG. 2, the ON / OFF operation of the switching circuit is not repeated until the main arc is generated, but is limited to a predetermined number of times, and the voltage charged between the cables 6 and 7 by these operations is used. Then, the electrode 4 may be further brought closer to the workpiece 5 to generate a spark discharge.
[0012]
Note that the energy used for charging the stray capacitance between the cables 6 and 7 in one ON-OFF operation of the switching circuit TR2 is the current value that has flowed through the reactor L2 at the moment when the switching circuit TR2 is OFF. . Therefore, this energy is set in the control circuit CL2 in advance by setting a current value when the switching circuit is turned off, and when the output of the current detector CT1 becomes a set value, the energy is serially connected to the switching circuit TR2. It is possible to adjust by adjusting the resistance value of the resistor connected to, determining the phase for turning off the switching circuit in synchronization with the operation of the inverter circuit TR1, or combining these various methods.
[0013]
FIG. 3 is a connection diagram showing another embodiment in which the embodiment of FIG. 2 is improved. In the same figure, although L3 is a reactor, it has a middle terminal and is different from the reactor L2 of the embodiment shown in FIG. The switching circuit TR2 is connected between the intermediate terminal of the reactor L3 and the workpiece-side output terminal Tm2 (the positive output terminal of the secondary rectifier circuit DR2). In the figure, the other components or assemblies having the same functions as those of the embodiment shown in FIG.
[0014]
In FIG. 3, when the start switch 8 is pressed during start-up, a start signal is input to the control circuit CL2, thereby starting the inverter circuit TR1 and turning on the switching circuit TR2. At this time, the output circuit is short-circuited by the series circuit of the switching circuit TR2 and the winding between the secondary rectifier circuit DR2 side of the reactor L3 and its intermediate terminal. Here, when the number of turns between the secondary rectifier circuit DR2 side terminal and the intermediate terminal of the reactor L3 is N1, and the number of turns between the intermediate terminal of the reactor L3 and the electrode side output terminal Tm1 is N2, the switching circuit TR2 is cut off from the conductive state. The voltage applied between the electrode 4 and the workpiece 5 is a voltage that appears across the reactor L3, and this is the voltage between the secondary rectifier DR2 side terminal of the reactor L3 and the intermediate terminal {(N1 + N2) / N1} times. This is because the voltage required between the output terminals Tm1 and Tm2 for starting the arc is the same, so the voltage applied to the switching circuit TR2 is between the secondary rectifier circuit DR2 side terminal and the intermediate terminal of the reactor L3. Since it is only a voltage, it means that the withstand voltage necessary for the switching circuit TR2 may be N1 / (N1 + N2) in the embodiment of FIG.
[0015]
Also in the embodiment of FIG. 3, when the main arc is not generated by the ON-OFF operation of the switching circuit TR2 once, ON-OFF is repeated at a predetermined interval, and the generation of the main arc is detected or predetermined. The operation of the switching circuit TR2 is stopped after repeating ON-OFF as many times.
[0016]
FIG. 4 is a connection diagram showing another embodiment of the present invention. The embodiment shown in the figure corresponds to the embodiment shown in FIG. 3 in which a DC reactor L4 for stabilizing the arc is added in series to the output circuit. In this case, the reactor L3 is for generating a high voltage by turning on and off the switching circuit TR2 connected to the intermediate terminal at the time of starting, and after the main arc for welding is generated, the large welding is performed. May be saturated by the working current. Therefore, if the reactor L3 has a characteristic that exhibits a large inductance in a small current range and the inductance disappears in a large current range, the current flowing through the switching circuit TR2 can be reduced to a small value. Can be reduced. Of course, the reactor L4 shows an inductance suitable for the stability and continuation of the arc with respect to the current flowing during welding.
[0017]
In FIG. 4, the positions of reactor L4 and reverse blocking diode DR3 may be opposite to each other.
[0018]
FIG. 5 is a connection diagram showing still another embodiment of the present invention. L5 is a reactor having two windings L5 (1/2) and L5 (2/2) in one iron core. In the figure, the other components or assemblies having the same functions as those in FIG. Reactor L5 is composed of two reactor windings in which two windings insulated from each other are wound around a common iron core and magnetically coupled. The current of each winding has a polarity for exciting the core in the same direction. The winding direction is determined so that One winding L5 (1/2) of the reactor L5 is between the negative output terminal of the secondary rectifier circuit DR2 and the reverse blocking diode DR3, and the other winding L5 (2/2) is the secondary rectifier circuit DR2. Are connected between the positive output terminal and the workpiece-side output terminal Tm2. The switching circuit TR2 is connected between a connection point between the reactor L5 (1/2) and the reverse blocking diode DR3, and between the reactor L5 (2/2) and the output terminal Tm2, and outputs the output of the secondary rectifier circuit DR2 to the reactor L5. (1/2) and L5 (2/2) are configured to be short-circuited.
[0019]
In the embodiment of FIG. 5, the operation is the same as in the embodiment of FIG. 2 except for the reactor portion. In FIG. 5, since the polarity of each winding is determined to be the polarity that excites the iron core in the same direction as described above, the voltages generated by both windings are added. Therefore, if the number of turns of each winding of the reactor L5 is set to one half of that of the reactor L2 in FIG. 2, the pulse-like height generated between the electrode 4 and the workpiece 5 when the switching circuit TR2 is released from conduction. The same voltage as that of the embodiment shown in FIG. 2 can be obtained.
[0020]
In FIG. 5, the switching circuit TR2 is connected between the reactor L5 (1/2) and the reverse blocking diode DR3 and between the positive output terminal of the secondary rectifier circuit DR2 (between points A and B in the figure), or It is connected between the negative output terminal of the secondary rectifier circuit DR2 and the output terminal Tm2 (between the points CD in the figure), and the reactor L5 (1/2) or L5 (2/2) A current may be forced to flow through one of them.
[0021]
FIG. 6 is a connection diagram showing still another embodiment of the present invention. L6 is a reactor substantially similar to the reactor used in the embodiment shown in FIG. 5, but each winding is provided with an intermediate terminal. In the figure, the other components or assemblies having the same functions as those of the embodiment shown in FIG.
[0022]
In FIG. 6, each of the windings L6 (1/2) and L6 (2/2) of the reactor L6 is between the negative output terminal of the secondary rectifier circuit DR2 and the reverse blocking diode DR3 and between the positive output of the secondary rectifier circuit DR2. Connected between the output terminal and the workpiece-side output terminal Tm2. Each winding is provided with an intermediate terminal, and a switching circuit TR2 is connected between the intermediate terminals. The embodiment shown in FIG. 5 is obtained by applying the reactor used in the embodiment shown in FIG. 3 to the embodiment shown in FIG. 5, and is applied to the switching circuit TR2 for the same reason as described in the embodiment shown in FIG. Since the voltage to be applied is lowered according to the number of turns between the intermediate terminals, the withstand voltage may be low.
[0023]
FIG. 7 is a connection diagram showing another embodiment of the present invention. In the figure, the DC power supply 10 includes a series circuit of an auxiliary reactor L8 connected between the output terminals of the secondary rectifier circuit DR2 and a switching circuit TR2 in addition to the reactor L7 connected in series with the reverse blocking diode DR3. Have. Reactor L7 and auxiliary reactor L8 are magnetically tightly coupled, and the windings of each reactor are set to polarities in which magnetic flux is generated in the same direction by the currents flowing by the output of secondary rectifier circuit DR2. . In the figure, components other than those described above are denoted by the same reference numerals with the same functions as those in the examples shown in FIGS.
[0024]
In the embodiment of FIG. 7, when the switching circuit TR2 becomes conductive, a current flows from the secondary rectifier circuit DR2 to the auxiliary reactor L8, and when this current is interrupted by the switching circuit TR2, the output of the secondary rectifier circuit DR2 is connected to the reactor L7. A high voltage of the same polarity is generated according to the turns ratio of both reactors, and the voltage is charged in the stray capacitance between the cables 6 and 7. When this charging voltage rises every time the switching circuit TR2 is turned on and off, and a dielectric breakdown voltage between the electrode 4 and the workpiece 5 is exceeded as in the embodiment shown in FIG. A main arc for welding is induced.
[0025]
In the embodiment of FIG. 7, the current only flows through the auxiliary reactor L8 only once or several times only when the arc is started, so that the current capacity of the winding of the reactor L8 may be very small. It will be.
[0026]
FIG. 8 is connected to a DC power source E1 in which a series circuit of the auxiliary reactor L8 and the switching circuit TR2 of FIG. 7 is separately provided, and the operation is the same as that of the embodiment shown in FIG.
[0027]
9 is obtained by replacing the DC power supply E1 in the embodiment of FIG. 8 with an auxiliary DC power supply in which the output of the auxiliary winding provided in the inverter transformer T2 is converted to DC by the auxiliary rectifier circuit DR4. The same operation as that of the embodiment of FIG.
[0028]
Also in the embodiments shown in FIGS. 2 to 6, instead of flowing current from the secondary rectifier circuit DR2 to the reactor by the switching circuit TR2, a DC power source provided separately as shown in FIG. 8 or FIG. 9 is prepared. Of course, a current may flow from the DC power source to the reactor via the switching circuit TR2.
[0029]
FIG. 10 is a connection diagram showing another embodiment of the present invention, and corresponds to a further improvement of the embodiment shown in FIG. In the figure, an auxiliary winding provided in an inverter transformer T3, a rectifying circuit DR5 that rectifies and converts the output of the auxiliary winding into a direct current, an output current limiting resistor R1, and a reverse blocking diode DR6 are secondary rectifying circuits. An auxiliary DC power source having a relatively high voltage and a smaller current than the output of the main circuit composed of DR2, the reactor L3, and the reverse blocking diode DR3 is configured and connected to the output terminals Tm1 and Tm2 in parallel with the main circuit. . CT2 is a current detector that detects the output current of the auxiliary rectifier circuit DR5.
In the figure, the other parts having the same functions as those in the embodiment shown in FIG.
[0030]
In the figure, when an activation command signal is supplied from the activation switch 8 at the arc start, a high voltage is generated by the ON-OFF operation of the switching circuit TR2, as described in FIG. The stray capacitance between the cables 6 and 7 is charged, the voltage between the electrode 4 and the workpiece 5 rises, reaches a dielectric breakdown voltage between them, and spark discharge occurs. At this time, the output from the secondary rectifier circuit DR2 and the output from the auxiliary rectifier circuit DR5 are supplied between the electrode 4 and the workpiece 5. Since the output from the auxiliary rectifier circuit DR5 is higher in voltage than the output of the secondary rectifier circuit DR2 as described above, an initial arc of a small current is first generated by the output from the auxiliary rectifier circuit following the spark discharge. To do. The occurrence of this initial arc is detected by the current detector CT2, and the control circuit CL2 stops the operation of the switching circuit TR2 and keeps it open. Subsequent to the initial arc, the main arc is generated by the output from the secondary rectifier circuit DR2, which is the main power source, and welding is started. The output from the secondary rectifier circuit DR2 is detected by the current detector CT1 and compared with the set value of the remote output regulator 9, and the output current is controlled to match the set value.
[0031]
As described above, in the embodiment of FIG. 10, a relatively high voltage is supplemented during an unstable period when the current rises when a transition is made from the spark discharge generated by the high voltage generated by the operation of the switching circuit TR2 to the main discharge. By supplying power from the power source, the transition to the main arc is more reliable.
[0032]
FIG. 11 corresponds to a modification of the embodiment shown in FIG. 10, and the switching circuit is moved to the auxiliary rectifier circuit side. In the figure, a reactor L9 having an intermediate tap is provided in series with the reverse blocking diode DR6 on the output side of the rectifier circuit DR5 of the auxiliary power supply, and the switching circuit TR2 includes the intermediate tap of the reactor L9 and the rectifier circuit DR5. Connected to the positive output terminal. In the main output circuit, a DC reactor L1 and a reverse blocking diode DR3 are connected in series and connected to output terminals Tm1 and Tm2.
[0033]
In the apparatus shown in the drawing, the auxiliary rectifier circuit DR5 supplies a relatively high voltage and small current, and the secondary rectifier circuit DR2 supplies a relatively low voltage but sufficient output current and voltage to cover the main arc. To do. In the figure, when the switching circuit TR2 is turned ON, the output from the rectifier circuit DR5 flows to the reactor L9 as in the embodiment of FIG. 10, and when the switching circuit TR2 is turned OFF, a high pulse voltage is generated. Is charged to the stray capacitance between cables 6 and 7. When the switching circuit TR2 is repeatedly turned on and off, the voltage between the electrode 4 and the workpiece 5 rises, and when a breakdown voltage is reached between them, a spark discharge is generated, followed by the auxiliary rectifier circuit DR5. Is supplied through a resistor R1 and a reactor L9 to shift to a small initial arc, and subsequently, a main arc is generated from the main power supply from the secondary rectifier circuit DR2.
[0034]
In the embodiment of FIG. 11, since the output of the auxiliary rectifier circuit DR5 is higher than the output of the secondary rectifier circuit DR2, the pulse voltage generated by ON-OFF of the switching circuit TR2 is also increased accordingly. In inverse proportion to this, the current to be supplied to the switching circuit TR2 can be reduced. In addition, since the output current from the auxiliary rectifier circuit DR5 does not flow after the main arc is established, the current capacity of the reactor L9 may be small, and an extremely small reactor may be prepared.
[0035]
Note that the voltage charged in the stray capacitance between the cables 6 and 7 by turning on and off the switching circuit (TR2) is extremely high, reaching several thousand volts. If the actual arc start is not performed in this charged state, this high voltage stays between the electrode and the work piece and not only causes dielectric breakdown of the output terminal, cable, etc. In the unlikely event that an operator touches the electrode, there is a possibility of electric shock. Therefore, after the start operation is stopped, it is necessary to quickly discharge the charge. For this purpose, a high resistance, for example, a resistor of about 100 MΩ to several 100 MΩ may be connected between the output terminals Tm1 and Tm2. Usually, the stray capacitance between the cables 6 and 7 is about several tens of pF to several hundreds of pF, so if the resistor is connected to the output terminal, the starting operation is stopped and the switching circuit TR2 stops the ON-OFF operation. After that, the battery is discharged to a substantially safe voltage in several tens to several hundreds of milliseconds. If a display element such as a light emitting diode or a neon tube is connected in series to this discharging resistor, it emits light while a high voltage is applied between the electrodes, indicating a high charge state, and a warning. It can be replaced with a light.
[0036]
Further, the starting operation is performed in a state where the electrode 4 is brought close to the workpiece 5, and the arc is usually started when the switching circuit TR2 is repeatedly turned on and off several times. is there. However, if the electrode is too far from the work piece, this cannot be started forever. In such a case, the repetition of the ON-OFF operation of the switching circuit TR2 is useless, and a high voltage continues to be applied to the electrodes. Therefore, to prevent this and protect the equipment, the switching circuit TR2 You may make it limit the frequency | count of the operation | movement so that it may stop, if it performs ON-OFF operation | movement several times or about 10 times. For this purpose, the control circuit CL2 may have a function of counting the number of operations of the switching circuit TR2 and stopping the apparatus as an abnormality when the number of repetitions reaches the set number.
[0037]
In any of the above-described embodiments, the main circuit of the welding power source has been described using the inverter control type. However, in implementing the present invention, the main circuit type of the welding power source is not limited to the inverter control type. That is, thyristor control on the secondary side of the transformer, DC chopper control, or the like may be used. Further, the output form may be the direct current output or the alternating current output as described above, and it may of course be one that includes a component that periodically pulsates in the direct current or alternating current waveform or a pulse waveform.
[0038]
Furthermore, although each said Example demonstrated only the case where this invention was applied to arc welding, this invention can apply anything as long as it processes using arc discharge, for example besides welding. It can be applied to arc cutting, arc spraying, arc heating, arc melting, etc.
[0039]
It can also be applied to plasma arc welding and plasma arc cutting without using a pilot arc.
[0040]
【The invention's effect】
In the present invention, as described above, without using the high frequency generated by the high frequency generator, a current is forced to flow through the reactor of the main circuit of the machining power source in advance, and the high voltage generated when this is cut off is arced. Since it is used for start-up, not only a large and expensive high-frequency generator is not required, but also reliable arc start-up is possible regardless of cable length, and high-frequency noise interference can be almost eliminated. It is. Therefore, it is possible to reliably start an arc even in an arc machining apparatus using a long cable having a length of several tens of meters, which has conventionally been impossible to start an arc.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a connection diagram showing an example of a conventional apparatus that starts an arc with a high-frequency high-voltage circuit
FIG. 2 is a connection diagram showing an embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 3 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 4 is a connection diagram showing still another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 5 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 6 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 7 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 8 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 9 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 10 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
FIG. 11 is a connection diagram showing another embodiment when the present invention is applied to arc welding.
[Explanation of symbols]
1, 2, 3 Primary input line
4 electrodes
5 Workpiece
6 Electrode side cable
7 Welded object side cable
8 Start switch
9 Remote output regulator
10 Welding power source
DR1 primary rectifier circuit
DR2 secondary rectifier circuit
DR3 reverse blocking diode
DR4 auxiliary rectifier circuit
DR5 Auxiliary rectifier circuit
DR6 reverse blocking diode
TR1 inverter circuit
TR2 switching circuit
T1, T2, T3 Inverter transformer
L1, L2, L3, L4 reactor
L5 (1/2), L5 (2/2) reactor
L6 (1/2), L6 (2/2) reactor
L7, L9 reactor
L8 Auxiliary reactor
CT1, CT2 output current detector
CL1, CL2, control circuit
Tm1 Electrode side output terminal
Tm2 Workpiece output terminal
R1 resistor
E1 DC power supply
HF high frequency high voltage generator
CC coupling coil