JP3606595B2 - Machine tool control device - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば旋盤、フライス盤等のような工作機械を駆動制御する工作機械制御装置に係り、特に加工の状態の認識、信頼性の高い異常検知および精度の良い指令値への追従をそれぞれ可能にする工作機械制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図26は例えば三菱電機株式会社製工作機械制御装置(MELDAS−330HM−V)等に適用されている従来の工作機械制御装置の要部の概略構成を示す図である。
図において、1は工作機械制御装置の本体、2はこの本体1の前面に具備された画面、3はメニューの選択、英数字等を入力するための入力キー、4は画面2に表示される工具マーク、5は工具の移動によって描画、表示される機械位置の軌跡である。
【0003】
次に動作について説明する。
まず、オペレータが入力キー3を操作してトレースモードを選択すると、画面2上に工具マーク4が表示される。そして、プログラムによる自動運転あるいは手動運転によって工作機械が駆動されると、画面2上の工具マーク4が移動し、その移動経路に機械位置の軌跡5が描画される。図26は工具マーク4が初期位置から移動を始め、最終的に元の位置に戻ってきた場合を示している。
このように上記従来の工作機械制御装置によれば、トレースモードを持つことにより、オペレータは工作機械動作経路のチェックが容易に行え、プログラムの作成ミス等も簡単に発見できるようになされている。
【0004】
又、図27は例えば特開昭58−51054号公報に示された従来の工作機械制御に適用される工具異常検知装置の構成を示すブロック図である。
図において、6は制御対象としての工作機械、7はこの工作機械6上に装着される電動機、8はこの電動機7の駆動力を伝達する駆動力伝達装置。9は刃物台、10はこの刃物台9に固定される工具、11は電動機7を駆動制御する制御装置、12は電流測定器、13はAD変換器、14は積算器、15は切換回路、16は記憶装置、17は比率演算器、18は比較器、19は設定器、20は警報装置である。
【0005】
次に動作について説明する。
まず、工具、ワーク等が正常な状態で、制御装置11の駆動制御により工作機械6を動作させてモデル加工を行い、ある動作状態において電動機7を流れる電流値の積算値を、電流測定器12、AD変換器13および積算器14により求め、切換回路15を記憶装置16側に切り換えて記憶装置16にその値を記憶する。そして、実際の加工時には、モデル加工時における上記動作状態と同様の状態において電動機7を流れる電流値の積算値を、上記と同様の手順で求め、比率演算器17においてこの積算値と記憶装置16に記憶されている積算値との比を求める。
【0006】
次に、比較器18において比率演算器17で求められた比と、設定器19で予め設定された異常と見なさない許容範囲の比とを比較し、比率演算器17で求められた比の方が上回っている場合は警報装置20により工具異常の警報を出力する。
このように上記従来の工具異常検知装置によれば、モデル加工時の正常な状態で、電動機7を流れる電流値を基準値とし、実際の加工時に電動機7を流れる電流値が基準値からどのくらいずれるかにより工具異常を判断するようにしているので、単純なしきい値による判断よりは信頼性の高い判断ができるようになされている。
【0007】
さらに又、図28は例えば特開昭63−269211号公報に示された工作機械制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図において、21は指令値発生部、22は制御部、23は補正値推定部、24は制御対象としての工作機械、25は指令値発生部21から出力される指令値、26は制御部22から出力されるモータ電圧等の操作量、27は補正値推定部23から出力される補正値、28は工作機械24から得れる位置、速度、電流等の状態量、29は工作機械24の位置等の出力である。
【0008】
上記従来の工作機械制御装置は以上のように構成され、補正値推定部23により工作機械24から出力される状態量28を基に、この状態量28に応じたクーロン摩擦量を推定し、この値を工作機械24のいずれかの軸の進行方向が反転する際に、補正値27として制御部22に出力し、制御部22はこの補正値27を加味した操作量26で工作機械24を駆動制御することにより、進行方向反転時に生じる位置誤差を減少させるようになされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図26に示す従来の工作機械制御装置は以上のように構成され、工具マーク4の軌跡5を描画するようにしているので、画面2上の表示からは工具位置の幾何学的な情報しか得られず、加工状態に関する情報を得ることができないという問題点があった。
【0010】
又、図27に示す従来の工作機械制御装置は以上のように構成され、モデル加工時の正常な状態で電動機7を流れる電流値の積算値を基準値とし、実際の加工時に流れる電流値の積算値をこの基準値と比較することにより工具異常を判断するようにしているので、電動機7にノイズが入ると異常と見なしてしまい、また、電動機7が加工反力の影響を受けにくい場合には異常と見なされないため、異常検知の信頼性が低くなるという問題点があった。
【0011】
さらに又、図28に示す従来の工作機械制御装置は以上のように構成され、工作機械24が動作中の状態量28に基づき、補正値推定部23で補正値を推定し、制御部22はこの補正値により指令値25を補正して工作機械を駆動制御するようにしているので、他の軸の影響や加工等の外乱が加わると正確な補正値が得られず、また、補正値をその都度新たに推定し直しているので、推定値が雑音の影響を受け易い等という問題点があった。
【0012】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、オペレータが画面上の表示から加工の状態を容易に認識することが可能な工作機械制御装置を提供することを目的とするものであり、又、より信頼性の高い異常検知を行うとともに、異常を検知した場合でもその異常が軽微で修復可能な場合には自動的に加工再開できるような制御が可能な工作機械制御装置を提供することを目的とするものであり、さらに又、外乱に影響されることなく高精度の制御が可能な工作機械制御装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る工作機械制御装置は、
工作機械の異常を検知する異常検知部と、
上記異常が検知されると予め設定された機械、工具またはワークの損傷度合を把握するための動作確認シーケンスで上記工作機械を動作させる動作確認シーケンス制御部と、
上記動作確認シーケンス実行に中の上記工作機械の動作状態から上記機械、工具またはワークの損傷の度合を順次判断し、上記損傷の度合に応じて加工動作が可能か否かを判断し、加工動作が可能と判断された場合には動作の速度または加速度の制限値を設定して加工動作を行う状況判断部とを備えたものである。
【0014】
又、この発明の請求項2に係る工作機械制御装置は、請求項1記載の工作機械制御装置において、上記工作機械は上記ワークとは別に動作確認用の第2のワークを常備し、上記動作確認シーケンスの実行は、上記第2のワークを用いて行うものである。
【0015】
【作用】
この発明の請求項1における工作機械制御装置の動作確認シーケンス制御部は、異常が検知されると予め設定された動作確認シーケンスで工作機械を動作させ、状況判断部は、動作確認シーケンス実行中の工作機械の動作状態から損傷の状況を順次判断する。
【0016】
又、この発明の請求項2における工作機械制御装置は、ワークとは別に常備する動作確認用の第2のワークを用いて動作確認シーケンスを実行する。
【0017】
【実施例】
実施例1.
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施例1における工作機械制御装置の概略構成を示す図、図2は図1における画面表示部の構成を示す図、図3は図2における画面表示部の工作機械稼動中の状態を示す図である。
【0018】
図において、31はワーク、32はこのワーク31を加工するための工具、33はこの工具32を移動するための移動テーブル、34は工具32と移動テーブル33との間に介在される力センサで、例えばストレンゲージを組み合わせて3軸方向の力が測定できるようになっている。35は力センサ34で測定された力をもとに、ワーク31と工具32との間にかかる加工反力の力ベクトルの方向と大きさを求める力ベクトル計算部、36は画面表示部、37はこの画面表示部36の前面に形成される画面、37aは画面37に表示されたワーク画像、37bは画面37に表示された工具画像、37cは画面37に表示された力ベクトル画像、38はメニューの選択、英数字等を入力するための入力キーである。
【0019】
次に、上記のように構成された実施例1における工作機械制御装置の動作について工作機械が旋盤の場合を例に説明する。
まず、オペレータが入力キー38を操作して力ベクトル表示モードを選択すると、図2に示すように、画面表示部36の画面37にはワーク画像37a、工具画像37bおよび力ベクトル画像37cが表示される。次いで、ワーク31が回転駆動され、工具32が移動テーブル33によって所望の位置に設定されると加工が開始される。
【0020】
そうすると、ワーク31と工具32との間には加工反力が作用し、この加工反力は力センサ34によって検出され電気信号として出力される。そして、この電気信号を基にベクトル計算部35においては、力ベクトルの方向および大きさが算出される。このようにして求められた力ベクトルは、図3に示すように、ワーク画像37aと実際の工具32に同期して移動する工具画像37bとの当接位置から、方向と大きさが加味された力ベクトル画像37cが表示され、これらの工具画像37bおよび力ベクトル画像37cは時々刻々変化する加工状態に伴って変化し表示される。なお、画面37上のワーク画像37aおよび工具画像37bは、上位コントローラ(図示せず)あるいは装置内に持つCAMデータおよび工作機械を動作させるプログラムの情報をもとに表示するか、オペレータが好みの形状を入力できるような入力機能を装置内に備えて表示するようにしても良い。
【0021】
このように上記実施例1によれば、画面表示部36の画面37に、ワーク画像37a、工具画像37bおよび力ベクトル画像37cを、加工状態の変化に応じて表示するようにしているので、オペレータは画面37上から視覚的に確認できるため、加工状態のチェック、加工中の異常の発見および加工条件の修正が容易に行えるようになる。
【0022】
実施例2.
図4はこの発明の実施例2における工作機械制御装置の要部の構成を示すブロック図、図5は図4に示す画面表示部の構成を示す図、図6は図5に示す力ベクトルを3方向に分解した成分を示す図である。
図において、39は工作機械の動作を指令する指令値を生成して出力する指令値生成部、40a、40b、40cは位置/速度制御部、41a、41b、41cは電流制御部である。
【0023】
42aはワーク31を回転させる主軸43aを駆動するための主軸モータ、42bは工具を移動させるX方向送り軸(以下X軸と称す)43bを駆動するためのX軸モータ、42cは工具を移動させるZ方向送り軸(以下Z軸と称す)43cを駆動するためのZ軸モータ、44a、44b、44cは加工時に各モータ42a、42b、42cを流れる電流から、非加工時に流れる電流(以下駆動電流と称す)を分離し、加工に実際に費やされる電流の値を出力する駆動電流分離部、45は各駆動電流分離部44a、44b、44cの出力に基づいて力ベクトルの方向および大きさを算出する力ベクトル計算部、37dは力ベクトルの方向を示すための座標系、37eはこの座標系37d上に力ベクトル計算部45で算出される方向および大きさで表示される力ベクトル画像である。
【0024】
次に、上記のように構成された実施例2における工作機械制御装置の動作について工作機械が旋盤の場合を例に説明する。
まず、指令値生成部39から指令が送出されると、各位置/速度制御部40a、40b、40cおよび各電流制御部41a、41b、41cを介して、主軸モータ42a、X軸モータ42bおよびZ軸モータ42cが駆動され、主軸43aが回転してワーク31を回転させるとともに、X軸43bおよびZ軸43cが回転して工具を所望の位置に移動させ加工が開始される。
【0025】
この時、加工は主軸43aの回転中心に対して水平方向から行われるため、加工中の主軸モータ42a、X軸モータ42bおよびZ軸モータ42cには、空送り動作時(非加工動作時)に比べて、Y方向、X方向およびZ方向の切削力に対応するトルクがそれぞれ加わる。このため、主軸モータ42a、X軸モータ42bおよびZ軸モータ42cには、この加工による電流分が駆動電流に加算された電流が流れる。
【0026】
今、図5に示す力ベクトル37eは、図6に示すように、X、Y、Z方向の各成分Fx、Fy、Fzにそれぞれ分解される。そして、これら各成分Fx、Fy、Fzは、それぞれX軸43b、主軸43aおよびZ軸43cの加工中の切削力による電流増加分から求められるということは容易に理解し得るところである。
【0027】
したがって、各駆動電流分離部44a、44b、44cでは、予め非加工動作時に必要な各モータ電流、すなわち駆動電流を測定しておき、加工時に主軸モータ42a、X軸42bおよびZ軸モータ42cに流れる電流から各駆動電流を減算することにより、加工による各電流増加分を求めて出力し、この出力から力ベクトル計算部45では切削点における力の各成分Fx、Fy、Fzを下記式(1)、(2)、(3)によって求め、この結果に基づいて画面表示部36の画面37上には力ベクトル画像37eが表示される。
【0028】
すなわち、
Fx=ix・Tx・nx・・・・・(1)
Fy=im・Tm/Y ・・・・・(2)
Fz=iz・Tz・nz・・・・・(3)
但し、ix、im、izはそれぞれX軸モータ42b、主軸モータ42a、Z軸モータ42cをそれぞれ流れる電流の増加分、Tx、Tm、TzはそれぞれX軸モータ42b、主軸モータ42a、Z軸モータ42cの各トルク定数、nx、nzはそれぞれX軸43b、Z軸43cの減速比、すなわち機械を単位量移動させるためのモータ回転量、Yはワークの半径である。
【0029】
このように上記実施例2によれば、力ベクトル37eを単なる座標系37d上のベクトルとして表示するようにしたので、オペレータは工具とワークとの位置関係を意識しながら力ベクトルを確認する必要があるが、力の情報を視覚的に確認できるため、加工状態のチェック、加工中の異常の発見、加工条件の修正等に十分な効果が得られる。又、力ベクトル37eの各成分Fx、Fy、Fzを、それぞれX軸43b、主軸43a、Z軸43cの加工中の切削力による電流増加分から求めるようにしているので、上記式(1)、(2)、(3)で示すように簡単な計算で算出することができる。
【0030】
実施例3.
なお、上記実施例2によれば、加工中の切削力による電流増加分から力ベクトルを求める場合について説明したが、同一出願人が先に出願した特願平5−77404号に示される電流フィードフォワードを用いたサーボ系のフィードバック側電流指令値を用いても良く、上記実施例2の場合と同様に式(1)、(2)、(3)による簡単な計算で力ベクトルを求めることができる。
【0031】
実施例4.
なお、上記各実施例は旋盤による旋削加工を例にした場合について説明したが、その他の切削加工においても力ベクトルの表示を行うことができる。図7はエンドミル加工において力ベクトル表示を行った例を示す図であり、図中、37fは工具としてのエンドミル画像、37gはワーク画像、37hは力ベクトル画像である。
【0032】
このように、例えばマシニングセンタによるミーリング加工における力ベクトル画像37hの表示も、マシニングセンタでは少なくともX、Y、Z方向の送り軸が存在するため、上記実施例3と同様に加工中の切削力による電流増加分から求めることから可能になる。さらに、主軸モータやC軸等の付加軸モータの電流値を用いることにより、必要最少限以上の情報が得られ、より信頼性の高い力ベクトル表示が可能となる。
【0033】
実施例5.
又、エンドミル等のように複数の刃を持つ工具を回転させて行う加工では、工具の回転角度により工具から見た刃とワークとの接触点の位置が変化するため、力ベクトルの方向は正常な切削時でも、主軸の回転数と工具の刃数の積の周波数fとで周期的に変化する。したがって、この周波数fあるいはfの整数分の1倍の周波数に同期したタイミングで力ベクトルを表示するようにすれば、力ベクトルの変化が少なくなり切削状況の判断が容易になる。
【0034】
実施例6.
又、上記実施例5では主軸の回転数と工具の刃数の積の周波数fあるいはfの整数分の1倍の周波数に同期したタイミングで力ベクトルを表示する場合について説明したが、同等の周波数に相当する時間間隔内における複数の力ベクトルを平均したものを表示するようにしても、上記実施例5の場合と同様に、力ベクトルの変化が少なくなり切削状況の判断が容易になる。
【0035】
実施例7.
又、上記各実施例において表示される各力ベクトルのうち、いずれかを組み合わせて同時に表示するようにすれば、より多くの情報を得ることができさらに有効となる。
【0036】
実施例8.
又、上記各実施例においては、工具とワークの接触点に加わる3次元空間上の力ベクトルを表示する場合について説明したが、表示するベクトルは厳密な空間上ベクトルである必要はなく、複数方向の力の情報を含むものであればよく、たとえば各モータ軸に流れる電流値をそのまま仮想的な空間上にプロットしたものや次元の異なるトルクをそのまま1つの画面にプロットしたものであってもよい。
そして、このような表示を行うことにより、多面的な表示ができるようになり状況把握がより有効となる。
【0037】
実施例9.
図8はこの発明の実施例9における工作機械制御装置の要部の構成を示す図である。
図において、図4に示す実施例2におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。46は力ベクトル計算部45で得られる力ベクトルを解析することにより、加工中における工具の折損、チッピング、工具とワークとの通常加工開始時以外の衝突、加工中のビビリといった異常状態および工具の摩耗量の状態を認識する加工状況判定部である。
【0038】
以下、加工状況判定部46で行われる各状態の認識動作について説明する。
まず、工具の摩耗が生じると、切削力は大きくなりベクトルの方向も変化する。この変化は緩やかで僅かであるため、ある時間間隔の切削力ベクトルを平均して高周波の変動成分を取り除き、その平均ベクトルの時間変化から工具摩耗の大きさを認識して出力する。そして、図示しない表示装置により、認識された工具摩耗の大きさは表示される。すなわち、このようにすれば、工具摩耗の様子から工具寿命を予め判断して、異常に至る前に工具を交換することができる。
【0039】
又、工具の折損が生じると、プログラム通りに工作機械が動作しても工具とワークが離れて加工が行われない場合がある。このような場合には正常時に比べ切削力ベクトルが小さくなり、また、刃先のチッピングのように軽微な損傷で通常の加工が行われる場合には、切削力ベクトルに工具摩耗が急激に進行したような現象が現れるので、これらをそれぞれ検知して工具の折損およびチッピングであることを認識して出力し、図示しない表示装置によって表示する。すなわち、このようにすれば、工具の折損およびチッピングが容易に検出でき、タイミングの良い工具交換が可能になる。
【0040】
又、ビビリが生じると、切削力ベクトルは周波数が高くなり、且つベクトルの大きさおよび方向に大きなバラツキが生じる。したがってベクトルの大きさおよび方向のバラツキを表す指標となる分散を求め、また、通常の切削状態では、切削力ベクトルの変動にはカオス性が見られるが、ビビリが発生すると周期的な成分が多く見られるため、切削力ベクトルのカオス性を判定することによってビビリを認識し出力する。又、ビビリが生じると、切削力ベクトルの大きさおよび方向に大きなバラツキが生じ、且つその周波数が高くなる。したがってベクトルの大きさおよび方向のバラツキを表す指標となる分散を求め、ビビリを認識し出力する。そして、これを図示しない表示装置によって表示する。すなわち、このようにすれば、ビビリを容易に検知することができ、例えば切削速度の減少あるいは切り込み量の削減等といった加工条件の修正を行う等の対策が可能になる。又、通常の切削状態では、切削力ベクトルの変動にはカオス性が見られるが、ビビリが発生すると周期的な成分が多く見られるため、切削力ベクトルのカオス性を判定することによってビビリを認識し出力することも可能である。
【0041】
又、工具とワークの通常加工開始時以外の衝突が生じると、切削力ベクトルは急激に大きく変化する。したがって、サンプリング時間毎の切削力ベクトルの大きさまたは方向が大きく変化した場合、これにより衝突が発生したことを認識して出力し、これを図示しない表示装置によって表示する。すなわち、このようにすれば、衝突を容易に察知して適切な対策を速やかに行い、工作機械を早急に停止することができる。
【0042】
実施例10.
なお、上記実施例9では、各状態の認識表示については詳しく説明しなかったが、図9に示すように、画面37にワーク画像37a、工具画像37bおよび力ベクトル画像37cとともに、認識された異常、すなわち、例えば衝突であることを示す衝突マーク37iを表示する。なお、異常マークは予め各認識内容にそれぞれ応じて特有のマークが設定されている。すなわち、このようにすれば、視覚を通して加工中の異常の内容を容易に認識することができ、適切な対策を速やかに実行することができる。
【0043】
実施例11.
又、上記実施例10では、各状態の認識表示を予め設定された特有のマークで表示する場合について説明したが、例えば画面37に表示された工具画像37bあるいは力ベクトル画像37cの色を変える、点滅させる等、画面37上で視覚的に各現象を区別して認識できるような手段を採用することにより、上記実施例10の場合と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0044】
実施例12.
図10はこの発明の実施例12における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図において、47は加工の動作を記述したプログラム、48はこのプログラム47に基づいて各軸の動作指令値を生成し出力する指令値生成部、49はこの指令値生成部48で生成された動作指令値に従って各軸を動作させ加工を実行する主軸・送り軸駆動部、50はこの主軸・送り軸駆動部49のモータ電流を基に動作中の異常を検知する異常検知部、51は異常が検知されると動作シーケンスを開始し、順次その動作指令を指令値生成部に送出する動作確認シーケンス制御部、52はこの動作確認シーケンス制御部51の動作指令と、主軸・送り軸駆動部49からの動作情報とを基に、機械や工具の損傷度合いを把握して加工を中止するか、加工のためのプログラム47を修正するか、あるいはワークや工具を交換するか等を決定して実行する機械状況判断部である。
【0045】
次に、上記のように構成された実施例12における工作機械制御装置の動作について説明する。
まず、指令値生成部48でプログラム47を解釈し、各軸モータへの動作指令値を生成して出力する。次いで、主軸・送り軸駆動部49では指令値生成部48から出力される動作指令値に従って各軸を動作させ加工を実行する。一方、異常検知部50では主軸・送り軸駆動部49のモータ電流を基に、加工動作中の異常、すなわち、衝突、工具摩耗大、工具損傷、ビビリ等の発生を監視する。
【0046】
そして、監視の結果、異常検知部50で異常が検知されると、異常検知部50は指令値生成部48に異常の状況を送出する。次いで指令値生成部48では異常の状況に応じて、例えば衝突、工具損傷を検知した場合には速やかに機械を停止、ビビリを検知した場合には加工速度を低下、工具摩耗が許容値に近づいてきた場合には現加工終了後に工具交換等というように動作指令値を変更する。
【0047】
又、異常検知部50では検知された異常が衝突、工具損傷といった機械や工具に関する損傷である場合には、動作確認シーケンス制御部51へもその情報を送出する。この情報を受けると、動作確認シーケンス制御部51では動作確認シーケンスを開始し、順次その動作命令を指令値生成部48に送出する。一方、機械状況判断部52では、動作確認シーケンス制御部51の動作命令と主軸・送り軸駆動部49からの情報とを基に、機械や工具の損傷度合いを把握し、加工を中止するか、加工のためのプログラム47を修正するか、あるいはワークや工具を交換するか等を決定し実行する。
【0048】
次に、動作確認シーケンス制御部51および機械状況判断部52の動作を、図11および図12に示すフローにしたがって詳細に説明する。
動作確認シーケンス制御部51により動作確認シーケンスが開始(ステップS1)されると、まず、エンコーダが正常に動作しているか否かのエンコーダチェック(ステップS2)を行い、異常の場合はその後の加工の実行は不可能と判断し、機械を停止(ステップS3)して動作確認シーケンスを終了する。
【0049】
次いで、エンコーダチェック(ステップS2)の結果が正常な場合は、送り軸をこれまで動作させてきた方向とは逆方向に1パルス送って1パルス送りチェック(ステップS4)を行い、送り軸の動作を確認する。そして、異常の場合は上記と同様にその後の加工の実行は不可能と判断し、機械を停止(ステップS3)して動作確認シーケンスを終了する。1パルス送りチェック(ステップS4)の結果が正常な場合は、送り軸をこれまで動作させてきた方向とは逆方向に、予め設定された一定距離だけ送って一定距離送り動作チェック(ステップS5)を行い、さらに送り軸の動作を確認する。
【0050】
一定距離送り動作チェック(ステップS5)の結果、異常の場合には異常の度合いを評価して加工動作可能か否かを判断(ステップS6)し、加工動作可能と判断された場合は、異常の度合いから動作の制限値を設定(ステップS7)する。なお、異常の度合いの評価は、動作指令値に対する位置誤差の大きさ、および必要電流の大きさにより行う。例えば、機械に損傷が起こり摩擦がやや大きくなった場合、増加した摩擦量は必要電流の変化分により推定できる。又、動作の制限値は、摩擦の増加分が僅かである場合、その増加量に応じて最大速度、最大加速度の限界値を修正して設定する。一方、ステップS6により加工動作が不可能と判断された場合は、機械を停止(ステップS3)して動作確認シーケンスを終了する。
【0051】
以上説明したエンコーダチェック(ステップS2)、1パルス送りチェック(ステップS4)および一定距離送り動作チェック(ステップS5)により、ワークと工具の食い込み等がなく移動が可能であることが確認できる。次に、送り軸を例えば座標原点等のような安全な位置まで移動(ステップS8)させ、その後、ワークおよび工具をアンロード(ステップS9)し、送り軸動作の衝突の起こらない領域を確保する。そして、送り軸を予め設定されたシーケンスにより衝突の起こらない全域で動作させ、全領域送り動作チェック(ステップS10)を行
う。
【0052】
全領域送り動作チェック(ステップS10)の結果、異常の場合には異常の度合いを評価して加工動作が可能か否かを判断(ステップS11)し、加工可能と判断された場合は、異常の度合いから動作の制限値を設定(ステップS12)する。そして、加工不可能と判断された場合は、機械を停止(ステップS3)し動作確認シーケンスを終了する。一方、全領域送り動作チェック(ステップS10)の結果、正常と判断されると、次いで主軸を回転させて動作指令通りに動作しているか否かの主軸動作チェック(ステップS13)を行う。
【0053】
主軸動作チェック(ステップS13)の結果、異常の場合には異常の度合いを評価して加工動作が可能か否かを判断(ステップS14)し、加工可能と判断された場合は、異常の度合いから動作の制限値を設定(ステップS15)する。そして、加工可能と判断された場合は、機械を停止(ステップS3)し動作確認シーケンスを終了する。一方、主軸動作チェック(ステップS13)の結果正常と判断されると、ステップS9でアンロードされたワークおよび工具を再度ロード(ステップS16)させ、工具長さのチェック(ステップS17)を行う。
【0054】
そして、工具が異常であれば工具を交換(ステップS18)し、再度工具長さのチェック(ステップS18)を行って工具が正常であることを確認した後、ワーク位置およびワーク形状を予め設定された手順によりワークチェック(ステップS19)し、異常があればワークを交換(ステップS20)して再度ワークチェック(ステップS19)を行いワークが正常であると確認されると、工作機械に用意された動作確認ワークを用いて、ステップS18で確認できた正常な工具により予め設定された手順で試し削りチェック(ステップS21)を行い、正常な加工ができるか否かの確認を行う。
【0055】
試し削りチェック(ステップS21)の結果、正常な加工が実現できなければ、加工動作が不可能と判断して機械を停止(ステップS3)し動作確認シーケンスを終了する。一方、正常な加工ができた場合は、動作確認シーケンスを終了して通常の加工に復旧(ステップS22)する。そしてこの復旧に際しては、動作確認シーケンス中の各ステップS7、S12、S15において制限値の設定が行われている場合には、その後の加工は制限値の大きさに応じて加工速度を低下し
て行う。
【0056】
このように上記実施例12によれば、加工中に異常が検知されると動作確認シーケンスにより機械の各動作チェックを順次実行し、加工動作が不可能と判断される場合は機械を停止し、加工動作が可能と判断される場合には異常の度合いに応じてそれぞれ動作の制限値を設定し、この制限値の大きさに応じて加工速度を低下させ復旧するようにしているので、無人運転中に多量の不良品を発生させることもなく、又、些細な異常で加工を中止させて生産性を低下させる等といったことも防止される。
【0057】
実施例13.
なお、上記実施例12では、工作機械の加工の段階で発生する可能性のある全ての損傷を順にチェックする場合について説明したが、検知される異常の種類に応じて複数の動作確認シーケンスを予め設定しておき、異常の種類に応じて使い分けるようにしても良い。
図13は工具異常を検知した場合の動作確認シーケンスの例を示すフロー図である。
まず、工具異常検知時動作確認シーケンスが開始(ステップS31)されると、工具チェック(ステップS32)が行われ、工具が異常であれば工具を交換(ステップS34)して再度工具チェック(ステップS32)を行って工具が正常であることを確認する。
【0058】
工具が正常であることが確認されると、ワーク位置およびワーク形状を予め設定された手順によりワークチェック(ステップS35)し、異常があればワークを交換(ステップS36)して再度ワークチェック(ステップS35)を行いワークが正常であると確認されると、工作機械に用意された動作確認ワークを用いて、ステップS35で確認できた正常な工具により予め設定された手順で試し削りチェック(ステップS37)を行い、正常な加工ができるか否かの確認を行う。
【0059】
試し削りチェック(ステップS37)の結果、正常な加工ができた場合は、動作確認シーケンスを終了して通常の加工に復旧(ステップS39)し、異常が確認された場合は、工具、ワーク以外の異常が存在すると考えられるため、図11に示した全体動作確認シーケンスに移行(ステップS38)して他の異常のチェックを行う。
このように上記実施例13によれば、検知される異常の種類に応じて複数の動作確認シーケンスを予め設定しておき、検知された異常の種類に応じた動作確認シーケンスにより動作のチェックを実行するようにしているので、上記実施例12におけると同様の効果を奏することは勿論のこと、動作のチェックを短時間で済ませることができ、チェック効率ならびに生産性の向上を図ることが可能になる。
【0060】
実施例14.
又、上記各実施例12、13では、試し削りチェックを行うための動作確認用ワークについては詳しく説明しなかったが、この実施例ではもう少し詳しく説明する。
図14はこの発明の実施例14における工作機械の要部の構成を示す斜視図であり、図において、53はマシニングセンタ、54は主軸に取り付けられた工具、55はワーク、56は通常加工中には加工の妨げにならない場所に設置され移動可能なワーク台、57はこのワーク台56に取り付けられた動作確認用ワークで常備されている。
【0061】
試し削りチェックを行う場合、正規のワーク55は安全な位置に移動して待避させ、次にワーク台56を移動させて動作確認用ワーク57を試し削り実行位置に固定する。そして、この動作確認用ワーク57の試し削りを行い、加工中における各軸モータ電流、位置情報等を予め行われた正常加工時のデータと比較することにより、工作機械の正常、異常の判定を行う。
このように上記実施例14によれば、工作機械自身にワーク55とは別に動作確認用ワーク57を常備するようにしたので、試し削りに手間がかからず、ひいては生産性の向上に寄与することができる。
【0062】
実施例15.
図15はこの発明の実施例15における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図において、58は加工の動作を記述したプログラム、59はこのプログラム58を基に通常モードの動作指令値を生成する通常モード指令値生成部、60は慎重モードの動作指令値を生成する慎重モード指令値生成部、61は現状の工作機械の運転状況を判断し、通常モードあるいは慎重モードのいずれの動作指令値を使用するかを決める運転状況判断部、62はこの運転状況判断部61からの情報により動作指令値を選択して出力する指令値選択部、63はこの指令値選択部62で選択された動作指令値に従って各軸を動作させる主軸・送り軸駆動部である。
【0063】
次に、上記のように構成された実施例15における工作機械制御装置の動作について説明する。
まず、通常モード指令値生成部59ではプログラム58を解釈し、各軸モータへの通常モード動作指令値を生成して出力する。一方、慎重モード指令値生成部60では予め設定された慎重モードのパラメータとプログラム58を基に、通常モード動作指令値より単位時間当たりの切削量を所望の値だけ低く、すなわち、具体的に例えば送り速度や加工速度を低下させて設定された慎重モード動作指令値を生成して出力する。そして、運転状況判断部61では現在行われている工作機械の運転状況を判断して、通常モード動作指令値と慎重モード動作指令値のどちらを使用すべきかを決定する。
【0064】
このいずれのモードの動作指令値を使用すべきかの判断は、例えば新たなプログラムで初めて工作機械を動作させる場合、加工中に異常が検知され復旧後初めて加工が行われる場合等は慎重モード動作指令値の方が選択される。このようにして運転状況判断部61でいずれのモードの動作指令値を使用するかが決められると、指令値選択部62ではこの決定を基に動作指令値を選択して出力する。そして、主軸・送り軸駆動部63はこの選択された動作指令値に従って各軸を動作させ加工を実行する。
このように上記実施例15によれば、通常モードの動作指令値と慎重モードの動作指令値とを生成し、運転状況に応じて動作指令値を選択しているので、些細な異常が発生している場合には、通常モードより例えば送り速度や加工速度を低下させた慎重モードで運転されるため、無理な加工が行われることもなく、事故の発生を防止することができる。
【0065】
実施例16.
なお、上記実施例15では慎重モード指令値生成部60が1台で、設定される慎重モード動作指令値が1つの場合について説明したが、慎重モード指令値生成部を複数台設けて、それぞれにおいて異なる慎重モード動作指令値を生成し、工作機械の運転状況に応じてそれらを選択するようにしても良く、上記実施例15の場合と同様の効果を発揮し得ることは勿論のこと、さらに細かく異常の状況に対応することができるようになる。
【0066】
実施例17.
又、例えば上記実施例12において各チェック毎に設定される各制限値を、慎重モード動作指令値として用いるようにしても良く、上記実施例15の場合と同様の効果を発揮し得ることは勿論のこと、慎重モード指令値生成部でわざわざ指令値を生成する手間が省けて制御が簡単になる。
【0067】
実施例18.
図16はこの発明の実施例18における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図、図17は図16における補正データ記憶部に記憶された補正値を示す図である。
図において、64は指令値発生部、65は制御部、66は制御対象としての工作機械、67はこの工作機械66に取り付けられたワークまたは工具の各位置または回転角度に応じて変化する例えばクーロン摩擦やバックラッシュの上記各位置にそれぞれ対応して設定された補正値を記憶し、工作機械66の動作中の状態に応じて各補正値を制御部65に送出する補正データ記憶部である。
【0068】
次に、上記のように構成された実施例18における工作機械制御装置の動作を図18および図19のフローに基づいて説明する。
まず、補正データ記憶部67は図18に示すように制御が開始されると、工作機械66からの情報を順次取り込んで、現在の動作位置(X、Y)の入力(ステップS41)を行い、現在の動作位置(X、Y)における摩擦の補正値〔Fx(x、y)、Fy(x、y)〕と、バックラッシュの補正値〔Bx(x、y)、By(x、y)〕とを、予め設定して記憶した図17(A)、(B)から求め(ステップS42)て、その値を制御部65に順次出力(ステップS43)する。
【0069】
一方、制御部65では図19に示すように制御が開始されると、指令値発生部64からの動作指令値を基に、摩擦やバックラッシュの値を考慮に入れて工作機械66の動作を制御するわけであるが、補正データ記憶部67から順次出力される摩擦とバックラッシュの補正値を入力(ステップS51)すると、この補正値を元来の摩擦やバックラッシュの値にそれぞれ置き換え(ステップS52、S53)て、トルク補正値および位置補正値とし工作機械66の動作を制御する。
【0070】
このように上記実施例15によれば、補正データ記憶部67に、工作機械66に取り付けられたワークまたは工具の各位置または回転角度に、それぞれ応じたクーロン摩擦やバックラッシュの補正値を記憶しておき、この補正値により動作状態にそれぞれ対応した補正制御を行っているので、例えば状態観測器のモデル化誤差によって生じる補正値推定誤差等に影響されることなく、正確な動作制御ができるようになる。
【0071】
実施例19.
なお、クーロン摩擦やバックラッシュは、各軸の回転方向が反転する時に大きく変動し、同方向の回転を続行している間はあまり変動しないので、図20のフロー図に示すように、図19のフロー図において、ステップS51の動作を行う前に軸の回転方向が反転したか否かの判断(ステップS61)をし、反転した時にのみ以下の各ステップS51〜S53を実行するようにしても良く、上記実施例18と同様の効果を奏することは勿論のこと、制御が簡略化されるという効果が得られる。
【0072】
実施例20.
なお、上記実施例18では、摩擦やバックラッシュの補正値を、図17(A)、(B)に示すように動作の領域を有限の区域に分割してその中心での値としているが、その周辺の値を補完するようにすれば、領域の変化点で補正値が急激に変化することもなくなり、なめらかな補正制御が可能になる。
【0073】
実施例21.
図21はこの発明の実施例21における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図において、指令値発生部64、制御部65および工作機械66は、図16に示す実施例18におけると同様なので同一符号を付して説明を省略する。68は予め例えば被加工材がアルミニウム、鋼材等というように加工の内容に対応して設定されたクーロン摩擦やバックラッシュの補正値を記憶し、実行される加工の内容に応じた補正値を出力する補正データ記憶部、69は実行される加工の内容を察知して順次補正データ記憶部68へ出力する加工仕様記憶部である。
【0074】
上記のように構成された実施例21によれば、補正データ記憶部68において、工作機械66に取り付けられたワークや工具の各位置または回転角度に応じて変化する例えばクーロン摩擦やバックラッシュの各位置または回転角度にそれぞれ対応した補正値を、加工の内容毎に設定して記憶しておき、加工仕様記憶部69で遂一察知され送出されてくる加工の内容に応じた補正値を、順次制御部65に出力するようにしているので、加工内容に影響されることなく正確な制御が可能になる。
【0075】
実施例22.
なお、上記実施例21では、補正データ記憶部68から制御部65へ出力される補正値は、工具の位置またはこれに加えて加工の内容にそれぞれ対応したものとして説明したが、例えば補正値の例として示した図17において、縦軸に工具の種類、横軸に被加工材料を設定し、これらパラメータにそれぞれ応じた補正値を予め設定して記憶するようにしても良く、上記実施例21と同様の効果を奏することは勿論である。
【0076】
実施例23.
又、上記各実施例では、工具の位置や回転角度あるいは加工の内容に応じて補正値を設定する場合について説明したが、これらに加えて工具の姿勢、工作機械本体の温度、室温、電源投入後の経過時間等をパラメータとして設定しても良く、さらに木目細やかな加工制御が可能になる。
【0077】
実施例24.
又、上記各実施例では、状態量としてクーロン摩擦やバックラッシュを適用した場合について説明したが、ロストモーション、移動形状に応じたドループ量、加工形状や材質に応じて変わるオーバライド量等を状態量として適用できることは言うまでもない。
【0078】
実施例25.
図22はこの発明の実施例25における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図において、図21に示す実施例2におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。70は図23にフローで示すように複数点での測定に必要な動作指令値を発生して出力する指令値発生部、71はこの指令値発生部からの開始指令により、図24にフローで示すように上記複数点でのバックラッシュおよびクーロン摩擦の値を求め、この値を補正データ記憶部68に順次入力して、予め記憶されている補正値を更新する補正データ更新部である。
【0079】
まず、図23に示すように、指令値発生部70は開始点(Xmin、Ymin)、終了点(Xmax、Ymax)および変化量(ΔX、ΔY)を補正データ更新部71から入力(ステップS71)し、開始点近傍でX軸およびY軸に対して微小円(φ5mm)運動指令を与える(ステップS72)とともに、補正データ更新部71へ測定開始を指示(ステップS73)する。そして、X軸方向に開始点(Xmin)から終了点(Xmax)に到達するまで、予め設定された複数の測定点における運動指令を与える(ステップS74)。次いで、Y軸方向に開始点(Ymin)から終了点(Ymax)に到達するまで、予め設定された複数の測定点における運動指令を与え(ステップS75)、両軸方向の測定が終了すると補正データ更新部72へ測定終了を指示(ステップS76)する。
【0080】
一方、補正データ更新部71では図24に示すように、まず、指令値発生部70からの測定開始の指示を確認(ステップS81)する。次いで、軸の方向が反転(ステップS82)した時のモータ電流の変化から摩擦の大きさを判定(ステップS83)するとともに、モータに取り付けられたエンコーダとリニアスケールでそれぞれ検出される値の差からバックラッシュを演算(ステップS84)する。次いで、さらに軸の方向が反転(ステップS85)した時のモータ電流の変化から摩擦の大きさを判定(ステップS86)するとともに、モータに取り付けられたエンコーダとリニアスケールでそれぞれ検出される値の差からバックラッシュを演算(ステップS87)する。次いで、上記のようにして判定、演算された各測定点における両反転方向の摩擦およびバックラッシュの平均値を求め、補正データ記憶部68に順次送出(ステップS88)して記憶させ、補正データの更新を行う。そして、指令値発生部70からの測定終了指示が確認(ステップS89)されると測定を終了する。
【0081】
このように上記実施例25によれば、工作機械に測定のための動作を実行させ、補正データ更新部71によりこの動作中における各測定点の摩擦およびバックラッシュを判定、演算し、この値を補正データ記憶部68に順次記憶させることにより、補正データの更新を行うようにしているので、工作機械の設置される環境が変化しても常に正確な動作制御を実行することができる。
【0082】
実施例26.
なお、上記実施例25では、補正値を求める際に1回の円運動により実行するようにしているが、複数回実行して平均をとるようにすれば、さらに正確な補正値を得ることができ、正確な動作制御が可能になる。
【0083】
実施例27.
又、上記実施例25では、補正値として両反転方向の値を平均して求めるようにしているが、それぞれの方向に対する補正値を別個に記憶させるようにしても良く、上記実施例25と同様の効果を得ることができる。
【0084】
実施例28.
図25はこの発明の実施例28における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図において、図22に示す実施例25におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。72は指令値発生部70で生成される指令値と、工作機械66の動作状態とから工作機械66の動作誤差を検出し、この誤差が予め設定された所定の値を越えるとその結果を補正データ更新部71へ送出して、補正データ更新を指示する誤差判定部である。
【0085】
このように上記実施例28によれば、誤差判定部72で工作機械66の動作誤差を検出し、この誤差が予め設定された値を越えると、補正データ更新部71に補正データ更新を指示して、上記実施例25で説明したと同様の動作過程を経て補正データ記憶部に記憶された補正データを更新するようにしているので、常に適切な補正値を自動的に生成することができ、さらに正確な動作制御が可能になる。
【0086】
実施例29.
なお、上記実施例28では、工作機械66の動作誤差が所定の値を越えると補正データを更新するようにしているが、誤差の程度に応じて補正値の更新方法を変更するようにしても良く、例えば誤差が設定値をやや越えた場合には、すぐには補正値の更新をせず、しばらく動作を継続し動作中の値から補正値を学習させ、又、誤差が設定値を大きく越えた場合には、すぐに補正値の更新を実施し、又、誤差が設定値をさらに大きく越えた場合には、補正値の更新はせず、異常と判断して工作機械66の動作を中止というような方法をとっても上記実施例28と同様の効果を発揮することが可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1によれば、
工作機械の異常を検知する異常検知部と、
上記異常が検知されると予め設定された機械、工具またはワークの損傷度合を把握するための動作確認シーケンスで上記工作機械を動作させる動作確認シーケンス制御部と、
上記動作確認シーケンス実行に中の上記工作機械の動作状態から上記機械、工具またはワークの損傷の度合を順次判断し、上記損傷の度合に応じて加工動作が可能か否かを判断し、加工動作が可能と判断された場合には動作の速度または加速度の制限値を設定して加工動作を行う状況判断部とを備えたので、無人運転中に多量の不良品を発生させ、又、些細な異常で加工を中断させて生産性を低下させる等の事態が起きるのを防止することが可能な工作機械制御装置を提供することができる。
【0088】
又、この発明の請求項2によれば、ワークとは別に常備する動作確認用の第2のワークを用いて動作確認シーケンスを実行するようにしたので、試し削りに手間がかからず、ひいては生産性の向上が可能な工作機械制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1における工作機械制御装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における画面表示部の構成を示す図である。
【図3】図2における画面表示部の工作機械稼動中の状態を示す図である。
【図4】この発明の実施例2における工作機械制御装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4における画面表示部の構成を示す図である。
【図6】図5に示す力ベクトルを3方向に分解した成分を示す図である。
【図7】エンドミル加工において力ベクトル表示を行った例を示す図である。
【図8】この発明の実施例9における工作機械制御装置の要部の構成を示す図である。
【図9】この発明の実施例10における工作機械制御装置の画面表示部の表示状態を示す図である。
【図10】この発明の実施例12における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】図10における動作確認シーケンス制御部および機械状況判断部の動作の一部を示すフロー図である。
【図12】図11に示す動作確認シーケンス制御部および機械状況判断部の動作の残部を示すフロー図である。
【図13】工具異常を検知した場合の動作確認シーケンスの例を示すフロー図である。
【図14】この発明の実施例14における工作機械の要部の構成を示す斜視図である。
【図15】この発明の実施例15における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施例18における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図17】図16における補正データ記憶部に記憶された補正値を示す図である。
【図18】図16における補正データ記憶部の動作を示すフロー図である。
【図19】図16における制御部の動作を示すフロー図である。
【図20】この発明の実施例19における工作機械制御装置の制御部の動作を示すフロー図である。
【図21】この発明の実施例21における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図22】この発明の実施例25における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図23】図22における指令値発生部の動作を示すフロー図である。
【図24】図22における補正データ更新部の動作を示すフロー図である。
【図25】この発明の実施例28における工作機械制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図26】従来の工作機械制御装置の要部の概略構成を示す図である。
【図27】従来の工作機械制御に適用される工具異常検知装置の構成を示すブロック図である。
【図28】従来の工作機械制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
31,55 ワーク、32,54 工具、35,45 力ベクトル計算部、
36 画面表示部、37 画面、37a ワーク画像、37b 工具画像、
37c 力ベクトル画像、37d 座標系、37e 力ベクトル、
39,48 指令値生成部、40a,40b,40c 位置/速度制御部、
41a,41b,41c 電流制御部、42a 主軸モータ、
42b X軸モータ、42c Z軸モータ、43a 主軸、43b X軸、
43c Z軸、44a,44b,44c 駆動電流分離部、
46 加工状況判定部、47,58 プログラム、
49,63 主軸・送り軸駆動部、50 異常検知部、
51 動作確認シーケンス制御部、52 機械状況判断部、
57 動作確認用ワーク、59 通常モード指令値生成部、
60 慎重モード指令値生成部、61 運転状況判断部、62 指令値選択部、
64,70 指令値発生部(指令値生成部)、65 制御部、66 工作機械、
67,68 補正データ記憶部、69 加工仕様記憶部、
71 補正データ更新部、72 誤差判定。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a machine tool control device that drives and controls a machine tool such as a lathe, a milling machine, etc., and particularly enables recognition of a machining state, highly reliable abnormality detection, and tracking of a command value with high accuracy. The present invention relates to a machine tool control device.
[0002]
[Prior art]
FIG. 26 is a diagram showing a schematic configuration of a main part of a conventional machine tool control apparatus applied to, for example, a machine tool control apparatus (MELTAS-330HM-V) manufactured by Mitsubishi Electric Corporation.
In the figure, 1 is a main body of a machine tool control device, 2 is a screen provided on the front surface of the
[0003]
Next, the operation will be described.
First, when the operator operates the
As described above, according to the conventional machine tool control apparatus, by having the trace mode, the operator can easily check the operation path of the machine tool and can easily find a mistake in creating the program.
[0004]
FIG. 27 is a block diagram showing the configuration of a tool abnormality detection device applied to conventional machine tool control disclosed in, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 58-51054.
In the figure, 6 is a machine tool to be controlled, 7 is an electric motor mounted on the
[0005]
Next, the operation will be described.
First, in a normal state of tools, workpieces, etc., the
[0006]
Next, the ratio obtained by the ratio calculator 17 in the
As described above, according to the conventional tool abnormality detection device, the current value flowing through the
[0007]
FIG. 28 is a block diagram showing the configuration of the control system of the machine tool control device disclosed in, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 63-269211.
In the figure, 21 is a command value generation unit, 22 is a control unit, 23 is a correction value estimation unit, 24 is a machine tool to be controlled, 25 is a command value output from the command
[0008]
The conventional machine tool control device is configured as described above. Based on the
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
Since the conventional machine tool control apparatus shown in FIG. 26 is configured as described above and draws the
[0010]
Further, the conventional machine tool control device shown in FIG. 27 is configured as described above, and the integrated value of the current value flowing through the
[0011]
Furthermore, the conventional machine tool control device shown in FIG. 28 is configured as described above, and the correction
[0012]
The present invention has been made to solve the above-described problems, and an object thereof is to provide a machine tool control device that allows an operator to easily recognize a machining state from a display on a screen. A machine tool control device that can detect abnormalities with higher reliability and can automatically resume processing when abnormalities are minor and can be repaired. In addition, it is an object of the present invention to provide a machine tool control device capable of high-precision control without being affected by disturbance.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
A machine tool control apparatus according to
An anomaly detector that detects an anomaly in the machine tool;
An operation confirmation sequence control unit for operating the machine tool in an operation confirmation sequence for grasping the degree of damage of a preset machine, tool or workpiece when the abnormality is detected;
Damage to the machine, tool or workpiece from the operating state of the machine tool during execution of the operation check sequencedegreeAre judged sequentially,It is determined whether or not the machining operation is possible according to the degree of damage, and when it is judged that the machining operation is possible, the machining speed is set by setting a limit value of the operation speed or acceleration.And a situation determination unit.
[0014]
A machine tool control device according to
[0015]
[Action]
Machine tool control apparatus according to
[0016]
A machine tool control device according to
[0017]
【Example】
Example 1.
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings. 1 is a diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to a first embodiment of the present invention, FIG. 2 is a diagram showing a configuration of a screen display unit in FIG. 1, and FIG. 3 is during operation of a machine tool of the screen display unit in FIG. It is a figure which shows the state of.
[0018]
In the figure, 31 is a workpiece, 32 is a tool for machining the
[0019]
Next, the operation of the machine tool control apparatus according to the first embodiment configured as described above will be described by taking the case where the machine tool is a lathe as an example.
First, when the operator operates the input key 38 to select the force vector display mode, a work image 37a, a
[0020]
Then, a machining reaction force acts between the workpiece 31 and the
[0021]
As described above, according to the first embodiment, the work image 37a, the
[0022]
Example 2
4 is a block diagram showing the configuration of the main part of the machine tool control apparatus according to
In the figure, 39 is a command value generator for generating and outputting a command value for commanding the operation of the machine tool, 40a, 40b and 40c are position / speed controllers, and 41a, 41b and 41c are current controllers.
[0023]
42a is a spindle motor for driving the
[0024]
Next, the operation of the machine tool control apparatus according to the second embodiment configured as described above will be described by taking the case where the machine tool is a lathe as an example.
First, when a command is sent from the command
[0025]
At this time, since the machining is performed in a horizontal direction with respect to the rotation center of the
[0026]
Now, the
[0027]
Accordingly, each drive
[0028]
That is,
Fx= Ix・ Tx・ Nx(1)
Fy= Im・ Tm/ Y (2)
Fz= Iz・ Tz・ Nz(3)
However, ix, Im, IzAre the increments of current flowing through the
[0029]
As described above, according to the second embodiment, since the
[0030]
Example 3
In addition, according to the said Example 2, although the case where a force vector was calculated | required from the electric current increase part by the cutting force in process was demonstrated, the current feedforward shown by Japanese Patent Application No. 5-77404 which the same applicant applied previously. The feedback side current command value of the servo system using may be used, and the force vector can be obtained by a simple calculation according to equations (1), (2), and (3) as in the case of the second embodiment. .
[0031]
Example 4
In addition, although each said Example demonstrated the case where the turning process by a lathe was made into an example, the force vector can be displayed also in another cutting process. FIG. 7 is a diagram showing an example of force vector display in end milling, in which 37f is an end mill image as a tool, 37g is a workpiece image, and 37h is a force vector image.
[0032]
As described above, for example, the
[0033]
Example 5 FIG.
Also, in machining performed by rotating a tool with multiple blades such as an end mill, the position of the contact point between the blade and the workpiece as viewed from the tool changes depending on the rotation angle of the tool, so the direction of the force vector is normal. Even during simple cutting, the frequency f is periodically changed by the product frequency f of the number of rotations of the spindle and the number of blades of the tool. Therefore, if the force vector is displayed at a timing synchronized with the frequency f or a frequency that is 1 / integer of f, the change of the force vector is reduced and the cutting situation can be easily determined.
[0034]
Example 6
In the fifth embodiment, the case where the force vector is displayed at the timing synchronized with the frequency f of the product of the rotational speed of the spindle and the number of blades of the tool or a frequency that is 1 / integer of f is described. Even if an average of a plurality of force vectors within a time interval corresponding to is displayed, as in the case of the fifth embodiment, the change of the force vector is reduced and the judgment of the cutting situation is facilitated.
[0035]
Example 7
Further, if any one of the force vectors displayed in the above embodiments is combined and displayed simultaneously, more information can be obtained, which is more effective.
[0036]
Example 8 FIG.
In each of the above embodiments, the case where the force vector on the three-dimensional space applied to the contact point between the tool and the workpiece has been described. However, the vector to be displayed does not have to be a strict space vector, and a plurality of directions For example, the current values flowing through the motor shafts may be plotted on a virtual space as they are, or torques of different dimensions may be plotted on a single screen as they are. .
And by performing such a display, a multi-faceted display can be performed and the situation grasp becomes more effective.
[0037]
Example 9
FIG. 8 is a diagram showing a configuration of a main part of a machine tool control apparatus according to
In the figure, the same parts as those in the second embodiment shown in FIG. 46, by analyzing the force vector obtained by the force
[0038]
Hereinafter, the recognition operation of each state performed by the processing
First, when tool wear occurs, the cutting force increases and the vector direction also changes. Since this change is gradual and slight, the cutting force vector at a certain time interval is averaged to remove high-frequency fluctuation components, and the magnitude of tool wear is recognized from the time change of the average vector and output. And the magnitude | size of the recognized tool wear is displayed by the display apparatus which is not shown in figure. That is, in this way, the tool life can be determined in advance from the state of tool wear, and the tool can be replaced before it becomes abnormal.
[0039]
If the tool breaks, the tool and workpiece may be separated from each other even if the machine tool operates according to the program. In such a case, the cutting force vector becomes smaller than normal, and when normal machining is performed with slight damage such as chipping of the cutting edge, tool wear seems to have progressed rapidly to the cutting force vector. Therefore, these are detected and recognized as tool breakage and chipping, and are displayed on a display device (not shown). That is, in this way, tool breakage and chipping can be easily detected, and tool replacement with good timing becomes possible.
[0040]
In addition, when chatter occurs, the cutting force vector has a high frequency and a large variation in the magnitude and direction of the vector. Therefore, the variance, which is an index that represents the variation in vector size and direction, is obtained.In normal cutting conditions, fluctuations in the cutting force vector are chaotic, but when chatter occurs, there are many periodic components. Since it is seen, chatter is recognized and output by determining the chaos of the cutting force vector. Further, when chattering occurs, large variations in the magnitude and direction of the cutting force vector occur, and the frequency increases. Accordingly, the variance serving as an index representing the variation in the magnitude and direction of the vector is obtained, and chatter is recognized and output. Then, this is displayed by a display device (not shown). That is, in this way, chatter can be easily detected, and measures such as correction of machining conditions such as reduction in cutting speed or reduction in cutting amount can be made. In normal cutting conditions, fluctuations in the cutting force vector are chaotic. However, when chattering occurs, many periodic components are observed, so chattering is recognized by determining the chaoticity of the cutting force vector. It is also possible to output.
[0041]
Further, when a collision occurs between the tool and the workpiece other than at the start of normal machining, the cutting force vector changes drastically. Accordingly, when the magnitude or direction of the cutting force vector for each sampling time changes greatly, it is recognized and output that a collision has occurred, and this is displayed by a display device (not shown). That is, in this way, it is possible to detect the collision easily, take appropriate measures promptly, and stop the machine tool immediately.
[0042]
Example 10
In the ninth embodiment, the recognition display of each state has not been described in detail. However, as shown in FIG. 9, a recognized abnormality including a work image 37a, a
[0043]
Example 11
In the tenth embodiment, the case where the recognition display of each state is displayed with a preset specific mark has been described. For example, the color of the
[0044]
Example 12
10 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
In the figure, 47 is a program describing machining operations, 48 is a command value generation unit that generates and outputs an operation command value for each axis based on the
[0045]
Next, the operation of the machine tool control apparatus in
First, the command
[0046]
As a result of monitoring, when an abnormality is detected by the abnormality detection unit 50, the abnormality detection unit 50 sends an abnormal state to the command
[0047]
When the abnormality detected by the abnormality detection unit 50 is damage related to a machine or a tool such as a collision or tool damage, the information is also sent to the operation confirmation
[0048]
Next, the operations of the operation confirmation
The operation check sequence is started by the operation check sequence control unit 51 (step S1First, an encoder check is performed to check whether the encoder is operating normally (step S).2If it is abnormal, it is determined that subsequent machining is impossible, and the machine is stopped (step S3) To complete the operation check sequence.
[0049]
Next, the encoder check (step S2) Result is normal, one pulse is sent in the direction opposite to the direction in which the feed axis has been operated so far, and one pulse feed check is performed (step S).4) To check the operation of the feed axis. In the case of an abnormality, it is determined that the subsequent machining cannot be performed in the same manner as described above, and the machine is stopped (step S3) To complete the operation check sequence. 1 pulse feed check (step S4If the result of () is normal, the feed shaft is fed by a predetermined distance in the direction opposite to the direction in which the feed shaft has been operated so far, and a constant distance feed operation check (step S) is performed.5) And check the operation of the feed axis.
[0050]
Constant distance feed operation check (step S5), If the result is abnormal, the degree of abnormality is evaluated to determine whether the machining operation is possible (step S).6If it is determined that the machining operation is possible, the operation limit value is set based on the degree of abnormality (step S).7) Note that the degree of abnormality is evaluated based on the magnitude of the position error with respect to the operation command value and the magnitude of the necessary current. For example, when the machine is damaged and the friction is slightly increased, the increased amount of friction can be estimated from the change in the required current. The limit value of the operation is set by correcting the limit values of the maximum speed and the maximum acceleration according to the increase amount when the increase in friction is slight. On the other hand, step S6If it is determined that the machining operation is impossible, stop the machine (Step S3) To complete the operation check sequence.
[0051]
The encoder check described above (step S2) 1 pulse feed check (step S4) And constant distance feed operation check (step S)5), It can be confirmed that the workpiece and the tool can be moved without any bite. Next, the feed axis is moved to a safe position such as the coordinate origin (step S8), And then unload the workpiece and tool (step S9) And secure an area where no collision occurs in the feed axis operation. Then, the feed axis is operated in the entire region where no collision occurs by a preset sequence, and the entire region feed operation check (step S10) Line
Yeah.
[0052]
All area feed operation check (step S10As a result, in the case of an abnormality, the degree of abnormality is evaluated to determine whether the machining operation is possible (step S).11If it is determined that machining is possible, the operation limit value is set based on the degree of abnormality (step S).12) If it is determined that machining is impossible, the machine is stopped (step S3) To complete the operation check sequence. On the other hand, all area feed operation check (step S10As a result, if the spindle is judged to be normal, then the spindle operation check is performed to determine whether or not the spindle is operating in accordance with the operation command (step S).13)I do.
[0053]
Spindle operation check (Step S13As a result, in the case of an abnormality, the degree of abnormality is evaluated to determine whether the machining operation is possible (step S).14If it is determined that machining is possible, the operation limit value is set based on the degree of abnormality (step S).15) If it is determined that machining is possible, the machine is stopped (step S3) To complete the operation check sequence. On the other hand, spindle operation check (step S13), If the result is normal, step S9Reload the workpiece and tool unloaded in (Step S16) And check the tool length (step S17)I do.
[0054]
If the tool is abnormal, replace the tool (step S18And check the tool length again (Step S18) To confirm that the tool is normal, and then check the workpiece position and workpiece shape according to a preset procedure (step S).19If there is an abnormality, replace the workpiece (Step S20) And check the work again (Step S)19) To confirm that the workpiece is normal, use the operation check workpiece prepared in the machine tool to perform step S.18Trial cutting check (step S) according to a preset procedure using normal tools confirmed in21) To confirm whether normal processing is possible.
[0055]
Trial cutting check (Step S21As a result, if normal machining cannot be realized, it is determined that machining operation is impossible and the machine is stopped (step S).3) To complete the operation check sequence. On the other hand, if normal machining is possible, the operation check sequence is terminated and normal machining is restored (step S22) In this restoration, each step S in the operation check sequence is performed.7, S12, S15If the limit value is set in, subsequent machining will reduce the machining speed according to the size of the limit value.
Do it.
[0056]
As described above, according to the twelfth embodiment, when an abnormality is detected during machining, each operation check of the machine is sequentially executed by the operation confirmation sequence. When it is determined that the machining operation is impossible, the machine is stopped, When it is determined that the machining operation is possible, an operation limit value is set according to the degree of abnormality, and the machining speed is reduced and restored according to the size of this limit value. A large amount of defective products is not generated, and it is also possible to prevent productivity from being lowered by stopping processing due to a minor abnormality.
[0057]
Example 13
In the above-described
FIG. 13 is a flowchart showing an example of an operation confirmation sequence when a tool abnormality is detected.
First, an operation confirmation sequence at the time of tool abnormality detection starts (step S31) Tool check (step S)32If the tool is abnormal, replace the tool (step S34) And check the tool again (Step S32) To confirm that the tool is normal.
[0058]
When it is confirmed that the tool is normal, the workpiece position and workpiece shape are checked in accordance with a preset procedure (step S35If there is an abnormality, replace the workpiece (Step S36) And check the work again (Step S)35) To confirm that the workpiece is normal, use the operation check workpiece prepared in the machine tool to perform step S.35Trial cutting check (step S) according to a preset procedure using normal tools confirmed in37) To confirm whether normal processing is possible.
[0059]
Trial cutting check (Step S37) As a result, if normal machining is completed, the operation check sequence is terminated and normal machining is restored (step S).39If the abnormality is confirmed, it is considered that there is an abnormality other than the tool and the workpiece, so the process proceeds to the entire operation confirmation sequence shown in FIG.38) And check for other abnormalities.
As described above, according to the thirteenth embodiment, a plurality of operation confirmation sequences are set in advance according to the type of detected abnormality, and an operation check is performed using the operation confirmation sequence according to the type of detected abnormality. As a result, the same effects as those of the twelfth embodiment can be obtained, the operation check can be completed in a short time, and the check efficiency and productivity can be improved. .
[0060]
Example 14
Further, in each of the above-described Examples 12 and 13, the operation confirmation work for performing the test cutting check has not been described in detail, but in this example, it will be described in a little more detail.
FIG. 14 is a perspective view showing the configuration of the main part of a machine tool according to
[0061]
When performing the trial cutting check, the
As described above, according to the fourteenth embodiment, since the
[0062]
Example 15.
15 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus in
In the figure, 58 is a program describing machining operations, 59 is a normal mode command value generating unit for generating normal mode operation command values based on this
[0063]
Next, the operation of the machine tool control apparatus in
First, the normal mode command value generation unit 59 interprets the
[0064]
To determine which mode of operation command value should be used, for example, when operating a machine tool for the first time with a new program, when an abnormality is detected during machining and machining is performed for the first time after recovery, etc. The value is selected. When the operation
As described above, according to the fifteenth embodiment, since the operation command value for the normal mode and the operation command value for the careful mode are generated and the operation command value is selected according to the driving situation, a slight abnormality occurs. In such a case, since the operation is performed in a careful mode in which the feed speed and the machining speed are reduced, for example, compared with the normal mode, an unreasonable machining is not performed and the occurrence of an accident can be prevented.
[0065]
Example 16
In the fifteenth embodiment, the case where there is one careful mode command
[0066]
Example 17.
Further, for example, each limit value set for each check in the
[0067]
Example 18
16 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
In the figure, 64 is a command value generation unit, 65 is a control unit, 66 is a machine tool as a control target, 67 is a coulomb that changes according to each position or rotation angle of a work or tool attached to the
[0068]
Next, the operation of the machine tool control apparatus according to the eighteenth embodiment configured as described above will be described with reference to the flowcharts of FIGS.
First, when the control is started as shown in FIG. 18, the correction
[0069]
On the other hand, when the
[0070]
As described above, according to the fifteenth embodiment, the correction
[0071]
Example 19.
Note that the Coulomb friction and the backlash greatly change when the rotation direction of each axis is reversed, and do not change much while continuing the rotation in the same direction. Therefore, as shown in the flowchart of FIG. In the flowchart of FIG.51Judgment whether or not the rotation direction of the shaft is reversed before performing the operation (step S61) And the following steps S only when reversed51~ S53In addition to achieving the same effects as in the eighteenth embodiment, the effect of simplifying the control can be obtained.
[0072]
Example 20.
In Example 18, the friction and backlash correction values are divided into finite areas as shown in FIGS. 17A and 17B, and the values at the center are set. If the peripheral values are complemented, the correction value does not change suddenly at the change point of the region, and smooth correction control is possible.
[0073]
Example 21.
FIG. 21 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
In the figure, the
[0074]
According to the twenty-first embodiment configured as described above, in the correction
[0075]
Example 22.
In the twenty-first embodiment, the correction value output from the correction
[0076]
Example 23.
In each of the above embodiments, correction values are set according to the position and rotation angle of the tool or the content of machining. In addition to these, the posture of the tool, the temperature of the machine tool body, the room temperature, and the power-on Later elapsed time or the like may be set as a parameter, and finer processing control becomes possible.
[0077]
Example 24.
In each of the above-described embodiments, the case where Coulomb friction or backlash is applied as the state quantity has been described. Needless to say, it can be applied.
[0078]
Example 25.
FIG. 22 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
In the figure, the same parts as those in the second embodiment shown in FIG. 70 is a command value generator for generating and outputting operation command values necessary for measurement at a plurality of points as shown in the flow chart of FIG. 23, and 71 is a flow chart of FIG. 24 in response to a start command from the command value generator. As shown in the figure, the correction data update unit obtains the values of backlash and Coulomb friction at the plurality of points and sequentially inputs these values to the correction
[0079]
First, as shown in FIG. 23, the command
[0080]
On the other hand, as shown in FIG. 24, the correction
[0081]
As described above, according to the twenty-fifth embodiment, the machine tool performs an operation for measurement, and the correction
[0082]
Example 26.
In the
[0083]
Example 27.
In the
[0084]
Example 28.
FIG. 25 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
In the figure, the same parts as those in the
[0085]
As described above, according to the twenty-eighth embodiment, the error determination unit 72 detects the operation error of the
[0086]
Example 29.
In the twenty-eighth embodiment, the correction data is updated when the operation error of the
[0087]
【The invention's effect】
As described above, according to
An anomaly detector that detects an anomaly in the machine tool;
An operation confirmation sequence control unit for operating the machine tool in an operation confirmation sequence for grasping the degree of damage of a preset machine, tool or workpiece when the abnormality is detected;
Damage to the machine, tool or workpiece from the operating state of the machine tool during execution of the operation check sequencedegreeAre judged sequentially,It is determined whether or not the machining operation is possible according to the degree of damage, and when it is judged that the machining operation is possible, the machining speed is set by setting a limit value of the operation speed or acceleration.Since it has a situation judgment unit, it is possible to prevent a situation in which a large number of defective products are generated during unmanned operation, and a situation in which processing is interrupted due to a minor abnormality and productivity is lowered is caused. A machine tool control device can be provided.
[0088]
According to
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
FIG. 2 is a diagram illustrating a configuration of a screen display unit in FIG.
FIG. 3 is a diagram showing a state in which the machine tool is operating on the screen display unit in FIG. 2;
FIG. 4 is a block diagram showing a configuration of a main part of a machine tool control apparatus according to
5 is a diagram showing a configuration of a screen display unit in FIG. 4. FIG.
6 is a diagram showing components obtained by decomposing the force vector shown in FIG. 5 in three directions.
FIG. 7 is a diagram showing an example of force vector display in end mill processing.
FIG. 8 is a diagram showing a configuration of a main part of a machine tool control apparatus according to
FIG. 9 is a diagram showing a display state of a screen display unit of a machine tool control apparatus in
FIG. 10 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
11 is a flowchart showing a part of the operation of the operation confirmation sequence control unit and the machine status determination unit in FIG. 10;
12 is a flowchart showing the rest of the operations of the operation confirmation sequence control unit and the machine status determination unit shown in FIG. 11;
FIG. 13 is a flowchart showing an example of an operation confirmation sequence when a tool abnormality is detected.
FIG. 14 is a perspective view showing a configuration of a main part of a machine tool according to
FIG. 15 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
FIG. 16 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
17 is a diagram showing correction values stored in a correction data storage unit in FIG.
FIG. 18 is a flowchart showing the operation of the correction data storage unit in FIG. 16;
FIG. 19 is a flowchart showing the operation of the control unit in FIG. 16;
FIG. 20 is a flowchart showing the operation of the control unit of the machine tool control apparatus in Embodiment 19 of the present invention.
FIG. 21 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
FIG. 22 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
23 is a flowchart showing an operation of a command value generation unit in FIG.
24 is a flowchart showing the operation of the correction data updating unit in FIG.
FIG. 25 is a block diagram showing a schematic configuration of a machine tool control apparatus according to
FIG. 26 is a diagram showing a schematic configuration of a main part of a conventional machine tool control device.
FIG. 27 is a block diagram showing a configuration of a tool abnormality detection device applied to conventional machine tool control.
FIG. 28 is a block diagram showing a configuration of a control system of a conventional machine tool control apparatus.
[Explanation of symbols]
31, 55 work, 32, 54 tool, 35, 45 force vector calculation unit,
36 screen display section, 37 screen, 37a work image, 37b tool image,
37c force vector image, 37d coordinate system, 37e force vector,
39, 48 command value generation unit, 40a, 40b, 40c position / speed control unit,
41a, 41b, 41c current control unit, 42a spindle motor,
42b X-axis motor, 42c Z-axis motor, 43a main shaft, 43b X-axis,
43c Z-axis, 44a, 44b, 44c Drive current separation unit,
46 Machining status determination unit, 47, 58 program,
49, 63 Main shaft / feed shaft drive unit, 50 abnormality detection unit,
51 operation check sequence control unit, 52 machine status determination unit,
57 work confirmation work, 59 normal mode command value generation unit,
60 careful mode command value generation unit, 61 driving condition determination unit, 62 command value selection unit,
64, 70 Command value generation unit (command value generation unit), 65 control unit, 66 machine tool,
67, 68 correction data storage unit, 69 machining specification storage unit,
71 Correction data update unit, 72 Error determination.
Claims (2)
上記異常が検知されると予め設定された機械、工具またはワークの損傷度合を把握するための動作確認シーケンスで上記工作機械を動作させる動作確認シーケンス制御部と、
上記動作確認シーケンス実行に中の上記工作機械の動作状態から上記機械、工具またはワークの損傷の度合を順次判断し、上記損傷の度合に応じて加工動作が可能か否かを判断し、加工動作が可能と判断された場合には動作の速度または加速度の制限値を設定して加工動作を行う状況判断部とを備えたことを特徴とする工作機械制御装置。An anomaly detector that detects an anomaly in the machine tool;
An operation confirmation sequence control unit for operating the machine tool in an operation confirmation sequence for grasping the degree of damage of a preset machine, tool or workpiece when the abnormality is detected;
The degree of damage of the machine, tool or workpiece is sequentially determined from the operation state of the machine tool during execution of the operation check sequence, and whether or not machining operation is possible according to the degree of damage is determined. A machine tool control device comprising: a situation determination unit configured to set a speed or acceleration limit value of an operation and perform a machining operation when it is determined that the operation is possible .
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