JP3604464B2 - 水溶液中の成分分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,試料中の成分濃度を連続的に測定する水溶液中の成分分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の液体試料の濃度測定法としては,液体のままで測定する滴定法,試料を気化して発光強度を測定する発光分析法,吸光度を測定する原子吸光法,レーザー光で励起して蛍光強度を測定するレーザー誘起蛍光法が良く知られている。
【0003】
滴定法は,試料を化学反応を利用して測定対象成分に分離してその濃度を測定する方法であり,煩雑な作業を人手によって行っている。
【0004】
また,発光分析法は,試料の気化と原子を励起するために,高温のプラズマが必要なため,火炎或いは高周波誘導プラズマが利用されてきた。
【0005】
これらの気化方法が確立され,高温にすることでより多くの原子を気化でき,また,信号強度も強くできることから原子吸光法やレーザー誘起蛍光法にも利用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来の分析方法は,分析試料を採取して滴定操作或いは分析装置により測定するため,連続測定はできなかった。このため,人手を介さずに連続して濃度を測定する水溶液中の成分分析装置が望まれていた。
【0007】
また,レーザー誘起蛍光法は,発光分析法や原子吸光法と比べてきわめて高感度であり,極少量の原子でも測定できる利点があるが,試料を高温のプラズマにより気化すると,イオン化する原子が多くなり,かえって分析の精度を妨げる問題がある一方,大気圧程度の放電ではプラズマの温度が低く原子化が十分でないという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は,このような事情に鑑みてなされたものであり,高感度であり,しかも,電極や液体試料の気化によって分析が妨げられにくく,しかも,連続的に分析を行うことができる水溶液中の成分分析装置を提供することを目的とするもので,試料を放電によって気化してレーザー誘起蛍光法で測定して液体中の成分分析を行うものである。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1にかかる水溶液中の成分分析装置は、測定対象となる物質を含む導電性の液体試料を循環可能に入出させると共に,該液体試料に放電を行って前記物質を気化させる放電設備を有する試料容器と,該試料容器内において放電により気化した前記物質に励起レーザー光を照射するレーザー発振装置とを備え,前記レーザー発振装置の励起レーザー光の照射による前記物質の蛍光を導入する分光器とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項1の水溶液中の成分分析装置によれば,試料容器内の放電設備により,液体試料に放電を起こして測定対象物質を気化し,この気化している放電部位に測定対象物質の吸収波長に合わせた励起レーザーを照射して蛍光させ,この蛍光を取り出して分光器に導入するので,高感度で液体試料中に含まれる測定対象物質の定量分析を行うことができる。
【0011】
本発明の請求項2にかかる水溶液中の成分分析装置は,請求項1の水溶液中の成分分析装置において,前記励起手段は,一定波長のレーザーを選択的に出力可能なレーザーであり,該レーザーの出力レーザー光が前記分析対象物質が励起する波長となるように,前記出力レーザー光の波長を変更する波長変更手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2の水溶液中の成分分析装置によれば,レーザーからの出力レーザー光の波長を,波長変更手段により測定対象物質の吸収波長に合うように調整し,試料容器内の放電部位に照射する。このとき,測定対象物質の吸収波長がレーザーの波長変更範囲外であっても,非線形光学結晶を用いて波長変換でき,測定対象物質に応じて励起レーザーの波長を変換することで分析対象物質の幅が拡大する。
【0013】
一般に,波長変更調整が行えるレーザー波長は可視光領域から赤外線領域であるが,原子の強い吸収線は紫外線領域にあり,レーザー波長を短波長に変換して利用する場合がある。
【0014】
特に,色素レーザーを用いた場合,レーザーの波長を調整可能であるが,レーザーの波長変更領域外の場合は波長変換手段により波長を変更する。
【0015】
波長変換手段は,この実施形態ではBB0結晶(BaB2O4)を用いたが,分析対象試料となる物質の吸収波長にあうような出力レーザー光であれば,BBOはなくとも良い。
【0016】
また,本発明の請求項3の水溶液中の成分分析装置は,請求項1,2の何れかの水溶液中の成分分析装置において,前記試料容器は,容器内に希ガスを充填する手段と,水溶液のpHを調整するpH調整手段と,を有することを特徴とする。
【0017】
請求項3の水溶液中の成分分析装置によれば,
希ガスの充填量を調整することにより,放電部位置と気化する液体試料の量を安定させることができる。また,水溶液中のpHを一定に調整することにより,水溶液中の電気伝導性を一定にして放電電圧及び放電電流の放電状態を安定させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に,本発明の好ましい実施形態にかかる水溶液中の成分分析装置を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は第1の実施形態の水溶液中の成分分析装置の原理動作説明用の基本構造を示す。図1の水溶液中の成分分析装置では,試料容器1の上部に,タングステン製の放電電極2が設置され,放電電極2に抵抗2aを介して定電流直流電源が接続されている。試料容器1はテトラフルオロエチレン製もしくは少なくとも内壁をテトラフルオロエチレンで被覆してなるものである。試料容器1には,例えば,ほう酸水溶液が液体試料3として連続的に供給されるように,供給管4と液体試料3を排水する排水管5とが,接続されている。
【0020】
また,試料容器1の底部には液体試料3と導通する金属電極(図示省略)が設けられており,この金属部は接地されている。供給管4には流量調節バルブ付きの流量計4aが設けられ,液体試料3の流量を調節できるようになっている。供給管4,排水管5はテトラフルオロエチレンで形成され,もしくは内壁をテトラフルオロエチレンで覆われている。
【0021】
液体試料3は,電気伝導度によって放電特性が変わるため,導電性の低い場合やpHが変動する場合には液体試料3に予め酸を加えてpHを低くするように,供給管4に,pH調整剤を供給するpH調整用管を接続しておき,そのpH調整用管にpH調整バルブや導電物質の調整バルブをpH調整手段として設ける。数十ppmの濃度のホウ素を精度良く測定するにはpHを1.0以下に保つことが必要である。
【0022】
試料容器1の側壁部には,後述する色素レーザーパルスを通す透明な窓部1bが設けられている。ホウ素を測定対象とした場合の励起レーザー波長は,249.7nmであり,窓部1bから入射され,放電により気化したホウ素原子に当たることにより,ホウ素原子が励起されて発光する。
【0023】
試料容器1の外には蛍光を平行光束とするレンズ6と,レンズ6からの光を分光する分光器7とが配設されている。分光器7は200mmの焦点距離を持っており,ホウ素原子の発するスペクトル領域を選択的に検知して,光電子増倍管8に導く。光電子増倍管8は,電源9からの電力により動作し,分光器7の選択したスペクトル線を検知して,オシロスコープ10に測定信号を送信する。
【0024】
試料容器1の側方には励起手段としてのレーザー発振装置11が設けられている。レーザー発振装置11は,励起媒体としてのXeClエキシマーレーザー12と,色素レーザー媒質を入れる媒質容器13と,波長選択素子としての共振器14とを備えている。XeClエキシマレーザー12から媒質容器13に向かって,紫外線波長領域のパルスレーザー光が照射されるようになっている。
【0025】
XeClエキシマーレーザー12のパルスレーザー光は,ポンピングにより媒質容器13内のレーザー媒質としての色素の励起を行うためのものであり,ここではXeClエキシマーレーザーを用いているが,そのほかのエキシマーレーザーや窒素レーザー等の紫外線レーザーを用いることも考えられる。
【0026】
XeClエキシマーレーザー12の光軸上にはハーフミラー15が配設されている。ハーフミラー15はXeClエキシマーレーザーを48%透過し,52%をミラー16に向かって反射する。ハーフミラー15を透過したパルスレーザー光はシリンドリカルレンズ17を介して媒質容器13の色素に照射される。ハーフミラー15で分かれた52%のパルスレーザー光はミラー16で増幅セル19に照射される。色素レーザーの発振部分(図中14)で,発振波長を調整し,増幅セル19でこの波長の光を増強する構造となっている。
【0027】
媒質容器13内には,レーザー媒質としてのクマリンアルコール溶液が循環可能に入れられている。クマリンアルコール溶液には,色素としてのクマリン500が,0.006mol/Lの濃度で,溶媒としてのメタノールに溶かされている。媒質容器13の側方に配設された共振器14は,斜入射型色素レーザー用の共振器であり,回折格子であるグレーティング21と,グレーティング21近傍のミラー22と,石英板からなる出力ミラー23とで構成されている。
【0028】
色素レーザーは,グレーティング21とミラー22ならびに出力ミラー23との間を往復し,ミラー22の角度調整により出力する波長が選択される。出力ミラー23はレーザー光を出力でき,出力ミラー23から出力された波長499.4nmの色素レーザーパルスは,増幅セル19で増幅され,レンズ24に向かって出力される。レンズ24は,増幅セル19からの色素レーザーパルスを集光してBBO27に導く。ビームスプリッタ25で反射したレーザー光の一部はディテクター26に導かれ,ディテクタ26は色素レーザーパルスを検出して照射強度の変動を測定している。
【0029】
非線形波長変換素子27は,いわゆるBBO結晶すなわち4酸化2ホウ素バリウム(BaB2O4)の結晶からなり,ホウ素原子を励起する波長に合わせるように,499.4nmの色素レーザー波長を249.7nmの波長のレーザーに変換している。非線形波長変換素子27で波長変換された色素レーザーパルスは,ミラー28,29を介して試料容器1内の放電部位に照射される。
【0030】
なお,上記の実施形態では,励起手段としてXeClレーザー及び色素レーザーを用いたが,励起手段に用いるレーザーには,例えば,チタン・サファイアレーザー,OPO(オプティカルパラメトリック発振器)レーザー,YAGレーザー,ルビーレーザー,エキシマレーザー,色素レーザー,窒素レーザー,イオンレーザー,金蒸気レーザー,COレーザー,エルビウムレーザー,フッ素レーザー,KrClレーザー,ホルミウムレーザー等を挙げておく。
【0031】
励起のレーザーは,色素レーザーを実施形態として用いているが,分析対象物質の吸収波長のレーザー光を出力するようにほかのレーザーを単数或いは複数備えていても良い。
【0032】
次に,この実施形態の水溶液中の成分分析装置の動作を図面により説明する。
【0033】
試料容器1に分析対象試料である液体試料3(例えば原子炉の一次冷却水,分析対象物質はホウ素原子)を供給管4から導入し,液面高さが一定になるように,排水管5で排水しつつ,流量計4aで液体試料3の流入量を調整する。液体試料3にはホウ素が含まれている。液面と放電電極2の下端との間隔は4mmから8mmの間で一定にするのが望ましい。液体試料3を循環させつつ放電電極2と液体試料3間で60mAの直流放電電流を流して放電を起こさせる。これによって,液体試料3が気化し,液体試料3に含まれるホウ素原子が原子化する。気化したホウ素原子の吸収波長は,249.678nmと249.773nmである。
【0034】
XeClエキシマーレーザー12からエキシマーレーザー光をパルス的に出力すると,紫外線波長のレーザー光の一部(48%)は,紫外線波長レーザー光の透過率48%のハーフミラー15を透過して,シリンドリカルレンズ17により色素レーザーの光軸方向に沿うように直線的に形成される。シリンドリカルレンズ17により直線上に形成されたレーザー光は,媒質容器13内のクマリン500のメタノール溶液に入射されてクマリン溶液を励起させる。クマリン色素からの色素レーザーはグレーティング21とミラー22及び出力ミラー23で499.4nmの波長が選択され,増幅セル19で増幅されてレンズ24に出力される。波長499.4nmの色素レーザーはレンズ24により集光されて,ビームスプリッタ25及び非線形波長変換素子27に導かれる。
【0035】
ビームスプリッタ25では色素レーザーの一部がディテクター26に導かれ,ディテクター26でレーザー強度を電気信号に変換してオシロスコープ10に入力される。ビームスプリッタ25を透過して非線形波長変換素子27に導かれ,249.7nmのレーザーは,ミラー28,29を介して試料容器1上部の放電電極2と液体試料3の間の放電部位に向かって照射される。
【0036】
これによって,放電電極2と液体試料3との放電で生じた吸収波長249.678nmと249.773nmのホウ素原子が励起され,ホウ素原子が蛍光発光する。なお,ホウ素の吸収波長は,ほかに208.959nmと208.893nmがあるが,集光用レンズや分光器などの光学部品の分解精度からすると,249.7nmの線が利用しやすい。ホウ素原子の蛍光はレンズ6を介して分光器7に導入され分光される。分光器7で得られたスペクトルは光電子増倍管8により検出される。光電子増倍管8にて検知されたスペクトル線は測定信号としてオシロスコープ10に入力され,波形として表示される。オシロスコープ10では,光電子増倍管8にて検知したホウ素原子のスペクトル強度と,ホウ素原子を励起させる色素レーザー光の強度との比率を演算して,ホウ素の濃度を分析する。
【0037】
なお,蛍光測定において分光器7に迷光が入らないようにし,またこの実施例で使用したレーザー光の強度変動は5%程度であり,蛍光強度を多回数測定して平均を求めることにより,統計的に誤差を減少させている。
【0038】
なお,オシロスコープ10とは別に,ディテクタ26で検出される色素レーザーの信号と光電子増倍管8からの測定信号をインターフェイスを介してコンピュータに出力してモニター画面に波形或いは検知する波長を表示させても良い。
【0039】
なお,レーザー発振装置11において,特にレーザー媒質,グレーティング21のミラー22の角度調整,非線形波長変換素子27の組み合わせを適宜に選択することにより,分析しようとする原子,分子など対象物質を選択することが可能となる。
【0040】
図2に,実験で得られた液体試料3中のホウ素濃度に対する蛍光強度を示す。この測定値の相関係数は0.988であり,比較的精度の高い測定が行えている。
【0041】
【第2の実施形態】
図3に第2の実施形態を示す。第2の実施形態では,レーザー発振部11と蛍光強度を測定する分光器7,光電子増倍管8,電源9,オシロスコープ10等の測定部の構成は図1と同じであるので,その説明を用いる。なお,この実施形態ではシリンドリカルレンズ17が図1のビームスプリッタ25の役目を果たしており,シリンドリカルレンズ17の平滑面からディテクタ26にエキシマーレーザーが反射され,オシロスコープ10にエキシマーレーザーの照射強度が入力される。
【0042】
液体試料3を気化させる試料容器30の構造を説明すると,放電用の試料容器30は絶縁と耐薬品性のため,テトラフルオロエチレンでできており,側面にセラミック管31が試料容器30の内部にまっすぐ延びるように接続されており,セラミック管31の試料容器30内の端部がレーザー照射窓とされている。セラミック管31の容器30内の端部には第1の実施形態と同様の放電電極2が突出している。試料容器30の側部にはセラミック管からなる蛍光測定用窓32が形成されている。レーザー照射用のセラミック管31と蛍光観測窓32は,照射レーザー光が迷光として入らないようにほぼ光軸が直角に交差する位置関係となるように配設されている。セラミック管31の窓と蛍光測定用の窓32には石英ガラスが用いられており,放電部位37から離れた位置に取り付けてある。これらの窓のセラミック管31,32の周囲には電熱線を巻いて曇り止めをしている。
【0043】
試料容器31の側部には液体試料3の供給管4と排水管5,及びヘリウムガスの供給管33と排気管34が設けられている。ヘリウムガスの供給管33(希ガスの供給手段)には,調整バルブ付きの流量計33aが設けられ,放電を安定化させるために調整できるようになっている。試料容器30の液体試料3が接触する部分にステンレス製の電極36が取り付けてある。
【0044】
液体試料3の供給管4,排水管5及びヘリウムガスの供給管33,排気管34は,耐薬品性を考慮してテトラフルオロエチレンで形成されている。液体試料3は流用調節バルブ付きの流量計を通して容器に流される。この流量調節バルブによって容器内の液面の高さを一定に保っている。
【0045】
放電電極2は,図1と同様に,融点と沸点の高いタングステン製で,放電電圧の印加は,タングステン電極を正極,試料溶液を負極としている。放電は定電流直流放電である。放電部の先端が尖っており,液面と先端の間隔は5mmの位置に固定されている。
【0046】
この実施形態においてヘリウムガスは放電を安定化させるためのもので,流量調節バルブ付きの流量計33aを通した後,試料容器30内に導入される。この実施形態では,希ガスとしてヘリウムガスを使用しているが,アルゴン等も考えられる。励起レーザー光を放電部位37に照射し,測定対象物質の原子からの蛍光を蛍光観測窓32から測定する。
【0047】
蛍光測定実験では,実施例1とほぼ同様な結果が得られている。
【0048】
【第3の実施形態】
図4は本発明の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態においても,レーザー発振部11と蛍光強度を測定する分光器測定部の構成は図1のそれと同じであるので,その説明を用いる。この実施の形態では,前述の第1,第2の実施形態と励起レーザー光の照射位置と蛍光の取り出し方が異なる。液体試料3を入れる試料容器40は,前述の実施形態と同様に絶縁と耐薬品性のためにテトラフルオロエチレンでできており,底部に励起レーザー光の入射と蛍光測定をかねた窓41が設けられている。窓41の下方にはミラー42,43が配設されており,レーザー発振部11からの励起レーザー光はミラー42により試料容器40内に導入され,放電部位37での蛍光は,窓41から取り出されてミラー43により分光器7側に導かれる。試料容器40の側部に液体試料3と希ガスの入出用の配管がなされ,上部に放電電極2が底部に電極36が設けられているのは図3と同じである。液体試料が接触する部分にステンレス製の電極がそれぞれ配置されている。放電電極用の窓41には石英ガラス板を使用している。観測窓を溶液に接触させることで窓の曇りが防止でき,また試料溶液3を循環させることは測定用窓41の洗浄にも有効である。
【0049】
レーザー発振部11からの励起レーザー光は光軸調整用のミラー42で反射され,窓41と液体試料3を透過して放電部位37に照射される。蛍光は液体試料3と窓41を透過してミラー43で反射され,レンズ6を介して分光器7に入れられる。この実施形態は液体試料3が測定波長に対して透明である場合に利用できる。
【0050】
なお,液体試料3を電極とするために,導電性やpHが変動すると,放電特性が変化するが,導電性の低い試料やpHが変動する液体試料3の場合には,調整バルブ及びpH調整手段により導電性やpHを調整することにより,精度良く測定を行うことができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1乃至請求項3の水溶液中の成分分析装置によれば,試料容器に液体試料を流し込むことで液体試料中の測定対象物質の濃度が測定できるため,人手を介することなく連続的に濃度測定が実施できる。また,放電部位に流す希ガスには気化した水蒸気と溶解していた元素が混じるだけであり,これらはトラップなどで容易に取り除けるため,希ガスの再利用ができコスト低減となる。
【0052】
また,本発明の請求項1の水溶液中の成分分析装置によれば,試料容器内の放電設備により,液体試料を放電させて気化し,この気化している放電部位に測定対象物質の吸収波長に合わせた励起レーザーを照射して蛍光させ,この蛍光を取り出して分光器に導入するので,液体試料中に含まれる測定対象物質を高感度に分析できる。
【0053】
更に,本発明の請求項2の水溶液中の成分分析装置によれば,色素レーザーから出力された出力レーザーの波長を,波長変更手段により,測定対象物質の吸収波長に合うように変換して試料容器内の放電部位に照射するので,測定対象物質に応じて励起レーザーの波長を変換でき,高感度であると共に分析対象物質の種類を多数選択できる。
【0054】
請求項3の水溶液中の成分分析装置によれば,希ガスの充填量を調整することにより,放電部位置と気化する液体試料の量を安定させることができる。また,水溶液中のpHを一定に調整することにより,小溶液中の電気伝導性を一定にして放電電圧及び放電電流の放電状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の水溶液中の成分分析装置の構成を示す模式図
【図2】第1の実施形態の水溶液中の成分分析装置により測定したホウ素濃度の測定値を示す図
【図3】本発明の第2の実施形態の水溶液中の成分分析装置の構成を示す模式図
【図4】本発明の第3の実施形態の水溶液中の成分分析装置の構成を示す模式図
【符号の説明】
1 試料容器
2 放電電極
3 液体試料
4 液体試料の供給管
5 液体試料の排水管
6 レンズ
7 分光器
8 光電子増倍管
9 電源
10 オシロスコープ
11 レーザー発信装置(励起手段)
12 エキシマーレーザー
13 媒質容器
14 共振器
27 非線形波長変換素子(波長変更手段)
Claims (3)
- 測定対象となる物質を含む導電性の液体試料を循環可能に入出させると共に,該液体試料に放電を行って前記物質を気化させる放電設備を有する試料容器と,該試料容器内において放電により気化した前記物質に励起レーザー光を照射するレーザー発振装置とを備え,前記レーザー発振装置の励起レーザー光の照射による前記物質の蛍光を導入する分光器とを有することを特徴とする水溶液中の成分分析装置。
- 請求項1の水溶液中の成分分析装置において,
前記レーザー発振装置は,一定波長のレーザーを選択的に出力可能なレーザーを発振し,該レーザーの出力レーザー光が前記分析対象物質が励起する波長となるように,前記出力レーザー光の波長を変更する波長変更手段を備えていることを特徴とする水溶液中の成分分析装置。 - 請求項1,2の何れかの水溶液中の成分分析装置において,
前記試料容器は,容器内に希ガスを充填する手段と,水溶液のpHを調整するpH調整手段と,を有することを特徴とする水溶液中の成分分析装置。
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