JP3601073B2 - スクロール形流体機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スクロール形流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スクロール形流体機械において、互いに噛み合う2つの渦巻きの相対角度を維持するために用いられているオルダム機構は、可動スクロールの背面にオルダム継手を配設して、この可動スクロールの背面に対向するハウジングとの間にキー及びキー溝を設けて構成したものが知られているが、この構成の場合、前記ハウジングと固定スクロール部材との位置決め精度が悪いと両渦巻き間に隙間が生じ、洩れ損失が生ずる問題がある。
【0003】
そこで、2つの渦巻きの間の位置決め精度を向上するために、固定スクロールと可動スクロールとの間にオルダム継手を直接介在させるものが、例えば特開平5−71301号公報に記載されている。
【0004】
この固定スクロールと可動スクロールとの間にオルダム継手を直接介在させるようにした従来のスクロール形流体機械は、図9に示すように、鏡板A1と、該鏡板A1の一側面に突設した渦巻体A2とから成る固定スクロールAと、鏡板B1と、該鏡板B1の一側面に突設した渦巻体B2とから成る可動スクロールBとを備え、これら固定及び可動スクロールA,Bを前記各渦巻体A2,B2が互いに噛み合うように対向状に重ねている。
【0005】
そして、図10に示すように、前記可動スクロールBにおける鏡板B1の外周部には、その対向面を切欠くことによって、互いに平行な一対の平面部B3,B3を対向状に形成している。
【0006】
さらに、前記固定スクロールAを固定するハウジングD上で、該ハウジングDと前記固定スクロールAとの間に、前記可動スクロールBの前記鏡板B1の外周に嵌合し、前記固定スクロールAに対し前記可動スクロールBを公転駆動させるリング状部材Cを介装させている。このリング状部材Cは、図10に示すように、前記可動スクロールBにおける鏡板B1の外周部に挿嵌可能とした長枠形状をしており、前記可動スクロールBの平面部B3,B3と対向するガイド面C1,C1を有する長辺部C2,C2と、前記可動スクロールBの円弧状外周部に沿う内面を有し、前記長辺部C2,C2を連結する連結リング部C3,C3とを有し、前記リング状部材C内に前記可動スクロールBの鏡板B1を嵌合させたときに、前記可動スクロールBの前記平面部B3,B3を前記リング状部材Cのガイド面C1,C1に沿って摺動させるようにしている。さらに、前記リング状部材Cの前記長辺部C2,C2における長さ方向中央部で、前記固定スクロールAとの対向面に、突起状の係合部C4,C4を形成し、該係合部C4,C4に、前記ガイド面C1,C1に対し直交方向に向けて延びる摺動面C5,C5を形成している。
【0007】
また、前記固定スクロールAの鏡板A1には、その下面側で、前記リング状部材Cの前記各係合部C4,C4との対向部位に、径方向に向けて延びる一対の溝状の被係合部A3,A3を形成して、前記リング状部材Cに設けた係合部C4,C4を、その各摺動面C5,C5が前記各被係合部A3,A3の側壁面と対接するように挿嵌することにより、該各被係合部A3,A3に前記リング状部材Cの各係合部C4,C4を摺動可能に係合させている。
【0008】
そして、前記可動スクロールBにおける鏡板B1の外周部に、前記リング状部材Cを、その内周側の前記各ガイド面C1,C1が前記鏡板B1の外周側に設けた平面部B3,B3と対向するように挿嵌させると共に、前記リング状部材Cに設けた係合部C4,C4を、前記固定スクロールAに設けた前記各被係合部A3,A3に係合させて組付けるようにしており、前記リング状部材Cを、可動スクロールBと固定スクロールAとの間に介装させたから、2つの渦巻きの間の位置決め精度を向上させながら、前記固定スクロールAに対し可動スクロールBを自転防止して公転駆動させ得るのであり、さらに、前記リング状部材Cを前記可動スクロールBの鏡板B1の外周面に嵌合させるようにしているので、前記リング状部材Cによる吸入流体の撹拌損失を軽減でき、かつ、前記ガイド面C1,C1と前記平面部B3,B3との面圧を小さくして異常摩耗を軽減できるのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記リング状部材Cは、該リング状部材Cを前記可動スクロールBの鏡板B1の外周に挿嵌する構造になっているので、該可動スクロールBの鏡板B1と前記リング状部材Cとが同一平面内に位置することになり、このため、前記連結リング部C3,C3は、前記可動スクロールBの鏡板B1の外側でかつ、前記可動スクロールBの移動量を確保するように大きく形成しなくてはならず、前記リング状部材Cの配置スペースを確保するため圧縮機全体が大きくなる問題があった。
【0010】
さらに、前記可動スクロールBの渦巻体B2等の加工をする際、前記鏡板B1をチャックで保持しながら加工するとき、前記鏡板B1の中心の位置決めを容易にし、かつ、加工時の芯ずれを防止するためには、三ツ爪チャックを使用することが望ましいのであるが、前記可動スクロールBは、その鏡板B1の外周に前記平面部B3,B3を互いに平行に形成していることから、三ツ爪チャックで保持する場合には、前記平面部B3の一方にチャック保持部をわざわざ形成し、加工終了後に前記保持部を取り除く作業が必要となり、作業工数が増加する問題があるし、また、この保持部を形成しない場合には、四ツ爪チャックを使用しなければならず、加工の際の芯ずれが起きやすく精度の良い加工ができなかった。
【0011】
本発明は、以上の問題に鑑みて成したもので、その目的は、オルダム機構を構成するリング状部材を一方のスクロールの鏡板に嵌合させる構造でありながら、前記リング状部材を小型化できるスクロール形流体機械を提供することにあり、また、リング状部材を嵌合させる側のスクロールの加工も高精度で行えることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、鏡板23と渦巻体24とをもつ第1及び第2スクロール21,22を備え、これら第1及び第2スクロール21,22の一方の鏡板23における外周部に、互いに平行な少なくとも一対の平面部4・・・・を形成すると共に、該平面部4・・・・に対向し、この平面部4・・・・に沿って摺動可能なガイド面51,51と、このガイド面51,51を内周側にもつガイドリング部52,52と、該ガイドリング部52,52に設けられガイド面51,51と直交方向に延びる係合部55,55とをもったリング状部材5を備え、前記第1及び第2スクロール21,22の他方に、前記係合部55,55と摺動可能に係合する被係合部6,6を備えたスクロール形流体機械において、前記リング状部材5の前記ガイド面51,51を連結する連結リング部53,53を、前記ガイド面51,51に対し前記平面部4・・・・を形成する一方のスクロール21または22の鏡板23背面側に向かって軸方向に変位させて、前記連結リング部53,53を前記一方のスクロール21または22の鏡板23と重ね合わしたのである。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記第1または第2スクロール21または22の鏡板23に形成する平面部4・・・・の少なくとも一方における長さ方向中間部に、該平面部4形成側スクロール21または22の鏡板23の外径と同径の円弧状突出部41,41を形成すると共に、リング状部材5におけるガイド面51,51に前記円弧状突出部41,41が介入可能な凹部56,56を形成したのである。
【0014】
【作用】
請求項1記載の発明では、前記リング状部材5の前記ガイド面51,51を連結する連結リング部53,53を、前記ガイド面51,51に対し形成する一方のスクロール21または22の鏡板23背面側に向かって軸方向に変位させて、前記連結リング部53,53を前記一方のスクロール21または22の鏡板23と重ね合わしたから、前記リング状部材5が、該リング状部材5のガイド面51,51を前記一方のスクロール21または22の鏡板23の外周部に形成する前記平面部4・・・・に挿嵌する構造であるにも拘らず、前記リング状部材5の連結リング部53,53を、前記一方のスクロール21または22の前記鏡板23の動きに対し干渉することがない該鏡板23の下面側に位置させることができ、従って、前記連結リング部53,53を、前記鏡板23の外周より大きくする必要がなく、反対に、前記鏡板23の外周より小さくできるので、前記リング状部材5を小型化して、全体構造を小型化できるのである。
【0015】
また、請求項2記載の発明では、前記第1または第2スクロール21または22の鏡板23に形成する平面部4・・・・の少なくとも一方における長さ方向中間部に、該平面部4形成側スクロール21または22の鏡板23の外径と同径の円弧状突出部41,41を形成すると共に、リング状部材5におけるガイド面51,51に前記円弧状突出部41,41が介入可能な凹部56,56を形成したから、前記平面部4・・・・を形成するスクロール21または22において渦巻体24等の加工をする際、該スクロール21または22の鏡板23に一対の前記平面部4・・・・を形成していても、該平面部4・・・・の長さ方向中間部に形成した円弧状突出部41,41のうち一方と、前記鏡板23の外周面とを三ツ爪チャックで保持しながら加工することができるので、前記鏡板23の中心の位置決めを容易にし、かつ、加工時の芯ずれを防止しながら前記渦巻体24等の加工を行うことができるのであり、しかも、従来のように、前記平面部4・・・・にチャック保持用の保持部を形成しておいて、スクロールの加工後にこの保持部を取り除く行程を不要にできるので、高精度の加工が容易にでき、性能の高い圧縮機を低コストで作製できるのである。
【0016】
【実施例】
図1は、スクロール形流体機械として圧縮機に使用するものを示しており、密閉ケーシング1の内方上部に、ハウジング11を介して支持され、かつ、前記ケーシング1の下部側に設けたモータMで駆動される圧縮要素CFを配設している。
【0017】
また、前記圧縮要素CFは、前記ハウジング11の上部に固定する第1スクロール21と、この第1スクロール21と前記ハウジング11との間に介装され、かつ、前記モータMの駆動軸3に連結される第2スクロール22とを備えており、これら各スクロール21,22は、それぞれ鏡板23と該鏡板23の一側外面に固定された渦巻体24とから成り、前記各スクロール21,22をその各渦巻体24,24が互いに噛み合うように上下対設させ、前記第1スクロール21に対する前記第2スクロール22の公転駆動により、前記各渦巻体24,24間に形成される作動空間の容積を変化させ、前記ケーシング1を貫通して前記第1スクロール21に接続される吸入管12から前記作動空間へと吸入された吸入冷媒を圧縮するようにしている。
【0018】
さらに、前記ケーシング1の内部で前記第1スクロール21の上方に仕切板13で区画される吐出空間14を形成し、該吐出空間14に前記モータMの下部側空間に至るバイパス管15を接続すると共に、前記ケーシング1内における前記ハウジング11とモータMとの中間部に吐出管16を接続しており、前記第1スクロール21に対する第2スクロール22の公転駆動により、前記吸入管12から前記作動空間へと吸入された冷媒を圧縮し、前記第1スクロール21における鏡板23の中央部に形成した吐出孔25から前記吐出空間14へと吐出した吐出ガス冷媒を前記バイパス管15から前記モータMの下部側空間へと案内し、該モータMの外周部に形成する冷媒通路やエアギャップを経て前記吐出管16を介して外部に吐出するようにしている。
【0019】
そして、図2に示したように、円板状の前記第2スクロール22の鏡板23における外周部に、互いに平行な二対の平面部4・・・・をそれぞれ同一平面上に形成し、これら平面部4・・・・に対し直角の方向に円弧部26,26を形成しており、同一平面に形成される2つの前記平面部4,4間に、前記第2スクロール22の鏡板23の前記円弧部26,26の外径と同径の円弧状突出部41,41を形成するのである。図2においては、該円弧状突出部41,41を2箇所形成したが、どちらか一方を形成するだけでもよい。さらに、前記第2スクロール22の鏡板23の前記円弧部26,26のうち、前記鏡板23上に突設する前記渦巻体24の巻き数の多い側に、バランス調整のための切欠部27を形成し、他方の円弧部26に、バランスウエイト部28を径方向外方に突出形成して、前記第2スクロール22のバランスを調整するようにしている。
【0020】
さらに、図4乃至図7に示すように、前記第2スクロール22の前記各平面部4・・・・に対向し、これら平面部4・・・・に沿って摺動可能なガイド面51,51を内周側にもつガイドリング部52,52と、これらガイド面51,51を結ぶ連結リング部53,53とから成るリング状部材5を形成して、このリング状部材5を、図1のように前記ハウジング11上に配設するのであって、該リング状部材5は、前記ガイドリング部52,52の中央部に、前記各ガイド面51,51に対し直交方向に延びる摺動面54・・・・を有し、軸方向に突出する係合部55,55を形成すると共に、前記ガイドリング部52,52の中央部で、前記各ガイド面51,51に、前記第2スクロール22の前記各円弧状突出部41,41が、前記第2スクロール21,22の公転駆動により移動する範囲内で介入可能な凹部56を形成したのである。
【0021】
さらに、前記リング状部材5の前記ガイド面51,51を連結する連結リング部53,53を、前記平面部4・・・・を有する前記第2スクロール22の鏡板23背面側に向かって軸方向に変位させて、図8に示すように、前記連結リング部53,53を前記第2スクロール22の鏡板23の背面に重ね合わせるのである。
【0022】
また、図3に示すように、前記第1スクロール21の鏡板23における前記渦巻体24突設側に、該渦巻体24を囲む肉盛り部29を形成し、この肉盛り部29の端面に、前記リング状部材5の各係合部55,55が係合し、径方向に向けて延びる一対の凹陥溝状の被係合部6,6を形成して、これら各被係合部6,6に、前記リング状部材5の各係合部55,55を係合させて、該係合部55,55の摺動面54,54を、前記被係合部6,6の溝側壁面に沿って摺動させるように成すのである。
【0023】
そして、図8に示すように、前記リング状部材5のガイド面51,51を前記第2スクロール22の鏡板23外周部に形成する平面部4・・・・と対向させた状態で、該リング状部材5を前記第2スクロール22に嵌合すると共に、前記リング状部材5に設けた前記各係合部55,55を、該係合部55,55の摺動面54,54が前記第1スクロール21に設けた前記被係合部6,6の溝側壁面と対接するように係合させるのであって、斯く組付けることにより、前記リング状部材5を回転規制しながら、前記第1スクロール21の被係合部6,6に沿って一方向へと摺動させ、かつ、前記リング状部材5のガイド面51,51により、前記第2スクロール22を回転規制しながら前記リング状部材5の前記係合部55,55における摺動方向と直交方向に摺動させることにより、前記第1スクロール21に対し第2スクロール22を自転防止しながら公転駆動させるのである。
【0024】
以上のように、前記リング状部材5は、該リング状部材5のガイド面51,51を前記第2スクロール22の鏡板23の外周部に形成する前記平面部4・・・・に嵌合する構造であるにも拘らず、前記リング状部材5の連結リング部53,53を、図8に示すように、第2スクロール22の公転駆動による前記鏡板23の動きに対し干渉することがない該鏡板23の下面側に位置させ得るので、前記鏡板23の外周より大きくする必要がなく、反対に、前記鏡板23の外周より小さくできるので、前記リング状部材5を小型化でき、全体構造を小型化できるのである。
【0025】
また、前記第2スクロール22における鏡板23の外周部に前記リング状部材5を挿嵌し、しかも、その一部である前記連結リング部53,53を前記第2スクロール22の鏡板23の下面側に位置させているので、前記リング状部材5が駆動時に、前記各スクロール21,22における各渦巻体24,24の外周側に吸入される吸入ガス冷媒を攪拌したりすることもなく、流体の攪拌損失を軽減できるのである。
【0026】
さらに、前記第2スクロール22の鏡板23には、前記平面部4・・・・を、また、前記リング状部材5には、前記ガイド面51,51をそれぞれ摺動可能に設けて、これら平面部4・・・・とガイド面51,51とを面接触させるようにしているから、前記リング状部材5の往復慣性力が作用する方向の接触面部の面圧を小さくできるのであり、従って、前記平面部4・・・・とガイド面51,51での異常摩耗や焼付け損失を防止できると共に、前記係合部55,55及び被係合部6,6での異常摩耗や焼付け事故も防止でき、それだけ信頼性を向上できるのである。
【0027】
また、前記実施例では、前記第2スクロール22の鏡板23に形成する前記平面部4・・・・の長さ方向中間部に、該第2スクロール22の鏡板23の前記円弧部26の外径と同径の前記円弧状突出部41,41を形成すると共に、前記リング状部材5における前記ガイド面51,51に前記円弧状突出部41,41が介入可能な凹部56,56を形成したから、前記第2スクロール22の渦巻体24の加工をする際、前記第2スクロール22の鏡板23に一対の前記平面部4・・・・を形成していても、該平面部4・・・・の長さ方向中間部に形成した円弧状突出部41,41のうち一方と、前記各円弧部26,26とを三ツ爪チャックで保持しながら加工することができるので、前記鏡板23の中心の位置決めを容易にし、かつ、加工時の芯ずれを防止することができ、しかも、従来のように、前記平面部4・・・・にチャック保持用の保持部を形成しておいて、スクロールの加工後にこの保持部を取り除く行程を不要にできるので、高精度の加工が容易にでき、性能の高い圧縮機を低コストで作製できるのである。
【0028】
また、前記実施例では、公転スクロール圧縮機について本発明を適用したが、本発明は、公転スクロール圧縮機だけではなく、共回り型のスクロール圧縮機にも適用でき、共回り型スクロール圧縮機に適用する場合には、駆動軸を連結する駆動スクロールに前記平面部4・・・・を形成し、該駆動スクロールの鏡板に前記リング状部材5を嵌合させるようにしてもよいし、前記駆動スクロールに従動する従動スクロールに前記平面部4・・・・を形成し、該従動スクロールの鏡板に前記リング状部材5を嵌合するようにしてもよい。
【0029】
さらに、前記実施例では、前記円弧状突出部41,41を形成するために、前記平面部4・・・・を二対形成したが、前記円弧状突出部41,41を形成せずに、前記平面部4・・・・を一対形成するようにしても差し支えない。
【0030】
尚、前記実施例では、前記第2スクロール22の背面側で前記リング状部材5の内周側に、吸入ガス冷媒が吸入される低圧側に対しシールして背圧室7を形成するシールリング8を配設しており、該シールリング8には、前記低圧側に、前記背圧室7の油を第2スクロール22の鏡板23に設けたインジェクションポート81から適量にインジェクションするためのインジェクション通路82を設けると共に、前記シールリング8に、前記ハウジング11の上面に設ける回転防止用ピン83を係合するようにしている。
【0031】
そして、前記シールリング8に前記ピン83を係合することにより、前記シールリング8が前記第2スクロール22の公転駆動に伴って、回転するのを防止するようにしており、斯くすることにより、前記シールリング8に設けたインジェクション通路82と第2スクロール22の鏡板23に設けたインジェクションポート81との相対位置を確保し、インジェクション油量の安定化が図れるし、また、前記シールリング8の外周面と前記ハウジング11との間に配設する0リング84などのシール補助部材がシールリング8の回転によって異常摩耗を起こすのも防止できるのである。
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、前記リング状部材5の前記ガイド面51,51を連結する連結リング部53,53を、前記ガイド面51,51に対し前記平面部4・・・・を形成する一方のスクロール21または22の鏡板23背面側に向かって軸方向に変位させて、前記連結リング部53,53を前記一方のスクロール21または22の鏡板23と重ね合わしたから、前記リング状部材5が、該リング状部材5のガイド面51,51を前記一方のスクロール21または22の鏡板23の外周部に形成する前記平面部4・・・・に挿嵌する構造であるにも拘らず、前記リング状部材5の連結リング部53,53を、前記一方のスクロール21または22の前記鏡板23の動きに対し干渉することがない該鏡板23の下面側に位置させることができ、従って、前記連結リング部53,53を、前記鏡板23の外周より大きくする必要がなく、反対に、前記鏡板23の外周より小さくできるので、前記リング状部材5を小型化して、全体構造を小型化できるのである。
【0033】
また、請求項2記載の発明では、前記第1または第2スクロール21または22の鏡板23に形成する平面部4・・・・の少なくとも一方における長さ方向中間部に、該平面部4形成側スクロール21または22の鏡板23の外径と同径の円弧状突出部41,41を形成すると共に、リング状部材5におけるガイド面51,51に前記円弧状突出部41,41が介入可能な凹部56,56を形成したから、前記平面部4・・・・を形成するスクロール21または22の渦巻体24の加工をする際、該スクロール21または22の鏡板23に一対の前記平面部4・・・・を形成していても、該平面部4・・・・の長さ方向中間部に形成した円弧状突出部41,41のうち一方と、前記鏡板23の外周面とを三ツ爪チャックで保持しながら加工することにより、前記鏡板23の中心の位置決めを容易にし、かつ、加工時の芯ずれを防止しながら、前記渦巻体24の加工を行うことができるのであり、しかも、従来のように、前記平面部4・・・・にチャック保持用の保持部を形成しておいて、スクロールの加工後にこの保持部を取り除く行程を不要にできるので、高精度の加工が容易にでき、性能の高い圧縮機を低コストで作製できるのである。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクロール形流体機械の上部縦断面図。
【図2】本発明の第2スクロールを示す上面図。
【図3】本発明の第1スクロールの下面図。
【図4】本発明のリング状部材の上面図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】図4のB−B線断面図。
【図7】本発明のリング状部材の斜視図。
【図8】本発明のリング状部材を第2スクロールに嵌合した状態を示す説明図。
【図9】従来のスクロール形流体機械を示す断面図。
【図10】従来のリング状部材にスクロールを嵌合した状態を示す説明図。
【符号の説明】
21 第1スクロール
22 第2スクロール
23 鏡板
24 渦巻体
4 平面部
41 円弧状突出部
5 リング状部材
51 ガイド面
53 連結リング部
55 係合部
56 凹部
6 被係合部

Claims (2)

  1. 鏡板(23)と渦巻体(24)とをもつ第1及び第2スクロール(21)(22)を備え、これら第1及び第2スクロール(21)(22)の一方の鏡板(23)における外周部に、互いに平行な少なくとも一対の平面部(4)(4)を形成すると共に、該平面部(4)(4)に対向し、これら平面部(4)(4)に沿って摺動可能なガイド面(51)(51)と、前記ガイド面(51)(51)を内周側にもつガイドリング部(52)(52)と、該ガイドリング部(52)(52)に設けられ前記ガイド面(51)(51)と直交方向に延びる係合部(55)(55)とをもったリング状部材(5)を備え、前記第1及び第2スクロール(21)(22)の他方に、前記係合部(55)(55)と摺動可能に係合する被係合部(6)(6)を備えたスクロール形流体機械において、前記リング状部材(5)の前記ガイド面(51)(51)を連結する連結リング部(53)(53)を、前記ガイド面(51)(51)に対し前記平面部(4)(4)を形成する一方のスクロール(21または22)の鏡板(23)背面側に向かって軸方向に変位させて、前記連結リング部(53)(53)を前記一方のスクロール(21または22)の鏡板(23)と重ね合わしていることを特徴とするスクロール形流体機械。
  2. 第1または第2スクロール(21または22)の鏡板(23)に形成する平面部(4)(4)の少なくとも一方における長さ方向中間部に、該平面部(4)形成側スクロール(21または22)の鏡板(23)の外径と同径の円弧状突出部(41)(41)を形成すると共に、リング状部材(5)におけるガイド面(51)(51)に前記円弧状突出部(41)(41)が介入可能な凹部(56)(56)を形成している請求項1記載のスクロール形流体機械。
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