JP3600696B2 - ラジアントチューブを熱源とする加熱炉 - Google Patents

ラジアントチューブを熱源とする加熱炉 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジアントチューブの両端に一対の蓄熱型バーナを備え、これを交互に燃焼させてチューブを加熱して熱源とする加熱炉に関する。更に詳述すると、本発明はラジアントチューブの炉内での配置の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
雰囲気の汚染を嫌う加熱炉例えば雰囲気炉における従来の熱源としては、通常、ラジアントチューブとこのチューブ内で長炎燃焼を起こす1基のラジアントチューブバーナとが一般的である。ラジアントチューブによる加熱は電気ヒータによる加熱と同様に雰囲気を汚さず、かつ電気ヒータなどに比べてコストが格段に低くできることから、熱源として有用である。
【0003】
しかしながら、このラジアントチューブバーナでは、ラジアントチューブの一端から他端の排気口に向けてチューブ内を一方向に燃焼が進行するので、図10の(A)に示すように焚き口部付近のチューブ表面温度が最も高くなり、燃焼量を増やし過ぎると、焚き口付近が過熱により焼損する。焼損防止には、焚き口付近のチューブ温度をチューブ材料の使用限界温度以下にすることが必要となるために、燃焼量を減らさなければならずチューブ表面積当たりの伝熱量が制限される。
【0004】
また、チューブ内の燃焼ガス温度は、排気口に向かうにつれて低下し、伝熱量はチューブの長さ方向に減少する。これは、チューブの長さ方向に大きい温度勾配を持つことになり、チューブの寿命を短くする。
【0005】
更に、伝熱量は燃焼ガス温度とワーク温度の対数平均温度差に比例するから、排気温度を下げて省エネルギーを図ろうとすると膨大な伝熱面積(チューブ表面積)を必要とする。そこで、熱交換機を設備して、排気熱を回収して燃焼空気を予熱することも考えられるが、この場合でも、焚き口付近のチューブ温度は制限温度以下にしなければならず、伝熱量を増すことはできない。更に、レキュペレータをチューブ排気口・他端側へ備えて排ガスと燃焼用空気との熱交換を行うことによって熱回収を図っても、多少の省エネルギーは達成されるものの、用いられる換熱式熱交換機の温度効率は60%以下の低率のため、その効果は低い。
【0006】
そこで、本発明者等は、雰囲気炉の熱源として、ラジアントチューブの両端にそれぞれ蓄熱型バーナを備え、この一対のバーナを交互に燃焼させてチューブを加熱した後の排ガスを燃焼停止中のバーナの蓄熱体を経て排気する一方、燃焼中のバーナには蓄熱体を経て高温に予熱された燃焼用空気を供給し、排ガス温度に近い高温の燃焼用空気で燃焼させることを考えた。
【0007】
この場合、チューブ内の燃焼方向が短周期で交互に変わるので、図10の(B)に示すように燃焼ガス温度はピークを持たず、チューブの長さ方向に均一になり、かつ、ピークの無い均一火炎は低NOx化を実現する。したがってチューブよりワークへの伝熱量はチューブの長さ方向に均一である。加えて、蓄熱型熱交換では90%以上の温度効率が容易に得られ、チューブ出口の排気温度に近い高温の空気が得られるから燃焼ガスとワーク間で均一で、かつ、高い温度落差が得られ、高い省エネルギーが達成される。したがって、チューブの制限温度で均一加熱したとき、従来型と同一表面積では伝熱量を約2倍にできるし、従来型と同じ伝熱量とする場合には表面積を約半分にできる。従来型と同一表面積、同一伝熱量ではチューブのピーク温度が下がるため耐熱性に劣る安価な低級材が使用できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実際の雰囲気炉においては上述の効果が必ずしも得られないという問題が生じた。即ち、従来、ラジアントチューブからワークへの均一な熱伝達は、ラジアントチューブのピッチを小さくして密に配列するほど良く、ピッチを大きくしてラジアントチューブを離すにつれてチューブ間の中間点の熱伝達が遅れ、ワークの均一熱伝達が阻害されると考えられていた。そこで、可能な限り密にチューブを配置することを前提に主として経済性の観点からのみチューブのピッチが決められて来た。
【0009】
しかし、実際にはワークのチューブとチューブとの間での均一加熱が難しく、さらにチューブのピッチを経済上の要請を無視して小さくしても伝熱の均一性が保たれないことを見いだした。
【0010】
本発明はチューブ長さ方向だけでなくチューブ間方向にも均一加熱が実現可能なラジアントチューブを熱源とする加熱炉を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このことについて、本発明者等が更に種々研究検討した結果、ラジアントチューブの配列ピッチとワークまでの距離に相関関係を有することを知見した。即ち、チューブからワークへの伝熱を仔細に検討した結果、従来言われてきたようにチューブのピッチを小さくするほど伝熱の均一性が保たれるものではなく、あるピッチの範囲で最も均一性が保たれる領域が存在し、それよりもピッチが小さくても、また大きくても伝熱の均一性が阻害されることを見いだした。
【0012】
本発明は、かかる知見に基づいて成されたもので、ラジアントチューブの両端にそれぞれ蓄熱体を通して排ガスの排気と燃焼用空気の供給とを交互に行う蓄熱型バーナを備え、その一対のバーナを交互に燃焼させる蓄熱バーナシステムを装備したラジアントチューブを加熱源とする雰囲気炉において、ラジアントチューブ間ピッチLpとチューブからワークまでの距離Lwとの比Lp/Lwが0.75<Lp/Lw<1.75の範囲でラジアントチューブを炉内に配置するようにしている。これによって、チューブの長さ方向だけでなくチューブとチューブとの間の均一加熱をも可能とする。
【0013】
即ち、ラジアントチューブからワークへの熱伝達は、図2に示すようにして与えられる。このとき、ラジアントチューブの単位表面積当たりの放射熱量(チューブの熱流束)qは、次の数式1に示すように表される。そして、放射を受けるワークの任意の位置における単位表面積当たりの受熱量(受熱面の熱流束)q”は、次の数式2に示す基本式(1)で表される。また、チューブ中心からの熱の放射角度αは数式3に示す基本式(2)によって表される。
【0014】
【数1】
Figure 0003600696
【0015】
【数2】
Figure 0003600696
【0016】
【数3】
Figure 0003600696
【0017】
ただし、q’はその任意の受熱面においてチューブよりの放射に垂直な仮想受熱面での単位表面積当たりの仮想受熱量(仮想面の熱流束)、rはラジアントチューブの半径、dsはワークの任意位置にαなる角度で熱を放射するチューブの微小表面積、ds”はワーク受熱面の微小表面積、ds’は仮想面の微小表面積、L1はチューブよりワーク表面までの垂直距離、L2はチューブより任意のワーク受熱面までの水平距離を示す。
【0018】
次に、ピッチが2本のラジアントチューブの間にあるワークに対して、その間で最も多くの熱を与えられる場所の受熱量との比を以て、任意の場所の受熱量を表示し、受熱量分布を評価することが可能である。
【0019】
そこで、ワークに対し平衡に配置された2本のチューブ間におけるワークへの熱伝達は、次のように考えられる。即ち、2本のラジアントチューブからは全方向に熱放射し、ワークに対してそれぞれのチューブより直接に、および炉壁に反射(炉壁に向かう放射熱は炉壁に吸収するのは極一部で大半は反射する)して間接に熱を与える。一方、二本のチューブ間でのワーク上の任意の場所nに向かっては、チューブから直接n点に向かって放射する熱と、炉壁に反射してワークのn点に与えられる熱とがある。炉壁からの反射は、炉壁とワークの相対的な位置関係によって様々であるが、この大きさを、ワーク上のn点に等角度で反射する放射熱として代表させると、ワーク上のn点に与える放射熱の大きさは基本式(1)、(2)によって無次元評価値△Knとして以下の数式4のように与えられる。
【0020】
【数4】
Figure 0003600696
【0021】
ここに、Lpはチューブ間のピッチを、Lwはチューブの中心からワーク表面への垂直距離、Lrはチューブ中心から炉壁(反射面)までの垂直距離、Dpはチューブの直径を示す。
【0022】
この△Knと、チューブ間における△Knの最大値△Kmax との比をn点における熱流束比Knと定義してKnの分布によってワークの均一加熱を可能にするラジアントチューブの適正なピッチを評価することができる。
【0023】
以上に基づいて2本のラジアントチューブ間におけるワークの熱流束比の分布を調べてみる。
【0024】
以下に、チューブ間を6分割したときの各点における熱流束比分布の検討結果を表示する。
【0025】
(1)Lr/Lw=0.5におけるLp/Lw対熱流束比の分布
Lr/Lwを0.5で一定にした状態で、Lp/Lwを0.5,1.0,1.5,2.0,2.5と変化させてそれに伴う熱流束比分布の変化を求めた。この結果を図3に示す。このことから、Lp/Lwが大きくなるにつれてチューブ間中心(ワークの分割位置3)付近の熱流束比が低くなり、2.0での熱流束比は充分に高い値と言える0.9以上であるが、2.5での熱流束比は高いとは言えない0.85未満となった。
【0026】
(2)Lr/Lw=1.0におけるLp/Lw対熱流束比の分布
Lr/Lwを1.0で一定にした状態で、Lp/Lwを0.5,1.0,1.5,2.0,2.5と変化させてそれに伴う熱流束比分布の変化を求めた。この結果を図4に示す。このことから、Lp/Lwが大きくなるにつれてチューブ間中心(ワークの分割位置3)付近の熱流束比が低くなり、2.0での熱流束比は未だ充分に高い値と言える0.9以上であるが、2.5での熱流束比は高いとは言えない0.9未満で0.8付近となった。
【0027】
(3)Lr/Lw=1.5におけるLp/Lw対熱流束比の分布
Lr/Lwを1.5で一定にした状態で、Lp/Lwを0.5,1.0,1.5,2.0,2.5と変化させてそれに伴う熱流束比分布の変化を求めた。この結果を図5に示す。このことから、Lp/Lwが大きくなるにつれてチューブ間中心(ワークの分割位置3)付近の熱流束比が低くなり、2.0での熱流束比は充分に高い値と言える0.9をやや下回るが高いと言える値であるが、2.5での熱流束比は高いとは言えない0.8未満となった。
【0028】
(4)Lr/Lw=2.0におけるLp/Lw対熱流束比の分布
Lr/Lwを2.0で一定にした状態で、Lp/Lwを0.5,1.0,1.5,2.0,2.5と変化させてそれに伴う熱流束比分布の変化を求めた。この結果を図6に示す。このことから、Lp/Lwが大きくなるにつれてチューブ間中心(ワークの分割位置3)付近の熱流束比が低くなり、2.0での熱流束比は充分に高い値と言える0.9を下回るが高いと言える0.85以上の値であるが、2.5での熱流束比は高いとは言えない値0.8を大きく下回る値であった。
【0029】
以上、種々の炉条件下でのチューブ間のワークへの熱流束分布の検討結果から、熱流束分布は、従来言われていたようにチューブ間のピッチを小さくするほど均一性が増すものでは無く、最良の均一分布が得られるピッチの範囲が存在することが分かった。そしてその範囲は図に示されるように、チューブ間において熱流束がピークを示す点(熱流束比=1の点)が2カ所存在するピッチ範囲である。
【0030】
この領域はLr/Lw毎にLp/Lwを変えたときのワークへの伝熱のばらつきの程度を示す最小熱流束比をプロットすることでより明確に示される。例えば、図7に示すように、Lr/Lwをそれぞれ=0.5,=1.0,=1.5,=2.0としたときの、Lp/Lw=0.00〜2.50の間での最小熱流束比の変化を求めた。
【0031】
図7からは、ピッチと最小熱流束比には2つのピークが存在することが分かる。1つはLp/Lwが0付近と、いま1つは1.5付近に存在するピークである。Lp/Lwが0付近ではチューブ間の最大熱流束(熱流束比=1)がチューブ間の中心に存在する場合を示し、1.5付近ではチューブ間の最大熱流束(熱流束比=1)がチューブ間に2点存在する場合であり、その境界は、Lp/Lwが0.75付近である。即ち、Lp/Lwが0〜0.75ではチューブ間の最大熱流束はチューブ間の中心に存在し、0.75〜1.75では最大熱流束(熱流束比=1)がチューブ間に2カ所存在する領域であることを示している。そしてこれらの領域では最小熱流束比も0.9以上と十分に高い数値を示している。Lp/Lwが1.75以上では、最大熱流束(熱流束比=1)の点は、2本のチューブの直下に存在し、これ以上では最小熱流束比は急激に低下する。
【0032】
してみると、均一な熱流束分布を示すピッチの範囲は、Lp/Lw<1.75にあり、取付上の経済性等を考慮した適正ピッチの範囲は0.75<Lp/Lwと考えられる。したがって、Lp/Lwは0.75よりも大きく、1.75よりも小さい範囲に採ることが最も好ましい。
【0033】
次に、一定時間加熱後のワークの上昇温度が熱流束比Knによってどの程度のばらつきを生じるかを、一定時間加熱後のワーク温度の上昇率を以てチェックする。温度上昇率te/tfは次の数式5で計算される。
【0034】
【数5】
te/tf=1−Exp(−KnE)
但し、ti=0
E=hAτ/γcv
における
tf:炉温 ti:ワークの所期温度
te:ワークの終期温度 A :ワークの伝熱面積
h :Kn=1におけるワークへの熱伝達率
c :ワークの比熱 v :ワークの実体積
τ :加熱時間
この計算結果をグラフに示すと、図8に示すようになり、Kn>0.85においてワークの上昇温度がほぼ飽和に達するE=3.5以上の均熱帯域では上昇温度のばらつきは2%以内に収まり、十分な均一性が保たれることを示している。これは、Lp/Lwが2以下の範囲であれば十分な均一加熱が可能であることを示している。
【0035】
以上のことからラジアントチューブ間における均一加熱を可能にするラジアントチューブ間のピッチLpとチューブからワークまでの距離Lwとの比Lp/Lw<2、より好ましくは0.75<Lp/Lw<1.75の範囲であることが容易に理解できる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図9の(A),(B)に本発明の一実施形態として雰囲気炉に適用した例を示す。この雰囲気炉は、炉体1と熱源となる蓄熱型ラジアントチューブバーナシステム2とワーク搬送手段3とから主に構成されている。
【0038】
炉体1は、その構造および材質等に特に限定を受けず、例えば鋼製のケーシングに耐火物の内張りを施したものによって構成され、連続炉の場合には炉体1の長手方向にワークを搬送するワーク搬送手段3を設けている。また、炉内雰囲気の撹拌のためのファン4が炉頂部の天井面に設置されている。
【0039】
蓄熱型ラジアントチューブバーナ2システムは、例えば炉体1の側壁に沿って鉛直方向に炉内を貫通するように配置されたU形ラジアントチューブ5と、その両端の炉外に設置された部分に接続されて交互に燃焼する一対のラジアントチューブバーナ(以下単にバーナと呼ぶ)6,6及びこれら一対のバーナ6,6を交互に燃焼させるために燃焼用空気と燃料を選択的に供給する燃焼用空気供給系8と排気系9並びに燃料供給系(図示省略)から構成されている。バーナ6は、特にガン構造などには限定されるものではないが、蓄熱体(図示省略)を内装しあるいは外部に直に接続し、排ガスと燃焼用空気とを四方弁10を介して交互に蓄熱体に通過させることによって得られる高温の燃焼用空気を用いてラジアントチューブ5内の密閉空間で燃焼させるものである。ここで、作動させるバーナの交換の周期は燃焼の有無に拘わらず一定時間とされている。例えば、30秒程度の短時間で周期的にバーナは切り替えられ、その間に必要な燃焼が行われるように設けられている。
【0040】
尚、ラジアントチューブ5としては特に限定されるものではないが、通常使用される耐熱鋳鋼などの金属の他、SiC等のセラミックスを使用することもある。セラミックス製チューブの場合、酸化しないばかりか軽量で含有熱も小さい(比重が小さく薄肉にできるから)という利点がある。また、蓄熱体は、例えば、通路断面積が一定でかつ直線的に流路が貫通しているハニカム形状のセラミックス(例えばコージライトやムライト等)の使用が好ましい。このハニカム形状のセラミックスは熱容量が大きく耐久性が高い割に比較的圧力損失が低く、排気と給気とが交互に淀みなく行われる。
【0041】
この蓄熱型ラジアントチューブバーナシステム2は、必要に応じてその数や配置方向等が選定されるが、ラジアントチューブ5のチューブ間ピッチLpとワークWとの間との距離Lwとの間には一定の位置関係が要求される。即ち、ラジアントチューブ間ピッチLpとチューブ5からワークWまでの距離Lwとの比Lp/Lwが0.75<Lp/Lw<1.75の範囲にラジアントチューブを配置することである。ここで、ラジアントチューブ5と炉体1の固体壁面7との間の間隔Lrには特に限定を受けず、極端に接近したり離れない限り任意の間隔に設定しても良い。例えば、実験によれば、Lr/Lw=0.5、Lr/Lw=1.0、Lr/Lw=1.5、Lr/Lw=2.0のいずれにおいても熱流束比の分布は大きな影響は受けない。したがって、炉体1の固体壁面7からの間隔Lrを一定にしてチューブ5を配置したと仮定して、そのチューブ5の位置からワークWの被加熱面までの距離・間隔Lw(あるいはワークWの被加熱面が通過する位置)を仮定して、その間隔Lwからチューブ5とチューブ5との間のピッチLpを上述の関係即ちLp/Lwが0.75<Lp/Lw<1.75の範囲となるように決定する。具体的には、チューブ5から放射される熱によって炉壁がスポルディングを起こさない範囲で近接させ、また炉内空間が無用に大形化しない範囲で離間させることが好ましく、ワークWの搬送軌跡あるいは設置位置にばらつきがあっても、上述の位置関係を保持しうる範囲にLp/Lwが選択される。
【0042】
以上のように構成された雰囲気炉によれば、バーナの燃焼は、蓄熱体を通過して高温例えば800℃以上に予熱された二次空気を使用してチューブ5,5の両端で短時間に交互に行われる。そして、一方のバーナの燃焼で発生した燃焼ガスは、ラジアントチューブ5を加熱しながら他端側のバーナの蓄熱体を経てから排気系9へ誘引され、所定の排気処理が施された後大気に排出される。このため、排ガスの熱は、蓄熱体で回収される。そして、蓄熱体に回収された熱は、バーナを燃焼させる際の燃焼用空気の予熱に使用され、再びチューブ内に戻される。これによって図10の(B)に示すようなチューブ表面温度分布を形成し、チューブ長手方向に均一加熱する。また、チューブ間方向への加熱は、図3から図6に示すように、Lp/Lw<2の場合には充分に高い最小熱流束比0.9が得られる。勿論、Lp/Lw<1.75の場合には充分に高い最小熱流束比0.95が得られる。そして、図8に示すように、Kn>0.85においてワークの上昇温度がほぼ飽和に達するE=1.35以上の均熱帯域では上昇温度のばらつきは2%以内に収まり、充分均一性が保たれることを示している。このことから、Lp/Lwが0.75<Lp/Lw<1.75の範囲であれば、極めて均一な加熱が可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載の本発明のラジアントチューブを熱源とする加熱炉によると、蓄熱型ラジアントチューブバーナの交互燃焼によって、ラジアントチューブの加熱がチューブ長さ方向への一様な温度分布によって行われると共にチューブ間の均一加熱も実現される。即ち、ラジアントチューブからは全方向に熱放射し、ワークに対してそれぞれのチューブより直接に、および炉壁に反射して間接に熱を与えるが、上述のチューブピッチとワークとの距離をとる場合、チューブから直接放射される熱と炉壁に反射して与えられる熱とがほぼ等しくなり、チューブピッチ方向にも均一加熱が実現する。このとき、ラジアントチューブ間ピッチLpとチューブからワークまでの距離Lwとの比Lp/Lwが0.75<Lp/Lw<1.75の範囲でラジアントチューブを炉内に配置しており、最小熱流束比が充分に高い値となってその差がチューブ間で小さくなるので均一加熱が可能となる。したがって、ワークの加熱がチューブの長手方向のみならずそれと直交するチューブピッチ方向にも温度差が少なくなるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2本のラジアントチューブ間での熱放射状態を示す説明図である。
【図2】1本のラジアントチューブからの熱放射状態を示す説明図である。
【図3】Lr/Lw=0.5におけるLp/Lw対熱流束比の分布図である。
【図4】Lr/Lw=1.0におけるLp/Lw対熱流束比の分布図である。
【図5】Lr/Lw=1.5におけるLp/Lw対熱流束比の分布図である。
【図6】Lr/Lw=2.0におけるLp/Lw対熱流束比の分布図である。
【図7】ラジアントチューブのピッチとワークとの間の間隔との比Lp/Lwに対する最小熱流束比のLr/Lw毎の変化を示すグラフである。
【図8】熱流束比に対するワークの温度上昇率の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の一形態として雰囲気炉に適用した実施形態を説明する図で、(A)は雰囲気炉の概略図、(B)は同雰囲気炉のチューブ配列を示す説明図である。
【図10】従来の雰囲気炉と本発明を適用した雰囲気炉との温度分布を比較する図で、(A)は従来の雰囲気炉のもの、(B)は本発明を適用した雰囲気炉のものをそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 炉体
2 ラジアントチューブバーナシステム
5 ラジアントチューブ
6 バーナ
Lp ラジアントチューブ間ピッチ
Lw チューブからワークまでの距離

Claims (1)

  1. ラジアントチューブの両端にそれぞれ蓄熱体を通して排ガスの排気と燃焼用空気の供給とを交互に行う蓄熱型バーナを備え、その一対のバーナを交互に燃焼させる蓄熱バーナシステムを装備したラジアントチューブを加熱源とする加熱炉において、ラジアントチューブ間ピッチLpとチューブからワークまでの距離Lwとの比Lp/Lwが0.75<Lp/Lw<1.75の範囲で前記ラジアントチューブを炉内に配置することを特徴とするラジアントチューブを熱源とする加熱炉。
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