JP3600373B2 - 計算機の運用制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は計算機の運用制御方法に関し、特に複数の利用者間で共用される共用資源が接続され、その共用資源の管理とそれ以外の個人使用のための他の資源の管理機能を有する計算機の運用制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、オフィスなどで用いられる情報処理システムは、各個人が占有して使用するクライアント計算機と、業務アプリケーションやデータベースの実行、あるいはプリンタ機能などをクライアント計算機に提供するサーバ計算機とをネットワーク接続することによって構成されている。このようにクライアント計算機とサーバ計算機とが明確に区分されたネットワーク環境下では、クライアント計算機の個人使用を終了すれば、そのクライアント計算機自体の電源を切ることで完全にその消費電力をゼロにする事ができ、またそのクライアント計算機に格納された個人データが他の計算機からのリモートアクセスによって読みとられるなどの問題も発生しない。したがって、パワーマネージメントとセキュリティーを容易に実現することができる。
【0003】
ところが、小規模なオフィスでは、クライアント計算機とサーバ計算機は互いに異なる計算機としてではなく、ある1台の計算機に、サーバとしての機能を持たせ、その計算機を個人使用とグループ利用の双方に使用するといった運用が行われていることが多い。例えば、個人使用の計算機に対して、他の計算機からも使用可能な共用プリンタを接続している場合などがこれに相当する。
【0004】
このような共用資源の管理を行うことが必要なクライアント・サーバ兼用型の計算機においては、たとえその個人使用が終了したとしても、共有資源を用いたサービス提供については継続して行う必要があるため、そのクライアント・サーバ兼用型計算機自体の電源を切ることはできない。したがって、サーバ機能の提供に関係しない個人使用の資源も通常の動作状態のまま維持されることとなり、無駄な電力が消費されると共に、クライアント・サーバ兼用型計算機に格納された個人データがネットワークを介して読みとられるといった危険も発生する。
【0005】
したがって、個人使用の資源とグループ利用される共用資源とを有するクライアント・サーバ兼用型計算機を使用する環境下においては、パワーマネージメントと、個人データについてのセキュリティーを実現することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、個人使用の資源とグループ利用される共用資源とを有するクライアント・サーバ兼用型計算機を使用する環境下においては、共有資源を用いたサービス提供の継続のためにそのクライアント・サーバ兼用型計算機自体の電源を切ることができず、それによって無駄な電力が消費されると共に、個人データがネットワークを介して読みとられるといった危険があった。
【0007】
この発明はこのような点に鑑みてなされたもので、個人使用の資源とグループ利用される共用資源とを有するクライアント・サーバ兼用型の計算機についてその個人使用が終了されたときはサーバ機能に必要な機能だけを有効動作させられるようにし、共有資源を用いたサービス提供を継続した状態で低消費電力化と個人データのセキュリティーを確保することが可能な計算機の運用制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ネットワーク上の他の計算機との間で共有される共有資源が接続され、当該共有資源の管理とそれ以外の他の個人使用資源の管理を行うクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法において、前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境である個人使用を終了するとき、そのときの前記計算機のメモリの内容をセーブした後に、前記共有資源を使用したサービスを他の計算機に提供するためにのみ必要なプログラムをメモリにロードして、前記計算機の動作環境を、前記共有資源については前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に継続して提供可能で、前記個人使用資源についてはその電源オフが可能な状態に設定し、前記計算機の個人使用を再開するとき、前記セーブしたメモリの内容を前記計算機のメモリに再ロードして、前記計算機の動作環境を、前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境に復元することを特徴とする。
【0009】
この運用制御方法によれば、例えば利用者によって計算機の電源スイッチがオフされることなどによって個人使用の終了が検知されると、そのときの計算機のメモリの内容がセーブされ、その後に、共有資源を使用したサービスを他の計算機に提供するためにのみ必要なプログラムがメモリ上にロードされる。このようなメモリの入れ替えにより、その計算機の動作環境は、共用資源については新たにロードされたプログラムによってその継続利用が保証され、またそれ以外の個人使用資源については動作停止され、その電源オフが可能な状態となる。そして、例えば利用者による電源スイッチがオンされることなどによって個人使用の再開が検知されると、セーブした情報がメモリに再ロードされて元の状態に復元される。よって、個人使用を中断している期間については、サーバ機能に必要な機能だけが有効動作されることになり、共有資源を用いたサービス提供を継続した状態で低消費電力化と個人データのセキュリティーを確保することができる。
【0010】
例えば、個人で使用している計算機だが、その計算機に接続されているプリンタをネットワーク経由で共用している場合を想定すると、個人の使用が終了した後に、CPU、メモリ、ネットワーク、プリンタ以外の資源については使用する必要がなくなり、それらの電源を切ることができ、省電力の機能を提供し、また、電源を切ることでその資源に対してアクセスできなくなるため、セキュリティの機能を提供することができる。
【0011】
また、この発明は、ネットワーク上の他の計算機との間で共有される共有資源が接続され、当該共有資源の管理とそれ以外の他の個人使用資源の管理を行うクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法において、前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境である個人使用を終了するとき、前記共用資源を使用したサービスを前記他の計算機に対して提供するためのタスク以外の他のタスクをスケジューリング対象から除外すると共に、前記個人使用資源を制御するデバイスドライバを終了して、前記計算機の動作環境を、前記共有資源については前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に継続して提供可能で、前記個人使用資源についてはその電源オフが可能な状態に設定し、前記計算機の個人使用を再開するとき、前記スケジューリング対象から除外したタスクをスケジューリング対象に戻すと共に、前記終了させたデバイスドライバを動作可能状態に戻して、前記計算機の動作環境を、前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境に復元することを特徴とする。
【0012】
この運用制御方法においては、例えば利用者によって計算機の電源スイッチがオフされることなどによって個人使用の終了が検知されると、共用資源を使用したサービスを前記他の計算機に対して提供するためのタスク以外の他のタスクについてはスケジューリング対象から除外され、これによって個人使用のために使用されるタスクの動作が禁止される。また、共用資源の以外の他の個人使用資源を制御するデバイスドライバについても終了処理され、そのデバイスドライバの動作も禁止される。これにより、計算機の動作環境は、共用資源についてのみその継続利用が可能な状態となり、それ以外の個人使用資源についての機能は停止される。そして、例えば利用者による電源スイッチがオンされることなどによって個人使用の再開が検知されると、スケジューリング対象から除外したタスクが再度スケジューリング対象に戻され、また終了されているデバイスドライバは動作可能状態に戻される。これにより、計算機の動作環境は、個人使用資源および共用資源を利用可能な状態に復元される。よって、個人使用を中断している期間については、サーバ機能に必要な機能だけが有効動作されることになり、共有資源を用いたサービス提供を継続した状態で低消費電力化と個人データのセキュリティーを確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。
図1には、この発明の第1実施形態に係る運用制御方法が適用されるクライアント・サーバ兼用型計算機を用いたコンピュータネットワークシステムが示されている。
【0014】
クライアント・サーバ兼用型計算機11は、LANなどのネットワークを介して他のクライアント計算機12,13に接続されている。クライアント・サーバ兼用型計算機11は、その周辺装置としてディスク装置21、ディスプレイモニタ22、ディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25を有しているが、これら周辺装置のうち、ディスク装置21およびディスプレイモニタ22については個人使用され、ディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25については他のクライアント計算機12,13との間で共用される。
【0015】
すなわち、クライアント・サーバ兼用型計算機11は、通常は、これらディスク装置21、ディスプレイモニタ22、ディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25すべてを利用可能な状態で動作しており、ディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25についてはそれを使用したサービスをクライアント計算機12,13に対して提供するサーバとして用いられている。この場合、クライアント・サーバ兼用型計算機11においては、そのCPU、メモリ、ネットワークインターフェースを始め、ディスク装置21、ディスプレイモニタ22、ディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25すべてが電源オン状態であり、クライアント・サーバ兼用型計算機11のメモリ111には個人使用としてのみ用いられるプログラムだけでなく、サーバ機能の提供のためのプログラムなども存在している。
【0016】
このクライアント・サーバ兼用型計算機11のパワーマネージメントおよび個人データのセキュリティー保護は、クライアント・サーバ兼用型計算機11の個人使用が中断されている期間において、個人使用のディスク装置21およびディスプレイモニタ22の電源を切れる状態にし、共用されているディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25についてはそれを用いたサービスを継続できるように維持することによって行われる。
【0017】
これは、図2に示されているように、以下の手順で実行される。
ユーザの行動
(1)個人の使用を終了する。
【0018】
(4)個人でしか利用しない資源(ディスク装置21、ディスプレイモニタ22)の電源を切る。
(6)新たに個人使用を再開するために電源などのスイッチを押す。
【0019】
運用制御プログラムの処理
(2)すべての資源が運用されている時のメモリ111の内容をディスク21上にセーブする。
【0020】
(3)グループで利用する資源(ディスク装置23、プリンタ24、およびスキャナ25)の利用の継続のみを可能にする共用資源サービスプログラムをメモリ111上にロードする。
【0021】
(5)グループで利用する資源の利用を継続する。
(7)ディスク21にセーブされた前の状態をメモリにロードし、個人の使用終了直前の状態に計算機を戻す。
【0022】
この一連の処理のおけるメモリ111の内容の変化の様子を図3に示す。
図3(a)は、個人の使用を終了するときのメモリ111の状態を示している。ここでは、現在OS Aの上でタスクA,B,C,Dが動作している状態を想定している。タスクA,B,Dは、個人使用のアプリケーションであり、タスクCはグループで利用する資源を用いたサービスを提供するプログラム、例えばプリンタ24を用いたサービスを提供するプリンタデーモンである。個人の使用を終了するときは、これらすべてのメモリイメージが、運用制御プログラムによって、ディスク装置21にあらかじめ用意されているメモリセーブ領域にセーブされる。
【0023】
図3(b)は、グループ使用資源のサービス継続中におけるメモリ111の状態を示している。この場合には、ディスク装置21にあらかじめ用意しておいた、提供する資源の利用を継続するために必要な最小限のプログラム(共有資源サービスプログラム)が運用制御プログラムによってメモリ111にロードされる。このロードされたプログラムには、サーバ機能に必要のないデバイスをアクセスする機能はない。
【0024】
ここでいうプログラムとは、OSと共用資源の管理プログラムである。また、OSに関しては個人使用時に使用していたOSと同じものである必要はなく、資源の管理プログラムが動く軽いOSでよい。図3(b)においては、OS Bの上で、OS Aの上で動くタスクCと同等の機能を持つタスクC’が、動作している場合のメモリ状態が示されている。
【0025】
図3(c)は、個人使用の再開時のメモリ111の状態を示している。
個人使用が再開されるときは、ディスク装置21のメモリセーブ領域にセーブされている内容が運用制御プログラムによってメモり111にリストアされ、図3(a)の状態が復元される。
【0026】
次に、図4のフローチャートを参照して、クライアント・サーバ兼用型計算機11の運用制御処理の手順を説明する。
サーバ用途にも個人用途にも使用されているクライアント・サーバ兼用型計算機11を、個人用途で使用しているユーザが、使用を終了するためのアクションを起こしたとする。このアクションはソフトウェアプログラムによるか、電源スイッチなどのハードウェア的なスイッチ等の操作によるかは問わない。OSにこのアクションが伝わればよい
運用制御プログラムは、OSを通じて個人使用の終了を検知すると(ステップS11)、終了処理を行う(ステップS12)。すなわち、この終了処理では、運用制御プログラムは、まず、個人使用終了時の状態を再度復帰できるように、メモリ111上の内容をディスク21上にコピーする。メモリ111上の内容をディスク21上にコピーしたことでメモリ111上の内容は、ほとんど消すことができる。よって、運用制御プログラムは、その消すことが可能な領域に、継続しなければならないサービスを行うプログラムをロードし、そのプログラムの実行を開始する。
【0027】
そして、これまで個人用途に使用していたユーザが、サービスを行うのに必要のない資源の電源を落とす。ここで、もしソフトウェアで電源を管理できるものであれば、ユーザはこの処理を行う必要はなく、終了処理の最後で運用制御ブログラムが個人用との資源の電源を切ればよい。
【0028】
この後は、メモリ111にロードされたプログラムによって、共用資源を用いたサービスに必要な処理だけが継続して実行される(ステップS13)。
この後、ユーザが、クライアント・サーバ兼用型計算機11の電源スイッチのオン操作などを行うと、運用制御プログラムは、OSを通じて個人使用の再開を検知し(ステップS14)、再開処理を実行する(ステップS15)。すなわち、この再開処理では、運用制御プログラムは、終了処理でセーブしたメモリの内容を再度メモリ111上にロードすることで、個人使用時の状態に計算機11を戻す(ステップS15)。
【0029】
このように、第1実施形態の運用制御方法によれば、個人使用の終了が検知されると、そのときの計算機11のメモリ111の内容がセーブされ、その後に、共用資源の管理にのみ必要なプログラムがメモリ111上にロードされる。このようなメモリ111の入れ替えにより、その計算機11の動作環境は、共用資源については新たにロードされたプログラムによってその継続利用が保証され、またそれ以外の個人使用資源については動作停止され、その電源オフが可能な状態となる。よって、個人使用を中断している期間については、サーバ機能に必要な機能だけが有効動作されることになり、共有資源を用いたサービス提供を継続した状態で低消費電力化と個人データのセキュリティーを確保することができる。
【0030】
次に、図5乃至図7を参照して、この発明の第2実施形態に係るクライアント・サーバ兼用型計算機11の運用制御方法を説明する。
前述した第1実施形態の方法では、メモリイメージをセーブした後に新たなプログラムを再ロードするというOSに依存しない形態であったが、第2実施形態では、OSの機能を使用する方法が採用される。OSに必要な機能は、
1)ある特定のタスクをスケジューリングの対象から外す機能
2)ある特定のデバイスドライバのコードを実行させないようにする機能
である。
【0031】
この方法は、図5に示されているように、以下の手順で実行される。
ユーザの行動
(1)個人の使用を終了する。
【0032】
(3)個人でしか利用しない資源の電源を切る。
(5)新たに個人使用を再開するために電源などのスイッチを押す。
運用制御プログラムの処理
(2)提供するサービスに必要のないタスクをOSの機能を使ってスケジューリングの対象から外し、必要のないデバイスの終了ルーチンを呼ぶ。
【0033】
(4)グループで利用する資源の利用を継続する。
(6)OSの機能を使って、スケジューリングの対象から外されたプロセスを元に戻し、デバイスの初期化ルーチンを呼ぶ。
【0034】
ここで、「ある特定のタスクをスケジューリングの対象から外す機能」について説明する。
多くのOSでは、タスクのCPUスケジューリングに関して、スケジューリングキューでタスクを管理している。つまり、タスクをスケジューリングの対象から外すためには、指定されたタスクをスケジューリングキューから外し、別のキューで保存しておけばよい。スケジューリングの対象から外したタスクを、スケジューリングの対象にするためには、別のキューに保存しておいたものを、スケジューリングキューに戻すことで可能である。
【0035】
また、スケジューリングの対象から外すタスクの選択は、そのタスク名をあらかじめ登録しておくことなどによって実現できる。
次に、「ある特定のデバイスドライバのコードを実行させないようにする機能」について、図6を参照して説明する。
【0036】
図6は、OSと運用制御プログラムとデバイスドライバとの関係が示されている。
運用制御プログラムは、個人の利用終了通知に応答して、必要のないデバイスドライバ(図1のディスク装置21のデバイスドライバ、ディスプレイモニタ22のデバイスドライバ)のデバイス終了ルーチンを呼び出す。このルーチンはデバイス毎に異なる(例えば、該当するデバイスのDMAのディスエーブルなどを行う)。次に、運用制御プログラムは、OSが持っているデバイス管理情報の状態を、RUNNINGからSUSPENDに変更する。これにより、OSがそのデバイスに対するアクセスが可能かどうか判断することができる。
【0037】
個人の利用再開の通知がきた場合、運用制御プログラムは、SUSPEND状態のデバイスに対応するデバイス再開ルーチンを呼ぶ。このルーチンはデバイスの初期化を行うルーチンであり、個々のデバイスにより異なる(例えば、該当するデバイスのDMAをイネーブルにする)。次に、運用制御プログラムは、OSが持っているデバイス管理情報の状態を、SUSPENDからRUNNINGに変更する。これにより、以降はすべてのデバイスにアクセスが可能となる。
【0038】
次に、図7のフローチャートを参照して、クライアント・サーバ兼用型計算機11の運用制御処理の手順を説明する。
サーバ用途にも個人用途にも使用されているクライアント・サーバ兼用型計算機11を、個人用途で使用しているユーザが、使用を終了するためのアクションを起こしたとする。このアクションはソフトウェアプログラムによるか、電源スイッチなどのハードウェア的なスイッチ等の操作によるかは問わない。OSにこのアクションが伝わればよい
運用制御プログラムは、OSを通じて個人使用の終了を検知すると(ステップS21)、終了処理を行う(ステップS22)。すなわち、この終了処理では、運用制御プログラムは、提供するサービスに必要のないタスクをスケジューリングから外して、必要のないプログラムが動かないようにする。また、個人使用の資源の電源を切ることと、割り込みハンドラを外すために、必要のない資源に対応するデバイスドライバの終了ルーチンを呼び、対応するデバイスの状態をRUNNINGからSUSPENDに変更する。
【0039】
そして、これまで個人用途に使用していたユーザが、サービスを行うのに必要のない資源の電源を落とす。ここで、もしソフトウェアで電源を管理できるものであれば、ユーザはこの処理を行う必要はなく、終了処理の最後で運用制御ブログラムが個人用との資源の電源を切ればよい。
【0040】
この後は、メモリ111で動作可能なプログラムのみによって、共用資源を用いたサービスに必要な処理だけが継続して実行される(ステップS23)。
この後、ユーザが、クライアント・サーバ兼用型計算機11の電源スイッチのオン操作などを行うと、運用制御プログラムは、OSを通じて個人使用の再開を検知し(ステップS24)、再開処理を実行する(ステップS25)。すなわち、この再開処理では、運用制御プログラムは、スケジューリングの対象から外されたタスクを再度スケジューリングの対象にし、また個人使用資源を使用可能状態に戻すためにデバイス初期化ルーチンを呼び出し、対応するデバイス状態をSUSPENDからRUNNINGに変更する。
【0041】
この方法においては、個人使用の終了が検知されると、共用資源の運用管理に関係しないタスクについてはスケジューリング対象から除外されるので、これによって個人使用のために使用されるタスクの動作が禁止される。また、共用資源の以外の他の個人使用資源を制御するデバイスドライバについても終了処理され、そのデバイスの動作も禁止される。これにより、計算機の動作環境は、共用資源についてのみその継続利用が可能な状態となり、それ以外の個人使用資源についての機能は停止される。よって、個人使用を中断している期間については、サーバ機能に必要な機能だけが有効動作されることになり、共有資源を用いたサービス提供を継続した状態で低消費電力化と個人データのセキュリティーを確保することができる。
【0042】
次に、この発明の第3実施形態に係るクライアント・サーバ兼用型計算機11の運用制御方法を説明する。この方法は、前述した第2実施形態の方法にさらに改良を加えたものである。
【0043】
すなわち、現在一般的に使用されているOSの多くは、仮想記憶管理としてページング(または、スワッピング)機構を有し、ページアウトを行う場所としてディスク装置を用いている。したがって、もし共有資源のサービスに必要なプログラムがページアウトする場所として、個人使用資源のディスク装置が使用されている場合などには、ページアウトができない、あるいはその個人使用資源のディスク装置を動作停止できないという問題が発生する。
【0044】
そこで、第3実施形態の方法では、第2実施形態の方法に以下で説明するメモリ操作を追加して、ページングなしで共用資源の継続利用を行えるように改善している。以下、第3実施形態の方法によるメモリ操作について説明する。
【0045】
図8(a)は、個人の使用を終了するときのメモリ111の状態を示している。ここでは、現在OSの上でタスクA,B,C,Dが動作している状態を想定している。タスクAは、共用資源である図1のスキャナ25をサービスするプログラム、タスクCは共用資源である図1のプリンタ24をサービスするプログラム、タスクB,Dは個人で使用しているアプリケーションである。
【0046】
タスクA,Cは共用資源の使用を継続するために個人の使用終了後も動作し続ける必要があるタスクであるのに対し、タスクB,Dは個人の使用が再開されるまで必要がないため、スケジューリングの対象から外される。いま、タスクA,Cは、OSのページング機能により、ページング領域にページアウトされている。これらタスクA,Cがページングの機能を用いずに動作するためには、ページング領域にページアウトされたコードやデータがメモリ111上に常駐する必要がある。
【0047】
図8(b)は、グループ使用資源のサービス継続中におけるメモリ111の状態を示している。
タスクA,Cがメモリ111上に常駐するためには、それらタスクA,Cすべてのコードおよびデータをメモリ111上に存在させるための空き領域をメモリ111上に確保する必要がある。このため、タスクB,Dが使用しているメモリ領域をページング領域に書き出すことで、空き領域の確保が行われ、そこタスクA,Cが割り当てられる。また、タスクA,Cはページアウトの対象となってはならないため、すべてのページはページアウトの対象から外される。
【0048】
図8(c)は、個人使用の再開直後のメモリ111の状態であり、ページング機構の停止を解除した状態を示している。
個人使用が再開されるときは、タスクB,Dが動作する状態に戻る必要がある。タスクの状態はOS内部で管理されているため、ページング対象から外したすべてのページをページングの対象に戻すことのみで、タスクB,Dが動き出した際にそれがメモリ111上にページインされ、図8(a)の状態に戻すことができる。
【0049】
次に、図9のフローチャートを参照して、クライアント・サーバ兼用型計算機11の運用制御処理の手順を説明する。
サーバ用途にも個人用途にも使用されているクライアント・サーバ兼用型計算機11を、個人用途で使用しているユーザが、使用を終了するためのアクションを起こしたとする。このアクションはソフトウェアプログラムによるか、電源スイッチなどのハードウェア的なスイッチ等の操作によるかは問わない。OSにこのアクションが伝わればよい
運用制御プログラムは、OSを通じて個人使用の終了を検知すると(ステップS31)、終了処理を行う(ステップS32)。すなわち、この終了処理では、運用制御プログラムは、提供するサービスに必要のないタスクをスケジューリングから外して、必要のないプログラムが動かないようにする。また、個人使用の資源の電源を切ることと、割り込みハンドラを外すために、必要のない資源に対応するデバイスドライバの終了ルーチンを呼び、対応するデバイスの状態をRUNNINGからSUSPENDに変更する。さらに、提供するサービスに必要のないタスクをページアウトして空きメモリ領域を確保し、提供するサービスに必要なタスクのコードおよびデータをメモリ111上に常駐させる。また、ページングの機構を止めるために、すべてのページをページングの対象から外す。
【0050】
そして、これまで個人用途に使用していたユーザが、サービスを行うのに必要のない資源の電源を落とす。ここで、もしソフトウェアで電源を管理できるものであれば、ユーザはこの処理を行う必要はなく、終了処理の最後で運用制御ブログラムが個人用との資源の電源を切ればよい。
【0051】
この後は、メモリ111で動作可能なプログラムのみによって、共用資源を用いたサービスに必要な処理だけが継続して実行される(ステップS33)。
この後、ユーザが、クライアント・サーバ兼用型計算機11の電源スイッチのオン操作などを行うと、運用制御プログラムは、OSを通じて個人使用の再開を検知し(ステップS34)、再開処理を実行する(ステップS35)。すなわち、この再開処理では、運用制御プログラムは、スケジューリングの対象から外されたタスクを再度スケジューリングの対象にし、また個人使用資源を使用可能状態に戻すためにデバイス初期化ルーチンを呼び出し、対応するデバイス状態をSUSPENDからRUNNINGに変更する。そして、ページングの機構を再開するために、終了処理でページングの対象から外したページを、ページングの対象に戻す。
この方法により、提供するサービスに必要なタスクのページアウトを防止することができ、ディスク装置の電源を切ることなどが可能となる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、個人使用の資源とグループ利用される共用資源とを有するクライアント・サーバ兼用型の計算機についてその個人使用が終了されたときはサーバ機能に必要な機能だけを有効動作させられるようになり、共有資源を用いたサービス提供を継続した状態で低消費電力化と個人データのセキュリティーを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る計算機の運用制御方法が適用されるコンピュータネットワークシステムの構成を示すブロック図。
【図2】同第1実施形態に係る運用制御方法の一連の手順を説明するための図。
【図3】同第1実施形態に係る運用制御方法を使用した場合のメモリ状態の変化の様子を示す図。
【図4】同第1実施形態に係る運用制御方法の手順を説明するフローチャート。
【図5】この発明の第2実施形態に係る運用制御方法の一連の手順を説明するための図。
【図6】同第2実施形態に係る運用制御方法を実現するための運用制御プログラムとOSとデバイスドライバとの関係を示す図。
【図7】同第2実施形態に係る運用制御方法の手順を説明するフローチャート。
【図8】この発明の第3実施形態に係る運用制御方法を使用した場合のメモリ状態の変化の様子を示す図。
【図9】同第3実施形態に係る運用制御方法の手順を説明するフローチャート。
【符号の説明】
10…ネットワーク、11…クライアント・サーバ兼用計算機、12,13…クライアント計算機、21,22…個人使用資源、23,24,25…共用資源。

Claims (3)

  1. ネットワーク上の他の計算機との間で共有される共有資源が接続され、当該共有資源の管理とそれ以外の他の個人使用資源の管理を行うクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法において、
    前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境である個人使用を終了するとき、そのときの前記計算機のメモリの内容をセーブした後に、前記共有資源を使用したサービスを他の計算機に提供するためにのみ必要なプログラムをメモリにロードして、前記計算機の動作環境を、前記共有資源については前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に継続して提供可能で、前記個人使用資源についてはその電源オフが可能な状態に設定し、
    前記計算機の個人使用を再開するとき、前記セーブしたメモリの内容を前記計算機のメモリに再ロードして、前記計算機の動作環境を、前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境に復元することを特徴とするクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法。
  2. ネットワーク上の他の計算機との間で共有される共有資源が接続され、当該共有資源の管理とそれ以外の他の個人使用資源の管理を行うクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法において、
    前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境である個人使用を終了するとき、前記共用資源を使用したサービスを前記他の計算機に対して提供するためのタスク以外の他のタスクをスケジューリング対象から除外すると共に、前記個人使用資源を制御するデバイスドライバを終了して、前記計算機の動作環境を、前記共有資源については前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に継続して提供可能で、前記個人使用資源についてはその電源オフが可能な状態に設定し、
    前記計算機の個人使用を再開するとき、前記スケジューリング対象から除外したタスクをスケジューリング対象に戻すと共に、前記終了させたデバイスドライバを動作可能状態に戻して、前記計算機の動作環境を、前記共有資源を使用したサービスを前記他の計算機に提供可能で且つ前記個人使用資源を利用可能な動作環境に復元することを特徴とするクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法。
  3. 前記計算機の個人使用を終了するとき、前記計算機のメモリに空き領域を確保して、前記共用資源を使用したサービスを前記他の計算機に対して提供するためのタスクのコードおよびデータを前記計算機のメモリに常駐させることを特徴とする請求項2記載のクライアント・サーバ兼用型計算機の運用制御方法。
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