JP3599361B2 - 発泡絶縁電線およびそれを用いたインターフェイス用多芯ケーブル - Google Patents

発泡絶縁電線およびそれを用いたインターフェイス用多芯ケーブル Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は発泡絶縁電線に関し、更に詳しくは、コンピュータに代表される各種の電子機器間を結ぶインターフェイス用多対ケーブルのコアとして有用な発泡絶縁電線とそれに用いたインターフェイス用多芯ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
インターフェイス用多芯ケーブルは、2本の発泡絶縁電線を対にして撚った対撚り線の複数本を撚り合わせた多対構造になっている。そして、それに用いられる発泡絶縁電線は、例えば、所定径の素線を所望本数撚り合わせて成る所定径の導体と、その導体の外周を被覆する所定厚みの発泡絶縁層とを基本構成とする。
【0003】
近年、小型コンピュータの性能向上に伴い、より大容量の信号を伝送することができるインターフェイス用多芯ケーブルの必要度が増大している。この種のケーブルは、当然ながら、例えばCD−ROMやハードディスクなどの各設備を変更することなく使用できることが必要とされている。そのため、現在、ケーブルを含めたインターフェイス装置の規格化が進められつつある。
【0004】
このようなインターフェイス用ケーブルの場合、既存のコネクタや機器との接続上、外径や特性インピーダンスの制約を受けることとなる。そのため、ケーブルに使用する発泡絶縁電線は、従来にない厳しい特性を満たすことが要求されている。
例えば、SCSI用ケーブルに要求される規格について説明する。
【0005】
SCSIは、小型コンピュータと周辺装置または別の小型コンピュータなどを最大8台まで数珠繋ぎする、いわゆるディジーチェンジ方式で接続するSmall Computer System Interface (通常、スカジー)のことをいい、American National Standard Institute(ANSI)で規格化されている。このシステムは、規格に合致したSCSIボードを搭載した装置であれば自由に接続可能であり、かつ従来のようにホストコンピュータがそれぞれの周辺装置用のボードやケーブル類を必要としないため、利便性が高く、現在広く普及しつつある。
【0006】
ところで、1989年3月に前記ANSIは新しい規格SCSI−2規格を制定した。
この規格で要求されるインターフェイス用ケーブルは、導体:28AWG,導体本数:50本(25対),特性インピーダンス:90〜132Ω,伝播遅延時間差(最大値−最小値):0.2ns/mの仕様を満たさなければならず、また、専用コネクタとの接続の点から、ケーブルを構成する発泡絶縁電線の全体の直径は0.86±0.1mmでなければならないとされている。
【0007】
また、このSCSI−2規格に準拠した30AWGサイズの導体を用いたインターフェイス用ケーブルも使用されることはあるが、その場合でも、同様の特性インピーダンス,伝播遅延時間差が要求されるとともに、その発泡絶縁電線の外径は0.70〜0.75mmであることが好ましいとされている。
前記SCSIには、シングルエンドとディファレンシャルの2種類の伝送方式がある。このうち、シングルエンド方式は、ディファレンシャル方式に比べて、耐ノイズ性は劣るもののインターフェイスボード上のドライバー数を半減することができて経済的である。
【0008】
ディファレンシャル方式で必要とされるインターフェイス用ケーブルで前記した規格を満足させるためには、絶縁材料として、実効比誘電率が2.3前後である非発泡の材料を用いてもよい。
しかし、シングルエンド方式の場合は、絶縁材料として上記したような非発泡材料を用いると、特性インピーダンスは60〜70Ωとなり、SCSI−2規格から外れてしまう。そして、特性インピーダンスを増加させるためには、絶縁層の厚みを厚くして電線の外径を大きくすればよいが、このような処置を採ると、電線の外径は28AWGの場合で1.0mm以上,30AWGの場合で0.8mm以上となってしまい、規格に合致したコネクタに接続することが困難になるという問題が生じてくる。
【0009】
したがって、インターフェイス用ケーブルを構成する電線においては、その絶縁体層を発泡体にして実効比誘電率を低めることが必要になる。
例えば、前記した28AWGおよび30AWGの導体を使用した25対多芯ケーブルの場合、理論計算上では、非発泡時の実効比誘電率が2.3の絶縁材料を使用したとすると、実効比誘電率が1.56以下、つまり50%以上の発泡体にして使用することが必要になる。
【0010】
従来から、絶縁層が薄肉である発泡絶縁電線の製造方法に関してはいくつかの先行技術がある。
例えば、特公昭58−11047号公報では、発泡率が55%以上で外周に充実層を設けた発泡絶縁電線が開示されている。また、特開平5−101711号公報では、使用目的はインターフェイス用ケーブルではないが、薄肉の発泡絶縁電線を用いた4対のケーブルが開示されている。しかし、後者の場合、発泡率を50%以上にすると、製造したケーブルでは、発泡絶縁層の潰れや変形などが起こって特性の優れたケーブルにならないということが示唆されている。
【0011】
更に、導体28AWG(7/0.127,外径0.38mm),全体の外径が0.86mmである発泡絶縁電線であって、絶縁層の発泡率を50%以上にした電線に関しては、発泡絶縁層をポリプロピレンで構成するものが特開昭63−56652号公報に、発泡絶縁層をポリオレフィンで構成するものが特開平3−195746号公報に、発泡絶縁層をフッ素樹脂で構成するものが特開平3−97746号公報にそれぞれ開示されている。
【0012】
このように、発泡率を50%以上にする薄肉の発泡絶縁電線は知られているが、しかし、これらの電線は、いずれも、前記したSCSI−2規格を満たすものではないという問題がある。
例えば、発泡率が50%以上の従来の発泡絶縁電線を対撚りや上撚りすると、通常、このときに使用する対撚り機や上撚り機の張力は1〜1.5kg程度であるが、この張力によって発泡絶縁層が圧壊して隣接する発泡絶縁電線の導体間の距離が縮まることにより、特性インピーダンスの大幅な低下が引き起こされてしまう。
【0013】
この発泡絶縁層の圧壊を抑制するために、各設備の張力を小さくすることも考えられるが、例えば張力を500〜800kg程度にまで下げても、SCSI−2の規格を達成することは困難である。なお、張力を更に下げると、均一なピッチのケーブルが製造できなくなる。
また、上記した絶縁層の圧壊は電線の長手方向や径方向で不均一に発生するため、各電線の絶縁層の長手方向や径方向における発泡率にばらつきが生じてくる。したがって、各発泡絶縁電線間における伝播遅延時間差は大きくなり、前記したSCSI−2規格をクリアすることはできなくなる。
【0014】
また、従来の発泡絶縁電線はSCSI−2規格を満足しないだけではなく、これを集束して成るケーブルの端末を自動端末加工機で加工してコネクタに接続しようとする場合、加工端末がコネクタピンから脱落して接続不能になったり、また、絶縁層の座屈や圧壊が起こってケーブル特性の劣化を招くという問題も発生する。
【0015】
このようなことからすると、インターフェイス用ケーブルに用いる発泡絶縁電線の場合は、その絶縁層が当然ながら発泡率50%以上の高発泡率であり、同時に、その絶縁層は適度の機械的強度を確保していて、ケーブル製造時や自動端末加工機による端末加工時に座屈や圧壊などを起こさないような状態にあることが必要であると考えられる。
【0016】
本発明は、上記した考えに基づき、発泡絶縁層に要求される特性を調査研究してなされたものであり、従来の発泡絶縁電線における前記の諸問題を解決することができる発泡絶縁電線とそれを用いたインターフェイス用多芯ケーブルの提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、導体と前記導体を被覆する発泡絶縁層とから成る発泡絶縁電線であって、導体の直径をd(mm),電線全体の直径をd(mm)としたとき、d,dは2.2≦d/d≦2.5,d≦0.95の関係を満たし、また、次式:
ε=(C/24.13)×log(d/d)、 ……(1)
および、次式:
f=(2ε+ε)(ε−ε)×100/3ε(ε−ε) …(2)
(ただし、式中、Cは電線の径方向のキャパシタンス:pF/m,εは空気の実効比誘電率,εは絶縁層材料の実効比誘電率,εは発泡絶縁層の実効比誘電率をそれぞれ表す)
に基づいて定義される前記発泡絶縁層の発泡率(f%)が50%以上であり、かつ、プレッサーフート径9.5mm,アンビル径13mmとするUL−1581の560、1〜560、8(1988年12月1日)で規定された試験機を用いて、電線全体に荷重500gを3分間印加したときの電線全体の荷重印加方向における直径をd(mm)とし、前記荷重を解除したのち1分後における電線全体の荷重印加 向の直径をd(mm)としたとき、次式:
D=d×100/d ……(3)
で定義される常温変形残率(D%)が85%以上であり、また、次式:
R=d×100/d ……(4)
で定義される常温復元率(R%)が92%以上であることを特徴とする発泡絶縁電線が提供され、また、前記発泡絶縁電線の複数本を集束し、その外側に押え巻きテープが巻回され、その外側に、シールド層とジャケットがこの順序で形成されていることを特徴とするインターフェイス用多芯ケーブルが提供される。
【0018】
本発明の発泡絶縁電線は導体を被覆する発泡絶縁層に特徴を有するものであって、全体の基本構成は従来の電線と変わることはない。
まず、本発明の発泡絶縁電線においては、前記したSCSI−2規格を満足させるために、電線全体の直径(d)は0.95mm以下に規定される。そして、このdと導体の直径(d)との間では、2.2≦d/d≦2.5の関係が成立するように、導体と全体の各直径が規定される。
【0019】
したがって、導体の外周に形成される発泡絶縁層の厚みは、電線全体の直径dの27〜30%の厚みになっている。
つぎに、本発明の発泡絶縁電線における発泡絶縁層は、周波数1MHzで測定したときの非発泡状態における実効比誘電率(ε)が2.3前後の絶縁層材料(樹脂)に、アゾシカルボンアミド,4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルのような化学発泡剤を配合して成る樹脂組成物を通常の押出機により加熱下で導体表面に発泡押出被覆して形成したり、または、絶縁層材料を加熱溶融し、そこに、Nガス,炭酸ガス,フルオロカーボンのような樹脂に対して非反応性のガスを吹き込みながら導体表面に押出被覆して形成することができる。
【0020】
上記した実効比誘電率(ε)が2.3より大きい材料を用いると、SCSI−2規格を満足させるためには、発泡率を更に高めることが必要になり、その結果、形成された発泡絶縁層の機械的強度が著しく低下して撚り工程における圧壊や変形が多発して不都合である。
このような絶縁層材料としては、例えば、エチレンプロピレン弾性共重合体1〜15重量%と高密度ポリエチレン10〜30重量%とを含むエチレン−プロピレンブロック共重合体,高密度ポリエチレン,高密度ポリエチレンと中密度ポリエチレンとの混合物,高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合物,フッ素樹脂などを好適なものとしてあげることができる。
【0021】
これらのうち、例えば高密度ポリエチレンとしては、密度が0.940g/cm以上であるものが好ましい。0.940g/cmよりも低密度のポリエチレンを用いると、その融点が低く発泡押出被覆の作業が煩雑になると同時に、形成された発泡絶縁層の機械的強度や耐熱性に難点が生ずるからである。
具体的には、密度0.945g/cm程度の高密度ポリエチレンを単独で用いることが好ましい。また、高密度ポリエチレンに、中密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンの所定量を混合しても、その混合物の密度が0.940g/cm以上であれば、絶縁層の材料として使用することもできる。
【0022】
なお、ポリエチレン系発泡体で絶縁層を形成した場合は、その発泡ポリエチレン層に、例えば、電子線などの放射線を照射してポリエチレンを架橋させると、絶縁層としての耐熱性も向上し、コネクタと接続するときに半田付けが可能となるので好適である。
また、このようにして形成された発泡絶縁層は、発泡体になっている部分を被覆して無発泡の充実層が形成されていてもよい。このような充実層が形成されていると、発泡絶縁電線の対撚り時や、多芯ケーブルへの加工時に発泡絶縁層が損傷することを抑制できるので好適である。充実層の構成材料としては格別限定されるものではないが、例えば高密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0023】
本発明の電線でいう絶縁層の発泡率とは、前記した(1)式と(2)式に基づいて算出されたf(%)値として定義される。
すなわち、例えばマイクロメータで導体の直径d,光学式外径測定器または機械式のダイヤルゲージなどで電線全体の直径dを測定し、また、電線の径方向におけるキャパシタンスCを測定し、これらの測定値を(1)式に代入して、発泡絶縁層の実効比誘電率εが算出される。
【0024】
そして、この算出値εと、発泡絶縁層を構成している材料の非発泡状態における実効比誘電率εと、空気の実効比誘電率εとを(2)式に代入し、発泡率であるf値が算出される。
本発明の電線においては、上記f値が50%以上の値となるように、押出被覆作業時における条件が設定される。
【0025】
発泡率fが50%より低い発泡率の発泡絶縁電線の場合は、それを集束して成るケーブルの特性インピーダンスが低下する。これを防止するためには、外径を大きくせざるを得ず、実用的でなくなる。
しかし、この発泡率fが過度に大きくなると、機械的強度が低下して後述する常温変形残率や常温復元率の両特性に悪影響を与えるので、発泡率fは50〜60%の範囲内に制御することが好ましい。
【0026】
つぎに、本発明の電線は、前記した式(3)からの算出値として定義される常温変形残率:D(%)値が85%以上,式(4)からの算出値として定義される常温復元率:R(%)値が92%以上であることを特徴とする。
上記した式(3),式(4)におけるd,dの値は、いずれも、UL−1581の560、1〜560、6(1988年12月1日)で規定する方法に準拠して測定される。その方法を以下に説明する。
【0027】
,dの測定は、UL−1581規格の560、1〜560、6(1988年12月1日)に準拠した加熱変形試験機を利用して行われる。その測定装置の概略を図1に示す。
この装置では、測定対象の電線1を載せるためのアンビル(anvil)2とそれに対向して配置されるプレッサーフート(presser foot)3とから成り、プレッサーフート3の途中には荷重台4が、また上部には水平板5がそれぞれ一体に取り付けられていて、全体は水平板5に取り付けられたワイヤ6,6で吊設されている。
【0028】
そして、ワイヤ6,6は固定ローラ7,7,7,7を通ってその他端が水平板8に取り付けられ、またプレッサーフート3上部の水平板5の上面には、ダイヤルゲージ9が配置されている。
したがって、この装置においては、荷重4がない状態で、水平板8の上にプレッサーフート3と荷重4の重量和にほぼ等しい重量の荷重10を載せることにより、電線1に加わる荷重をほぼゼロにすることができる。
【0029】
,dの測定に当たっては、まず、図1の装置において、アンビル2の直径を13mm,プレッサーフート3の下端面3aの直径を9.5mmに設定し、かつ全体を常温の雰囲気下に置く。
ついで、アンビル2に測定対象の電線を載せることなく、プレッサーフート3の下端面3aをアンビル2に接触させ、この状態でダイヤルゲージ9の指示目盛りを0に設定する。
【0030】
ついで、水平板8の上の荷重10の重量を調節して、プレッサーフート3が宙に浮く(アンビル2に加わるプレッサーフート3の荷重が0になる)ように調節する。
この状態で、アンビル2の上に測定対象の電線1を置いたのちプレッサーフート3を下降させる。ダイヤルゲージ9のスプリングによる押圧力は約85gであるため、この押圧力によりプレッサーフート3は下降して、図2で示したように、その下端面3aは電線1の発泡絶縁層1aと接触する。このときのダイヤルゲージ9の目盛りを読んで電線1の直径dを測定する。
【0031】
ついで、荷重台4に500gの荷重を載せる。プレッサーフート3の自重は水平板8上の荷重10でキャンセルされているので、電線の絶縁層1aにはプレッサーフート3の下端面3aから500gの荷重だけがそのまま印加され、図3で示したように、絶縁層1aは荷重の印加方向に押されてその方向の直径は図2の直径dよりも小さくなる。そして、その値はダイヤルゲージ9の目盛りで読み取られる。
【0032】
荷重500gを3分間印加し続け、3分後の上記荷重印加方向における直径をダイヤルゲージ9で読み取り、その値をd(mm) とする。
測定されたd,dを式(3)に代入し、本発明で定義する常温変形残率D(%)が算出される。
つぎに、dを測定するためには、図3の状態において荷重台から500gの荷重を取り除く。プレッサーフート3の自重は荷重10でキャンセルされているので、電線の絶縁層1aに対しては無荷重状態が発現する。
【0033】
その結果、絶縁層1aは自らの復元力によって、図4で示したように、その径を徐々に復元する。そして、その値はダイヤルゲージ9の目盛りで読み取られる。
荷重500gを解除してから1分間経過したのち、荷重印加方向における復元した直径をダイヤルゲージ9で読み取り、その値をd(mm)として測定する。
【0034】
このようにして測定されたdおよび予め図2のようにして測定されたdを式(4)に代入し、本発明で定義する常温復元率R(%)が算出される。
本発明の電線においては、上記した常温変形残率が85%以上,かつ上記した常温復元率が92%以上のいずれかまたは両方を満足しない場合には、その電線を集束してケーブルにする過程で絶縁層の圧壊が発生したり、自動端末加工機による端末加工時に絶縁層の圧壊や座屈が発生したりして、得られたケーブルの特性劣化が引き起こされる。更には、自動端末加工機を用いたコネクタ付けの際に、圧壊や座屈した絶縁層が元の外径に復元しないので、圧接ピンからの脱落などが発生する。
【0035】
次に、本発明のインターフェイス用多芯ケーブルは、上記した発泡絶縁電線を対撚り線とし、この対撚り線の複数本を更に撚り合わせて製造される。
すなわち、SCSI−2規格のインターフェイス用多芯ケーブルの断面構造を表す図5で示したように、2本の発泡絶縁電線を撚り合わせた対撚り線11の複数本(図では25本)を撚り合わせて多対撚線とし、その周囲を後述する押え巻きテープAで押え巻きし、更にその外側にアルミ−ポリエチレンテレフタレートのラミネートテープBをラップ巻きし、その上に、例えばすずめっき線の編組Cでシールド層を形成したのち、全体に例えばポリ塩化ビニルのジャケットDを押出被覆して製造される。
【0036】
このとき、押さえ巻きテープAとしては、次のようなものを用いることが好ましい。
すなわち、テープを構成して材料(樹脂)の比重とテープの厚みとから計算上算出される単位重量をGとし、そのテープの実測によって測定された単位重量をGとしたとき、次式:f=[1−(G/G)]×100から算出される発泡率f(%)が、30%以上であるものを用いる。好ましくはfが80〜90%のものを用いる。
【0037】
具体的には、fが上記値であり、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルなどから成る多孔質シート,不織布,発泡シートなどをあげることができる。
値が30%未満のテープを用いる場合、ケーブルの特性インピーダンスを90Ω以上にしようとすると、テープの厚みを500μm以上にしなければならなくなる。しかしながら、このような厚いテープを巻回するためには1kg以上の張力が必要であり、その結果、発泡絶縁層の圧壊や変形などが発生してしまう。
【0038】
値が30%以上のテープを使用すると、発泡絶縁電線とテープの上に位置するシールド層との実効比誘電率は低下し、そのことによって、コアの最外層を構成する発泡絶縁電線の特性インピーダンスの低下が防止できるとともに、前記した絶縁層の圧壊等の防止が可能となる。
このようにして製造された本発明の多芯ケーブルは、特性インピーダンスは90Ω以上,伝播遅延時間差は0.2ns/m以下であり、ANSIが提唱するSCSI−2規格を満足することができる。
【0039】
【発明の実施例】
実施例1〜4,比較例1〜5
表1に示した各種の樹脂を表示の撚線導体の上に、フロン22を用いて発泡押出被覆して発泡絶縁層を形成した。
得られた各電線につき、その絶縁層の発泡率f(%),常温変形残率D(%),常温復元率R(%)をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0040】
なお、比較例5を除いた発泡絶縁電線は、いずれも、それらの発泡絶縁層は、用いた樹脂から成り、厚みが約50μmの充実層を最外層として有しているものである。
つぎに、これらの各電線を用いて図5で示したような構造の25対ケーブルを製造した。
【0041】
すなわち、発泡絶縁電線を対撚りし、これら対撚り線を、中心に3対,一層に8対,最外層に14対で上撚りし、更にその上に表1で示した押え巻きテープをラップ率1/4でラップ巻きしたのち、その上に、厚み9μmのアルミ箔と厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートしたテープをラップ巻き1/3でラップ巻きし、更に、その上に、線径12mmのすずめっき軟銅線を用いて編組密度80%の編組でシールド層を形成し、最後に、全体を厚み770μmのポリ塩化ビニルのジャケットで被覆した。このとき、対撚りおよび上撚り時における張力は極力小さくし、約500〜1000gとした。
【0042】
得られた各ケーブルにつき、特性インピーダンス,伝播遅延時間差を測定した。また、各ケーブルの50本を自動端末加工機を用いてコネクタに取り付けて電線の加工性を評価した。すなわち、1本でもコネクタに接続されていない状態が発生した場合を不良,全てが接続された状態になったものを良として判定した。以上の結果を一括して表1に示した。
【0043】
【表1】
Figure 0003599361
表1から明らかなように、本発明で規定した常温変形残率と常温復元率を満足する電線とそれを用いたケーブルは、絶縁発泡層の形成した樹脂の種類に関係なく、SCSI−2規格を合格している。
実施例5、比較例6,7
実施例1の発泡絶縁電線を用いて、実施例の場合と同じようにして25対ケーブルを製造した。このとき、押え巻きテープとしては、表2に示したものを用いた。得られたケーブルにつき、その特性を測定した。結果を表2に示した。
【0044】
【表2】
Figure 0003599361
表2から明らかなように、従来から使用されているテープをコアの押え巻きに使用すると、用いた発泡絶縁電線が優れたものであっても、得られたケーブルの特性インピーダンスの一部に規格外れが発生している。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の発泡絶縁電線を用いて製造した多芯ケーブルは、TDR(Time Domain Reflectometory)を用いた不平衡法で測定した各対の特性インピーダンスと伝播遅延時間差がANSIの提唱するSCSI−2規格を満足するため、信号伝送用のケーブルとして有用である。
【0046】
このことは、本発明の発泡絶縁電線は、その発泡絶縁層の発泡率が50%以上で、しかも常温変形残率は85%以上,常温復元率は92%以上であることがもたらす効果であり、また、多芯ケーブル製造時に、押え巻きテープとして発泡率30%以上のものを用いたことがもたらす効果である。
すなわち、本発明の発泡絶縁電線の絶縁層は高発泡率であると同時に機械的強度にも優れているので、柔軟性,屈曲性,耐圧壊性が良好であるからである。このことは、自動端末加工機を使用するコネクタ付けも良好に行うことができることを意味する。
【0047】
なお、本発明の発泡絶縁電線に関しては、ANSIで規格化されたSCSI−2用インターフェイスケーブルを例にして説明したが、本発明の電線は、このSCSI用ケーブルに限定されるものではなく、発泡率が50%以上の絶縁電線を使用する多芯ケーブルにとっても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡率,常温変形残率,常温復元率を測定するときに用いる装置例を示す概略図である。
【図2】電線全体のd値の測定を説明するための概略図である。
【図3】電線全体のd値の測定を説明するための概略図である。
【図4】電線全体のd値の測定を説明するための概略図である。
【図5】インターフェイス用多芯ケーブルの断面構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 発泡絶縁電線
1a 発泡絶縁層
2 アンビル
3 プレッサーフート
3a プレッサーフート3の下端面
4 荷重台
5 水平板
6 ワイヤ
7 固定ローラ
8 水平板
9 ダイヤルゲージ
10 荷重
11 対撚り線
A 押え巻きテープ
B ラミネートテープ
C 編組(シールド層)
D ポリ塩化ビニルシース(ジャケット)

Claims (4)

  1. 導体と前記導体を被覆する発泡絶縁層とから成る発泡絶縁電線であって、
    導体の直径をd(mm),電線全体の直径をd(mm)としたとき、d,dは2.2≦d/d≦2.5,d≦0.95の関係を満たし、また、次式:
    ε=(C/24.13)×log(d/d)、
    および、次式:
    f(%)=(2ε+ε)(ε−ε)×100/3ε(ε−ε
    (ただし、式中、Cは電線の径方向のキャパシタンス:pF/m,εは空気の実効比誘電率,εは絶縁層材料の実効比誘電率,εは発泡絶縁層の実効比誘電率をそれぞれ表す)
    に基づいて定義される前記発泡絶縁層の発泡率(f%)が50%以上であり、かつ、
    プレッサーフート径9.5mm,アンビル径13mmとするUL−1581の560、1〜560、8(1988年12月1日)で規定された試験機を用いて、電線全体に荷重500gを3分間印加したときの電線全体の荷重印加方向における直径をd(mm)とし、前記荷重を解除したのち1分後における電線全体の荷重印加方向の直径をd(mm)としたとき、
    次式:D=d×100/d
    で定義される常温変形残率(D%)が85%以上であり、また、
    次式:R=d×100/d
    で定義される常温復元率(R%)が92%以上であることを特徴とする発泡絶縁電線。
  2. 前記発泡絶縁層がその外側に充実層を有している請求項1の発泡絶縁電線。
  3. 請求項1または請求項2の発泡絶縁電線の複数本を集束し、その外側に押え巻きテープが巻回され、その外側に、シールド層とジャケットがこの順序で形成されていることを特徴とするインターフェイス用多芯ケーブル。
  4. 前記押え巻きテープが、次式:
    (%)=[1−(G/G)]×100
    (式中、Gは、使用テープ構成材料の比重と厚みから計算した単位重量,Gは、使用テープの実際の単位重量を表す)
    で定義される発泡率(f%)が30%以上である、発泡シート,多孔質シートまたは不織布のいずれかである請求項3のインターフェイス用多芯ケーブル。
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