JP2024043049A - 屋外用通信ケーブル - Google Patents
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Abstract
Description
このような通信ケーブルとして、各種構造のケーブルが開発されており、例えば、複数本の絶縁電線を含むケーブル心の外側に、内被層、遮蔽層、および外被層を順に積層した構造の通信ケーブル等も実用化されている(特許文献1)。
そこで、例えば上記特許文献1に記載されているような通信ケーブルの外被の厚みを単純に厚くすることが考えられる。しかしながら、屋外用の通信ケーブルには、高い耐久性だけでなく、持ち運びや長さ調整のため、リールに巻き取ったり、リールから引き出したりする性能も求められる。そして、上述のように、屋内用の通信ケーブルの外被の厚みを厚くしただけでは、リールへの巻き取りやリールからの引き出し時に不具合が生じやすかった。また、このような通信ケーブルでは、従来使用されている通信ケーブルと径が異なるため、一般的なコネクタに接続し難い、という課題もあった。
したがって本発明の主な目的は、屋外用の規格を満たしつつ、リールへの巻き取りやリールからの引き出しを容易に行うことが可能な屋外用通信ケーブルの提供を目的とする。
絶縁電線を2本撚り合わせた対撚線を複数含むケーブル心と、
前記ケーブル心の外周を被覆する第1外被層と、
前記第1外被層に隣接して配置され、前記第1外被層の外周を被覆する第2外被層と、
を有し、
各前記絶縁電線が、複数の素線を撚り合わせた撚線導体と、前記撚線導体の外周を被覆する絶縁体とを含み、
前記第2外被層のショア硬度が、前記第1外被層のショア硬度より高い、
屋外用通信ケーブルが提供される。
各対撚線8は図3に示すように、複数本(ここでは2本)を一定方向(図3ではBで示す方向)に絶縁電線6を撚り合わせた構成を有している。また、絶縁電線6は、図1に示すように、導体2を絶縁体4で被覆した構造を有している。導体2は図2に示すように複数本(ここでは30本)の軟銅線(素線2a)から構成されており、絶縁体4はポリエチレン樹脂から構成されている。また、導体2は、例えば図2に示すように、複数の素線2aを撚り合わせただけの非圧縮導体であってもよく、複数の素線2aを撚り合わせた後、所望の形状に圧縮した圧縮導体であってもよい。
十字介在9はポリエチレン樹脂から構成されている。十字介在9は通信ケーブル1の長さ方向に延在しており、対撚線8同士を非接触状態で分離している。十字介在9は通信ケーブル1の長さ方向に沿って撚られており、それに伴い対撚線8同士も十字介在9に分離されながら撚られている。
押巻き20が高密度ポリエチレンテープで構成される場合、高密度ポリエチレンテープの巻き方は特に制限されず、例えばケーブル心10の長さ方向に沿って横巻きされる。本明細書において「横巻き」とは、長尺なテープをケーブル心10の長さ方向に沿ってらせん状に巻き付ける意であって、テープの側縁部を先に巻き付けたテープに重ねながら巻き付ける、という意である。高密度ポリエチレンテープの厚みや枚数は、本実施形態の目的および効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。
一方、押巻き20がケーブル心10の周囲に配置された押出被覆層で構成される場合は、当該押巻き20はポリエチレンを押出被覆した層であればよく、押出被覆層の厚みは、0.2mm以上0.4mm以下が好ましい。押出被覆層を形成すると、ケーブル心10と後述の遮蔽テープとの距離が一定になりやすく、通信ケーブル1の高周波電気特性等が良好になりやすい。当該押出被覆層のJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に準拠して圧子タイプDを用いて測定される、ショア硬度(ショアD硬度)は、32以上38以下が好ましい。押出被覆層が当該ショアD硬度を有すると、通信ケーブル1の屈曲特性が良好になる。
なお、本明細書では、上記デュロメータ硬さ試験方法において、タイプAの圧子を用いた場合のショア硬度を「ショアA硬度」または「HDA」と表し、タイプDの圧子を用いた場合のショア硬度を「ショアD硬度」または「HDD」と表す。
第1外被層40および第2外被層50の材料は、通信ケーブル1の用途や使用環境に応じて適宜選択され、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン等から選択される。また、第1外被層40の材料および第2外被層50の材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。第1外被層40および第2外被層50の種類は、各層の所望の硬さに応じて適宜選択される。
具体的には、第1外被層40のショア硬度および第2外被層50のショア硬度を比較したとき、第2外被層50のショア硬度のほうが高くなるように、それぞれの材料が選択される。第1外被層40のショア硬度および第2外被層50のショア硬度は、通信ケーブル1の第2外被層50および第1外被層40に相当するシートをそれぞれ準備し、これらを上述のJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に準拠して測定することで特定される。第1外被層40のショア硬度および第2外被層50のショア硬度の差(第2外被層50のショア硬度-第1外被層40のショア硬度)は、通信ケーブル1の所望の性能に応じて適宜選択される。例えば、第1外被層40のショア硬度および第2外被層50のショア硬度を、いずれもタイプAの圧子を使用して測定する場合、ショアA硬度の差は、10以上30以下が好ましく、15以上25以下がより好ましい。ショアA硬度の差が上記範囲であると、第1外被層40および第2外被層50の硬さがそれぞれ適度な範囲に収まりやすくなる。第1外被層40の具体的なショアA硬度は60以上80以下が好ましく、65以上75以下がより好ましい。第1外被層40のショアA硬度が当該範囲であると、通信ケーブル1をリールに巻き取ったりリールから引き出したりしたときに、よりキンクが生じ難くなる。一方、第2外被層50のショアA硬度は、第1外被層40のショアA硬度より高ければよく具体的には、80以上100以下が好ましく、85以上95以下がより好ましい。第2外被層50のショアA硬度が当該範囲であると、さらに通信ケーブル1をリールに巻き取ったりリールから引き出したりしやすくなる。
第1外被層40および第2外被層50の形成方法は特に制限されず、公知の押出法で形成できる。
(1.1)サンプル1(比較例1)
導体を外径0.565mmの単線とした。また、絶縁体の樹脂として高密度ポリエチレンを準備し、これを押出機のダイスから押し出して導体を絶縁体で被覆して絶縁電線を得た。
その後、絶縁電線を2本撚り合わせて対撚線を形成した。続いて、十字介在を準備し、4対の対撚線を十字介在に沿わせてケーブル心を構成し、当該ケーブル心を所定のピッチで撚った。
続いて、押巻きとして不織布を準備し、ケーブル心に横巻きした。
さらに、遮蔽層として、遮蔽テープを準備してこれを押巻きに横巻きし、さらに外径0.1mmのスズメッキ軟銅線を編組した。
外被層の樹脂としてポリエチレンを準備し、これを押出機のダイスから押し出して遮蔽層の周囲に厚み1.5mmの外被層を形成した。
これとは別に外被層に相当するシートを準備し、そのショア硬度をJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に準拠して測定したところ、ショアD硬度(HDD)40であった。
外被層の材料をポリ塩化ビニルに変更した以外は、比較例1と同様に遮蔽層の周囲に厚み1.5mmの外被層を形成した。
これとは別に外被層に相当するシートを準備し、そのショア硬度をJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に準拠して測定したところ、ショアA硬度(HDA)70であった。
外径0.08mmの軟銅線(素線)を30本、所定の方向に撚り合わせた撚線導体を準備した。高密度ポリエチレンを準備し、これを押出機のダイスから押し出して撚線導体を絶縁体で被覆して絶縁電線を得た。
その後、絶縁電線を2本撚り合わせて対撚線を形成した。続いて、十字介在を準備し、4対の対撚線を十字介在に沿わせてケーブル心を構成し、当該ケーブル心を所定のピッチで撚った。
さらに、内被層としてポリエチレンを準備し、これを押出機のダイスから押し出してケーブル心の周囲に厚み0.3mmの内被層を形成した。
続いて、遮蔽層として、遮蔽テープを準備してこれを内被層に横巻きし、さらに外径0.1mmのスズメッキ軟銅線を編組した。
さらに、第1外被層の樹脂としてポリ塩化ビニルを準備し、これを押出機のダイスから押し出して遮蔽層の周囲に厚み0.5mmの第1外被層を形成した。
その後、第2外被層の樹脂としてポリ塩化ビニルを準備し、これを押出機のダイスから押し出して第1外被層の周囲に厚み1.0mmの第2外被層を形成した。
これとは別に第1外被層および第2外被層に相当するシートをそれぞれ準備し、そのショア硬度をJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に準拠して測定した。その結果、第1外被層のショアA硬度(HDA)は70であり、第2外被層のショアA硬度(HDA)は90であった。
ケーブル心から遮蔽層までをサンプル3と同様に作製した以外は、サンプル2と同様にケーブルを作製した。
(2.1)取り扱い性試験
長さ50m程度の各サンプル(通信ケーブル)を市販のLAN用のリールに巻き取り、以下の基準で評価した。
〇:偏りやキンクが生じずに、均一に巻き取ることが可能であった
△:キンクは生じなかったが、均一に巻き取ることができず、偏りが生じた
×:偏りは生じなかったが、キンクが生じた
各サンプルを、RJ-45のコネクタに接続し、接続可能であったか否かを判断した。なお、サンプル3は、第2外被層を除去して上記コネクタと接続した。一方、他のサンプルについては、外被層を除去することなく、コネクタと接続した。
〇:通常の手順でコネクタに取付可能であった
×:通常の手順では、コネクタに取り付けられない、もしくは取り付けられても不安定であった
各サンプルの屈曲特性について、以下の3つの試験を行った。そして、以下の基準で評価した。
〇:3つの試験全てにおいて合格
△:3つの試験のうち、1つまたは2つが合格
×:3つの試験全てにおいて不合格
左右屈曲試験の方法を図4に示す。まず、各サンプル(通信ケーブル1)の端部側を、屈曲試験装置の一対のマンドレル111(直径50mm、R25)、および一対のブレ止め112の間に挟み込み、端部に500gの錘113を取り付けた。一対のマンドレル111によって把持された部分を支点として、サンプルを左右に90°ずつ、60往復/分のスピードで屈曲させた。そして、少なくとも1本の導体が断線するまでの回数を確認した。結果は以下のように評価した。
合格:10万回以上の屈曲でも断線なし
不合格:10万回未満の屈曲で断線あり
U字ベンド試験の方法を図5に示す。まず、サンプル(通信ケーブル1)の一端を固定部211によって固定するとともに、当該サンプルをU字状(曲げ半径50mm)に曲げた。そして、サンプルの他端を、サンプルの長さ方向に平行に、ストローク500mmで往復運動させた。速度は60往復/分とした。そして、少なくとも1本の導体が断線するまでの回数を確認した。
合格:200万回以上の往復でも断線なし
不合格:200万回未満の往復で断線あり
捻回試験の方法を図6に示す。サンプル(通信ケーブル1)の一端側を捻回試験装置の固定部312に固定し、端部に500gの錘313をつけた。一方、サンプルの他端側を捻回試験装置の捻回部311に保持させた。そして、当該捻回部311を左右に±200°ずつ回転させ、サンプルを捻回させた。固定部312と捻回部311との距離は500mmとし、速度は60往復/分とした。そして、少なくとも1本の導体が断線するまでの回数を確認した。
合格:50万回以上の往復でも断線なし
不合格:50万回未満の往復で断線あり
各サンプルを100m準備し、それらについて、汎用のLANケーブル自動測定機器を用いて、反射減衰量(RL)、挿入損失(IL)および近端漏話減衰量(NEXT)などを測定した。
各サンプル(ケーブル)について、上述の取り扱い性、加工性、屈曲特性の3つの試験の結果に基づき、以下のように評価を行った。
〇:3つの試験全てにおいて合格
△:3つの試験のうち、1つまたは2つが合格
×:3つの試験全てにおいて不合格
上記表1に示すとおり、絶縁電線が撚線導体を含み、外被が2層構造であり、外側の第2外被層のショア硬度が、内側の第1外被層のショア硬度より高い通信ケーブル(サンプルNo.3)では、取り扱い性、加工性、および屈曲特性の全てが、良好な結果であった。第1外被層の適度な柔軟性によってキンクが生じ難く、比較的硬い第2外被層によって、リールに巻き付けやすくなったため、取り扱い性評価が〇であったと考えられる。さらに、外被が2層構造であり、コネクタの取付け時に、第2外被層のみを除去して、接続できたことから、加工性が良好であった。また、絶縁電線が撚線導体を含むため、絶縁電線の強度が高まり、屈曲特性が非常に優れていたと考えられる。
なお、当該実施例のケーブル(サンプル3)では、電気特性(RL、IL、およびNEXT)のいずれについても、規格値を満たしていた。その他のケーブル(サンプル1、2、4)もサンプル3同様の規格値を有していた。
2 導体
2a 素線
4 絶縁体
6 絶縁電線
8 対撚線
9 十字介在
10 ケーブル心
20 押巻き
30 遮蔽層
40 第1外被層
50 第2外被層
111 マンドレル
112 ブレ止め
113 錘
211 固定部
311 捻回部
312 固定部
313 錘
Claims (2)
- 絶縁電線を2本撚り合わせた対撚線を複数含むケーブル心と、
前記ケーブル心の外周を被覆する第1外被層と、
前記第1外被層に隣接して配置され、前記第1外被層の外周を被覆する第2外被層と、
を有し、
各前記絶縁電線が、複数の素線を撚り合わせた撚線導体と、前記撚線導体の外周を被覆する絶縁体とを含み、
前記第2外被層のショア硬度が、前記第1外被層のショア硬度より高い、
屋外用通信ケーブル。 - 請求項1に記載の屋外用通信ケーブルであって、
前記第1外被層のショアA硬度が60以上80以下であり、
前記第2外被層のショアA硬度が80以上100以下である、
屋外用通信ケーブル。
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