JP3594970B2 - 歯科用組成物および方法 - Google Patents
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Description
ガラスイオノマーが、エー.ウイルソン(A.Wilson)の米国特許5,079,277及び4,758,612に記載されている。従来技術のガラスイオノマー組成物は、ポリアクリル酸のようなポリアルケン酸重合体とポリアクリル酸と反応するためのカチオン源を与える溶出性ガラスとの組合せである。従来技術のガラスイオノマーは、高応力用ではもろく、弱く、また水から保護しなければ水分の存在では不十分に硬化する。従来技術の穴及び欠損材料は、歯に本質的に接着しない重合性疎水性樹脂を含んでいる。それらは、酸エッチングにより生じた微小機械的添窩を湿潤することにより接着される。それらは、その場で硬化して、虫歯を減らすために細菌によるコロニーの形成から歯を保護するが、使用が困難なために、この価値ある結果を達成するのに広く使用されていない。それらは、歯を洗浄し、酸エッチングし、洗い、乾燥し、ゴムダムにより隔離して、乾燥を維持し、唾液による汚染を避け、適当な結果を達成することを必要とする。その操作は、患者にとって苦痛であり、歯科医にとっては労力を要する。本発明は、別の酸エッチング工程なしで歯に適用される穴及び欠損密封材組成物を提供する。
オリビエラ(olivier)の米国特許3,234,181は、融解製造可能な末端封鎖芳香族ポリイミドを開示している。
ロナリニ(Lonerini)の米国特許3,407,176は、二無水物の混合物からのポリアミド酸及びポリイミドを開示している。
ガール(Gall)の米国特許3,422,061は、ポリカルボン酸芳香族二無水物及びフエニレンジアミンからの合着性ポリイミド粉末を開示している。
アンゲロ(Angelo)の米国特許3,424,718は、芳香族テトラカルボン酸と少なくとも2種の有機ジアミンとの共重合体を開示している。
ロジャーズ(Rogers)の米国特許3,959,350は、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフエニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物の融解可能な線状ポリイミドを開示している。
マドセン(Madsen)の米国特許4,322,207は、歯科用洗浄スラリーを開示している。
ビード(Beed)等の米国特許4,324,591は、、イオン浸出性セメント組成物用の変性剤を開示している。
ギブス(Gibbs)の米国特許4,336,175は、ポリイミド前駆物質溶液を開示している。
シュミット(Schmitt)等の米国特許4,372,836は、フッ化カルシウム顔料を有する光硬化性アクリル歯科用組成物を開示している。
スミス(Smyth)の米国特許4,401,773は、高度に反応性のイオン浸出性ガラスを開示している。
デニヤー(Denyer)等の米国特許4,457,818は、ウレタンアクリラート、ジアクリルエステル単量体、ショウノウキノン及びジメチルアミノエチルメタクリラートからの歯科用組成物を開示している。
ラットクリフ(Ratcliffe)等の米国特許4,459,193は、ショウノウキノン及び触媒としての有機過酸化物を含む歯科用組成物を開示している。
デントン ジュニア(Denton Jr.)等の米国特許4,492,777は、熱処理したバリウム又はストロンチウムガラスを開示している。
ボーエン(Bowen)の米国特許4,514,527は、ぞうげ質、エナメル質及び他の基質に対し、複合体の強い接着結合を得る方法を開示している。
マーチン(Martin)の米国特許4,525,256は、ジケトン及び4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸又はそのエステルからなる触媒を含む光重合性組成物を開示している。
ボーエン(Bowen)の米国特許4,588,756は、ぞうげ質、エナメル質及び他の基質に対し複合体の強い接着結合を得る多工程法を開示している。
ラットクリフ(Ratcliffe)等の米国特許4,602,076は、光重合性組成物を開示している。
ペーターズ(Peters)の米国特許4,612,361は、ポリエーテルイミド及びそれを含む組成物を開示している。
ブラックエル(Blackwell)等の米国特許4,657,941は、リン接着助触媒及びスルフィン酸促進剤を含む生物学的に適合性の接着剤を開示している。
ボーエン(Bowen)の米国特許4,659,751は、ぞうげ質、エナメル質及び他の基質に対し複合体の強い接着結合を得る単純化した方法を開示している。
ギャラグハー(Gallagher)等の米国特許4,680,373は、ポリイミド繰返し単位及びポリエーテルイミド繰返し単位を含むランダム共重合体の製造方法を開示している。
アーセン(Aasen)等の米国特許4,719,149は、硬組織の下塗り法を開示している。
ベルダール(Berdahl)等の米国特許4,794,157は、ポリエーテルイミド共重合体及びその製造方法を開示している。
エンゲルブレヒト(Engelbrecht)等の米国特許4,806,381は、酸及び酸誘導体を含む重合性化合物、それを含む混合物及びその使用を開示している。
ブラックエル(Blackwell)等の米国特許4,816,495は、生物学的に適合性の接着性可視光硬化性組成物を開示している。
カーラ(Calla)等の米国特許4,864,015は、チアンスレン二無水物の製法及びそれから得られるポリイミドを開示している。
エンゲルブレヒト(Engelbrecht)の米国特許4,872,936は、酸基及び(又は)その反応性酸誘導体基を含む重合性不飽和単量体及び(又は)オリゴマー及び(又は)プレポリマーを含む歯科用セメント混合物を教示している。
アーセン(Aasen)等の米国特許4,880,660は、硬組織の下塗り法を開示している。
カワグチ(Kawaguchi)等の米国特許4,918,136は、接着剤組成物を開示している。
イブセン(Ibsen)等の米国特許4,964,911は、特に歯科学におけるアクリル樹脂の接着結合を開示している。
ハング(Huang)等の米国特許4,966,934は、リン接着助触媒及び促進剤を含む生物学的に適合性の接着剤を開示している。
ヒラサワ(Hirasawa)等の米国特許4,985,198は、歯接着剤化合物を開示している。
オカダ(Okada)等の米国特許5,055,497は、硬化性樹脂状組成物を開示している。
アカハネ(Akahane)等の米国特許5,063,257は、歯科用ガラスイオノマーセグメント組成物を開示している。
ウイルソン(wilson)等の米国特許5,079,277は、ポリビニルホスホン酸及び金属酸化物又はサーメット又はガラスイオノマーセメントを開示している。
ミトラ(Mitra)の米国特許5,130,347は、光硬化性イオノマーセメント系を開示している。
ミトラ(Mitra)等の米国特許5,154,762は、普遍的水基剤の医用及び歯科用セメントを開示している。
オーノ(Ohno)等の米国特許5,171,763は、硬化性組成物を開示している。
ランボセック(Rambosek)のカナダ特許873,935は、ケイ酸アルミニウムリチウム重合体歯科用充填組成物を開示している。
ロッシー(Rossi)のカナダ特許934,085は、改良された研磨性の歯科用修復材料を開示している。
スポール(Spoor)のカナダ特許968,741は、イオン化放射線での硬化によるコーティングの製造を開示している。
ナイト(Knight)のカナダ特許969,299は、ビニル末端ポリウレタンプレポリマーから製造した樹脂を開示している。
ワーラー(Waller)のカナダ特許983,190は、光重合性アクリル歯科用生成物を開示している。
リー(Lee)等のカナダ特許1,018,294は、歯科用充填パッケージを開示している。
オサリバン(O'Sullivan)のカナダ特許1,020,387は、ウレタン−アクリラート歯科用充填組成物を開示している。
ロケット(Rockett)等のカナダ特許1,028,441は、3包装歯科用修復系を開示している。
ロレンツ(Lorenz)のカナダ特許1,117,242は、N−ビニル−2−ピロリドン及びオリゴマーからなるコーテイング組成物を開示している。
オズボーン(Osborn)のカナダ特許1,1361,388は、放射線硬化性ウレタン組成物を開示している。
デービス(Davies)等のカナダ特許1,136,796は、光重合性組成物を開示している。
スクデルニー(Skudelny)等のカナダ特許1,154,895は、合成ケイ酸カルシウムの流動性混合物及びその使用を開示している。
シャエファー(Schaefer)のカナダ特許1,159,984は、プラスチック材料床を有する歯科用材料を開示している。
ムンク(Munk)のカナダ特許1,164,124は、注ぐことのできる固体混合物を開示している。
チェブルックス(Chevreux)等のカナダ特許1,176,787は、光硬化性接着剤組成物を開示している。
グルーバー(Gruber)等のカナダ特許1,179,094は、オリゴマー及び共重合性紫外線吸収剤からなる放射線硬化性コーティング組成物を開示している。
モルガン(Morgan)のカナダ特許1,194,637は、紫外線及び熱硬化性熱可塑性樹脂含有組成物を開示している。
ラットクリフ(Ratcliffe)等のカナダ特許1,198,847は、歯科用組成物を開示している。
ジィチャー(Szycher)等のカナダ特許1,200,647は、化学線硬化したポリウレタンアクリル共重合体を開示している。
テミン(Temin)等のカナダ特許1,213,699は、歯科用修復組成物を開示している。
モラン(Moran)のカナダ特許1,216,982は、エラストマー組成物に対する硬化を開示している。
イブセン(Ibsen)等のカナダ特許1,243,796は、歯科用複合体及び磁器修復を開示している。
イブセン(Ibsen)のカナダ特許1,244,177は、メタクリラート官能性樹脂歯科用複合体及び磁器修復組成物を開示している。
イング(Ying)のカナダ特許1,259,149は、1官能性単量体を含む歯科用修復組成物を開示している。
ランドクレブ(Randklev)のカナダ特許1,261,992は、歯科矯正ブラケット接着剤組成物を開示している。
ワクニネ(Waknine)のカナダ特許1,262,791は、2成分(ペースト/ペースト)自己硬化性歯科用修復物を開示している。
ドーハーティー(Dougherty)等のカナダ特許1,262,981は、光硬化性包装可能組成物を使用する後歯修復法を開示している。
ワクニネ(Waknine)のカナダ特許1,269,790は、歯科用修復材料を開示している。
ヘイド(Heid)等のカナダ特許出願2,009,471は、混成プラスチック充填材料を開示している。
イブセン(Ibsen)等のカナダ特許出願2,011,438は、光硬化性イオノマー歯科用セメントを開示している。
レインバーガー(Rheinberger)等のカナダ特許出願2,038,695は、重合性歯科用材料を開示している。
レインバーガー(Rheinberger)等のカナダ特許出願2,051,333は、重合性歯科用材料を開示している。
ビリングトン(Billington)のヨーロッパ特許出願0 241 277は、ガラス及びそれを含むポリカルボン酸セメント組成物を開示している。
ビリングトン(Billington)のヨーロッパ特許出願0 244 959は、ガラス/ポリカルボン酸セメント組成物を開示している。
モントゴメリー(Montgomery)のヨーロッパ特許出願0 325 038は、蛋白質基質用の表面下塗り組成物、その製法及びその使用法を開示している。
カワグチ(Kawaguchi)等のヨーロッパ特許出願0 335 645は、接着剤組成物を開示している。
グリフィン(Griffin)等のヨーロッパ特許出願0 470 446 A1は、高いガラス転移温度の混合ポリイミド及びそれから形成した複合体を開示している。
マスハラ(Masuhara)のイギリス特許出願2 000 789 Aは、硬化性組成物を開示している。
ヒラサワ(Hirasawa)のイギリス特許出願2 156 347 Aは、歯基質に結合できる(メタ)アクリル酸エステル化合物を開示している。
アカハネ(Akahane)等のイギリス特許出願2 202 221は、歯科用ガラスイオノマーセメント用のガラス粉末を開示している。
米国特許4,588,756は、酸の適用を含め多前処理工程を必要とする歯科用接着剤系において、一成分として歯科学で使用される芳香族基剤の組成物に関する。
エンゲルブレヒト(Engelbrecht)の米国特許4,872,936は、酸基及び(又は)その反応性酸誘導体基を含む重合性不飽和単量体及び(又は)オリゴマー及び(又は)プレポリマーを含む歯科用セメント混合物を広く教示している。
ミトラ(Mitra)の米国特許5,130,347は、光硬化性アミド単量体を有する光硬化性イオノマーセメントを開示している。
ミトラ(Mitra)の米国特許5,154,762は、水可溶の還元剤及び酸化剤を開示している。
本発明の目的は、充填材料、キャビテーライナー及び床、セメント、穴及び欠損密封材、歯構造に接着性の他の修復材料として有用な新規な歯科用組成物を提供することである。
本発明の目的は、金属又はセラミックを歯構造に接着するのに要する工程及び時間を短縮する組成物を提供することである。
本発明の目的は、歯構造及び(又は)骨及び重合体複合体の間の接着用の接着剤組成物を提供することである。
本発明の目的は、比較的安価で製造容易な歯科用組成物を提供することである。
ここで使用する「単量体」とは、単量体又はオリゴマーを意味する。
ここで使用する「硬化」とは、重合性組成物が固く、堅固で、非柔軟性となるように変化することを意味する。
ここで使用する「マックスライト(MAX Lite)」は、デンツプライ インターナショナル インク(Dentsply International Inc.)からそのエル.ディー.カウルク ディビジョン(L.D.Caulk Division)を通し販売されている光硬化性歯科用材料に対する硬化単位 THE MAXTHを意味する。
この開示を通し、ことわらない限り、組成物の各成分の量は重量%である。
発明の簡単な説明
本発明は、硬質歯構造、金属及びセラミックに接着用の歯科用組成物及びその使用方法を提供する。この組成物は、カチオンと反応したエチレン性不飽和単量体の貯蔵安定な錯体を含んでいる。これらの組成物は、別個にぞうげ質又はエナメル質を酸エッチングすることなく、歯に対し優れた接着性を有する。本発明の組成物は、歯科用封泥セメント、ライナー、床、修復物、穴及び欠損密封材として有用である。本発明の重合法に従えば、次の一般式
(式中、各Uは独立に少なくとも1個の酸基及び少なくとも1個の重合性基を有する残基であり、各Mは一つ以上のUに結合することにより錯体を形成する粒子Pの多価カチオンであり、t,r及びqは各々独立に1以上の平均値をもつ数である)
の範囲内の重合性錯体被覆粒子を含んでいる実質上柔軟な重合性組成物を形成し、この重合性組成物を少なくとも12時間貯蔵し、重合性組成物を歯に適用する工程順序が提供される。
発明の詳細な説明
本発明の組成物は、ぞうげ質、エナメル質及び骨に対し優れた接着を与える。本発明の好ましい実施態様では、本発明の組成物は結合しようとする表面をエッチングする別の工程なしで使用される。本発明により提供される接着歯科用材料は、修復材料特にキャビテー基剤及びライナー、封泥セメント、穴及び欠損密封材及び充填材料を含む。
本発明に従えば、一般式(A1)の範囲内の重合性塩(錯体)及び(又は)一般式(A1′)の範囲内の新規材料を含む重合性組成物の重合法が提供される。
式中、各Uは独立に少なくとも1個の酸基及び少なくとも1個の重合性基を有する残基であり、各Mは一つ以上のUに結合することにより錯体を形成する多価カチオンであり、Pは粒子であり、r,t及びqは各々独立に1以上の平均値を有する数である。一般式A1′において、Mは粒子Pのカチオンである。好ましくは、粒子はガラス又はイオノマー重合体である。この組成物は、重合開始のないときは、少なくとも12時間、24時間又は36時間、さらに好ましくは少なくとも7日、最も好ましくは少くとも1年の増加する優先順で、安定であり硬化しないよう適合している。tは好ましくは100より大で、さらに好ましくは1,000より大で、最も好ましくは10,000より大である。本発明の好ましい実施態様に従う組成物は、重合性酸及び多価カチオン源と平衡にある一般式A1の範囲内の重合性塩の実質的部分を含む。
上記組成物中の重合性塩は、好ましくは重合性酸及び多価カチオン源を水の存在で混合することにより形成される。重合性塩は、好ましくは長時間たとえば1年以上、重合性酸及び多価カチオン源と平衡にある。これらの組成物は、従来技術の組成物に要求されるような、実質的硬化を防ぐための気密密封を必要としない。従って、これら組成物は、有利にはたとえば実質上硬化しない1成分組成物を形成し、また好ましくは1年以上貯蔵安定である。塩は多価カチオン源として使用されるガラス粒子上の好ましくはコーティングとして外表面上に形成され、重合体基の重合により、多成分系であり及び(又は)歯に適用される組成物の1成分として水を含まない従来技術の組成物よりも強い材料が形成されることが好ましい。好ましくは、これら組成物を単量体及び(又は)プレポリマーと混合し、歯に適用する。これら組成物は、好ましくは酸残基を含まない少なくとも1種の単量体及び(又は)重合体を含む。
さらに詳しくは、本発明は一般式(B1)の範囲内の重合性塩(錯体)及び(又は)一般式(B1′)の範囲内の新規材料を含む重合性組成物を提供する。
式中、各Yは独立に重合性基であり、各Aは独立に酸基であり、各Bは独立に有機残基であり、各Mは独立に一つ以上のAに結合することにより錯体を形成する多価カチオンであり、Pは粒子であり、o,p,q,r,s及びtは各々独立に少なくとも1の平均値を有する数である。好ましくはMはガラス粒子の多価イオンである。この組成物は、重合開始の無いときは少なくとも24時間硬化しないように適合している。
本発明に従う重合性組成物は、好ましくは一般式(A1)の範囲内の重合性錯体少なくとも1重合%、さらに好ましくは少なくとも3重量%を含む。
一般式A1及びB1の範囲内の錯体は、好ましくは100,000未満の、さらに好ましくは20,000未満の、最も好ましくは5,000未満の分子量を有し、1,000未満の分子量を有する錯体が特に好ましい。
一般式A1′及びB1′の範囲内の粒状材料は、好ましくは増加する優先順で、1mm未満の、0.1mm未満の、0.01mm未満の又は0.001mm未満の最長寸法を有する粒度を有する。
本発明の歯科用組成物は、一般式(I)の範囲内の重合性不飽和置換芳香族錯体を含む。
式中、Xは
であり、R1及びR2は各々独立に2乃至13の炭素原子を有する重合性不飽和残基であり、R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素、ハロゲン、1乃至10の炭素原子を有するアルキル、又は1乃至10の炭素原子のハロゲン化アルキルであり、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は各々独立に水素、1乃至10の炭素原子を有するアルキル、又は6乃至10の炭素原子を有するアリールであり、Z1及びZ2は各々独立に酸基を含む残基であり、a、m及びnは各々独立に0又は1であり、b及びpは独立に1乃至10の整数であり、lは1乃至3であり、Mは酸残基として反応して錯体を形成する多価カチオンである。
本発明の好ましい実施態様に従えば、R1及びR2は各々独立に次の基である。
式中、R7は2価の炭素含有基であり、R8は水素、ハロゲン、又は1乃至10の炭素原子を有するアルキルである。
本発明の好ましい実施態様においては、n及びmが0で、Xが酸素、スルホニル、又はジトリフルオロメチルで、R1及びR2が次式
である一般式Iの範囲内の化合物が提供される。一般式Iの範囲内の最も好ましい化合物は、Xが酸素又はジトリフルオロメチルであり、Mがバリウム、カルシウム、ストロンチウム、又はアルミニウムである化合物である。好ましい重合性不飽和基R1及びR2は独立にアルケニル、アルケノキシ、シクロアルケニル、アリールアルケニル及びアルケンアリール残基であり、ビニル及びスチリル残基がさらに好ましく、歯科用材料中の多くの単量体の重合性基を構成するアクリル及びメタクリル残基が特に好ましい。
R1及びR2の(メタ)アクリラート残基の例は次のものを含む。
式中、nは好ましくは1乃至10の整数である。好ましくはR1及びR2は(メタ)アクリロイルオキシエチル残基である。
式Iの範囲内の錯体で使用に好ましい化合物は、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフエニル)ヘキサフルオロプロパン無水物、4,4′−オキシニフタル酸無水物、4,4′−スルホニルニフタル酸無水物と、それぞれ2−ヒドロキシエチルメタクリラートとの付加物であるジエステルを含む。好ましい実施態様においては、式Iの範囲内の錯体で使用する化合物の少なくとも2個の芳香環は、少なくとも一つの飽和炭素、酸素、又はスルホニルを介して結合されている。
一般式Iの範囲内の錯体で使用する化合物を製造するのに好ましい芳香族二無水物は、反応して部分エステル及びカルボン酸官能基を形成する。少なくとも2個の芳香環を有する二無水物がさらに好ましい。最も好ましくは、少なくとも2個の芳香環は、式Iに示すように結合され、芳香環の間の共役を中断している。このような組成物は、光に誘発される色変化に対し一層敏感でなく、従って美的考慮が重要な場合に好ましい。最も好ましい例は4,4′−オキシニフタル酸無水物及び2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフエニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物である。
本発明の好ましい実施態様に従う歯科用組成物は、一般式Iの範囲内の錯体で使用する酸官能性重合性有機エステル、水、カチオン溶出性ガラス充填剤及び重合触媒系を含む。所望により、付加重合性単量体及び(又は)プレポリマーが含まれる。
本発明の好ましい実施態様に従う組成物は、少なくとも1個の酸基又は反応性酸誘導体を有する重合性単量体、酸残基と反応性のカチオン源及び触媒系を与える。好ましくは、触媒系は遊離基重合を促進し、好ましくは可視光硬化性及び(又は)レドックス触媒系を含む。好ましくは、組成物は、液体希釈剤及び(又は)充填剤補助剤を含む。希釈剤は、好ましくは一般式A1の範囲内の重合性単量体と共重合する。又は、希釈剤は重合性単量体と非反応性である。水又はメタノール、エタノール及びイソプロパノールのような低沸点アルコールが非反応性希釈剤である。適当な重合性コモノマーは、米国特許4,657,941の特に3段5行から5段59行、及び米国特許4,514,342に開示されており、両特許をここで引用する。充填剤補助剤は、例えば重合性単量体の酸残基と反応性であるカチオン源を与えることにより、好ましくは反応性である。非反応性充填剤は、好ましくは本発明の好ましい実施態様に従う組成物に含まれる。所望により、得られる組成物の相溶性及び強度を改良するために、充填剤は表面処理される。充填剤の例としては、シリカ、ケイ酸塩、アルミナ、アルミン酸塩、フッ素カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化ガラスを含むガラス、セラミックス、雲母、ゼオライト、カルシウムアパタイトを含む鉱物、有機重合体、及び米国特許4,758,612及び5,079,277に開示のものが挙げられる。
本発明の好ましい組成物は、一般式A1の範囲内の錯体で使用する単量体化合物、単量体化合物の酸又は酸誘導体と反応性のカチオン源を与える少なくとも1種の微粉砕反応性充填剤、硬化剤を含んでいる。本発明に従う歯科用組成物は、一般式A1の錯体で使用する化合物、触媒、開始剤、促進剤、充填剤、補助剤、カチオン源、水及び希釈剤を含んでいる。本発明の好ましい実施態様に従う歯科用セメント及び歯科用充填組成物は、一般式A1の範囲内の錯体中で使用する単量体化合物を含んでいる。
一般式A1の範囲内の錯体中で使用する化合物は、少なくとも二つの異なる官能性置換基を有し、その一つは付加重合でき、他の一つはカルボキシル又は他の酸又は反応性酸誘導体である。最も好ましくは、これらの化合物は少なくとも1個の重合性基及び1個以上の酸又は反応性酸誘導体基を含む。一般式A1の範囲内の好ましい化合物は、4,4′−オキシニフタル酸無水物又は2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフエニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物と重合性ヒドロキシル又は多価化合物との反応でエステル又は部分エステルを形成して誘導された酸である。
本発明の新規な塩化合物は、重合して線状又は橋かけした重合体を形成でき、この重合体はカチオン特に2価又はそれ以上のカチオンと反応してポリ塩を形成した複数の酸基又は反応性誘導体基を含んでいる。この塩化合物は、エチレン不飽和及びカルボキシル反応性酸誘導体部位の両者が高密度である比較的低分子量の単量体であるから、優れた一体性を有して優れた硬化が起る。カルボキシル基自体が、他の酸残基又は反応性酸誘導体イオンよりも最も好ましい。特に適当な酸残基は、酸化物、鉱物、セラミック、ガラス質、又は金属充填剤と反応するすべての酸残基である。
これら他の酸残基の例は、リンの酸類の次式
式中、Rはアルキル、アリール、又はビニルである。残基−SO2H、−SO3H、又は硫酸の残基−O−SO3H、
ホウ素の酸類の残基
式中、Rはアルキル、アリール又はビニル、及びRがH又はアルキルの場合−NR2H+を含むカチオン酸残基を含む。反応性酸誘導体を、反応性充填剤とイオン交換、中和、塩形成、又はキレート化反応に入ることができるように、容易に酸に加水分解する、酸ハロゲン化物、酸無水物、酸アミド、ニトリル及びエステルで置換できる。好ましい酸又は反応性酸誘導体は、カルボキシラート、ホスファート、ホスホナート、スルホナート、又はボラート酸残基及び(又は)それらの反応性誘導体である。
本発明の組成物は、1、2又はそれ以上の成分として、可視光硬化性、自己硬化及び(又は)二重硬化生成物又はそれらの組合せとして処方される。本発明の好ましい実施態様の組成物は、重合性カルボン酸単量体、任意の充填剤及び(又は)希釈剤、溶出性ガラス又は他の多価カチオン源及び重合触媒系を含んでいる。金属、セラミックス及び歯に対する接着を含めて性質の均衡のとれたセットを与えるために、重合性カルボン酸単量体は、親水性残基及び疎水性残基の適当な均衡を与えるように選ばれる。これら単量体は、本質的に非揮発性であり、口腔内で硬化中水分による決定的影響を受けず、歯で見出されるような水和表面で使用される能力を有し、好ましい実施態様では、歯構造への接着を達成するための酸エッチング及び接着剤下塗りの別の工程を必要としない。
本発明の錯体中で使用する好ましいエチレン性不飽和カルボキシル化合物の特性と製法をさらに良く理解するために、好ましい一連の化合物の製造は次のように実施される。
酸、塩基、又は他の適当な触媒の存在下で、4,4′−オキシニフタル酸無水物1モルと、一般式R−OHの化合物2モルと反応させる。
ここでRは2乃至13の炭素原子を有する重合性不飽和残基である。これは、一般式II乃至IVの異性体単量体の混合物と考えられる液体生成物を生じる。
実施例3に詳しく説明するように、触媒の存在下でオキシニフタル酸無水物1モルと、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)としても知られているメタクリロイルオキシエチルアルコール2モルとの反応により、異性体単量体V乃至VIIの混合物と考えられる液体生成物が形成される。
一般式Iの範囲内の錯体中で使用する単量体化合物は、反応条件と反応物のモル比に依存し少なくとも一つの未反応カルボン酸基を有する反応性エステルである。本発明の単量体化合物は、エチレン性不飽和基を介して付加重合によって重合する。重合を促進し、制御するために、硬化剤、触媒、開始剤及び(又は)促進剤を使用する。過酸化物開始剤、たとえば過酸化ベンゾイル及び(又は)熱が、反応を開始するのに有用である。促進剤は反応を高め、室温で一層迅速に反応を進行することができる。促進剤は、好ましくは、アミン、又はスルフィナートのような還元剤及び(又は)遷移金属イオンを含む。重合を開始し、促進するために、紫外線及び(又は)可視光を、開始剤及び促進剤と共に使用する。口内で本発明の組成物を硬化するには、可視光硬化が好ましい。予め形成した物体、又は身体外で硬化する物体に対しては、本発明の組成物硬化のために、他の放射線形、たとえば紫外イオン化放射線が好ましい。
本発明の方法に従えば、一般式Iの範囲内の単量体化合物(又は錯体)の重合が起る、生体内重合は患者に有害ではない。好ましくは、1部品組成物を、熱又は光を用いて重合を誘起する。紫外線又は可視光の照射により開始するためには、開始剤たとえばベンゾフエノン又はショウノウキノンを使用して、一つの予め混合したすぐ使用できる貯蔵安定な組成物を形成するのが好ましい。本発明の組成物の好ましい実施態様は、ショウノウキノンのような光感受性重合開始剤、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(EDAB)のような還元剤、過酸化ベンゾイルのような酸化剤を有する重合触媒系を含んでいる。技術で既知のレドックス重合系を使用して、本発明の組成物を重合するのが好ましい。本発明に従い使用に好ましいレドックス重合触媒系は、過酸化物、トリブチルホウ素及び(又は)遷移金属塩を含む。レドックス重合触媒及び触媒系は、ここで引用文献とする米国特許4,657,941号の7段10行から8段27行に開示のものがある。特定の重合法及び重合系が、材料の応用及び要求に依存して好ましい。塩単量体を含む組成物の重合方式、又は「硬化」方式がなんであっても、形成する重合体の重要な特性は、重合体が2価又は多価カチオンと予め反応していることである。本発明の塩化合物及び組成物は、樹脂とそれが重合するカチオン含有表面、金属、金属酸化物、歯及び(又は)骨との間に接着性を示す。
本発明の組成物において使用するに特に適する充填剤は、ガラスイオノマーセメントで使用されるような無機ガラスである。そのような充填剤の例は、ここで引用文献とする米国特許4,814,362の充填剤である。好ましい充填剤は、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、タンラン、タンタルから形成され又はそれを含むガラス、及び(又は)ケイ酸タングステン、アルミン酸塩及び(又は)アルミノケイ酸塩、ミクロン以下のシリカを含むシリカ、石英、及び(又は)セラミツクスたとえばカルシウムヒドロキシアパタイトである。本発明の好ましい実施態様では、反応性カチオン、特にカルシウム、ストロンチウム、アルミニウムカチオン及びアニオン特にフッ化物イオンが充填剤から溶出する。本発明で使用する充填剤は、好ましくは粒度を減少させ、好ましい実施態様では組成物に組み込む前にシラン処理される。充填剤の好ましい水準は、セメント組成物の全重量基準で約20乃至約85%であり、約40乃至約85%がさらに好ましく、約50乃至80%が最も好ましい。一層細かく粒状化した充填剤を使用する場合は、粒子の一層小さい寸法に付随する表面積の相対的増加により、充填剤量を減少できる。好ましい粒度分布は、0.02乃至50ミクロン、さらに好ましくは0.1乃至10ミクロン、最も好ましくは1乃至6ミクロンである。
本発明の好ましい実施態様においては、塩のカチオンはSr、Ca、Al及びBaのような2価及び多価カチオンである。別の好ましい実施態様では、本発明の組成物は、溶剤、可塑剤、顔料、組成物から時間とともに遊離できる殺菌薬及び治療薬、ブチル化ヒドロキシトルエンのような酸化防止剤を含む。一般式Iの範囲内の化合物の他に、本発明に従う組成物は、酸基及び(又は)その塩及び(又は)反応性の容易に加水分解する酸誘導体基を含んでいない重合性不飽和希釈剤単量体、オリゴマー及び(又は)プレポリマーを含むのが好ましい。一つのそのような好ましい単量体はメタクリル酸ヒドロキシアルキルである。本発明の組成物は、また好ましくは酸基及び(又は)その塩及び(又は)その容易に反応性の加水分解する誘導体基を有する化合物を含むことができるが、多塩基酸又はそれらの反応性の容易に加水分解する誘導体のように、不飽和で重合性のいかなる基も含まない。特に好ましい多塩基酸は酒石酸またクエン酸のようなヒドロキシ酸である。
キシレート化基を有するが、カルボン酸基又は容易に加水分解する酸誘導体基を含まない化合物たとえばバニリン酸塩、シリンギン酸塩及びサリチル酸塩を、本発明に従う組成物に含めるのが好ましい。
本発明の組成物の混合は、標準配合技術を処理して達成できる。
たとえば、液体、光開始剤及び促進剤をまず配合し、その後充填剤を増分で加える。しかし、感光性組成物を配合するときは、光に安全な室照明、すなわち光開始系を活性化する電磁放射線波長の実質量を含まない照明を使用して、早期の組成物の重合開始を避ける。
セメント
本発明の組成物の塩化合物はまた、自己接着性骨セメントにおけるように医学用途を有する。しかし、歯科医又は歯科専門家により、生きている患者の口で、生体内の歯又は多数の歯に適用する歯処理に使用するのが最も好ましい。
本発明の組成物は、歯に適用する歯科用セメントとして応用するのが好ましい。本発明の歯科用セメント組成物は、一般式Iの範囲内の塩化合物、及び硬化触媒、開始剤、促進剤、希釈剤及び(又は)補助剤のような他の成分を含む。本組成物を、従来技術によりセメントとして適用し、好ましくは常法で可視光を用いて硬化する。本発明に従うセメントは、そうげ質及びエナメル質に自己接着性である。これらのセメントは、ぞうげ質を構造物に結合するのに、たとえばセラミックインレーを調製した歯の窩洞に結合するのに使用される。インレーは、好ましくは重合体又は磁器フリットから鋳込又は組み立て、焼成したセラミックである。又は、インレーは、チタン又は金のような金属から機械加工され、又はたとえばCAD−CAM操作による予め形成した重合体複合体又は均一な継ぎ目のない重合体組成物である。本発明の好ましい実施態様に従えば、歯冠用の金属又はセラミック上部構造、ブリッジ及び(又は)矯正装置を、本発明のセメント組成物を使用して歯に結合する。上記セメント組成物は、セメントが硬化するまで接触ブリッジすることによりセメント組成物を適用して、金属又はセラミックを歯に結合させる。
本発明の好ましい組成物は、2部分系を含む。1部分は硬化剤を含む。2部分をへらで混ぜて、歯に置く前にセメントを形成する。歯への配置は標準法による。好ましくは、セメントは可視光及び(又は)自己硬化性レドックス重合開始剤系を含む。本発明の好ましい実施態様においては、封泥セメント組成物は、密に適合した装置を洞製した歯に結合するために、低い粘度及び約25μm未満の膜厚を有する。1実施態様では、一層密に適合していない修復物、たとえば現在のCAD−CAM装置を使用して調製したインレーを封じるために、数百ミクロンまでの厚さの接着「にかわ」ラインを形成するような高い粘度とコンシステンシーの本発明の封泥セメント組成物を製造することができる。本発明の組成物は、機械的に強く、耐摩耗性で、美的に安定で、インレー、歯冠、ブリッジ又は他の装置を歯構造に保持するため、唯一の構造要素として働く。
充填組成物
本発明に従う好ましい歯処理は、硬化剤及び一般式Iの範囲内の少なくとも1種の塩化合物を含む歯科用充填組成物への適用である。好ましくは、歯科用充填組成物は、単量体の酸又は酸誘導体とイオン的に反応できる微粉砕した反応性充填剤を含む。好ましくは、この組成物を、1成分材料として従来技術で充填材料として歯に塗り、常法で可視光を用いて硬化させる。
穴及び欠損密封材
本発明の好ましい実施態様においては、一般式Iの範囲内の少なくとも1種の塩化合物を含む1成分又は2成分穴及び欠損密封材を、歯の解部学的欠損及び(又は)外部に適用する。密封材は、虫歯形成殺菌が歯の穴、欠損又は他の表面にコロニーをつくる能力を限定する。本発明に従う穴及び欠損密封材組成物は、エナメル質欠損を充填し除去することにより、虫歯を減らす特に価値ある手段である。本発明の穴及び欠損密封材は、好ましくは予めの酸のエッチング又は歯へのゴムダムの使用なしに適用される。1実施態様では、フッ化物溶出化合物及びガラスを、本発明の組成物に含めるのが好ましい。フッ化物は溶出されて、本発明の組成物に隣接した歯構造において、虫歯の発生率を減少させる。
本発明の方法に従えば、セメント及び修理組成物は、一般式Iの範囲内の少なくとも1種の重合性酸反応性エチレン性不飽和化合物を含む。上記組成物を、歯の予めのエッチングなしで、歯に適用する。
インターナショナル スタンダード オーガナイゼーション(International Standard Organization)(ISO)9917:1991(E)5−7頁、歯科用水基剤セメントを使用する圧縮強度の測定方法
試験しようとする各材料について、混合した材料をテフロン型に充填し、マックス ライト(MAX Lite)を使用し各端から40秒光硬化することにより、径4mm、長さ6mmの円筒をつくった。円筒を型からとり出し、試験前37℃の水に24時間貯蔵した。破壊点まで試料にかけるに必要な力を、クロスヘッド速度5mm/分で操作する万能試験機を使用して測定した。
インターナショナル スタンダード オーガナイゼーション(International Standard Organization)(ISO)4049:1988(E)6−8頁、樹脂基剤充填材料を使用する横曲げ強度測定法
未硬化材料を、内部寸法25mm×2mm×2mmを有するスプリットテフロン(Teflon(商標))型に充填した。露出面をポリエステル箔で蔽い、透明プラスチックブロックの間にクランプで固定した。光バンドをプラスチックブロックと接触させて、歯科用硬化光を型に沿って均一に前後に動かすことにより、材料をトータル120秒間光硬化した。硬化後、硬化試料を37℃の水に24時間貯蔵した。試験前、試料のへりに沿い残っているはみ出しを注意して除去し、各試料の正確な寸法を測定した。ついで、クロスヘッド速度0.75mm/分にセットした万能試験機を使用して、試料を3点曲げ方式で試験した。試料は20mm離れた支持体上に置かれ、中央点で荷重をかけられた。横曲げ強度を、標準式からMPa(メガパルス)で計算した。
直径方向引張強度の測定方法
全試験材料に対し、ADA規格No.9及びNo.27の改良操作を利用した。3mm±0.1mm高さ、6mm±0.1mm直径の内部寸法を有するスプリットテフロン型を使用した。マイラーフィルムを型の底に置いた。混合した材料を過剰量型に入れ、マイラーフィルムの第2片を型の頂部に置き、金属板でプレスして過剰の材料をしぼり出した。ついで板を材料の頂部に置かれたマイラーフィルムと共に除去し、各側面をマックス ライト(MAX Lite)を使用して1分間硬化した。37℃の水に24時間貯蔵後、試料を10mm/分のクロスヘッド速度で上昇する直径方向引張強度測定用インストロン装置(Instron device)で試験した。
ぞうげ質への接着測定:ぞうげ質に対する結合強度
せん断結合強度試験に使用した抜いたヒトの歯を、1%次亜塩素酸ナトリウムで18乃至24時間処理し、使用するまで約4℃の冷蔵庫中で蒸留水中に貯蔵した。歯を水で洗浄し、平らなぞうげ質表面が露出するまで、120/130/600粗粒カーボランダム紙で機械的に磨いた。
歯を以下のように個々に調製した。各歯に圧縮乾燥空気吹きつけ、ぞうげ質表面が認め得る水分を含まないようにした。内径3.7mm、長さ2乃至3mmの小さなプラスチックストローに、混合した材料を充填し、圧力なしで支柱を形成するように、ぞうげ質上に置いた。ストローの上部開口端を薄膜で蔽い、マックス ライトで40秒間硬化した。試料を37℃の蒸留水中に24時間以上貯蔵した。ついで、歯を自己硬化性ポリメタクリル酸メチル樹脂を使用し、1インチのフェノールリングに垂直に置き、直角に位置した支柱と共に試験用のベースとした。置いた試料に、5mm/分のクロスヘッド速度で、ぞうげ質に対する支柱の接着測定用インストロン装置でせん断荷重をかけた。破壊が起るまで、調製した歯表面に平行に、支柱に対し直角に荷重をかけた。せん断結合強度を計算した。
フッ化物遊離法−静的抽出
材料の厚さ1mm、径20mmの小片を、マックス ライトで各側面を1分間硬化した。この小片に小さな孔をあけた。試料をナイロン糸で結び、ふたをしたプラスチックジャー中で10mlの脱イオン水中につるし、37℃で1週間又は別に示したように貯蔵した。各ジャーの水を、別の30mlプラスチックビーカーにデカンテーションした。ジャー中の試料を1mlの脱イオン水で洗浄し、ゆすぎ水をそれぞれのビーカーに加えた。ジャーに10mlの新しい脱イオン水を加え、次の測定のため37℃のオーブンに戻した。溶液を11mlの全イオン強度調節緩衝液(TISAB)で希釈し、フッ化物電極で測定した。
この方法を使用して長時間口内で起っていることをシュミレーションした。水を週に一度変えた。値は、ppm試料g当たりフッ化物μg、試料表面cm2当たりフッ化物μgで報告する。
本発明を一般的に記載してきたが、例示してのみ示す目的での特別の実施例を参照すると、さらに完全な理解が得られる。本発明は実施例の特別な詳細に限定されないことを理解すべきである。
実施例1
6FDMAは、ヘキサフルオロ イソプロピリデン−2,2−ビス(フタル酸無水物)1モルと、2−ヒドロキシエチルメタクリラート(以後HEMAとする。)2モルの反応生成物である。
ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス(フタル酸無水物)13.3g(0.03モル)、HEMA12.6g(0.097モル)及びブチル化ヒドロキシトルエン0.0006gを、温度計及び乾燥管を備えた水冷冷却器をつけた100ml丸底フラスコ中で加熱した。混合物を徐々に100℃に加熱しながら攪拌した。その後温度を110℃に1時間保ち、ついで50℃で16時間(一夜)、更に110℃で3.5時間保った。溶液を室温に冷した。溶液は6FDMA70重量%及びHEMA30重量%を含み、2500−3500cm-1(幅広)、1715cm-1(幅広)、1630cm-1、1130−1450cm-1(幅広)、1170cm-1、950cm-1、及び800cm-1(多重線)にIR吸収を示す。
実施例2
BTDMAの合成
BTDMAは、3,3′,4,4′−ベンゾフエノン テトラカルボン酸二無水物1モル及び2−ヒドロキシエチルメタクリラート2モルの反応生成物である。2−ヒドロキシエチルメタクリラート過剰量で製造する場合、HEMAはエステル化反応の溶剤として働く。
3,3′,4,4′−ベンゾフエノン テトラカルボン酸二無水物(アルドリッチ化学(Aldrich Chem))50g(0.155モル)とHEMA(アルドリッチ化学)82.7g(0.635モル)を120℃で1時間反応させ、過剰のHEMA中にBTDMAを含む透明な濃い液体を得た。3000−3550cm-1(著しく幅広)、2950cm-1(幅広)、1720cm-1(幅広)、1630cm-1、1370−1450cm-1(多重線)、1100−1340cm-1(著しく幅広)、1160cm-1、940cm-1、810cm-1、及び650cm-1にIR吸収を示す。この溶液はBTDMA70重量%及びHEMA30重量%を含んでいる。
実施例3
OEMAの合成
OEMAは、4,4′−オキシニフタル酸無水物(化学名:5,5′−オキシビス−1,3−イソベンゾフランジオン)1モル及びHEMA2モルの反応生成物である。
4,4′−オキシニフタル酸無水物35.6g(0.115モル)及びHEMA58.0g(0.45モル)を110℃で4時間反応させ、HEMA過剰中のOEMAの透明油状溶液を得た。粘度5250cps、2700−3550cm-1(著しく幅広)、1715cm-1(幅広)、1630cm-1、1590cm-1、1570cm-1、1450cm-1、1400cm-1、1360cm-1、1100−1330cm-1、1165cm-1、940cm-1、810cm-1、及び785cm-1にIR吸収を示す。この溶液はOEMA70重量%及びHEMA30重量%を含んでいる。
実施例4
OPMAの合成
OPMAはオキシニフタル酸無水物1モル及びHPMA2モルの反応生成物である。
4,4′−オキシニフタル酸無水物(オキシデンタル ペトローレム(Occidental Petroleum))18.0g(0.058モル)、ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA、アルドリッチ(Aldrich)32.6g(0.226モル)を攪拌しながら110℃で3時間反応させ、反応後23℃で3250cpsの粘度を有する、HPMA過剰中のOPMAの透明油状溶液を得た。OPMAは3100−3550cm-1(著しく幅広)、2900−3000cm-1、1715cm-1、1630cm-1、1590cm-1、1570cm-1、1445cm-1、1400cm-1、1100−1330cm-1、1060cm-1、940cm-1、及び810cm-1にIR吸収を示す。この溶液はOPMA70重量%、及びHPMA30重量%を含んでいる。
実施例5
STDMAの製造
STDMAは、4,4′−スルホニルニフタル酸二無水物(STDA)1モル及びHEMA2モルの反応生成物である。この実施例では、HEMA過剰中でSTDMAを製造した。
HEMA26.9g(0.207モル)、STDA10.4g(0.029モル)、及びBHT0.044gを100mlフラスコに入れ、90℃に加熱した。混合物を90乃至95℃に1.5時間、115乃至120℃に1.33時間保った。ついで、トリフエニルホスフィン0.11g、STDA10.2g(0.028モル)、及びHEMA4.3g(0.033モル)を混合物に加え、115乃至120℃にさらに1.5時間保ち、STDMA68.6重量%、及びHEMA31.4重量%を含み、3500cm-1(著しく幅広)、1715cm-1、1635cm-1、1300cm-1(幅広)、及び1150cm-1(幅広)にIR吸収を示す溶液を得た。
実施例6
TEGMA中のOEMAの製造
OEMAは、オキシニフタル酸二無水物(ODPA)1モル及びHEMA2モルの反応生成物である。
この実施例では、溶剤としてトリエチレングリコールジメタクリラート(TEGDMA)中で生成物を製造した。
ODPA19.6g(0.063モル)、HEMA30g(0.23モル)、モノメチルヒドロキノン0.046g、及び溶剤としてのTEGDMA20gを250mlフラスコに入れた。混合物を攪拌して95−100℃に加熱し、触媒としてトリフエニルホスフィン0.06gを加え、さらに100℃に25分間保った。ついでODPA15.5g(0.05モル)、及びトリフエニルホスフィン0.03gを110℃で加えた。110℃で1.5時間攪拌後、トリフエニルホスフィン0.02gを加え、110℃に1時間、ついで50℃に7日間保った。この時間の終わりに、全無水物は消費された。反応により、OEMA76.5重量%、及びTEGMA23.5重量%を含む溶液を得た。OEMAは、2500−3550cm-1(著しく幅広)、1700cm-1(幅広)、1630cm-1、1100−1450cm-1(著しく幅広)、1050cm-1、950cm-1、及び780−900cm-1にIR吸収を示す。
粉末の製造
実施例12、13、17で使用したアルミノフルオロケイ酸ストロンチウムガラス粉末は、米国特許4,814,362に開示の操作に従って、酸化アルミニウム、シリカ、フッ化ストロンチウム、フッ化アルミニウム、リン酸アルミニウム、氷晶石を融解し、粒子を形成し、これを平均粒度5.5ミクロンに粉砕して製造した。フッ素以外の全元素を元素の酸化物として計算し、以下の分析値を示す。
アルミノフルオロケイ酸ストロンチウムの組成
ガラス粒子 重量部
Al2O3 24.6
SiO2 32.1
Na2O 2.9
SrO 28.7
F 12.3
P2O5 4.8
実施例8、10、及び12乃至16で使用したアルミノフルオロケイ酸バリウムガラス粒子は、コーニング(Corning)から販売されている7726ガラスである。それは、好ましくはダニエルソン(Danielson)の米国特許4,920,082に開示の如く形成される。
実施例7
OEMA/GMA樹脂の合成
4,4′−オキシニフタル酸無水物(ODPA)31.0g(0.1モル)、グルタル酸無水物11.4g(0.1モル)、ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)39.0g(0.30モル)、及びブチル化ヒドロキシトルエン0.05gを室温で30分間反応させ、ついで110℃で2時間攪拌して、ODPA及びHEMAの付加物(OEMA)及びグルタル酸無水物とHEMAの付加物(GMA)の著しく粘ちような混合物を得た。
実施例8
1成分VLC組成物
実施例7に記載のようにして形成したOEMA/GMA30.50g、水2.50g、2,7,7,9,15−ペンタメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジイル ジメタクリラート(UDMA)65.10g、ショウノウキン0.20g、EDAB0.60g、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(BASFから販売のユビノール(Uvinol)M−40)1.00g、及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)0.50gを攪拌して、活性化樹脂を形成した。この活性化樹脂5.0g及びアルミノフルオロケイ酸バリウムガラス粉末(67%シラン処理、33%シラン未処理)15.0gを混合し、重合開始の無いときは6カ月以内に硬化しない貯蔵安定な重合性錯体を有するペーストを形成した。このペーストを、デンツプライ インターナショナル インク.(Dentsply International Inc.)から販売のマックス ライト(MAX Lite)TM重合ユニットからの可視光を透過させて硬化し、圧縮強度31533psiを有する重合体材料を形成した。
実施例9
HEMAとの6−FDMA/PMA樹脂付加物の合成
HEMA39.0g、ブチル化ヒドロキシトルエン0.06g、及び無水フタル酸14.8gを100−110℃で60分間反応させた。ついで、ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス(フタル酸無水物)44.4gを加え、120−130℃の間で4時間攪拌し、6FDMA及び無水フタル酸とHEMAの付加物(PMA)の混合物である透明なわずかに黄色の樹脂を形成した。
実施例10
1成分VLC組成物
実施例9の操作に従い形成した6−FDMA/PMA樹脂30.10g、水2.50g、UDMA65.10g、ショウノウキノン0.20g、EDAB0.60g、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ユビノール(Uvinol)M−40)1.00g、及びブチル化ヒドロキシトルエン0.50gを攪拌して、活性化樹脂を形成した。この活性化樹脂2.50g及びアルミノフルオロケイ酸バリウムガラス(60%シラン処理、40%シラン未処理)75.0gを混合し、貯蔵安定重合性錯体を有するペーストを形成した。このペーストを、デンツプライ インターナショナル インク.(Dentsply International Inc.)から販売のマックス ライト(MAX Lite)TM重合ユニットからの可視光を透過させて硬化し、圧縮強度29334psi、曲げ強度72.1MPa及び曲げモジュラス8939.6MPaを有する重合体材料を形成した。
実施例11
6−FDMA/GMA樹脂の合成
ヒドロキシエチルメタクリラート39.0g(0.30モル)、ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス(フタル酸無水物)44.4g、グルタル酸無水物12.0g、及びブチル化ヒドロキシトルエン0.06gを、100℃で4.0時間反応させ、6−FDMA及びグルタル酸無水物とHEMAとの付加物(GMA)の混合物である粘ちようなわずかに黄色の透明樹脂を形成した。
実施例12
6−FDMA/GMA(実施例11の操作に従って形成した)9.20g、水0.80g、ウレタンジメタクリラート(2,7,7,9,15−ペンタメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジイルジメタクリラート)15.0g、ショウノウキノン0.05g、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(EDAB)0.30g、ブチル化ヒドロキシトルエン0.0125g、ユビノール(Uvinol)M−40 0.075g、シラン処理したアルミノフルオロケイ酸ストロンチウムガラス粉末 37.5g、及びシラン処理したアルミノフルオロケイ酸バリウムガラス37.5gと混合して、1成分VLCペースト組成物を形成した。このペーストを、デンツプライ インターナショナル インク.(Dentsply International Inc.)から販売のマックス ライト(MAX Lite)(TM)重合ユニットからの可視光を透過させて硬化し、曲げ強度82MPa、曲げモジュラス10948、及び圧縮強度31954psiを有する重合体材料を形成した。
実施例13
ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス(フタル酸無水物)と2−ヒドロキシエチルメタクリラートの付加物10.75g、2−ヒドロキシエチルメタクリラート4.61g、トリエチレングリコール ジメタクリラート7.2g、及び水0.98gを、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,3−ジオン−1,7,7−トリメチル0.048g、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル0.144g、メタノン(2−ヒドロキシメトキシフェニル)フェニル0.24g、及び2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール0.024gと混合し、重合性液体を形成した。シラン処理アルミノフルオロケイ酸ストロンチウム37.24g、アルミノフルオロケイ酸バリウムガラス 38.0g、エアロジル R−972 0.76gを粉末ブレンドに形成し、上記重合性液体と混合して、重合開始のないときは6カ月以内硬化しない1成分光硬化性歯科用接着ペースト組成物を形成した。このペーストを、デンツプライ インターナショナル インク.(Dentesply International Inc.)から販売のマックス ライト(MAX Lite)TM重合ユニットからの可視光を透過させて硬化し、表1及び2に示す性質を有する重合体材料を形成した。
表2を作成するのに使用した試料は、平均重量0.678g、平均直径2.039cm、平均厚さ0.094cm、及び平均表面積7.13を有していた。
実施例14
6−FDMA(実施例1の操作により形成した)10.75g、HEMA4.61g、TEGDMA7.2g、蒸留水0.98g、ショウノウキノン0.048g、EDAB0.144g、ユビノール(Uvinol)M−40 0.24g、及びBHT0.024gを室温で攪拌して、均一活性化樹脂を形成することにより、1成分VLC組成物を形成した。上記活性化樹脂2.4gを、アルミノフルオロケイ酸バリウムガラス99gとエアロジルR−972 1gの粉末ブレンド7.6gと混合し安定ペーストを調製した。このペーストを硬化し、圧縮強度225Mpa、ぞうげ質への結合強度1673psi、及び表3に示すフッ化物遊離を有する重合体接着剤を形成した。
実施例15
OEMA(実施例3の操作により形成した)25.24g、TEGDMA12.5g、蒸留水2.0g、ショウノウキノン0.04g、EDAB0.2g、及びBHT0.016gを混合し、均一活性化樹脂を形成することにより、1成分VLC密封材を形成した。アルミノフルオロケイ酸バリウムガラス40gを上記樹脂に加え、安定な1成分VLC密封剤を形成した。これは可視光にあてると、圧縮強度25521psi、曲げ強度42MPa、曲げモジュラス4071MPa、及び表3に示すフッ化物遊離を有する重合体材料を形成した。
実施例16
実施例1の操作により形成した6−FDMA30.93g、蒸留水1.93g、TEGDMA14.98g、ショウノウキノン0.05g、EDAB0.24g、及びBHT0.025gを攪拌して、活性化樹脂を形成し、ついでアルミノフルオロケイ酸バリウムガラス51g、及びエアロジルR−972 0.77gを加えて、1成分VLC密封材を形成した。混合物を混合して安定な1成分密封材を形成し、これを可視光にあてることにより硬化すると、圧縮強度31552psi、直径方向引張強度5085psi、曲げ強度74MPa、曲げモジュラス3722MPa、及びエナメル質への結合強度1160psiを有する重合体材料を形成した。
実施例14、15及び16の生成物試料の静的フッ化物遊離を表3に示す。
重合性塩形成
Ca(OH)21.0gと6−FDMA0.95g、HEMA0.27g及び水0.08gの溶液を混合した。この混合物のIRスペクトルを直ちに測定し、酸の中和を示し、1390cm-1及び1580cm-1の幅広いIR吸収は塩の形成を示した。
Al2O31.0gと6−FDMA0.65g、HEMA0.27g及び水0.08gの溶液を混合した。混合物のIRスペクトルは、1390cm-1と1580cm-1の吸収により塩形成した。
実施例17
無水コハク酸とグリセリンジメタクリラートの付加物(SGMA)6g、米国特許4,514,342に記載のようにして製造したジペンタエリトリトールペンタアクリラートホスファート(DPEPAP)1.2g、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロオキシプロポキシ)フエニル〕(Bis−GMA)2.4gの樹脂混合物、水0.573g、ショウノウキノン0.02g、EDAB0.049g、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)0.01gを50mlプラスチックビーカー中で混合し、均一液体を形成した。ついで、アルミノフルオロケイ酸ストロンチウム ガラス粉末31gを加え、混合し、均一ペーストを形成した。このペーストをデンツプライ インターナショナル インク.(Dentsply International Inc.)から販売されているマックス ライト(MAX Lite)TM重合ユニットからの可視光を透過させることにより硬化し、表4に示す静的フッ化物遊離を有する重合体材料を形成した。
本発明を、特別の実施態様に関しかなり詳細に説明してきたが、本発明は上記実施態様に限定されるものとみなすべきではなく、本発明の精神及び請求の範囲からいつ脱することなく他の方式で使用できることを理解すべきである。
Claims (7)
- ジペンタエリトリトールアクリラートホスファートおよび一般式:
式中、Xは
であり、
R1及びR2は各々独立に2乃至13の炭素原子を有する重合性不飽和残基であり、
R3、R4、R5及びR6は各々独立に水素、ハロゲン、1乃至10の炭素原子を有するアルキル、又は1乃至10の炭素原子を有するハロゲン化アルキルであり、
R9、R10、R11、R12、R13及びR14は各々独立に水素、1乃至10の炭素原子を有するアルキル、又は6乃至10の炭素原子を有するアリールであり、
Z1及びZ2は各々独立に酸基又はカルボン酸のような反応性基であり、
a、m及びnは各々独立に0又は1であり、
b及びpは各々独立に1乃至10の整数である、
の範囲内の化合物からなる組成物。 - さらに溶媒からなる請求項1記載の組成物。
- 前記溶媒がエタノールまたは水からなる請求項2記載の組成物。
- 一般式の範囲内の前記化合物が、1モルの4,4'−オキシジフタル酸無水物と2モルの2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との反応生成物であり、該反応生成物はOEMAとして公知である、請求項2記載の組成物。
- さらに希釈剤コモノマーからなる請求項1記載の組成物。
- n及びmが0である請求項1記載の組成物。
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