JP3593144B2 - 細菌検査用粘着性シート及び細菌検査方法 - Google Patents

細菌検査用粘着性シート及び細菌検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、粘着層で細菌を捕集し、そのまま粘着面を培地として使用できる粘着性シート、及びこれを使用してコロニーを形成させる細菌検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被験材料中の菌数を推定するには、例えば市販のフードスタンプ等を使用したアガースタンプ法のように、1個の菌が1個のコロニーを形成することを応用し、寒天等の固形培地を被験材料に押し当てて菌を培養し、寒天平板上に発現したコロニーを肉眼で見定めながら計測する方法がある。
また、例えば市販の微生物/微粒子試験用メンブレンフィルター等を使用したメンブレンフィルター法のように、被験材料を生理食塩水等で洗いだし、メンブレンフィルターで捕集し、液体培地を吸収させることによりフィルター上でコロニーを形成させる方法もある。
さらに、医学検査第41巻、第3号、p352、1992には、フィルムに培地をコートし、これを被験面に接触培養するだけで検体採取が可能なフィルムコート培地を作製した例が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アガースタンプ法では、寒天培地の大きさ(面積)が限られているとともに、通常一処理面に対して一度しか使用できないので、寒天培地の含水率によって捕集効率が変化し、再現性に劣る等、細菌の捕集効率において不都合をきたすことが多かった。すなわちこの方法では、捕集効率を安定させるのが重要課題であり、その解決として、粘着ローラーやシートで菌を捕集し、それをアガースタンプに移すことが考えられる。しかしこれでは、工程が増え、さらに転写の効率や再現性等にも問題があると考えられる。
【0004】
また、メンブレンフィルター法では、洗い出し工程とフィルターでの濾過工程の2工程を要する為に、操作が煩雑になるとともに、二次汚染が懸念される等の不都合がある。すなわちこの方法では、直接的に被験物質から菌を採取できず、使用前の滅菌作業、綿棒でのサンプリング、洗い出し液の調製、およびフィルター濾過等に多大な労力がかかり、コストアップが避けられない。かかる作業性に係わる欠点を克服することが重要課題である。
【0005】
さらに、医学検査に発表されたフィルムコート培地は、使用されている寒天培地の曲げ強度が小さい為に例えばローラーに加工できない等、シートとしての利用が制限され、また連続生産ができない、培地とフィルムとの接着力不足等の諸欠点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、捕集効率が高くかつ作業性が良い等上記従来技術の諸欠点を解消することを目的とするものである。
すなわち本発明は、親水性低分子物質や可塑剤を含有しまたは含有しない粘着性(水吸収性)水溶性高分子を含む水性ゲル層(粘着層)と透水性の支持体とからなる粘着性シート、およびそれを使用することを特徴とする細菌検査方法に関する。
【0007】
図1、図2は、それぞれ本発明の粘着性シートの一実施態様を示している。粘着性シート1は、支持体3の上に粘着層2がシート状に一体に形成されている。粘着層2は、粘着性を有するとともに、適度な水分を含有し、必要に応じ均質な水吸収性を有する、水溶性高分子を主成分とする水性ゲルからなる層である。該粘着層2は、ゲル自体が適度な透水性を有するもの、あるいは図2に示すように、例えばパターン塗工で貫通孔5を設けることにより透水性を確保したものが使用できる。支持体3はそれ自体が透水性のものでもよいし、貫通孔4を設けて水透過性としたものでもよい。
【0008】
粘着層を構成する水溶性高分子としては、カンテン、カラゲニン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、メチルセルロース、ポリアクリル酸系及び/またはポリアクリル酸塩系高分子化合物、アクリル系共重合物、親水性ポリエーテル系ウレタンポリマー、スチルバゾリウム化ポリビニルアルコール、キサンタンガム等の多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)等のアクリルアミド類等が好ましい。
【0009】
より好ましい水溶性高分子として、コロニーの成長の速さと分離性能の点から、アルコキシアルキルアクリレートおよびN−ビニルラクタムからなるアクリル系共重合物が挙げられる。
【0010】
アクリル系共重合物のモノマー成分であるアルコキシアルキルアクリレートとしては、炭素数1〜4のアルコキシ基と炭素数2〜4のアルキル基あるいはアルキレングリコール基をもつアクリレートが好ましい。具体的には、例えば2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、さらに、ブトキシトリエチレングリコール、2−(2−エトキシエチル)エチルアクリレート、メトキシトリエチレンアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート等のアルコキシアルキレングリコールアクリレートが挙げられ、低いガラス転移点を有する、親水性が高い、反応性が高い等の点から、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートが好ましい。
【0011】
もう一方のモノマー成分であるN−ビニルラクタムとしては、5〜7員環のN−ビニルラクタムが使用される。例えばN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム等が挙げられるが、安全性、汎用性の面からN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。
【0012】
アルコキシアルキルアクリレートの配合割合は、好ましくはアクリル系共重合物全体の60〜80重量%であり、さらに好ましくは65〜75重量%である。アルコキシアルキルアクリレートの配合割合が、60重量%未満になると、得られた粘着層は柔軟性が低くなる場合がある。一方、80重量%を超えると、粘着層は粘着性が亢進し、強度が低くなる場合がある。
【0013】
また、N−ビニルラクタムの配合割合は、好ましくはアクリル系共重合物全体の20〜40重量%であり、さらに好ましくは25〜35重量%である。N−ビニルラクタムの配合割合が、20重量%未満になると、得られた粘着層の強度および吸水能力が低くなる場合がある。一方、40重量%を超えると、得られた粘着層の柔軟性が低く、アクリル系共重合物が水分に溶解して流れが生じる場合がある。
【0014】
アクリル系共重合物には、吸水能力を向上させるために、ビニルカルボン酸を加えても良い。
ビニルカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸半エステル、フマル酸半エステルが挙げられる。中でも、反応性、汎用性の面からアクリル酸が好ましい。
【0015】
ビニルカルボン酸の配合割合は、アクリル系共重合物全体の10重量%以下が好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。ビニルカルボン酸の配合割合が10重量%を超えると、粘着層は吸水能力が亢進し、柔軟性が低くなる傾向がある。
【0016】
さらに、多官能アクリレートまたはメタクリレートを0.01〜1重量%配合して共重合させて得られたアクリル系共重合物も有益である。
【0017】
本発明に用いられる多官能アクリレートまたはメタクリレートとしては、例えば1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等のアルキル型ジアクリレートまたはジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリエチレングリコール1000ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール400ジメタクリレート等のアルキレングリコール型ジアクリレートまたはジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート等のエステル型ジアクリレートまたはジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等のトリメチロールプロパン型トリおよびテトラアクリレートまたはトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等のペンタエリスリトール型トリおよびテトラアクリレートまたはトリおよびテトラメタクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート型トリアクリレートまたはトリメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート等のビスフェノールA型ジアクリレートまたはジメタクリレート等が挙げられるが、親水性、安全性の面からアルキレングリコール型ジアクリレートまたはジメタクリレートが好ましく、架橋が適度に行われる点からポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリエチレングリコール400ジメタクリレートが一層好ましい。
【0018】
このアクリル系共重合物において、多官能アクリレートまたはメタクリレートの配合割合は、好ましくはアクリル系共重合物全体の0.01〜1重量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。この成分の量が、0.01重量%未満になると、架橋が不十分となり、強度が低下し、水溶性となる傾向がある。一方、1重量%を超えると、柔軟性、粘着性が低下し、親水性が著しく低下し、吸水後白化する傾向がある。
【0019】
本発明の水溶性高分子の製造は、それぞれ自体既知の方法で行うことができる。
【0020】
例えば、アクリル系共重合物は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、光重合等のいずれの共重合方法で製造してもよい。
溶液重合は媒体および重合開始剤の存在下、モノマー混合物を加熱攪拌して行う。
溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられるのであり、これらは単独或いは2種以上を混合して用いることができる。
重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられるのであり、これらは単独或いは2種以上を混合して用いることができる。
重合開始剤は、モノマー100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下で重合が好ましく進行し、0.1重量部以上0.5重量部以下がより好ましい。
【0021】
また、アクリル系共重合物は、光開始剤の存在下、モノマー混合物にUV光を照射して行う光重合でも重合できる。
光重合は多官能アクリレートまたはメタクリレートを除くモノマーおよび光開始剤の混合物を十分窒素置換した後、一定の線量のUV光を照射し、得られる部分重合シロップに、必要に応じて、多官能アクリレートまたはメタクリレートおよび後述する可塑剤を混合したものを塗布或いは枠内に流延した後、十分なUV光を照射することにより、共重合物を得る。あるいは、モノマー、光開始剤、および必要に応じて、可塑剤の混合物を十分窒素置換した後、一定の線量のUV光を照射し、得られる部分重合シロップを塗布或いは枠内に流延した後、十分なUV光を照射することにより、共重合物を得る方法が好ましい。
【0022】
この場合、部分重合時の総照射線量は20mJ/cm以上300mJ/cm以下が好ましく、完全重合時の総照射線量は1000mJ/cm以上10000mJ/cm以下が好ましく、2000mJ/cm以上5000mJ/cm以下がさらに好ましい。
【0023】
光開始剤は、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系光開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光開始剤である。
光開始剤は吸光係数等によっても異なるが、モノマー100重量部に対して0.005重量部以上0.5重量部以下で重合が好ましく進行し、0.01重量部以上0.2重量部以下がより好ましい。
【0024】
また、この場合、必要に応じて光開始助剤を加えてもよい。光開始助剤は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルエキシル等が挙げられるのであり、これらは単独或いは2種以上を混合して用いることができる。
光開始助剤は、モノマー100重量部に対して0.01重量部以上1重量部以下で重合が好ましく進行し、0.02重量部以上0.5重量部以下がより好ましい。
【0025】
水溶性高分子には、必要に応じて可塑剤を添加することができる。
可塑剤を添加することにより、一層柔軟性および粘着性を向上することができる。さらに都合の良いことには、液体或いは固体培地からの水分の吸収により粘着性が低下し、成育したコロニーを他のメディアに容易に転写することができる。この可塑剤としては、使用する水溶性高分子との相溶性が良く、親水性である化合物を用いることが望ましい。
【0026】
例えば、アクリル系共重合物に可塑剤を添加する場合、可塑剤はアクリル系共重合物100重量部に対して5重量部以上40重量部以下が好ましく、10重量部以上30重量部以下がさらに好ましい。また、他の水溶性高分子に可塑剤を添加する場合、可塑剤は水溶性高分子100重量部に対して5重量部以上500重量部以下が好ましく、10重量部以上300重量部以下がさらに好ましい。
【0027】
可塑剤が、アクリル系共重合物100重量部に対して40重量部を超えると、凝集力の低下等のアクリル系共重合物の特性が失われたり、後述する電子線等の放射線や化学的架橋剤による不溶化が困難となったり、多官能アクリレートまたはメタクリレート架橋による不溶化が困難となる場合がある。これらの観点より、可塑剤はアクリル系共重合物100重量部に対して40重量部以下とするのがより好ましい。また柔軟性および粘着性を一層向上させるためにも、可塑剤はアクリル系共重合物100重量部に対して5重量部以上とするのが好ましい。
【0028】
本発明で使用される可塑剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の低分子量の多価アルコール、平均分子量が1000以下であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンソルビトール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル等が挙げられるが、優れた柔軟性、粘着性および親水性が得られる点から、特に平均分子量が200以上800以下であるポリオキシプロピレングリセリルエーテル、平均分子量が200以上800以下であるポリオキシプロピレングリコール、平均分子量が200以上800以下であるポリオキシプロピレンソルビトールなどが好ましい。
【0029】
また、適度な水分率を維持するために、親水性低分子物質を添加することもできる。親水性低分子物質としては、高沸点液状物質及び/又は潮解性無機塩類等が挙げられる。高沸点液状物質としては沸点が100〜400℃、好ましくは200〜350℃の化合物が好ましい。その具体例として、多価アルコール、糖アルコール等が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が、糖アルコールとしてはソルビトール等が挙げられる。また、潮解性無機塩類の具体例としては、硝酸リチウム、塩化リチウム等が挙げられる。
【0030】
親水性低分子物質の使用量は、水溶性高分子100重量部に対して20〜300重量部であることが好ましく、この割合はポリアクリル酸系高分子化合物において特に好ましいものである。該親水性低分子物質の使用量が20重量部以下では顕著な吸湿効果や保湿効果が得られず、300重量部以上では水性組成物の粘度が高すぎて作業性が悪いために好ましくないものである。
【0031】
上記した水溶性高分子、水溶性高分子と可塑剤および/または親水性低分子物質は、水と必要に応じて架橋剤を加え、混合攪拌してゲル化物を形成する。あるいは、PVAのように凍結、融解ゲルとして使用することもある。また、電子線或いはγ線等の放射線照射架橋によるゲル化も挙げられる。特に、アクリル系共重合物の場合はUV光重合が有効である。
【0032】
好ましい架橋剤として、例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等の分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は、特にポリアクリル酸系高分子化合物において好ましいものである。
【0033】
架橋処理方法としては、例えば電子線或いはγ線等の放射線照射架橋による不溶化が挙げられる。この場合、放射線の照射線量は、例えばアクリル系共重合物であればその水溶性の度合いによって異なるが、1kGy以上50kGy以下とするのが望ましい。特に滅菌を兼ねるなら、25kGy以上50kGy以下とするのが望ましい。25kGy以下の場合には、滅菌は保障しがたく、照射線量が25kGy以上の場合には、医療関連法規の定める滅菌を兼ねることができる。50kGyを超える場合、着色等の変性が著しく、使用は制限される。
【0034】
また、アクリル系共重合物に可塑剤を配合することによって水溶性が増加する場合にも、架橋処理による不溶化が必要となる場合が有る。
【0035】
さらに、前述のアクリル系共重合物に可塑剤を添加する場合のアクリル系共重合物の配合割合が、アクリル系共重合物と可塑剤の合計量中60重量%以上とあるのは、アクリル系共重合物のみからなる場合、つまりアクリル系共重合物100重量%の場合も含み、架橋処理によってアクリル系共重合物の不溶化を実現し、保形性を実現する必要がある場合も有る。
【0036】
前記水性組成物における水分率は、5〜95重量%が好適であり、固化・硬化後のゲル層の水分率は通常5〜80重量%の範囲に保つことが好ましい。この水分率は、特にポリアクリル酸系高分子化合物において好ましい水分率である。また、ゲル化物のpHは必要に応じ調整することができるが、通常6.5〜7.5の範囲が好ましい。
【0037】
本発明で使用される支持体は透水性でなければならない。例えば、それ自身が透水性である紙、織布、不織布や多孔質フィルム等、あるいは非透水性の紙、織布、不織布、多孔質フィルム等に貫通孔を設けて水透過性としたものが使用される。例えば、ポリエチレンラミネート加工紙、ポリプロピレンをラミネート処理したレーヨン、ポリエステル、綿等の不織布、サイジング処理した紙あるいは、親水処理したフィルムを、ゲル層形成後に穿孔ローラー等で支持体側から穴を空ける等の手段で最終的に透水性にしたものが使用される。
【0038】
本発明の粘着性シートは、自体既知の方法で製造される。
【0039】
例えば、可塑剤、親水性低分子物質および/または架橋剤を含有する、水溶性高分子物質の水溶液(水性組成物)を支持体に塗布し、10℃〜200℃で乾燥させ、支持体が非透水性の場合は、支持体に穴をあけることによって製造される。乾燥によって薄膜状に形成させたゲル層は、必要に応じて10℃〜100℃の温度で後処理してもよい。形成されたゲル層は、適度な粘着性と水分率が付与されている。
【0040】
特に、アクリル系共重合物は、優れた熱可塑性を有するために、押出し成形によりシート状に加工することができる。この押出し成形はインフレーション成形、Tダイ成形、ラミネーション成形等の一般に知られるあらゆる方法を用いることができるが、高温押出し、急冷が可能なので光学的性質に優れたフィルム或いはシートが得られ、且つ冷却能率が良いので生産速度を上げられる上、シート厚みの調節が容易である等の観点より、Tダイ成形が好ましい。
尚、押出し機は単軸押出し機及び2軸押出し機のいずれを用いてもよい。
成形温度、ダイリップ幅、押出し速度、引取り速度等の成形条件を適宜に制御することにより、フィルム或いはシートの厚みを調節することができる。
この場合、成形温度は140℃以上180℃以下が好ましく、さらに好ましくは150℃以上170℃以下である。成形温度が、140℃未満の場合、しばしば非溶融物が混入して品質にバラツキが生じるおそれがあり、一方180℃を超えると、膜切れや気泡の噛み込み現象が生じるので好ましくない。
【0041】
また、このフィルムおよびシートの成形法として、カレンダー法、キャスティング法等の方法を用いることもできる。但し重合方法が光重合の場合、光開始剤を含むモノマー混合物、或いはその部分重合シロップ、または光開始剤および可塑剤を含むモノマー混合物、或いはその部分重合シロップをポリエステルフィルム等からなる剥離性フィルム上に一定の厚みで流延塗布し、その上から透明な剥離性フィルムにて覆った後、不活性雰囲気下、UV光を十分に照射することにより、重合と成膜が同時に行われる。かくして得られたフィルムおよびシートは任意の形状に裁断して粘着性シートとして使用することができ、任意の支持体と貼り合わせて使用できる。
【0042】
さらに、本発明におけるアクリル系共重合物を構成するモノマー、溶剤、重合開始剤の混合物を通常の操作でラジカル重合することによりアクリル系共重合物を得ることができるのであり、このアクリル系共重合物の溶液をキャスティングしてフィルムを形成することもできる。このフィルムはその厚みが10〜75μm、好ましくは20〜50μmとなるように調節されるのであり、この厚みが75μmを超えると、不純物や残存モノマーが十分に除去できなかったり、後述する乾燥時に著しく発泡したりするため好ましくなく、一方、10μm未満になると吸水量が少なく、しかも所要の強度が得られないことがあるから望ましくない。この得られたフィルムは、一定の条件下で乾燥することにより、溶剤等(溶剤および/またはプレポリマー、以下単に不純物という)および残存モノマーが除去されたフィルム状の粘着剤を得ることができる。
【0043】
この場合、乾燥条件としては、フィルムの厚さ、更に減圧乾燥或いは常圧乾燥等の乾燥条件によって異なるのであり、常圧乾燥では、フィルムの厚さが10〜75μmで、110〜150℃で30秒〜20分、特に120〜140℃で1〜15分とするのが望ましい。
【0044】
このように、本ポリマーで形成されたフィルムを乾燥することによって不純物や残存モノマーが除去される結果、品質が安定する上、この不純物や残存モノマーに基づく、微生物への悪影響を除くことができる。
【0045】
上記アクリル系共重合物を溶剤でキャスティングする方法を除いて、本発明のフィルム状或いはシート状の粘着剤はその厚みが、10μm以上、好ましくは20μm以上2000μm以下、さらに好ましくは30μm以上1000μm以下に設定されることが好適である。この厚みが、10μm未満の場合、しばしば膜切れ現象を生じて好ましくなく、2000μmを超えるものは透水性が悪く、しかも厚くする意味がないのである。
【0046】
本発明において、水溶性高分子をこのフィルム状またはシート状に成形してから、電子線或いはγ線等の放射線を照射することにより、架橋を施すこともできる。特にアクリル系共重合物において、この放射線架橋が有効である。架橋処理は前述と同様の条件で行うことができる。
【0047】
また本発明の粘着性シートは滅菌した状態で細菌遮断性包材に封入する等により、無菌状態を保持した形態をとることができる。なお滅菌法はEOG(エチレンオキサイドガス)法、電子線法、γ線法を用いるのが好ましい。
即ち、上記の粘着性シートを細菌遮断性包材に封入する等により、無菌状態を保持し得る形態とした後、電子線或いはγ線を照射して架橋および滅菌処理を施すことにより、本発明のポリマー並びにこれを用いてなる粘着性シートを流通に供することができる。
【0048】
この場合、電子線或いはγ線等の放射線の照射線量はポリマーの親水度によって異なるが、架橋処理は前述と同様の条件で行うことができる。
【0049】
このようにして得られた粘着性シートのゲル層は、粘着性であり、かつ均質な水吸収性を有するのが好ましい。
すなわち、ゲル層は、SUSBA430板での300mm/分の速度で180°方向への引剥し接着力(JISK6854に準じる)が、5〜500g/20mm、好ましくは100〜400g/20mmである。
【0050】
また、本発明のポリマーにおいて、24時間吸水率が20重量%以上5000重量%以下であるものが特に望ましい。
【0051】
ここで吸水率とは、ポリマーをフィルム状或いはシート状に成形し、これを1.5cm×1.5cmに裁断し、吸水前の重量を測定したのち、各裁断片をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4、32℃)135ml中に24時間浸漬した。そののち、各裁断片を取り出して表面の水分を拭い取り、吸水後の重量を測定し、増加した重量から算出した値である。
【0052】
この吸水率の増加に伴い、柔軟性、応力緩和性が増大するが、吸水率が5000重量%を超えると、ゲル強度が低下して脆くなるか、或いは溶解傾向となり、実質的に使用不可能となるが、吸水率が5000重量%以下では実質的に使用可能な強度を有するゲル状態を得ることができ、特に3000重量%以下で有効に使用可能な強度を有するゲル状態を得ることができる。
一方、吸水率が20重量%未満になると、透水性が悪くなり、支持体からの水分、栄養分の吸収が悪くなる。
【0053】
本発明の粘着性シートを用いて細菌検査を行う方法について説明する。例えば、本発明の粘着性シートを有するローラーを床、壁等の被験物質に圧着、清掃し被験面上に付着している細菌類や真菌類をローラー上に捕集する。細菌類や真菌類が付着した粘着性シートを所定の大きさに切断し、液体培地を滴下した吸収パッド上、あるいは寒天培地、液体培地を含有または含浸した水性ゲル等の固体培地上に該シートの支持体側を接触させ、粘着層が上になるように設置し、さらに滅菌シャーレに入れて孵卵器内で培養する。図3に培養方法の一例を示す。細菌等8が付着した粘着性シート1の粘着層2を上にして、液体培地を含有した吸収パッド7とシート1の支持体3を接触させて設置し、それをシャーレ6に入れる。液体培地を使用した場合、液体培地は培養中に毛細管現象によって粘着性シートの粘着層(ゲル層)に移行し、さらにゲル中の水分を媒介として粘着層の表面にまで拡散し、コロニーを発現せしめる。その際、液体培地に特定の抗菌剤や抗生物質等を所定濃度、含浸させるとMRSA等の抗生物質耐性菌のコロニーのみを発育させることもでき、検出機能が付与される。本発明に用いられる液体培地としては、検出目的の菌類に応じて標準寒天培地やLB培地等が使用される。
【0054】
液体培地には、MRSA等の耐性菌検出目的に応じて抗菌剤や抗生物質を含有させてもよい。使用しうる抗菌剤や抗生物質としては、アルコール類、グルタルアルデヒド、ヨードホール、ポピドンヨード、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、グルコン酸シクロヘキシジン、ベンズイソチアゾリン、有機窒素含有環式化合物、有機窒素硫黄系化合物、有機窒素硫黄ハロゲン化合物、ピリジンオキサイド系化合物、セフェム系、第二世代セフェム系、第三世代セフェム系抗生物質(セファロシン、セファロリジン等)、ペニシリン系抗生物質(メチシリン、アンピシリン、ペニシリンG等)、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン等)、ペプチド系抗生物質(バンコマイシン等)、アミノグリコシド系抗生物質(アルベカシン、ストレプトマイシン、カナマイシン等)が挙げられる。
【0055】
本発明の粘着性シートの応用の一例として、該粘着性シートをローラーとして使用すれば、細菌を粘着捕獲したシートを液体培地を吸収させたパッドに接触させるだけで粘着面にコロニーを発現させることができ、被験物質の清浄度を簡便に測定する院内環境調査用などに利用できる。また、液体培地中にメチシリン等の特定の抗菌剤や抗生物質を含有させることによりMRSA等の耐性菌の検出用途にも使用できる。さらに、本発明の粘着性シート或いは該シートから製造されたローラー、吸収パッド、培地、抗菌剤、シャーレ等の付属部品をセットにしたキットとして利用することにより、誰でも何処でもできる環境調査器具一式を提供することができる。
【0056】
【実施例】
次に本発明を実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
【0057】
実施例1
市販のポリアクリル酸(平均重合度40,000の日本純薬(株)製10H)100.5gを水84gに溶解する。さらにポリアクリル酸(平均重合度40,000の日本純薬(株)製10LP)86gとグリセリン217gを加熱しつつ溶解する。次いでNaOH35gを添加混合し、60モル%のケン化度のポリアクリル酸ソーダ/グリセリン混合水溶液を得た。
本混合液に0.31重量%になるように架橋剤としてトリグリシジルイソシアヌレートを水に溶解して添加しポリアクリル酸ソーダの濃度が20重量%の水溶液を得る。
該水溶液を、厚さ80μmのポリプロピレンラミネート綿不織布上に厚みが30μmになるようにファウンテンコーターで塗布し、100℃で2分乾燥炉にて乾燥して連続的に巻き取った後、50℃で2時間硬化させて本発明の粘着性シートを得た。
該粘着性シートをポリプロピレンに穿孔を施したローラー面に積層加工して、同一粘着面(円周部)でベッドシーツ上を1往復させて細菌を採取した。該シートをミシン目に沿って切取り、シャーレ内にメチシリンを12.5μg/ml含有するm−TGE Broth を適量吸収させた吸収パッドを下に敷いて支持体側を接触させて設置した。これを孵卵器で32℃×24時間培養したところ、メチシリン耐性菌コロニーが32個検出された。
【0058】
実施例2
スチルバゾリウム化ポリビニルアルコール(平均重合度2300、ケン化度99.5モル%、Sbq導入率0.5モル%)の12.5重量%水溶液70重量部にカルボキシメチルセルロースナトリウム(平均分子量10万〜11万)の6.5重量%水溶液30重量部、ソルビトール40重量部を加えて最終的に水溶性高分子の濃度が7.6重量%の水溶液を得る。
該水溶液を厚さ80μmのポリプロピレン多孔性フィルム上に厚みが30μmになるようにファウンテンコーターで塗布し、100℃で2分乾燥炉にて乾燥して連続的に巻き取った後、出力2KWのUVランプにて片側1000mJ/cmずつ両面に照射し、さらにコバルト60を線源とするγ線(照射線量2.5kGy)を照射して本発明の粘着性シートを得た。得られた粘着性シートの吸水率を測定したところ、60.4重量%であった。
該粘着性シートをローラーに加工して、同一粘着面(円周部)で合成樹脂製床表面を1往復させて細菌を採取した。該シートを切取り破線にそって円形に抜き、円形シャーレ内で栄養寒天培地を下に敷いて支持体側を接触させて設置した。これを孵卵器で32℃×24時間培養したところ、120個のコロニーが検出された。
【0059】
実施例3
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度99.5モル%)に濃度が15重量%となるように水を加え、オートクレーブ中、110℃で2時間加熱して完全に溶解した後、室温まで冷却して15重量%のPVA水溶液を調整した。該液を直ちに−20℃のフリーザー中で12時間凍結して凍結物を得た。これを5℃の恒温槽中で約10時間静置してPVAハイドロゲルを得た。該ゲル溶液を厚さ70μmのポリエチレンラミネート紙上に厚みが40μmになるようにアプリケーターを用いて流延塗布し、穿孔処理したポリプロピレンシートに転着形成して本発明の粘着性シートを得た。得られた粘着性シートの吸水率を測定したところ、40.2重量%であった。
該粘着性シートを塗装壁面に押し当てて細菌を採取した。該シートを円形に打ち抜き、シャーレ内でテトラサイクリンを20μg/ml含有するm−TGE Broth を適量吸収させた吸収パッドを下に敷いて支持体側を接触させて設置した。これを孵卵器で32℃×24時間培養したところ、テトラサイクリン耐性菌コロニーが20個検出された。
【0060】
実施例4
攪拌機付密閉型反応器に、2−メトキシエチルアクリレート56重量部およびN−ビニル−2−ピロリドン24重量部、光開始剤として1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン0.05重量部を仕込み、10ml/min の流量で2時間窒素置換した後、総線量約50mJ/cmのUV光を照射することにより、部分的に光重合してなるシロップとした。このシロップに可塑剤としてポリオキシプロピレングリセリルエーテル(平均分子量400)20重量部を添加し、窒素気流下で1時間攪拌した。これを、シリコン処理した剥離性PETフィルム上に施した厚み1.2mmのシリコン製型枠内に流延し、その上から同様の剥離性PETフィルムにて覆った後、不活性雰囲気下で、適宜空冷しながら総線量が3000mJ/cmになるように表裏均一にUV光を照射した。これを、更に130℃で30分間乾燥した後、線量が25kGyのγ線を照射し、厚みが500μmの透明な粘着層を得た。この粘着層の吸水率は1240重量%であった。
該粘着層を厚みが70μmのポリエチレンラミネート紙上に転写した後に、穿孔処理して本発明の粘着性シートとした。
該粘着性シート上にアンピシリン耐性大腸菌を植え付ぎ、アンピシリン12μg含有のLB培地に支持体側を接触させて置き、25℃×2日間培養したところ、アンピシリン耐性大腸菌の成育が認められた。
一方、該粘着性シート上に通常(アンピシリン感受性)の大腸菌を植え付いだものは、耐性が無いために大腸菌の成育は認められなかった。
【0061】
実施例5
攪拌機付密閉型反応器に2−メトキシエチルアクリレート70重量部、N−ビニル−2−ピロリドン30重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.175重量部および蒸留水−メタノール−イソプロパノール混合溶剤(重量比=16:23:1)250重量部を仕込み、10ml/分の流量で2時間窒素置換した後、反応器内を60〜62℃に維持しながら1.5時間攪拌した。続いて、75℃で2時間攪拌することにより、反応を完結させた後、室温まで冷却して、アクリル系共重合物の溶液を得た。これに可塑剤としてポリオキシプロピレングリセリルエーテル(平均分子量400)20重量部を添加し、1時間攪拌した。
このアクリル系共重合物の溶液を剥離性紙上に一定の厚みで塗布した後、130℃で5分間乾燥することにより、溶剤および未反応モノマーを除去し、厚みが50μmの透明な水溶性高分子フィルムを得た。このフィルム中の2−メトキシエチルアクリレートおよびN−ビニル−2−ピロリドン量は各々10重量ppm以下および200重量ppmであった。
このフィルムを耐細菌性包材に封入した後、線量が27.7kGyのγ線を照射することにより粘着層を得た。この粘着層の吸水率は800重量%であった。該粘着層を孔径が1.3μm、厚みが100μmのナイロンフィルター上に転写して本発明の粘着性シートとした。
該粘着性シートをアルミ製のトイレ手摺に貼り付けた後、円形シャーレ内でLB培地を下に敷いてナイロンフィルター側を接触させて設置した。これを32℃×24時間培養したところ、54個のコロニーが検出された。
【0062】
実施例6
実施例4のγ線照射前のサンプルをPET不織布に転写後に耐細菌性包材に封入した後、線量30.2kGyのγ線を照射することにより、本発明の粘着性シートを得た。
包材から取り出した粘着性シートを枕カバーに貼り付けた後、滅菌シャーレ内に入れてLB培地上にPET不織布側を接触させて、32℃×24時間培養したところ、20個のコロニーが検出された。
【0063】
【発明の効果】
本発明の粘着性シートは、透水性の支持体と粘着層とからなり、該粘着層は粘着性による細菌捕集機能を有するとともに、適度な水分と均質な水吸収性を有するのでゲル自体が培地として機能し、吸収パッド等を介して液体培地を吸収させることにより、粘着面に捕集された細菌をそのまま培養できる。従って、細菌等の捕集効率が高くかつ煩雑な工程を必要としないものである。また、比較的清浄度が高い環境を検査するときには同一粘着面で検査範囲を拡げてもよく、アガースタンプ法やメンブレンフィルター法と比較して経済的かつ省力的に捕集できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着性シートの一実施態様を示す横断面図である。
【図2】本発明の粘着性シートの他の一実施態様を示す横断面図である。
【図3】本発明の粘着性シートを用いた細菌培養方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 粘着性シート
2 ゲル層
3 支持層
4 貫通孔
5 貫通孔
6 シャーレ
7 吸収パッド
8 細菌

Claims (6)

  1. 水溶性高分子を主成分としてなる粘着性水性ゲル層と透水性の支持体とからなる粘着性シートを、被験物質に圧着し、捕集した細菌を該粘着性水性ゲル層上で液体培地あるいは固体培地を吸収させ直接培養することによりコロニーを発育させることを特徴とする細菌検査方法。
  2. 液体培地を含む吸収パッドあるいは固体培地上に、前記細菌を捕集したシートの支持体を接触させて設置し、培養することによりコロニーを発育させることを特徴とする請求項記載の細菌検査方法。
  3. 前記培地がMRSAの選択培地であり、前記コロニーがMRSAのコロニーであることを特徴とする請求項または記載の細菌検出方法。
  4. 水溶性高分子がアルコキシアルキルアクリレートおよびN−ビニルラクタムからなるアクリル系共重合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の細菌検査方法。
  5. 水溶性高分子が親水性低分子物質を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細菌検査方法。
  6. 水溶性高分子が可塑剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の細菌検査方法。
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