JP3591105B2 - オレフィン重合用触媒、及びオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
オレフィン重合用触媒、及びオレフィン重合体の製造方法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒およびこれを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。詳しくは、高い重合活性でオレフィン重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒およびこれを用いるオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を有する遷移金属化合物、すなわちメタロセン系遷移金属化合物を含有するオレフィン重合用触媒は、オレフィンを高活性で重合または共重合させることができ、組成分布が狭く、実用性能に優れたオレフィン重合体を製造することができることが知られている。例えば、特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報においては、このようなメタロセン系遷移金属化合物に過剰量のアルミノキサンを助触媒として用いたエチレン/α−オレフィン共重合体の製造方法が開示されている。しかし、メタロセン系遷移金属化合物とともに用いられるアルミノキサンは、通常有機アルミニウム化合物と水とを反応させることによって製造されるものであり、製造工程が複雑であるとともに高価であるという問題点がある。
【0003】
このような問題を解決するため、アルミノキサンに代えて有機アルミニウムを助触媒成分として含むメタロセン系触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法が知られている。特に、特開平3−197513号公報においては、メタロセン系遷移金属化合物に対して極めて過剰量の有機アルミニウムを助触媒成分として用いたオレフィン重合体の製造方法が示されているが、オレフィン重合体中に残存する触媒残さ量が極めて多く、オレフィン重合体の熱成形時の変色や物性に悪影響を及ぼすこと等が懸念される。また、特開平7−62012号公報においては、メタロセン系遷移金属化合物に対して特定量の有機アルミニウムを助触媒成分として用いたオレフィン重合体の製造方法が開示されているが、その重合活性は工業的に満足なレベルに達していない。
【0004】
一方、Macromolecules 1993, 26, 1180 においてはフェノキシ基を有する有機アルミニウムをトリメチルアルミニウムとともに助触媒成分として用いたオレフィン重合体の製造方法が示されているが、その重合活性は極めて低い。さらに、特開平6−329713号公報においては、電子吸引性基を有するフェノキシアルミニウム化合物、特にペンタフルオロフェノキシ基を有する有機アルミニウム化合物を助触媒成分として用いたオレフィン重合体の製造方法が示されているが、その重合活性は未だ工業的に満足なレベルに達していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような諸事情の下で、本発明の解決すべき課題は、オレフィンを高活性で重合させることができ、かつ、生成するオレフィン重合体の熱成形時の変色や物性低下の心配がない、メタロセン系遷移金属化合物を含有するオレフィン重合用触媒、およびこれを用いるオレフィン重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は長年、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物から形成されるメタロセン系オレフィン重合用触媒について研究を続けてきた。その結果、メタロセン系遷移金属化合物と、ある特定の基を有する有機アルミニウム化合物から形成されるオレフィン重合用触媒が、オレフィンを高活性で重合または共重合させることができることを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、[A]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を有する遷移金属化合物と、[B]一般式 R1 2AlR2(式中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、2つのR1は同一であっても異なっていてもよい。R2は−XR3 nで表される基である。ここに、Xは周期律表の第16族の原子であり、nはXの原子価に応じ1である。また、R3は炭素原子数1〜30のアリール基であって、Xに対して環上の隣接する位置に炭素原子数1〜12の炭化水素基または珪素含有炭化水素基を有するアリール基である。)で表される有機アルミニウム化合物とからなるオレフィン重合用触媒、およびこれを用いるオレフィン重合体の製造方法に係るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明のオレフィン重合用触媒で使用する遷移金属化合物[A]は、いわゆるメタロセン系遷移金属化合物であり、例えば、一般式 MLa Zm−a (式中、Mは元素の周期律表(1993年、IUPAC)の第4族又はランタナイド系列の遷移金属原子である。Lは、シクロペンタジエニル骨格を有する基又はヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも1つはシクロペンタジエニル骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。Zは、ハロゲン又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。aは0<a≦mなる整数、mは遷移金属原子Mの原子価を表す。)で表される。
【0010】
上記一般式において、Mは元素の周期律表の第4族又はランタナイド系列の遷移金属原子であり、かかるMの具体例としては、周期律表の第4族の遷移金属としては、チタニウム原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子等が挙げられ、ランタナイド系列の遷移金属原子としては、サマリウム原子などが挙げられる。好ましくは、チタニウム原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子である。
【0011】
遷移金属化合物[A]の上記一般式におけるLは、シクロペンタジエニル骨格を有する基又はヘテロ原子を含有する基であり、少なくとも1つはシクロペンタジエニル骨格を有する基である。複数のLは互いに架橋していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する基は、例えば、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基又はシクロペンタジエニル骨格を有する多環式基である。
【0012】
置換シクロペンタジエニル基の場合の置換基には、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、あるいは炭素原子数1〜20のシリル基等が挙げられ、またシクロペンタジエニル骨格を有する多環式基の場合にはインデニル基やフルオレニル基等が挙げられる。ヘテロ原子を含有する基の場合のヘテロ原子には、窒素原子、酸素原子、燐原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0013】
置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、例えば、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、ノルマルプロピルシクロペンタジエニル基、ノルマルブチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、イソブチルシクロペンタジエニル基、第2級ブチルシクロペンタジエニル基、第3級ブチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等が挙げられる。
【0014】
シクロペンタジエニル骨格を有する多環式基の具体例としては、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0015】
ヘテロ原子を含有する基の具体例としては、メチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ベンジルアミノ基、メトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ピロリル基、チオメトキシ基等が挙げられる。
【0016】
シクロペンタジエニル骨格を有する基同士又はシクロペンタジエニル骨格を有する基とヘテロ原子を含有する基とは、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、あるいは、シリレン基、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルシリルシリレン基等の置換シリレン基等により架橋されていてもよい。
【0017】
遷移金属化合物[A]の上記一般式におけるZは、ハロゲン又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。aは0<a≦mなる整数、mは遷移金属原子Mの原子価を表す。
【0018】
Zの具体例としては、例えば、ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素原子数1〜20の炭化水素基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0019】
上記一般式 MLa Zm−a で表されるメタロセン系遷移金属化合物の内、Mがジルコニウムである化合物の具体例としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジブロマイド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロマイド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、シクロペンタジエニルジメチルアミノジルコニウムジクロライド、シクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルアミノ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド等が挙げられる。
【0020】
好ましくは、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、シクロペンタジエニルジメチルアミノジルコニウムジクロライド、シクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルアミノ)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドである。
【0021】
また、上記のジルコニウム化合物においてジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に例示することができる。
【0022】
本発明のオレフィン重合用触媒で使用する有機アルミニウム化合物[B]は一般式 R1 2AlR2(式中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、2つのR1は同一であっても異なっていてもよい。R2は−XR3 nで表される基である。ここに、Xは周期律表の第16族の原子であり、nはXの原子価に応じ1である。また、R3は炭素原子数1〜30のアリール基であって、Xに対して環上の隣接する位置に炭素原子数1〜12の炭化水素基または珪素含有炭化水素基を有するアリール基である。)で表される有機アルミニウム化合物である。
【0023】
上記一般式においてR1 は炭素数1〜12の炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。上記一般式において2つのR1 は同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
上記一般式においてXは周期律表の第16族の原子であり、第16族の原子の例としては、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。特に好ましくは酸素原子である。
【0025】
nはXの原子価に応じ1である。
【0026】
上記一般式においてR3 は炭素原子数1〜30のアリール基であって、Xに対して環上の隣接する位置に炭素原子数1〜12の炭化水素基または珪素含有炭化水素基を有するアリール基である。炭素原子数1〜30のアリール基としては、単環、縮合環のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などを例示できる。
【0027】
上記一般式のR3 において、Xに対して環上の隣接する位置に存する炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。好ましくは、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基等であり、特に好ましくは、tert−ブチル基である。
【0028】
また、上記一般式のR3 において、Xに対して環上の隣接する位置に存する炭素原子数1〜12の珪素含有炭化水素基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等であり、特に好ましくは、トリメチルシリル基である。
【0029】
Xに対して環上の隣接する位置に存する炭化水素基又は珪素含有炭化水素基は、環上の他の置換基とともに縮合環を形成していてもよい。
【0030】
上記一般式で表される有機アルミニウム化合物の内、Xが酸素である化合物の具体例としては、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジメチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジエチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジイソプロピルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジイソブチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジフェニルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジナフチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジ−トリメチルシリルフェノキシド等を例示することができる。好ましくは、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシド、ジイソブチルアルミニウム−2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシドである。
【0031】
また、上記の具体例において、ジイソブチルアルミニウムをジメチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムに変更した化合物についても同様に例示できる。
【0032】
これらの有機アルミニウム化合物は、単独で、あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明においては、粒子状担体[C]に遷移金属化合物[A]及び有機アルミニウム化合物[B]、及び/又はそれらの反応性生物を坦持させて用いることができる。粒子状担体[C]としては、SiO2、Al2O3 、MgO 、ZrO2等の無機担体、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、スチレン等のオレフィン重合体またはこれらを主成分として形成されるジビニルベンゼン等との共重合体等の有機ポリマー担体を例示することができる。
【0034】
かかる粒子状担体[C]は、通常、粒径が5〜1000mm、好ましくは、20〜200mmである顆粒状または微粒子状の固体であり、さらに多孔質であることが好ましい。
【0035】
本発明において、重合に使用するオレフィンとしては、炭素数2〜20からなるα−オレフィン、ジオレフィン等のいずれをも用いることができ、同時に2種類以上のオレフィンを用いて共重合することもできる。これらの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ヘキサデセン−1、エイコセン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチル−2−ペンテン−1、ビニルシクロヘキセン、スチレン、ノルボルネン、ブタジエン等が例示されるが、本発明は上記化合物に限定されるべきものではない。
【0036】
また本発明では、上記のようなオレフィン重合用触媒に、炭素数2〜20のオレフィンが予備重合されていてもよい。
【0037】
重合方法は特に限定されるものではなく、液相重合法、気相重合法および高圧イオン重合法のいずれにおいても可能である。液相重合に用いる溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、またはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素が挙げられ、オレフィン自身を溶媒に用いることも可能である。重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれにおいても可能であり、さらに、重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行ってもよい。重合温度は、−50℃〜500℃であり、好ましくは、0℃〜300℃である。重合圧力は、常圧〜2000kg/cm2 であり、好ましくは、常圧〜1500kg/cm2 である。重合時間は、目的とするオレフィン重合体の種類、反応装置により適宜決定されるが、一般に、10秒間〜20時間の範囲を取ることができる。また、本発明では、オレフィン重合体の分子量を調節するために、重合時に水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
【0038】
【実施例】
以下に実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例におけるオレフィン重合体の性質は下記の方法により測定した。
【0039】
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびその比で定義される分子量分布(Mw/Mn)は、ウオーターズ社製GPC−150−Cを用い、さらにカラムとして東洋曹達(株)製GMH6−HT、溶媒としてオルトジクロロベンゼン溶媒を用いて145℃で測定した。
【0040】
(2)融点(Tm)は、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、試料10mgをアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、次いで5℃/分で150℃まで昇温することによって測定した。
【0041】
(3)α−オレフィンの含有量は、パーキンエルマー社製の赤外分光光度計1600シリーズを用い、エチレンとα−オレフィンの特性吸収より検量線を用いて求め、1000C当たりの短鎖分岐数(SCB)として表した。
【0042】
実施例1
(1)有機アルミニウム成分[1]の調製
トリイソブチルアルミニウム2.0g(アルミニウム原子換算で10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させ、0℃に冷却した後、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール2.2g(10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させた溶液を滴下し、その後室温にて24時間反応させた。
【0043】
(2)重合
十分に窒素ガスで置換した内容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、トルエンを1900mlとヘキセン−1を60mlを入れ、60℃に加温し、エチレン6kg/cm2 を導入した。次に、上記(1)で調製した有機アルミニウム成分[1]2ミリモル(アルミニウム原子換算)と、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド(ジルコニウム原子換算で0.002ミリモル)をオートクレーブへ添加して重合を開始した。全圧を6kg/cm2 に保ち、60℃で25分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を停止した。反応物を塩酸酸性の大量のメタノールに投入してポリマーを析出させ、濾取したポリマーを80℃で減圧乾燥した結果、ポリエチレンを98g得た。このときの重合活性はジルコニウム1ミリモル当たり118kg/hrであった。得られたエチレン/ヘキセン−1共重合体は、Mw=67500、Mw/Mn=1.8、Tm=117.5℃、SCB=7.6であった。結果を第1表に示す。
【0044】
比較例1
(1)有機アルミニウム成分[2]の調製
トリイソブチルアルミニウム2.0g(アルミニウム原子換算で10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させ、0℃に冷却した後、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール4.4g(20ミリモル)をトルエン10mlに溶解させた溶液を滴下し、その後室温にて24時間反応させた。
【0045】
(2)重合
実施例1において、有機アルミニウム成分として有機アルミニウム成分[1]のかわりに上記で調製した有機アルミニウム成分[2]を用いた以外は、実施例1と同様にして80分間重合を行ったが、ごく少量のポリエチレンしか得られなかった。
【0046】
比較例2
(1)有機アルミニウム成分[3]の調製
トリイソブチルアルミニウム2.0g(アルミニウム原子換算で10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させ、0℃に冷却した後、フェノール0.94g(10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させた溶液を滴下し、その後室温にて24時間反応させた。
【0047】
(2)重合
実施例1において、有機アルミニウム成分として有機アルミニウム成分[1]のかわりに上記で調製した有機アルミニウム成分[3]を用いた以外は、実施例1と同様にして80分間重合を行ったが、ごく少量のポリエチレンしか得られなかった。
【0048】
比較例3
(1)有機アルミニウム成分[4]の調製
トリイソブチルアルミニウム2.0g(アルミニウム原子換算で10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させ、0℃に冷却した後、ペンタフルオロフェノール1.84g(10ミリモル)をトルエン10mlに溶解させた溶液を滴下し、その後室温にて24時間反応させた。
【0049】
(2)重合
実施例1において、有機アルミニウム成分として有機アルミニウム成分[1]のかわりに上記で調製した有機アルミニウム成分[4]を用いた以外は、実施例1と同様にして30分間重合を行った結果、18gのポリエチレンを得た。このときの重合活性はジルコニウム1ミリモル当たり18.0kg/hrであった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のオレフィン重合用触媒および該触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法を適用することで、高い重合活性でオレフィン重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の理解を助けるためのフローチャート図である。本フローチャート図は本発明の実施態様の代表例であり、本発明は何らこれに限定されるものではない。
Claims (7)
- [A]シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を有する遷移金属化合物と、[B]一般式 R1 2AlR2(式中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、2つのR1は同一であっても異なっていてもよい。R2は−XR3 nで表される基である。ここに、Xは周期律表の第16族の原子であり、nはXの原子価に応じ1である。また、R3は炭素原子数1〜30のアリール基であって、Xに対して環上の隣接する位置に炭素原子数1〜12の炭化水素基または珪素含有炭化水素基を有するアリール基である。)で表される有機アルミニウム化合物とからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
- Xが酸素原子であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン重合用触媒。
- R2 が2,6位に置換基を有するフェノキシ基であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン重合用触媒。
- R2 が2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン重合用触媒。
- 遷移金属化合物[A]及び有機アルミニウム化合物[B]、及び/又はそれらの反応生成物が、[C]粒子状担体に支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- オレフィン重合体がエチレン/α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項6記載のオレフィン重合体の製造方法。
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