JP3590635B6 - 新しい着色剤と着色剤変性剤 - Google Patents

新しい着色剤と着色剤変性剤 Download PDF

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技術分野
本発明は一群の着色剤と着色剤変性剤に関わる。本発明の着色剤変性剤は、通常の光に対して色を安定させること、及び/又は、着色剤に特定の波長の電磁波を照射した際これを変化させることができる。
発明の背景
着色剤に関する大きな問題は太陽光あるいは人工光を照射した場合、退色していく傾向があるということである。光の照射により着色剤が退色する主な原因は光分解メカニズムによるものと思われる。この分解メカニズムには着色剤が置かれている環境条件による着色剤の酸化又は還元反応が含まれる。また、着色剤の退色は着色剤が乗る基盤に影響される。
光生成物と中間体の安定性を生成物分析したところ、光分解において重要な形態があることが明らかになった。これは着色剤からの放電、基底状態の酸素あるいは励起一重項状態の酸素との反応、トリフェニルメタン着色剤といったアミノ置換ベンゾフェノンを形成する中央カーボンフェニルリング結合の開裂、無色のロイコ染料を形成する還元、遊離器基中間体を形成する電子または水素原子の抽出などが考えられる。
温度、湿度、O2,O3,SO2,NO2を始めとする気体反応物、水溶性かつ非揮発性の光分解生成物といった様々な要因が染料の退色に影響することが分かっている。着色剤の退色をもたらす要因は一定の相互依存関係にある。この複雑な挙動ため、特定の基盤と着色剤の組み合わせの退色を、一般論として他に当てはめることはできない。
温度を一定に保った状態で大気中相対湿度を上げると、様々な着色剤・基盤システムで着色剤の退色が促進されることが観察された。(例 マクラーレン・K、染料着色剤協会誌、1956年,72,527).例えば大気中の相対湿度が上昇すると、繊維の中の湿度が増え、繊維が膨張する。これは基盤の構造を通じて気体反応物の拡散を促進する。
光源が着色剤の中に光化学変化を起こす能力は、光源のスペクトル分布、特に着色剤に変化を起こすのに最も有効な波長の照射割合と波長関数としての着色剤劣化の量子収率に依存する。光化学原理によると、高エネルギーの光(短波)は低エネルギーの光(長波)よりも退色を起こしやすくするはずである。研究によると必ずしもそうならないことが分かっている。種類の違う100以上の着色剤を研究した所、一般的にもっとも不安定な着色剤は可視光線でより効率的に退色する一方、耐光性の高い着色剤は主として紫外線により退色することが分かった。(例 マクラーレン・K.、染料着色剤協会誌、1956,72,86)
着色剤の安定性に関して非常に重要なことは基盤の影響である。着色剤の退色は、基盤内のある種の化学基で遅くなったり早くなったりする。このような化学基には基底状態か励起状態の化学種がある。基盤の気孔率は着色剤の安定性にとって重要な要因である。高気孔率は基盤への湿気と気体反応物の侵入を容易にし、着色剤の退色を促進させる。また、基盤は退色の原因となりうる波長の光から着色剤を遮断し保護する作用もある。
また、基盤の純度は染色技術ポリマーの光化学反応を考えるとき、考慮すべき重要なポイントとなる。例えば工業用の木綿、ビスコースレーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレンはカーボニール基不純物を含むことで知られている。これらの不純物は、太陽光中の300ナノメータ以上の波長の光を吸収するので、励起されると、着色剤の退色を起こす反応種になる可能性がある。(van Beek、H.C.A.、Col.Res.Appl.、1983,8(3)、176)
それ故に様々な着色剤を、太陽光・人工光に対し安定化できる方法の需要が高まっている。
また、所定の電磁波を照射する場合に、色ありから色なしの形態に変えることのできる着色剤が求められている。ある種の用途として、理想的な着色剤は通常の光で安定し、所定の電磁波を照射した場合色なし形態に変わることができるものとなろう。
発明の要約
本発明は、上記の必要性を述べ、可視光線を含む放射に対し着色剤を安定させるための成分と方法を提供する。さらに本発明は、特定の狭帯域方射にさらすことにより光に対し安定性を持った着色剤システムを変化させる実施例をいくつか提供する。ある種の実施例の場合、着色剤システムは通常の可視光線では安定し、特定の電磁波照射で変化する。
一実施例において、本発明は放射吸収剤が存在する条件下で、特定の電磁波を照射されると変化する着色剤で構成された成分を提供する。同時に、この成分は、太陽光か人工光を照射されると着色剤を光に対し安定化する。放射吸収剤は光を吸収するのに適合した物質で、着色剤と相互作用し着色剤を変化させる。一般的に放射吸収剤は光反応剤と波長特定増感剤を含んでいる。波長特定増感剤は一般的に特定の波長を有する光、即ち特定量のエネルギーを吸収し、そのエネルギーを光反応剤へ伝達する。着色剤の変化は不可逆的であることが望ましい。
本発明は、着色剤が変更光反応剤と会合し、安定性が改善される着色剤成分に関する。従来の光反応剤、即ち普通にカルボニル基を含み該カルボニル基に対しα位置にある炭素上に官能基を持つ光反応剤は、α炭素上の官能基が脱水・除去された時、着色剤を安定化する能力を得ることが分かっている。従って、本発明にはカルボニル基に対しα位置にあるヒドロキシル基を持つ光反応剤を脱水する新たな方法も含まれる。この反応は光反応剤に着色剤を安定化させる能力を与えるために必要である。カルボニル基に対しα位置にあるヒドロキシル基を持つ光反応剤を脱水する新しい方法は、多くの光反応剤と共に使うことができ、着色剤を安定化させる能力を光反応剤に与える。出来あがった変更光反応剤は、波長選択感光剤と適宜結びつき、着色剤に所定の狭帯域電磁波を照射する時、着色剤を脱色する能力を与えることもできる。その結果本発明は混ぜあわされて着色剤を安定化する光反応剤を提供する。
本発明のある実施例では、着色剤と放射吸収剤の混合物を照射により変えることができる。この実施例の場合、上に示したように着色剤と混ぜると、光反応剤は変化することもあればしないこともあるが、着色剤に安定性を与える。一実施例の場合、紫外線放射吸収剤は紫外線を吸収できるようにし、着色剤と相互に作用し、着色剤に不可逆的変化を起こす。紫外線放射吸収剤は約4から300ナノメータの波長の紫外線を吸収することが望ましい。紫外線放射吸収剤は100から300ナノメータの紫外線を吸収する事がより望ましい。紫外線吸収剤と結合した着色剤は、太陽光か人工光を照射されたとき安定状態のままである。光反応剤を前述のごとく変更すると、太陽光か人工光を照射されたときの着色剤の安定性が改善される。
本発明の考慮すべき別の安定剤はアリルケトンアルケンである。以下に一般構造式を示す。
Figure 0003590635
ここで、R1は水素、アルキル基、アルケニール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基またはヘテロアリル基である。
R2は水素、アルキル基、アルケニール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基またはヘテロアリル基である。
R3は水素、アルキル基、アルケニール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基またはヘテロアリル基である。
R4はアリル、ヘテロアリルまたは置換アリル基である。
アルケン基はトランス配置が好ましい。
アリルケトアルケンの安定化化合物は以下の構造式を持つのが望ましい。
Figure 0003590635
これは約308ナノメータの光を効率よく吸収する。
Figure 0003590635
これは約280ナノメータの光を効率よく吸収する。本発明のアリルケトアルケン安定化化合物は二重結合に関し、トランス配置となることが望ましい。しかし増感剤は二重結合を横切ってシス配置であってもよい。
結果として本発明のこの実施例は、安定化分子、即ち上記アリルケトアルケンを提供する。この安定化分子は着色剤と会合し着色剤を安定化する。それ故に上記アリルケトアルケンはどんな着色剤成分にも添加剤として利用できる。例えばアルケトアルケン化合物が水に溶けにくければ溶剤かオイルベース(水ベースではなく)着色剤成分に直接加えることができる。さらにアリルケトアルケン化合物は、該化合物を液状化させ得る添加物を含む他の着色成分に加えることができる。そのうえアリルケトアルケン安定化化合物はシクロデキストリンのような多量に水に溶ける分子の化合物に付着させることによって水溶性溶液に溶かすことができる。
本発明のもう一つの実施例では、本発明の着色化合物は、少なくとも一つの空洞となる化学構造を有する分子を含む場合がある。分子含有物の一部を上げると、包接化合物、ゼオライト、シクロデキストリン等である。着色剤と紫外線放射吸収剤又は変更光反応剤又はアリルケトアルケン安定化化合物のそれぞれ、少なくとも一つの分子含有物と会合できる。この含有物はそれと会合した多重放射吸収剤を持つことができる。(参照 同時係属米国特許出願番号No.08/359,670)他の実施例では、含有物は多くの変更光反応剤あるいはアリルケトアルケン安定化化合物と会合させることができる。
いくつかの実施例では着色剤は少なくとも部分的に分子含有物の空洞内に含まれている。そして紫外線放射吸収剤・変更光反応剤・アリルケトアルケン安定剤のいずれかが空洞の外の分子含有物と会合している。いくつかの実施例で紫外線放射吸収剤・変更光反応剤・アリルケトアルケン安定剤のいずれかが分子含有物の外側と共有結合している。
また、本発明は本発明の成分と会合する着色剤を変化させる方法にも関する。この方法は、可変着色剤と紫外線放射吸収剤を含む成分を、着色剤が変化するに足る十分な線量の紫外線を照射することからなる。上で示したように、いくつかの実施例の場合、成分は分子含有物を含んでいる。別の例では成分は紫外線に当てられる以前に基盤に塗布される。変化した着色剤は安定であることが望ましい。
本発明は、また、この発明の成分によって生成された画像をもつ基盤に関する。放射吸収剤・変更光反応剤・アリルケトアルケン化合物のいずれかがあると、着色剤は太陽光や人工光に対してより安定になる。分子含有物が成分に含まれている場合、着色剤に対する放射吸収剤の比率を下げると着色剤は安定化する。
また本発明は乾燥画像処理を含んでおり、画像処理に、例えば以下の三色の可変着色剤:シアン、マゼンタ、イエローを使用する。この可変着色剤は基盤上で層を成すことも、共に混ぜて単層として塗布することもできる。例えば三種類の異なる波長のレーザーを使うレーザー技術で、選択的に色を「消す」ことで画像を作る。本発明の更なる利点は、通常の光を照射されたとき残留する着色剤が安定した状態にある点である。
また、本発明はデイスクのような基盤上で可変着色剤を使用してデーターを蓄積する方法を含んでいる。適切な波長のレーザーを使用して着色剤を選択的に変化させ、情報を蓄積するために必要な二進法の情報を提供する。本発明はこの目的に特に有効である。なぜなら変化しない着色剤は放射吸収剤により通常の光に対し安定化されており、適宜に含ませた分子含有物で更に安定化されているからである。
また本発明には光感知装置を使ったデーター処理形式も含まれる。この装置は、形式の中に符号収納位置に符号があるか否かを調べる装置である。データー処理形式はキャリアー物質のシートとシート表面にある多数の符号収納位置で構成されている。符号収納位置は、可変着色剤と放射吸収剤を含む着色成分で決められる。本発明のデーター処理形式は、添付書類に記載する同時係属米国特許出願番号No.08/360,501,で開示されている。本発明の上記及びその他の特徴と利点は、以下の開示実施例と付属する請求項目の記述を読めば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
図1は、紫外線放射吸収剤・可変着色剤・分子含有物複合体を示す。この中で、可変着色剤はマラカイトグリーン、紫外線放射吸収剤はIRGACURE184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、分子含有物は、β−シクロデキストリンである。
図2は、紫外線放射吸収剤・可変着色剤 分子含有物複合体を示す。この中で、可変着色剤はビクトリアピュアブルーBO(BasicBlue7)、紫外線放射吸収剤はIRGACURE184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、分子含有物は、β−シクロデキストリンである。
図3は、着色成分の分子含有物の1個の分子と共有結合する紫外線放射吸収剤の平均個数(置換度合とも呼ばれる)に対する、222ナノメータエキシマーランプ紫外線照射による脱色時間の関係を表わす。
図4は、四本の平行に配置された22ナノメータエキシマランプの図である。この中の12の数はエキシマーランプから約5.5cmのところで輝度測定した12箇所の位置を表わす。
図5は、四本の平行に配置された22ナノメータエキシマーランプの図である。この中の9の数はエキシマーランプから約5.5cmのところで輝度測定した9箇所の位置を表わす。
図6は、四本の平行に配置された222ナノメータエキシマランプの図である。この中の「1」の位置で、ランプとの距離を増やして10箇所の輝度測定をしている。(この測定値とランプからの距離を表12に要約する。)
発明の詳細な説明
本発明は、一般的に狭帯域の照射により適宜変化できる光に対し安定な着色剤システムに関する。本発明は特に、放射吸収剤がある場合は通常の光では安定しているが、ある特定の狭帯域の照射を受けた時に変化できる着色剤を構成する成分に関わる。放射吸収剤は放射を吸収し、着色剤と相互作用して着色剤に変化をもたらすことができる。放射吸収剤は放射を吸収し、着色剤と相互作用して着色剤に変化をもたらす物質ならなんでもよい。一般的に、放射吸収剤は光反応剤と波長特定増感剤を含む。波長特定増感剤は一般的に特定の波長の放射を吸収し、それ故に特定のエネルギー量を吸収することになり、そのエネルギーを光反応剤に伝達する。着色剤の変化は不可逆的であることが望ましい。
本発明は、変更光反応剤と会合した安定性を改善した着色剤成分に関する。従来の光反応剤、即ち普通にカルボニル基を含み該カルボニル基に対しα位置にある炭素上に官能基を持つ光反応剤は、α炭素上の官能基が脱水・除去された時、着色剤を安定化する能力を得ることが分かっている。従って、本発明には、カルボニル基に対しαの位置にあるヒドロキシル基を持つ光反応剤を脱水する新たな方法も含まれる。この反応は光反応剤に着色剤を安定化させる能力を与えるために必要である。カルボニル基のα位置にヒドロキシル基を持つ光反応剤を脱水する新しい方法は、多くの光反応剤と共に使うことができ、着色剤を安定化させる能力を光反応剤に与える。できあがった変更光反応剤は、波長選択増感剤と適宜結びつき、着色剤に所定の狭帯域電磁波が照射された時、着色剤を脱色することになる。その結果本発明は混ぜあわたされた際に、着色剤を安定化できる光反応剤を提供する。
本発明のある実施例では、着色剤と放射吸収剤の混合物は照射により変化する。この実施例の場合、上に示したように着色剤と混ぜると、光反応剤は変化することもあればしないこともあるが、着色剤に安定性を与える。一実施例の場合、紫外線放射吸収剤は紫外線を吸収できるようにし、着色剤と相互に作用し、着色剤に不可逆的変化を起こす。紫外線放射吸収剤は約4から300ナノメータの波長の紫外線を吸収することが望ましい。光反応剤を先述のごとく変更すると、太陽光か人工光を照射されたときの着色剤の安定性が改善される。
また、本発明はこの発明の成分中の着色剤を変える方法に関する。この方法は可変着色剤と放射吸収剤を含んだ成分に、着色剤を変化させるに十分な線量の放射を照射することからなる。
更に、本発明は着色剤と上記の変更光反応剤を結合させて着色剤を安定化させる方法に関する。光反応剤は波長選択増感剤、分子含有物のいずれかないし両方と適宜会合させてよい。
こうして光反応剤上のカルボニル基に対しα位置にある三級アルコールを脱水処理するプロセスで生成された安定化成分は下の一般構造式で示される。
Figure 0003590635
ここでR1は水素、アルキル基、アルケニール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基またはヘテロアリル基である。
R2は水素、アルキル基、アルケニール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基またはヘテロアリル基である。
R3は水素、アルキル基、アルケニール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基またはヘテロアリル基である。
R4はアリル、ヘテロアリルまたは置換アリル基である。
アルケン基はトランス配置が好ましい。
アリルケトアルケンの安定化化合物は以下の構造式を持つのが望ましい。
Figure 0003590635
結果として本発明の本実施例は安定化分子、即ち上記のアリルケトアルケンを提供する。安定化分子は着色剤と会合したとき着色剤を安定化させる。それ故に上記のアリルケトアルケンはどんな着色剤成分にも添加物として使える。例えばアリルケトアルケン化合物は水に溶けないので直接溶剤かオイルベース(水ベースでなく)着色剤成分に加えることになる。さらにアリルケトアルケン化合物は、化合物を溶けやすくする添加物を含む他の着色剤成分に加えられる。その上、アリルケトアルケン安定化化合物は、シクロデキストリンのような水に多量に溶ける分子を付加することよって水性溶液に溶かすことができる。
ここで使われた様々な用語の定義づけをしてから、本発明の可変着色剤成分とその成分の作り方と使い方について詳しく述べた後、本発明の光に対して安定性を高めた成分とその作り方について詳しく説明する。
定義
「成分」、派生用語「着色成分」は、着色剤と放射吸収剤・変更光反応剤・アリルケトアルケン安定剤のいずれかを意味する時に用いる。着色成分が変更光反応剤を含む場合、波長選択増感剤を更に含んでいてもよい。着色成分がアリルケトアルケン安定剤を含む場合、光反応剤も意味することがある。特定な応用に適した着色成分について述べている場合、「化合物を元にした」という語は、物質が着色剤、紫外線放射吸収剤、変更光反応剤、アリルケトアルケン安定剤または時に分子含有物の意味を含んでいることを示す修飾語句として使われる。
「着色剤」とは、有機着色物あるいは顔料のような典型的な有機物を、制限なしに含んでいる。着色剤は、照射される紫外線に対して本質的に透明で、意味のある相互作用を行わないことが望ましい。この後は単一物質か二つ以上の混合物を意味する。
「不可逆的」とは、紫外線に当たらなくなった時に着色剤が元の色に戻らないことを意味する。「放射吸収剤」とは、特定の波長の光を吸収でき、着色剤と相互作用し着色剤を変化させると同時に、太陽光と人工光による退色から着色剤を保護する物質を意味する。「紫外線放射吸収剤」とは、紫外線を吸収することができ、着色剤と相互作用し着色剤を変化させる物質を意味する。実施例の紫外線放射吸収剤は有機化合物であることが多い。放射吸収剤が波長選択増感剤と光反応剤で構成される場合、光反応剤は下で述べるように適宜変化してもよい。
「化合物」は単独の物質あるいは二つ以上の物質の混合物質を意味する。二つ以上の物質が使われる場合、全ての物質が同じ波長の放射を吸収する必要はない。以下でより詳しく述べるが、放射吸収剤は光反応剤と波長選択増感剤で構成される。この放射吸収剤は、放射吸収剤と会合した着色剤を、太陽光ないし人工光に対し安定化させるという追加的特性を有する。
「光安定」とは、放射吸収剤・変更光反応剤・アリルケトアルケン安定剤分子と会合した着色剤を太陽光・人工光に限らず光に対し、会合しない場合より安定化させることを意味する。
「分子含有物」という語は、少なくとも一つの空洞を定義する化学構造を持つ物質を意味する。つまり分子含有物質は空洞を含む構造である。空洞とは、着色剤と紫外線吸収剤のどちらかないし両方の少なくとも一部を受け入れる十分な間隙あるいはスペースを意味する。
「官能分子含有物」とは、紫外線吸収剤・変更光反応剤・アリルケトアルケン安定剤のいずれかの1個以上の分子が分子含有物の各分子と共有結合する分子含有物を意味する。「置換度合」とは、分子含有物の各分子と共有結合するこれら分子ないし離脱基(以下で説明)の数を意味する。
「誘導分子含有物」とは、分子含有物の各分子が2個を超える離脱基を共有結合させる分子含有物を意味する。「離脱基」とは、二分子求核置換反応に関与できる遊離基を意味する。
「人工光」とは、従来の白熱電球、蛍光電球に限定することなく従来の光源から発せられる比較的広帯域の光を意味する。
「紫外線放射」とは、波長が約4から400ナノメターの電磁放射を意味する。本発明の特に望ましい紫外線周波帯は、約100から375ナノメータの間である。この語は紫外線または真空紫外線呼ばれる領域を含んでいる。典型的な二つの領域に振り分けられた波長域は、それぞれ約180から400ナノメータと100から180ナノメータである。
「そこに」とは、その上かその中を意味する。例えば本発明にはそこに着色成分を有する基盤を含んでいる。「そこに」の定義では、着色された生成物は基盤の上あるいは基盤の中に存在することを意味する。
着色剤に関連し「可変」とは、電磁気スペクトラムの可視領域における着色剤の吸収最大値が、放射吸収剤が存在する場合、放射望ましくは紫外線放射に曝されて変化されうることを意味する。一般にこうした吸収最大値は、紫外線照射以前の着色剤吸収最大値と異なり、かつ変化が不可逆的ありさえすればよい。従って、新たな最大吸収は電磁波スペクトラムの可視光線領域の内で起こることもあれば外で起こることもある。言い換えれば、着色剤は違った色に変わるか無色になり得る。後者が適しているのは、符号収納型式のどの部分に符号があるかを検出する感光装置を使ったデーター処理形式に、本着色剤を使う場合である。
官能分子含有物
実施例において、放射吸収分子、波長選択増感剤、光反応剤、アリルケトアルケン安定剤が分子含有物と会合することがある。すべての構造式において、このような分子の数は分子含有物1個につき約1から21の間になることが知られている。もちろん特定の条件で一分子含有物につき21を超えることもある。一分子含有物につき、このような分子が3を越すことが望ましい。
官能分子含有物の置換度合は1から21の間にあってもよい。もう一つの例として置換度合は3から10の間にあってもよい。他の例では約4からの9の間にあってもよい。
着色剤は官能分子含有物と会合する。広い意味の「会合」とは、着色剤が少なくとも官能分子含有物のかなり近くにあることを意味する。例えば着色剤は、水素結合・ファンデルワールス力等によって官能分子含有物と近くにある。これにかわるものとして、望ましいとか必要とか言うわけではないが、着色剤が官能分子含有物と共有結合することがある。その他の例として、着色剤は少なくとも部分的に官能分子含有物の空洞に含まれることがある。
以下の例にで示す方法は、着色剤と紫外線吸収剤をb−シクロデキストリンと調製・会合させる方法である。例示を目的に、例1,2,6,7は着色剤と紫外線放射吸収剤をシクロデキストリンに調製・会合させる方法を一つ以上示している。
紫外線放射吸収剤が分子含有物と共有結合している本発明の実施例の場合、紫外線放射吸収剤から着色剤へのエネルギー伝達効率は、少なくとも部分的に、分子含有物に付加された紫外線放射吸収剤の分子数の関数である。上記の合成方法で、分子含有物の各分子に平均2個の吸収剤分子が共有結合する結果となることが現在よく知られている。着色剤を変化させるのに要する時間は少なくとも部分的に、分子含有物1分子と共有結合する紫外線放射吸収剤分子の数の関数でなければならないので、分子含有物の1分子に平均2個を越す紫外線放射吸収剤分子が共有結合する着色成分を改善する必要性がある。
上記のように、本発明は着色剤と官能分子含有物を含んだ成分に関する。例示のみを目的に、例12から19,21,22で、着色剤と紫外線放射吸収剤をシクロデキストリンと調製・会合させる他の方法を示す。その方法では、2個を越す紫外線放射吸収剤の分子が分子含有物1分子と共有結合している。さらに例29,31で、アリルケトアルケン安定剤をシクロデキストリンと調製・会合させる方法を示す。その方法では、シクロデキストリンに付加される安定剤の分子が平均して約3か4である。
本発明は官能分子含有物の作り方を提供する。官能分子含有物の作り方は、求核基を持った誘導紫外線吸収剤を提供するステップ、一分子につき2個を越す離脱基を持つ誘導分子含有物を提供するステップ、分子含有物の1分子に平均2個を越す紫外線放射吸収剤分子を共有結合させるに十分な条件下で誘導紫外線放射吸収剤を誘導分子含有物と反応させるステップを含む。誘導紫外線放射吸収剤の例として2−[p−(2−メチル−2−メルカプトメチルプロピオニル)フェノキシ]エチル1,3−ジオキソ−2−イソインドリン−アセテートがある。別の誘導紫外線放射吸収剤の例として、2−メチルカプトメチル−1−2−メチル1,4'−[2−[p−(3−オキソブチル)フェノキシ]エソキシ]プロピオフェノンがある。
一般に誘導紫外線放射吸収剤と誘導分子含有物を選び、二分子求核置換反応によって紫外線吸収剤と分子含有物に共有結合を起こさせる。従って求核基と離脱基の選択及び誘導紫外線放射吸収剤と誘導分子含有物の調製のどちらも深い実験経験の必要はなく通常の技術を持った当業者が容易に行えるものである。
誘導紫外線放射吸収剤の求核基は、二分子の求核置換反応に関与できる求核基ならどんなものでもよいが、もちろん当反応で、2個を越す紫外線吸収剤分子が分子含有物と共有結合をすることが前提となる。求核基は一般にルイス基、即ち一つの非共有電子対を有する基である。この基は中性か負に荷電している。求核基を例示すると脂肪族水酸基・芳香族水酸基・アルコキシド基・カルボキシル基・カルボキシレート基・アミノ基・メルカプト基等である。
同様に誘導分子含有物の離脱基は、二分子の求核置換反応に関与できる求核基ならどんなものでもよいが、当反応で、2個を越す紫外線吸収剤分子が分子含有物と共有結合をすることが前提となる。離脱基の実例として、p−トルエンスルホン酸塩(トシレート),p−ブロムベンゼンスルホン酸塩(ブロシレート),p−ニトロベンゼンスルホン酸塩(ノシレート),メタンスルホン酸塩(メシレート),オキソニウムイオン,アルキル過塩素酸塩,アンモニオアルカンスルホン酸塩エステル(ベチレート),アルキルフルオロスルホン酸塩,トリフルオロメタンスルホン酸塩(トリフレート),ノナフルオロブタンスルホン酸塩(ノナフレート),2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸塩(トレシレート)があげられる。
誘導分子含有物と誘導紫外線放射吸収剤との反応は、液体状で行われる。溶剤の選択は二つの誘導体種の溶解度に依存する。実用上、特に役立つ溶剤はN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)である。温度、反応時間などの反応条件は、一般的に求核基と離脱基の性質をもとに選ぶ。高い温度は普通必要ない。例えば反応温度は約0℃から雰囲気温度すなわち20−25℃の間である。
先述の官能分子含有物の調製は一般に着色剤なしで行う。しかし特に3を越す置換度が望まれる場合等、誘導分子含有物と誘導紫外線放射吸収剤を反応させる前に着色剤を誘導分子含有物と会合させてもよい。置換度合が3程度の場合、着色剤を官能分子含有物と会合させると、着色剤が少なくとも部分的に官能分子含有物の空洞に含まれ得ると考えられている。置換度合が6程度と高い場合、立体障害のため、着色剤は官能分子含有物の空洞に少なくとも部分的に含まれるようなことが起こらなくなる可能性がある。結果的に着色剤は、、正常ならあったにせよわずかな立体障害しか示さない誘導分子含有物と会合する。この場合、着色剤は、少なくとも部分的に、官能基分子の空洞に含まれることになる。上記の二分子求核置換反応が行われると、着色剤が少なくとも部分的に官能分子含有物の空洞に含まれる本発明の着色成分が得られる。
可変成分
先に述べた如く本発明は、放射吸収剤が存在する条件下で特定の波長の放射光に曝されると変化するような着色剤を構成する成分を与えると同時に、着色剤に対し太陽光および人工光に関する光安定性を与える。変化した着色剤は安定であること、即ち、環境で普通に遭遇する太陽光・人工光・熱といった放射ではっきりと感知できるような有害な影響を受けないことが望ましい。従って無色になった色剤はいつまでも無色であることが望ましい。
例えば、染料としては有機染料がある。例示だけであるが有機染料クラスには下記のようなものが含まれる。トリアリールメチル染料としては、マラカイトグリーンカルビノールをベースとする{4−(ジメチルアミノ)−a−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−a−フェニルベンゼン−メタノールEマラカイトグリーンカルビノールをベースとする塩酸塩{N−4−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]フェニルメチレン]−2,5−シクロヘキシルヂエン−1−イリデン}−N−メチル−メタンアミニウム塩化物またはビス[p−(ジメチルアミノ)フェニル]フェニルメチリウム塩化物Eマラカイトグリーン蓚酸塩[N−4−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]フェニルメチレン]−2,5−シクロヘキシルヂエン−1−イリデン]−N−メチル−メタンアミニウム塩化物又はビス[p−(ジメチルアミノ)フェニル]フェニルメチリウム蓚酸塩]、モノアゾ染料としては、シアンブラック、クリソイジン[ベーッシクオレンジ2;4−(フェニルアゾ)−1,3−ベンゼンジアミンモノヒドロ塩化物]・ビクトリアピュアブルーBO・ビクトリアピュアブルーB・ベーシックフスチン及びβ−ナフトルオレンジ、チアジン染料としては、メチレングリーン、亜鉛塩化物二重塩[3,7−ビス(ジメチルアミノ)−6−ニトロフェノンチアジン−5−イウム塩化物,亜鉛塩化物二重塩]、オキサジン染料としては、ルミクローム(7,8−ジメチルアロオキサジン)、ナフサアリミド染料としては、ルシファイアイエローCH[6−アミノ−2−[(ヒドラジドカルボニル)アミノ]−2,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−1H−ベンズ[デ]イソキノリン−5,8−ジスルホン酸ジリチウム塩]、アジン染料としては、ジャナスグリーンB[3−(ジメチルアミノ)−7−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]−5−フェニルフェナジウム塩化物]、シアニン染料としては、インドシアニングリーン{カルヂオ−グリーン又はフォックスグリーン;2−[7−[1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドル−2−イリデン]−1,3,5−ヘプタトリエニル]−1,1−ヂメチル−3−(4−スルホブチル)−1Hベンズ[e]インドリウムインナー塩ナトリウム塩}、インジゴ染料としては、インジゴ{インジゴブルー又はバットブルー1;2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−2H−インドル−2−イリデン)1,2−ジヒドロ−3Hインドル−3−one},クマリン染料としては、7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン(4−メチラムベリフェロン)、ベンジミダゾル染料としては、Hoechst33258[ビスベンジミド又は2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−メツル−1−ピペラジニル−2,5−ビ−1H−ベンジミダゾールトリヒドロ塩化物ペンタヒドレート]、パラキノイダル染料としては、ヘマトキシリン[ナチュラルブラック1;7,11b−ジヒドロベンズ[b]インデノ[1,2−d]ピラン−3,4,6a,9,10(6H)−ペントール]、フルオレセイン染料としては、フルオレセインアミン(5−アミノフルオレセイン)、ジアゾニウム染料としては、ジアゾレッドRC(アゾジアゾ染料No10又はファストレッドRC塩;2−メソキシ−5−クロロシベンゼンジアゾニウム塩化物、亜鉛塩化物二重塩)、アゾジアゾ染料としては、ファストブルーBB塩(アゾジアゾNo20;4−ベンゾイルアミノ−2,5−ジエソキシベンゼンジアゾニウム塩化物、亜鉛塩化物二重塩)、フェニレンジアミン染料としては、ディスパースイエロー9[N−(2,4−ジニトロフェニル)−1,4−フェニレンジアミン又はソルベントオレンジ53]、ジアゾ染料としては、ディスパースオレンジ13[ソルベントオレンジ52;1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ナフタレン]、アントラキノン染料としては、ディスパースブルー3[セリトンファストブルーFFR;1−メチルアミノ−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ−9,10−アントラキノン]・ディスパースブルー14[セリトンファストブルーB;1,4−ビス(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン]・アリザリンブルーブラックB(モーダントブラック13)、トリスアゾ染料としては、ダイレクトブルー71[ベンゾライトブルーFFL又はシリウスブルーBRR;3[(4−[(4−[(6−アモノ−1−ヒドロキシ−3−スルホ−2−ナフタレニル)アゾ]−6−スルホ−1−ナフタレニル)アゾ]−1−ナフタレンジスフォニック酸四塩化ナトリウム塩、キサンテン染料としては、2,7−ジクロロフルオレセイン、プロフラビン染料としては、3,6−ジアミノアクリジンヘミサルフェイト(プロフラビン)、スルホナフタレン染料としては、クレソールレッド(o−クレソスルホナフタレン)、フタロシアニン染料としては、銅フタロシアニン[顔料ブルー15;(sp−4−1)−[29H,31H−フタロシアナト(2−)−N29N30N31N32]銅]、カロチノイド染料としては、トランス−β−カロテン(フードオレンジ5)、カルミン酸染料としては、カルミン、カルミン酸のアルミニウム又はカルシウム−アルミニウムのたまり(7a−Dグルコピラノジル−9,10−ジヒドロ3,5,6,8−テトラヒドロキシ−1−メチル−9,10−ジオキソ−2−アントラセンカルボン酸)、アズリン染料としては、アズリンA[3−アミノ−7−(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウム塩化物又は7−(ジメチルアミノ)−3−イミノ−3H−フェノチアジンヒドロクロライド]、アクリジン染料としては、アクリジンオレンジ[ベーシックオレンジ14;3,8−ビス(ジメチルアミノ)アクリジンヒドロクロライド,塩化亜鉛二重塩]・アクリフラビン(アクリフラビンニュートラル;3,6−ジアミノ−10−メチルアクリジニウム塩化物と3,6−アクリンジアミンの混合物)等が挙げられる。
本発明に含まれる独特な化合物は、放射吸収剤である。これは狭帯域波長の紫外線放射を吸収できると同時に、化合物と会合する着色剤に耐光性を与える。化合物は波長選択増感剤と光反応剤を組み合わせて合成する。光反応剤は高エネルギー放射を効率よく吸収しないことがしばしばある。波長選択増感剤と組合わさった場合、生成される化合物は非常に狭いスペクトル放射を効率よく吸収する波長特定化合物である。波長選択増感剤は光反応剤と共有結合することもある。
例をあげると、波長選択増感剤は、フタロイルグリシンと4−(4−オキシフェニル)−2−ブタノンからなるグループから選んでもよい。別の例として、光反応剤は1−[4−(2−ヒドロキシエソキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−oneとシクロヘキシル−フェニルケトンエステルからなるグループから選んでもよい。他の光反応剤の例として、本発明で改善された安定化成分を以下に詳しく述べる。更に例として、紫外線放射吸収剤は2−[P−2−メチルラクトイル)フェノキシエチル]1,3−ヂオキソ−2−イソイン−ドリンアセテートであってもよい。更に別の例を上げると、紫外線放射吸収剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−4'−2−[P−(3−オキソブチル)フェノキシ]プロピオフェノンであってもよい。
着色剤と紫外線放射吸収剤は別の化合物として述べてきたが、両者はそれぞれ同じ分子の一部分であることも可能である。例えば、直接間接に比較的小さな分子ないしスペーサーを介し、互いに共有結合できる。これに代わるものとすれば、着色剤と紫外線放射吸収剤はオリゴマーやポリマーといった大きな分子と共有結合することもできる。更に、着色剤と紫外線放射吸収剤は水素結合やファンデルワールス力、その他の手段により大きな分子と会合することがある。他のバリエーションについては、通常の技術を持った当業者には明かである。
例えば、本発明の成分の実施例において、成分は分子含有物を更に含んででもよい。従って、分子含有物中の空洞は、分子含有物を突き抜けるトンネルであったり、分子含有物中の洞穴の様な空間や凹んだ空間であってもよい。空洞は分離されたり独立してもよいし、他の少なくとも1つの空洞とつながっていてもよい。
分子含有物の性質は有機的なこともあれば非有機的なこともある。ある種の実施例の場合、分子含有物の化学的構造は、分子含有物複合物の形成に適合している。分子含有物を例示すると、包接化合物ないし挿入化合物、ゼオライト、シクロデキストリン等である。シクロデキストリンの例を一部上げると、a−シクロデキストリン、b−シクロデキストリン、g−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルb−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルb−シクロデキストリン、硫酸塩b−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルa−シクロデキストリン、カルボキシメチルa−シクロデキストリン、カルボキシメチルb−シクロデキストリン、カルボキシメチルg−シクロデキストリン、オクチル琥珀酸a−シクロデキストリン、オクチル琥珀酸b−シクロデキストリン、オクチル琥珀酸g−シクロデキストリン、硫酸塩b−and g−シクロデキストリン、(以上全てアメリカンメイズ社製)等である。
望ましい分子含有物はa−シクロデキストリンである。特に、いくつかの実施例では、分子含有物はa−シクロデキストリンである。他の実施例では、分子含有物はb−シクロデキストリンである。以下の理論に限定する訳ではないが、吸収剤分子が分子含有物上の可変着色剤に近ければ近い程、着色剤との相互作用がより効率的となり着色剤の変化をもたらすと考えられている。従って、吸収剤分子と反応・結合できかつ可変着色剤の結合側に近い官能基を持つ分子含有物は、より望ましい分子含有物と言うことになる。
実施例の中には、着色剤と紫外線放射吸収剤が分子含有物と会合しているものがある。「会合」という語は広い意味において、着色剤と紫外線放射吸収剤が少なくとも分子含有物の近くにあることを意味している。例えば、着色剤、及び/又は、紫外線放射吸収剤は、水素結合、ファンデルワールス力等により分子含有物の近くにあるよう維持されていてもよい。着色剤と紫外線放射吸収剤のいずれかないし両方が分子含有物と共有結合していてもよい。ある種の実施例の場合、着色剤は分子含有物と水素結合及び/又はファンデルワールス力等により会合する一方、紫外線放射吸収剤は分子含有物と共有結合している。他の実施例の場合、着色剤は少なくとも部分的に分子含有物の空洞に含まれ、紫外線放射吸収剤は分子含有物の空洞の外に位置する。
着色剤と紫外線放射吸収剤が分子含有物と会合する1つの実施例の場合、着色剤はクリスタルバイオレット、紫外線放射吸収剤は脱水フタロイルグリシン2599、分子含有物はb−シクロデキストリンである。着色剤と紫外線放射吸収剤が分子含有物と会合する更に別の実施例の場合、着色剤はクリスタルバイオレット、紫外線放射吸収剤は4(4−ヒドロキシフェニル)ブタン2−one−2959(塩素置換)、分子含有物はb−シクロデキストリンである。
着色剤と紫外線放射吸収剤が分子含有物と会合する別の実施例の場合、図1に示す如く着色剤はマラカイトグリーン、紫外線放射吸収剤はIRGACURE 184、分子含有物はb−シクロデキストリンである。着色剤と紫外線放射吸収剤が分子含有物と会合する更に別の実施含有物の場合、図2に示す如く着色剤はビクトリアブルーBO、紫外線放射吸収剤はIRGACURE 184、分子含有物はb−シクロデキストリンである。
本発明は、本発明の着色剤を変化させる方法にも関係している。簡略に説明すると、この方法は、着色剤を変化させるに足るエネルギー線量を可変着色剤と放射吸収剤を含む成分に照射することからなる。上述の如く、ある実施例の場合、成分は更に分子含有物を含む。別の実施例の場合、成分は紫外線放射を照射される以前に基盤に塗布される。本発明の成分は、約4−1000ナノメータの波長をもつ放射光に照射されてもよい。本発明の成分が曝される放射光の波長は、一般的に約4−1000ナノメータである。従って、放射光は、遠紫外線ないし真空紫外線から近紫外線までを含む紫外線、可視光線、近赤外線を使ってよい。成分に照射される放射光の波長は、約4−700ナノメータが望ましく、更に言えば約4−400、もっと言えば約100−375ナノメータが望ましい。
特に望ましい放射光は、誘電バリア放電ランプから発せられる位相の揃わぬパルス状の紫外線である。更に言えば、誘電バリア放電ランプは狭帯域の放射光、即ち半帯域オーダーがほぼ5−100ナノメータを発するのが望ましい。更に言えば、放射光の半帯域オーダーは5−50ナノメータが、さらには5−25ナノメータ、さらには5−15ナノメータであることが望ましい。
本発明の着色剤が曝される紫外線放射のエネルギー線量は、一般的には着色剤を変化させるのに必要な量である。着色剤を変化させるのに必要な紫外線放射の量は、当業者が通常の実験方法で測定できる。パワー密度は単位面積を通過する放射電磁パワー量の測定量であり、通常毎平方センチメートル当たりのワット(W/cm2)で表される。パワー密度の範囲は約5−15mW/cm2であり、更に限定すると8−10mW/cm2である。線量レベルは曝される時間と着色剤を照射する放射源からの流量の強さの関数である。後者の強さは放射源からの距離に影響され、又紫外線放射の波長範囲にも依るが放射源と成分の間の雰囲気温度にも影響される。従って、制御した雰囲気中ないし真空中で成分を放射に曝すのが適当な場合もある。一般的にはどちらの方法も望ましいものではない。
本発明の変化の性質に関して、反応性の高い電子的に励起された状態を生じさせるため、分子、即ち紫外線放射吸収剤による光量ないし光量子の吸収が、光化学プロセスに関与している。しかし、放射光の波長に比例する光量子エネルギーを、分子により吸収させることは、非励起ないし初期状態と励起状態とのエネルギー差に光量子のエネルギーが一致しない限り不可能である。従って、着色成分が曝される紫外線放射の波長範囲は直接的に関与せず、放射光の少なくとも一部が、紫外線放射吸収剤のエネルギーレベルを着色剤と相互作用可能なまであげるのに必要なエネルギーを与える波長を有してなければならないことになる。
そうなると、紫外線放射吸収剤の吸収最大値を、理想的には紫外線放射の波長範囲と一致させ着色剤の変化する効率を高めることになる。こうした効率が高くなるのは、紫外線放射の波長範囲が比較的狭く紫外線放射吸収剤の最大値がこうした範囲内にくる場合である。このため、特に適した紫外線放射は、約100−約375ナノメータの波長を持つ。この範囲の紫外線放射は、誘電バリア放電エキシマランプから発せられる位相の揃わぬパルス状の紫外線であるのが望ましい。
「位相の揃わぬパルス状の紫外線放射」とは、誘電バリア放電エキシマランプ(以後、「エキシマランプ」と略)から発せられる放射光を指す。このランプについては例えば、U.コゲルシャッツ「紫外線及び真空紫外線エキシマ放射を発生させる無音放電」(純粋&応用化学,62,No.9,pp.1667−1674(1990))、E.エリアソン/U.コゲルシャッツ「誘電バリア放電による紫外線エキシマ放射」(応用物理,B,46,pp.299−303(1988))に述べられている。
エキシマランプは元々、スイスのレンツブルグのABBインフォコム社で開発された。以後エキシマランプ技術は、ドイツのハラウスノーベルライト社により取得された。
エキシマランプは、非常に狭い帯域、即ち半帯域が5−15ナノメータのオーダーの放射光を発する。こうして発せられた放射光は位相が揃わずパルス状であり、パルス周波数は供給電源交流周波数に依存し、代表的周波数範囲は約20kHz−約300kHzである。エキシマランプは、最大放射強度の波長で特定ないし規定され、本明細書ではそのように表現する。従って、可視光域も含み全紫外線スペクトルを発し市場で役立つとされる大部分の紫外線放射源と比べ、エキシマランプ放射は実質的に単色性である。
エキシマは、極端な条件下で生ずる不安定な分子複合物で、例えば特別なタイプのガス放電で一時的に存在するものである。代表例としては、2つの希ガス原子間ないしは希ガス原子とハロゲン原子間での分子結合である。エキシマ複合物は1マイクロ秒以内に解離し、解離の最中に結合エネルギーを紫外線の形で放出する。既知のエキシマは混合ガスにも依るが、一般的に約125−約360ナノメータの範囲の放射光を発する。
例えばある実施例の場合、本発明の着色剤は222ナノメータのランプに曝されると変化する。特に、着色剤クリスタルバイオレットは222ナノメータのランプに曝されると変化する。更に特定すると、着色剤クリスタルバイオレットは、長さ約30cmのランプを4本平行に並べて5−6cmの距離で曝されると変化する。ランプの配列は本発明の場合さほど重要でないと理解すべきである。従って、少なくとも1本のランプを任意の形状で任意の距離に並べることで、ランプの紫外線放射に曝された着色剤を変化させることが可能である。通常の技術を持った当業者ならば日常的実験でどんな形状でどんな距離が適切かを決めることが可能である。また、異なる紫外線放射吸収剤には異なるエキシマランプを使用すべきと理解すべきである。紫外線放射吸収剤と会合した着色剤を変化させるのに使われるエキシマランプは、紫外線放射吸収剤によって吸収される波長の紫外線を放射をせねばならない。
実施例の中には、着色剤に対する紫外線放射吸収剤のモル比が等しいか約0.5以上のものがある。一般的に、紫外線放射吸収剤ががより効率的に紫外線放射を吸収して着色剤と相互作用を行い着色剤に不可逆的変化を及ぼす程、この比は小さくて済む。分子光化学の現在の理論では、光量子1個当たり2個の遊離基が生まれることを根拠に、この比の下限は0.5であることが示唆されている。しかし、実際には1より大きな比が要求され恐らく10程度にもなる。しかし、本発明は特定のモル比の範囲に束縛されるものではない。重要な特徴は、着色剤に変化を及ぼすだけ十分な量の吸収剤が存在することである。
紫外線放射吸収剤と着色剤との相互作用のメカニズム全体については分かっていないが、紫外線放射吸収剤は様々な方法で着色剤と相互に作用しあっていると考えられている。例えば、紫外線放射吸収剤は紫外線放射を吸収すると、着色剤と相互に作用しあう少なくとも1個の遊離基に変換させられる。こうした遊離基を生成する化合物の代表は、束縛ケトンであり、その一部を上げるとベンジルジメチルケタル(商標名IRGACURE651、チバガイギ社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE500)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−one(IRGACURE907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−one(IRGACURE369)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184)等がある。
他に代わるメカニズムとして、紫外線放射が着色剤と紫外線放射吸収剤の間の電子の移転ないし酸化還元反応を開始させることがある。この場合、下記に限定するものではないが、紫外線放射吸収剤はミヒラーケトン(P−ジメチルアミノフェニルケトン)ないしベンジルトリメチル錫酸塩であってもよい。または陽イオンメカニズムが関与することがあり、この場合紫外線放射吸収剤は例えば、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]サルファイドビス−(ヘキサフルオロフォスフェイト)(DegacureKI85、チバガイギ社)、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]サルファイドビス(ヘキサフルオロフォスフェイト)と関連モノスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト塩の混合物であるCyracure UVI−6990、n−5−2,4−(シクロペンタジエニル)−[1,2,3,4,5,6−n−(メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロフォスフェイト(IRGACURE261)を挙げることができる。
安定化成分
本発明の光安定化活性度に関して、実施例の一部では、本発明で改善された光安定化剤を生成するため従来の光安定剤を変更せねばならないことがはっきりした。本発明で改善された光安定化剤の最も単純な形には、下記に示す如く変更光安定剤と混ぜられた着色剤が含まれている。変更光安定剤は波長選択増感剤と結ばれていることもあれば結ばれていないこともある。従来の光安定剤の多くは、カルボニル基に対しα位置にある官能基を有する。こうした官能基を一部挙げれば、ヒドロシル基、エーテル基、ケトン基、フェニル基等である。
例えば、本発明で使用される好ましい放射吸収剤はフタロイルグリシン2959と称され、以下の構造式で表される。
Figure 0003590635
紫外線放射吸収剤の光反応剤部分は、カルボニル基に対しα位置にある水酸基(陰影部)を有する。上記分子は、着色剤を光に対し安定化させない。しかし、水酸基を脱水により取り除けば(例4、5参照)、以下の化合物が得られる。
Figure 0003590635
この脱水化されたフタロイルグリシン2959は、着色剤を光に対し安定化させる能力を有する。従って、光反応剤分子上のカルボニル基に対しα位置にある官能基を取り除くと、分子に光安定化能力を与えることになると考えられる。脱水化された紫外線放射吸収剤は、分子を着色剤と単に混ぜさえすれば、着色剤に光安定化能力を与えることが可能である一方、分子がここで述べるシクロデキストリンといった含有物に付加された場合、分子は極めて効率的に着色剤を安定化させることが判明した。
着色剤の安定化は、本発明による場合、変更光反応剤を使用することによってのみ達成されると理解すべきである。言い替えれば、波長選択増感剤のない変更光反応剤を使って、着色剤を安定化してもよい。本発明により変更された光反応剤の例として、DARCUR2959が挙げられる。変更されていないDARCUR2959、脱水化されたDARCURpg29を以下に示す。
Figure 0003590635
他の光反応剤を本発明により変更し、染料安定剤を得ることができる。こうした光反応剤としては、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(「HCPK」)(IRGACURE 184,チバガイギ社製)、a,a−ジメソキシ−a−ヒドロキシアセトフェノン(DAROCUR 1173,メルック社製)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−one(DAROCUR 1116,メルック社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエソキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−one(DAROCUR 2959,メルック社製)、ポリ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−one](ESACURE KIP,フラテリランベルテ社製)、ベンゾイン(2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノン)(ESCURE BO,フラテリランベルテ社製)、ベンゾインエチルエーテル(2−エソキシ−1,2−ジフェニルエタノン)(DAITOCUREEE,ジベルヘグナ社製)、ベンゾインイソプロピルエーテル(2−イソプロピル−1,2−ジフェニルエタノン)(VICURE30,スタウファ社製)、ベンゾインn−ブチルエーテル(2−ブトキシ−1,2−ジフェニルエタノン)(ESACURE EB1,フラテリランベルテ社製)、ベンゾインブチルエーテルの混合物(TRAIGONAL14,Akzo)、ベンゾインイソ−ブチルエーテル(2−イソブトキシ−1,2−ジフェニルエタノン)(VICURE10,スタウファ社製)、ベンゾインn−ブチルエーテルとベンゾインイソブチルエーテルの混合物(ESACURE EB3,ESACURE EB4,フラテリランベルテ社製)、ベンジルジメチルケタル(2,2−ジメソキシ−1,2−ジフェニルエタノン)(「BDK」)(IRGACURE 61,チバガイギ社製)、2,2−ジオキソ−1,2−ジフェニルエタノン(UTAVONE 8302,アプジョン社製)、a,a−ジオキシアセトフェノン(2,2−ジエソキシ−1−フェニル−エタノン)(「DEAP」,アプジョン社製)(DEAP,ラーン社製)、a,a−ジ−(n−ブトキシ)−アセトフェノン(UTAVONE 8301,アプジョン社製)、等が挙げられるがこれに限るものではない。
カルボニル基に対しα位置にある3級アルコールを従来の手段で脱水するのは困難であることが当業者には知られている。フタロイルグリシン2959を脱水させるのに使われる従来の反応は、p−トルエンスルホン酸の存在する無水ベンゼン中でフタロイリグリシン2959を反応させるものである。混合物を還流させた後、最終生成物を分離する。しかし、この方法では、所期の脱水アルコールの収率は約15−20%でしかない。
所期の脱水アルコールフタロイリグリシン2959の収率を上げるため、新たな反応法が発明された。反応法の要約は以下の通りである。
Figure 0003590635
カルボニル基に対しα位置の炭素上にある基は、メチル基以外の基、アリール基ないしヘテロサイクリックが可能であることを理解せねばならない。こうした基に対する制約は、原子の立体的配置に関するもののみである。ノアマクドナルド脱離反応に使用される金属塩は、塩化亜鉛が望ましい。塩化亜鉛以外の他の遷移金属塩もノアマクドナルド脱離反応に使用できると理解すべきであるが、塩化亜鉛が好ましい金属塩である。ノアマクドナルド脱離反応で使われる金属塩の量は、光反応剤といった3級アルコール化合物とほぼ等しいモル数が好ましい。反応溶液中の3級アルコールの濃度は、約4%−50%w/vである。
このように、光反応剤上のカルボニル基に対しα位置にある3級アルコールを脱水するプロセスで生成される安定化成分を次式の一般的な構造式で示す。
Figure 0003590635
但し、R1は、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、R2は、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリル基のいずれかであり、R3は、水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、R4は、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基のいずれかである。
当反応の別の要件は、これを非水性かつ非極性の溶液中で行うことである。ノアマクドナルド脱離反応に好ましい溶剤は芳香族炭化水素であり、キシレン、ベンゼン、トルエン、クメン、メシチレン、p−シメン、ブチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等であるがこれに限るものではない。他の置換芳香族炭化水素を本発明の溶剤として使用可能であることを理解すべきである。p−キシレンは好ましい芳香族炭化水素であるが、他のキシレン異性体をノアマクドナルド脱離反応に使用してもよい。
ノアマクドナルド脱離反応を行わせる際の重要な要件は、当反応を比較的高温で行わせることである。反応は約80−150℃の間で行わせるのが望ましい。フタロイルグリシン2959の脱水に適した温度は約124℃である。反応時間はさほど重要ではない。反応は約30分から4時間とすべきである。しかし、使われる溶剤と反応物により、生成物の所期の収率を達成する時間は変わる。
脱水フタロイルグリシン2959は様々な方法で分子含有物に付加され得ると理解せねばならない。ある実施例の場合、脱水フタロイルグリシン2959はシクロデキストリンに以下に示すような構造で共有付加される。
Figure 0003590635
別の実施例の場合、以下に示す如く、フタロイルグリシンを付加されていない変更DARCUR2959が、シクロデキストリンと反応し以下の化合物を得る。この化合物は、分子含有物と会合する染料を安定化させる能力を有する。DARCUR2959以外の光反応剤を本発明の場合使えると理解すべきである。
Figure 0003590635
更に別の実施例の場合、脱水フタロイルグリシン2959は、分子の反対側の端を通じて分子含有物に付加され得る。こうした一実施例の構造式を次に示す。
Figure 0003590635
本発明の一部と考えられる別の安定剤は、以下の一般的構造式を有するアリールケトアルケンである。
Figure 0003590635
但し、R1がアリール基の場合、R2は水素、アルキル基、アリール基、ヘテロサイクリック基、フェニル基のいずれかであり、該フェニル基はアルキル基、ハロ基、アミノ基、チオール基のいずれかで置換されていてもよく、そしてR2がアリール基の場合、R1は水素、アルキル基、アリール基、ヘテロサイクリック基、フェニル基のいずれかであり、該フェニル基はアルキル基、ハロ基、アミノ基、チオール基のいずれかで置換されていてもよい。アルケン基はトランス配置であるのが好ましい。
アリールケトアルケン安定化化合物は以下の構造式を持つのが望ましい。
Figure 0003590635
アリールケトアルケンは、本発明の波長特定増感剤としても機能し、先に述べた光反応剤のいずれとも会合する。光反応剤を本発明のアリールケトアルケン化合物と会合させる一方法を例32に述べる。アリールケトアルケン化合物は、反応性の化学種生成光イニシエイタと共有結合させてもよい。本発明のアリールケトアルケン化合物は、太陽光中での安定性を望むような成分中で光反応剤と共に使用される様なことはないと理解すべきである。更に特定すれば、アリールケトアルケン化合物はR1、R2が何であるかにもよるが約270−310ナノメータ範囲の放射光を吸収するので、これらの化合物は太陽光からの適当な放射を吸収することができる。従って、これらの化合物は光反応剤と混ざると、太陽光に曝された際に着色剤に変化を生じさせる。こうした色の変化が望ましくない場合、光反応剤は本発明のアリールケトアルケン化合物とは混ぜられることがないし、アリールケトアルケン化合物は光反応剤のない着色剤と共に使われる。
アリールケトアルケン化合物が別の分子と共有付加している実施例の場合、アリル基であるR1、R2のいずれかが、限定する訳ではないが、カルボキシル酸基、アルデヒド基、アミノ基、ハロアルキル基、水酸基、チオアルキル基を初めとする基を持つことになって、アリールケトアルケン化合物と他の分子との共有結合を可能とすることになる。従って、アリールケトアルケン安定化化合物は以下の如く表される。
Figure 0003590635
アリール基に付加する基は安定剤分子の残りの部分に対しパラの位置にあるのが好ましいが、オルトないしメタの位置にあってもよい。
従って、本発明のこの実施例では、着色剤と会合すると着色剤を安定化するアリールケトアルケンができる。それ故、上記アリールケトアルケンはどのような着色剤の成分にも添加物として使用できる。例えば、アリールケトアルケン化合物は水に溶けないが、溶剤ないしオイル着色剤成分に直接加えることができる。更に、化合物を可溶化する添加物を含む着色剤成分に、アリールケトアルケン化合物を加えることができる。
更に、アリールケトアルケン安定化化合物は、様々な手段により水性溶液に溶かすことができる。本発明のアリールケトアルケン安定化化合物を溶かす手段の一つは、例28−例31に示したシクロデキストリンといった可水溶性の大きな分子に付加させることである。1個から12個程度のアリールケトアルケン分子をシクロデキストリン1個に付加できることが望ましい。更に望ましいのは、4個から9個程度である。従って、シクロデキストリンに付加できるアリールケトアルケン化合物は、水性の着色剤に加えて、中の着色剤を安定化させることができる。安定化活性を発揮させるために、安定化アリールケトアルケンを分子含有物に付加すべき必要性は必ずしもないと理解すべきである。
従って、本実施例では、着色剤成分に対して成分安定化に有効な量のアリールケトアルケン化合物を混ぜることで、着色剤成分を安定化する方法を提供する。着色剤の媒質ないし溶液中に占めるアリールケトアルケンの濃度は重量で約0.1−50%の範囲とすべきで、望ましいのは20−30%である。シクロデキストリンを使わない場合、染料1に対しアリールケトアルケン約20が望ましい。
アリールケトアルケン化合物は着色剤と会合させることのみが必要であるが、本発明の中には、アリールケトアルケンを着色剤と共有結合させてもよい物がある。
以下に限定する訳ではないが、本発明のアリールケトアルケン化合物は、一重項状態の酸素スカベンジャーとして機能して着色剤を安定化させることが理論づけられている。これに代わる理論づけとして、アリールケトアルケン化合物が着色剤の安定剤として機能するは、p軌道の非共有対電子の共鳴によるとされている。即ちエネルギーシンクとして機能する。
着色剤、紫外線放射吸収剤、変更光反応剤、分子含有物は、分子の調製に使われる組成にも依存するが、実際には固体の場合が多い。しかし、こうした物質はいずれも液体であってもよい。着色成分が液体たり得るのは、少なくとも1つの成分が液体であるかないし分子含有物の性質が有機物である場合には溶剤が用いられるかどちらかの理由による。適切な溶剤として、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドといったスルホキシド、アセトン・メチルエチルケトン・メチルブチルケトンといったケトン、ヘキサン・オクタン・ベンゼン・トルエン・キシレンといった脂肪族および芳香族炭化水素、エチルアセテートといったエステル、水等が上げられるが、これに限定されるものではない。分子含有物がシクロデキストリンの場合、特に適切な溶剤は、アミドとスルホキシドである。
本発明の成分が固体である実施例の場合、着色剤に対する先の化合物の有効性が改善されるのは、着色剤と選ばれた化合物が緊密接触する時である。この目的のためには、他にも成分があるならそれら成分を完全に混ぜることが望ましい。この様な混ぜ合わせは、当業者なら既知の手段で容易に達成できる。着色成分がポリマーを含む場合、着色剤と紫外線放射吸収剤が軟水ポリマーないし溶融ポリマーに少なくとも一部が溶けるのであれば、混ぜ合わせは容易である。こうした場合成分は、例えば2ロール式粉砕器ですぐ簡単に調製される。代わりの方法としては、本発明の成分は少なくとも一つの構成が液体なので、液体となりえる。
いくつかの応用例に際し、本発明の成分の代表的な使われ方は粒子である。他の応用例に際し、成分の粒子は非常に小さくなければならない。こうした粒子を形成する方法は当業者にはよく知られている。
本発明の着色成分はどんな基盤の上あるいは中でも使用可能である。しかし、基盤中の着色成分を変化させたい場合、着色剤を変化させるのに用いられる紫外線放射に対し基盤は実質的に透明でなければならない。即ち、紫外線放射は基盤と意味のある相互作用をすることもなければ吸収されることもない。実際の所、成分は基盤上に置かれるのが普通であり、最も一般的な基盤は紙である。他の基盤の一部として、織布、不織布、織物、薄膜等が上げられる。
着色成分がキャリアを含むこともあり、キャリアの性質は当業者にはよく知られている。多くの応用例の場合、キャリアは熱硬化性ないし熱可塑性ポリマーが代表的であるが、熱可塑性ポリマーの方がより一般的である。熱可塑性ポリマーとしては、エンドキャップポリアセタールとして、ポリ(オキシメチレン)又はポリホルムアルデヒド・ポリ(トリクロロアセトアルデヒド)・ポリ(n−バレルアルデヒド)・ポリ(アセトアルデヒド)・ポリ(プロピオンアルデヒド)等、アクリルポリマーとして、ポリアクリルアミド・ポリ(アクリール酸)・ポリ(メタアクリール酸)・ポリ(エチルアクリレート)・ポリ(メチルメタアクリレート)等、フルオロカーボンポリマーとして、ポリ(テトラフルオロエチレン)・過フルオロ酸エチレンプロピレン共重合体・エチレンテトラフルオロエチレン共重合体・ポリ−(クロロトリフルオロエチレン)・・エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体・ポリ(ビニリデンフロライド)・ポリ(ビニルフロライド)等、エポキシ樹脂として、エピクロロヒドリンとビスフェノールAからの冷却生成物、ポリアミドとして、ポリ(アミノカプロン酸)又はポリ(e−アミノカプロラプクタム)・ポリ(ヘキサメチレンアジプアミド)・ポリ(ヘキサメチレンセバクアミド)・ポリ(11−アミノアンデカノイック酸)等、ポリアラミドとして、ポリ(イミノ−1,3−フェニレンイイソフタロイル)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)等、パリレンとして、ポリ−p−キシレン・ポリ(クロロ−p−キシレン)等、ポリアリルエーテルとして、ポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)又は・ポリ(p−フェニレン酸化物)等、ポリアリルスルホンとして、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルフォニル−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレン−イソPロピリデン−1,4−フェニレン)・ポリ(スルフォニル−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンスルフォニル−4,4−ビフェニレン)等、ポリカーボネートとして、ポリ(ビスフェノールA)又はポリ(カルボニルジオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)等、ポリエステルとして、ポリ(エチレンテレフタレート)・ポリ(テトラメチレンテレフタレート)・ポリ(シクロヘキシレン−1,4−ジメチレンテレフタレート)又はポリ(オキシメレン−1,4−シクロヘキシレンメチレンオキシテトラフタロイル)等、ポリアリルサルファイドとして、ポリ(p−フェレンサルファイド)又はポリ(チオ−1,4−p−フェニレン)等、ポリオレフィンとして、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリ(1−ブテン)・ポリ(2−ブテン)・ポリ(1−ペンテン)・ポリ(2−ペンテン)・ポリ(3−メチル−1−ペンテン)・ポリ(4−メチル−1−ペンテン)・1,4−ポリ−1,3−ブタジエン、ポリイソプレン・ポリクロロプレン・ポリアクリルニトリル・ポリ(ビニルアセテート)・ポリ(ビニリデンクロライド)・ポリスチレン等、先述の共重合体として、アクリルニトリル−ブタジエンスチレン(ABS)共重合体・スチレン−n−ブチルメタアクリレート共重合体・エチレン−ビニルアセテート共重合体等、を挙げることができるがこれに限るものではない。
よく使用される熱可塑性ポリマーとしては、スチレン−n−ブチルメタアクリレート共重合体、ポリスチレン、スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタアクリレート)、ポリ(ビニリデンフロライド)、ポリアミド(ナイロン12)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エポキシ樹脂等がある。
熱硬化性ポリマーとしては、無水フタール酸−グリセロール樹脂・りんご酸−グリセロール樹脂・アジピン酸−グリセロール樹脂・無水フタール酸−ペンタエリトリトール樹脂等のアルキッド樹脂、ジアリルフタレート・ジアリルイソフタレート・ジアリルマレアート・ジアリルクロレンデイト等のモノマーがポリエステル化合物中で非揮発性の架橋剤の役目をするアリル樹脂、アニリンホルムアルデヒド樹脂・エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂・ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド樹脂・メラミン−ホルムアルデヒド樹脂・スルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂・尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂、架橋エピクロールヒドリンビスフェノールA樹脂等のエポキシ樹脂、ノバック・レゾール樹脂を始めとするフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール樹脂、熱硬化性ポリエステル、珪素樹脂、ウレタン等が挙げられるがこれに限るものではない。
着色剤、紫外線放射吸収剤ないし官能分子含有物、変更光反応剤、アリールケトアルケン安定剤、選択随意のキャリアに加えて、本発明の着色成分は、目的とする応用例により追加成分を含むことが可能である。この様な追加成分の例の一部として、チャージキャリア、熱酸化にたいする安定剤、粘弾性変更剤、架橋剤、可塑剤、第四アンモニウム塩といったチャージ制御添加物、疎水性シリカ・亜鉛ステアリン酸塩・カルシウムステアリン酸塩、リチュウムステアリン酸塩・ポリビニルステアリン酸塩・ポリエチレン粉末といった流動制御添加物、カルシウムカーボネート・粘土・雲母といった充填剤、当業者が使うその他転物を挙げられるがこれに限るものではない。当業者によく知られた代表的なチャージキャリアは、ポリマーコートされた金属粒である。着色成分中のこうした添加要素の素性と量は、当業者にはよく知られている。
本発明を以下の例で更に説明する。しかし、こうした例で本発明の考え方・範囲を狭めるように解釈してはならない。例として説明する割合は、指定がなければ重量割合を意味する。
例1
本例は、(1)シクロデキストリンの空洞の外側でシクロデキストリンと共有結合する紫外線放射吸収剤及び(2)水素結合及び/又はファンデルワールス力によりシクロデキストリンと会合する着色剤を有するb−デキストリン分子含有物の調製について述べる
A.吸収剤のフリーデルクラフトアシル化反応
250ml3段丸底反応フラスコに冷却器・窒素インレットチューブ付き圧力平衡追加漏斗を取り付けた。磁気撹拌棒をフラスコ中に置いた。窒素でフラッシュしながら、フラスコで10g(0.05mol)の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184,チバガイギ社製)と、100mlの無水テトラヒドフュラン(オルドリッチケミカル社、ウイスコンシン州ミルウォーキー、以後AC社と称する)と、5g(0.05mol)の無水琥珀酸(AC社製)、を混ぜた。フラスコの内容物を連続的に撹拌しながら、6.7gの無水アルミ塩化物(AC社製)を加えた。出来あがった反応混合物を氷浴で0℃に約1時間保った。その後約2時間かけ、雰囲気温度まで温めた。反応混合物を、500mlの氷水と100mlのジエチルエーテルを混ぜた物に注いだ。小量の塩化ナトリウムを水相に加え相分離を助けてエーテル層を除いた。エーテル層を無水マグネシウム硫酸塩上で乾燥させた。減圧下でエーテルを除くと、12.7g(収率87%)の白結晶粉末を得た。この物質は1−ヒドロキシシクロヘキシル4−(2−カルボキシエチル)カルボニルフェニルケトンであることが核磁気共鳴分析の結果判明した。
B.アシル化された吸収剤酸塩化物の調製
冷却器を取り付けた250ml3段丸底反応フラスコに、12.0g(0.04mol)の1−ヒドロキシシクロヘキシル4−(2−カルボキシエチル)カルボニルフェニルケトンと、5.95g(0.05mol)のチオニルクロライド(AC社製)と、50mlのジエチルエーテルを入れた。生成物を30℃で30分間撹拌し、その後減圧下で溶剤を除いた。白い固体の残留物を、0.01トルに30分間保ち残留溶剤と過剰チオニルクロライドを除くと、12.1g(収率94%)の1−ヒドロキシシクロヘキシル4−(2−クロロフォミルエチル)カルボニルフェニルケトンが残った。
C.アシル化された吸収剤のシクロデキストリンへの共有結合
磁気撹拌棒を含み温度計・冷却器・窒素インレットチューブ付き圧力平衡追加漏斗を取り付けた250ml3段丸底反応フラスコで、10g(9.8mmol)のβ−シクロデキストリン(アメリカンメイズ社製)と、31.6g(98mmol)の1−ヒドロキシシクロヘキシル4−(2−クロロフォミルエチル)カルボニルフェニルケトンと、100mlのN,N−ジメチルホルムアミドを窒素で連続的にフラッシュしながら混ぜた。反応混合物を50℃まで温め、0.5mlのトリエチルアミンを加えた。反応混合物を約1時間50℃に保った後、雰囲気温度まで冷却した。この調製においては、紫外線放射吸収剤が共有結合しているβ−シクロデキストリン(β−シクロデキストリン吸収剤と略)を分離しなかった。
前記手順を繰り返し反応生成物を分離した。手順の最後に、反応混合物を回転式蒸発器で体積が最初の約十分の一になるまで濃縮した。残留物を氷水に注ぎ、これに塩化ナトリウム加え溶液の生成物を分離した。生じた沈澱物を濾過分離しジエチルエーテルで洗った。固形物を減圧下で乾燥させ24.8gの白粉末を得た。三番目の調製の際、回転式蒸発器に残った残留物を、約15gのシリカゲルを含んだ7.5cmコラムの最上部に置いた。残留物をN,N−ジメチルホルムアミドで溶離した。溶離剤はWhatmann Flexible−backed TLC Plates(カタログ番号05−713−161,フィッシャー・サイエンティフィック社製)でモニターした。溶離された生成物は、溶剤を蒸発させ分離した。生成物の構造を核磁気共鳴分析で決めた。
D.着色剤とシクロデキストリン吸収剤の会合−−着色成分の調製
150mlのN,N−ジメチルホルムアミドに10g(約3.6mmol)のb−シクロデキストリン−吸収剤を加えた溶液を入れた250ml丸底フラスコに、1.2g(3.6mmol)のマラカイトグリーン蓚酸塩(AC社製−−以後便宜上、着色剤Aと称する)を雰囲気温度で加えた。反応混合物を磁気撹拌棒で1時間雰囲気温度の下で撹拌した。溶剤の大部分を回転式蒸発器で除き、残留物を既述のシリカゲルコラムで溶離した。b−シクロデキストリン吸収剤着色剤Aを含む複合物は最初コラムを降りてゆき、b−シクロデキストリン吸収剤と自由着色剤Aとがきれいに分離された。複合物を含む溶離剤を集め、溶剤を回転式蒸発器で除いた。残留物を0.01トルの減圧下に置き、残った溶剤を除いて青緑の粉末を得た。
E.着色成分の変化
b−シクロデキストリン−吸収剤着色剤Aを含む複合物を2つの異なるランプA,Bの紫外線放射に曝した。ランプAは222ナノメータのエキシマランプ装置で長さ約30cmの4つの円筒形ランプが列となっている。ランプはランプ中心に位置するチューブないし内側チューブを循環する水で冷却されており、結果的に低温、約50℃で作動する。ランプ外表面のパワー密度は約4から約20ジュール毎平方メートル(J/m2)の範囲にある。しかし、この範囲は実際には、現在のエキシマランプで供給できるパワーの能力を反映しているに過ぎない。将来は、より高いパワー密度が実用化される可能性がある。ランプからサンプルまでの照射距離は4.5cmであった。ランプBはハノビア中圧水銀ランプ(ハノビアランプ社製、ニュージャージー州ニューウォーク)を用いた。ランプBからサンプルまでの照射距離は15cmであった。
b−シクロデキストリン−吸収剤着色剤Aを含む複合物のN,N−ジメチルホルムアミド溶液数滴をTLC板の上に置き、小さなポリエチレン秤量皿に入れた。両サンプルをランプAに曝すと15−20秒で脱色(無色に変わる)された。ランプBの場合、30秒で同様の結果となった。
N,N−ジメチルホルムアミド中に着色剤Aとb−シクロデキストリンを含む最初の対照標準サンプルはランプAで脱色しなかった。N,N−ジメチルホルムアミド中に着色剤Aと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含む二番目の対照標準サンプルはランプBにより60秒で脱色した。しかし、放置後1時間以内に色が再度現れ始めた。
脱色に対する溶剤の効果を評価するため、50mgのb−シクロデキストリンン−吸収剤着色剤Aを含む複合物を1mlの溶剤に溶かした。出来た溶液ないし混合物を顕微鏡のガラススライド上に置きランプAに1時間曝した。脱色速度、即ちサンプルが無色になるまでの時間は、溶剤中の複合物の溶解性と比例していた。要約を以下に示す。
Figure 0003590635
最後に、10mgのb−シクロデキストリン−吸収剤着色剤Aを含む複合物を顕微鏡のガラススライド上に置き乳棒でつぶした。最終生成物をランプAに10秒間曝した。粉末は無色となった。ランプBでも同様の結果となったが、無色になるまでの速度が遅かった。
例2
以下の例に示す着色成分の調製の場合、アシル化された吸収剤酸塩化物が少なくとも部分的にシクロデキストリンの空洞をふさぎ、部分的ないし完全に着色剤を排除する可能性があるため、調製手順を変更した。従って、本例は(1)シクロデキストリンの空洞内に少なくとも部分的に含まれかつ水素結合及び/又はファンデルワールス力により会合している着色剤と(2)実質的にシクロデキストリンの空洞の外側でシクロデキストリンと共有結合する紫外線放射吸収剤を有するb−シクロデキストリン分子含有物の調製について述べる。
A.着色剤とシクロデキストリンとの会合
150mlのN,N−ジメチルホルムアミドで10.0g(9.8mmol)のb−シクロデキストリンを溶かした溶液に3.24g(9.6mmol)の着色剤Aを加えた。出来た溶液を雰囲気温度中で1時間撹拌した。反応溶液を回転式蒸発器の減圧下に置き、体積が最初の十分の一になるまで濃縮した。残留物は例1のパートCに示したシリカゲルコラムを通過させた。回転式蒸発器の減圧下で溶離液中の溶剤を除いて、12.4gの青緑粉末のb−シクロデキストリン着色剤Aを含む複合物を得た。
B.アシル化された吸収剤とシクロデキストリン着色剤を含む複合物との共有結合−着色成分の調製。
磁気撹拌棒を含む温度計・冷却器・窒素インレットチューブ付き圧力平衡追加漏斗を取り付けた250ml3段丸底フラスコで、10g(9.6mmol)のb−シクロデキストリン着色剤Aを含む複合物と、例1のパートBで示す如く調製した1−ヒドロキシシクロヘキシル4−(2−クロロフォミルエチル)カルボニルフェニルケトン31.6g(98mmol)と、150mlのN,N−ジメチルホルムアミドを、窒素で連続的にフラッシュしながら混ぜた。反応混合物を50℃まで温め、0.5mlのトリエチルアミンを加えた。反応混合物を約1時間50℃に保った後、雰囲気温度まで冷却した。反応混合物を先のパートAで述べたように処理すると、14.2gの青緑粉末のb−シクロデキストリン吸収剤着色剤Aを含む複合物を得た。
C.着色成分の変化
例1のパートEに述べた手順を、上記パートBで調製されたb−シクロデキストリン吸収剤着色剤Aを含む複合物に対し繰り返して、実質的に同一結果を得た。
例3
本例は、フタロイルグリシン2959と呼ばれる紫外線放射吸収剤,2−[p−(2−メチルラクトイル)フェノキシ]エチル1,3−ジオキソ−2−イソインドリンアセテートの調製法を述べる。
冷却器・2個のガラス栓付きのディーン&スタルク・アダプタを取り付けた250ml3段丸底フラスコで、20.5g(0.1mol)の波長選択増感剤フタロイルグリシン(AC社)と、24.6g(0.1mol)の光反応剤DARCUR2959(CGHN)と,100mlのベンゼン(AC社)と、0.4gのp−トルエンスルホン酸(AC社)を混ぜた。
混合物を加熱しながら3時間還流させると、1.8mlの水分を得た。減圧して溶剤を除くと、43.1gの白い粉を得た。ヘキサン(フィッシャー)にエチルアセテートを30%含む液で白粉を再結晶化させて、40.2g(収率93%)の白結晶粉を得た。白結晶粉の融点は153−4℃であった。反応を要約すると以下の通りである。
Figure 0003590635
最終生成物は、フタロイルグリシン2959と呼ばれ物理的パラメータは以下の通りであった。
IR[NUJOL MULL]nmax 3440,1760,1740,1680,1600cm−1
1H NMR[CDCl3]δppm 1.64[s],4.25[m],4.49[m],6.92[m],7.25[m],7.86[m],7.98[m],8.06[m]ppm
例4
本例は、例3で生成されたフタロイルグリシン2959を脱水する方法について述べる。
冷却器付きのディーン&スタルク・アダプタを取り付けた250ml丸底フラスコで、21.6g(0.05mol)のフタロイルグリシン2959と、100mlの無水ベンゼン(AC社)と、0.1gのp−トルエンスルホン酸(AC社)を混ぜた。3時間還流させた。0.7mlの水分を得た後、真空中で溶液を除くと、20.1g(収率97%)の白い固体を得た。しかし、白い固体を分析した所、本反応では所期の脱水生成物の収率は15−20%程度でしかないことが分かった。反応を要約すると以下の通りである。
Figure 0003590635
最終生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
IR[NUJOL MULL]nmax 1617cm−1(C=C−C=O)
例5
本例は、例3で生成されたフタロイルグリシン2959を脱水する際に用いられるノール・マクドナルド脱離反応について述べる。
500ml丸底フラスコ中に撹拌磁石と、20.0g(0.048mol)のフタロイルグリシン2959と、6.6g(0.048mol)の無水塩化亜鉛(AC社)を置いた。250mlの無水p−キシレン(AC社)を加え、混合物をアルゴン雰囲気中で2時間還流させた。その後反応混合物を冷却すると白の沈澱物が生じたのでこれを集めた。ヘキサンにエチルアセテートを20%含む液でこの白粉を再結晶化させ、18.1g(収率95%)の白粉を得た。反応を要約すると以下の通りである。
Figure 0003590635
最終反応生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
融点:138−140℃
質量スペクトル:m/e:393 M+,352,326,232,160
IR(KB)nmax 1758,1708,1677,1600cm−1
1H NMR[DMSO]δppm 1.8(s),2.6(s),2.8(d),3.8(d),4.6(m),4.8(m),7.3(m),7.4(m),8.3(m),8.6(d)
13C NMR[DMSO]δppm 65.9(CH2=)
例6
本例は、例4または例5で生成された脱水フタロイルグリシン2959基を有するb−シクロデキストリンの生成法について述べる。
100ml丸底フラスコ中で、5.0g(4.0mmol)のb−シクロデキストリン(AMP社、インディアナ州ハモンド)(以下の反応ではb−CDと略)と、8.3g(20.mmol)の脱水フタロイルグリシン2959と、50mlの無水DMFと、20mlのベンゼンと、0.01gのp−トルエンスルホニル塩化物(AC社)を混ぜた。混合物を塩氷浴で冷却し24時間撹拌した。反応混合物を弱重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、50mlのエチルエーテルで三度抽出した。水性層の部分を濾過してフタロイルグリシン2959基の付いたb−シクロデキストリンを含む白の固形物を得た。収量は9.4gであった。50:50DMFを用いた逆相TLC板:アセトニトリル混合物は最初の物質に比べて、新しい製品ピークを示した。
Figure 0003590635
b−シクロデキストリンの分子は、第一アルコールと第二アルコールを含んでおり、これらのアルコールはフタロイルグリシン2959と反応可能である。上記の代表的反応として、フタロイルグリシン2959の単一分子の様子を例示する。
例7
本例は、着色剤及び紫外線放射吸収剤を分子含有物と会合させる方法について述べる。
特に、紫外線放射吸収剤である例6の脱水フタロイルグリシン2959と分子含有物b−シクロデキストリンが共有結合したものに対し、着色剤クリスタルバイオレットを会合させる方法について述べる。
100mlビーカー中で、脱水フタロイルグリシン2959基を有する4.0gのb−シクロデキストリンと50mlの水を混ぜた。水を70℃に加熱すると澄んだ溶液となった。次に0.9g(2.4mmol)のクリスタルバイオレット(AC社)を溶液に加えて、20分撹拌した。溶液を濾過した。濾過物を濾過液で洗った後、84℃の真空オーブンで乾燥させた。バイオレットブルーの粉末4.1g(収率92%)を得た。
最終反応生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
紫外線スペクトルDMF nmax 610nm(cf cv nmax 604nm)
例8
本例は、紫外線放射吸収剤4(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−one−2959(塩素置換)を、,生成させる方法について述べる。
冷却器と磁気撹拌棒を取り付けた250ml丸底フラスコで、17.6g(0.1mol)の波長選択増感剤4(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−one(AC社)と、26.4g(0.1mol)の光反応剤たる塩素置換DARCUR2959(チバガイギー社、ニューヨーク州ホーソン、以後CG社)と、1.0mlのピリジン(AC社)と、100mlの無水テトラヒドロフラン(AC社)を混ぜた。混合物を3時間還流させた後、減圧して一部(60%)の溶剤を除いた。反応混合物を氷水に注ぎ、ジエチルエーテルからなるの50mlのアリコート2本で抽出した。無水硫酸マグネシウムの上で乾燥させて溶剤を除くと、36.7g(収率92%)の白い溶剤が残った。ヘキサンにエチルアセテートを30%含む液で粉末を再結晶化させ、36.7g(収率91%)の白結晶粉を得た。白結晶粉の融点は142−3℃であった。反応を要約すると以下の通りである。
Figure 0003590635
最終生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
IR[NUJOL MULL]nmax 3460,1760,1700,1620,1600cm−1
1H NMR[CDCl3]alphappm 1.62[s],4.2[m],4.5[m],6.9[m]ppm
脱水フタロイルグリシン2959を4(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−one−2959(塩素置換)で置換する先に述べた方法を使えば、本例で生成された紫外線放射吸収剤4(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−one−2959(塩素置換)を、b−シクロデキストリンとクリスタルバイオレットといった着色剤と会合させることができる。
例9
放射吸収剤の安定化活性度
本例は、着色剤を光に対し安定化させる本発明の能力について述べる。
ビクトリアピュアブルーBOを、フタロイルグリシン2959(次式で表される)と脱水フタロイルグリシン2959(次式で表される)を含むアセトニトリルに混ぜた。
Figure 0003590635
溶液は表2の如く調製した。染料溶液を鋼板上に厚み約0.1mmに均等に注意深く広げた。鋼板をすぐに中圧1200W強力石英水銀灯(CHINN)から距離30cmの所に曝した。水銀灯の光は強力でスペクトル範囲が広いので加速退色分析に使われる。表2は溶液を変えた場合の退色時間の結果を示す。肉眼で染料が無色になるまでの時間を退色時間とした。
Figure 0003590635
表2で分かるように、フタロイルグリシン2959とビクトリアピュアブルーBO混ぜた場合、水銀灯のドワスチャージ光に曝すと染料は退色した。しかし、脱水フタロイルグリシン2959とビクトリアピュアブルーBOの重量比を10:1にすると染料の光に対する安定性は改善された。重量比を20:1にすると、染料は水銀灯のドワスチャージ光の限界内の時間まで実質的に安定であった。
例10
ヒドロキシ2959とデヒドロキシ2959が着色剤を安定化させる能力があるか否かを測定するため、以下の実験を行った。下記2種の化合物を以下の如くテストした。
Figure 0003590635
重量20のヒドロキシ2959とデヒドロキシ2959に対し各々別々に重量1のビクトリアピュアブルーBOをアセトニトリル中で混ぜた。染料溶液を鋼板上に厚み約0.1mmに均等に注意深く広げた。鋼板をすぐに水銀灯から距離30cmの所に曝した。水銀灯の光は強力でスペクトル範囲が広いので加速退色分析に使われる。表3は溶液を変えた場合の退色時間の結果を示す。肉眼で染料が無色になるまでの時間を退色時間とした。
Figure 0003590635
例11 放射吸収剤と分子含有物の安定化活性度
本例はb−シクロデキストリンに結びついた脱水フタロイルグリシン2959が光に対し染料を安定化させる能力をもっていることについて述べる。先の諸例で述べた如く、放射吸収剤と会合させたビクトリアピュアブルーBOをテストし、会合した染料を水銀灯の光に対し安定化させる能力を測定した。ビクトリアピュアブルーBO単独の場合と、b−シクロデキストリンと混ぜたビクトリアピュアブルーBOの場合とについてテストした。テスト成分の組成は以下の通りであった。
1. ビクトリアピュアブルーBO単独、アセトニトリル中での濃度10mg/ml
2. b−シクロデキストリンを含むビクトリアピュアブルーBO、アセトニトリル中での濃度20mg/ml
3. 放射吸収剤(脱水フタロイルグリシン2959)が共有結合したb−シクロデキストリンを含むビクトリアピュアブルーBO、アセトニトリル中での濃度20mg/ml
3つの成分の安定化品質をテストする規約は以下の通りである。即ち、染料溶液を鋼板上に厚み約0.1mmに均等に注意深く広げる。鋼板をすぐ中圧1200W強力石英水銀灯(CHINN)から距離30cmの所に曝す。
Figure 0003590635
表4で分かるように、成分3、即ちb−シクロデキストリンと共有結合した放射吸収剤を有するシクロデキストリンに含まれるビクトリアピュアブルーBOのみが、水銀灯の光の下での染料安定化能力を示した。
例12 脱水フタロイルグリシン2959のエポキシド中間生成物の調製
脱水フタロイルグリシン2959のエポキシド中間生成物を以下の反応により調製した。
追加漏斗・温度計・磁気撹拌器を取り付けた250ml3段丸底フラスコで、30.0g(0.076mol)の脱水フタロイルグリシン2959と、70mlのメタノールと、20.1mlの過酸化水素(30%溶液)を混ぜた。反応混合物を撹拌後、水氷浴で冷却し15−20℃の温度域に保った。5.8mlの6N水酸化ナトリウム溶液を追加漏斗を通して、反応混合物の温度が15−20℃保たれるようにゆっくりと加えた。このステップの時間は約4分であった。混合液を温度20−25℃で3時間撹拌した。反応混合物を90mlの水に注ぎ、2本の70mlエチルエーテルportionで抽出した。有機物層を合わせて100mlの水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、エーテルを回転式蒸発器で除いて白い固体(収量20.3g,収率65%)を得た。IRでC−O−C基のストレッチングが判明し、該物質は更に純度を上げることなく使用された。
Figure 0003590635
例13 シクロデキストリンへのエポキシド中間生成物の付加
脱水フタロイルグリシン2959のエポキシド中間生成物を付加については、以下の反応に依った。
Figure 0003590635
銅線をつけゴムバンドを介し1個の栓と2個のガラス栓を取り付けた250ml3段丸底フラスコで、30.0g(0.016mol)のチオールシクロデキストリンと、100mlの無水ジメチルホルムアミド(DMF)(AC社)を混ぜた。反応混合物を氷浴で冷却し、0.5mlのジイソプロピルエチルアミンを加えた。硫化水素の泡をフラスコに通し正圧状態に3時間保った。最後の1時間で、反応混合物は室温まで温められた。
反応混合物をアルゴンで15分間フラッシュした後、70mlの水に注ぎそこに100mlのアセトンを加えた。白の沈澱物が生じたので、これを濾過し20.3g(収率84.1%)の白い固体を得た。該物質は更に純度を上げることなく使用された。
磁気撹拌器を取り付けかつ氷浴させた250ml丸底フラスコで、12.7g(0.031mol)と、80mlの無水ジメチルホルムアミド(DMF)(AC社)と、15.0g(0.010mol)のチオールを混ぜた。反応混合物が冷えた後、0.5mlのジイソプロピルエチルアミンを加え、反応混合物を温度0−5℃で1時間撹拌し、更に室温で2時間撹拌した。反応混合物を80mlの氷水に注ぐと直ちに白の沈澱が起こった。沈澱物を濾過しアセトンで洗った。湿った白粉末を対流式オーブンを用い、80℃で3時間乾燥させて白粉末を得た。収量は24.5g,(収率88%)であった。
例14 シクロデキストリン空洞へのビクトリアピュアブルーの挿入
磁気撹拌器を置いたエルレンマイヤーフラスコで、例13で生成された化合物40.0g(0.014mol)と100mlの水を混ぜた。フラスコをホットプレート上で80℃まで温めた。白曇状の混合物が澄んだ時に、7.43g(0.016mol)のビクトリアピュアブルーBO粉末を熱い溶液に加え、10分間撹拌後、50℃まで冷却した。内容物を濾過し20mlの水で洗った。
沈澱物を対流式オーブンを用い、80℃で2時間乾燥させ青粉末を得た。収量は27.9g,(収率58.1%)であった。
例15
脱水フタロイルグリシン2959を付加したトシル化シクロデキストリンの調製を下記反応により行わせる。
Figure 0003590635
バブルチューブ、冷却器、追加漏斗を取り付けた500ml3段丸底フラスコに、氷浴で0℃に冷却した150mlの無水N,Nジメチルホルムアミド(AC社)中の10g(0.025mol)の脱水フタロイルグリシン2959を入れ、磁気撹拌器で撹拌した。2回目以降は、フラスコを60℃まで温水浴で温めて硫化水素を反応フラスコに栓が動き始めるまで(圧力が抜けようとする)送り込む点を違えてこの合成を繰り返した。フラスコをこの条件下で4時間撹拌した。飽和溶液は、硫化水素が正圧に保たれるよう供給した。栓はワイアとゴムバンドで押さえつけた。その後反応混合物は一晩かけて温めた。溶液をアルゴンで30分間フラッシュし、反応混合物を砕いた氷50g上に注ぎ、80mlのジエチルエーテル(AC社)で3回抽出した。
有機物層を濃縮し水で洗い硫酸マグネシウムで乾燥させた。回転式蒸発器で溶剤を除くと、5.2gの粗生成物を得た。ヘキサン中にエチルアセテートを20%含む溶離材を使用したシリカコラム上で生成物を精製した。4.5gの白色の固体を得た。トシル化シクロデキストリンの調製は、以下の反応に依った。
Figure 0003590635
100ml丸底フラスコで、6g(0.025mol)のβシクロデキストリン(AMP社)と、10.0g(0.05mol)のp−トルエンスルホニル塩化物(AC社)と、50mlのpH10の緩衝液(フィッシャー)を混ぜた。生じた混合物を室温で8時間撹拌した後、氷(約100g)の上に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。水性層の部分を50mlのアセトン(フィッシャー)に注ぎ、生じた曇った混合物を濾過した。最終的な白粉末を、n−ブタノール・エタノール・水(体積比5:4:3)を溶離材として使用したセファデックスコラム(AC社)に通過させ、白粉末を得た。収率は10.9%であった。
白粉末(トシル−シクロデキストリン)の置換度合は炭素13の核磁気共鳴分光学(DMF−d6)を利用し、6の位置における水酸基置換炭素に対するトシル化炭素の割合を比較することにより決定した。6の位置における炭素が水素基を有する場合、6つの炭素原子の各々の核磁気共鳴ピークは表5に示す。
Figure 0003590635
トシル基があると、5と6の位置にある炭素原子の核磁気共鳴ピークは68.8ppm、69.5ppmへと移動する。置換度合を計算するには、6の位置におけるトシル化炭素の核磁気共鳴ピークの積分値及び6の位置における水酸基置換炭素の核磁気共鳴ピークの積分値を得た後、前者を後者で割る。積分値は各々、23.6、4.1、であるので、置換度合は5.9である。従ってこの例の平均置換度合は約6である。フタロイルグリシン2959を付加したトシル化シクロデキストリンの調製は、以下の反応に依った。
Figure 0003590635
250ml丸底フラスコで、10.0g(4.8mol)のトシル化された置換シクロデキストリンと、20.7g(4.8mmol)のチオール(メルカプト脱水フタロイルグリシン2959)を100mlのDMFにいれたものを混ぜた。反応混合物を氷浴で0℃まで冷却し、磁気撹拌器で撹拌した。この溶液に、20mlのDMFに10mlのエチルジイソプロピルアミン(AC社)を入れたものをゆっくりと滴下させた。0℃に保ち撹拌しながら8時間かけて反応させた。反応混合物をジエチルエーテルで抽出した。水性層の部分を500mlのアセトンで処理し、沈澱物を濾過しアセトンで洗った。生成物をn−ブタノール・エタノール・水(体積比5:4:3)を溶離材として使用したセファデックスコラムに通 させ、白粉末を得た。収量は16.7gであった。
官能分子含有物の置換度合は、先に述べた方法で測定する。本ケースの場合、派生紫外線放射吸収剤が存在するため、6の位置にある炭素原子の核磁気共鳴ピークは63.1ppmに移動する。置換度合を計算するには、6の位置における置換炭素の核磁気共鳴ピークの積分値及び6の位置における水酸基置換炭素の核磁気共鳴ピークの積分値を得た後、前者を後者で割る。積分値は各々、67.4、11.7、であったので、置換度合は5.7であった。従って本例の平均置換度合は約6である。上記反応は置換度合が「n」であることを示している。「n」は1個のシクロデキストリンに関する置換値を代表するので0から24の値を取りうるが、平均置換度合は約6であると理解すべきである。
例16
例15の手順を繰り返したが、b−シクロデキストリンとp−トルエンスルホン酸(AC社製)の両が各々6.0g、5.0gである点が異なる。本例の場合、シクロデキストリンの置換度合は約3であることが分かった。
例17
例15の手順を繰り返したが、例15の派生分子含有物の代わりに例16の派生分子含有物を用いる点が異なる。本例の場合、官能分子含有物の置換度合は約3であることが分かった。
例18
本例は、可変性着色剤と例15から得た官能分子含有物を含む着色成分を、調製することについて述べる。
磁気撹拌棒を含むエルレンマイヤーフラスコで、20.0g(5.4mmol)の例15で得られた官能分子含有物と100gの水を混ぜた。水を80℃まで温めると、澄んだ溶液が得られた。本溶液に3.1g(6.0mmol)のビクトリアピュアブルーBO(AC社製)をゆっくりと撹拌しながら えた。形成された沈澱物を熱い溶液を濾 して除いた。沈澱物を50mlの水で洗い、乾燥させて19.1g(収率84%)の青粉末を得た。この着色成分は、可変性着色剤であるビクトリアピュアブルーBOと分子含有物分子とから成っており、この分子含有物は分子状の含有物分子1個につき、ビクトリアピュアブルーBOと共有結合する平均約6個の紫外線放射吸収剤を有していた。
例19
例18の手順を繰り返したが、例15の官能分子含有物の代わりに例17の官能分子含有物を用いた。
例20
本例は、例7(b−シクロデキストリンは、例4で得られた脱水フタロイルグリシン2959と共有結合している)、例18、例19の成分の変化或いは脱色の速度について述べる。
れの場合も、約10mgの成分を鋼板(Qパネル社、オハイオ州クリーブランド)上に置いた。アセトニトリル(B&J社、ミシガン州マスケゴン)3滴(0.3ml)を成分上にたらし、両者を素早くへらで混ぜ、鋼板上に薄膜に広げた。5−10秒以内にアセトニトリルを追 し、各板を波長222ナノメータのエキシマランプ装置の放射光に曝した。ランプ装置は一列4個の円筒形ランプから成り、ランプ長さは約30cmであった。ランプはランプ中心に位置するチューブないし内側チューブを循環する水で冷却されており、結果的に低温、約50℃で作動した。ランプ外表面のパワー密度は4から20ジュール毎平方メートル(J/m2)の範囲であった。しかし、この範囲は実際には、現在のエキシマランプで供給できるパワーの能力を反映しているに ぎない。将来は、より高いパワー密度が実用化される可能性がある。ランプからサンプルまでの照射距離は4.5cmであった。各薄膜が無色になるまでの時間を肉眼で測定した。結果を表6にまとめる。
Figure 0003590635
表6 成分の違いによる無色になるまでの時間の差(英文p57参照)
表6のデータは本発明の着色成分の優秀性をはっきりと示しており、このデータを置換度合と無色になるまでの時間の関係で示したのが図3である。図3は、置換度合が3以下の場合に比較して、本発明の着色成分がかなりの改善を示すことと、置換度合は約6で最良になることを示している。即ち、置換度合が6を超えると、無色になるまでの時間の改善はあってもわずかなことを図が示している。
例21
本例は、可変性着色剤と例15の誘導分子含有物とからなる複合物の調製について述べる。
例18の手順を繰り返したが、例15の官能分子含有物の代わりに10g(4.8mmol)の誘導分子含有物を使用する点と、ビクトリアピュアブルーBOの量を2.5g(4.8mmol)に減らした点が異なる。水洗い後の固体収量は10.8g(収率86%)であった。分子状含有物1分子当たり平均6個のトシル基を有するb−シクロデキストリンと会合した可変性着色剤を得た。
例22
本例は、可変性着色剤と官能分子含有物を含む着色成分の調製について述べる。
例15の官能分子含有物調製手順を繰り返したが、トシル化シクロデキストリンの代わりに例21で得られた着色成分10g(3.8mmol)を使用すること、例15で調製された派生紫外線放射吸収剤の量が11.6g(27mmol)である点が異なる。得られる着色成分は11.2g(収率56%)であった。上記方法による平均置換度合は5.9で、約6であった。
例23
本例は、以下の2つの化合物につき、ビクトリアピュアブルーBOを安定化させる能力をテストした。
Figure 0003590635
本例は、着色剤を光に対し安定化させる本発明の能力について更に述べる。含有物としてのビクトリアピュアブルーBOをシクロデキストリンの空洞に含む2つの化合物を、中圧水銀灯の下での耐光性についてテストした。各々の化合物100mgを20mlのアセトニトリルに溶かし、鋼板上に厚み約0.1mmに均等に広げた。鋼板をすぐ中圧1200W強力石英水銀灯(CHINN)から距離30cmの所に曝した。本化合物の耐光性の結果を表7に要約する。
Figure 0003590635
例24
本例は、着色剤・紫外線放射吸収剤・熱可塑性ポリマーからなる薄膜の調製について述べる。
着色剤と紫外線放射吸収剤を別々に乳鉢ですりつぶした。所期のすりつぶし成分を量ったのち、重量測定した熱可塑性ポリマーと共にアルミ皿にのせた。皿を150℃にセットしたホットプレート上にのせ皿の混合物が融けるまで撹拌した。溶融した混合物数滴を鋼板上に注ぎ、顕微鏡のガラススライドで薄膜状に広げた。鋼板は3インチ×5インチ(7.6cm×12.7cm)で、Qパネル社製であった。鋼板上の薄膜の厚みは10−20マイクロメータ程度であった。
いずれの場合も着色剤はマラカイトグリーンの蓚酸塩(AC社)(以後便宜上、着色剤Aと称する)であった。紫外線放射吸収剤(「UVRT」)は、Irgacure500(「UVRT A」),Irgacure651(「UVRT B」),Irgacure907(「UVRT C」)のうちの少なくとも1つ以上から成っていた。この3つは、先述の通りチバガイギ社で入手できる。ポリマーは以下3種ポリマーのうちの1つであった。即ち、エピクロロヒドリンビスフェノールAエポキシ樹脂/商標名Epon 1004F(シェルオイル社製、テキサス州ヒューストン)(「ポリマーA」)、平均分子重量が約8000のポリエチレングリコール/商標名カーボワックス8000(「ポリマーB」)、平均分子重量が約4600のポリエチレングリコール/商標名カーボワックス4600(AC社製)(「ポリマーC」)の3種である。着色剤とポリマーのみからなる対照標準薄膜を準備した。薄膜成分の要約を表8に示す。
Figure 0003590635
表8 着色剤・紫外線放射吸収剤(「UVRT」)を含む薄膜の成分
薄膜が鋼板上にあるうちに、各薄膜を紫外線に曝した。薄膜をのせた鋼板を速度可変の移動コンベアベルトにのせた。紫外線放射源即ちランプを3種使った。ランプAは波長222ナノメータのエキシマランプ、ランプBは既述の波長308ナノメータのエキシマランプ、ランプCは「D」バルブ(フュージョンシステム社製、メリーランド州ロックビル)を有するフュージョンシステムランプである。エキシマランプは、長さ約30cmの円筒形ランプを4本1列に並べ、ランプの向きをベルト運動方向に直角とした。ランプはランプ中心に位置するチューブないし内側チューブを循環する水で冷却されており、結果的に低温、約50℃で作動させた。ランプ外表面のパワー密度は4から20ジュール毎平方メートル(J/m2)の範囲にある。しかし、この範囲は実際には、現在のエキシマランプで供給できるパワーの能力を反映しているに ぎない。将来は、より高いパワー密度が実用化される可能性がある。ランプA,Bの場合、ランプから薄膜サンプルまでの照射距離は4.5cmで、ベルト速度は、毎分20フィート(0.1m/sec)とした。ランプCの場合、ベルト速度を毎分14フィート(0.07m/sec)、ランプ・サンプル間の距離を10cmとした。薄膜サンプルを紫外線に曝した結果を表9に要約する。薄膜Fを場合の除き、薄膜を無色とするためにランプの下を通 させる必要 数を表に記録している。薄膜Fの場合、通 数を記録しているが薄膜の色に変化がなかった。
Figure 0003590635
例25
本例は、図4に示す波長222ナノメータのエキシマランプが、ランプから5.5cm離れた基盤上の各位置で、基盤上に存在する本発明の成分中の着色剤を変化させるに足る十分な量の一様エネルギー強さを作りだすことを述べる。ランプ10は平行に置かれた4本のエキシマランプバルブ20を備えたランプハウジング15を含んでいる。エキシマランプバルブの長さは約30cmである。ランプはランプ中心に位置するチューブないし内側チューブ(図示せず)を循環する水で冷却されており、結果的に低温、約50℃で作動する。ランプ外表面のパワー密度は4から20ジュール毎平方メートル(J/m2)の範囲にある。
基盤表面上に置いたメーターで得られた強さの読取値を表10に要約する。1、4、7、10の位置での読取値は、図4に示す如くコラム左端から約7cmの位置でのものである。3、6、9、12の位置での読取値は、図4に示す如くコラム右端から約5.5cmの位置でのものである。2、5、8、11の位置での読取値は、図4に示す如くコラム両端から約17.5cmの中央部位置でのものである。
Figure 0003590635
例26
本例は、図5に示す波長222ナノメータのエキシマランプが、ランプから5.5cm離れた基盤上の各位置で、基盤上に存在する本発明の成分中の着色剤を変化させるに足る十分な量の一様エネルギー強さを作りだすことを述べる。エキシマランプ10は平行に置かれた4本のエキシマランプバルブ20を備えたランプハウジング15を含んでいる。エキシマランプバルブの長さは約30cmである。ランプはランプ中心に位置するチューブないし内側チューブ(図示せず)を循環する水で冷却されており、結果的に低温、約50℃で作動する。ランプ外表面のパワー密度は4から20ジュール毎平方メートル(J/m2)の範囲にある。
基盤表面上に置いたメーターで得られた強さの読取値を表11に要約する。1、4、7の位置での読取値は、図5に示す如くコラム左端から約7cmの位置でのものである。3、6、9の位置での読取値は、図5に示す如くコラム右端から約5.5cmの位置でのものである。2、5、8の位置での読取値は、図5に示す如くコラム両端から約17.5cmの中央部位置でのものである。
Figure 0003590635
例27
本例は、図6に示す波長222ナノメータのエキシマランプが基盤上に発生させるエネルギー強さ、即ち基盤上に存在する本発明の成分中の着色剤を変化させるに足る十分な量のエネルギー強さが、ランプから基盤表面までの距離の関数であることを述べる。エキシマランプ10は平行に置かれた4本のエキシマランプバルブ20を備えたランプハウジング15を含んでいる。エキシマランプバルブの長さは約30cmである。ランプはランプ中心に位置するチューブないし内側チューブ(図示せず)を循環する水で冷却されており、結果的に低温、約50℃で作動する。ランプ外表面のパワー密度は4から20ジュール毎平方メートル(J/m2)の範囲にある。
図6の1の位置の基盤表面上に置いたメーターで得られた強さの読取値を表12に要約する。
1の位置は、図5に示す如くコラム両端から約17cmの中央部位置である。
Figure 0003590635
例28
本例は、次の波長選択増感剤を作る方法について述べる。
Figure 0003590635
波長選択増感剤は以下の通りに合成される。
Figure 0003590635
磁気撹拌棒、冷却器を取り付けた250ml丸底フラスコ中で、10.8g(0.27mol)の水酸化ナトリウム(AC社製)と,98gの水と、50gのエタノールを混ぜた。溶液を氷浴させ室温まで冷却しながら撹拌した。撹拌した溶液に、25.8g(0.21mol)のアセトフェノン(AC社製)を、次に32.2g(0.21mol)の4−カルボキシベンズアルデヒド(AC社製)を えた。反応混合物を室温で約8時間撹拌した。反応混合物が30℃を越えぬようチェックした。次に希釈塩酸を え、混合物を中性pHにした。白黄色の沈澱物をブフナー漏斗で濾 し、 転式ポンプで4時間かけて乾燥させ、40g(収率75%)の物質を得た。本生成物は以後精製せずに使った。
最終反応生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
質量スペクトラム:m/e(m+):252,207,179,157,105,77,51
例29
本例は、例28で生成された化合物をシクロデキストリンに共有結合させる方法について述べるが、要約は以下の通りである。
Figure 0003590635
Figure 0003590635
磁気撹拌棒,冷却器を取り付けた250ml丸底フラスコde、アルゴンでフラッシュさせながら、例29で調製された化合物5.0g(0.019mol)to、50mlの無水DMF(オルドリッチケミカル社製)を混ぜた。本溶液に2.5g(0.019mol)の蓚酸塩化物(AC社製)を30分間以上かけてゆっくりと滴下させた。この際、激しく撹拌し反応フラスコを氷浴させた。1時間後、室温まで温まることを許容して反応させ、それから1時間撹拌した。反応混合物は、以下のステップでは「そのまま」使用した。上記反応混合物に、ベンゼン上で2時間かけ完全にディーン&スタルクで脱水した5.3g(0.004mol)のヒドロキシエチル置換アルファシクロデキストリン(アメリカンメイズ社製)を え、反応混合物を室温で撹拌しながら3滴のトリエチルアミンを えた。4時間後、反応混合物を500mlのアセトンに注ぎ、白い沈澱物をブフナー漏斗で濾 した。白粉末をロータリーポンプ(0.1mm Hg)で4時間かけて乾燥させ8.2gの生成物を得た。
最終反応生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
NMR(DMSO−d6)d2.80[M,CD],3.6−4.0[M,CD],7.9[C,aromatus],8.2[M,aromatus of C],8.3[M,aromatus of C]ppm
例30
本例は、次の波長選択増感剤、即ち、4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneを作る方法について述べる。
Figure 0003590635
本波長選択増感剤は次のように合成される。
Figure 0003590635
例28の方法に従って行ったが、アセトン(フィッシャー、オプティマ・グレード)を最初に える点、その後にカルボキシベンズアルデヒドを える点が異なる。特に異なる点は、32.2g(0.21mol)のカルボキシベンズアルデヒドと12.2g(0.21mol)のアセトンを、例28で述べた水酸化ナトリウム/エタノール/水の混合液中で反応させる点である。希釈塩酸を えて反応混合物を中性pHとし、薄い黄色の粉末37.1g(収率91%)を得た。本生成物は以後精製せずに使った。
最終反応生成物4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneの物理的パラメータは以下の通りであった。
質量スペクトル:190(m+),175,120
例31
本例は、例30で生成された4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneをシクロデキストリンに共有結合させる方法について述べるが、その方法の要約は以下の通りである。
Figure 0003590635
例29の方法に従って行ったが、5.0gの4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneを える点が異なる。特に異なる点は、例30で生成された5.0g(0.026mol)の4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneと3.3g(0.026mol)の蓚酸塩化物を、約0℃の無水DMF中で反応させる点である。次に約7.1g(0.005mol)のヒドロキシエチル置換シクロデキストリンを、本混合物に5:1の割合で、例30に述べた条件の下で え、同条件下で更に処理し10.8gの白粉末を得た。生成物の核磁気共鳴は例30で生成された4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneの芳香族プロトンとシクロデキストリンのグルコースプロトンの両者を示した。
例32
本例は、例28で生成された化合物を、光反応剤即ちDARCUR2959に共有結合させる方法について述べるが方法の要約は以下の通りである。
Figure 0003590635
磁気撹拌棒、冷却器を取り付けた500ml丸底フラスコで、例28で調製された成分20g(0.08mol)、17.8g(0.08mol)のDARCUR2959(チバガイギ社製)と、0.5gのp−トルエンスルホン酸(AC社製)と、300mlの無水ベンゼン(AC社製)を混ぜた。ディーン&スタルク・アダプタをフラスコに取付け、反応混合物を8時間還流させながら温め、1.5ml(理論上1.43ml)の水を得た。反応混合物を冷却し、溶剤を 転式蒸発器で除きと35.4gの物質を得た。粗生成物を、ヘキサン(フィッシャー)にエチルアセテートを30%含む液で再結晶化させ、34.2g(収率94%)の白結晶粉を得た。最終生成物の物理的パラメータは以下の通りであった。
質量スペクトル:458(m+),440,399,322,284
例33
例30で生成された化合物、4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneが着色剤を安定化させる能力があるか否かを測定するため以下の実験を行った。テスト薄膜は、カーボワックス4600が90%と、ビクトリアピュアブルーBO(AC社製)1に対し4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−one19をくわえたもの10%とからなる。混合物をホットプレート上で溶かし撹拌後、金属板(約60℃)上に3♯棒でかきおろした。同様なサンプルを、99%のカーボワックス4600と、1%のビクトリアピュアブルーBOとでつくった。プレートを1200W中圧水銀灯に1時間、ランプと板間の距離2フィートで曝した。1時間後、ビクトリアピュアブルーBOの板は実質的に無色となったが、ビクトリアピュアブルーBOと4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneの混合物の板には色の変化がなかった。
例34
例30で生成された化合物、即ち4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneが着色剤を安定化させる能力があるか否かを測定するため更に以下の実験を行った。例33の実験を繰り返したが、カーボワックスを使わない点が異なる。代わりに、材料をアセトニトリルに溶解して薄膜を形成し、乾燥させた後1200Wランプに曝した。再び、1時間後に染料(ビクトリアピュアブルーBO)は実質的に無色となったが、ビクトリアピュアブルーBOと4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−oneの混合物には色の変化がなかった。
例35
例28、例29、例39(4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−one)、例31(4−[4'−カルボキシフェニル]−3−ブテン−2−one/シクロデキストリン)で生成された化合物が、着色剤を安定化させる能力があるか否かを判定するため更に以下の実験を行った。例34の実験を4種の化合物に対し別々に繰り返した。特に、例34のアセトニトリルスラリー法により5つの金属板を準備した。成分は以下の通りとした。
(1)ビクトリアピュアブルーBO
(2)ビクトリアピュアブルーBO+例28で生成された化合物
(3)ビクトリアピュアブルーBO+例30で生成された化合物
(4)ビクトリアピュアブルーBO+例29で生成された化合物
(5)ビクトリアピュアブルーBO+例31で生成された化合物
(2)から(5)の成分の場合、ビクトリアピュアブルーBOと上記化合物は、1:20の割合で含まれる。特に、0.1gのビクトリアピュアブルーBOと約20gの上の例で生成された化合物を10mlのアセトニトリル中で混ぜることになる。混合物を♯8棒でかきおろし、乾燥フード中で空気乾燥させた。全ての板を同時に1200W中圧水銀灯で1時間曝した。ランプに曝している間、各板の半分をアルミフォイルで覆い、着色剤の退色を比較できるようにした。ランプ下に1時間置くと、(1)は無色となったが、(2)から(5)は全て色が変わらなかった。
例36
例29で生成された化合物が着色剤を安定化させる能力を測定するため、別の実験を以下の通り行った。簡略に述べると、例29の化合物をキャノンのBJC−600eバブルジェットカラープリンタのカラーインクと共に用いるというやりかたをした。インクを再度注入したカートリッジを、インクジェットプリンタに組み込み、色テスト紙を作った。この調査では、40枚目がテスト紙として使われた。
特に、BJI−201の4つのカートリッジと4つのインク(シアン、マゼンタ、ブラック、イエロー)を以下の如く準備した。
(1)シアン
約3.8mlのインクをカートリッジから取り出したが、その粘度は10mlのピペットで3ml/12秒であった。例29で生成された化合物約0.4gをこの3.8mlに え、15分間かけて混ぜた。調製されたインク溶液は濁りをおび、粘度は3ml/12秒であった。
(2)マゼンタ
約4.8mlのインクをカートリッジから取り出したが、その粘度は3ml/12秒であった。例29で生成された化合物約0.43gをこの4.8mlに え、15分間かけて混ぜると、3ml/12秒の粘度のインク溶液が生成された。
(3)黒
約7.2mlのインクをカートリッジから取り出したが、その粘度は3ml/8秒であった。例29で生成された化合物約0.43gをこの7.2mlに え、15分間かけて混ぜると、3ml/15秒の粘度で濁りをおびたインク溶液が生成された。
(4)黄
約4.0mlのインクをカートリッジから取り出したが、その粘度は3ml/4秒であった。例29で生成された化合物約0.41gをこの4.0mlに え、15分間かけて混ぜると、3ml/12秒の粘度で濁りをおびたインク溶液が生成された。
(1)から(4)のインクを対応するカートリッジに再度注入した。40枚印刷し、40枚目を対照標準シートと共に1200W中圧水銀ランプに9時間曝した。対照標準シートは、最初のインクカートリッジにあったインク成分を使用して印刷した40枚目のカラーテスト紙である。
実験結果は以下の通りであった。1200Wランプに3時間曝すと、対照標準シートは40−50%脱色されるのに対し、例29で生成された化合物を含むインクには変化がなかった。9時間後でみると、対照標準シートは50−60%脱色されるのに対し、例29で生成された化合物を含むインクは10−20%しか脱色されなかった。従って、例29で生成された化合物は標準インクジェットインクの染料を安定化させる能力がある。
例37
例29で生成された化合物が着色剤を安定化させる能力を測定するため、別の実験を以下の通り行った。例36で生成されたインク溶液の安定化能力を以下に述べるやりかたで調べた。
例29の化合物を約10%含む例36の(1)から(4)のインクを使い、48枚のテスト紙を作り、対照標準シート(例29の化合物を える以前のカートリッジで市場で入手できるインクから作る)と共に1200Wランプに曝した。1時間曝す毎にシートを調べ、曝してないシートに対し「退色」を肉眼で測定した。1200Wランプにシートを曝した結果を表13に要約する。但し、NCは変化無しを意味する。
結果によると、例29で調製された化合物は、可視光線・紫外線の両方に対する染料安定剤として働いている。
Figure 0003590635
以上発明について述べてきたが、通常の技術を持つ当業者ならば本発明の範囲を逸脱することなく、本発明に多くの変更・修正を容易に行うことができるであろう。

Claims (35)

  1. 着色剤の安定化用組成物であって、該組成物は次の一般式:
    Figure 0003590635
    (式中、
    R1は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R2は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R3は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R4は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、かつ
    R1、R2またはR4はアリール基または置換アリール基である。)
    で表される化合物を含み、該化合物はベンザルアセトフェノンでない、前記組成物。
  2. 着色剤の安定化用組成物であって、該組成物は次の一般式:
    Figure 0003590635
    (式中、
    R1がアリール基の場合、R2は水素、アルキル基、アリール基、ヘテロサイクリック基またはフェニル基であり、該フェニル基はアルキル基、ハロ基、アミノ基またはチオール基で置換されていてもよく、
    R2がアリール基の場合、R1は水素、アルキル基、アリール基、ヘテロサイクリック基、フェニル基のいずれかであり、該フェニル基はアルキル基、ハロ基、アミノ基、チオール基のいずれかで置換されていてもよい。)
    で表される化合物を含み、該化合物はベンザルアセトフェノンでない、前記組成物。
  3. 前記組成物が着色剤を更に含む、請求項1または2に記載の安定用組成物。
  4. 前記組成物が分子包接体を更に含む、請求項1または2に記載の安定化用組成物。
  5. 前記分子包接体が前記化合物に共有結合する、請求項4に記載の安定化用組成物。
  6. 前記化合物が次の構造式で表される、請求項1に記載の安定化用組成物。
    Figure 0003590635
  7. 波長選択増感剤を更に含む、請求項1または2に記載の安定化用組成物。
  8. 前記化合物が波長選択増感剤と共有結合する、請求項7に記載の安定化用組成物。
  9. 前記波長選択増感剤に共有結合する化合物が次の構造式で表される、請求項8に記載の安定化用組成物。
    Figure 0003590635
  10. 前記化合物が次の構造式で表される、請求項1に記載の安定化用組成物。
    Figure 0003590635
  11. 前記R1、R2またはR4がアリール基であり、該アリール基がカルボキシル酸基、アルデヒド基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基またはチオアルキル基を有する、請求項1または2に記載の安定化用組成物。
  12. 前記化合物が次の構造式で表される、請求項11に記載の安定化用組成物。
    Figure 0003590635
  13. 前記化合物が次の構造式で表される、請求項11に記載の安定化用組成物。
    Figure 0003590635
  14. 前記化合物が次の構造式で表される、請求項11に記載の安定化用組成物。
    Figure 0003590635
  15. 着色剤を光に対し安定化させる方法であって、該着色剤を安定化用分子と会合させる工程を含み、該安定化用分子が次の一般式:
    Figure 0003590635
    (式中、
    R1は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R2は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R3は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R4は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、かつ
    R1、R2またはR4はアリール基または置換アリール基である。)
    で表され、該安定化用分子はベンザルアセトフェノンでない、前記方法。
  16. 着色剤を光に対し安定化させる方法であって、該着色剤を安定化用分子と会合させる工程を含み、該安定化用分子が次の一般式:
    Figure 0003590635
    (式中、
    R1がアリール基の場合、R2は水素、アルキル基、アリール基、ヘテロサイクリック基またはフェニル基であり、該フェニル基はアルキル基、ハロ基、アミノ基またはチオール基で置換されていてもよく、
    R2がアリール基の場合、R1は水素、アルキル基、アリール基、ヘテロサイクリック基、フェニル基のいずれかであり、該フェニル基はアルキル基、ハロ基、アミノ基、チオール基のいずれかで置換されていてもよい。)
    で表され、該安定化用分子はベンザルアセトフェノンでない、前記方法。
  17. 前記安定化用分子が更に分子包接体と会合する、請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記分子包接体が前記安定化用分子に共有結合する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記安定化用分子が次の構造式で表される、請求項15に記載の方法。
    Figure 0003590635
  20. 前記安定化用分子が更に波長選択増感剤と会合する、請求項15または16に記載の方法。
  21. 前記安定化用分子が波長選択増感剤と共有結合する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記波長選択増感剤に共有結合する安定化用分子が次の構造式で表される、請求項21に記載の方法。
    Figure 0003590635
  23. 前記安定化用分子が次の構造式で表される、請求項15に記載の方法。
    Figure 0003590635
  24. 前記R1、R2またはR4がアリール基であり、該アリール基がカルボキシル酸基、アルデヒド基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基またはチオアルキル基を有する、請求項15または16に記載の方法。
  25. 前記安定化用分子が次の構造式で表される、請求項24に記載の方法。
    Figure 0003590635
  26. 前記安定化用分子が次の構造式で表される、請求項24に記載の方法。
    Figure 0003590635
  27. 前記安定化用分子が次の構造式で表される、請求項24に記載の方法。
    Figure 0003590635
  28. 3級アルコールを脱水する方法であって、3級アルコールが脱水されるように遷移金属塩を有効量存在させて、該3級アルコールを非水性の無極性溶剤中で反応させる工程を含み、該3級アルコールが次の一般式:
    Figure 0003590635
    (式中、
    R1は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R2は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R3はアリール基または置換アリール基である。)
    で表される、前記方法。
  29. 前記無極性溶剤が、キシレン、ベンゼン、トルエン、クメン、メシチレン、P−シメン、ブチルベンゼン、スチレン及びジビニルベンゼンからなる群から選ばれる、請求項28に記載の方法。
  30. 前記無極性溶剤がP−キシレンである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記遷移金属塩が塩化亜鉛である、請求項28に記載の方法。
  32. 前記反応を80℃〜150℃の間で行う、請求項28に記載の方法。
  33. 前記3級アルコールが次の構造式で表される、請求項28に記載の方法。
    Figure 0003590635
  34. 分子包接体及び次の一般式:
    Figure 0003590635
    (式中、
    R1は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R2は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R3は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、
    R4は水素、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはヘテロアリール基であり、かつ
    R1、R2またはR4はアリール基または置換アリール基である。)
    で表される着色剤の安定化用化合物を含む組成物。
  35. 前記分子包接体が前記安定化用化合物に共有結合する、請求項34に記載の組成物。
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