JP3589006B2 - インバータ装置の出力地絡保護方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インバータ装置の出力地絡保護方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図２は、この種のインバータ装置の従来例を示す回路構成図であり、１はインバータ装置、２は商用電源などの交流電源、３はインバータ装置１の負荷を示し、このインバータ装置１は、例えばダイオード，平滑コンデンサなどからなる整流回路１１と、上アームの電流センス端子付のパワーデバイスとしてのＩＧＢＴ１２ａと下アームの電流センス端子付のパワーデバイスとしてのＩＧＢＴ１２ｂとからなる逆変換回路１２と、ＩＧＢＴ１２ａをオン・オフさせるゲート駆動回路１３と、ＩＧＢＴ１２ｂをオン・オフさせるゲート駆動回路１４と、逆変換回路１２の出力が所望の周波数，電圧の交流電圧になるようにゲート駆動回路１３，１４へ制御信号としてのオン・オフ信号を送信すると共に、ゲート駆動回路１３，１４それぞれからの制御信号としてのエラー信号を受信して処理する制御回路１５と、制御回路１５とゲート駆動回路１３，１４との間の備えるインタフェース回路１６とから構成されている。
【０００３】
なお、このインバータ装置１では逆変換回路１２の回路構成として、出力の１相分のみを例示している。
また、ゲート駆動回路１３はインタフェース回路１６を介して制御回路１５から送出されたオン・オフ信号をＩＧＢＴ１２ａのゲート信号に変換する増幅回路１３ａと、ＩＧＢＴ１２ａの電流センス端子とエミッタ端子間に接続された検出抵抗１３ｂと、検出抵抗１３ｂの両端電圧が所定の値を超えたときに動作して出力する比較器１３ｃと、比較器１３ｃが動作したときに増幅回路１３ａの出力をオフ状態（Ｌｏｗレベル）にするゲートオフ回路１３ｄと、ゲートオフ回路１３ｄが動作中はエラー信号をインタフェース回路１６を介して制御回路１５へ送出するエラー信号出力回路１３ｅとから構成されている。同様に、ゲート駆動回路１４はインタフェース回路１６を介して制御回路１５から送出されたオン・オフ信号をＩＧＢＴ１２ｂのゲート信号に変換する増幅回路１４ａと、ＩＧＢＴ１２ｂの電流センス端子とエミッタ端子間に接続された検出抵抗１４ｂと、検出抵抗１４ｂの両端電圧が所定の値を超えたときに動作して出力する比較器１４ｃと、比較器１４ｃが動作したときに増幅回路１４ａの出力をオフ状態（Ｌｏｗレベル）にするゲートオフ回路１４ｄと、ゲートオフ回路１４ｄが動作中はエラー信号をインタフェース回路１６を介して制御回路１５へ送出するエラー信号出力回路１４ｅとから構成されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上述のインバータ装置１において、インバータ装置１が動作中にインバータ装置１から負荷３への給電経路、又は負荷３の内部で地絡が発生すると、この地絡点と交流電源２の接地点との間にインバータ装置１を介した閉回路が形成され、逆変換回路１２のＩＧＢＴ１２ａ，１２ｂに過大な地絡電流が流れ、この電流によりＩＧＢＴ１２ａ，１２ｂが破損する恐れがあり、何らかの保護回路を備える必要がある。
【０００５】
すなわち従来のインバータ装置１では、ゲート駆動回路１３の検出抵抗１３ｂ，比較器１３ｃ，ゲートオフ回路１３ｄ，エラー信号出力回路１３ｅと、ゲート駆動回路１４の検出抵抗１４ｂ，比較器１４ｃ，ゲートオフ回路１４ｄ，エラー信号出力回路１４ｅとが上記対策のために備え、エラー信号出力回路１３ｅ，１４ｅからのエラー信号を受信した制御回路１５では、インバータ装置１の動作を停止させ、外部へこの停止を表示するようにしている。
【０００６】
しかしながら、例えば６個の電流センス端子付のパワーデバイスをブリッジ接続して形成される三相出力の逆変換回路では、上アームのゲート駆動回路（ゲート駆動回路１３相当が３組）それぞれと、下アームのゲート駆動回路（ゲート駆動回路１４相当が３組）それぞれと、エラー信号出力回路１３ｅ，１４ｅと制御回路１５との間に備えるインタフェース回路１６における高耐圧ホトカプラなどの絶縁して信号を伝達する素子の数は少なくとも４個必要となり、この高耐圧ホトカプラは高価であり、回路構成も複雑になっていた。
【０００７】
この発明の目的は、上記問題点を解決するインバータ装置の出力地絡保護方法を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数個の電流センス端子付のパワーデバイスをブリッジ接続して形成される逆変換回路と、該パワーデバイスをオン・オフさせる該複数個のゲート駆動回路と、これらのゲート駆動回路との間で制御信号を送受する制御回路とにより、該逆変換回路に入力される直流電圧を所望の周波数，電圧の交流電圧に変換し、この交流電圧を負荷に供給するインバータ装置において、
ブリッジ接続された前記パワーデバイスの内、上アームのそれぞれのパワーデバイスの電流センス端子とソース端子又はエミッタ端子との間に接続される検出抵抗の両端電圧が所定の値を超えたときから所定の期間の間は当該するパワーデバイスのゲート駆動回路の出力をオフ状態にし、ブリッジ接続された前記パワーデバイスの内、下アームのそれぞれのパワーデバイスの電流センス端子とソース端子又はエミッタ端子との間に接続される検出抵抗の両端電圧が所定の値を超えたときに当該するパワーデバイスのゲート駆動回路の出力をオフ状態にし、前記下アームのいずれかのゲート駆動回路に発生した前記オフ状態を制御回路に伝達して、負荷への給電経路の地絡に対して保護する。
【０００９】
この発明によれば、後述の如く、インバータ装置が三相交流電圧を出力するものであっても、前記インタフェース回路にはエラー信号伝達用の高耐圧ホトカプラを１個備えればよい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１は、この発明の実施例を示すインバータ装置の回路構成図であり、図２に示した従来例回路と同一機能を有するものには同一符号を付している。
すなわち図１に示したインバータ装置２０においては、図２に示したインバータ装置１のゲート駆動回路１３に代えてゲート駆動回路２１を備えている。なお制御回路１５ａおよびインタフェース回路１６ａは先述の制御回路１５およびインタフェース回路１６と同等機能を有している。
【００１１】
図１に示したゲート駆動回路２１はインタフェース回路１６ａを介して制御回路１５ａから送出されたオン・オフ信号をＩＧＢＴ１２ａのゲート信号に変換する増幅回路２１ａと、ＩＧＢＴ１２ａの電流センス端子とエミッタ端子間に接続された検出抵抗２１ｂと、検出抵抗２１ｂの両端電圧が所定の値を超えたときに動作して出力する比較器２１ｃと、比較器１３ｃが動作したときから所定の期間動作して出力するタイマー回路２１ｄと、タイマー回路２１ｄが動作中は増幅回路２１ａの出力をオフ状態（Ｌｏｗレベル）にするゲートオフ回路２１ｅとから構成されている。
【００１２】
上述のインバータ装置２０において、インバータ装置２０が動作中にインバータ装置２０から負荷３への給電経路、又は負荷３の内部で地絡が発生すると、この地絡点と交流電源２の接地点との間にインバータ装置２０を介した閉回路が形成され、逆変換回路１２のＩＧＢＴ１２ａ又はＩＧＢＴ１２ｂのいずれかに地絡電流が流れ始めようとする。
【００１３】
すなわち交流電源２の負の半サイクルでは、前記地絡電流がＩＧＢＴ１２ｂに流れようとするが、このときにＩＧＢＴ１２ｂの電流センス端子とエミッタ端子間に接続された検出抵抗１４ｂの両端電圧が所定の値（例えば、インバータ装置２０の定格出力電流の３００％に相当する値）を超えると、比較器１４ｃが動作をし、ゲートオフ回路１４ｄにより増幅回路１４ａの出力をオフ状態（Ｌｏｗレベル）にすることによりＩＧＢＴ１２ｂのコレクタ電流が遮断され、同時にエラー信号出力回路１４ｅからインタフェース回路１６ａを介して制御回路１５ａへエラー信号が送出され、このエラー信号を受信した制御回路１５ａでは、インバータ装置２０の動作を停止させ、外部へこの停止を表示する。
【００１４】
また交流電源２の正の半サイクルでは、前記地絡電流がＩＧＢＴ１２ａに流れようとするが、このときにＩＧＢＴ１２ａの電流センス端子とエミッタ端子間に接続された検出抵抗２１ｂの両端電圧が所定の値（例えば、インバータ装置２０の定格出力電流の３００％に相当する値）を超えると、比較器２１ｃが動作をしてタイマー回路２１ｄを起動させ、このタイマー回路２１ｄは所定の期間（例えば２ミリ秒）動作をし、タイマー回路２１ｄが動作中はゲートオフ回路２１ｅにより増幅回路２１ａの出力をオフ状態（Ｌｏｗレベル）にしてＩＧＢＴ１２ａのコレクタ電流を遮断する。前記地絡電流がＩＧＢＴ１２ａに流れる最長の期間は交流電源２の半サイクルであることから、交流電源２が商用電源の場合の最長の期間は１０ミリ秒となり、この１０ミリ秒間はタイマー回路２１ｄの期間（例えば２ミリ秒）を経過する毎に、ＩＧＢＴ１２ａにはインバータ装置２０の定格出力電流の３００％に相当するコレクタ電流が微少な時間流れても、ＩＧＢＴ１２ａの過電流耐量値以内にすることが可能となり、ＩＧＢＴ１２ａが保護される。さらに、前記地絡電流が交流電源２の正の半サイクルから負の半サイクルの期間に入った時点で、上述の如くゲート駆動回路１４の比較器１４ｃ，ゲートオフ回路１４ｄ，エラー信号出力回路１４ｅそれぞれが動作をし、エラー信号出力回路１４ｅからインタフェース回路１６ａを介して制御回路１５ａへエラー信号が送出され、このエラー信号を受信した制御回路１５ａでは、インバータ装置２０の動作を停止させ、外部へこの停止を表示する。
【００１５】
すなわち図１に示したインバータ装置２０によれば、インバータ装置２０が三相交流電圧を出力するものであっても、インタフェース回路１６ａには３組のゲート駆動回路１４に対して共通にエラー信号伝達用の高耐圧ホトカプラを１個備えればよい。
【００１６】
【発明の効果】
この発明によれば、上述の如く、インバータ装置が三相交流電圧を出力するものであっても、前記インタフェース回路にはエラー信号伝達用の高耐圧ホトカプラを１個備えればよく、インバータ装置の回路の簡素化，低価格化が計れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の制御方法の実施例を示すインバータ装置の回路構成図
【図２】従来の制御方法を示すインバータ装置の回路構成図
【符号の説明】
１…インバータ装置、２…交流電源、３…負荷、１１…整流回路、１２…逆変換回路、１２ａ，１２ｂ…ＩＧＢＴ、１３，１４，２１…ゲート駆動回路、１５，１５ａ…制御回路、１６，１６ａ…インタフェース回路。

Claims (1)

1. 複数個の電流センス端子付のパワーデバイスをブリッジ接続して形成される逆変換回路と、該パワーデバイスをオン・オフさせる該複数個のゲート駆動回路と、これらのゲート駆動回路との間で制御信号を送受する制御回路とにより、該逆変換回路に入力される直流電圧を所望の周波数，電圧の交流電圧に変換し、この交流電圧を負荷に供給するインバータ装置において、
   ブリッジ接続された前記パワーデバイスの内、上アームのそれぞれのパワーデバイスの電流センス端子とソース端子又はエミッタ端子との間に接続される検出抵抗の両端電圧が所定の値を超えたときから所定の期間の間は当該するパワーデバイスのゲート駆動回路の出力をオフ状態にし、
   ブリッジ接続された前記パワーデバイスの内、下アームのそれぞれのパワーデバイスの電流センス端子とソース端子又はエミッタ端子との間に接続される検出抵抗の両端電圧が所定の値を超えたときに当該するパワーデバイスのゲート駆動回路の出力をオフ状態にし、
   前記下アームのいずれかのゲート駆動回路に発生した前記オフ状態を制御回路に伝達して、負荷への給電経路の地絡に対して保護することを特徴とするインバータ装置の出力地絡保護方法。

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