JP3588047B2 - オキシデーションディッチにおける生物学的リン除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小ないし中規模の下水の処理方式であるオキシデーションディッチ法において、下水からのリン(溶解性全りん濃度:T−P表示成分)の除去が効果的になされるように工夫した、オキシデーションディッチにおける生物学的リン除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈オキシデーションディッチ法〉
生物学的に下水を浄化する方法の一つであるオキシデーションディッチは、レーストラックの形をした無終端循環流路からなる。この循環流路は、明確な境界があるわけではないが、脱窒域−硝化域の各領域で構成されている。脱窒域は、曝気用撹拌機から最も遠く、しかも下水の導入口から汚水が供給されるので、溶存酸素量の小さい嫌気域となり、脱窒が嫌気性微生物により行われる。硝化域のうち曝気用撹拌機に最も近い前半部は、溶存酸素量が大から中程度の好気域となり、好気性微生物により大部分の有機物の除去と硝化が行われる。曝気用撹拌機から中間距離に位置している後半部は、溶存酸素量が小さい微好気域となり、アンモニア性窒素の酸化が終了し、上記の脱窒域に入って、嫌気性微生物によりN2 およびH2 Oへ転化され、浄化される。
【0003】
このように、オキシデーションディッチ(酸化池、Oxidation Ditch )法は、他の下水処理方式と比較すると、処理時間が24時間前後と長く、従って活性汚泥の滞留時間が長いレーストラック型無終端水路であって、負荷変動に強く、維持管理が容易であり、かつ活性汚泥中の好気性微生物による有機物(BOD表示成分)の除去と嫌気性微生物による脱窒とが順次系列的に進行するので、浄化の主体である有機物除去と、硝化、脱窒素(全窒素濃度:T−N表示成分)とを同一槽内におけるそれぞれの機能域(ゾーン)ごとに実施できるという特徴がある。
【0004】
しかしながら、近年における水質汚濁防止に関連した法規制の強化および下水処理場周辺水域の自主的な環境保全のためには、従来のオキシデーションディッチ法ではなお除去されずに残存している富栄養化物質であるリンの除去を図ることが強く要請される。そしてこの要請に応えるべく、下記に述べるように、いくつかのリン除去方法が提案されている。
【0005】
〈物理化学的リン除去方法〉
リンの除去方法の一つは、特開平11−300382号公報や特開平11−262777号公報に記載のように、工業用化学薬品である各種の凝集剤をオキシデーションディッチ内に注入し、下水中の溶解性リンを凝集沈殿させて除去する方法である。
【0006】
この物理化学的リン除去方法は、凝集剤を連続的に注入するか、あるいは、処理中の下水の溶存酸素(DO)、酸化還元電位(ORP)およびpH等の計測機器による実測値に基いて最適の添加量を演算し、可変ポンプを制御して注入する方法であるので、消耗品である凝集剤等の化学薬品の購入費の点、添加量に比例した汚泥処分費の増加の点、計測機器や注入制御機器を含む管理費の点などにおいて、多大の費用と人件費とが必要となる。
【0007】
〈生物学的リン除去方法〉
リンの除去方法の他の一つは、特開平7−290086号公報や特開平7−290083号公報に記載のように、オキシデーションディッチ内に生息している活性汚泥中の嫌気性微生物および好気性微生物の有するそれぞれ異なる代謝機能を組み合わせて、リンを除去する方法である。
【0008】
この生物学的リン除去方法は、オキシデーションディッチ内の活性汚泥中に元々生育している嫌気性微生物および好気性微生物を利用することができるので、凝集剤のような消耗品を必要としない利点があり、上記の化学的リン除去方法に比し有利であると考えられる。
【0009】
生物学的リン除去方法にかかる上記の公報の発明においては、図2に処理フローを示すように(本発明との混同を避けるために、符号にはダッシュを付してある)、オキシデーションディッチの曝気槽(7'), (8')の前段に流量調整槽(4')を設け、沈殿槽(9')の沈殿汚泥c'をこの流量調整槽(4')に返送d'して流入下水a'と混合し、汚泥を完全嫌気状態とした後に、曝気槽(7'), (8')に流入させて好気状態にすることにより、リンの除去を行っている。また汚泥の一部は汚泥マス(11') を介して余剰汚泥e'として汚泥濃縮貯留槽(12') に移送し、ここで曝気と静置を行うことにより、濃縮・減量後に脱水処理等を行っている。なお図2中、(1')はポンプ井、(2')は原水ポンプ、(3')は沈砂槽、(5')は撹拌機、(6')は流調ポンプ、(10') は返送汚泥ポンプ、b'は処理水、e'は余剰汚泥、f'は分離水である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開平7−290086号公報や特開平7−290083号公報の脱リン方法または脱窒・脱リン方法においては、流量調整槽(4')を使用しているために、流調ポンプ(6')の稼動/停止に追随して最高水位から最低水位まで大きな水位変動が生ずることが避けられない。これらの公報の発明が目的としているように、嫌気性微生物よりリンを水中へ放出させるための処理時間を確保するためには、完全嫌気の状態が1〜4時間となるように流量調整槽(4')の最低水位における容量を設定しなければならないが、このリン処理容量を最低水位として確保した上でさらに流量調整に必要な最高から最低水位までの水位可変容量とを加算すると、流量調整槽(4')の槽容量を主目的であるリンの水中への放出に必要とする容量のさらに2〜3倍程度大きくせざるをえない。
【0011】
また、リン放出溶解機能を有効に果たさせるためには汚泥が嫌気性であることが必須条件であり、さらには、後述するように嫌気性微生物によるリンの代謝には有機物の存在が不可欠であるところ、流入下水a'の昼夜間での大幅な流量変動に伴う有機物の過不足を生じてしまうので、最終的なリン除去率が安定しないことがあった。
【0012】
さらに、リン放出機能とは無関係な流量調整の機能である流調ポンプ(6')を設置しているために、流入下水a'を揚水するたびごとに、流調ポンプ(6')のインペラーの高速回転により、リンの放出に有用な嫌気性汚泥のフロックを破壊して送出してしまい、リンの除去機能を最適に維持できないことがあった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、本体オキシデーションディッチ槽の前段にリン放出槽を設け、両槽に出入する液および両槽の機能を相互に連係させることにより、高度の(たとえば85%以上の)リン除去率が得られるようにすると共に、全体の処理工程が簡素化されるようにした生物学的リン除去方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のオキシデーションディッチにおける生物学的リン除去方法は、下水をオキシデーションディッチ法により処理する方法において、
オキシデーションディッチ(7) の前段にリン放出槽(2) を設けること、
そのリン放出槽(2) に、下水aを送入すると共に、沈殿池(9) からの返送汚泥bと、オキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cとを導入すること、
水中プロペラ型の潜水型撹拌機(3) により、リン放出槽(2) 内の水を嫌気性を維持しながら均質混合して循環させ、嫌気性微生物よりリンを水中に放出させること、
水中にリンが放出されたリン放出槽(2) 内のリン溶解水dを、オキシデーションディッチ(7) 内に導出し、還流させて、生物学的リン除去を行うこと
を特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の代表的なフローを示す図1を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明においては、下水をオキシデーションディッチ法により処理するにあたり、オキシデーションディッチ(7) の前段にリン放出槽(2) を設ける。
【0017】
処理対象の下水aは、公知の前処理装置(前処理槽(1) )において固体のゴミ類をスクリーンで除去した後に、本発明に従ってリン放出槽(2) に送入される。なお、この前処理槽(1) においては、下水aの流入水位が本体オキシデーションディッチ(7) の水位よりも低い場合には、流量調整および揚水のために公知のポンプユニットを設置することにより対処することができる。
【0018】
そしてリン放出槽(2) には、下水aを送入するほかに、沈殿池(9) からの返送汚泥bと、オキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cとを導入する。
【0019】
より詳しく述べると、リン放出槽(2) には、流入下水aと、沈殿池(9) 下部より引き抜いた活性汚泥の一部である返送汚泥bとを導入し、さらに、後述の導入口(4) から、本体オキシデーションディッチ(7) 内の縦軸型、横軸型などの曝気装置(8) が設置されている地点の直後あるいは下流域より、自然流入により、本体オキシデーションディッチ(7) の有機物含有工程水cを導入する。この工程水cを取り入れて混合するのは、その取り入れた工程水cに、流入下水aに同伴される有機物濃度を安定化させるための緩衝水としての役割を果たさせるためである。
【0020】
ここで、リン除去施設の設計に関する基準が記述されている下記の指針には、「嫌気状態では、細胞中に蓄積したポリりん酸は加水分解されて、正りん酸として混合液中に放出され、混合液中の有機物は細胞内に摂取される。このとき、りんの放出速度は、一般的に混合液中の有機物濃度が高いほど大きい。」と記載されている(下記の指針の133頁3〜5行)。すなわち、リンの除去率を安定化するためには、有機物の供給濃度を安定化する必要がある。
指針:社団法人日本下水道協会「下水道施設計画・設計指針と解説 後編 −1994版−」、132〜134頁
【0021】
ところで、下水は人間の生活時間と比例して昼間と夜間等の時間帯によってその流入量の変動が大きく、夜間1〜5時においてはほとんど流入しない地域もある。それに伴い、下水に同伴されて供給される有機物量も大巾に増減しているのが実状である。さらに、上記の指針には、「本法のりん除去性能は、雨天時に低下する傾向があるので、より安定的な処理水のT−P濃度を確保する必要がある場合には、補完的設備として凝集剤添加等の物理化学的なりん除去プロセスの併用が必要となる場合もある。」と記載されている(134頁7〜9行)。このことは、本指針に記載されている従来法の生物学的リン除去方法によっては、降雨の希釈効果により有機物濃度が低下した際に、リン除去率の悪化を招く場合が生ずることを示唆している。しかし、いずれにせよ、上記の指針には、具体的な対処方法は示されていない。
【0022】
本発明は、この点の解決策として、本体オキシデーションディッチ(7) 内の、有機物除去のために酸素を供給する曝気装置(8) が設置されている位置の直後あるいは下流域の有機物含有工程水cをリン放出槽(2) の流入下水a入口付近に取り入れることによって、下水aより供給される有機物濃度不足を緩衝できるようにしてある。
【0023】
そして本発明においては、空気を取り込むことの少ない潜水型撹拌機(3) により、リン放出槽(2) 内の水を嫌気性を維持しながら均質混合して循環させ、嫌気性微生物よりリンを水中に放出させる。すなわち、上記3種の異なる液体(流入下水a、返送汚泥b、有機物含有工程水c)の均質混合の達成と、リン放出槽(2) 内の底部に活性汚泥が沈殿することを防止するための槽内循環水流の確保をしつつ、リン放出に必須の嫌気性維持を図ることを目的として、大気中の酸素の取り込みを防止できる潜水型撹拌機(3) を設置する。
【0024】
この潜水型撹拌機(3) としては、本発明においては、大口径で緩速回転するので大気(空気)の取り込みがほとんどなく、かつ嫌気性汚泥フロックに悪影響を及ぼす剪断力を与えることのない(つまり活性汚泥フロックの切断による微細化現象をひき起こすおそれのない)水中プロペラ型撹拌機を用いる。
【0025】
流入下水aのリン放出処理に要する槽内滞留時間は1〜2時間であるので、本体オキシデーションディッチ(7) の工程水cの取り入れ量を含めると、少なくともリン放出槽(2) の容量としては、日間流入下水a量の 1.2時間分以上の実質容量を満たす必要がある。
【0026】
リン放出槽(2) への本体オキシデーションディッチ(7) の有機物含有工程水cの取り入れ量は、その工程水cの取り入れ目的が上記のように流入下水aによって同伴される有機物濃度の不足分を緩衝することにあるため、設置する地域固有の流入下水量と有機物濃度変動パターンとによっても異なので一義的には決定できないが、通常は日間流入下水量の 0.2〜0.5 時間程度である。
【0027】
さらに本発明においては、水中にリンが放出されたリン放出槽(2) 内のリン溶解水dを、オキシデーションディッチ(7) 内に導出し、還流させて、生物学的リン除去を行う。
【0028】
より詳しく述べると、リン放出槽(2) でリンを水中に溶解放出されたリン溶解水dは、リン放出槽(2) から後述の導出口(6) を経て自然流出して、本体オキシデーションディッチ(7) の下流域(ゾーン)に還流され、以降は本体オキシデーションディッチ(7) の各ゾーンごとでの処理工程(好気、硝化および脱窒、沈殿分離)を経て、処理水のそれぞれの規定値(たとえば、BOD、COD、SS、T−N、T−P等)まで浄化される。
【0029】
このように、本体オキシデーションディッチ(7) の下流域に還流されたリン含有水は、本体オキシデーションディッチ(7) 内の好気域の作用によって、微生物の細胞内貯蔵基質(嫌気性のリン放出槽(2) 内で接触した有機物がグリコーゲン等に変換された物質)が酸化分解されて減少し、オキシデーションディッチ(7) 内の好気性活性汚泥微生物はこのエネルギーを利用して嫌気状態で放出した正りん酸を摂取し、ポリりん酸として細胞内に再結合することによって、水中の溶解性全りんが除去される。
【0030】
このとき、嫌気性のリン放出槽(2) 内で放出される溶解性リン総量よりも、オキシデーションディッチ(7) 内の好気域で微生物に摂取吸収されるリン総量の方が多いので、最終的収支でリンが下水より除去されるわけである。
【0031】
リン放出槽(2) の全体形状は、図1のように本体オキシデーションディッチ(7) と形状の類似したレーストラック型無終端水路とするのが通常であり、これによりリン放出槽(2) への本体工程水cの導入取り入れおよびリン溶解水dの本体オキシデーションディッチ(7) への導出還流に自然水位勾配を活用できるので、特別に送水ポンプ設備を設置する必要がない。さらにリン放出槽(2) 内での流入下水a、返送汚泥bおよび本体工程水cの均質混合も速く達成され、リン放出に有用な嫌気性汚泥全量の一方向導出のみではなく、一部が槽内にとどまって循環が行われるので、リン放出率が高く、水質維持に望ましい。
【0032】
このとき、リン放出槽(2) は、オキシデーションディッチ(7) 槽と仕切り壁(W) を共有していることが、建設コストの削減において有利である。そしてその仕切り壁(W) の部分に、オキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cをそのオキシデーションディッチ(7) 内の曝気装置が設置されている位置の直後あるいは下流域から取り入れる導入口(4) と、リン溶解水dをオキシデーションディッチ(7) 内の前記導入口(4) の下流域に還流させる導出口(6) とを設置してあることが好ましい。
【0033】
ここで導入口(4) は、有機物含有工程水cの自然流入させるために、オキシデーションディッチ(7) 内の処理水位より低い位置に設けることが好ましい。またその導入口(4) には、有機物含有工程水cの取り入れ水量を最適に制御するために、ゲートバルブ、可動堰などの自動または手動制御のゲート機構(5) を設けることが好ましい。
【0034】
設置する場所の敷地形状の制約がある場合には、本体オキシデーションディッチ(7) と、リン放出槽(2) の導入口(4) および導出口(6) とをそれぞれ導水路で連結すれば、本体と分離して独立して設置してもよい。
【0035】
リン放出槽(2) は、上述のレーストラック型無終端水路に限らず、リン放出溶解に要する必要滞留時間を確保できる限りにおいて、先端部に流入下水a、返送汚泥bおよび本体有機物含有工程水cの導入口(4) を備え、後端部に本体オキシデーションディッチ(7) へのリン溶解水dの導出口(6) を備えた横長の単一流路を持つ角型槽としてもよい。
【0036】
なお、沈殿池(9) 内の余剰汚泥は、図示していない公知の汚泥貯留槽において濃縮、減量された後に、汚泥脱水機等で脱水処理後、焼却、埋め立て等の方法で処分される。
【0037】
〈作用〉
本発明にあっては、リン放出槽(2) において、流入下水aと、返送汚泥bと、本体オキシデーションディッチ(7) より取り入れる有機物含有工程水cとの3種類の液体を均質混合し、かつ嫌気性を維持して流動させる水中プロペラ型の潜水型撹拌機(3) を設置するようにしているので、嫌気性汚泥のリン放出活性度が高まり、効果的なリン除去が達成できる。
【0038】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明の方法および装置をさらに説明する。
【0039】
実施例
図1は、先にも述べたように、本発明の生物学的リン除去方法の代表的なフローを模式的に示した説明図である。
【0040】
流入下水aは、前処理設備(1) において固形物を排除するためのスクリーニング処理がなされ、レーストラック型無終端水路のリン放出槽(2) に送入される。このリン放出槽(2) の容量は、たとえば、日間流入水量の 1.4時間相当の250m3である。
【0041】
さらに、リン放出槽(2) の上記下水送入部付近には、オキシデーションディッチ(7) の沈殿池(9) 下部より汚泥返送ポンプ(10)(無閉塞型ポンプ)により引き抜かれた返送汚泥bが送入され(汚泥返送比は100%とした)、さらにオキシデーションディッチ(7) に設置されている曝気装置(8) (縦軸型曝気装置を使用した)直後の下流域の有機物含有工程水cが導入口(4) より送入される(日間流入下水量の 0.4時間相当とした)。
【0042】
導入口(4) には、自然流入で取り入れるオキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cの流量を制御するゲート機構(5) としての電動式ゲートバルブを備えてある。
【0043】
リン放出槽(2) 内に設置された水中プロペラ型の潜水型撹拌機 (3) によって、上記の3種の液体が均質に混合されると共に、嫌気性に維持されながらリン放出槽(2) 内を循環するに従い、嫌気性微生物の取り込んだリンの水中への放出および溶解が進行する。
【0044】
リンが放出溶解されたリン溶解水dは、リン放出槽(2) の導出口(6) よりオキシデーションディッチ(7) の前記導入口(4) の下流域に還流されて、本体オキシデーションディッチ(7) においてそれ以降の処理工程(好気、硝化・脱窒、沈殿分離)が実施され、最終的に処理水fとして系外の河川などに放流される。
【0045】
なお、沈殿池(9) 内の余剰汚泥eは、図示せざる汚泥貯留槽において濃縮減量し、脱水処理を行った。
【0046】
表1は、本発明に従って、リン放出槽(2) を設置して実施した際のオキシデーションディッチ(7) への流入下水aの水質(流入水質)と、最終的な処理水fの水質(放流水質)とを示したものである。処理水量は2500m3/日で、1年間の平均水質値である。SSは「Suspended Solid 」の意味である。
【0047】
【表1】
【0048】
表2は、比較例として、本発明のリン放出槽(2) を設置する以前の同一のオキシデーションディッチ(7) のみを単独使用した際の流入水質と放流水質とを示したものである。
【0049】
【表2】
【0050】
表1に示したように、本発明のようにリン放出槽(2) を付設したオキシデーションディッチ(7) による処理を行った場合には、最終的な処理水fの溶解性全りん濃度(T−P)に対応しているT−P濃度の除去率は87.9%であり、表2に示したリン放出槽(2) を設置していない従来型のオキシデーションディッチ(7) を単独使用したときのT−P濃度の除去率29.1%と対比すると、格段にリン除去率が向上していることがわかる。
【0051】
なお、リンと同じく嫌気性微生物処理によって除去することが期待できる全窒素濃度(T−N)は、本体オキシデーションディッチ(7) 単独運転時での元々の除去率が83.7%と高いが、本発明のリン放出槽(2) の設置によって85.7%と向上しており、よりいっそう安定した脱窒効果が発揮されている。
【0052】
【発明の効果】
本発明においては、本体オキシデーションディッチ(7) 槽と付属のリン放出槽(2) とをほぼ同一水位で連結することにより、流入下水aと返送汚泥b、さらには本体オキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cの一部を取り入れて、嫌気性微生物のリン放出活性度を高度に保つようにしているので、高度の(たとえば85%以上の)リン除去率が達成され、かつ全体の処理工程の簡素化が図られる。
【0053】
このように、本発明の生物学的リン除去方法を実施することによって、従来のオキシデーションディッチ法においては除去率が不充分であった下水中のリンの除去率を高めることができるので、従来から保持しているBOD、T−N等の除去機能に加えて、残されていた富栄養化物質であるリンもオキシデーションディッチ法で一連の処理として一括除去することができる。
【0054】
よって本発明は、下水処理場付近の河川、湖沼の環境保全に寄与する有用な技術であるということができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生物学的リン除去方法の代表的なフローを模式的に示した説明図である。
【図2】従来提案されている生物学的リン除去方法にかかる処理フローを示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …前処理槽、
(2) …リン放出槽、
(3) …水中プロペラ型の潜水型撹拌機、
(4) …導入口、
(5) …ゲート機構、
(6) …導出口、
(7) …オキシデーションディッチ、
(8) …曝気装置、
(9) …沈殿池、
(10)…汚泥返送ポンプ、
(W) …仕切り壁、
a…流入下水、
b…返送汚泥、
c…有機物含有工程水、
d…リン溶解水、
e…余剰汚泥、
f…処理水
Claims (3)
- 下水をオキシデーションディッチ法により処理する方法において、
オキシデーションディッチ(7) の前段にリン放出槽(2) を設けること、
そのリン放出槽(2) に、下水aを送入すると共に、沈殿池(9) からの返送汚泥bと、オキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cとを導入すること、
水中プロペラ型の潜水型撹拌機(3) により、リン放出槽(2) 内の水を嫌気性を維持しながら均質混合して循環させ、嫌気性微生物よりリンを水中に放出させること、
水中にリンが放出されたリン放出槽(2) 内のリン溶解水dを、オキシデーションディッチ(7) 内に導出し、還流させて、生物学的リン除去を行うこと
を特徴とするオキシデーションディッチにおける生物学的リン除去方法。 - リン放出槽(2) が、オキシデーションディッチ(7) 槽と仕切り壁(W) を共有しているレーストラック型無終端水路であり、かつその仕切り壁(W) の部分に、
オキシデーションディッチ(7) 内の有機物含有工程水cをそのオキシデーションディッチ(7) 内の曝気装置が設置されている位置の直後あるいは下流域から取り入れる導入口(4) と、リン溶解水dをオキシデーションディッチ(7) 内の前記導入口(4) の下流域に還流させる導出口(6) とを設置してあること
を特徴とする請求項1記載の生物学的リン除去方法。 - 導入口(4) がオキシデーションディッチ(7) 内の処理水位より低い位置に設けられており、かつその導入口(4) には、有機物含有工程水cの取り入れ量を制御するゲート機構(5) が設けられている請求項2記載の生物学的リン除去方法。
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