JP3587927B2 - 液体サンプリング装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸込端が真空回路（ｖａｃｕｕｍ ｃｉｒｃｕｉｔ）によって液体を供給しうるタンク内に開口（ｉｓｓｕｅ）しかつその反対側の端部が真空の容器（ｊｕｇ）またはポットに穿孔しうる針を有して液体サンプルを採取する装置に関するもので、液体サンプルはそのポット内に存在する真空によって生じる吸込効果によって前記ポットに自動的に採取される。
このような液体サンプリング装置は、特に核、化学、製薬および同種の工業に使用することができる。この装置は液体サンプルを自動的に採取することを可能にし、人および／または環境に対して危険な液体のサンプルを採取するのに特に適している。ポット内に採取された液体サンプルを調整することにより、引続いて、必要と思われるすべての計測および解析を前記サンプルに実施することが可能になる。
【０００２】
【従来の技術】
ＦＲ−Ａ−１ ４０１ ２９８号明細書およびＦＲ−Ａ−２ ０５８ ７５１号明細書には液体サンプリングユニット（ｌｉｑｕｉｄ ｓａｍｐｌｉｎｇ ｕｎｉｔ）が記載され、その液体サンプリングユニットはいくつかのサンプリング装置を有し、それらのタンクは別々の真空回路によって真空にされ、前記各サンプリング装置によって採取されたサンプルは観察すべき設備内の異なった位置における液体の標本である。各サンプリング装置の針の尖端はグローブボックス内に開口し、そのグローブボックスの中にサンプルをうけ入れるための真空ポットが収容されている。このグローブボックスは通常空気を充填され、その空気は適当な換気装置によって補充されている。
ＥＰ−Ａ−２９６ ９１７号明細書には真空回路が記載され、その真空回路はＦＲ−Ａ−１ ４０１ ２９８号明細書およびＦＲ−Ａ−２ ０５８ ７５１号明細書に記載されたサンプリングユニットに設けられた装置と同様の液体サンプリング装置のタンク内に、設備内の得られた位置における液体を流すことができる。そのような回路において、タンクは真空ポンプによって真空にされる。特に、圧縮空気はサンプリング装置の上流の液体と混合され、ついで真空ポンプによって吸込まれるため前記サンプリング装置の下流で液体から分離される。
【０００３】
ＥＰ−Ａ−７８ ２１１号明細書には液体サンプリング装置ならびに前記型の多数の装置を備えたサンプリングユニットが記載されている。液体サンプリング装置は、大きく傾斜しかつタンクの底部に連通する排出管を有し、そのタンクの中には真空回路によって液体供給管に達する針の吸込端が設置されている。この排出管はタンク内の液体の永久的な再生（ｒｅｎｅｗａｌ）と均質化を確実にするとともに、もはや液体を供給されなくなったときの排出を確実にする。
ＥＰ−Ａ−７８ ２１１号明細書の図１に示された液体サンプリング装置において、中に針が設けられる取付具は、針の吸込端を越えてタンク内に延長する管状延長部を備えている。この管状延長部は気泡が真空回路からタンクに到達することによって乱流が起こるのを防止する。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ＦＲ−Ａ−１ ４０１ ２９８号明細書およびＦＲ−Ａ−２ ０５８ ７５１号明細書に記載された装置と同様のサンプリングユニットを備えた、またＥＰ−Ａ−２９６ ９１７号明細書に記載されたものと同様の真空回路によって液体を供給されるＥＰ−Ａ−７８ ２１１号明細書に記載されたものと同様の液体サンプリング装置を備えたサンプリング設備において、液体サンプリング装置の針はそれぞれサンプリングユニットのグローブボックスの内部および採取すべき液体を前記針を有するサンプリング装置に供給する回路に接続される。したがって、サンプリング作業を実施するときはいつも、サンプリング装置のタンクを真空にする回路の真空ポンプの運転は、サンプリングユニットのグローブボックス内に存在する或る量の空気を針を通して吸込む。サンプリング作業を実施するときはいつでもこの現象が起こるため、多くのサンプリング作業が実施されるとき、真空回路内で処理される空気流のいちじるしい増大を招く。このため各サンプリング工程に対するポンプの運転時間が増大し、それは設備の運転経費の増大となり、ポンプの寿命の短縮を招く。
【０００５】
本発明は、基本的構造がサンプリングユニットのグローブボックスとサンプリング装置のタンクを真空にする各真空回路との間の漏洩空気流をいちじるしく減少し、設備の運転経費を減少し、真空ポンプの寿命をいちじるしく延長することを可能にする、液体サンプリング装置に関するものである。
本発明によれば、この目的は、吸込端が真空回路によって液体を供給されるタンク内に開口しかつ尖端が真空ポットに穿孔しうる針を有し、該針はその尖端付近に目孔を有する液体サンプルを採取する装置において、該装置は、針の周囲に設けられた摺動スリーブと該スリーブを通常針の目孔をシールする位置に保持する弾性手段とを有し、このスリーブは尖端および針の目孔を解放するため弾性手段に抗して押戻される、液体サンプルを採取する液体サンプリング装置によって達成される。
通常針の目孔が摺動スリーブによってシールまたは閉鎖されることにより、タンクを真空にする真空回路の真空ポンプの運転はサンプリングユニットのグローブボックスに存在する空気によって影響されることがない。したがってタンクは従来の液体サンプリング装置のものよりもより早く真空にされる。したがって、設備の運転経費は減少し、真空ポンプの寿命はいちじるしく延長される。
【０００６】
本発明の好ましい実施例において、針の目孔は針の長手方向の軸線に対して横方向に開口し、スリーブがそのシール位置を占めるときスリーブによってカバーされる。
この好ましい実施例において、スリーブおよび針はそれらの間にスリーブのシール位置において所定の間隙（ｃａｌｉｂｒａｔｅｄ ｃｌｅａｒａｎｃｅ）を形成する。この所定の間隙は、サンプリングユニットのグローブボックスと真空回路によって真空にされるタンクとの間の漏洩流を減少する。この漏洩流は、真空回路において処理される空気流がこれに影響することなく、針を確実に空にする。 本発明による液体サンプリング装置は、針の周囲に同軸に嵌装され針に対してスリーブが摺動可能に取り付けられる環状間隙を画定する管状針ホルダ取付具を備えるのも好ましい。
弾性手段は、針吸込端と一体のリングとスリーブとの間の環状間隙に嵌装される圧縮リングを備え、スリーブおよびリングを針ホルダ取付具に形成された二つの向合った肩部に押付ける。
以下に本発明を、本発明による液体サンプリング装置の好ましい実施例に関して添付の図面に基づいて一層詳細に記載する。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図１に示すように、本発明による液体サンプリング装置は、ほぼ垂直方向の軸線を有するシリンダの形状を外側に有する支持体１０を備えている。この支持体１０はたとえば、ＥＰ−Ａ−７８ ２１１に示されるような、サンプリングユニットのグローブボックスの底部に密に嵌装されるようにされている。
支持体１０は、その中心部分に、その垂直軸線の方向に設置された円筒形タンク１２を有する。タンク１２の上において支持体１０は管状をなし、内部にストッパまたはプラグ１６によって頂部を閉鎖された室１４を画定している。
液体供給管１８は、支持体１０内でタンク１２に対して横方向に変位した位置において垂直に延び、その上端において室１４に開口している。液体供給管１８の下端は、ＥＰ−Ａ−２９６ ９１７号明細書に記載されるように、真空回路の上流部分に連通している。大きく傾斜した排出管２０がタンク１２の底部を液体供給管１８に連通している。
【０００８】
また、垂直に配置された液体排出管２２は、タンク１２に対して横方向に変位した位置において支持体１０に形成されている。この液体排出管２２は、室１４にその上端において開口し、その下端はＥＰ−Ａ−２９６ ９１７号明細書に記載されたように真空回路の下流部分に連通している。
また液体サンプリング装置は、円形横断面を有しかつこのためプラグ１６に設けられた開口２６に支持体１０の垂直軸線に沿って嵌装される交換可能な部品２４を有する。交換可能な部品２４の装着・取外しは、公知のようにサンプリングユニットに装備する適当な工具を使用して実施される。
【０００９】
本発明によるサンプリング装置の交換可能な部品２４を形成する種々の要素を図２に基づいて説明する。
この交換可能な部品２４は、まず、全体的に管状でかつプラグ１６の開口２６に密に嵌装されるようになっている針ホルダ取付具２８を有する。このため、この針ホルダ取付具２８は環状溝３０を有し、その中に通常開口２６の壁に密接するＯ−リング３２（図１）が嵌装されている。
針ホルダ取付具２８は上方に把持リング３４の形状でまた下方に管状延長片の形状で延長している。
真直ぐな中空針３８は、針ホルダ取付具２８内に、その下方吸込端が前記延長部の下端上方で取付具２８の管状延長部３６内にその延長部の底端部の上方で開口するように、同軸に嵌装されている。
針３８の上方部分は把持リング３４の上端を超えて上方に突出している。針３８のこの上方部分は、針の中央通路４２をその上端で閉鎖する尖端４０で終っている。この尖端４０の付近において、中空針３８は目孔４４を有し、針の中央通路４２は目孔４４によって横方向に装置のプラグ１６の上方のサンプリングユニットのグローブボックスに開口している。
【００１０】
截頭円錐形支持リング４５は、たとえば溶接により、中空針３８の下部に固定されている。この截頭円錐形支持リング４５は、通常、たとえば溶接により針ホルダ取付具２８の管状延長部３６に固定された補完的支持リング４６上に載置している。そうして支持リング４６は針ホルダ取付具２８において中空針３８を心出しするため、ならびに、前記針を前記取付具内に垂直に位置決めするのに役立つ肩部を形成している。
偏向装置（ｄｅｆｌｅｃｔｉｎｇ ｄｅｖｉｃｅ）４７は支持リング４６と針３８の吸込端の直下に、針ホルダ取付具２８の管状延長部３６の下部に取り付けられている。この偏向装置は中空針３８の下方吸込端付近の乱流を防止する。
支持リング４５および４６の上方において、針ホルダ取付具２８および中空針３８はそれらの間に環状空間４９を画定し、その中に摺動スリーブ４８およびらせん圧縮ばね５０が上下に設けられている。このばね５０は、針３８の目孔４４に対して摺動スリーブ４８をその通常のシール位置に戻す摺動スリーブ４８用の弾性復帰装置を構成している。
【００１１】
特に、スリーブ４８は、針ホルダ取付具２８の中を垂直方向に自由に摺動するように、針ホルダ取付具２８に嵌装されている。らせん圧縮ばね５０は針３８の周りに設置され、その下端は針に連結された截頭円錐形支持リング４５上に支持され、その上端は摺動スリーブ４８の下端面に支持されている。そうしてばね５０はリング４５および４６を互いに係合させ、針の目孔４４をシールする通常の位置に向かって摺動スリーブ４８を押圧する。この通常のシール位置は、針ホルダ取付具２８に形成された肩部５４に摺動スリーブ４８に形成された肩部５２を支持することによって決定される。
この通常のシール位置において、摺動スリーブ４８の上方部分は図１から分かるように、針ホルダ取付具２８の上方に突出している中空針３８の上方部分を完全に包囲し、針の目孔４４はスリーブ内に開口している。
【００１２】
ばね５０の作用に基づき摺動スリーブ４８によって占有されるこの通常のシール位置において、針３８とスリーブとの間に通常所定の間隙が設けられ、その間隙によりたとえば０．０５Ｎ ｍ^３ ／時の減少された漏洩流が、中空針を通ってサンプリングユニットのグローブボックスとタンクとの間に流れることができることを認識すべきである。この漏洩流は、タンク１２の真空が停止されるとき、すなわち、管１８および２２（図１）に連通した真空下の回路の真空ポンプが停止されたとき、針３８およびタンク１２を空にするのに適している。しかしながら、この漏洩流は十分に小さく、グローブボックスから真空ポンプによって吸込まれる空気量は確実に無視することができる。
図２に示すように、（一点鎖線で示された）容器（ｊｕｇ）またはポット５８が摺動スリーブ４８の上面に設置されかつ下方に動かされると、スリーブ４８はばね５０の作用に抗して下方に押戻され、針３８の尖端４０は解放され、ポット５８のカバーに穿孔する。スリーブ４８が十分に押戻され針３８の目孔４４がポット５８に位置されるようになると（図２）、ポット５８の中にある真空はタンク１２内に存在する液体サンプルを中空針３８を通して自動的に吸込むことができる。
【００１３】
本発明による液体サンプリング装置に関する上記説明は、従来装置の条件に比較可能な条件下でのサンプルの採取を可能とし、またタンク１２に供給する真空の下での回路の真空ポンプがサンプリングユニットのグローブボックス内に存在する空気を不必要に吸込むことを回避する。しかしながら、針およびタンクの排出は満足すべき条件のもとで確実になる。
【００１４】
【発明の効果】
本発明装置は、針の周囲に設けられた摺動スリーブおよび該スリーブを通常針の目孔をシールする位置に保持する弾性装置を有し、通常針の目孔が摺動スリーブによってシールされることにより、タンクに供給する真空回路の真空ポンプの運転はサンプリングユニットのグローブボックスに存在する空気によって影響されることがなく、したがって、設備の運転経費は減少し、真空ポンプの寿命はいちじるしく延長される。
【図面の簡単な説明】
【図１】針目孔がシール位置にある、本発明による液体サンプリング装置の長手方向部分断面図。
【図２】サンプルが採取されるときに占める位置にある、図１の装置の交換可能な部分を拡大して示す、長手方向断面図。
【符号の説明】
１０ 支持体
１２ タンク
１４ 室
１６ プラグ
１８ 液体供給管
２０ 排出管
２２ 液体排出管
２４ 交換可能な部分
２６ 開口
２８ 針ホルダ取付具
３０ 環状溝
３２ Ｏ−リング
３４ 把持リング
３６ 環状延長部
３８ 中空針
４０ 尖端
４２ 中央通路
４４ 目孔
４５ 截頭円錐形支持リング
４６ 支持リング（肩部）
４７ 偏向装置
４８ 摺動スリーブ
４９ 環状間隙
５０ 圧縮ばね
５２ 肩部
５４ 肩部
５８ 容器またはポット

Claims (6)

1. 吸込端が真空回路によって液体を供給されるタンク内に開口しかつ尖端が真空ポットに穿孔しうる針を有し、該針はその尖端付近に目孔を有する液体サンプルを採取する液体サンプリング装置において、該液体サンプリング装置は前記針の周囲に設けられた摺動スリーブと該スリーブを通常前記針の目孔をシールする位置に保持する弾性手段とを有し、前記スリーブは前記針の尖端および目孔を解放するため前記弾性手段に抗して押戻されうる、液体サンプルを採取する液体サンプリング装置。
2. 前記針の目孔が該針の長手方向の軸線に対して横方向に開口し、その目孔は前記針がそのシール位置を占めるときに前記スリーブによってカバーされる、請求項１に記載の液体サンプリング装置。
3. 前記スリーブおよび針がそれらの間に該スリーブのシール位置において所定の間隙を形成する請求項２に記載の液体サンプリング装置。
4. さらに、前記針の周囲に同軸に嵌装されかつ該針に対して前記スリーブの嵌装される環状空間を画定する環状針ホルダ取付具を有する、請求項１に記載の液体サンプリング装置。
5. 前記弾性手段が前記針の吸込端と一体のリングと前記スリーブとの間の前記環状空間に嵌装される圧縮ばねを備え、前記スリーブおよびリングを前記針ホルダ取付具に形成された二つの向合った肩部に押付ける、請求項４に記載の液体サンプリング装置。
6. 偏向装置が前記針吸込端の先方で前記針ホルダ取付具に取付けられる、請求項４に記載の液体サンプリング装置。

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