JP3587812B2 - 電極及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマアークトーチに関し、特に、プラズマアークトーチにおいて電気アークを持続させるための電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマアークトーチは、切断,溶接,表面処理,溶融及び焼鈍しを含む金属の諸加工のために普通に使用されている。このようなトーチは、電気アークを持続させる電極を含んでおり、該電気アークは、移行式アーク動作モードで電極から母材に広がる。この電気アークをガスの渦流で囲むことも通常のことであり、また、あるトーチ構造においては、上述のガス及び電気アークを渦巻き状の水ジェットで囲むことも通例となっている。
【0003】
上述した形式の従来のトーチで使用される電極は、銅又は銅合金のような高熱伝導率の材料から構成される細長い管状部材を含むのが一般的である。この管状部材の前端もしくは放電端は、電気アークを持続させる電子放出部材(emissiveelement:以下、「放出部材」という。)が植設された底端壁部を備えている。該放出部材は、当該技術において電位ステップ(potential step)と定義される電子ボルト(ev)で測定される比較的に低い仕事関数を有する材料で構成されており、この電位ステップが所定温度で金属の熱電子放出を可能にする。従って、放出部材は、その低い仕事関数のために、電位が印加されるときに容易に電子を放出することができる。通常使用される電子放出材料には、ハフニウム,ジルコニウム,タングステン及びそれらの合金が含まれる。放出部材は、相対的に非電子放出のセパレータにより囲まれているのが典型的であり、該セパレータの作用により、アークが放出部材から銅ホルダに移動するのを防止する。
【0004】
前述した形式のプラズマアークトーチに関連した問題は、特に該トーチが酸素又は空気のような酸化ガスと共に使用されるときに、電極の使用寿命が短いことである。特に、このガスは放出部材を囲む電極の銅を迅速に酸化させる傾向があり、銅が酸化すると、その仕事関数が低下する。その結果、放出部材というよりも、放出部材を囲む酸化した銅がアークを持続させ始める時点に至る。このような状態が起こると、酸化銅とアークを持続させている銅とが溶融し、電極が早期に分解及び損傷する。
【0005】
本出願の譲受人は、米国特許第5,023,425号明細書に記載されているように、使用寿命が相当に向上した電極を以前から開発してきており、また、米国特許第5,097,111号明細書に記載されているように、かかる電極を製造するための方法を以前から開発してきた。これらの米国特許の全開示は参照により本明細書に組み入れられる。米国特許第5,023,425号明細書は、前端のところで放出部材を支持する金属製の管状ホルダを備えた電極を開示しており、該電極は、放出部材を囲むと共にこの放出部材と金属製の管状ホルダとの間に挿入された相対的に非放出のセパレータもしくはスリーブを有している。スリーブはそれにより放出部材をホルダから隔てている。この米国特許第5,023,425号明細書には、スリーブが酸化物の形成に対して高い抵抗性を有する銀から構成されるのが好ましいことが記載されている。銀と、それが形成する任意の酸化物とは低品位の放射源であり、従って、アークは、スリーブもしくは金属製のホルダよりもむしろ放出部材から放出し続ける。そのため使用寿命が相当に延びる。
【0006】
米国特許第5,097,111号明細書は、銅もしくは銅合金の円筒形素材の前面に、非放出の部材を受けるための環状外端部分を含む単一キャビティを形成するステップを備える電極の製造方法を開示している。特に、銀であるのが好ましい比較的に非放出の材料からなる金属素材は、このキャビティ内に実質的に嵌合するように形成されている。次に、銀ろう材料のディスクを先ずキャビティ内に挿入し、その後、非放出の素材を挿入することによって、非放出の素材がキャビティ内に冶金的に接合される。この組立体は次いで、ろう付け材料を溶融するのに十分にすぎない温度まで加熱され、そしてこの加熱工程の間、非放出の素材がキャビティ内に圧入され、これによりろう付け材料が上方に流れて、非放出の素材とキャビティとの間の全境界面を覆う。しかる後、組立体を冷却すると、ろう付け材料が放出部材を非放出の素材中に冶金的に接合することになる。次に、非放出の素材は軸方向に穿孔され、その結果としてできた開口内に、円筒形の放出部材が圧力嵌めされる。電極の製造を完了するために、組立体の前面を機械加工して、放出部材の円形外端面と、非放出の素材の囲繞環状リングと、ホルダの金属の外側リングとを含む平滑な外面を形成する。
【0007】
しかも、米国特許第5,023,425号及び第5,097,111号各明細書に記載されているトーチは、ホルダの前端に向かい前方に延びる後側キャビティを画成していて、放出部材と、非放出のセパレータと、金属製のホルダの一部とが後側キャビティに延入する円筒形柱状部を形成するようになる。水のような冷却媒体は、熱がアークから冷却媒体に伝達されトーチ外に出るように、後側キャビティ内と円筒形柱状部の周囲とに循環される。具体的には、熱は、アークから放出部材、非放出のセパレータ、銅製ホルダ及びそれらの間のろう付け材料の各層を通り冷却水に伝えられる。この構成によると、後側キャビティがない場合と比較してより多くの熱伝達が可能であるが、幾つかの材料と材料境界が交差しなければならず、これは効率を低下させる。
【0008】
特別の一設計により画成される後側キャビティにおいては、円筒形柱状部は、銀製のセパレータがこの後側キャビティとその内部に循環される冷却水とに直接露出するように、銅製ホルダの一部分を何ら含んでいない。例えば、米国特許第5,023,425号及び第5,097,111号の双方に示された図10に開示されたプラズマアークトーチにおいては、ホルダ16bが下部壁内に貫通孔を有しており、そして非放出のインサート32bがこの貫通孔を貫いて延び、ホルダの後側キャビティ中の冷却水と直接に接触するように露出している。この設計は2つの理由で有利である。第1に、銀は銅よりも大きな熱伝導率を有しており、これによりアーク及び冷却水間の熱伝達が増すことであり、第2に、銀製のセパレータと銅製のホルダとの間の境界面がなくなり、これにより熱伝達が更に増すことである。しかし、米国特許第5,023,425号及び第5,097,111号の図10に示されたプラズマアークトーチは、後側キャビティがホルダに形成されることに加えて、ホルダの下部壁が穿孔され、そして非放出のセパレータがその中に圧力嵌めされる点でその形成が容易ではない。
【0009】
従って、米国特許第5,023,425号明細書に記載された電極も、米国特許第5,097,111号明細書に記載された電極の製造方法も当該技術において進歩をもたらしてはいるが、更なる改良が望まれている。特に、米国特許第5,023,425号及び第5,097,111号に記載された一方法は、典型的には銀である非放出の素材の一部を中心軸線に沿って穿孔もしくはドリル加工することを提案しており、放出部材もしくはインサートをその中に圧力嵌めできるようになっている。放出部材と非放出のセパレータとの間に締り嵌めの関係をもたらしているが、この方法は、放出部材を受け入れるために穿孔されるセパレータからの銀の減損になる点で不利である。
【0010】
従来のトーチを形成するのに使用される別の方法は、ろう付けにより非放出の素材もしくはセパレータ中に放出部材を取り付けることを提案している。この方法によると、銀合金ろう付け材料の温度はその溶融温度よりも高くなければならず、従って、銀又は銀合金セパレータの温度は殆どその溶融点まで上昇し、これはセパレータ材料を軟化させうる。しかし、この方法が米国特許第5,023,425号及び第5,097,111号における図10の実施例に関して試みられたとしても、軟化した銀セパレータは、同銀セパレータ内に挿入された場合の放出部材を半径方向に適切に拘束することができず、放出部材が電極の中心にある長手方向軸線に関して軸心がずれる(「心外れ」する)結果となりうる。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、従来の電極及び従来の電極製造方法、特に、米国特許第5,023,425号及び第5,097,111号各明細書に開示された電極及び電極製造方法に対して改良を加えるために開発されてきた。前述した電極の諸問題、即ち、相対的に非放出のセパレータからの銀の減損や、電極中心の長手方向軸線に沿った放出部材の位置決めは、セパレータを挿入する前に金属ホルダ中に放出部材を位置決めすることにより解消できることが知見された。有利な一実施例においては、本発明は、放出部材と、金属ホルダによって画成された前側キャビティ内に配置された実質的に非放出のセパレータとを有し、両者間にろう付け材料を配置して、中心の長手方向軸線に沿った放出部材の位置がろう付け工程により影響されないようにした電極と電極製造方法とを提供している。別の実施例において、本発明は、金属ホルダが後側キャビティも画成しており、該後側キャビティがそこにセパレータの一部が露出するような大きさに作られていて、それにより、アークと後側キャビティ内を循環する冷却流体との間の熱伝達を改善するようになっている、電極と電極製造方法とを提供している。
【0012】
特に、本発明の好適な一実施例によると、プラズマアークトーチにおいてアークを持続させるための電極は、前側キャビティを画成する前端と後端とを有する金属ホルダを備えている。実質的に非放出のセパレータは、前記前側キャビティ中に配置されると共に、内周壁を有している。また、この前側キャビティ中には放出部材も配置されており、該放出部材は、セパレータの内周壁により部分的にだけ囲まれる外周壁を含んでいる。一実施例によると、ろう付け材料は、放出部材とセパレータとの間、及びセパレータと金属ホルダとの間にも配置される。ろう付け層は、セパレータの溶融温度よりも高くない溶融温度を有している。従って、セパレータ及び放出部材は互いに冶金的に接合されるので、セパレータは、放出部材を金属ホルダの外面に接触しないように完全に隔てる。
【0013】
放出部材を囲むセパレータは、酸化物の形成に対して高い抵抗性を有する銀のような金属材料から構成されるのが好適である。これは、銀とそれが形成する任意の酸化物は低品位の放射源であるから、電極の使用寿命を向上させるのに役立つ。その結果、アークは、金属ホルダもしくはセパレータからというよりも、放出部材から放出し続けることになり、これが電極の使用寿命を向上させる。
【0014】
一実施例においては、金属ホルダの後端が後側キャビティを画成しており、後側キャビティがホルダの前端に向かって延びてセパレータを露出させている。後側キャビティはトレパニング又はその他の形式の機械加工により形成することができ、そして露出したセパレータは、特に、水のような冷却媒体がトーチの作動中後側キャビティ内を循環すれば、アークから後側キャビティへの熱伝達のための改良媒体を提供する。
【0015】
また、本発明は、金属ホルダの実質的に平坦な前面に前側キャビティを形成するステップと、放出部材をこの前側キャビティに固定するステップとを備える、前述した電極の製造方法を提供しいる。その後、相対的に非放出のセパレータが金属ホルダと放出部材との間に間挿され、同金属ホルダをその前面のところで放出部材から分離させるように、同金属ホルダの前側キャビティ中に位置決めされる。一実施例において、セパレータは、管状の形状を有すると共に、同セパレータ及び放出部材が締り嵌めの関係を有するような大きさに作られている。加えて、放出部材及びセパレータは、銀のようなろう付け材料を使用して互いにろう付けすることができる。
【0016】
次いで、金属ホルダの前面を仕上げて、金属ホルダ,放出部材及びセパレータを含む実質的に平坦な表面を形成する。一実施例において、後側キャビティは、セパレータがこのキャビティに露出するように金属ホルダの後面に形成されている。この点に関し、金属ホルダはその一部を除去してセパレータを露出させるためにトレパニングされるか又は機械加工され、これはアークからキャビティへの熱伝達を向上させる。熱を電極から運び更に除去するために水その他の冷却媒体をキャビティ内に循環させることができる。
【0017】
従って、本発明は、従来のプラズマアークトーチを超えた良好な熱伝達特性を有する電極と電極製造方法とを提供している。セパレータが挿入される前に放出部材を金属ホルダ中に位置決めすることにより、放出部材の位置が後からのろう付け工程の影響を受けることがなくなる。その上、後側キャビティをトレパニングするか又は機械加工して銀のセパレータを露出させることにより、ホルダの前端を穿孔してその中に銀のセパレータを圧力嵌めする必要がなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
一般的な用語で本発明を説明してきたが、次に、必ずしも一律の縮尺で描かれていない添付図面を参照して本発明を説明する。
【0019】
本発明の好適な実施例が示されている添付図面を参照して、本発明を以下に更に十分に説明する。しかし、本発明は、さらに別の形態で実施可能であり、ここに記載された実施例に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施例は、この開示を徹底し且つ完全にするように提案されていて、本発明の範囲を当業者に十分に知らせるものである。同一の符号は全体を通して同一の部材又は部位を示している。
【0020】
図1を参照すると、本発明の特徴を具現するプラズマアークトーチ10が記載されている。このプラズマアークトーチ10は、ノズルアセンブリもしくはノズル組立体12と管状の電極14とを含んでいる。該電極14は、銅か銅合金から製作するのが好ましく、そして上側の管状部材15と下側のコップ状部材即ちホルダ16とから構成されている。上側の管状部材15は、細長い開放した管状構造のものであり、プラズマアークトーチ10の長手方向軸線を画成している。上側の管状部材15は内部にねじが切られた下端部分17を含んでいる。また、ホルダ16も管状構造のものであって、下側に配置された前端と上側に配置された後端とを含んでいる。横方向の端壁18がホルダ16の前端を閉じていて、この横方向の端壁18により外側前面20(図2参照)を閉じている。ホルダ16の後端は、外周面にねじが切られていて、上側の管状部材15の下端部分17に螺合される。
【0021】
主に図2及び図3を参照すると、ホルダ16は、その後端が開放しているコップ状の構造であり、その内部に後側キャビティ(以下、内部キャビティともいう。)22を画成する。該後側キャビティ22は、長手方向軸線に沿って延びて同キャビティ22内に入る円筒形柱状部23を含む表面31を有している。この円筒形柱状部23は、以下に述べるように、通常の設計と比較して熱伝達特性を向上せしめるように形成されていることが有利である。端壁18の前面20には2つの前側キャビティ24,25(基端部、末端部)が同軸状に形成されている。この前側キャビティは、基端部24と末端部25とから形成されており、長手方向軸線に沿って後方に延びたのち、ホルダ16の部分に入る形状となっている。該前側キャビティ24,25はほぼ円筒形であり、前側キャビティの基端部24は、末端部25よりも小さな直径を有している。該前側キャビティ24,25はそれぞれ内側面27a,27bを有している。
【0022】
電子放出部材即ちインサート28は、小さい方の前側キャビティ、即ち基端部24内に装着されると共に、長手方向軸線に沿って同軸状に配置されている。この放出部材28は、ホルダ16の前面20により規定される平面にある円形の外端面29を有している。また、放出部材28は、基端部24内に配置されると共に外端面29の反対側にあるほぼ円形の内端面30も有している。しかし、この内端面30は、後述するように、放出部材28を基端部24内に取り付け易くするために、尖頭形,多角形,又は球形のようなその他の形状を有することができる。放出部材28は、約2.7〜4.2evの範囲にある比較的に低い仕事関数をもつ金属材料から構成されているので、同放出部材に電位が印加された際に直ちに電子を放出するようになっている。かかる金属材料の適当な例は、ハフニウム,ジルコニウム,タングステン及びそれらの合金である。本発明の一実施例によると、放出部材28は締り嵌めにより基端部24に取り付けられているが、加圧成形又はクリンプ加工のようなその他の取付方法を採用することもできる。
【0023】
相対的に非放出のセパレータ(非放出の部材)32は、放出部材28の周りに同軸状になって末端部25内に配置されている。このセパレータ32は、放出部材28の長軸方向に沿って周壁33(図4及び図5参照)を有している。周壁33は、セパレータ32の全長にわたり実質的に一定の外径を有するように図示されているが、切頭円錐形のようなその他外形構造も本発明の範囲に含まれる。
【0024】
セパレータ32はまた、放出部材28の円形の外端面29とほぼ面一であると共に、ホルダ16の前面20ともほぼ面一である外端面36を含んでいる。このセパレータ32は、外端面36のところで、かつその全長に沿って、少なくとも約0.25mm(0.01in)の半径方向厚さを有するのが好ましく、そして放出部材28の直径は、セパレータ32の外端面36の外径の約30〜80%であることが好ましい。特別な例としては、放出部材28が約2.03mm(0.08in)の直径及び約6.35mm(0.25in)の長さを有し、セパレータ32が約6.35mm(0.25in)の外径を有するのが典型的である。
【0025】
セパレータ32は、ホルダ16の材料よりも大きく、しかも放出部材28の材料よりも大きい仕事関数を有する金属材料から構成されている。具体的には、セパレータは少なくとも約4.3evの仕事関数を有する金属材料から形成するのが好ましい。本発明の好適な実施例においては、セパレータ32は主材料として銀で形成されているが、金,プラチナ,ロジウム,イリジウム,パラジウム,ニッケル及びそれらの合金のようなその他の金属材料を使用してもよい。
【0026】
例えば、本発明の特別な一実施例において、セパレータ32は、銅,アルミニウム,鉄,鉛,亜鉛及びそれらの合金からなるグループから選択された約0.25〜10%の添加材料を銀に混合して合金とした銀合金材料から構成されている。添加材料は、元素形態又は酸化物形態でよく、従って、この明細書において使用されている用語「銅」は、元素形態はもちろんのこと酸化物形態についても言及するものであり、用語「アルミニウム」等も同様である。
【0027】
再び図1を参照すると、電極14は、ガス通路40及び液体通路42を含むプラズマトーチ本体38内に設けられている。このプラズマトーチ本体38は外側にある絶縁ハウジング部材44により囲まれている。水のような液体の冷却媒体を電極14に通し循環させるため、電極14の中央孔部48内に管46が懸架されている。管46は孔部48の直径よりも小さな外径を有しているので、管46と孔部48との間にはスペース49が存在しており、水は、管46の開放した下端から排出される際にそのスペース49内を流れることが可能である。水源(図示せず)からの水は、管46を通り、内部キャビティ22及びホルダ16の内側を流れ、スペース49を通って戻り、トーチ本体38にある開口52に行き、排水ホース(図示せず)に向かい流れる。液体通路42は噴射水をノズルアセンブリ12内に案内し、そこで噴射水は以下に更に説明するように渦流に変わる。ガス通路40は適当なガス源(図示せず)からのガスを案内し、適当な耐高温材料のガスバッフル54を経て、複数の入口穴58からガスプレナム室56に入る。複数の入口穴58は、ガスを渦巻き式にプレナム室56に流入させるように配列されている。流入したガスは、ノズルアセンブリ12に同軸状に設けられた第1の孔部60及び第2の孔部62を介してプレナム室56から流出する。この電極14がガスバッフル54を保持している。耐高温プラスチック絶縁本体部55はノズルアセンブリ12を電極14から電気的に絶縁する。
【0028】
ノズルアセンブリ12は、図1に示すように、第1の孔部60を画成する上側ノズル部材63と、第2の孔部62を画成する下側ノズル部材64とを備えている。上側ノズル部材63は金属材料であることが好ましく、下側ノズル部材64は金属又はセラミック材料であることが好ましい。上側ノズル部材63に設けられた前記孔部60は、トーチの電極14の長手方向軸線と軸心が一致した同心状に配設されている。したがって、前記第1の孔部60、第2の孔部62、及び電極14は、全て、軸心が一致した同心状に形成されている。
【0029】
下側ノズル部材64は、プラスチック製のスペーサ要素65と水旋回リング66とにより上側ノズル部材63から隔てられている。上側ノズル部材63及び下側ノズル部材64の間に設けられるスペースは水室67を形成する。
【0030】
下側ノズル部材64は円筒形の本体部70を備えており、該本体部70は、本体部70の軸線と同軸状に延びる孔部62を有しており、前端部(下端部)と後端部(上端部)とを規定している。後端部の上には環状の装着フランジ71が配置されており、第2の孔部62と同軸である前端部の側面には切頭円錐面72が形成されている。環状の装着フランジ71は、コップ状部材74の下端のところにある内向きフランジ73により下方から支持されている。コップ状部材74はねじ部を外側のハウジング部材44に螺着することによって着脱自在に装着されている。2つのフランジ71及び73の間にはガスケット75が配置されている。
【0031】
下側ノズル部材64にある第2の孔部62は、円筒形であり、任意の適当なプラスチック材料製の心出しスリーブ78によって上側ノズル部材63にある第1の孔部60と軸心が一致した同心状に保持される。水は、液体通路42から、スリーブ78にある開口85を通って水旋回リング66の複数の噴射ポート87へと流れ、該噴射ポート87が水を水室67内に噴射する。該噴射ポート87は、水旋回リング66の回りに接線方向に配置されていて、速度の旋回成分を水室67中の水流に与える。水は第2の孔部62を経由して水室67から出る。
【0032】
電源(図示せず)は、通常接地される金属母材に対して直列回路関係にある電極14に接続される。動作中、アークに対して陰極端子として作用する電極14の放出部材28と、前述した電源の陽極に接続されると共に下側ノズル部材64の下方に位置決めされる母材との間にプラズマアークが発生する。プラズマアークは、電極14とノズルアセンブリ12との間にパイロットアークを瞬間的に生成することによって通常の方法で開始され、次いでこのプラズマアークは孔部60及び62を経て母材に移される。
【0033】
製造方法
本発明は、前述した形式の電極を製造するための簡単な方法も提供している。図4〜図8は、本発明に従って電極を製造する好適な方法を例示している。図4に示すように、前面95とその反対側の後面96とを有する銅もしくは銅合金製の円筒形素材94を用意する。前述した基端部24及び末端部25を形成するように、前面95に例えば穿孔によって一対のほぼ円筒形の同軸孔部を形成する。その後、放出部材28を基端部24内にプレスによって嵌合させることにより、放出部材28は基端部24に固着される。放出部材を基端部24中に固定するには、クリンプ加工,半径方向圧縮,電磁エネルギの利用のようなその他方法も使用することができる。放出部材28は、基端部24から外方に延びて円筒形素材94の前面95に向かうと共に、放出部材28と大きな後側キャビティ25の内壁27bとの間に開放スペース97を画成する。
【0034】
前述したように、セパレータ32は銀合金材料から構成されている。本発明の一実施例において、銀合金材料は、例えば、銀に約0.25〜10%の銅を混合してなる。セパレータ32は、末端部25の内壁27b及び放出部材28により画成された開放スペース97を実質的に塞ぐような形状及び大きさに作られている。この点に関し、セパレータ32は、機械加工もしくは成形により作ることができる。
【0035】
次に、図5に示すように、セパレータ32が大きな後側キャビティ25内に挿入されるので、セパレータ32の周壁33は末端部25の内壁27bに滑動自在に係合し、そしてセパレータ32内に形成された円筒形のキャビティ35が放出部材28の周りに配置され、両者間に境界面を画成する。本発明の一実施例においては、セパレータ32は放出部材28の周りに締り嵌めもしくは干渉嵌めで配置されるが、セパレータ32を放出部材28に固定するには、後述するように、その他の方法を使用することができる。
【0036】
図6に示した一実施例によると、ほぼ平坦な円形の作業面100を有する工具98が、その作業面100を放出部材28及びセパレータ32の各端面29,36と接触させ配置されている。作業面100の外径は、円筒形素材94にある末端部25の直径よりも僅かに小さい。工具98は作業面100をトーチ10の長手方向軸線とほぼ同軸状になるように保持され、そして、工具98における軸方向の圧縮力を、長手方向軸線に沿って放出部材28及びセパレータ32に伝わるように、工具に力が加えられる。例えば、工具98は、放出部材28及びセパレータ32と接触して位置決めされ、その後、機械のラムのような適当な装置で工具98を叩く。使われる特定の技術とは関係なく、十分な力が加えられて放出部材28及びセパレータ32が半径方向の外方に変形されるようになるので、放出部材28はセパレータ32によりしっかりと把持され保持され、そしてセパレータ32は、図7に示すように、末端部25によりしっかりと把持され保持される。
【0037】
本発明の好適な実施例において、セパレータ32は放出部材28に冶金的に結合される。ろう付けに関連した高温によりセパレータ32が軟化しても放出部材28が長手方向軸線に沿って中央に保持されるように、ろう付け工程が行われるときには(前述のように)放出部材28が既に基端部24に固定されているのが有利である。ろう付け工程は、放出部材28を基端部24に取り付けた後、銀ろう付け材料のディスクもしくはリング99(図5及び図7参照)をまず放出部材28の周りに挿入して、該リング99が放出部材28と大きな後側キャビティ25の内壁27bとの間の開放スペース97の一部を占めるようにすることにより行うのが好ましい。1つの例では、ろう付け材料は、ニッケル,リチウム及び/又は銅のような一種以上のその他の元素と混合した大部分が銀からなる合金である。また、銅の表面から酸化物を除去するように、少量のフラックスが含まれていてよい。
【0038】
セパレータ32は、リング99を開放スペース97内に挿入した後に差し込まれ、その結果として得られたアセンブリは、ろう付け材料を溶融するのに足りるだけの温度まで加熱される。このろう付け材料は、セパレータ32の融点よりも高くない融点を有する。しかし、本発明では、前述したように放出部材28が基端部24に取り付けられているので、温度をセパレータ32の溶融温度よりも有意に低くなければならないことはない。加熱工程中に、セパレータ32を末端部25内に押し入れ、これにより、溶融したろう付け材料を上方に流れさせて、セパレータ32と放出部材28との間、並びにセパレータ32の周壁33と大きな末端部25の内壁27bとの間の表面全体を覆う。こののち冷却すると、ろう付け材料が比較的に薄い被膜を形成し、この被膜がセパレータ32を放出部材28に接合するように作用する。該被膜は、約0.0254〜0.1270mm(0.001〜0.005in)の範囲の厚さを有する。
【0039】
これに代わる別の方法として、ろう付け工程は、セパレータ32及び放出部材28をこれらのキャビティに押し込んで入れた後、該セパレータ32及び放出部材28に接触して配置されたろう付け材料のディスク99を溶融することにより行うことができる。この方法においては、毛細管作用によりろう付け材料をセパレータ32と放出部材28との間に引き込むので、比較的薄い被膜が前述したように両者間に配置されることになる。
【0040】
ホルダ16の製造を完了するために、円筒形素材94の後面96を機械加工して図8に示す開放コップ状の構造を形成し、その内部に内部キャビティ22を画成する。この内部キャビティ22は、円筒形の柱状部23を画成すると共にセパレータ32及び放出部材28の対応部分を同軸的に囲む内側環状凹部82を含むのが有利である。特に、この内側環状凹部82は、セパレータ32の周壁33の一部を含む内側面83を有している。即ち、内側環状凹部82は、セパレータ32の周壁33の一部が内部キャビティ22に直接露出するように、例えば、トレパニング又はその他の加工作業により形成される。このように形成してあるため、露出したセパレータ32は、内部キャビティ22内を循環する冷却媒体とアークとの間の熱伝達を向上させる。更に、内側環状凹部82の内側面83のところでセパレータ32の周壁33を囲むろう付け材料が無くなり、従って、熱伝達が更に向上する利点がある。
【0041】
前述した熱伝達特性の改善は主に2つの事実に由来している。第1に、銀は銅よりも大きな熱伝導率を有している。即ち、銀の熱伝導率は4.29W/(cm・K)であり、銅の熱伝導率は4.01(cm・K)である。第2に、熱が通過しなければならない境界がより少ないことである。具体的には、セパレータ32とろう付け材料との境界もしくは界面(ろう付け材料と素材94との間の境界は勿論のこと)を無くすことにより、本発明による電極の熱伝達率が通常の電極よりも相当に大きい。加えて、セパレータ32が内部キャビティ22内に直接露出されるので、熱が移動しなければならない通路は通常の電極よりも短くなる。
【0042】
前述したように、内部キャビティ22内の表面31は、円筒形の柱状部23を含んでいる。図3及び図8に示した本発明の一実施例において、この表面31は放出部材28の周りに配置された素材94のコップ状部分92を含んでいる。このコップ状部分92は、素材94の残部に直接固定されてはいないが、放出部材28にしっかり取り付けられている。従って、コップ状部分92は、該コップ状部分92を残すことにより柱状部23が一様な円筒形状を有することになるので、製造を容易にするためトレパニング作業により形成される。しかし、コップ状部分92は、部分的に又は完全に機械加工で取り去って、放出部材28を内部キャビティ22内に露出させることができる(図10参照)。
【0043】
円筒形素材94の周壁もまた、ホルダ16の後端19における雄ねじ部102の形成を含め、所望の形状にすることができる。最後に、円筒形素材94の前面95並びに放出部材28及びセパレータ32の端面29,36が実質的に平らで互いに面一になるように機械加工される。前面95及び端面29,36上に存在する如何なるろう付け材料もこの機械加工工程中に除去することができる。
【0044】
図9は、ホルダ16の端面図を示している。セパレータ32の端面36が放出部材28の端面29をホルダ16の前面20から分離させていることが分かる。端面36は環状であって内周104と外周106とを有している。セパレータ32は、放出部材28よりも大きな仕事関数をもつ銀合金材料で構成されているので、アークが放出部材から離れてホルダ16につくようになるのを妨げる働きをする。
【0045】
従って、本発明は、プラズマアークトーチにおいて使用するための電極14を提供すると共に、電極14を製造するための方法を提供している。この電極14においては、放出部材28は、長手方向の軸線に沿って固定されており、セパレータ32に放出部材28をろう付けする間に動かないようにされている。さらに、セパレータ32は管状の形状を有しているので、同セパレータ32に開口を穿孔する必要がなく、これによって銀を滅損させることがなくなる。
【0046】
前述した記載及びこれに関連する図面による教示によって、当業者は、本発明の種々の改変及びその他の実施例に想到するであろう。例えば、セパレータ及び/又は放出部材は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、円錐形又はリベット形のようなその他の形状及び外形を有することができる。従って、言うまでもなく、本発明は、前述した特定の実施例に限定されるものではなく、その他の改変及び実施例も本発明の範囲内に包含される。この明細書において特定の用語が用いられているが、これらの用語は、一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定のために用いられているのではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特徴を備えたプラズマアークトーチの側断面図である。
【図2】本発明に係る電極の拡大斜視図である。
【図3】本発明に係る電極の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る電極を製造する好適な方法の一工程を示す断面図である。
【図5】本発明に係る電極を製造する好適な方法の一工程を示す断面図である。
【図6】本発明に係る電極を製造する好適な方法の一工程を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電極を製造する好適な方法の一工程を示す断面図である。
【図8】本発明に係る電極を製造する好適な方法の一工程を示す断面図である。
【図9】仕上った状態における本発明に係る電極の端面図である。
【図10】本発明に係る代替実施例に係る電極の変形例を示す拡大側断面図である。
【符号の説明】
10 プラズマアークトーチ
12 ノズルアセンブリ
14 電極
16 金属ホルダ
18 端壁
19 金属ホルダの後端
20 金属ホルダの前面
22 後側キャビティ(内部キャビティ)
23 円筒形柱状部
24 基端部
25 末端部
28 放出部材
29 外端面
30 内端面
32 セパレータ(非放出の部材)
33 セパレータの周壁(外周壁)
36 セパレータの外端面
40 ガス通路(ガス流路)
42 液体通路(ガス流路)
94 円筒形素材
95 円筒形素材の前面
96 円筒形素材の後面
99 ろう付け材料のリング(ディスク)

Claims (39)

  1. プラズマトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極を製造する方法であって、
    金属ホルダの実質的に平坦な前面に、該前面に対して実質的に直交する軸線に沿って延びる前側キャビティを形成するステップと、
    放出部材を前記金属ホルダの前記前側キャビティに固定するステップと、
    相対的に非放出のセパレータを、該セパレータが前記金属ホルダの前記前面において前記金属ホルと前記放出部材との間に配置され、かつ、該セパレータにより前記金属ホルダの部が前記放出部材から隔てられるように、前記前側キャビティ内に位置決めするステップと、
    後側キャビティを、前記セパレータの一部が前記後側キャビティに露出されるように、前記金属ホルダに形成するステップと、
    を含む電極製造方法。
  2. 前記セパレータは、前記放出部材の一部のみが該セパレータと接触するように、前記金属ホルダの前記前側キャビティ内に位置決めされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記放出部材は、圧入により前記金属ホルダの前記前側キャビティに固定的に取り付けられる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記セパレータを位置決めするステップは、管状の形状を有するセパレータを前記放出部材のまわりに締り嵌めの関係で位置決めすることである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記前側キャビティを形成するステップ及び前記後側キャビティを形成するステップに、前記金属ホルダを機械加工することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記後側キャビティを形成するステップに、前記放出部材を前記キャビティに露出させることを含む、請求項1に記載の方法。
  7. プラズマトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極を製造する方法であって、
    金属ホルダの実質的に平坦な前面に、該前面に対して実質的に直交する軸線に沿って延びる前側キャビティを形成するステップと、
    放出部材を前記金属ホルダの前記前側キャビティに固定するステップと、
    相対的に非放出のセパレータを、前記放出部材の一部のみが前記セパレータと接触するように、前記金属ホルダの前記前側キャビティ内に挿入するステップと、
    ろう付け材料を、該ろう付け材料の一部が前記放出部材と前記セパレータとの間にあり、また、前記セパレータと前記金属ホルダとの間にもあるように、前記前側キャビティ内に導入するステップと、
    を含む電極製造方法。
  8. 前記ろう付け材料は、前記前側キャビティ中の前記放出部材の周りにろう付け材料からなるディスクを挿入し、該ろう付け材料が少なくとも部分的に流動可能になるまで該ろう付け材料を加熱し、そして前記セパレータを前記前側キャビティ内に押し入れることにより導入される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記放出部材は、前記セパレータが前記前側キャビティ中に挿入される前に、前記前側キャビティ中に固定される、請求項7に記載の方法。
  10. プラズマトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極であって、
    前側キャビティが画成された前端、及び後端を有する金属ホルダと、
    前記前側キャビティ中に配置される、内周壁を有する実質的に非放出のセパレータと、
    該セパレータの前記内周壁により部分的にだけ囲まれる外周壁を有する、前記前側キャビティ中に配置される放出部材と、
    前記放出部材と前記セパレータとの間、及び前記セパレータと前記金属ホルダとの間に配置されるろう付け材料と、
    を備える電極。
  11. 前記放出部材の前記外周壁の一部は前記ろう付け材料と接触していない、請求項10に記載の電極。
  12. 前記前側キャビティは基端部と末端部とを有し、前記基端部は前記末端部の直径よりも小さな直径を有し、前記ろう付け材料は前記末端部にのみ配置される、請求項10に記載の電極。
  13. 前記セパレータは、銅,アルミニウム,鉄,鉛,亜鉛及びそれらの合金からなるグループから選択した一又は二以上の添加材料を混合した銀合金から構成される、請求項10に記載の電極。
  14. 前記放出部材は円柱形状を有しており、前記セパレータは管形状を有している、請求項10に記載の電極。
  15. プラズマトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極であって、
    前側キャビティを画成する前端、及び後側キャビティを画成する後端を有する金属ホルダと、
    前記前側キャビティ中に配置される、外周壁を有する実質的に非放出のセパレータと、
    前記セパレータと部分的にだけ接触する外周壁を有すると共に、前記セパレータと同軸状に前記前側キャビティ中に配置される放出部材であって、前記セパレータの前記外周壁の一部が前記後側キャビティに露出している前記放出部材と、
    を備える電極。
  16. 前記放出部材は円柱形状を有しており、前記セパレータは管形状を有している、請求項15に記載の電極。
  17. 前記前側キャビティは基端部と末端部とを有し、前記基端部は前記末端部の直径よりも小さな直径を有し、前記放出部材と前記基端部とはそれらの間に締り嵌めを有する、請求項15に記載の電極。
  18. 前記セパレータは、銅,アルミニウム,鉄,鉛,亜鉛及びそれらの合金からなるグループから選択した一又は二以上の添加材料を混合した銀合金から構成される、請求項15に記載の電極。
  19. 前記放出部材の一部は前記後側キャビティに露出されている、請求項15に記載の電極。
  20. プラズマアークトーチであって、
    電極を備え、該電極が、
    前側キャビティを画成する前端、及び後側キャビティを画成する後端を有する金属ホルダと、
    前記前側キャビティ中に配置される、外周壁を有する実質的に非放出のセパレータと、
    前記セパレータと部分的にだけ接触する外周壁を有すると共に、前記セパレータと同軸状に前記前側キャビティ中に配置される放出部材とを含み、
    前記プラズマアークトーチは更に、
    前記金属ホルダの前記前端近くに装着されると共に、長手方向の軸線が整った状態で貫通形成された流路を有するノズルと、
    前記電極の前記放出部材から、前記ノズルの前記流路を経て、前記ノズル近くに配置された母材まで広がるアークを生成するための電力源と、
    前記ノズルの前記流路を外側に通って前記母材に向かうプラズマ流を生成するように、前記電極と前記ノズルとの間にガスの流れを生成するためのガス源と、
    を備えるプラズマアークトーチ。
  21. 前記前側キャビティが基端部及び末端部を有しており、前記放出部材と前記セパレータとの間、並びに前記セパレータと前記末端部との間に配置されるろう付け層を更に備える、請求項20に記載のプラズマアークトーチ。
  22. 前記前側キャビティが基端部及び末端部を有しており、前記基端部と接触する前記放出部材の一部は実質的に前記ろう付け材料から離れている、請求項20に記載のプラズマアークトーチ。
  23. 前記セパレータは、銅,アルミニウム,鉄,鉛,亜鉛及びそれらの合金からなるグループから選択した一又は二以上の添加材料を混合した銀合金から構成される、請求項20に記載のプラズマアークトーチ。
  24. 前記放出部材及び前記セパレータは前記金属ホルダの前端と面一になっている、請求項20に記載のプラズマアークトーチ。
  25. 前記金属ホルダは、後側キャビティを画成する後端を含み、該後側キャビティは、前記セパレータが該後側キャビティに少なくとも部分的に露出するように、少なくとも部分的に形成されている、請求項20に記載のプラズマアークトーチ。
  26. 前記金属ホルダは、前記放出部材が少なくとも部分的に前記キャビティに露出するように、少なくとも部分的に形成されている、請求項25に記載のプラズマアークトーチ。
  27. プラズマトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極を製造する方法であって、
    ホルダの前端に開口を形成するステップと、
    放出部材を、該放出部材の一部が前記ホルダから前方へ延びるように、前記ホルダの前記開口内に取り付けるステップと、
    相対的に非放出の部材を、該非放出の部材と前記放出部材とが一緒になってアークを持続させるための電極の前面の少なくとも一部を画成するように、所定位置において前記放出部材の周りに取り付けるステップと、
    キャビティを、前記非放出の部材の少なくとも一部が該キャビティに露出すると共に、冷却液体が該キャビティを循環して前記非放出の部材を冷却できるように、前記ホルダの後端に形成するステップと、
    を含む電極製造方法。
  28. 前記方法は、前記放出部材を前記キャビティに少なくとも部分的に露出させるようになっている、請求項27に記載の方法。
  29. 液体冷却プラズマトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極を製造する方法であって、
    放出部材、及び該放出部材の周りに嵌る大きさに作られた開口を有する相対的に非放出の部材用意するステップと、
    前記非放出の部材を前側開口を有するホルダの該前側開口内に、前記放出部材が前記ホルダの前記前側開口内及び前記非放出の部材の前記開口内をるように、接合するステップと、
    後側キャビティを、前記非放出の部材の少なくとも一部が該後側キャビティに露出すると共に、冷却液が該後側キャビティを循環して前記非放出の部材を冷却できるように、前記ホルダに形成するステップと、
    を含む電極製造方法。
  30. 前記方法は、前記放出部材も前記キャビティに少なくとも部分的に露出させるようになっている、請求項29に記載の方法。
  31. 前記非放出の部材の少なくとも一部を除去して前面を画成するステップを更に備え、前記非放出の部材の前記前面において、前記放出部材及び前記非放出の部材は実質的に平らで互いに面一である、請求項29に記載の方法。
  32. 前記接合するステップは、前記非放出の部材を前記ホルダに熱により接合することを含む、請求項29に記載の方法。
  33. 前記接合するステップは、前記非放出の部材を前記ホルダにろう付けすることを含む、請求項32に記載の方法。
  34. 前記用意するステップは、金属ホルダを用意することを含む、請求項29に記載の方法。
  35. 液体冷却プラズマアークトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極であって、
    前側開口を画成する前端、及び後側キャビティを画成する後端を有するホルダと、
    ホルダの前記前側開口内に一部が位置するように位置決めされる放出部材と、
    前記ホルダに取り付けられる相対的に非放出の部材であって、該非放出の部材と前記放出部材とが一緒になってアークを持続させるための電極の前面の少なくとも一部を画成するように、所定位置において前記放出部材の一部を囲んでい非放出の部材とを備え、
    非放出の部材の一部及び前記放出部材の一部が前記後側キャビティに露出しており、冷却液体が前記後側キャビティを循環して前記非放出の部材及び前記放出部材を冷却することができる、電極。
  36. 前記放出部材と前記非放出の部材との間に配置されるろう付け層を更に含む、請求項35に記載の電極。
  37. プラズマアークトーチにおいてアークを持続させるのに適応した電極であって、
    内部に後側キャビティを画成すると共に、長手方向軸線を規定しており、前記後側キャビティは前記長手方向軸線に沿って延びているホルダと、
    前記ホルダに取り付けられる相対的に非放出の部材であって、前記ホルダにより画成された前記後側キャビティに少なくとも部分的に露出すると共に、少なくとも部分的にそこを貫く開口を画成する前記非放出の部材と、
    前記非放出の部材により画成された前記開口中に位置決めされる放出部材であって、該放出部材が前記非放出の部材と一緒に、アークを持続させるための電極の前面の少なくとも一部を画成するようになっている前記放出部材と、
    前記放出部材の少なくとも一部と前記相対的に非放出の部材との間に配置されるろう付け材料と、
    を備える電極。
  38. 前記相対的に非放出の部材は前記ホルダにろう付けされる請求項37に記載に電極。
  39. 前記非放出の部材は銀もしくはその合金から形成されており、前記ろう付け材料は銀もしくはその合金から形成されており、前記非放出の部材及び前記ろう付け材料は略同一の融点を有する、請求項37に記載の電極。
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