JP3584327B2 - 画像信号分析方法と装置および画像信号合成方法と装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、画像信号処理装置に関するものであり、特に、画像記録、通信などの分野で利用される画像データの分析と合成に使用する信号分析合成装置、画像信号合成装置、および、それらの方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像信号の分析合成の手法として信号のエッジに注目してそこにおける情報から元の信号を合成する手法が報告されている。
例えば、論文、Stephan Mallat、他、“Characterization of Signals from Multiscale Edges“ 、IEEE TRANSACTIONS ON PATTERN ANALYSIS AND MACHINE INTELLIGENCE,VOL 14,NO.7,JULY 1992,pp.710-732 においては、まず、一次元の画像の分析または合成の対象となる信号f(x)を想定する。
この例では、この信号を後述する複数の解像度スケールを用いる多重解像度法を用いて分析することから始めている。このときに用いる分析フィルターの特性関数は、周波数領域wにおいて下記式で表される。
【0003】
【数1】
【0004】
ただし、記号iは虚数を表し、 aは多重解像度における解像度スケールを表す。また、上付山形記号(上付ハット記号)は、その関数のフーリエ変換を表す。
これは、同じく周波数領域で下記式で表される関数の元の画像の分析または合成の対象となる信号の領域x でのフィルター関数W(x)の微分である。
【0005】
【数2】
【0006】
このフィルターの特性関数 W(x) と、上記領域xにおける画像の分析または合成の対象となる元の信号(原信号)f(x)を畳み込んだ結果を、関数 Wa f(x)と表す。上記文献ではこの振幅の絶対値/Waf(x)/の極大値を与える位置(Xn)(ただし、n は自然数である)、のフィルターの出力関数Wa f(Xn)だけを用いて画像の分析または合成の対象となる元の信号f(x)を近似できることを示している。
【0007】
極大値からの復元の説明の前に、関数 Waf(x) から画像の分析または合成の対象となる元の信号f(x)を復元することについて述べる。
それは、ウェーブレットと呼ばれ近年盛んに研究されている方法である。分析関数を下記式で表わせば、
【0008】
【数3】
【0009】
となり、信号合成に用いるフィルターの特性は、
【0010】
【数4】
【0011】
となる。
ここで、頭部の記号−は複素共役を表す。また、 j=j1,,,jJ である。
【0012】
ここで、画像信号分析および画像信号合成に関してまとめる。
画像の分析または合成の対象となる元の信号(原信号)をfo(x) とし、式1−2で規定される関数を fo(x) に乗じてDC成分S iJ を算出して、算出したDC成分S iJ を fo(x) から減じて、原信号 fo(x) の交流成分であり原信号 fo(x) を分析するための分析信号(関数)f(x)を求めると、
【0013】
【数5】
【0014】
として表され、算出した分析関数f(x)に、式1−2〜1−3で規定されるウェーブレット関数を適用すると、
【0015】
【数6】
【0016】
となる。式1−6から分析関数f(x)を求める。ただし、 j=j1, ・・ ,jJ について分析する。
【0017】
【数7】
【0018】
【数8】
【0019】
で合成される。S iJ は上述したDC成分である。
このようにして、関数Wj f(x) と関数SjJ(x)から画像の分析または合成の対象となる元の信号(原信号)fo(x) を復元することができる。
したがって、先に述べた関数Wj f(xn)から関数Wj f(x) を補間することにより関数Wj f(x) を近似し、上述した逆変換処理を行って分析関数f の近似を得ることができる。
補間する方法としては、補関して得られた関数をWj'f(x) とすると、
【0020】
【数9】
【0021】
という関数を
【0022】
【数10】
【0023】
という形のものとして、2点、Xnj 、Xn+1j を通ることを用いて、下記式
【0024】
【数11】
【0025】
より、上式の多重解像度における解像度スケール a を求め、それを式1−10に代入し、
【0026】
【数12】
【0027】
と補間関数を更新する。
これを、式1−7を用いて元の信号(原信号)についての分析関数f(x)の推定値 f'(x)を求め、再び式1−6を用いてそれを、関数Wj' f(x)として再定義する。
これを、繰り返すことにより、推定関数f'(x) を更新して、分析関数f(x)を復元していく。
最後に、式1−8を用いて、DC成分S iJ を復帰させて画像の分析または合成の対象となる元の信号(原信号)fo(x) を得る。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた論文に記載された画像圧縮の方法のほかにも、画像圧縮の方法は数多く考えられているが、画質および圧縮率をさらに高めなければならないという要請がある。
この要請に応えるべく、2次元画像に関しては視覚特性が輝度が急変するエッジに対して敏感であることを考慮して、その部分を忠実に再現する試みが報告されているが、圧縮率を高くするという点においてまだ充分ではない。
【0029】
したがって、本発明は一層圧縮効率のよい画像信号処理装置(信号分析・合成装置)を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1観点によれば、2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析手段と、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出手段であって、前記情報変化分析手段において検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する特徴点検出手段と、
特徴点符号化手段であって、前記特徴点検出手段で求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、該算出した曲率を用いて合成曲線を算出し、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率を用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を求める、特徴点符号化手段と、
前記特徴点検出手段において検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析手段で求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化手段と、
前記特徴点符号化手段で求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化手段で求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化手段と
を具備する画像信号分析装置が提供される。
【0031】
本発明の第2観点によれば、2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析手段と、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出手段であって、前記情報変化分析手段において検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する特徴点検出手段と、
特徴点符号化手段であって、前記特徴点検出手段で求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、該算出した曲率の極値を求め、該算出した曲率の極値と、該極値以外の部分を補間した値とを用いて合成曲線を算出し、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率の極値と該極値以外の部分を補間した値とを用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求める、特徴点符号化手段と、
前記特徴点検出手段において検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析手段で求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化手段と、
前記特徴点符号化手段で求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化手段で求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化手段と
を具備する画像信号分析装置が提供される。
【0032】
本発明の第3観点によれば、上記いずれかに記載の画像信号分析装置で符号化されたデータを復号する画像信号合成装置であって、
前記総合符号化手段の処理と逆の処理を行い、前記特徴点符号化手段および前記情報符号化手段の出力情報を再生する総合再生手段と、
該総合再生手段において再生された特徴点の位置に関する情報に基づいて、前記特徴点と前記情報符号化手段の出力情報に該当する情報を2次元空間に配置し、特徴点以外の場所における画像成分を補間する、情報再生手段と、
該情報再生手段において求めた情報に基づいて、前記情報変化分析手段に入力された前記2次元原画像データに対応する画像データを再生する原画像データ再生手段と
を具備する画像信号合成装置が提供される。
【0033】
本発明の第4観点によれば、2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析ステップと、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出ステップであって、前記情報変化分析ステップにおいて検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する、特徴点検出ステップと、
特徴点符号化ステップであって、(a)前記特徴点検出ステップで求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、(b)該算出した曲率を用いて合成曲線を算出し、(c)前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率を用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を求める、特徴点符号化ステップと、
前記特徴点検出ステップにおいて検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析ステップで求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化ステップと、
前記特徴点符号化ステップで求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化ステップで求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化ステップと
を具備する、画像信号分析方法が提供される。
【0034】
本発明の第5観点によれば、2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析ステップと、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出ステップであって、前記情報変化分析ステップにおいて検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する特徴点検出ステップと、
特徴点符号化ステップであって、(a)前記特徴点検出手段で求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、(b)該算出した曲率の極値を求め、(c)該算出した曲率の極値と、該極値以外の部分を補間した値とを用いて合成曲線を算出し、(d)前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率の極値と該極値以外の部分を補間した値とを用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求める、特徴点符号化ステップと、
前記特徴点検出ステップにおいて検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析ステップで求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化ステップと、
前記特徴点符号化ステップで求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化ステップで求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化ステップと
を具備する画像信号分析方法が提供される。
【0035】
本発明の第6観点によれば、上記画像信号分析方法で符号化されたデータを復号する画像信号合成方法であって、
前記総合符号化ステップの処理と逆の処理を行い、前記特徴点符号化ステップおよび前記情報符号化ステップの出力情報を再生する総合再生ステップと、
該総合再生ステップにおいて再生された特徴点の位置に関する情報に基づいて、前記特徴点と前記情報符号化ステップの出力情報に該当する情報を2次元空間に配置し、特徴点以外の場所における画像成分を補間する、情報再生ステップと、
該情報再生ステップにおいて求めた情報に基づいて、前記情報変化分析ステップに入力された前記2次元原画像データに対応する画像データを再生する原画像データ再生ステップと
を具備する、画像信号合成方法が提供される。
【0036】
【作用】
請求項1、8に記載の本発明の画像信号分析装置および方法において、
(1)2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出し、
(2)検出した画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出し、
(3)前記求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、該算出した曲率を用いて合成曲線を算出し、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率を用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求め、
(4)前記検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記求めた2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行い、
(5)前記求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う。
【0037】
請求項2、9に記載の本発明の画像信号分析装置および方法において、請求項1、8に記載の画像信号分析装置および方法に対して、上記(3)において、曲率の極値を用いて合成曲線を算出する点が異なる。すなわち、曲率の極値を求め、該算出した曲率の極値と、該極値以外の部分を補間した値とを用いて合成曲線を算出する。
エッジ曲線および算出した合成曲線の始点から終点に至るまでエッジ曲線と算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率の極値と該極値以外の部分を補間した値とを用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求める。
【0038】
請求項10、11に記載の画像信号合成装置および方法は、上記した画像信号分析装置および方法と逆の処理を行う。
【0039】
【実施例】
以下に、本発明の画像信号処理装置の実施例としての信号分析合成装置およびその方法の実施例について説明する。
本発明の画像信号処理装置では、2次元上に分布する画像情報(2次元画像データ)の変化を分析し、その分析によって得られた変化の特徴点における画像情報を用いて元の画像を近似し、復元する。
【0040】
本発明の第1実施例では、2次元空間における画像データのエッジを検出し、検出したエッジを接続してエッジ曲線を検出し、検出したエッジ曲線を、該曲線の始点、始点からの距離、曲率、始点における単位ベクトルで表現し、エラーフィードバックをかけながらエッジ曲線を合成する。
【0041】
また本発明の第2実施例では、2次元空間における画像データのエッジを検出し、検出したエッジを接続してエッジ曲線を検出し、検出したエッジ曲線の曲率の極値(極大値と極小値)、エッジ曲線の始点、始点からの距離、始点における単位ベクトルで表現し、さらに好適には、曲率の極値(極大値と極小値)以外の点の曲線情報を補間し、エラーフィードバックをかけながらエッジ曲線を合成する。
【0042】
以下、図1を参照し、本発明の画像信号処理装置の実施例としての画像信号分析合成装置1の構成を説明する。
図1は、本発明の画像信号分析合成装置1の一実施例の構成を示すブロック図である。実施例1、実施例2とも、構成は同様の構成からなるが、特徴点符号化部の処理内容が異なる。
【0043】
画像信号分析合成装置1は、画像信号分析装置10および画像信号合成装置20で構成される。
画像信号分析装置10は画像メモリ11、情報変化分析部12、特徴点検出部13、特徴点符号化部14、情報符号化部15および総合符号化部16を有する。
画像信号合成装置20は、総合再生部21、情報再生部22および元画像(原画像)再生部23を有する。
画像信号分析装置10および画像信号合成装置20の各部分はそれぞれに独立したハードウェアで構成されるか、あるいは同一計算機上でソフトウェア的に構成されるかを問わない。
【0044】
画像メモリ11は、本発明の実施の形態における、画像の分析または合成の対象となる、白黒の、元の2次元画像データ(原2次元画像データ)を記憶するためのメモリである。
情報変化分析部12は、画像メモリ11に記憶された、元の2次元画像データ(原2次元画像データ)を入力し、原2次元画像データの輝度の変化について2次元分析を行なう。情報変化分析部12より出力された分析結果(輝度の変化)は、特徴点検出部13と、情報符号化部15に入力される。
特徴点検出部13は、入力された分析結果(輝度の変化)を解析し、原2次元画像データの特徴点の存在する場所を2次元上に点として表現し、特徴点符号化部14と、情報符号化部15に入力する。
【0045】
特徴点符号化部14は、特徴点検出部13の解析結果をさらに処理し、第1実施例においては、特徴点の存在する場所を連結して曲線を抽出し、あるいは、第2実施例においては、曲線の曲率、曲率の最大と最小の場所と原2次元画像データの始点からの距離により曲線を表現する。
【0046】
情報符号化部15は、情報変化分析部12と特徴点検出部13からの結果を入力し、入力された画像を再生するために必要な情報を得るための分析を上述の特徴点において実行し、その分析結果を総合符号化部16に入力する。
総合符号化部16は、特徴点符号化部14および情報符号化部15の出力情報を符号化する。
【0047】
総合再生部21は、総合符号化部16で符号化された情報を逆符号化して特徴点符号化部14および情報符号化部15の出力情報を再生する。
情報再生部22は、総合再生部21で再生された特徴点の位置に関する情報に基づいて、特徴点と情報部符号部15の出力情報を2次元空間上に配置する。そして、特徴点以外の場所における画像成分も補間を行なうことにより、元の画像データ(原画像データ)の視覚的に重要である輝度変化の激しい部分は忠実に近似し、その他の部分はなだらかに近似する。
元画像再生部23は、情報再生部22の再生した情報に基づいて画像を合成し、再生する。
【0048】
以下、本発明の画像信号分析合成装置の第1の実施例について説明する。
画像メモリ11は、カメラやビデオなどの画像信号出力装置より得られた、画像の分析または合成の対象となる2次元画像情報(原画像データ)をメモリー上に記憶する。この画像情報は、画像上の位置(座標x,y )によって表され、画像データIo(x,y) として表現される。この画像データは、画像データとして情報変化分析部12から処理のためにアクセスされる。
【0049】
情報変化分析部12は、画像メモリ11に記憶された元の画像データ(原画像データ)の2次元的な変化を分析する。具体的には、後述する多重解像度での各方向へ方向性のあるフィルタリング処理を行なう。つまり、情報変化分析部12は二次元空間における原画像データのエッジを検出する。
多重解像度とは、周波数空間において帯域の異なるいくつかのフィルタを用いて信号を帯域ごとに分割することを意味し、複数の解像度スケールでj=j1,,,jJまで行う。
ここではまず、DC成分が独立に処理される。
DC成分は、入力された画像の分析または合成の対象となる原画像データIo(x,y) にスムージング関数G(x,y;σj)を畳み込むことにより抽出される。
DC成分の分析は次式で表される。
【0050】
【数13】
【0051】
ここで式中の記号*は2次元の畳み込み演算を表す。
入力された画像データIo(x,y) から、式2−1で得られたDC成分を引いた交流信号成分の画像データI (x,y) は次式で表される。
【0052】
【数14】
【0053】
このDC成分を含まない画像信号(データ)I(x,y) に対して画像の変化を分析する。
まず、画像信号I(x,y) に対して、スムージング関数G(x,y; σj )をx,y方向にそれぞれ1階微分した、異なる解像度スケールを持つ複数の分析フィルタによる多重解像度の分析を考える。
いま、解像度スケールに関するインデックスをj=j1,,,jJとすると1次微分型の分析フィルタは、下記式で表される。
【0054】
【数15】
【0055】
【数16】
【0056】
そしてこの分析フィルタの、下記式で表されるスムージング関数G1y(x,y; σj)、G1y(x,y; σj )を用いて、
【0057】
【数17】
【0058】
【数18】
【0059】
により分析が行なわれる。
【0060】
特徴点検出部13は、情報変化分析部12の分析結果、つまり、二次元空間における原画像データのエッジの極大値および極小値の場所を抽出する。
具体的には、式2−5、式2−6の結果をもう一度同じ方向に微分し、その値が0となる点(ゼロクロス点)を求めることにより極値(極大値および極小値)となる画像データの2次元空間における位置を求める。
すなわち、下記式
【0061】
【数19】
【0062】
【数20】
【0063】
において、出力Wxx(x,y; σj )= 0となる点をゼロクロス点Pxi(xi,yi; σj )と表す。また、同様に出力Wyy(x,y; σj )= 0となる点をゼロクロス点Pyh(xh,yh; σj )と表す。ただし、i=1,2,・・,jNx 、h=1,2,,,jNy であり、それぞれjNx、jNy 個のゼロクロス点があるものとする。
【0064】
特徴点符号化部14は、特徴点検出部13で得られたゼロクロス点Pxi(j) ,Pyi(j)をそれぞれ曲線上の点、および孤立した点としてとらえ、このゼロクロス点からなる曲線(エッジ曲線)、および孤立点のパラメータによりゼロクロス点Pxi(j),Pyi(j) を表すことにより符号化する。
具体的には、特徴点符号化部14は、ゼロクロス点からなる曲線を曲率と、この曲線の始点からの距離、始点の位置、始点における単位ベクトルで表すことにより符号化を行なう。
また、特徴点符号化部14は、その内部に曲線を合成するローカルエンコーダを含み、合成された曲線と、上記ゼロクロス点からなる曲線(エッジ曲線)との誤差関数が最小になるように、上記演算処理を反復して行う、エラーフィードバックをかけながら曲率を求めることを行なう。
【0065】
以下、特徴点符号化部14の詳細を説明する。
まず、ゼロクロス点Pxi(j),Pyh(j) を重複している点がある場合は、これらを1つにして特徴点集合P(j) をつくる。
特徴点集合P(j) の要素を特徴点Pp (j) と表す。ただし、特徴点集合P(j) は、その要素である特徴点Pp の添え字(下付記号)はp=1、2、、、Np で表し、全部でNp個の特徴点を有する。
【0066】
次に、特徴点符号化部14は、特徴点を2次元平面の中で連結して特徴点曲線を抽出する。
ある特徴点Pp (j) に注目し、その画素を中心として(3×3)画素から構成される正方形について処理を行ない、その中に同じく特徴点集合のP(j) の要素である特徴点が含まれていればその点を同一曲線に含む。
いま、得られた特徴点曲線の集合をL(j) とし、集合L(j) のn番目の特徴点曲線をLn(j)とする。この特徴点曲線Ln(j)に含まれるM個の特徴点に対し、曲率knm(l) を求める。ただし、m=1,2,,,M)である。曲率knm(l) の計算アルゴリズムに関しては後述する。
【0067】
次に、図2に示すように求められた曲率knm(l) より曲線をエラーフィードバックを行ないながら合成する。曲率から曲線を合成するアルゴリズムについては後述する。ここで、曲線Ln(j)上のi 番目の点をq( xi,yi)、合成された曲線Ln'(j) 上のi 番目の点をq'(xi,yi)とする。また誤差関数をE(k) を
【0068】
【数21】
【0069】
とし、誤差関数E(k) が最小になるように曲率knm(li)をコントロールする。すなわち、式2−9をknm(li)で微分し、微分曲率dknm(li)を次式のように求め
【0070】
【数22】
【0071】
微分曲率dknm(li)を曲率knm(li)に加算し、再度、曲率knm(li)を用いて曲線を合成する。
この操作を誤差関数E(k) がしきい値Emin より小さくなるまで繰り返し行なう。この処理をエラーフィードバック処理と呼ぶ。
以上の操作を、曲線の始点より順次終点になるまで行ない曲線Ln(j)の曲率knm(l) を求める。エラーフィードバックによる最適曲率決定アルゴリズムについては後述する。
【0072】
2次元平面内の曲線の曲率計算アルゴリズムについて説明する。
いま曲線をパラメータl(エル)として2次元平面上の位置をL(x(l),y(l) )とする。
ここで、曲線上の点における曲率k(l)は、パラメータ1(エル)の関数x(l),y(l) の微分が存在しているとすると、次式のように計算できる。
【0073】
【数23】
【0074】
として、
【0075】
【数24】
【0076】
式2−12は次式より導出される。
【0077】
【数25】
【0078】
式2−13を、xについて1階微分すると下記式が得られる。
【0079】
【数26】
【0080】
式2−13を、式2−12に代入すると下記式が得られる。
【0081】
【数27】
【0082】
式2−14、式2−15より下記式が得られる。
【0083】
【数28】
【0084】
ここで、x(l),y(l) のl (エル)による1階、2階微分は、下記式となる。
【0085】
【数29】
【0086】
したがって、
【0087】
【数30】
【0088】
式2−16、式2−18より曲率k(l)は、
【0089】
【数31】
【0090】
と表すことができる。
以上より、式2−19を用いて曲線のデータ列L(l) の曲率k(l) を求めることができる。
しかしながら、データ列L(l) は、量子化された位置のデータであるため、得られる曲率は振動的になる。これを改善するためにデータ列L(l) に、スムーシング関数を畳み込む。
スムージング関数としては、1次元のガウス関数g(l;σj )を用いる。
ここで、パラメータσj は多重解像度における各解像度に対するスケールを表す。
【0091】
【数32】
【0092】
ここで、スムーシングされたデータ列L(l; σ)を
【0093】
【数33】
【0094】
とし、畳み込み演算を記号*で表すと、
【0095】
【数34】
【0096】
【数35】
【0097】
となる。曲率k(l)を求めるためには、x(l)=dx/dl, y(l)=dy/dl, x(l)=d2x/dl2,y(l)=d2y/dl2 が必要であるが、これらは以下のように求められる。
ガウス関数の1次微分をg1(l; σj )、2次微分をg2(l; σj )とすると、
【0098】
【数36】
【0099】
【数37】
【0100】
【数38】
【0101】
【数39】
【0102】
【数40】
【0103】
【数41】
【0104】
となる。
したがって、式2−26、式2−27、式2−28、式2−29を式2−19に代入することにより各解像度における曲率k(l)が求められる。
具体的には、以下のように行う。
以下、曲線の分析アルゴリズムをフローチャートを参照して述べる。図3は2次元平面上の曲線の分析を示すフローチャートである。
図3において、曲線の曲率計算アルゴリズムは6つのステップより構成される。
(1)ステップS11で、iが1にセットされる。
(2)ステップS12で曲線のデータが入力される。
(3)ステップS13で、スムージング関数g0、g0の1階微分g1、g0の2階微分g2がセットされる。
【0105】
【数42】
【0106】
【数43】
【0107】
【数44】
【0108】
(4)ステップS14で、曲線の曲率が式2−33で計算される。
【0109】
【数45】
【0110】
(5)ステップ15で、iがインクリメントされる。
(6)ステップ16において、データがあるか否かを判断し、データがある場合はS12の処理に進む。
【0111】
次に曲線の合成方法について説明する。
以下、曲率から曲線を合成することを考える。まず、曲線をパラメータs として2次元上の位置を、L(s)=〔x(s),y(s) 〕とする。
ここでパラメータs は、時間0〜tの間に動いた距離s=s(t)として
【0112】
【数46】
【0113】
となるように選ぶことができる。
すなわち、単位接線ベクトルを e1 として
【0114】
【数47】
【0115】
となる。一方、単位接線ベクトルe1に垂直な単位垂直方向ベクトルe2は、
【0116】
【数48】
【0117】
と表すことができる。
ここで、e1・e2=1をsで微分すると
【0118】
【数49】
【0119】
となる。すなわち、単位接線単位ベクトルe1と、ベクトルe1' は直交している。
したがって、ベクトルe1' と、単位垂直方向ベクトルe2は、
【0120】
【数50】
【0121】
と表せる。ここで、k(s)は距離s における曲率を表している。
【0122】
次に、以上のことを用いて曲率k(s)から曲線を合成することを考える。
いま、曲線上の点P(si) から距離dsだけ移動した点P(si+ds)を考える。点P(si+ds)に対するテイラー展開は以下のようになる。
【0123】
【数51】
【0124】
ここで、式2−39において距離dsの間に曲率k'(si)が一定である、すなわちk'(si)=0であるという仮定を導入すると式2−39は以下のようになる。
【0125】
【数52】
【0126】
ここで式2−40を、sin(k(si) ds) とcos(k(si) ds) のマクローリン展開と見ると
【0127】
【数53】
【0128】
と表すことができる。一方、単位接線ベクトルe1のテイラー展開は
【0129】
【数54】
【0130】
と書け、同様に曲率k'(si)=0であるという仮定を導入すると
【0131】
【数55】
【0132】
ここで式2−43を、sin(k(si) ds) とcos(k(si) ds) のマクローリン展開と見ると
【0133】
【数56】
【0134】
とかける。また、単位垂直方向ベクトルe2は
【0135】
【数57】
【0136】
であるから、単位垂直方向ベクトル e2 は、単位接線ベクトルe1より一意に求まる。
ここで、e1/ x,e1/yはベクトルe2のx成分、y成分を意味する。
以上、式2−41、式2−43、式2−44より初期値P(0),e1(0),k(si),s(t) が分かっていれば順次、次の点を決定することができる。
【0137】
つぎに、式2−19で求めたk(l)を使って、式2−41、式2−43、式2−44より曲線を合成することを考える。
ここで問題となるのが、パラメータl (エル)とパラメータs の関係である。式2−41、式2−43、式2−44では、
【0138】
【数58】
【0139】
が成立するようにパラメータs を選んでいる。ところが、パラメータl (エル)では式2−19は成立しない。そこで、以下にパラメータl とパラメータs との関係を導きだす。
式2−19を変形すると
【0140】
【数59】
【0141】
となる。一方、l (エル)の関数α (l) を用いて
【0142】
【数60】
【0143】
とおける。ここで、
【0144】
【数61】
【0145】
として、式2−49を式2−47に代入すると
【0146】
【数62】
【0147】
となる。したがって、式2−48、式2−50より
【0148】
【数63】
【0149】
が導きだされる。これより
【0150】
【数64】
【0151】
が得られる。また、
【0152】
【数65】
【0153】
に式2−49を代入すると
【0154】
【数66】
【0155】
が導きだされる。
したがって、以上のl (エル)とs(l)の関係l と曲率k(s)の関係より式2−19より求めた曲率k(l)を使って式2−41、式2−43、式2−44から曲線が合成できることになる。これを合成曲線と呼ぶ。
【0156】
具体的には、以下のようになる。
以下、曲線の分析アルゴリズムをフローチャートを参照して説明する。
図4は、2次元平面上の合成曲線の合成処理を示すフローチャートである。
ステップ21(S21)において、初期値として、位置P(s1)、単位接線ベクトルe1(s1)を与える。
ステップ22(S22)において、i=1と設定する。
ステップ23(S23)において、単位垂直方向ベクトルe2(si +1)を次式により求める。
【0157】
【数67】
【0158】
ステップ24(S24)において、曲率k(si )のデータを読む
ステップ25(S25)において、次式で位置P(si +1)を求める。
【0159】
【数68】
【0160】
ステップ26(S26)において、次式で単位接線ベクトルe1(si +1)を求める。
【0161】
【数69】
【0162】
ステップ27(S27)において、i=i+1とインクリメントする。
ステップ28(S28)において、データがあるか否かを判断し、データがある場合はステップ23(S23)の処理に進む。
【0163】
次に、曲率を使って求めた合成曲線と、元の曲線からエラーフィードバックにより最適な曲率を求めるアルゴリズムについて説明する。
いま、曲線L (S) 上のi 番目の点をP(Si )、合成された曲線Ln'(s) 上のi番目の点(位置)をP'(S i ) とする。同様に、曲線L (S) 上の(i+1)番目の点(位置)をP(S i +1)、合成された曲線上の点をP(Si +1) とする。
ただし、sは始点からの距離を表すパラメータである。
また誤差関数をE(k) を
【0164】
【数70】
【0165】
とし、誤差関数E(k) が最小になるように曲率k(Si ) を決定することを考える。
式2−58を曲率k(Si ) について微分すると
【0166】
【数71】
【0167】
となる。ここで、
【0168】
【数72】
【0169】
とすれば、
【0170】
【数73】
【0171】
となり、したがって、
【0172】
【数74】
【0173】
となる。式2−62は曲率k(li ) における変化分と見なせるから、
【0174】
【数75】
【0175】
より、新たに曲率k(l i )を定義できる。
そして、順次始点から終点に向けてエラーフィードバックをかけながら曲率を求め直す。
【0176】
具体的には、以下のようになる。
以下、エラーフィードバックによる曲率の計算方法をフローチャートを参照して述べる。
図5は、エラーフィードバックによる曲率の計算方法のフローチャートである。
ステップ31(S31)において、点(位置)の初期値P(s1)、および単位接線ベクトルの初期値e1(s1)を与える。
ステップ32(S32)において、i=1と設定する。
ステップ33(S33)において、単位垂直方向ベクトルe2(si+1)を次式により求める。
【0177】
【数76】
【0178】
ステップ34(S34)において、曲率k(si )を読む。
ステップ35(S35)において、次式で位置P' (si +1)を求める。
【0179】
【数77】
【0180】
ステップ36(S36)において、次式で誤差関数E(ki )を求めこの誤差関数E(ki )がEminよりも小さければステップ37に進み、Emin以上であれば、ステップ40に進む。
ステップ37(S37)において、次式で単位接線ベクトルe1(si +1)を求める。
【0181】
【数78】
【0182】
ステップ38(S38)において、i=i+1とインクリメントする。
ステップ39(S39)において、データがあるか否かを判断し、データがある場合は、ステップ33(S33)の処理に進む。
ステップ36(S36)において、Eminであると判断された場合、ステップ40(S40)において、次式で微分曲率dK(si )を求める。
【0183】
【数79】
【0184】
ステップ41(S41)において、次式で曲率k(si )を更新し、ステップ35(S35)に進む。
【0185】
【数80】
【0186】
情報符号化部15は、上述の特徴点を構成する特徴点曲線あるいは孤立点の上で情報を分析し圧縮処理を行なって、符号化する。
【0187】
総合符号化部16は、特徴点符号化部14および情報符号化部15の出力データの冗長度を、例えばランレングス符号化等により圧縮し、または、量子化のためのビット割当等を行なう。そして、その結果を送信し、記録する。
【0188】
総合再生部21は、入力されるデータについて、総合符号化部16と逆の操作を行なう。すなわち、総合符号化部16で符号化された信号を、特徴点符号化部14および情報符号化部15の出力データに戻す。
【0189】
情報再生部22は、総合再生部21より得られた特徴点符号化部14の出力と等価なデータから特徴点の位置を復元し、また、情報符号化部15の出力と等価な情報から2次元平面における全ての特徴点とその位置における情報を復元する。
すなわち、情報再生部22は、特徴点符号化部14と情報符号化部15が元画像情報(原画像データ)について行なった逆の処理を行なう。
【0190】
元画像(原画像)再生部23は、以上に述べた処理によって得られた情報変化分析部12の分析結果の極値(極大値、極小値)の情報に基づき、それを補間近似し、x−yの2次元平面全体で情報変化分析部12の結果を復元し、それに式2−5、式2−6の逆変換を行ないx−y2次元座標系における元の2次元画像データを復元する。つまり、元の画像データのエッジ曲線を合成する。
このように、本発明の画像信号処理装置の第1実施例によれば、分析段階で高い圧縮率で曲線を符号化できる。
そして、その逆処理を行うことにより、元の曲線(元の画像データのエッジ曲線)を合成できる。
【0191】
以下、本発明の第2の実施例について説明する。
第2の実施例においては、第1の実施例における特徴点符号化部14、総合再生部21を変更したものである。
第2の実施例における特徴は、曲線を、始点の位置と、曲率の極値(極大、極小点)、始点からの距離によって表現し、合成する。こうすることにより、第1の実施例よりも少ない情報量で曲線を表現できることになる。
【0192】
特徴点符号化部14では、第1の実施例と同様にしてエッジ曲線が抽出される。
そして抽出されたエッジ曲線は、上記の曲線分析アルゴリズムに従い分析され各特徴点において曲率が求められる。次に、求められた曲率から曲率の極大値、極小値(極値)を求める。
第2の実施例でも、第1の実施例と同様に特徴点符号化部14の内部にローカルエンコーダを持ち、ここで曲線を合成しながら、合成した曲線と元の曲線との誤差関数を最小にするように極値における曲率を求める。
【0193】
以下、特徴点符号化部14の詳細について説明する。
第2の実施例の特徴点符号化部14において、第1の実施例のそれと異なる点は、曲率の極値を用いて曲線を分析合成することである。従って、それ以外の部分は第1の実施例と同様であるので、ここでは第2の実施例の異なる点について説明を記す。
まず、画像の分析または合成の対象となる画像データについてのエッジ曲線から各特徴点P(S) における曲率k(S) を求める。曲率k(S) の求め方は上記の曲線分析アルゴリズムによる。ただし、S は始点からの距離を表すパラメータである。
次に、曲率k(S) から極値(極大値、極小値)を求める。曲率K(S) の極値以外の点を補間関数I(S) を用いて補間して、求めた極値と補間した値とを用いて合成曲線を合成しながら、第1実施例と同様に、エッジ曲線と合成曲線とについて始点から終点まで、エラーフィードバックをかけてエッジ曲線と合成曲線との誤差が最小または所定値以下になるように、曲率を再定義する。
【0194】
以下に、曲率の極値以外の点を補間し、エラーフィードバックをかけながら合成曲線を合成して、エッジ曲線との誤差が最小になるような曲率を再定義するアルゴリズムについて説明する。
いま、曲線L(S) 上のi番目の曲率の極値点をP(Si ) 、合成された曲線Ln'(s) 上のi 番目の曲率の極値点をP'(S i ) とする。同様に、j番目の曲率の極値点をP(S j )、合成された曲率の極値点をP'(S j ) とする。ただし、sは始点からの距離を表すパラメータである。
いま誤差関数E(k) を
【0195】
【数81】
【0196】
とし、誤差関数E(kj ) が最小になるように曲率k(Si ) を決定することを考える。
下記式2−70を曲率k(Si ) について微分すると
【0197】
【数82】
【0198】
ここで、
【0199】
【数83】
【0200】
とすれば、
【0201】
【数84】
【0202】
となり、したがって、
【0203】
【数85】
【0204】
ここで、式2−74におけるdKsn/dKsiは補間関数I(s) により決定される係数である。ただし、Sn は、Si <Sn <Sj である。
式2−74は、曲率k(li )における変化分と見なせるから、
【0205】
【数86】
【0206】
より、新たに曲率k(l i ) を定義できる。
そして、順次始点から終点に向けてエラーフィードバックをかけながら曲率を求め直す。
【0207】
具体的には、以下のようになる。
以下、エラーフィードバックによる曲率の計算方法をフローチャートを参照して述べる。
図6は、エラーフィードバックによる曲率の計算方法のフローチャートである。
ステップ51(S51)において、位置の初期値P(s1)、および単位接線ベクトルの初期値e1(s1)を与える。
ステップ52(S52)において、i=1,j=i+1と設定する。
ステップ53(S53)において、ベクトルe2(si)を次式により求める。
【0208】
【数87】
【0209】
ステップ54(S54)において、曲率k(si )のデータを読む
ステップ55(S55)において、s i <sn <sj のsn について曲率k(sn )を補間する。
ステップ56(S56)において、次式で位置P' (sn )を求める。
【0210】
【数88】
【0211】
ステップ57(S57)において、式2−69によって誤差関数E(ki)を求め、誤差関数E(ki)がEminよりも小さければステップ58に進み、Emin以上であれば、ステップ61(S61)に進む。
ステップ58(S58)において、式2−69を用いて単位接線ベクトルe1(sj)を求める。
【0212】
【数89】
【0213】
ステップ59(S59)において、i=i+1、j=j+1とする。
ステップ60(S60)において、データがあるか否かを判断し、データがある場合はステップ53(S53)の処理に進む。
ステップ57(S57)において、誤差関数E(ki)がEmin以上であると判断された場合、ステップ61(S61)において、次式で曲率変化dK(si )を求める。
【0214】
【数90】
【0215】
ステップ62(S62)において、次式で曲率k(si )を更新し、ステップ55(S55)に進む。
【0216】
【数91】
【0217】
以上に述べた処理を反復することにより、曲率が連続的に求められる。
このように曲率が求められると、これらの曲率が情報符号化部14および総合符号化部16において符号化される。
符号化された曲率は、総合再生部21、情報再生部22および元画像(原画像)再生部23において復号されて曲線を合成することができる。
【0218】
本発明の実施に際しては上述したものに限らず、上記同様の他の方法および他の回路構成をとることができる。
【0219】
【発明の効果】
本発明の画像信号処理装置によれば、画像の分析または合成の対象となる2次元原画像データを高い符号化率が有効に符号化できる。
また本発明の画像信号処理装置によれば、上記のように圧縮した符号化データを合成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の画像信号処理装置の実施例としての信号分析合成装置の構成図である。
【図2】図2は本発明のエラーフィードバック処理を図解するグラフである。
【図3】図3は、本発明の2次元平面上の曲線の分析を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の2次元平面上の曲線の合成処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明のエラーフィードバックによる曲率の計算方法のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明のエラーフィードバックによる曲率の計算方法のフローチャートである。
【符号の説明】
1・・画像信号分析合成装置
10・・画像信号分析装置
11・・画像メモリ
12・・情報変化分析部
13・・特徴点検出部
14・・特徴点符号化部
15・・情報符号化部
16・・総合符号化部
20・・画像信号合成装置
21・・総合再生部
22・・情報再生部
23・・元画像(原画像)再生部23
Claims (11)
- 2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析手段と、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出手段であって、前記情報変化分析手段において検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する特徴点検出手段と、
特徴点符号化手段であって、
(a)前記特徴点検出手段で求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、
(b)該算出した曲率を用いて合成曲線を算出し、
(c)前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率を用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求める、特徴点符号化手段と、
前記特徴点検出手段において検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析手段で求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化手段と、
前記特徴点符号化手段で求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化手段で求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化手段と
を具備する画像信号分析装置。 - 2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析手段と、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出手段であって、前記情報変化分析手段において検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する特徴点検出手段と、
特徴点符号化手段であって、
(a)前記特徴点検出手段で求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、
(b)該算出した曲率の極値を求め、
(c)該算出した曲率の極値と、該極値以外の部分を補間した値とを用いて合成曲線を算出し、
(d)前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率の極値と該極値以外の部分を補間した値とを用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求める、
特徴点符号化手段と、
前記特徴点検出手段において検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析手段で求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化手段と、
前記特徴点符号化手段で求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化手段で求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化手段と
を具備する画像信号分析装置。 - 前記情報変化分析手段は、
前記2次元画像データに2次元スムージング関数を畳み込んで前記2次元画像データのDC成分を算出し、
該算出したDC成分を前記2次元画像データから減じて前記DC成分を含まない画像データを生成し、
該DC成分を含まない画像データに対して異なる解像度スケールを持つ2次元スムージング関数を1階微分した関数を適用して前記2次元画像データのエッジを検出する、
請求項1または2記載の画像信号分析装置。 - 前記特徴点検出手段は、前記情報変化分析手段において検出した前記2次元画像データのエッジに前記2次元スムージング関数を2階微分した関数を適用し、得られたゼロクロス点を前記画像データの特徴点として検出する、
請求項3に記載の画像信号分析装置。 - 前記特徴点符号化手段は、所定の範囲内に前記ゼロクロス点が複数存在するとき、1つのゼロクロス点として集合して前記信号処理を行う、
請求項4記載の画像信号分析装置。 - 前記特徴点符号化手段は、
前記ゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として2次元平面において連結して特徴点曲線を検出し、
該算出した特徴点曲線の曲率を算出する、
請求項5記載の画像信号分析装置。 - 前記特徴点符号化手段は、前記最終的に求めたエッジ曲線の曲率についてスムーシング関数を畳み込んで、得られた曲率の振動性を改善する、
請求項1〜6のいずれかに記載の画像信号分析装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の画像信号分析装置で符号化されたデータを復号する画像信号合成装置であって、
前記総合符号化手段の処理と逆の処理を行い、前記特徴点符号化手段および前記情報符号化手段の出力情報を再生する総合再生手段と、
該総合再生手段において再生された特徴点の位置に関する情報に基づいて、前記特徴点と前記情報符号化手段の出力情報に該当する情報を2次元空間に配置し、特徴点以外の場所における画像成分を補間する、情報再生手段と、
該情報再生手段において求めた情報に基づいて、前記情報変化分析手段に入力された前記2次元原画像データに対応する画像データを再生する原画像データ再生手段と、
を具備する、画像信号合成装置。 - 2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析ステップと、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出ステップであって、前記情報変化分析ステップにおいて検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する、特徴点検出ステップと、
特徴点符号化ステップであって、
(a)前記特徴点検出ステップで求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、
(b)該算出した曲率を用いて合成曲線を算出し、
(c)前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率を用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を求める、特徴点符号化ステップと、
前記特徴点検出ステップにおいて検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析ステップで求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化ステップと、
前記特徴点符号化ステップで求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化ステップで求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化ステップと
を具備する画像信号分析方法。 - 2次元原画像データについて第1回目の微分処理を行い前記2次元原画像データのエッジを検出する情報変化分析ステップと、
前記2次元原画像データの特徴点を検出する特徴点検出ステップであって、前記情報変化分析ステップにおいて検出した前記画像データのエッジについて前記第1回目の微分処理と同じ方向に第2回目の微分処理を行い、該第2回目の微分処理した結果の値が0となったゼロクロス点を前記2次元原画像データの特徴点として検出する特徴点検出ステップと、
特徴点符号化ステップであって、
(a)前記特徴点検出手段で求めた前記ゼロクロス点からなるエッジ曲線の曲率を算出し、
(b)該算出した曲率の極値を求め、
(c)該算出した曲率の極値と、該極値以外の部分を補間した値とを用いて合成曲線を算出し、
(d)前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以上のとき、前記エッジ曲線の曲率を微分し、該微分した微分曲率を前記曲率に加算して前記曲率を更新し、該更新した曲率の極値と該極値以外の部分を補間した値とを用いて前記合成曲線を算出する処理を、前記エッジ曲線および前記算出した合成曲線の始点から終点に至るまで前記エッジ曲線と前記算出した合成曲線との誤差が所定値以下になるまで繰り返して、前記エッジ曲線の曲率を連続的に求める、
特徴点符号化ステップと、
前記特徴点検出ステップにおいて検出した前記2次元原画像データの特徴点の上で前記情報変化分析ステップで求めた前記2次元原画像データのエッジを分析して、圧縮符号化を行う、情報符号化ステップと、
前記特徴点符号化ステップで求めた前記エッジ曲線の曲率と、前記情報符号化ステップで求めた圧縮符号化データの冗長度を圧縮する、または、量子化のためのビット割当を行う、総合符号化ステップと
を具備する画像信号分析方法。 - 請求項9または10に記載の画像信号分析方法で符号化されたデータを復号する画像信号合成方法であって、
前記総合符号化ステップの処理と逆の処理を行い、前記特徴点符号化ステップおよび前 記情報符号化ステップの出力情報を再生する総合再生ステップと、
該総合再生ステップにおいて再生された特徴点の位置に関する情報に基づいて、前記特徴点と前記情報符号化ステップの出力情報に該当する情報を2次元空間に配置し、特徴点以外の場所における画像成分を補間する、情報再生ステップと、
該情報再生ステップにおいて求めた情報に基づいて、前記情報変化分析ステップに入力された前記2次元原画像データに対応する画像データを再生する原画像データ再生ステップと、
を具備する、画像信号合成方法。
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