JP3583025B2 - 交換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は交換装置に関し、例えばAAL2レイヤでの交換処理とATMレイヤでの交換処理の双方を実行するATM交換機などに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)交換機においては、全ての情報につきセルと呼ばれる固定長データ単位で交換/伝送等の処理が行われている。セルは5バイトのヘッダおよび48バイトのペイロードから成る。
【0003】
一方、移動体通信システムをはじめとして、いくつかのATM交換技術を用いる通信サービスでは、音声を高効率で圧縮可能な音声符号化方式を用いる方向で検討が進められている。
【0004】
例えば、ITU−T(国際電気通信連合−電気通信標準化部門)勧告G.729(CS−ACELP)と呼ばれる音声符号化方式を使用すると、64kbps音声を8kbpsまたはそれ以下の速度レートに圧縮することが可能である。
【0005】
しかしこの場合、64kbps音声の場合のセル組立遅延時間が約6msであるとすると、8kbpsの速度でATMセルのペイロード部を完全に音声で満たすにはその8倍に相当する約48msの遅延が生じることになる。
【0006】
セル組立遅延時間の短縮のため、ATMセルのペイロード部を完全に音声情報が満たさない段階でセルを送出することにより、セル組立遅延時間の短縮が図れるが、セルペイロードに無駄な領域が生じ効率の低下を招いてしまう。
【0007】
このような問題を解決するために新しいAAL(ATM Adaptation Layer)としてITU勧告I.363.2によりAAL2レイヤ仕様が勧告化された。また、関連する勧告としてI.366.1があり、データストリームのような音声より長い情報フレームを分割してAAL2上に乗せるための仕様も規定されている。
【0008】
このAAL2の適用により上記の問題は解決される訳だが、AAL2をATM交換機にて扱う場合、ATMセル単位での交換機能に加え、AAL2のコネクション単位での交換、すなわち、CPSパケット単位での交換機能が必要となる。このような交換機能を備えた従来の交換機としては、特開平11−74892号公報に記載されたものがある。
【0009】
このセル交換機は、入力された包含パケット(例えばATMセル)が被包含パケット(例えばCPSパケット)を含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、当該被包含パケットのヘッダに対するヘッダ処理、及び多重分離された各被包含パケットを交換処理用の交換用包含パケットに対してマッピングするマッピング処理を行う入力パケット処理回路(入力ポート)と、当該交換用包含パケット及び前記被包含パケットを含んでいない交換用包含パケットの交換処理を行う交換スイッチ(例えばセル交換スイッチ)と、交換処理を受けて当該交換スイッチから出力された交換用包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる交換用包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、多重分離された当該被包含パケットを交換用包含パケットとは異なる包含パケットにマッピングする再マッピング処理を行う出力パケット処理回路とを備えている。
【0010】
このセル交換機によれば、従来のATMセルのためのセル交換スイッチの構成を特別の構成とすることなく、CPSパケット(ショートパケット)を含まないATMセルとCPSパケットを含むATMセルの双方を取り扱うことができるようになった。
【0011】
当該セル交換機10の構成を図2に示す。
【0012】
図2において、セル交換機10はATMスイッチ108の入力側に、複数の入力ATMセル処理回路100(第1番目)〜101(第n番目)を有し、ATMスイッチ108の出力側に複数の出力ATMセル処理回路120(第1番目)〜115(第n番目)を備えている。
【0013】
ここでATMスイッチ108は前記セル交換スイッチに対応する構成要素で、ごく一般的なATMスイッチである。
【0014】
各入力ATMセル処理回路の内部構成は共通なので、第1番目の入力ポートに接続されている第1番目の入力ATMセル処理回路100についてだけ説明する。
【0015】
入力ATMセル処理回路(前記入力パケット処理回路に対応)100は入力ATMセルヘッダ処理回路102と、入力ATMセル振り分け回路103と、入力AAL2処理回路104と、セルバッファ105,106と、入力ATMセル多重化回路107とを備えている。
【0016】
当該入力ATMセルヘッダ処理回路102は、入力されたATMセルの先頭部に交換機10内の処理のために使用されるスイッチングタグを付加する回路で、例えば図4(A)は当該付加まえのATMセルを示し、同図(B)は当該付加の後のATMセルを示している。
【0017】
図4(A)において、ATMセル231はATMセルペイロード232と、ATMセルヘッダ233とから成り、図4(B)において交換機内ATMセル241は交換機内ATMセルペイロード242と、交換機内ATMセルヘッダ243と、前記スイッチングタグ244から成る。スイッチングタグ244は当該ATMセル231のペイロード232がCPSパケットを含んでいるかどうかを表示するCPSパケット識別子を備えている。
【0018】
前記入力ATMセル振り分け回路103はスイッチングタグ244のCPSパケット識別子を参照することにより、交換機内ATMセルを振り分ける回路である。この振り分けでは、CPSパケットを含む交換機内ATMセルは入力AAL2処理回路104側に振り分け、含まない交換機内ATMセルは入力ATMセルバッファ回路106側に振り分ける。
【0019】
入力AAL2処理回路104はAAL2レイヤの処理、すなわちITU−T勧告I.363.2に従うAAL2レイヤの終端処理を行う回路である。このAAL2レイヤの終端処理では、個々のCPSパケットの多重分離処理、および交換機内ATMセルのペイロード部へのマッピング処理が行われる。
【0020】
入力AAL2処理回路104には入力側から順番に、CPSパケットレイヤ処理回路104A、CPSパケットヘッダ処理回路104B、CPSパケット変換回路104Cが内蔵されている。
【0021】
最初のCPSパケットレイヤ処理回路104Aは、AAL2レイヤの処理のうち、CPSパケットの多重分離を分担し、あわせて、当該多重分離に供した交換機内ATMセルのヘッダを次段のCPSパケットヘッダ処理回路104Bに与える。
【0022】
CPSパケットレイヤ処理回路104Aは、CPSパケットヘッダに含まれているAAL2レイヤレベルでのコネクション識別子であるCID(Channel ID)を参照して、ヘッダ処理を行うものである。このヘッダ処理では例えば当該CIDが変換される。
【0023】
入力AAL2処理回路104内で最後のCPSパケット変換回路104Cは、CPSパケットを交換機内ATMセルのペイロード部に詰め込む(マッピング)動作を行うものである。このマッピング動作は、前記ATMスイッチ108が、CPSパケットについても通常のATMセルと同様に交換処理を実行可能となるようにするための処理である。
【0024】
図3(A)に示すような状態で入力ATMセルヘッダ処理回路102に入力されたATMセル301のCPSパケット302,303は、このマッピング動作の結果、図3(B)、(C)に示す交換機内CPSパケット2および交換機内CPSパケット1のように、別個の交換機内ATMセルのペイロード311と321に挿入される。交換機内ATMセルは通常のATMセルの先頭にスイッチングタグ313、323を付加した構造を持っている。
【0025】
CPSパケットの長さについては、I.363.2勧告で、デフォルトで最大48バイトと規定されているため、通常、このマッピングに際して、1つのCPSパケットが長すぎるために交換機内ATMセルのペイロード部にマッピングできないという問題が発生することはない。
【0026】
なお、図3(A)において、符号304はCPSパケット制御フィールド、305はATMセルヘッダ、306はATMセルヘッダである。
【0027】
次に、図2において、上述した出力ATMセル処理回路の内部構成は共通なので、第1番目の出力ポートに接続されている第1番目の出力ATMセル処理回路120についてだけ説明する。
【0028】
出力ATMセル処理回路(前記出力パケット処理回路に対応)120は出力ATMセル振り分け回路109と、出力AAL2処理回路110と、出力ATMセルバッファ111,112と、出力ATMセル多重化回路113と、出力ATMセルヘッダ処理回路114とを備えている。
【0029】
ATMセル振り分け回路109は、入力された交換機内ATMセルのスイッチングタグに書かれたCPSパケット識別情報をもとに、CPSパケットを含む交換機内ATMセルであるかどうかを判断し、CPSパケットを含む交換機内ATMセルについてはその交換機内ATMセルから、スイッチングタグを除去したATMセルを出力AAL2処理回路110に供給する。
【0030】
出力AAL2処理回路110はAAL2レイヤの処理を行う回路である。出力AAL2処理回路110には入力側から順番に、CPSパケット変換回路110A、CPSパケットレイヤ処理回路110Bが内蔵されている。
【0031】
最初のCPSパケット変換回路110Aは、入力されているATMセルのペイロードに挿入されているCPSパケットを取り出して次段のCPSパケットレイヤ処理回路110Bに供給する回路である。
【0032】
CPSパケットを受け取ったCPSパケットレイヤ処理回路110Bは、相前後して当該CPSパケット変換回路110Aから入力された連続する複数のCPSパケットを1つのATMセルのペイロードに挿入し得るかどうかを確認しつつ、1又は複数のCPSパケットを1個のATMセルのペイロードに多重し、例えば図3(A)に示したようなフォーマットのATMセル301を組み立てて出力する回路である。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記構成のセル交換機ではAAL2コネクションのATMセルより個々のCPSパケットを取り出し、1つのCPSパケットを1つの交換機内ATMセルのペイロードヘマッピングし、当該交換機内ATMセル単位でATMスイッチによる交換処理を受けていた。
【0034】
したがって、CPSセルの大きさが交換機内ATMセルのペイロード部より小さくなる分無効な領域ができる。
【0035】
特に、圧縮された音声では、1つのCPSパケットは当該ペイロード部(48バイト)よりかなり小さい。例えば、G.729によるCODECを使用した場合、情報長は10バイトとなり、CPSパケットヘッダ3バイトと合わせても13バイトにしかならず、35(=48−13)バイトの無効領域ができることになる。
【0036】
すなわち、この無効領域の大きさに応じて、セル交換機のリソースが無駄に使用され、交換容量が低下する割合が増大し、不利益の程度を大きくすることになる。
【0037】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明は、入力された包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、当該被包含パケットのヘッダに対するヘッダ処理、及び多重分離された各被包含パケットを交換処理用の交換用包含パケットに対してマッピングするマッピング処理を行う入力パケット処理回路と、当該交換用包含パケット及び前記被包含パケットを含んでいない交換用包含パケットの交換処理を行う交換スイッチと、交換処理を受けて当該交換スイッチから出力された交換用包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる交換用包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、多重分離された当該被包含パケットを交換用包含パケットとは異なる包含パケットにマッピングする再マッピング処理を行う出力パケット処理回路とを備える交換装置において、前記入力パケット処理回路は、前記マッピング処理に際して、複数の被包含パケットのパケット長の合計が1つの交換用包含パケットのペイロード長を越えず、なおかつ、それら複数の被包含パケットがヘッダ情報に共通点を持つ限り当該1つの交換用包含パケットに当該複数の被包含パケットをマッピングする被包含パケット充填手段を具備することを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
本発明にかかる交換装置を、AAL2レイヤでの交換処理とATMレイヤでの交換処理の双方を実行するATM交換機に適用した場合を例に、第1〜第3の実施形態について説明する。
【0039】
従来は1つの交換機内ATMセルのペイロードには必ず1つのCPSパケットをマッピングしていたが、第1の実施形態では、該当するCPSパケットの長さに応じ、できるだけ多くの数のCPSパケットを1つの交換機内ATMセルのペイロードにマッピングすることを特徴とする。
【0040】
換言するなら、本実施形態は、連続するCPSパケットの宛先情報が同じで、なおかつ対応するVPI、VCIが同じであれば、パケット長の合計がATMセルのペイロード内に収容できる範囲でできるだけ多くの連続するCPSパケットを、同一の交換機内ATMセルのペイロード部へ挿入することを特徴とするものとしてとらえることができる。
【0041】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1および図8は本実施形態のATM交換機15を示す構成図である。図1は入力側の構成を示し、図8は出力側の構成を示す。当該ATM交換機15にはCPSパケットを含むATMセルと、CPSパケットを含まないATMセルの両方が入力され得る。
【0042】
図1において、ATMスイッチ回路407は前記ATMスイッチ108と同様、前記セル交換スイッチに対応する構成要素で、ごく一般的なATMスイッチである。
【0043】
N×M構成の当該ATMスイッチ回路407の入力側には破線で囲んで示したN個の入力ポート1−1〜1−Nが配置され、それぞれATMスイッチ回路407の入力端子1〜Nに接続されている。各入力ポートの内部構成は実質的に同じなのでここでは入力ポート1−1について説明する。
【0044】
入力ポート1−1は入力ATMセル処理回路400と、入力CPSパケットバッファ回路401と、送出情報選択回路402と、ヘッダ変換テーブル403と、制御回路404と、内部ATMセルヘッダ送出回路405と、パッドパターン送出回路406と、入力CPSパケットバッファ管理回路408と、タイマ回路409と、入力セルバッファ回路410と、入力端子411と、出力端子412とを備えている。
【0045】
次にこれら各部の接続関係について説明する。
【0046】
前記入力端子411は入力ATMセル処理回路400に接続され、ATMセル処理回路400は制御回路404、入力CPSパケットバッファ回路401および入力セルバッファ回路410に接続されている。
【0047】
また入力CPSパケットバッファ回路401は、送出情報選択回路(セレクタ)402に接続されるとともに、制御回路404に接続されている。入力セルバッファ回路410は送出情報選択回路402に接続されるとともに、制御回路404に接続されている。
【0048】
前記内部ATMセルヘッダ送出回路405およびパッターン送出回路406は送出情報選択回路402に接続されるとともに、制御回路404に接続されている。送出情報選択回路402は、出力端子412を介してATMスイッチ回路407に接続されるとともに、制御回路404に接続されている。ヘッダ変換テーブル403、入力CPSパケットバッファ管理回路408およびタイマ回路409は制御回路404に接続されている。
【0049】
なお、制御回路404は、当該ATM交換機15の中央処理装置としてのプロッセサとは別に各入力ポートごとに配置されているプロッセサである。
【0050】
機能面において、前記入力ATMセル処理回路400は、ヘッダ変換テーブル403の内容に応じたヘッダ変換(VPI/VCI値の変換処理)などを入力されたATMセルに対して行う通常のATMレイヤ処理を実行する機能とともに、当該ATMセルがCPSパケットを含んでいるかどうかを、前記VCI値および/またはVPI値のコネクション情報に基づいて識別する機能を備えている。
【0051】
さらに入力ATMセル処理回路400では、CPSパケットのヘッダが持つCID(Channel ID(チャネル識別子)=CPSパケット識別子)の情報を制御回路404に送り、制御回路404や入力CPSパケットバッファ管理回路408に、1つの交換機内ATMセルのペイロードに充填する(複数の)CPSパケットを識別する基礎を与える。
【0052】
なお、当該入力ATMセル処理回路400がCPSパケットを含んでいない入力ATMセルに対して行う処理は、図2のセル交換機20よりもまえのATM交換機で一般的に行われていた処理と同じである。
【0053】
ヘッダ変換テーブル403はVPI、VCIなどの入力ATMセルのヘッダ情報すなわちヘッダ変換まえのヘッダ情報と、ヘッダ変換後のヘッダ情報との対応関係を記憶している記憶手段である。
【0054】
前記内部ATMセルヘッダ送出回路405は、内部ATMセルヘッダ、すなわちスイッチングタグを生成、出力する回路である。
【0055】
ただし内部ATMセルヘッダ送出回路405は、制御回路404と送出情報選択回路402がCPSパケットを含む交換機内ATMセルを送出しようとする場合には、スイッチングタグだけでなく当該交換機内ATMセルのヘッダをも生成、出力する。
【0056】
バッファ410にはATMセルヘッダも含めてATMセルが蓄積されているが、バッファ401には、CPSパケットだけしか蓄積されておらず、ATMセルヘッダの情報が存在しないからである。パケットの全体の長さは統一(本実施形態では54バイトに統一)しておくと、ATMスイッチ回路407が画一的な動作を行う上で都合がよい。
【0057】
これらバッファ410、401は、いわゆるFIFO(先入れ先出しタイプのメモリ)を主体とする回路である。
【0058】
スイッチングタグの内容はATMスイッチ回路407が内部ATMセル(交換機内ATMセル)をスイッチングするときに参照するスイッチング情報と、当該交換機内ATMセルがそのペイロード部にCPSパケットを含んでいるかどうかを示すCPSパケット識別子とを有する。
【0059】
スイッチングタグはもっぱら、当該ATM交換機の内部だけで使用されるものであり、ATM交換機15内部の処理に適合するようにどのような構成を持たせてもよい。したがって当該ATM交換機15の作り方等に依存してその必要ビット数が決まる。本実施形態では、スイッチングタグは1バイトとする。
【0060】
前記入力CPSパケットバッファ回路401はCPSパケット用の単なるバッファとしての機能に加えて、CPSパケットの宛先情報、対応VPI、VCI情報およびCPSパケットヘッダ内に表示されているCPSパケットの長さ情報を制御回路404を経由して、入力CPSパケットバッファ管理回路408に送る機能も装備している。
【0061】
前記パッドパターン送出回路406は所定のパッドパターンを生成、出力する回路である。パッドパターンとはペイロード内のパッドパターンを持つエリアが有効な情報を持っていない無効領域であることを示すためのパターンである。
【0062】
パッドパターンとしてはマシンがパッドパターンであることを一義的に認識することができる限りにおいてどのようなパターンでも使用可能であるが、例えばCIDとしてオール“0”のパターンを許容しない規約にしたがう場合には、パッドパターンはオール“0”であってよい。
【0063】
外部から当該交換機15に入力されるATMセルや当該交換機15から外部に送出されるATMセルのペイロードには、このパッドパターンのほかに、スタートパターン(図5(A)参照)を持つフィールドが存在する。
【0064】
スタートパターンは、あるペイロード内で最初のCPSパケットヘッダが存在する位置を一義的に指定するポインタである。1つのCPSパケットが複数のATMセルのペイロードにまたがってマッピングされることもあり得るので、当該スタートパターンが必要になる。
【0065】
54バイトの交換機内ATMセルを組み立てるために、前記送出情報選択回路402が実行するセレクタ動作すなわち、前記バッファ401、バッファ410、当該内部ATMセルヘッダ送出回路405、またはパッドパターン送出回路406の4つの出力を同時には一つだけ選択する動作を繰り返す。
【0066】
タイマ回路409の時間管理下でこのセレクタ動作を制御回路404がコントロールすることにより、順次に、54バイトの交換機内ATMセルが生成され、出力端子412から逐次、送出されて行く。
【0067】
また、入力CPSパケットバッファ管理回路408は、入力ATMセル処理回路400においてATMセルから取り出された各CPSパケットを一時的に蓄積するバッファ401の動作を管理するための回路である。バッファ401への蓄積(書き込み)やバッファ401からの読み出しはCPSパケット単位で行わなければならず、しかもCPSパケットは可変長であるため、固定長のATMセルを蓄積するバッファ410に対する制御とは異なる制御が必要になる。
【0068】
入力CPSパケットバッファ管理回路408は当該読み出し時に、ATMスイッチ回路407内をルーティングする交換機内ATMセルの組立に関する指示を、制御回路404を介して、入力CPSパケットバッファ回路401をはじめ関連部位に対して出す機能を持つ。
【0069】
さらに詳しくは、入力CPSパケットバッファ管理回路408は入力CPSパケットバッファ回路401内に蓄積されているCPSパケットの宛先情報と対応VPI、VCI情報を制御回路404を介して受け取り、連続するCPSパケットを同じ交換機内ATMセルに充填することができるかどうかを調べる。
【0070】
そして、連続するCPSパケットが同一の宛先、同一VPI、VCIの場合は、同一の交換機内ATMセルペイロード部にそれらのCPSパケットを乗せることが可能かどうかを計算する。すなわち、連続する複数のCPSパケットが同一の宛先と同一の対応VPI、VCIをもち、そのCPSパケット長の合計が48バイト(ATMセルのペイロード長)を越えないかどうかを調べる。
【0071】
ここで、宛先が同一とは、当該交換機15のATMスイッチ回路407の全出力ポートのなかで送出される出力ポートが同一であるということである。したがって宛先とは、図8のM個の出力ポート10−1〜10−Mのなかで、一義的に特定された1つの出力ポートのことである。宛先が同一になるCPSパケットはそのヘッダ情報に共通点を持つCPSパケットであって、必ずしも最終的に到達する最末端の端末が同じであることを要しない。
【0072】
なお、CPSパケットが到達する最末端の端末が同じになるには、例えば対応VPI、VCI、およびCIDが同一であり、必要な場合には(入力ポートを識別する)物理回線番号も同一であることを要する。
【0073】
また、対応VPI、VCIが同一とは、そのCPSパケットを包含して入力されてきた入力ATMセルのヘッダが持つVPI、VCIが同一であることを意味する。この同一とは、当該ATM交換機15の内部におけるローカルな意味での同一である。
【0074】
この対応VPI、VCI同一の条件は、前記出力ポートにおける処理に各CPSパケットに対応するVPI、VCIの情報が必要になるために付加したものである。上述した従来のセル交換機では、1つのCPSパケットを1つの交換機内ATMセルのペイロードヘマッピングしていたために、考慮する必要のなかった条件である。
【0075】
いわゆるIMT−2000(第3世代通信システム)などのノードでは、対応VPI、VCIが同じCPSパケットを連続的に出力する傾向があるので、当該VPI、VCIの条件を付加したとしても複数のCPSパケットを同一の交換機内ATMセルに詰め込む頻度はそれほど低下することはない。
【0076】
すべての条件が満たされて複数のCPSパケットを1つの交換機内ATMセルのペイロードにマッピングする場合、連続する複数のCPSパケット長の合計が48バイトを越えないかどうかの計算に用いた情報に基づき、入力CPSパケットバッファ管理回路408は、入力CPSパケットバッファ回路401からのCPSパケットの送出(読み出し)タイミングについて制御回路404に指示する。
【0077】
この時、入力CPSパケットバッファ管理回路408は、送出CPSパケット長の合計値を一緒に制御回路404に与える。
【0078】
さらに、交換機内ATMセルの送出タイミングについては、入力CPSパケットバッファ回路401内での遅延時間をある程度の時間内に抑えるため、前記タイマ回路409により常時、時間監視を行い、これに基づく通知を入力CPSパケットバッファ管理回路408が受け、交換機内ATMセルの送出タイミングに反映している。
【0079】
上述した図8において、ATMスイッチ回路407の出力側には破線で囲んで示したM個の出力ポート10−1〜10−Mが配置され、それぞれATMスイッチ回路407の出力端子1〜Mに接続されている。なお、当該Mは通常、前記Nに等しい。
【0080】
各出力ポートの内部構成は実質的に同じなのでここでは出力ポート10−1について説明する。
【0081】
出力ポート10−1は入力端子450と、交換機内ATMセル終端回路451と、出力ATMセル処理回路452と、出力端子453と、ヘッダ変換テーブル454と、制御回路455とを備えている。
【0082】
次にこれら各部の接続関係について説明する。
【0083】
前記入力端子450はATMスイッチ回路407を交換機内ATMセル終端回路451に接続している。交換機内ATMセル終端回路451は、出力ATMセル処理回路452に接続するとともに、制御回路455に接続されている。出力ATMセル処理回路452は、出力端子453に接続するとともに、制御回路455に接続されている。制御回路455は、前記接続以外に、ヘッダ変換テーブル454に接続されている。
【0084】
なお、制御回路455は前記制御回路404と同様に、当該ATM交換機15の中央処理装置としてのプロッセサとは別に各出力ポートごとに配置されているプロッセサである。
【0085】
機能面において、交換機内ATMセル終端回路451は、入力された交換機内ATMセルのスイッチングタグに書かれたCPSパケット識別子を調べることで、該当交換機内ATMセルが、CPSパケットを含むか否かを判定する機能を持つ回路である。
【0086】
さらに交換機内ATMセル終端回路451は、CPSパケットを含むセルであれば、交換機内ATMセルから個々のCPSパケットを取り出し、CPSパケットを含まないセルであればCPSパケットの取り出し処理は行わずに、ヘッダ変換を実行する。
【0087】
このヘッダ変換では、入力された交換機内ATMセルのATMヘッダ情報(VPI/VCI値)および各CPSパケットのヘッダ情報(CID値)を、制御回路455を介してヘッダ変換テーブル454へ送り、CPSパケットのCID値を変換する。交換機内ATMセル終端回路451でこのヘッダ変換を終えたCPSパケットとATMセルは、出力ATM処理回路452へ送出される。
【0088】
出力ATM処理回路452は、当該CPSパケットおよびATMセルに対してAAL2レイヤ処理およびATMレイヤの処理を行い、標準の53バイトのATMセルとして出力端子453へ送出する回路である。
【0089】
この出力ATM処理回路452における処理により、できるだけ多くのCPSパケットが、1つのATMセルのペイロードにマッピングされることになる。これは、上述した従来のセル交換機10内の出力AAL2処理回路110、バッファ111,112、出力ATMセル多重化回路113、および出力ATMセルヘッダ処理回路114で行われている処理と同様な処理である。
【0090】
以下、上記のような構成を有する第1の実施形態の動作について説明する。
【0091】
(A−2)第1の実施形態の動作
図1の例えば入力端子411に到着したATMセルに対しては、入力ATMセル処理回路400において上述した処理が行われ、CPSパケットは入力CPSパケットバッファ回路401に蓄積され、CPSパケットを含まないATMセルは入力セルバッファ410に蓄積される。
【0092】
制御回路404に制御された送出情報選択回路402は、例えばCPSパケットを含まない交換機内ATMセルを送出する場合には、1バイトに相当する時間だけ内部ATMセルヘッダ送出回路405を選択して、53バイトに相当する時間だけバッファ410を選択することになる。これによりCPSパケットを含まない53バイトのATMセルの先頭に1バイトのスイッチングタグが付加された交換機内ATMセルが組み立てられ、出力端子412を介してATMスイッチ回路407の入力端子1に供給される。
【0093】
CPSパケットを含む交換機内ATMセルを送出する場合の送出情報選択回路402の選択は、交換機内ATMセルヘッダの5バイトとそのスイッチングタグの1バイトの合わせて6バイトに相当する時間だけ内部ATMセルヘッダ送出回路405を選択したあと、バッファ401に切り替わる。
【0094】
バッファ401の選択時間は、当該交換機内ATMセルのペイロードにどれだけの長さのCPSパケットをいくつ充填するかによって変化する。
【0095】
上述したG.729によるCODECを使用した圧縮音声の情報長10バイト、CPSパケットヘッダ3バイトの合計13バイトの例では、1つの交換機内ATMセルのペイロードに、対応するVPI、VCIが同じの合計3つのCPSパケット、すなわち39バイト分のCPSパケットを詰め込むことができる。
【0096】
この場合には、前記バッファ401の選択時間は、当該39バイトに相当する時間となる。
【0097】
交換機内ATMセルのペイロードにどれだけの長さのCPSパケットをいくつ充填(多重)するかに関する計算は、予め制御回路404が実行し、当該計算の結果は、入力CPSパケットバッファ管理回路408に格納しておくことになる。
【0098】
次に選択されるパッドパターン送出回路406の選択時間は、前記バッファ401の選択時間に応じて変化する。39バイト分の3つのCPSパケットを詰め込む例では、パッドパターンの長さは9(=48−39)バイトで、その選択時間も当該9バイトに相当する時間となる。
【0099】
この9バイトの選択時間の終了時点では、39バイト分の3つのCPSパケットを包含した54バイトの交換機内ATMセルは、出力端子412からATMスイッチ回路407の入力端子1に向かう伝送路上に組み立てられて伝送されている。
【0100】
当該交換機内ATMセルの構造はちょうど、後述する図5(A)のATMセルからスタートパターンを除去するとともに、その先頭に1バイトのスイッチングタグを付加したような状態である。
【0101】
次に、以上の一連の動作のうちで入力されたATMセルが複数のCPSパケットを包含している場合であって、当該複数のCPSパケットを宛先別、対応VPI、VCI別に異なる交換機内ATMセルに充填する部分の動作について、図5を参照しながら詳説する。この動作は、主として、入力CPSパケットバッファ管理回路408によって行われる。
【0102】
図5(A)において、前記入力ATMセル処理回路400に外部から供給され、まだ処理回路400による何の処理も受けていないATMセル500Aは、ATMセルヘッダ507とATMセルペイロード501から成る。
【0103】
このうちペイロード501は、スタートパターン(スタートフィールド)506と、3つのCPSパケット503〜504と、パッドパターン(パッドフィールド)502から構成されている。
【0104】
ペイロード501内での3つCPSパケットの順番は、先頭のヘッダ507に近いほうから、CPSパケット505、CPSパケット504、CPSパケット503の順番となっている。
【0105】
したがってバッファ401にはこの順番で蓄積され、読み出しもこの順番で行われる。
【0106】
同一のATMセル500Aに充填されて入力されたのであるから、これら3つのCPSパケットには、ATMヘッダ507の持つ同じVPI、VCIが対応していて、対応VPI、VCI同一の条件は満たしている。
【0107】
なお、図5(A)において、48バイトのペイロード501のすべてのフィールドは通常、必ず、スタートパターン506、3つのCPSパケット503〜505、パッドパターン502のいずれかに該当する。この点は、図5(B)、(C)など、その他の交換機内ATMセルのペイロードについても当てはまる。
【0108】
図5(B)および(C)は、送出情報選択回路402の出力端子412からATMスイッチ回路407の入力端子1に向かう伝送路上にある交換機内ATMセルである。
【0109】
図5(B)において、交換機内ATMセル500Bはスイッチングタグ526と、ATMセルヘッダ525と、ATMセルペイロード521から成る。
【0110】
このうちペイロード521は2つのCPSパケット523、524と、パッドパターン522とから構成されている。CPSパケットの順番は、最初がCPSパケット524で、次がCPSパケット523である。
【0111】
また、図5(C)において、交換機内ATMセル500Cはスイッチングタグ535と、ATMセルヘッダ534と、ATMセルペイロード531から成る。
【0112】
このうちペイロード531は1つのCPSパケット533と、パッドパターン532から構成されている。
【0113】
出力端子412から送出される順番は、まず図5(B)の交換機内ATMセル500Bは送出され、その次に図5(C)の交換機内ATMセル500Cが送出される。
【0114】
ここで、ATMセル500A、500B、500Cの関係を、1つの入力ATMセル500Aに対応して2つの交換機内ATMセル500B、500Cが生成されるものとすると、各ATMセルが包含するCPSパケットの対応関係は、例えば図5(A)〜(C)に矢印で示したような関係となる。
【0115】
すなわち、最初の交換機内ATMセル500Bのペイロード521内で最初のCPSパケット524は、ATMセル500Aのペイロード501内で最初のCPSパケット505に対応し、2番目のCPSパケット523はATMセル500Aのペイロード501で2番目のCPSパケット504に対応する。また、次の交換機内ATMセル500Cのペイロード531内のCPSパケット533は、前記ATMセル500Aのペイロード501内で3番目のCPSパケット503に対応する。
【0116】
この場合、交換機内ATMセル500Bが含む2つのCPSパケット524,523はその宛先が同じCPSパケットであり、交換機内ATMセル500Cが含む1つのCPSパケットはこれらのCPSパケット524,523とは宛先が異なるCPSパケットである。対応VPI、VCIが同一であっても、宛先の異なるCPSパケットは同一の交換機内ATMセルに詰め込むことはできないため、このようなCPSパケットの分配が行われる。
【0117】
1つのATMセル500Aの入力に対応して2つの交換機内ATMセル500B、500Cを生成し、出力する動作は次のようになる。
【0118】
まず、ATMセル500Aに対応する入力ATMセル処理回路400の処理の結果、3つのCPSパケットがペイロード501内の順番にしたがってバッファ401に蓄積される。
【0119】
そして交換機内ATMセル500Bの生成の際には、送出情報選択回路402のバッファ401の選択時間は、2つのCPSパケット524,523に対応する時間となり、その選択のあとはパッドパターン522を形成するために406を選択して交換機内ATMセル500Bの生成が完了する。
【0120】
引き続いて、送出情報選択回路402は、交換機内ATMセル500Cのスイッチングタグ535とヘッダ534を形成するために内部ATMセルヘッダ送出回路405を選択するようになる。以降はすでに説明した動作を終えて交換機内ATMセル500Cの組み立てが終わる。
【0121】
そして、まずは交換機内ATMセル500Bが、つづいて交換機内ATMセル500Cが、ATMスイッチ回路407の入力端子1に供給され、それぞれATMスイッチ回路407内を交換(ルーティング)されることになる。
【0122】
なお、この例では、ATMセル500Aが含む3つのCPSパケットのうち、1番目505と2番目504の宛先情報および対応するVPI、VCIが同一であって最初の交換機内ATMセル500Bにまとめたが、もしも2番目504と3番目503の宛先と対応VPI、VCIが同一であれば、2つ目の交換機内ATMセル500Cに2番目504と3番目503の2つのCPSパケットをまとめることになる。
【0123】
また、もし、1番目505、2番目504、3番目503の宛先と、対応VPI、VCIが同じであれば、これら3つは同じ交換機内ATMセルに包含されることになるため、入力されたATMセルとこのATMセルに対応する交換機内ATMセルの構造上の相違点は、(VPI、VCIが変換されるほかは、)実質的に、スイッチングタグの有無だけになる。
【0124】
さらに、3つのCPSパケット505〜503のなかに宛先が同一のCPSパケットが1組もなければ、当然、1つひとつが別個の交換機内ATMセルにマッピングされ、3つの交換機内ATMセルが組み立てられることになる。
【0125】
また、もしも、1番目505と3番目503の宛先情報が同一でがある場合、本実施形態は、2番目504だけを除外して1番目505と3番目503だけを1つの交換機内ATMセル内にまとめる手段を持たないので、1番目505、2番目504、3番目503の1つひとつを別の交換機内ATMセルにマッピングすることになる。
【0126】
さらに、以上の例では入力されたATMセル500Aは1つであったが、入力されたATMセル500Aが複数の場合についても、同様な動作が行われ得る。
【0127】
複数の入力ATMセルのペイロードに含まれていた複数のCPSパケットの取り扱いには、入力ATMセルが同じであったかどうかと無関係に時系列に入力されるCPSパケットの流れだけに注目して、以上の例で述べたいずれかのケースを組み合わせることによって対応することができる。
【0128】
一方、出力側の動作については、従来のセル交換機10の出力ATMセル処理回路120などについて既に説明した動作と実質的に同様である。
【0129】
すなわち、ATMスイッチ回路407から到着する交換機内ATMセルは、入力端子450を介して交換機内ATMセル終端回路451に入力されて処理され、さらに出力ATMセル処理回路452で処理を受けたあと、出力端子453から外部へ送出される。
【0130】
出力ATMセル処理回路452の処理では、前記ATMセル500Aのような構造が形成される。
【0131】
すなわち、ATMスイッチ回路407の出力端子1を介して出力ATMセル処理回路452に到着した複数のCPSパケットが1つのATMセルのペイロードに収納できるかどうか、すなわちペイロードからスタートパターンの1バイトを減算した47(=48−1)バイト未満であるかどうかを調べて、収納し得る場合には、1つのATMセル内にできるだけ多くの数のCPSパケットを充填することで、例えばATMセル500AのようなATMセルが生成される。
【0132】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、CPSパケットを個別に交換機内ATMセルのペイロード部に挿入する場合に比べ、ATMスイッチ回路407の前後の処理の効率が向上し、単位時間内に交換処理できるCPSパケットの数が増加して交換容量が増大する。
【0133】
すなわち、本実施形態ではATM交換機のリソースを効率的に活用することが可能となる。
【0134】
例えば、上述したG.729によるCODECを使用した情報長10バイト、CPSパケットヘッダ3バイトの例では、本実施形態によれば、1つの交換機内ATMセルのペイロードに、当該CPSパケットが3つ詰め込まれるため、無効領域は、9(=48−13×3)バイトとなる。従来の無効領域35バイトと比べてほぼ4分の1ほどに低減している。
【0135】
(B)第2の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態について述べた1番目(のCPSパケット)505と3番目503の宛先情報が同一である場合に、2番目504だけを除外して1番目505と3番目503だけを1つの交換機内ATMセル内にまとめる手段を提供するものである。
【0136】
第1の実施形態ではこの場合の対応として、1番目505、2番目504、3番目503の1つひとつを別の交換機内ATMセルにマッピングするか、あるいは3つのCPSパケット505〜503のすべてを1つの交換機内ATMセルにマッピングするしかなかった。
【0137】
1つひとつを別の交換機内ATMセルにマッピングした場合には交換容量が犠牲になる。
【0138】
また、3つのCPSパケット505〜503のすべてを1つの交換機内ATMセルにマッピングした場合には、せっかく備えているN×MのATMスイッチ回路のハードウエア、および複数の出力ポートについて利用効率が低下するなどの不利益が生じる。
【0139】
本実施形態ではこのような不利益を解消することができる。
【0140】
すなわち、本実施形態は、同一宛先、同一対応VPI、VCIのCPSパケットは連続していなくても、1つの交換機内ATMセルのペイロードに充填することを特徴とする。
【0141】
(B−1)第2の実施形態の構成および動作
本実施形態のATM交換機20の全体的な構成において、入力側は図6に示す通り図1と同じで、出力側は図8とまったく同じである。
【0142】
ただし本実施形態では、各入力ポートの内部構成が第1の実施形態とは相違し、図6に示すような構成となっている。
【0143】
本実施形態の各入力ポートの内部構成は実質的に同じなので、図6では入力ポート1−1Aだけについて内部構成を図示している。入力ポート1−1Aは、前記入力ポート1−1に対応する。
【0144】
図6において、入力ポート1−1Aは入力ATMセル処理回路600と、交換機内セル組立回路601と、内部ATMセルヘッダ送出回路606と、パッドパターン送出回路607と、送出情報選択回路608と、ヘッダ変換テーブル609と、入力セルバッファ回路610と、タイマ回路611と、入力CPSパケットバッファ管理回路612と、制御回路613と、入力端子621と、出力端子622とを備えている。
【0145】
このうち入力ATMセル処理回路600は前記入力ATMセル処理回路400に対応し、内部ATMセルヘッダ送出回路606は前記内部ATMセルヘッダ送出回路405に対応し、パッドパターン送出回路607は前記パッドパターン送出回路406に対応し、送出情報選択回路608は前記送出情報選択回路402に対応し、ヘッダ変換テーブル609は前記ヘッダ変換テーブル403に対応し、入力セルバッファ回路610は前記入力セルバッファ410に対応し、タイマ回路611は前記タイマ回路409に対応し、入力CPSパケットバッファ管理回路612は入力CPSパケットバッファ管理回路408に対応し、制御回路613は前記制御回路404に対応し、入力端子621は前記入力端子411に対応し、出力端子622は前記出力端子412に対応するので、これらの詳しい説明は省略する。
【0146】
前記交換機内セル組立回路601の内部には、入力CPSパケット振り分け回路602と、X個の入力CPSパケットバッファ回路(1)603〜(X)605が設けられている。
【0147】
入力ATMセル処理回路600が入力端子621を介して入力されたATMセルがCPSパケットを含むかどうかを判定すると、CPSパケットを含まないATMセルは入力セルバッファ回路610に蓄積される。
【0148】
CPSパケットを含むATMセルは入力ATMセル処理回路600においてAALレイヤまで処理され、個々のCPSパケットが取り出される。
【0149】
取り出されたCPSパケットは、個々のCPSパケットの宛先情報、対応VPI、VCI情報とともに交換機内セル組立回路601へ送られる。
【0150】
この際、個々のCPSパケットの宛先は、VPI/VCI値およびCPSパケットヘッダに含まれているCID(CID:Channel ID=CPSパケット識別子)により一意に決定され、この情報はヘッダ変換テーブル609に記憶されている。またこのとき、必要に応じてCIDも、ATMレイヤのVPI/VCI値を変換するのと同様に書き換え動作が行われる。
【0151】
交換機内セル組立回路601では、入力されたCPSパケットの宛先情報をもとに、入力CPSパケット振り分け回路602において、CPSパケットの宛先毎にCPSパケットを入力CPSパケットバッファ回路(1)603〜入力CPSパケットバッファ回路(X)605に振り分ける。
【0152】
CPSパケットは宛先毎に振り分けられているので、同じ入力CPSパケットバッファ回路に蓄積されているCPSパケットは全て同じ宛先を目指すことになる。すなわち、対応VPI、VCIさえ同じであれば、同じ交換機内ATMセルのペイロードに乗せてルーティングすることができるわけである。
【0153】
ここで、CPSパケットバッファ回路の数Xは、宛先数に等しいものとする。宛先数とは、ATMスイッチ回路407Aの出力ポート数を指すものである。ATMスイッチ回路407Aは前記ATMスイッチ回路407とまったく同一のATMスイッチであり、前記N×M構成を持つので、当該出力ポート数は前記Mである。
【0154】
CPSパケットが入力CPSパケットバッファ回路(1)603〜(X)605に振り分けられ蓄積されると、各CPSパケットの宛先情報、対応VPI、VCI情報およびCPSパケットヘッダ内に表示されているCPSパケットの長さ情報が、制御回路613を経由して、入力CPSパケットバッファ管理回路612に送られる。
【0155】
入力CPSパケットバッファ管理回路612は、1つのバッファ401だけを管理していた前記入力CPSパケットバッファ管理回路408と異なり、X個の入力CPSパケットバッファ回路(1)603〜(X)605の状態等を管理しなければならない。その他の点で入力CPSパケット管理回路612の動作は前記入力CPSパケット管理回路408の動作と同様である。
【0156】
本実施形態ではこのようなX個のバッファ603〜605と、内部ATMセルヘッダ送出回路606と、パッドパターン送出回路607とのあいだで、制御回路613に制御された送出情報選択回路608が選択切替えを行うことで、交換機内ATMセルが組み立てられる。
【0157】
この動作を図7を用いて説明する。
【0158】
図7において、バッファ603内に最も早く蓄積されたCPSパケットは、CPSパケット712で、これにつづいてCPSパケット711,710が蓄積されている。
【0159】
同様にバッファ604内には、CPSパケット715,714,713がこの順番に蓄積され、バッファ605内にはCPSパケット716が蓄積されている。
【0160】
図7において、交換機内ATMセル750はスイッチングタグ753、交換機内ATMセルヘッダ752を持ちそのペイロード内には、先頭から順番に、CPSパケット712、711、710の3つのCPSパケットが収納され、最後にパッドパターン751が置かれている。
【0161】
同様に、交換機内ATMセル760はスイッチングタグ762、交換機内ATMセルヘッダ761、CPSパケット715、714、713をこの順番に備えており、交換機内ATMセル770は、スイッチングタグ773、交換機内ATMセルヘッダ772、CPSパケット716、パッドパターン771をこの順番に備えている。
【0162】
なお、交換機内ATMセル760の3つのCPSパケット715〜713のパケット長の合計は、ちょうど48バイトで、パッドフィールドの挿入が不要な例である。当該交換機内ATMセル760の組み立てに際しては、送出情報選択回路608が最後にパッドパターン送出回路607を選択する必要はない。
【0163】
出力端子622からATMスイッチ407Aの入力端子1に向かう伝送路上で前記交換機内ATMセル750を組み立てるには、送出情報選択回路608の選択は、内部ATMセルヘッダ送出回路703、バッファ603、パッドパターン送出回路704の順番に切り替えることになるが、当該バッファ603の選択時間は、3つのCPSパケット712〜712を連続的に読み出すことができる時間となる。
【0164】
交換機内ATMセル760、770の組立てもほぼ同様にして行われるが、交換機内ATMセル760の場合は、バッファ604の選択時間でCPSパケット715,714を読み出し、交換機内ATMセル770の場合はバッファ605の選択時間で1つのCPSパケット716を読み出すことになる。パッドパターン送出回路607の選択時間も、当然、バッファの選択時間に応じて変化する。
【0165】
このような入力ポート1−1Aによれば、第1の実施形態の入力ポート1−1が組み立てることができたあらゆる交換機内ATMセルを生成することができることは明らかである。
【0166】
加えて、入力ポート1−1Aによれば、入力ポート1−1が組み立てることができなかった構造の交換機内ATMセルを生成することができる。
【0167】
すなわち、各バッファ603〜605には宛先別にCPSパケットが蓄積されるため、上述した図5(A)のATMセル500Aで、1番目のCPSパケット505と3番目のCPSパケット503の宛先情報が同一で、2番目504だけが異なる場合に、2番目504だけを除外して1番目505と3番目503だけを1つの交換機内ATMセル内にまとめることができる。
【0168】
なぜなら、ATMセル500Aで1番目のCPSパケット505と3番目のCPSパケット503の宛先が同一であり、2番目のCPSパケットの宛先が異なれば、1番目と3番目のCPSパケット505、503はこの順番で該当するバッファに蓄積され、2番目のCPSパケット504だけは当該バッファとは別のバッファに蓄積されるからである。また、同一のATMセル500Aに包含されていたのであるから、CPSパケット505とCPSパケット503の対応VPI、VCIは当然、同一であるからである。
【0169】
例えば1番目と3番目のCPSパケット505,503が蓄積されるバッファがバッファ604で、2番目のCPSパケット504が蓄積されるバッファがバッファ605であるとすると、交換機内ATMセル760が含むCPSパケット715が当該1番目のCPSパケット505に相当し、CPSパケット714が当該3番目のCPSパケット503に相当し得る。そして前記2番目のCPSパケット504は、交換機内ATMセル770が含むCPSパケット716に相当し得る。
【0170】
ただしこの場合、交換機内ATMセル760の最後のCPSパケット713は、入力ATMセル500Aのあとに外部から入力されたATMセルが含んでいたCPSパケットに対応する。
【0171】
なお、ATM交換機20の出力ポートについては構成も機能も、図8に示した第1の実施形態の出力ポート10−1などとまったく同一なので、その説明は省略する。
【0172】
(B−2)第2の実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果とまったく同様の効果を得ることができる。
【0173】
加えて、本実施形態によれば、例えばATMセル500Aで1番目のCPSパケット505と3番目のCPSパケット503の宛先が同一で、2番目のCPSパケットの宛先だけが異なるという上述したケース、すなわち同一宛先のCPSパケットが連続していないケースでも、同一宛先のCPSパケットは、対応VPI、VCIが同一であれば、1つの交換機内ATMセルのペイロードにまとめて充填することができる。
【0174】
これにより本実施形態では、第1の実施形態が待つ交換容量上の不利益や、N×MのATMスイッチ回路のハードウエアおよび複数の出力ポートなどのATM交換機のリソースについての利用効率の低下を防止することができる。
【0175】
すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と比較していっそう交換容量が上昇し、ATM交換機のリソースの利用効率が高まる。
【0176】
(C)第3の実施形態
第2の実施形態では、宛先別に入力CPSパケットバッファ回路を設けたが、本実施形態では、同じ宛先のなかでもQoS(Quality of Service:サービス品質クラス)ごとに別なバッファを用意することを特徴とする。
【0177】
(C−1)第3の実施形態の構成および動作
本実施形態のATM交換機30の構成は、その入力側も出力側も第2の実施形態のATM交換機20と同様であるので本実施形態の説明にも図6および図8を使用するが、本実施形態のATM交換機30は第2の実施形態のATM交換機20とは技術的に相違するので別な符号30を付して区別する。
【0178】
同様に、第2の実施形態と比較して本実施形態の特徴となる構成要素には、別な符号を付して第2の実施形態の対応する構成要素と区別する。
【0179】
すなわち、図6において、本実施形態のATM交換機30の交換機内セル組立回路には符号601Aを付し、各入力CPSパケットバッファ回路にはそれぞれ符号603A〜605Aを付する。
【0180】
交換機内セル組立回路601Aは前記交換機内セル組立回路601に対応し、バッファ603Aは前記バッファ603に対応し、バッファ604Aは前記バッファ604に対応し、バッファ605Aは前記バッファ605に対応する。
【0181】
次にこれらの技術的な相違点について説明する。
【0182】
第2の実施形態では交換機内セル組立回路601内の入力CPSパケットバッファ回路603〜605は、ATM交換機の宛先ポート(出力ポート)毎に配置する構成となっていた(ここで言う入力CPSパケットバッファ回路の配置とは、物理的な配置に限定するものではなく、論理的な配置方法もその意味に含むものである)。
【0183】
これに対し、第3の実施形態では、同一の宛先ポートを目指すCPSパケットであっても、QoS(Quality of Service)の違い等の別により、入力CPSパケットバッファ回路を設ける構成をとるものである。
【0184】
同一の宛先出カポートを目指すCPSパケットのなかにQoSの相違、例えば遅延時間に関する条件の厳しいCPSパケットと、条件の緩いCPSパケットが混在している場合、第2の実施形態ではこれらのCPSパケットは同一のバッファに蓄積されたので、その取り扱いに相違を持たせることは困難であった。
【0185】
しかし本実施形態では、組立回路601Aにおいて、QoSの相違するCPSパケットは同一宛先であっても異なるバッファに蓄積されるので、その取り扱いに相違を持たせることは容易である。
【0186】
実装レベルでは、一般的に本実施形態のバッファ603A〜605Aの数は、第2の実施形態のバッファ603〜605の数よりも多くなると考えられるが、その数は、何種類のQoSクラスを交換機30において制御するかによって決定される。
【0187】
QoSクラスの種類を、すべての宛先につき、例えば遅延時間の厳しいクラスと緩いクラスの2クラスとする場合、入力CPSパケットバッファ回路603A〜605Aの総数は、[宛先出カポート数]×2となる。本実施形態の交換機30においても、図8に示すように出力ポート数はM個なので、バッファ603A〜605Aの総数は、2M個となる。これは第2の実施形態のバッファ603〜605の総数の2倍に相当する数である。
【0188】
換言するなら、本実施形態では、宛先情報とQoSクラス情報を特定することによってはじめて、一義的に1つの入力CPSパケットバッファ回路が特定されることになる。
【0189】
また、本実施形態の交換機30においては、個々のCPSパケットのQoSクラスの情報は、前記VPI、VCI、CIDによって一意に決定される宛先の情報、および対応VPI、VCI情報とともに、ヘッダ変換テーブル609に記憶される。
【0190】
QoSクラスの情報を得るまで、およびその後に、入力ATMセル処理回路600で行われる処理は、第2の実施形態と同様である。
【0191】
入力ATMセル処理回路600からCPSパケットの供給を受ける組立回路601Aの入力CPSパケット振り分け回路602は、各CPSパケットを宛先毎、QoSクラス毎に、前記の2M個のバッファ603A〜605Aに振り分けることになる。
【0192】
本実施形態の入力CPSパケットバッファ管理回路612や制御回路613では、例えば前記遅延時間の条件の厳しいクラスを、交換機内ATMセルの組立て遅延時間が短いクラスとして解釈し直し、遅延時間の条件の緩いクラスを当該組立遅延時間が長いクラスとして解釈し直した上で、予めこれらの組立遅延時間の長短を各入力CPSパケットバッファ回路毎に定義し設定しておく。
【0193】
そして実際の運用状態でトラヒィック密度が高まってきた場合などには、組立遅延時間の短い入力CPSパケットバッファ回路を組立遅延時間の長い入力CPSパケットバッファ回路よりも優先して読み出し制御する。
【0194】
また、タイマ回路611により制限される交換機内ATMセル組立時間も、組立時間が短く設定された入力CPSパケットバッファ回路については、他よりも設定時間を短くし、遅延時間を制御する。
【0195】
ここに明示した以外の動作は、第2の実施形態の動作と同じである。
【0196】
本実施形態において、1つの交換機内ATMセルに充填されるCPSパケットに要求される条件は、宛先同一、サービスクラス同一、および対応VPI、VCI同一の3つになる。
【0197】
なお、サポートするQoSクラスの種類は、前記2クラスよりも多くてもよいことは当然であるが、すべての宛先についてQoSクラスの数が同数である必要もない。出力ポートごとに、例えばQoSクラスの数が2クラスの出力ポートと1クラスの出力ポートが混在するような構成も可能である。
【0198】
この場合、組立回路601Aに内蔵されるバッファ603A〜605Aの構成は、例えば出力ポート10−1に対応するバッファは、2クラスに対応して2つ設置し、出力ポート10−Mに対応するバッファは1クラスに対応して1つだけ設置するというような構成も可能である。
【0199】
(C−2)第3の実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、第2の実施形態の効果とまったく同様の効果を得ることができる。
【0200】
加えて、本実施形態によれば、CPSパケットの交換動作においてQoS等を多彩に制御することが可能で、細やかなサービスを柔軟にサポートする信頼性の高いATM交換機を提供することができる。
【0201】
(D)他の実施形態
上記の第1の実施形態と同等な処理は、例えば図2に示した従来のセル交換機10と同様なハードウエアを用いてそのソフトウエアを変更することによっても実現することができる。
【0202】
従来は1つの交換機内ATMセルのペイロードには必ず1つのCPSパケットをマッピングしていたところを、該当するCPSパケットの長さに応じ、できるだけ多くのCPSパケットを1つの交換機内ATMセルのペイロードにマッピングするようにすればよい。
【0203】
なお、本発明は、1つのCPSパケットが複数のATMセルのペイロードにまたがってマッピングされるケースも前記スタートパターンを用いて取り扱うことができる。
【0204】
また、第1〜第3の実施形態において、1つの交換機内ATMセルに複数のCPSパケットを詰め込むにあたり、対応VPI、VCI同一の条件を設定したが、本発明では、このような条件を用いない構成も可能である。
【0205】
例えばその1つは、交換機内ATMセルの構成要素として、53バイトのATMセルとスイッチングタグに加え、当該交換機内ATMセルに詰め込まれているCPSパケットに対応するVPI、VCI情報を書き込むための情報フィールドを付加するものである(外部付加)。
【0206】
外部付加の場合の交換機内ATMセルの一例を図9(A)に示す。
【0207】
図9(A)において、交換機内ATMセル900Aは48バイトのペイロードPLと5バイトのATMヘッダAH908からなる53バイトのATMセルの構造に加えて、ATMヘッダAH908と1バイトのスイッチングタグSTのあいだに、VPI、VCIを格納する情報フィールドPC1(905)、PC2(906)、PC3(907)を備えている。
【0208】
そして当該交換機内ATMセル900AのペイロードPL内には、3つのCPSパケット901〜903が含まれている(CHはCPSパケットヘッダ)。
【0209】
例えば情報フィールドPC1はCPSパケット901に対応するVPI、VCIを持つフィールドで、情報フィールドPC2はCPSパケット902に対応するVPI、VCIを持つフィールドで、情報フィールドPC3はCPSパケット903に対応するVPI、VCIを持つフィールドであってよい。
【0210】
ただし、当該PC1〜PC3とCPSパケット901〜903の対応関係はこれに限定しない。例えばPC1にCPSパケット903に対応するVPI、VCIを持たせ、PC2にCPSパケット902に対応するVPI、VCIを持たせ、PC3にCPSパケット901に対応するVPI、VCIを持たせるような構成も可能である。
【0211】
また、PC1〜PC3の配置位置は図示の例に限定せず、スイッチングタグSTの前に配置したり、ペイロードPLの後に配置するような構成も可能である。さらに、PC1〜PC3と同様な情報フィールドを1つの交換機内ATMセル900Aに4つ以上付加してもよい。
【0212】
なお、この例では、ATMヘッダ908を活用していないが、ATMヘッダ908のルーティングビットとして、当該ペイロードPLに詰め込む1つのCPSパケットに対応するVPI、VCIを書き込むようにすれば、交換機内ATMセル900AはVPI、VCIを書き込むための情報フィールドを全部で4つ確保できる。
【0213】
これにより交換機内ATMセル900Aは、最大で4つのCPSパケットをペイロードPLに詰め込んでも、出力ポートは情報フィールドのVPI、VCIを参照して、CPSパケットの詰め換えを行うことができる。
【0214】
入力ポートで同一の交換機内ATMセルに包含されたあとスイッチングされ、出力ポートに伝送されてきたCPSパケットであっても、この詰め換えによって、異なるATMセルに詰め込まれ得る。そしてこのATMセルが、ATM交換機の外部に送出される。
【0215】
対応VPI、VCI同一の条件を用いないもう1つの例は、このように外部に情報フィールドを付加するのではなく、ATMセルのペイロードの内部に当該情報フィールドを設定するものである(内部付加)。
【0216】
内部付加の場合の交換機内ATMセルの一例を図9(B)に示す。
【0217】
図9(B)において、交換機内ATMセル900Bは48バイトのペイロードPLと5バイトのATMヘッダAH913からなる53バイトのATMセルの構造に、1バイトのスイッチングタグST1を付加しただけの構成である。
【0218】
したがって、交換機内ATMセル900Bの長さおよび外形的な構成は上述した第1〜第3の実施形態で用いた交換機内ATMセルと同じである。
【0219】
交換機内ATMセル900BのペイロードPL1に含まれているPC1(914)、PC2(915)は、前記交換機内ATMセル900AのPC1(905)、PC2(906)に相当する情報フィールドである。
【0220】
ペイロードPL1に含まれているCPSパケット910、911に対応するVPI、VCIがPC1(914)、PC2(915)に格納される。
【0221】
ATMヘッダ913のルーティングビットも活用すれば情報フィールドが3つになり、交換機内ATMセル900Bは最大で3つのCPSパケットを包含することができる。
【0222】
また、PC1(914)、PC2(915)の配置位置(ペイロードPL1の中であればどこでもよい)やその数、あるいはCPSパケットとの対応関係について図示の例に限定しない点は、交換機内ATMセル900Aの場合と同様である。
【0223】
内部付加の場合には、交換機内ATMセル900Bに包含するCPSパケットの長さや数に応じて情報フィールドの数を増減させることが可能である点で、外部付加よりも有利な面があるが、そのような処理は入力ポートにとって大きな負荷となる可能性もある。
【0224】
外部付加の場合は、交換機内ATMセルが長くなる分だけ交換容量が低下してしまい、内部付加の場合はCPSパケットを収容するためのペイロードの一部が情報フィールドに占有されてやはり交換容量が低下する。
【0225】
また、ATMスイッチ回路にとっては、常に同じ長さの交換機内ATMセルを処理するほうが都合がよいため、外部付加の場合、1つの交換機内ATMセルのペイロードに収容されたCPSパケットの数が最大である場合と同じだけの情報フィールドを常に付加しておくことになり、この点でも交換容量は低下する。
【0226】
CPSパケットの長さは最も短い場合、4バイトのものもあり得る。4バイトのCPSパケットなら、最大で12個を1つの交換機内ATMセルペイロードに詰め込むことができるが、情報フィールドを常に12個分付加するとなると交換容量の低下も大幅なものとなる。このため、外部付加はCPSパケットの長さの最小値が、例えば13バイトなどの値に制限されている状況で使用したほうが有利である。
【0227】
ところで、外部付加や内部付加についてのこのような交換容量の低下は第1〜第3の実施形態と比較してのものであり、従来のセル交換機と比較すれば、外部付加でも内部付加でも、高い交換容量を達成することが可能である。
【0228】
さらに、第1〜第3の実施形態では、IMT−2000のように、ネットワーク中で当該ATM交換機15(20,30)に隣接するノードが、同一のVPI、VCIのATMセルを連続的に出力する傾向を持つことを前提とすると高い交換容量が得られるが、このような前提がない場合には、外部付加や内部付加の交換容量のほうが高くなる可能性もある。
【0229】
一方、第1〜第3の実施形態では、ATMセルがCPSパケットを包含するATM通信を例に説明したが、本発明において、パケットを包含するパケットがATMセルのような固定長のパケットであることは必須の要件ではなく、パケットに包含されるパケットがCPSパケットのように可変長のパケットであることも必須の要件ではない。
【0230】
本発明は、ある種のパケットに他種のパケットを多重する操作が行われる通信のための交換装置において、広く適用することが可能である。
【0231】
換言するなら、本発明は、入力された包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、当該被包含パケットのヘッダに対するヘッダ処理、及び多重分離された各被包含パケットを交換処理用の交換用包含パケットに対してマッピングするマッピング処理を行う入力パケット処理回路(入力ポート)と、当該交換用包含パケット及び前記被包含パケットを含んでいない交換用包含パケットの交換処理を行う交換スイッチと、交換処理を受けて当該交換スイッチから出力された交換用包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる交換用包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、多重分離された当該被包含パケットを交換用包含パケットとは異なる包含パケットにマッピングする再マッピング処理を行う出力パケット処理回路とを備える交換装置において、広く適用することができる。
【0232】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、1つの交換用包含パケットに可及的多数の被包含パケットがマッピングされるため、交換装置における処理の効率が高まり、交換容量の向上、交換装置のリソースの利用効率アップが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかるATM交換機の入力側の構成を示すブロック図である。
【図2】従来のATM交換機の全体構成を示すブロック図である。
【図3】従来のATM交換機の動作説明図である。
【図4】従来のATM交換機の動作説明図である。
【図5】第1〜第3の実施形態のATM交換機の動作説明図である。
【図6】第2および第3の実施形態のATM交換機における入力側の構成を説明するブロック図である。
【図7】第2および第3の実施形態のATM交換機の動作説明図である。
【図8】第1〜第3の実施形態のATM交換機の出力側の構成を示すブロック図である。
【図9】他の実施形態で使用する交換機内ATMセルの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1−1〜1−N、1−1A〜1−NA…入力ポート、1−1〜1−M…出力ポート、15、20,30…ATM交換機、400、600…入力ATMセル処理回路、401、603〜605、603A〜605A…入力CPSパケットバッファ回路、404、613…制御回路、405、606…内部ATMセルヘッダ送出回路、407…ATMスイッチ回路、408、612…入力CPSパケットバッファ管理回路、500A…ATMセル、500B、500C、900A、900B…交換機内ATMセル、503〜505、523,524,533…CPSパケット、526,535…スイッチングタグ、601、601A…交換機内セル組立回路、612…入力CPSパケットバッファ管理回路、905〜907、914,915…情報フィールド。

Claims (5)

  1. 入力された包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、当該被包含パケットのヘッダに対するヘッダ処理、及び多重分離された各被包含パケットを交換処理用の交換用包含パケットに対してマッピングするマッピング処理を行う入力パケット処理回路と、
    当該交換用包含パケット及び前記被包含パケットを含んでいない交換用包含パケットの交換処理を行う交換スイッチと、
    交換処理を受けて当該交換スイッチから出力された交換用包含パケットが被包含パケットを含んでいるかどうかを識別し、当該被包含パケットを含んでいる交換用包含パケットに対しては、当該被包含パケットの多重分離処理、多重分離された当該被包含パケットを交換用包含パケットとは異なる包含パケットにマッピングする再マッピング処理を行う出力パケット処理回路とを備える交換装置において、
    前記入力パケット処理回路は、
    前記マッピング処理に際して、複数の被包含パケットのパケット長の合計が1つの交換用包含パケットのペイロード長を越えず、なおかつ、それら複数の被包含パケットがヘッダ情報に共通点を持つ限り当該1つの交換用包含パケットに当該複数の被包含パケットをマッピングする被包含パケット充填手段を具備することを特徴とする交換装置。
  2. 請求項1の交換装置において、
    前記ヘッダ情報は、前記被包含パケットのヘッダが持つアドレス情報及び/又はサービス品質クラス情報であり、
    前記マッピング処理を受ける前の段階で、前記被包含パケットを一時的に蓄積する一時蓄積手段を当該ヘッダ情報に応じて複数設けておき、
    前記被包含パケット充填手段は同じ一時蓄積手段に蓄積されている被包含パケットにつき、予め計算することにより、前記1つの交換用包含パケットのペイロード長に応じて、当該交換用包含パケットにマッピングする前記複数の被包含パケットの数を求めることを特徴とする交換装置。
  3. 請求項1の交換装置において、
    請求項1又は2の交換装置において、
    前記交換用包含パケット、前記再マッピング処理を行うために出力パケット処理回路で使用する再マッピング用情報が同じであることを条件に複数の被包含パケットを包含している場合、当該交換用包含パケットのヘッダにはこの再マッピング用情報が格納されていることを特徴とする交換装置。
  4. 請求項1又は2の交換装置において、
    前記交換用包含パケット複数の被包含パケットを包含している場合、包含している各被包含パケットに対応した前記再マッピング処理を行うために出力パケット処理回路で使用する複数の再マッピング用情報を、外部に付加していることを特徴とする交換装置。
  5. 請求項1又は2の交換装置において、
    前記交換用包含パケット複数の被包含パケットを包含している場合、包含している各被包含パケットに対応した前記再マッピング処理を行うために出力パケット処理回路で使用する複数の再マッピング用情報を、内部に付加していることを特徴とする交換装置。
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