JP3578771B2 - 人体の母指の手根中手関節の取替用インプラント装置 - Google Patents

Description

発明の分野
本発明は、人体の母指の手根中手関節（CMC）の取り替えのためのプロテーゼ装置に関する。
発明の背景
母指の基底にある第１の細長い骨（中骨）は、時々、菱形中手骨の関節として称呼される手根中手関節（CMC）を介して手首の大菱形骨に連結されている。この特別な関節は、物を掴み、毎日の役目を実行するため指に関し母指の向かい合う動作のために人間にとって重大な解剖学上、重要である。肉体的な傷害または疾患によるCMC関節の損傷は、招いた人にとって生理学的な重荷となる。
手根中手関節（CMC）の変形性関節炎、慢性関節リウマチ、外傷後の関節炎は、終わりのない痛み、および、母指の欠陥のある機能を引き起こす。軽い症状である患者は、しばしば、休暇、固定、ノンステロイドの抗炎症剤、関節内のステロイド注射により好転する。しかしながら、菱形中手骨（手根中手）の関節炎のさらに激しい患者は、関節のドルソラジアルの亜脱臼となったり、ファーストウェブスペースの内転の拘縮、関節の軟骨の激しい損失、第２の中手指節の過伸展および指節間の屈曲の変形を有することがある。手根中手の関節炎は、しばしば、トラペチオスキャポイド、トラペチオ・トラペゾイド、または、トラペチウム−第１中骨の関節を伴うことなく孤立した存在となる。さらに、菱形中手骨の関節炎を除去した患者において保持されている大菱形骨は、母指の基底においての安定性を維持するために容認される（（Listerの他、Arthrits of the Trapezial Articulations Treated by Prostheteic Hand、９:117−129（1977））。全手根中手関節の取り替えが、大菱形骨上の中骨の存在する亜脱臼を低減することにより、また、大菱形骨との関節を形成するために中骨に固定された支持台をもたらすことにより、第１中骨の長さおよび方向を回復させることができる。
CMC関節炎の患者において外科の介入の目的は、変形または動作を低下させるなしに強さ、痛みのない母指、を回復することである。多くの再建的な処置は、大菱形骨における介在物の関節形成術、切除式の関節形成術、切除式の介在物の関節形成術、および、関節固定術を含めて工夫されている（例えば、Ferrari、Ｂ他、The Jo urnal of Bone and Joint Surgery Vol.68−A:8、1117−1184（1986））。プロテアーゼの関節の種々の形式は、母指のCMC関節を含めて指の中手指節関節、指節間の外科の取り替えのために開発されている。欧州特許出願699117A1は、てい形の部材102および相互係合面110,136を有する中骨部材104を備える図７に示されるようなプロテーゼのCMC関節100を開示している。てい形の部材は、大菱形骨の係合面に取って代わり、中骨部材は、第１中骨の管に固定される軸140を含んでいる。てい形の部材の表面110は、互いに垂直でなく、また交わらないふたつのオフセットした軸線のまわりの回転面のように形成されている。面136に係合している中骨は、そのようなオフセットした軸線を考慮に入れて面110に合わさるように形成されている。
これらの上述した設計および処置は、ある患者のためになることは示されているが、正常で変化しない母指の使用を回復する理想の関節形成術の要求を実現するものがない（Menon、他、The Problem of Trapeziometacarpal Degenerative Arthritis、Arthritis.Clin.Ort hop．175:155−165/（1983））。従って、損傷および患者のある関節のある患者に対して正常な敏捷性および使用の寿命を備え痛みのない母指に回復させる保守の必要のないCMC関節の取り替えの要求がある。
それゆえに、損傷した母指を実質的に本来のおよび正常な機能に回復させることができる改善されたCMC関節のプロテーゼを作ることが本発明の目的である。本発明のこれらおよび他の目的は、以下の詳細な説明および添付図面から容易に明白であろう。
発明の概要
インプラント装置は、二つの相補的な要素または部材からなるプロテーゼの方法によって人体の母指の基底で手根中手関節（CMC）を取り替えるために設けられる。一方の部材は、母指の第１中骨の関節部分を取り替え、また、他方の部材が手首の大菱形骨の関節部分を取り替える。第１および第２の部材の関節は、同一の環状体の一区間であるふたつの相補的な表面によって好ましくは形成される隣接する環状体の合わせ面により形成される。その際、各環状体の中心孔の直径と各環状体の管の直径とは等しい。環状体の合わせ面において生じる物理的接触は、大変制限されたものであり、概ね互いに垂直であるふたつの曲線に沿ったものにすぎない、即ち、環状体の回転軸線と環状体の円周方向のリングの一区間とを含む平面内にある一方の曲線と、環状体の中心孔の内側の円周を含む平面にある他方の曲線とである。これらの関節の表面を備える装置は、正常な関節の機能によく似たものであり、摩耗を最小にする。また、制限された接触が向かい合う表面間に開口した部位をもたらすので原位置で関節の潤滑をもたらす。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、本発明のいくつかの形態を具現化した人工的なCMC関節を所定位置に示す人体の手の骨の解剖学的構造における部分断面図である。
図1Bは、図1Aに示される関節の大菱形骨の構成要素の別の実施例の断片的な拡大図である。
図２は、関節のひとつの姿勢で示される図1AのCMC関節の斜視図である。
図３は、関節の他の姿勢でその関節を図２と同様に示す図である。
図４は、如何にしてその要素の二つの合わせ面が形成され適当な円環体の表面をそれぞれなすかを示すために二つの同一の相補的な円環体に関連して図２および図３に示される関節の個別の要素を示す模式化した斜視図である。
図5Aは、互いに縦方向に一直線になっている図２および図３の二つの要素を示す斜視図である。図5B〜図5Dは、図5Aの各線5B−5B、線5C−5C、および、線5D−5Dに沿った縦断面図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、関節の人工装具（プロテーゼ）、および、疾患または損傷した人体の関節を取り替えるための方法を示唆するものである。好ましいプロテーゼは、人体の手の中に永久的に埋め込むために設計される。
人体の母指は、その個別の反対側の位置、および、他の指に対しての相対的な動作のせいで手の通常の機能が非常に弱められることとなる分かれた独立したものを形成している。最も重要なのは、母指は、他の各指およびすべての指、特に、人差し指との握りを形成するために重要である。母指の機能は、また、手のひらの平たい部分の近くに母指を配置するような自在型の関節を要求する手における多くの他の動作のために重要である。
母指の独特の機能は、その骨の要素、および、結合された筋肉の特別な配置によって可能とされる。図1Aに示されるように、母指の第一中骨２は、かなり長い骨であり、中空の筒状の軸を有する。中骨は、各端部に関節をなす表面を有している。手根中手骨（CMC）取り替えのプロテーゼの関節６（また、菱形中手骨の関節と称される）は、第一中骨２が移植されたプロテーゼのCMC関節６によって母指の基底で手首の大菱形骨４に接合されるように手首に関して第一中骨２の基端部に配置されている。
二つの骨の間の回転軸は、二つの骨が互いに動き回る間、どちらか一方の骨に関係して動かない一つの線のように形成されていてもよい。プロテーゼのCMC関節６における回転軸の配置が、母指が捕らえることができる位置を決定する。CMC関節６は、図1Aに示されるように、二つの回転軸線で回転でき、それによって自動の自在関節に連関した手段で回転動作を可能にする。一方の軸線８は、大菱形骨要素14に配され、図1Aの紙面上にある。他方の回転軸線10は、第一中骨要素12に配され図1Aの紙面、および、また、軸線８を含む平面に対して垂直な平面にある。一方の軸線は、互いに支え、また、CMC関節を形成する一対の向かい合う関節の表面の各側面上に配される。それぞれの合成された形状は、ほぼ鞍に似ているが、しかし、その表面を貫通するある程度平らな断面は、円弧状である。それぞれ相対向する正常な骨の関節の表面は、また、関節の各側面で回転可能な自然な鞍の形状に似ているが、正常な人間のCMC関節は、対称な表面を有しておらず、回転軸線は、互いに垂直ではない。CMC関節において母指の屈曲および伸長の動作は、大菱形骨要素14を貫通する軸線８の回り、すなわち、大菱形骨要素の端部における凸面の曲率の中心を通る軸線の回りに行われる。CMC関節において母指の内転および外転の動作は、第一中骨要素12を貫通する軸線10の回り、すなわち、第一中骨要素12の基底または端部の凸面の曲率の中心を通る軸線の回りに行われる。
CMCプロテーゼの関節６は、母指の正常な関節がなすように軸方向の圧縮、すなわち、ピボットのような一方の面の他方の面上の滑りで作動する。内転および外転は、先端が関節までに至る手のひらおよび尺骨である錐状体の回りにおいて行われる。これが、第一中骨２に、向きが筋肉および靭帯の収縮によって変更する空間のあらゆる位置を選ばせる。この形式の関節が、二つの軸線の回りの同時の回転によって指に対向する母指の正常な正確な位置決めの主としての原因となる。本発明のCMCのプロテーゼ６は、正常な関節がなすように、大体同じ空間にある運動を可能にする。
プロテーゼ６は、機能上、第一中骨２と手首の大菱形骨４との間の十分に解剖学的な関節を可能とする。第一中骨要素12は、第一中骨２の基部に近い部分を取り替える。また、大菱形骨要素14は、大菱形骨４における隣接する関節の接触部を取り替える。そのふたつの要素は、正常なCMC関節のそれらをまねた一対の相補的な関節の表面を形成するためにそのような方法ではめ合う。それらは、自然で容易な母指の運動を厳密に模倣した特有の形態を有している。そして、その設計は、少ない摩耗を受けるようにすることによってプロテーゼの寿命を伸ばすことができる。
プロテーゼ（図２および図３参照）関節の表面24および25は、第一中骨要素12および大菱形骨要素14の端部にそれぞれ設けられている。これらの表面は、好ましくは、それぞれ、管の直径に等しい中心孔径、即ち、円環体を作り出すための軸線の回りに回転される円の直径を有する同一の円環体の表面における二つの相補的な一区間によって形成されている。図４は、環状体の表面24および25が作り出される円環体における相対的な位置を概略的に示す。図４は、それぞれ円環体を作り出すために回される円の直径22に等しい直径20の中心孔を有するふたつの同一の円環体16aおよび16bを示している。要素12および14の関節の表面24および25は、そのようなふたつの円環体の配置によって形成されている。他方の円環体における中心の丸い開口内に配される一方の管状部分を視覚化することによって、逆に、二つの垂直な平面内においてふたつの環状体の表面の間だけで接触することが理解されるだろう。好ましくは、表面が互いに接触する位置で、円筒で合成した配置となるように交叉させることによって一対の相補的な表面24,25が得られる。それら表面は、双方とも、そのような交叉によって作り出されるであろう同じ外側の輪郭を有してもよい。
それらは、好ましくは、外殻線または輪郭において円形であるが、もし要望があるならば、どちらか一方が、適当な代替的な機能を有する輪郭を有するものでも可能である。
好ましい実施形態においては、関節の表面24および25は、中心孔20の直径と同じである管径22を有するそれぞれふたつの同一の円環体の一区間となる表面を有している。これらの条件のもとで、はめ合わす関節の表面24および25は、図5Bおよび5Dに示されるような垂直面および水平面におけるふたつの曲線に沿って互いに接触するであろう。各接触線は、一方の円環体の内径に沿ったものと、他方の円環体の管の外周に沿ったものである。ふたつの接触線28および30は、平面が互いに垂直となるプロテーゼにおいて示される位置で垂直面および水平面にある。それらの垂直面内の物理的な接触の曲線28,30は、それぞれ、水平断面図5Dおよび垂直断面図5Bに示されている。水平の軸線から30度の位置の平面に沿った断面図は、図5Cにいくらか誇張されて示され、０度および90度の平面を除くすべてのそのような平面においては、接触点31が図5Dおよび図5Bにおけるふたつの線28および30が交叉する中心にあるにすぎない。その結果、面24および25は、合同とはならず、向かいあう表面24および25の間の開口により、関節の潤滑のための生物学的な流体の通路が形成される。要素12および14は、好ましくは、図5B〜図5Dに示されるように、平面においてどの中心線のまわりにも対称である。
関節がふたつの狭い接触線により形成される理由が、そのようなプロテーゼの関節において良好な摩耗の性質を達成することについて重要と考えられる。連関する相補的な円環体の一区間は、同一の管および中心孔径をもった共通の形状を有し、その結果として、向かい合う表面を横切って負荷を効率よく分散させる表面を支持しつつ、その一方で潤滑のための開口した部位をもたらすことができる。これは、ほぼ似たプロテアーゼの関節においてしばしば激しい摩耗をもたらす点接触または単一の接触線を有する関節とは対照的である。
引き延ばされた期間にわたって最小の摩耗となる性質に加えて、さらに本発明の関節６の重要な特徴のひとつは、垂直な面内のふたつの狭い接触線に沿った特有の相互接触から派生していることである。ふたつの合同とはならない表面24および25の間の有効な空間32は、図5Cに示されるように、合わせる要素12,14上に形成され、生物学的流体を入れることを可能とし、それによって使用中関節の領域が潤滑される。この特徴により、高摩擦になる傾向にあり、また、不快な削れおよび／または感じる者にきしみと感じさせるドライジョイントの状態をなくすことができる。中骨要素12および大菱形骨要素14における向かい合う関節の表面24および25は、任意に、サイトスペシフィックボーンの内部成長を防止、または摩擦をさらに低減させるためポリウレタン、ポリエチレン、または他の生体適合性のある高分子樹脂の大変薄い被覆で被覆してもよいが、しかし、いくつかのそのような被覆が関節の表面の合同でない性質を損なうべきではないことが重要である。
関節のプロテーゼの要素12,14、および、特に、中骨要素12は、好ましくは、自然な生きた骨の弾性係数を有する生体適合性のある材料、例えば、熱分解カーボンで被覆されたグラファイトの基体でつくられている。しかしながら、さらに重要なのは、要素12,14が、開口した空間の少なくとも約50％が意図された全負荷時ですら関節の表面の間に維持するために使用中さらされることが予想される通常の負荷のもとで、極めて膨張しないような十分な硬度を有する材料で作られている。CMC関節としては、通常さらされるふたつの表面の負荷量は、約45キログラムとなると予想される。その材料は、また、移植のあとの数年間、元の表面の形状を保持するような良好な耐摩耗性を示す。ピロカーボン（Pyrocarbon）は、これらの規準にあっている。また、他の適切な材料の例としては、クロム−コバルト合金、例えば、Vitallium（登録商標）、タンタル、チタン、モリブデン系合金、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムのようなセラミックの高密度金属の酸化物のような生体適合性を有した金属の合金、および、極高密度の堅いポリマーを含む。
要素12,14の双方は、好ましくは、同一の堅い生体適合性を有した金属で作られているが、一方の要素が、クロム−コバルト合金で作られ、他方の要素が、実質的な変形に耐える堅い、超高分子量ポリエチレンで作られても良い。さらに好ましくは、要素12および14が、少なくとも約200DPH［50（ｇ）の負荷が使用されたDiamond Pyramid Hardness］を有する熱分解カーボン、または、そのような堅さの結果として良好な耐摩耗性を同様に示す同等な材料で作られる。そのような性質の熱分解カーボンは、好ましく、また、狭い接触線がかなり広がらないように予想される負荷で変形しない。
中骨要素12は、好ましくは、中骨２の長い中空の管状軸内によりたやすく取付けるためにわずかな勾配を有しているCMC関節プロテーゼの髄内の軸部34で構成されている。軸部34は、これらの部位において骨の最初の安定した内部成長を助長するために複数のアンダーカットおよび溝35がその外面に設けられている。中骨は、図１に示されるように骨髄の腔36内に挿入され固定されることを可能とする骨髄の管状の軸を有する長い骨である。腔36は、中骨要素12の髄内の軸部34を収容するためにこの部位をくり貫くことによって作製されている。もし、要望されるならば、髄内の軸部34は、面24を形成する部分と異なる材料、例えば、その部位の骨の形成を助長する焼結したヒドロキシアパタイトで作られても良い。望ましい骨髄の腔36は、中骨要素12の軸部34にぴったりした取り付けを達成するために特殊なブローチを使用し好ましくは手術中に形作られる。中骨要素12の髄内の軸部34は、次のような幾つかの手順の一つを使用して腔36内に取り付けられることができる。１）髄内の軸部34の多孔性の被覆または起伏した表面内の骨の成長、２）骨の接合剤の使用、３）ヒドロキシアパタイトのような界面活性の軸被膜の手段によって第１中骨２に対しての髄内の軸部34のボンディング、または、４）骨髄の腔36の内部への軸部の密着した機械的な嵌合。
大菱形骨４は、一般には塊の形をした骨であり、長い髄内の軸部を収容することはできない。大菱形骨要素14は、中骨要素12の取付のために上記に述べた事項１−４に似た手順を使用して大菱形骨に取り付けることができる。大菱形骨要素14の基底38は、好ましくは、その特別な骨の中に形成される補足的な腔に相互に嵌合すべく形作られ、実際の取付は、当業者に知られているような数多くの異なる相互係合によってなされてもよい。取付は、とりわけ、骨の接合剤、組織の内部成長、ヒドロキシアパタイトのような活性材料へのボンディング、機械的な噛み合わせ、またはこれらのいくつかの組み合わせによって補助されてもよい。溝、窪み、うねりのような基底38の表面の凹凸は、取付を強化するために使用されることができる。大菱形骨の基底38においてほぞ差しの形態の使用が、大菱形骨要素14の取付のために好ましい実施形態のひとつである。特別な工具および技術は、図1Aに示されるように、大菱形骨要素14の基底38に形作られる相補的なほぞ39を収容し、かつ、ぴったり合う大菱形骨４内の適当なほぞ溝を切削するために当業者によって利用できる。図1Bに示される他の好ましい実施形態においては、大菱形骨要素14aの基底38aは、一対の溝の下に配される半球形状部40であり、基底はもし望まれるならば骨の接合剤を使用し大菱形骨14内に形成されるカップに似た形状の腔41内に嵌合される。大釘形状の突起部、または、インターロックのキーの形状がまた、機械的安定を強化するために使用されてもよい。大変一般的で標準の方法が、各大菱形骨要素14およびプロテーゼの関節６の中骨要素12を大菱形骨４および母指の第１中骨２に取り付けるために使用されてもよい（例えば、Ferrai、Ｂ他、The Journal of Bone and Joint Surgery vol.68−A;8,1117−1184（1986））。
大菱形骨要素14は、大菱形骨要素の表面25の湾曲によって形成される回転軸線８が母指において要望される屈曲および伸長の動作のために設けられるために大菱形骨４に位置決めされる。即ち、図1Aに示される方向を有している。大菱形骨要素14のふたつの位置決めは、一般に、第１中骨要素12の凸面24の湾曲を貫通する回転の垂直な軸線を決定し、一方、この軸線により母指の内転および外転が可能となる。図２および図３に描写されるように、プロテーゼの関節６は、図1Aおよび図5Aに示されるちょうど前方または一列の方向となる角度付けられた動作を中骨２と大菱形骨４との間に形成することができる。図２においては、大菱形骨に対する中骨の角度付けられた方向がひとつの平面内で変化せしめられるとき、大菱形骨要素14に対して中骨要素12の変位が生じるように示されている。この図２に示す相対的方向から開始して図３は、複合的な動作を達成するそれに垂直な平面内の二つの要素12,14のさらに連続して起こる変位を示す。関節の表面24および25がそのような動作を調節し、従って、この形状の二つのそのような相互係合面を有するプロテーゼの関節６は、多くの利点がある。
本発明は、好ましい実施形態について述べたが、当業者にとって自明となるような変形および修正は、請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなくなされてもよい。例えば、述べられた関節を形成するプロテーゼの関節が、また、母指のCMC関節以外の他の人体の解剖学的な関節の取り替えに対して考慮されてもよい。

Claims (6)

1. 人体の移植のために設計された関節のプロテーゼ（６）は、
   二つの関節をなす人体の骨の第１の骨に設けられる腔内に収容されるために作られた第１の端部（34）と、他端に合わせ面（24）とを有する第１の要素（12）と、
   前記二つの関節をなす人体の骨の他端内に形成される腔内に収容されるために形作られた第１の端部（38）と、該人体の骨に形成される第２の合わせ面（25）を有する第２の要素（14）とを備え、
   合同でない前記第１および第２の要素の前記合わせ面（24、25）は、該第１および第２の要素の間であって互いに垂直である平面内にあるふたつの軸線の回りの円滑な相対的な角度付けられた動作を可能とすべく形成され、各面は、垂直な面にある二つの曲線に沿って単独で合わせ面の接触をもたらすように湾曲していることを特徴とするプロテーゼ。
2. 前記合わせ関節の面（24、25）は、環状体の相対的な表面の一区間であり、各環状体は、該環状体を作り出すために回転される円の直径に等しい直径の中心孔を有していることを特徴とする請求項１記載のプロテーゼ。
3. 前記環状体は、同一の環状体であることを特徴とする請求項２記載のプロテーゼ。
4. 第１中骨（２）の基部に近い関節部分を取り替えるために形作られた第１の要素（12）と、
   母指の手根中手関節を取り替えるために役立つように大菱形骨（４）の対応する関節部分を取り替えるべく形作られた第２の要素（14）と、
   を備えることを特徴とする請求項１記載のプロテーゼ。
5. 前記合わせ関節の表面を形成する前記第１および第２の要素（12、14）の部分は、もし、前記関節に予想される通常の負荷に支配されるとき、該表面内で接触線が狭小を維持するような材料で作られていることを特徴とする請求項１記載のプロテーゼ。
6. 前記第１および第２の要素（12、14）は、少なくとも約200DPHの硬さを有する熱分解カーボンで被覆されたグラファイト基体を含んでいることを特徴とする請求項１記載のプロテーゼ。

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