JP3575801B2 - 抗菌性膜 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、液体中に存在する病害菌に抗菌作用を及ぼす抗菌性膜に関する。
【０００２】
【従来技術】
液体中に存在する病害菌に対し抗菌効果を得る為には、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤を液体中に添加する方法が一般的である。液体中に有機系抗菌剤や無機系抗菌剤を添加する場合の形態は、溶液状にするか或いは溶剤に抗菌剤を分散させて分散液として使用したり、粉末状態のまま添加する場合もある。この場合、有機系抗菌剤は分子状態となり液体中の病害菌に付着する。また、無機系抗菌剤は微粉末の状態やイオン状態となって病害菌に作用し抗菌効果が得られる。その他、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤を、直接液体中に投入するのではなく抗菌フィルターとして液体中に設置し、フィルターに接触することにより液体中の病害菌の繁殖を抑制させるものもある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように液体中に抗菌剤を直接噴霧・添加すると、病害菌に対しては積極的に効果が現れるが、液体そのものの性質が変化したり、微粉末や溶解したイオンが環境に対して悪影響を及ぼす場合がある。また、この方法によると添加した直後での抗菌効果は高いが効果の持続性は殆ど期待できない。従って、抗菌効果を長期間持続させるためには、継続的に抗菌剤を添加する必要があって、ランニングコストが高くなる。
【０００４】
また、抗菌フィルターを使用する方法は、環境に対してもランニングコスト的にも有効であるが、処理する液体が非常に少量であったり、容器（液体通路）表面にしか液体が存在しないような、少量の液体で抗菌フィルターに通過させることが困難な場合には効果的ではない。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、処理液体が少量であっても高い抗菌効果が得られ、ランニングコストが低く且つ環境に対する影響が殆ど無い抗菌性膜を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項１に記載の抗菌性膜は、銀、銅等の抗菌性金属を利用した無機系抗菌剤により基材に対して、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチで１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成にしたことを特徴とする。
【０００６】
請求項２に記載の抗菌性膜は、銀、銅等の抗菌性金属を利用した無機系抗菌剤を基材に対して分散させ、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチで１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成したことを特徴とする。
【０００７】
【発明の作用】
上記抗菌性膜は、銀、銅等の抗菌性金属をポーラス性を有するセラミックスなどの無機材料粉末に担持した形態で使用することが可能である。担持方法は種々あるが、液体中に溶出しないような方法により実施されたものが望ましく通常イオン交換法が用いられる。生成された抗菌性膜は、膜そのものが無機系抗菌剤であるのが理想的であるが膜の基材への密着性や膜強度、膜コストの面から、無機系抗菌剤を膜表面に分散させた抗菌性膜でも十分な効果が得られる。
【０００８】
また、上記抗菌性膜を生成するための無機系抗菌剤の使用量は、抗菌処理をする対象となる液体中の病害菌の数量・種類、液体の存在する環境等により大きく影響されるため、予めテーブル試験により必要十分量を把握することが重要となる。抗菌性膜を生成する基材は、有機系、無機系を問わず使用することができる。
【０００９】
表面性状は表面粗さが中心線平均粗さ（以下Ｒａという）で１０μｍ以上２ｍｍ以下とする必要がある。Ｒａが１０μｍ未満であると、液体中に存在する病害菌と膜表面に存在する抗菌剤の接触効率が低下し良い抗菌効果が得られない。また、Ｒａが２μｍ以上であると液体自体の流れが不均一となりこれも抗菌効果を低下させる。
【００１０】
また、粗さピッチは１００μｍ以上１０ｍｍ以下であることが望ましい。粗さピッチが１００μｍ未満であると液体の流れが不均一となり、粗さピッチが１０ｍｍ以上になると接触効率の向上が望めない。ここで粗さピッチとは、膜表面の凹凸の隣り合うト凸部若しくは凹部間の距離をいう（以下同じ）。
【００１１】
【発明の実施形態】
（実施例１）
酸化アルミニウムを主成分として製造されたセラミックス製容器の内表面をブラスト処理しＲａ５０μｍ、粗さピッチ２００μｍとした。その表面に結晶化ガラス銀系抗菌剤のスラリーを付着させた後、７５０℃で1時間保持して実施例１の無機抗菌性膜を得た。
【００１２】
（実施例２）
上記と同様の表面ブラスト処理を施したセラミックス製容器の内表面に、無機銀系抗菌剤を分散させた有機系接着剤（エポキシ系）を塗布し、実施例２の無機抗菌性膜を得た。
【００１３】
（比較例１）
無処理セラミックスの基材（Ｒａ５μｍ、粗さピッチ１０μｍ）表面に実施例２と同様の抗菌膜処理を実施し比較例１を得た。
【００１４】
（比較例２）
セラミックス製容器の内表面を機械加工によりＲａ；５ｍｍ、粗さピッチ；５０ｍｍとした後、表面に実施例２と同様の抗菌膜処理を実施し比較例２を得た。
【００１５】
上記各実施例及び比較例によって得られた抗菌性膜を施したセラミックス製容器に植物の根腐れ菌として知られるピシュームヘリコイダス菌の遊走子調整液を深さ１０ｍｍで浸し、抗菌効果を確認した。その結果を表１に示す。
【００１６】
【表１】
【００１７】
以上の結果、本発明品によれば処理液の量が少なくても、また動きの少ない液体に対しても安定した抗菌効果を得ることが可能になった。
【００１８】
【発明の効果】
本発明の抗菌性膜によれば、トレーや配管中などに留まった水溶液の中の病害菌に対して有効的に抗菌効果を発揮でき、無機系抗菌剤により基材に対して、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチは１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成したから、液体中に存在する病害菌と膜表面に存在する抗菌剤の接触効率が低下することがなく、良好な抗菌効果が得られるとともに、液体自体の流れが不均一となることもなく、接触効率の向上が期待でき抗菌効果を低下させることがない。
【産業上の利用分野】
本発明は、液体中に存在する病害菌に抗菌作用を及ぼす抗菌性膜に関する。
【０００２】
【従来技術】
液体中に存在する病害菌に対し抗菌効果を得る為には、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤を液体中に添加する方法が一般的である。液体中に有機系抗菌剤や無機系抗菌剤を添加する場合の形態は、溶液状にするか或いは溶剤に抗菌剤を分散させて分散液として使用したり、粉末状態のまま添加する場合もある。この場合、有機系抗菌剤は分子状態となり液体中の病害菌に付着する。また、無機系抗菌剤は微粉末の状態やイオン状態となって病害菌に作用し抗菌効果が得られる。その他、有機系抗菌剤や無機系抗菌剤を、直接液体中に投入するのではなく抗菌フィルターとして液体中に設置し、フィルターに接触することにより液体中の病害菌の繁殖を抑制させるものもある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように液体中に抗菌剤を直接噴霧・添加すると、病害菌に対しては積極的に効果が現れるが、液体そのものの性質が変化したり、微粉末や溶解したイオンが環境に対して悪影響を及ぼす場合がある。また、この方法によると添加した直後での抗菌効果は高いが効果の持続性は殆ど期待できない。従って、抗菌効果を長期間持続させるためには、継続的に抗菌剤を添加する必要があって、ランニングコストが高くなる。
【０００４】
また、抗菌フィルターを使用する方法は、環境に対してもランニングコスト的にも有効であるが、処理する液体が非常に少量であったり、容器（液体通路）表面にしか液体が存在しないような、少量の液体で抗菌フィルターに通過させることが困難な場合には効果的ではない。
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、処理液体が少量であっても高い抗菌効果が得られ、ランニングコストが低く且つ環境に対する影響が殆ど無い抗菌性膜を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項１に記載の抗菌性膜は、銀、銅等の抗菌性金属を利用した無機系抗菌剤により基材に対して、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチで１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成にしたことを特徴とする。
【０００６】
請求項２に記載の抗菌性膜は、銀、銅等の抗菌性金属を利用した無機系抗菌剤を基材に対して分散させ、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチで１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成したことを特徴とする。
【０００７】
【発明の作用】
上記抗菌性膜は、銀、銅等の抗菌性金属をポーラス性を有するセラミックスなどの無機材料粉末に担持した形態で使用することが可能である。担持方法は種々あるが、液体中に溶出しないような方法により実施されたものが望ましく通常イオン交換法が用いられる。生成された抗菌性膜は、膜そのものが無機系抗菌剤であるのが理想的であるが膜の基材への密着性や膜強度、膜コストの面から、無機系抗菌剤を膜表面に分散させた抗菌性膜でも十分な効果が得られる。
【０００８】
また、上記抗菌性膜を生成するための無機系抗菌剤の使用量は、抗菌処理をする対象となる液体中の病害菌の数量・種類、液体の存在する環境等により大きく影響されるため、予めテーブル試験により必要十分量を把握することが重要となる。抗菌性膜を生成する基材は、有機系、無機系を問わず使用することができる。
【０００９】
表面性状は表面粗さが中心線平均粗さ（以下Ｒａという）で１０μｍ以上２ｍｍ以下とする必要がある。Ｒａが１０μｍ未満であると、液体中に存在する病害菌と膜表面に存在する抗菌剤の接触効率が低下し良い抗菌効果が得られない。また、Ｒａが２μｍ以上であると液体自体の流れが不均一となりこれも抗菌効果を低下させる。
【００１０】
また、粗さピッチは１００μｍ以上１０ｍｍ以下であることが望ましい。粗さピッチが１００μｍ未満であると液体の流れが不均一となり、粗さピッチが１０ｍｍ以上になると接触効率の向上が望めない。ここで粗さピッチとは、膜表面の凹凸の隣り合うト凸部若しくは凹部間の距離をいう（以下同じ）。
【００１１】
【発明の実施形態】
（実施例１）
酸化アルミニウムを主成分として製造されたセラミックス製容器の内表面をブラスト処理しＲａ５０μｍ、粗さピッチ２００μｍとした。その表面に結晶化ガラス銀系抗菌剤のスラリーを付着させた後、７５０℃で1時間保持して実施例１の無機抗菌性膜を得た。
【００１２】
（実施例２）
上記と同様の表面ブラスト処理を施したセラミックス製容器の内表面に、無機銀系抗菌剤を分散させた有機系接着剤（エポキシ系）を塗布し、実施例２の無機抗菌性膜を得た。
【００１３】
（比較例１）
無処理セラミックスの基材（Ｒａ５μｍ、粗さピッチ１０μｍ）表面に実施例２と同様の抗菌膜処理を実施し比較例１を得た。
【００１４】
（比較例２）
セラミックス製容器の内表面を機械加工によりＲａ；５ｍｍ、粗さピッチ；５０ｍｍとした後、表面に実施例２と同様の抗菌膜処理を実施し比較例２を得た。
【００１５】
上記各実施例及び比較例によって得られた抗菌性膜を施したセラミックス製容器に植物の根腐れ菌として知られるピシュームヘリコイダス菌の遊走子調整液を深さ１０ｍｍで浸し、抗菌効果を確認した。その結果を表１に示す。
【００１６】
【表１】
以上の結果、本発明品によれば処理液の量が少なくても、また動きの少ない液体に対しても安定した抗菌効果を得ることが可能になった。
【００１８】
【発明の効果】
本発明の抗菌性膜によれば、トレーや配管中などに留まった水溶液の中の病害菌に対して有効的に抗菌効果を発揮でき、無機系抗菌剤により基材に対して、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチは１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成したから、液体中に存在する病害菌と膜表面に存在する抗菌剤の接触効率が低下することがなく、良好な抗菌効果が得られるとともに、液体自体の流れが不均一となることもなく、接触効率の向上が期待でき抗菌効果を低下させることがない。
Claims (2)
- 銀、銅等の抗菌性金属を利用した無機系抗菌剤により基材に対して、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチで１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成にしたことを特徴とする抗菌性膜。
- 銀、銅等の抗菌性金属を利用した無機系抗菌剤を基材に対して分散させ、表面粗さが中心線平均粗さ（Ｒａ）で１０μｍ以上２ｍｍ以下に、且つ粗さピッチで１００μｍ以上１０ｍｍ以下に生成したことを特徴とする抗菌性膜。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002092482A JP3575801B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 抗菌性膜 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002092482A JP3575801B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 抗菌性膜 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003285388A JP2003285388A (ja) | 2003-10-07 |
| JP3575801B2 true JP3575801B2 (ja) | 2004-10-13 |
Family
ID=29237302
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002092482A Expired - Fee Related JP3575801B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 抗菌性膜 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3575801B2 (ja) |
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| JP2015520132A (ja) * | 2012-04-24 | 2015-07-16 | エレウス テクノロジーズ インコーポレイテッド | 皮膜、被覆表面、及びその製造方法 |
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2002
- 2002-03-28 JP JP2002092482A patent/JP3575801B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JP2003285388A (ja) | 2003-10-07 |
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