JP3574974B2 - 汚泥配合肥料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、梅を加工するときに廃棄される、梅酢及び/又は梅の果実片を含む廃棄物の処理過程で生じた汚泥、建設業及び製材業等の廃材である木片及び木炭を配合し、発酵させてなる汚泥配合肥料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品製造業等で廃棄される廃棄物を微生物により分解した後、脱水して得られる汚泥の処分は大きな問題となっており、この汚泥を活性炭等と配合して肥料にする発明が特許文献1及び2等に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−116367号公報
【特許文献2】
特開2000−72580号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
梅の生産加工地においては、梅干し等の加工時に廃棄される、梅酢及び梅の果実片を含む廃棄物を処理して得られる汚泥が多量に生じており、この汚泥の処分地の確保の問題と、処分地までの汚泥の搬送費用が高くつき、廃棄処理コストが高くなるという問題とが生じていた。
また、建設業及び製材業等において生じる木片及び木炭の処分も大きな問題となっていた。
【0007】
本発明は、斯かる事情を鑑みてなされたものであり、梅を加工するときに廃棄される、梅酢及び/又は梅の果実片を含む廃棄物の処理過程によって生じたクエン酸を含有する汚泥40〜60重量%と、木片30〜50重量%と、木炭5〜15重量%とを配合し、略1ヵ月、予備発酵させる過程と、該過程により予備発酵させた配合物に、微生物を添加し、50〜60℃で、一次発酵させる過程と、該過程により一次発酵させた配合物を腐熱により二次発酵させる過程とを含むことにより、適度の水分を有し、植物の生長を良好に促進し、土壌を良好に改良する汚泥配合肥料を容易に製造することができる汚泥配合肥料の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚泥配合肥料の製造方法は、梅を加工するときに廃棄される、梅酢及び/又は梅の果実片を含む廃棄物の処理過程で生じたクエン酸を含有する汚泥40〜60重量%と、木片30〜50重量%と、木炭5〜15重量%とを配合し、略1カ月、予備発酵させる過程と、該過程により予備発酵させた配合物に、微生物を添加し、50〜60℃で、一次発酵させる過程と、該過程により一次発酵させた配合物を腐熱により二次発酵させる過程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明においては、梅加工で生じる汚泥と、建設業及び製材業等において生じる木片及び木炭とを配合し、発酵させることで、汚泥配合肥料が容易に得られるので、産業破棄物を、他の地方に搬送して埋め立て及び海洋投棄等の処理を行うことなく、産業廃棄物が生じた土地で有効に再生利用することができる。
そして、この産業廃棄物の再生利用物である汚泥配合肥料を、産業廃棄物の地元で容易に製造することができ、製造コストを低くすることができる。
また、本発明においては、木片により適度の水分を供給されており、木炭により汚泥の悪臭が消臭され、土壌の酸性を矯正する土壌改良性が付与されている汚泥配合肥料が容易に得られる。
また、本発明においては、梅加工で生じる汚泥には梅酢が含まれており、梅酢は、エネルギー代謝経路であるTCA回路の最も重要は中間体であるクエン酸を有するので、植物の生長を良好に促進する汚泥配合肥料が容易に得られる。
【0015】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて、具体的に説明する。
本発明に係る汚泥配合肥料の製造方法により製造された汚泥配合肥料(以下、「本発明に係る汚泥配合肥料」という)は、梅干し等を製造する梅加工業で廃棄される、梅酢及び梅の果実片を含む廃棄物の処理過程で生じた汚泥40〜60重量%と、木片30〜50重量%と、木炭5〜15重量%とを配合し、発酵させることにより得られるものである。
【0016】
汚泥は、梅加工業で廃棄される、梅酢及び/又は梅の果実片を含む廃棄物を微生物により分解して得られる。
木片は、建設業及び製材業等において生じるチップ状の生木であり、木炭は、製材業等において生じる生木の木炭である。
【0017】
図1は、本発明に係る汚泥配合肥料の製造方法を示すフローチャートである。
まず、梅加工業で廃棄される、梅酢及び梅の果実片を含む廃棄物を微生物により分解して得られた汚泥40〜60重量%と、木片30〜50重量%と、木炭5〜15重量%とを配合し(ステップS1)、略1ヵ月、堆積させた状態で放置し、予備発酵させる(ステップS2)。このとき、1週間に1回程度、切り返しを行う。
【0018】
次に、予備発酵させた配合物に、発酵促進材としての微生物を略0.1%添加し、50〜60℃で略24時間、一次発酵させる(ステップS3)。この微生物としては、放線菌等を用いる。
そして、この一次発酵させた配合物を略1ヵ月、堆積させた状態で放置し、腐熱により二次発酵させる(ステップS4)。このとき、1週間に1回程度、切り返しを行う。
これにより、本発明に係る汚泥配合肥料が得られる。
【0019】
表1に、この汚泥配合肥料の組成を調べた結果を示す。この汚泥配合肥料は、汚泥50%と、生木のチップ材40%と、生木の木炭10%とを配合して得られたものである。
【0020】
【表1】
【0021】
表1に示すように、本発明の汚泥配合肥料は、木片によって適度の水分を供給されている。また、木炭によって汚泥の悪臭が消臭されている。
【0022】
次に、本発明の汚泥配合肥料を用いて小松菜の栽培試験をした結果を示す。この汚泥配合肥料は、汚泥50%と、生木のチップ材40%と、生木の木炭10%とを配合して得られたものである。
土壌は、千葉県八街市で採取した表層腐植質黒ボク土で、土性Lの洪積土、pH5.9、交換酸度Y1 0.6、電気伝導率0.09dS/m、陽イオン交換容量30.6meq /乾土100g、容積重365g/風乾土500ml、最大容水量95重量%/乾土のものを用いた。
【0023】
表2は、試験区及び施肥の設計を示した表である。
【0024】
【表2】
【0025】
本発明の汚泥配合肥料に含まれるNは、乾物換算で2%以下であるので、本発明の汚泥配合肥料の施肥量は、その乾物重量を基準に設定した。
本発明の汚泥配合肥料の無施肥として設けた無機基礎量区においては、N、P2 O5 、K2 Oとして、それぞれ25mgに相当する量の硫酸アンモニア、過燐酸石灰及び塩化カリウムを施肥した。表2の施用量中の括弧内の数字は、有姿(含水物)量を示す。
【0026】
表3は、表2の各試験区の発芽調査成績及び生育調査成績を調べた結果を示す表である。
【0027】
【表3】
【0028】
表3より、本発明の汚泥配合肥料を施肥した各試験区においては、無機基礎量区と比較して、発芽については発芽開始日及び発芽率ともに同程度の成績を示し、発芽後の生育においては、同等又は同等以上の成績を示し、植物の生長を良好に促進できることが判った。そして、小松菜の生育上の異常症状は認められなかった。
【0029】
以上のように、本発明の汚泥配合肥料は、原料である汚泥が、クエン酸を有する梅酢を含むので、植物の生長を良好に促進する。また、本発明の汚泥配合肥料は木炭を含むので、土壌の酸性を矯正する土壌改良作用も有する。
【0030】
そして、産業廃棄物を、他の地方に搬送して埋め立て及び海洋投棄等の処理を行なうことなく、有効に再生利用することができる。
さらに、本発明の汚泥配合肥料は、産業廃棄物の地元で容易に製造することができるので、製造コストが低い。
【0031】
なお、前記実施の形態においては、汚泥、木片、木炭及び微生物をそれぞれ50、40、10、0.1重量%配合した場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。但し、汚泥40〜60重量%と、木片30〜50重量%と、木炭5〜15重量%とを配合した場合、汚泥により良好に植物の生長を促進し、木片により適度の水分を供給され、木炭により確実に汚泥の悪臭が消臭され、土壌を改良されるので、この割合で配合するのが好ましい。
【0032】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の汚泥配合肥料の製造方法は、梅を加工するときに廃棄される、梅酢及び/又は梅の果実片を含む廃棄物の処理過程で生じたクエン酸を含有する汚泥と、木片と、木炭とを配合し、発酵させることで、汚泥配合肥料が容易に得られるので、産業廃棄物を、他の地方に搬送して埋め立て及び海洋投棄等の処理を行なうことなく、有効に再生利用することができる。
そして、本発明の汚泥配合肥料の製造方法に依れば、この汚泥配合肥料を、産業廃棄物の地元で容易に製造することができるので、製造コストが低い。
この汚泥配合肥料の製造方法に依れば、木片によって適度の水分を供給されており、木炭によって汚泥の悪臭が消臭され、土壌改良性が付与されている汚泥配合肥料が容易に得られる。
そして、梅加工で生じる汚泥に含まれる梅酢は、クエン酸を有するので、本発明の汚泥配合肥料の製造方法に依れば、植物の生長を良好に促進する汚泥配合肥料が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚泥配合肥料の製造方法を示すフローチャートである。
Claims (1)
- 梅を加工するときに廃棄される、梅酢及び/又は梅の果実片を含む廃棄物の処理過程で生じたクエン酸を含有する汚泥40〜60重量%と、木片30〜50重量%と、木炭5〜15重量%とを配合し、略1ヵ月、予備発酵させる過程と、
該過程により予備発酵させた配合物に、微生物を添加し、50〜60℃で、一次発酵させる過程と、
該過程により一次発酵させた配合物を腐熱により二次発酵させる過程と
を含むことを特徴とする汚泥配合肥料の製造方法。
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