JP3573962B2 - 防爆基地局装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば事業所用コードレス電話システムに適用して好適な防爆構造を有した防爆基地局装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無線基地局を耐圧防爆化するためには、金属筐体に収納する必要がある。図7は、従来の防爆基地局装置の構成を模式的に示した構造図である。図7において、1は例えばアルミダイカストにより構成された耐圧防爆筐体、2は耐圧防爆筐体1内に収納された無線機、3は無線機2と外部との接続を行う外部接続線、4は無線機2のグランドであるシグナルグランド、5は耐圧防爆筐体1のグランドであるフレームグランド、6はアンテナ、7はアンテナ6を覆っているアンテナレドームである。
【0003】
次に動作について説明する。
この防爆基地局装置は、耐圧防爆筐体1により無線機2が外部雰囲気に対し耐圧防爆化されており、このため耐圧防爆筐体1からの外部接続線3の外部への引出し部分の構成、アンテナ6をアンテナレドーム7で覆う構成、アンテナ6を耐圧防爆筐体1から出す部分の構成などは防爆仕様を満足するような構造が採用される。
【0004】
このため防爆基地局装置は耐圧防爆構造で構成されており、無線機2を外部雰囲気に対し耐圧防爆筐体1内に密封した構成である。また、外部接続線3は耐圧防爆仕様対応の配管内に敷設されている。また、前記配管と耐圧防爆筐体1とは耐圧防爆仕様対応のパッキンを用いて外部雰囲気に対し密封構造で接続されている。また、アンテナ6は、耐圧防爆仕様対応のパッキンを介して耐圧防爆筐体1に取り付けられており、アンテナ6の芯線は無線機2と接続されている。
【0005】
また、耐圧防爆筐体1内部の無線機2などの基地局装置は耐圧防爆筐体1内部へ直接、ネジ止めされており、前記基地局装置が耐圧防爆筐体1内部へ直接、ネジ止めされていることからシグナルグランド4とフレームグランド5が共通化される構造となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の防爆基地局装置は以上のように構成されているので、耐圧防爆筐体1やアンテナ6を覆うアンテナレドーム7により、アンテナ6からの出力の劣化が発生し、また十分な受信感度が得られず、このため防爆エリア内で通信可能な範囲が狭くなり、基地局設置台数を増やしたりして対応していた。しかし、通信エリアが狭いため通信不良になる回数が少ないとは言えず、ハンドオーバを繰り返すなど満足な通信を行うのが容易でない課題があった。
【0007】
また、耐圧防爆筐体1内部の無線機2などの基地局装置は、無線機2を耐圧防爆筐体1へネジ止めすることで無線機2を耐圧防爆筐体1内に取り付ける構造であるためにシグナルグランド4とフレームグランド5が共通化されており、アンテナ6や耐圧防爆筐体1から侵入してくる雷サージによりフレームグランド5の電位が高くなり、耐圧防爆筐体1に内蔵された無線機2などの機器が破損する場合が生じるなどの課題があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、防爆エリア内で通信を行う際の信頼性を向上させ、確実な通信機能を確保できる防爆基地局装置を得ることを目的とする。
【0009】
また、耐圧防爆筐体に内蔵された無線機などの機器が雷サージなどにより破損するのを有効に防止できる防爆基地局装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る防爆基地局装置は、耐圧防爆構造の耐圧防爆筐体と、電気的に浮いた状態で耐圧防爆筐体内に配置された無線機器と、前記耐圧防爆筐体外部に質安全防爆構造のアンテナを配置し、前記本質安全防爆構造は、前記耐圧防爆筐体のフレームグランドにアンテナのシールド側を接続したアンテナシールド接続構造と、前記耐圧防爆筐体外部の前記アンテナの空中線部分を前記無線機器に対し直流的に分離する一方、所定の無線周波数の交流信号に対して前記無線機器に接続するアンテナ空中線接続手段とを備え、前記アンテナ空中線接続手段は、キャパシタを含みグランドがそれぞれ異なる1次側回路と2次側回路のM結合により特定の無線周波数だけを通過する特性を有したバリアであるものである。
【0013】
この発明に係る防爆基地局装置は、ダイバシチ方式の複数のアンテナを有した基地局装置に耐圧防爆構造と、前記アンテナに対する本質安全防爆構造を適用するようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この実施の形態1における防爆基地局装置が適用される防爆エリア内でのコードレス電話システムの構成を示す説明図である。図1において、11は交換機、12は基地局給電装置、13は防爆基地局装置、14は本質安全防爆仕様を満足した防爆用移動無線機である。
【0015】
図2は、この実施の形態1における防爆基地局装置の構成を示す構造図であり、図2において、1は耐圧防爆仕様を満足した、例えばアルミダイカストにより構成された耐圧防爆筐体、2は耐圧防爆筐体1内に配置された無線機(無線機器)である。
3は外部接続線であり、耐圧防爆仕様対応の配管内に敷設されている。前記配管と耐圧防爆筐体1とは耐圧防爆仕様対応のパッキンを用いて外部雰囲気に対し密封構造で接続されている。
【0016】
4はシグナルグランドであり、無線機2のグランドである。5はフレームグランドであり、耐圧防爆筐体1のグランドである。シグナルグランド4とフレームグランド5は分離されている。6は耐圧防爆筐体1から外部雰囲気中へ突出して設けられ、本質安全防爆仕様を満足する本質安全防爆構造を有したアンテナである。このアンテナ6は、防水パッキンを介して耐圧防爆筐体1に取り付けられている。また、アンテナ6の芯線は、耐圧防爆仕様対応のパッキンを介して耐圧防爆筐体1に対し絶縁された状態で耐圧防爆筐体1内へ引き込まれ、耐圧防爆筐体1内でアンテナ用のバリア(以下、アンテナバリアという)を介して無線機2と交流的に接続されている。8はアンテナ6と無線機2とを直流的に分離するとともに交流的な接続を行いアンテナ6への給電を実現する前記アンテナバリア(アンテナ空中線接続手段,バリア)であり、キャパシタを含む1次側回路と2次側回路がM結合により特定の無線周波数だけを通過する特性を有している。
【0017】
図3は、耐圧防爆筐体1へのアンテナ6の取付構造を示す断面図であり、図2と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図3において、1aは耐圧防爆筐体1のフレームグランド5にアンテナ6のシールド側を接続したアンテナシールド接続構造、6aはアンテナ6の同軸ケーブル部であり、シールド部は耐圧防爆筐体1へ接続されている。10aはアンテナ6の同軸ケーブル部6aを耐圧防爆筐体1内へ外部雰囲気に対し密閉して引き込むための前記耐圧防爆仕様対応のパッキン、10bはアンテナ6を耐圧防爆筐体1へ取り付けるための防水機能を有した防水パッキンである。
【0018】
図4は、アンテナ6およびアンテナバリア8の接続構成を示す説明図であり、図2および図3と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図4において、6bはアンテナ6の芯線、8aはアンテナバリア8の1次側回路、8bは2次側回路である。
アンテナバリア8は入出力のグランドを共通接続せず、マイクロストリップラインで特定の無線周波数だけを通過させ、直流信号を遮断する特性を有するように構成されている。このためアンテナ6の芯線6bと無線機2の間は送受信の周波数だけが通過し、雷サージなど不要な電圧を遮断する。
【0019】
図5は、無線機2を耐圧防爆筐体1へ固定する構造を示す断面図であり、図5において図2と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図5において、2aは無線機2の筐体、9aは無線機2を耐圧防爆筐体1へ固定するためのネジ、9bは平ワッシャ、9cは絶縁ブッシュである。
図5に示すように、ネジ9aは絶縁ブッシュ9cにより無線機2の筐体2aに対し電気的に絶縁された状態で、無線機2の筐体2aを貫通して耐圧防爆筐体1側に形成された取付ネジ孔へ螺合される。この結果、無線機2は耐圧防爆筐体1へ電気的に絶縁された状態で固定される。
【0020】
次に動作について説明する。
アンテナ6は、アンテナレドームなどで覆うことなく耐圧防爆筐体1に取り付けられており、またアンテナ6のシールド部は耐圧防爆筐体1に接続され、耐圧防爆筐体1のフレームグランド5に接続される。また、アンテナ6の同軸ケーブル部6aの芯線6bは、アンテナバリア8の1次側回路8aに接続され直流的に無線機2と絶縁されるとともに特定周波数帯域の交流信号に対して無線機2と接続される。また、無線機2は耐圧防爆筐体1に対し図5に示すような構造で絶縁された状態で耐圧防爆筐体1内に配置されている。このため耐圧防爆筐体1に無線機2を入れても、十分な電波の送出と受信が可能になる。さらにシグナルグランド4とフレームグランド5を分離しても十分な無線機性能を維持することができ、また雷サージから機器の破損を防ぐことが可能になる。
【0021】
また、防爆エリアでも無線通信が可能なように、耐圧防爆筐体1に無線機2などの無線機器を入れ、アンテナ6だけを耐圧防爆筐体1から外部雰囲気中へ出す構成であり、外部雰囲気中に突出するアンテナ6の同軸ケーブル部6aの芯線6bと無線機2を接続する箇所にアンテナバリア8を追加することで本質安全防爆構造を形成し、かつ無線機2とアンテナ6とを直流的に分離して、防爆性能を維持しながら充分な送受信感度で無線通信を行うことが可能になる。
【0022】
また、図5に示す無線機2の耐圧防爆筐体1内への取付構造とアンテナバリア8を追加することで、シグナルグランド4とフレームグランド5を分離することができ、アンテナ6の2重絶縁を図り、アンテナ6から飛び込んで来る雷サージ電圧が常に耐圧防爆筐体1のフレームグランド5側に落ち、無線機器のシグナルグランド4側に飛び込まないため無線機器の破損を防ぐことが可能になり、アンテナ6から侵入する雷サージによる耐圧防爆筐体1に内蔵された無線機2の破損を防止することが可能になる。
【0023】
以上のように、この実施の形態1によれば、アンテナバリア8を無線機2とアンテナ6の間に追加することで本質安全防爆構造を実現し、またアンテナ6をアンテナレドームで覆う必要がなくなり、アンテナ6を外部雰囲気中に出すことで電波の放射を改善でき、送信出力・受信感度の劣化がなくなり、通話エリアが十分確保でき、危険区域内の基地局の設置数を削減できる防爆基地局装置が得られる効果がある。
【0024】
また、図1に示すように交換機11を非防爆区域に設置し、防爆基地局装置13と防爆用移動無線機14を防爆区域で用いるようにして、防爆区域での無線通信を可能にする防爆基地局装置が得られる効果がある。
【0025】
実施の形態2.
図6は、前記実施の形態1の防爆構造をダイバシチ用の基地局装置に適用したときの実施の形態2における防爆基地局装置の構成を示すブロック図である。図6において図2と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図6において、15はダイバシチ用アンテナ、18a,18b,18c,18dはアンテナバリア(アンテナ空中線接続手段,バリア)、16はダイバシチ方式に対応した無線機(無線機器)である。
【0026】
図6に示すように、ダイバシチ方式で2系統・4系統の受信回路を有している基地局装置に対しても、アンテナバリアの数を増加させるだけで、無線性能の劣化がない防爆基地局装置が実現できる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、耐圧防爆構造の耐圧防爆筐体内に、当該耐圧防爆筐体に対し電気的に浮いた状態で無線機器を配置し、前記耐圧防爆筐体外部に本質安全防爆構造のアンテナを配置するように構成したので、無線機器が耐圧防爆筐体に対し電気的に絶縁され、無線機などの機器が雷サージなどにより破損するのを有効に防止でき、また、前記アンテナをアンテナレドームや前記耐圧防爆筐体で覆う必要がなくなり、防爆エリア内で通信を行う際の安全性、信頼性、通信機能の確実性が向上する効果がある。
【0028】
この発明によれば、耐圧防爆筐体のフレームグランドにアンテナのシールド側を接続したアンテナシールド接続構造と、前記耐圧防爆筐体外部の前記アンテナの空中線部分を無線機器に対し直流的に分離する一方、所定の無線周波数の交流信号に対して前記無線機器に接続するアンテナ空中線接続手段とを本質安全防爆構造が備えるように構成したので、前記アンテナから進入する雷サージなどは前記耐圧防爆筐体のフレームグランドに流れ、無線機などの機器が前記雷サージなどにより破損するのを有効に防止でき、また、前記アンテナをアンテナレドームや前記耐圧防爆筐体で覆う必要がなくなり、防爆エリア内で通信を行う際の安全性、信頼性、通信機能の確実性が向上する効果がある。
【0029】
この発明によれば、キャパシタを含みグランドがそれぞれ異なる1次側回路と2次側回路のM結合により特定の無線周波数だけを通過する特性を有したバリアをアンテナ空中線接続手段として備えるように構成したので、アンテナから進入する雷サージなどは耐圧防爆筐体のフレームグランドに流れ、無線機などの機器が前記雷サージなどにより破損するのを有効に防止でき、また、前記アンテナをアンテナレドームや前記耐圧防爆筐体で覆う必要がなくなり、防爆エリア内で通信を行う際の安全性、信頼性、通信機能の確実性が向上する効果がある。
【0030】
この発明によれば、ダイバシチ方式の複数のアンテナを有した基地局装置に耐圧防爆構造と、前記アンテナに対する本質安全防爆構造とを適用するように構成したので、ダイバシチ方式に対応する無線機などの機器が雷サージなどにより破損するのを有効に防止でき、また、前記各アンテナをアンテナレドームや前記耐圧防爆筐体で覆う必要がなくなり、ダイバシチ方式の複数のアンテナを有した基地局装置において防爆エリア内で通信を行う際の安全性、信頼性、通信機能の確実性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1における防爆基地局装置が適用される防爆エリア内でのコードレス電話システムの構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1における防爆基地局装置の構成を示す構造図である。
【図3】この発明の実施の形態1における防爆基地局装置の耐圧防爆筐体へのアンテナの取付構造を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における防爆基地局装置のアンテナおよびアンテナバリアの接続構成を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1における防爆基地局装置の無線機を耐圧防爆筐体へ固定する構造を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2における防爆基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の防爆基地局装置の構成を模式的に示した構造図である。
【符号の説明】
1 耐圧防爆筐体、1a アンテナシールド接続構造、2,16 無線機(無線機器)、5 フレームグランド、6,15 アンテナ、8,18a,18b,18c,18d アンテナバリア(アンテナ空中線接続手段,バリア)、8a 1次側回路、8b 2次側回路。

Claims (2)

  1. 耐圧防爆構造の耐圧防爆筐体と、
    電気的に浮いた状態で耐圧防爆筐体内に配置された無線機器と、
    前記耐圧防爆筐体外部に本質安全防爆構造のアンテナを配置し
    前記本質安全防爆構造は、前記耐圧防爆筐体のフレームグランドにアンテナのシールド側を接続したアンテナシールド接続構造と、前記耐圧防爆筐体外部の前記アンテナの空中線部分を前記無線機器に対し直流的に分離する一方、所定の無線周波数の交流信号に対して前記無線機器に接続するアンテナ空中線接続手段とを備え、
    前記アンテナ空中線接続手段は、キャパシタを含みグランドがそれぞれ異なる1次側回路と2次側回路のM結合により特定の無線周波数だけを通過する特性を有したバリアであることを特徴とする防爆基地局装置。
  2. アンテナは、
    ダイバシチ方式の複数のアンテナであることを特徴とする請求項記載の防爆基地局装置。
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