JP3572608B2 - Transmission control device for continuously variable transmission - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンチスキッド制御装置(ABS)やトラクションコントロール装置(TCS)等のスリップ制御装置と無段変速機とが共に搭載された車両に適用される無段変速機の変速制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アンチロックブレーキ装置と無段変速機が共に搭載された車両の変速制御装置としては、例えば、特開平2−234851号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この公報には、アンチロックブレーキ装置が作動しているとき、制動力の増減を原因として駆動輪車速が変動する。よって、この駆動輪車速を変速制御車速とする変速制御では急に減速側に変速比が変わるような無用な変速制御が行われる。
【0004】
そこで、アンチロックブレーキ装置のアンチロック作用が変速制御により悪化することを防止するため、アンチロックブレーキ装置が作動している状態においては、変速の目標値を決める変速制御車速である駆動輪車速を、推定車体速に置き換える技術が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の無段変速機の変速制御装置にあっては、アンチロックブレーキ制御が終了し、アンチロックブレーキ装置が作動状態から非作動状態に切り換えられると、即、変速制御の変速制御車速が推定車体速から駆動輪車速に戻されるため、この駆動輪車速に戻す際に、まだ駆動輪がスリップ中等で推定車体速と駆動輪車速との差が大きい場合は、変速制御車速が急変することになり、これに合わせて、変速比も急変し、ショックや再スリップ等が発生するおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、スリップ制御装置の作動開始直後から不要な変速による制駆動力制御性能の悪化を防止しながら、スリップ制御装置の作動終了時に変速比の急変を抑えてショックや再スリップ等の発生を防止する無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明では、タイヤと路面間に作用する制動力と駆動力のうち少なくとも一方を制御するスリップ制御装置と、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機とが搭載された車両であって、
少なくとも車両の変速制御車速を含む走行状態を入力とし、前記無段変速機の変速後の入力回転数或いは変速比を設定する変速制御手段と、
前記スリップ制御装置の作動状態を判断する作動状態判断手段と、
該作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していない場合には、駆動輪速である車速センサ車速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力し、スリップ制御装置が作動している場合には、制駆動力制御に用いる推定車体速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力する無段変速機の変速制御装置において、
前記スリップ制御装置が非作動から作動への切り換え判断時、切り換え判断と同時に変速制御車速を車速センサ車速から推定車体速へと切り換える変速制御車速切換手段と、
前記スリップ制御装置が作動から非作動への切り換え判断時、推定車体速と車速センサ車速とを監視し、変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速へ戻すことによる変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づいて設定された戻し条件を判定する戻し条件判定手段と、
前記戻し条件が成立するとき、変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速に戻す変速制御車速戻し手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項2記載の発明では、請求項1記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記戻し条件判定手段を、推定車体速を用いて算出された変速後の入力回転数或いは変速比と、車速センサ車速を用いて算出された変速後の入力回転数或いは変速比との差の絶対値が、設定しきい値以下であるかどうかを判定する手段としたことを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の無段変速機の変速制御装置において、
推定車体速が変速制御車速の最小値として設定された固定値以下かどうかを判断する車体速判断手段を設け、
前記変速制御車速戻し手段を、戻し条件が不成立の場合でも、前記車体速判断手段において推定車体速が固定値以下であると判断された場合には変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速に戻す手段としたことを特徴とする。
【0010】
【発明の作用および効果】
本発明のうち請求項1記載の発明にあっては、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機の変速制御手段において、少なくとも車両の変速制御車速を含む走行状態を入力とし、無段変速機の変速後の入力回転数或いは変速比が設定される。
【0011】
この変速制御では作動状態判断手段において、タイヤと路面間に作用する制動力と駆動力のうち少なくとも一方を制御するスリップ制御装置の作動状態が判断される。
【0012】
この作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していないと判断された場合には、駆動輪速である車速センサ車速に基づく変速制御車速を変速制御手段に入力し、変速後の入力回転数或いは変速比が設定される。一方、作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していると判断された場合には、制駆動力制御に用いる推定車体速に基づく変速制御車速を変速制御手段に入力し、変速後の入力回転数或いは変速比が設定される。
【0013】
そして、スリップ制御装置が非作動から作動への切り換え判断時には、変速制御車速切換手段において、切り換え判断と同時に変速制御車速が車速センサ車速から推定車体速へと切り換えられる。
【0014】
一方、スリップ制御装置が作動から非作動への切り換え判断時には、戻し条件判定手段において、推定車体速と車速センサ車速とが監視され、変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速へ戻すことによる変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づいて設定された戻し条件が判定され、この戻し条件が成立するとき、変速制御車速戻し手段において、変速制御車速が推定車体速から車速センサ車速に戻される。
【0015】
このように、スリップ制御装置の作動が開始されると、直ちに変速制御車速が車速センサ車速から推定車体速へと切り換えられることで、スリップ制御装置の作動状態でも車速センサ車速を変速制御車速とする場合のような不要な変速が抑えられ、スリップ制御装置の作動開始直後から不要な変速による制駆動力制御性能の悪化が防止される。ここで、制駆動力制御性能の悪化とは、例えば、アンチスキッド制御装置の作動時、ブレーキ液圧による制動力に加え減速側に変速比が急変することで車輪に作用する制動力が過大になり、早期に制動ロックを招く等をいう。
【0016】
さらに、スリップ制御装置の作動が終了すると、直ちに変速制御車速が推定車体速から車速センサ車速に戻されるのではなく、変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づいて設定された戻し条件の成立を待って変速制御車速が推定車体速から車速センサ車速に戻される。よって、スリップ制御装置の作動終了時に変速比の急変が確実に抑えられることになり、スリップ制御装置の作動終了と同時に変速制御車速を車速センサ車速に戻す場合のような、変速比急変によるショックや再スリップ等の発生が防止される。
【0017】
本発明のうち請求項2記載の発明にあっては、戻し条件判定手段において、推定車体速を用いて算出された変速後の入力回転数或いは変速比と、車速センサ車速を用いて算出された変速後の入力回転数或いは変速比との差の絶対値が、設定しきい値以下である場合を戻し条件成立として判定される。
【0018】
すなわち、車速センサ車速と推定車体速との単純な差で車速センサ車速への戻しを許可する考えもあるが、同じ車速差でも車速域によって変速比の変化幅が異なるため、しきい値を車速域に対応して多数設定したり、車速の関数にて演算により求める必要がある等、しきい値を設定するのが困難である。
【0019】
これに対し、変速後の入力回転数或いは変速比は変速制御での制御目標値に相当するため、推定車体速を用いて算出された目標値と車速センサ車速を用いて算出された目標値との差の絶対値により戻しを許可する場合、1つのしきい値を設定するだけで良い。
【0020】
よって、しきい値の設定が容易でありながら、変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づく戻し条件を設定することができる。
【0021】
本発明のうち請求項3記載の発明にあっては、車体速判断手段において、推定車体速が変速制御車速の最小値として設定された固定値以下かどうかが判断され、変速制御車速戻し手段において、戻し条件が不成立の場合でも、車体速判断手段において推定車体速が固定値以下であると判断された場合には変速制御車速が推定車体速から車速センサ車速に戻される。
【0022】
すなわち、車速検出精度の低い極低速域での不安定な変速制御を抑えるため、変速制御車速の最小値をある固定値に設定しており、車体速の値がそれ以下になった場合、変速制御車速としてはその最小値以下になることはないこと、また、車速センサ車速と推定車体速との間に多少の差がある場合でも固定値の車速付近は最低変速比になる設定となっている。
【0023】
よって、推定車体速が固定値以下であると判断された場合、戻し条件の成立を待つことなく、直ちに変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速に戻しても、ショックや再スリップ等の発生が防止され、スリップ制御装置の作動終了時点から応答良く変速制御車速を車速センサ車速に戻すことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明による無段変速機の変速制御装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
[無段変速機の伝動ユニット及び変速制御装置の構成について]
図1及び図2は、本発明による無段変速機の変速制御装置を備えるトロイダル型無段変速機を示し、図1はトロイダル型無段変速機の伝動ユニットを示す縦断側面図、図2はトロイダル型無段変速機の変速制御装置を示す図である。
【0026】
まず、トロイダル型無段変速機の主要部である伝動ユニットを、図1により説明する。この伝動ユニットは、図示しないエンジンからの回転が伝達される入力軸20を備え、この入力軸20は、図1に示すように、エンジンから遠い端部を変速機ケース21内に軸受22を介して回転自在に支持し、中央部を変速機ケース21の中間壁23内に軸受24及び中空出力軸25を介して回転自在に支持する。
【0027】
前記入力軸20には入力コーンディスク1を支持し、前記中空出力軸25には出力コーンディスク2を支持し、入出力コーンディスク1,2は、そのトロイド曲面1a,2aが互いに対向するように同軸配置する。
【0028】
そして、入出力コーンディスク1,2の対向するトロイド曲面1a,2a間には、入力軸20を挟んでその両側に配置した一対のパワーローラ3,3を介在させ、これらのパワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧するために、以下の構成を採用する。
【0029】
すなわち、入力軸20の軸受22側端部にローディングナット26を螺合し、このローディングナット26により抜け止めして入力軸20上に回転係合させたカムディスク27と、入力コーンディスク1のトロイド曲面1aから遠い端面との間にローディングカム28を介在させ、このローディングカム28を介して、入力軸20からカムディスク27への回転が入力コーンディスク1に伝達されるようになす。
【0030】
ここで、入力コーンディスク1の回転は両パワーローラ3,3の回転を介して出力コーンディスク2に伝わり、この伝動中、ローディングカム28は伝達トルクに比例したスラストを発生して、パワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に狭圧し、上記動力伝達を可能にする。
【0031】
前記出力コーンディスク2は、出力軸25に楔着し、この出力軸25上に出力歯車29を一体回転するように嵌着する。
【0032】
出力軸25はさらに、ラジアル兼スラスト軸受30を介して変速機ケース21の端蓋31内に回転自在に支持し、この端蓋31内には別にラジアル兼スラスト軸受32を介して入力軸20を回転自在に支持する。ここで、ラジアル兼スラスト軸受30,32は、スペーサ33を開始て相互に接近しないように突き合わせ、また相互に遠ざかる方向への相対変位不能になるよう、対応する出力歯車29入力軸20に対し軸線方向に衝接させる。
【0033】
上記構成により、ローディングカム28によって入出力コーンディスク1,2間に作用するスラストは、スペーサ33を挟むような内力となり、変速機ケース21に作用することがない。
【0034】
各パワーローラ3,3は、図2にも示すように、トラニオン41,41に回転自在に支持し、このトラニオン41,41は、それぞれ上端を球面継手42によりアッパリンク43の両端に回転自在及び揺動自在に、また、下端を球面継手44によりロアリンク45の両端に回転自在及び揺動自在に連結する。
【0035】
そして、アッパリンク43及びロアリンク45は、中央を球面継手46,47により変速機ケース21に上下方向揺動可能に支持し、両トラニオン41,41を相互逆向きにに同期して上下動させ得るようにする。
【0036】
このように、両トラニオン41,41を、相互逆向きに同期して上下動させることによって変速を行う変速制御装置を、図2に基づいて説明する。
【0037】
各トラニオン41,41は、これらを個々に上下方向へストロークさせるためのピストン6,6を設け、両ピストン6,6の両側に、それぞれ上方室51,52及び下方室53,54を画成する。そして両ピストン6,6を相互逆向きにストローク制御するために、変速制御弁5を設置する。
【0038】
ここで、変速制御弁5は、スプール型の内弁体5aと、スリーブ型の外弁体5bとを相互に摺動可能に嵌合し、外弁体5bを弁ケース5cに摺動自在に嵌合して構成する。
【0039】
上記変速制御弁5は、入力ポート5dを圧力源55に接続し、一方の連絡ポート5eをピストン室51,54に、また、他方の連絡ポート5fをピストン知る52,53にそれぞれ接続する。
【0040】
そして、内弁体5aを、一方のトラニオン41の下端に固着したプリセスカム7のカム面に、ベルクランク型の変速レバー8を介して共働させ、外弁体5bを変速アクチュエータとしてのステップモータ4に、ラックアンドピニオン型式で駆動係合させる。
【0041】
変速制御弁5の操作指令は、アクチュエータ駆動位置指令Astep(ステップ位置指令)に応動するステップモータ4が、ラックアンドピニオンを介し外弁体5bにストロークとして与えることとする。
【0042】
この操作指令で、変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から、例えば、図2の位置に変位されて変速制御弁5が開くとき、圧力源55からの流体圧(ライン圧PL)が室52,53に供給される一方、他の室51,54がドレンされ、また、変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から逆方向に変位されて変速制御弁5が開くとき、圧力源55からの流体圧が室51,54に供給される一方、他の室52,53がドレンされ、両トラニオン41,41が流体圧でピストン6,6を介して図中、対応した上下方向へ相互逆向きに変位されるものとする。
【0043】
これにより両パワーローラ3,3は、回転軸軸O1が入出力コーンディスク1,2の回転軸線O2と交差する図示位置からオフセット(オフセット量y)されることになり、核オフセットによりパワーローラ3,3は入出力コーンディスク1,2からの首振り分力で、自己の回転軸線O1と直行する首振り軸線O3の周りに傾転(傾転角φ)されて無段変速を行うことができる。
【0044】
このような変速中、一方のトラニオン41の下端に結合したプリセスカム7は、変速リンク8を介して、トラニオン41及びパワーローラ3の上述した上下動(オフセット量y)及び傾転角φを変速制御弁5の内弁体5aに機械的にxで示すようにフィードバックされる。
【0045】
そして上記無段変速により、ステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、上記のプリセスカム7を介した機械的フィ一ドバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外弁体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3,3は、回転軸線O1が入出力コーンディスク1,2の回転軸線02と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0046】
なお、パワーローラ傾転角φを変速比指令値に対応した値にすることが制御の狙いであるから、基本的にプリセスカム7はパワーローラ傾転角φのみをフィードバックすればよいことになるが、ここでパワーローラオフセット量yをもフィードバックする理由は、変速制御が振動的になるのを防止ずるダンピング効果を与えて、変速制御のハンチング現象を回避するためである。
【0047】
ステップモータ4へのアクチュエ一タ駆動位置指令Astepは、コントローラ61によって決定される。
【0048】
このためにコントローラ61には図2に示すように、エンジンスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ62からの信号、車速VSPを検出する車速センサ63からの信号、入力コーンディスク1の回転数Ni(エンジン回転数Neでもよい)を検出する入力回転センサ64からの信号、出力コーンディスク2の回転数Noを検出する出力回転センサ65からの信号、変速機作動油温TMPを検出ずる油温センサ66からの信号、前記油圧源55からのライン圧PLを検出する(通常は、ライン圧PLをコントローラ61で制御するからコントローラ61の内部信号から検知する)ライン圧センサ67からの信号、工ンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ68からの信号、インヒビタスイッチ60からのレンジ情報についての信号、UP/DOWNスイッチ69からのUP/DOWN情報についての信号、モード選択スイッチ70からの選択モード信号、工ンジン制御装置310からのトルクダウン許可信号、アンチスキッド制御装置(ABS)320からのABS制御信号、トラクションコントロール装置(TCS)330からのTCS制御信号及び定速走行装置340からのASCDクルーズ信号をそれぞれ入力する。
【0049】
コントローラ61は、上記の各種入力情報を基にして以下の演算によってステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astep(変速指令値)を決定するものとする。
【0050】
[コントローラの構成について]
本実施の形態では、コントローラ61を図3に示すように構成する。
【0051】
変速マップ選択部71は、図2のセンサ66で検出した油温TMPや、排気浄化触媒の活性化運転中か否かなど、各種条件に応じて変速マッブを選択する。
【0052】
到達入力回転数算出部72は、このようにして選択された変速マップが例えば図4に示すようなものである場合について説明すると、図2のセンサ62,63でそれぞれ検出したスロットル開度TVO及び車速VSPから、同図の変速線図に対応した変速マップをもとに、現在の運転状態での定常的な目標入力回転数とすべき到達入力回転数Ni*を検索して求める。
【0053】
到達変速比演算部73は、到達入力回転数Ni*を図2のセンサ65で検出した変速機出力回転数Noで除算することによって、到達入力回転数Ni*に対応する定常的な目標変速比である到達変速比i*を求める。
【0054】
変速時定数算出部74は、選択レンジ(前進通常走行レンジD、前進スポーツ走行レンジDs)、車速VSP、スロットル開度TVO、エンジン回転数Ne、アクセルペダル操作速度、トルクダウン制御装置(図示せず)からのトルクダウン量に関する信号及びトルクダウン許可信号、アンチスキッド制御信号、トラクション制御信号、定速走行信号、後に説明する目標変速比Ratio0との変速比偏差RtoERR、などの各種条件に応じて変速制御の第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2を決定するとともに、到達変速比i*と目標変速比Ratio0との偏差Eipを算出する。
【0055】
ここでトロイダル型無段変速機の2次的な遅れ系に対応するために決定される第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2は、到達変速比i*に対する変速の応答性を決定して変速速度を定めるためのもので、目標変速比算出部75は、到達変速比i*を第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2で定めた変速応答をもって実現するための過渡的な時時刻々の目標変速比Ratio0及び中間変速比Ratio00をそれぞれ算出し、目標変速比Ratio0のみを出力する。
【0056】
入力トルク算出部76は、周知の方法によって変速機入力トルクTiを求めるものであり、先ずスロットル開度TVO及びエンジン回転数Neからエンジン出力トルクを求め、次いでトルクコンバータの入出力回転数(Ne,Ni)比である速度比からトルクコンバータのトルク比tを求め、最後にエンジン出力トルクにトルク比tを乗じて変速機入力トルクTiを算出する。
【0057】
トルクシフト補償変速比算出部77は、過渡的な上記目標変速比Ratio0及び当該変速機入力トルクTiから、トロイダル型無段変速機に特有なトルクシフト(変速比の不正)をなくすためのトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。
【0058】
ここで、トロイダル型無段変速機のトルクシフトを補足説明すると、トロイダル型無段変速機の伝動中には、既に説明したようにしてパワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧することからトラニオン41の変形が発生し、これによりこのトラニオンの下端におけるプリセスカム7の位置が変化してプリセスカム7及び変速リンク8からなる機械的フィードバック系の系路長変化を惹起し、これによって上記トルクシフトを発生させる。
【0059】
したがって、トロイダル型無段変速機のトルクシフトは、目標変速比Ratio0及び変速機入力トルクTiによって異なり、トルクシフト補償変速比算出部77は、これらの2次元マップからトルクシフト補償変速比TSrtoを検索によって求める。
【0060】
実変速比算出部78は、変速機入力回転数Niを図2のセンサ65で検出した変速機出力回転数Noで除算することによって、実変速比Ratioを算出する。変速比偏差算出部79は、上記目標変速比Ratio0から実変速比Ratioを差し引いて、両者間における変速比偏差RtoERR(=Ratio0−Ratio)を求める。
【0061】
第1フィードバック(FB)ゲイン算出部80は、変速比偏差RtoERRに応じた周知のPID制御(Pは比例制御、Iは積分制御、Dは微分制御)による変速比フィードバック補正量を算出するときに用いられ、それぞれの制御のフィードバックゲインのうち、変速機入力回転数Ni及び車速VSPに応じて決定すべき第1の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA1、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA1、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA1をそれぞれ求める。
【0062】
これら第1のフィードバックゲインfbpDATA1,fbiDATA1,fbdDATA1は、変速機入力回転数Ni及び車速VSPの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に変速機入力回転数Ni及び車速VSPから検素により求めるものとする。
【0063】
第2フィードバック(FB)ゲイン算出部81は、上記PID制御による変速比フィードバック補正量を算出するときに用いるフィードバックゲインのうち、変速機作動油温TMP及びライン圧PLに応じて決定すべき第2の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA2、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA2、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA2をそれぞれ求める。
【0064】
これら第2のフィードバックゲインfbpDATA2,fbiDATA2,fbdDATA2は、作動油温TMP及びライン圧PLの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に作動油温TMP及びライン圧PLから検索により求めるものとする。
【0065】
フィードバックゲイン算出部83は、上記第1のフィ一ドバックゲイン及び第2のフィードバックゲインを対応するもの同士掛け合わせて、比例制御用フィードバックゲインfbpDATA(=fbpDATA1×fbpDATA2)、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA(=fbiDATA1×fbiDATA2)、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA(=fbdDATA1×fbdDATA2)を求める。
【0066】
PID制御部84は、以上のようにして求めたフィードバックゲインを用い、変速比偏差RtoERRに応じたPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoを算出するために、
先す比例制御による変速比フィードバック補正量をRtoERR×fbpDATAにより求め、
次いで積分制御による変速比フィードバック補正量を∫RtoERR×fbiDATAにより求め、
更に微分制御による変速比フィードバック補正量を(d/dt)RtoERR×fbdDATAにより求め、
最後にこれら3者の和値をPID制御による変速比フィードバック補正量FBrto(=RtoERR×fbpDATA+∫RtoERR×fbiDATA+(d/dt)RtoERR×fbdDATA)とする。
【0067】
目標変速比補正部85は、目標変速比Ratio0をトルクシフト補償変速比TSrto及び変速比フィードバック補正量FBrtoだけ補正して、補正済目標変速比DsrRTO(=Ratio0+TSrto+FBrto)を求める。目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)算出部86は、上記の補正済目標変速比DsrRTOを実現するためのステップモータ(アクチュエータ)4の目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPをマップ検索により求める。
【0068】
ステップモータ駆動位置指令算出部87は、ステップモータ駆動速度決定部88が変速機作動油温TMPなどから決定するステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の上記限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなし、ステップモータ4が1制御周期中に上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得るときは、当該目標ステッブ数DsrSTPをそのままステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすものとする。
【0069】
したがって、駆動位置指令Astepは常時ステップモータ4の実駆動位置とみなすことができる。
【0070】
ステップモータ4は、駆動位置指令Astepに対応する方向及び位置に変位されてラックアンドピニオンを介し変速制御弁5の外弁体5bをストロ一クさせ、トロイダル型無段変速機を既に説明したように所定通りに変速させることができる。
【0071】
この変速によって駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、プリセスカム7を介した機械的フィードバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外分体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3,3は、回転軸線01が入出力コーンディスク1,2の回転軸線02と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89を付加して設ける。
【0073】
このステップモータ追従可能判定部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能か否かを、以下により判定するものである。
【0074】
つまり判定部89は先ず、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置とみなすことができる駆動位置指令Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STPを求める。
【0075】
そして判定部89は、ステップモータ駆動速度決定部88によって既に説明したように決定されたステップモ一夕4の限界駆動速度でもステップモータ4が1制御周期中に解消し得ないステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)の下限値△STPLIMよりもステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STPが小さい時(△STP<△STPLIM)、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、
逆に△STP≧△STPLIMである時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定する。
【0076】
判別部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定する場合、PID制御部84で、既に説明した通りのPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoの演算を継続させる。
【0077】
このようにして、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定した場合は、積分制御による変速比フィードバック補正量∫RtoERR×fbiDATAを当該判定時における値に保持するようPID制御部84に指令する。
【0078】
さらに本実施の形態では、ステップモータ駆動位置指令算出部87において、ステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすようにし、この駆動位置指令Astepをステップモータ4の実駆動位置として判定部89でのステップモータ追従可能判定に資することにしたから、
このような追従可能判定を行うに際して必要なステップモータ4の実駆動位置を、変速制御装置からステップモータ4への駆動位置指令Astepで検知することとなり、上記の追従可能判定を、ステップモータ4の実駆動位置の実測に頼ることなく廉価に行うことができる。
【0079】
また本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89において、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置(駆動位置指令)Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STFが、ステップモータ4の限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差△STPLIMよりも小さい時(△STP<△STPLIM)、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、逆に△STP≧△STPLIMである時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定するため、
油温TMPなどで種々に変化するステップモータ4の限界駆動速度に関係なくステップモータ4の追従可能判定を確実に行うことができる。
【0080】
[変速制御の全体について]
図2のコントローラ61をマイクロコンピュータで構成する場合、図3について説明した変速制御は図5及び図6のプログラムでこれを実行する。
【0081】
図5は変速制御の全体を示し、このルーチンは、例えば、10msごとに実行される。先ず、ステップ91において、変速時定数設定部74(図3)は、車速センサ63(図2)によって検出された車速VSP、エンジン回転センサ68(図2)によって検出されたエンジン回転数Ne、入力回転センサ64(図2)によって検出された変速機入力回転数Ni、スロットル開度センサ62(図2)によって検出されたスロットル開度TVO、インヒビタスイッチ60(図2)からのレンジ情報(自動変速(D)レンジ、スポーツ走行(S)レンジ等)等を読み込む。
【0082】
次いで、ステップ92において、到達入力回転数算出部72(図3)は、入力回転数Niを変速機出力回転数Noによって除算することによって、実変速比Ratioを算出する。次いで、ステップ93において、スロットル開度TVO及び車速VSPから図4に図示したような変速マップを基にして到達入力回転数Ni*を検索して求める。
【0083】
次いで、到達変速比設定手段としてのステップ94において、到達変速比算出部73(図3)は、この到達入力回転数Ni*を変速機出力回転数Noで除算することによって到達変速比i*を算出する。次いで、偏差算出手段としてのステップ95において、変速時定数算出部74(図3)は、到達変速比i*から、前回のルーチンで算出した目標変速比Ratio0(これは後のステップ99で算出される。)を減算して偏差Eipを算出する。
【0084】
次いで、ステップ96において、モード切替、マニュアル変速による有段の変速(以下、「スイッチ変速」という。)があったか否か判定する。具体的には、モード選択スイッチ70(図2)からの選択モード信号に応じて、パワーモードとスノーモードとの間の切替の有無を検出し、インヒビタスイッチ60(図2)からマニュアルレンジ信号を検出するとともにUP/DOWNスイッチ69(図2)からUP/DOWN情報についての信号を検出したか否か判定する。次いで、モード設定手段としてのステップ97、ステップ98及び目標変速比設定手段としてのステップ99において、変速時定数算出部74(図3)は、時定数算出モードと、第1及び第2変速時定数Tg1及びTg2と、目標変速比Ratio0及び中間変速比Ratio00とをそれぞれ算出する。
【0085】
その後、ステップ100において、トルクシフト補償変速比算出部77(図3)は、目標変速比Ratio0及び変速機入力トルクTiに関するマップからトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。次いで、ステップ101において、PID制御部84(図3)は、PID制御によって変速比フィードバック補正量FBrtoを算出する。次いで、ステップ102において、目標変速比補正部85(図3)は、目標変速比Ratio0にトルクシフト補償変速比TSrto及び変速比フィードバック補正量FBrto加算して、補正済目標変速比DsrRTOを算出する。次いで、ステップ103において、ステップモータ4(図2)への駆動位置指令Astepを算出し、本ルーチンを終了する。
【0086】
[変速制御車速の設定について]
上記説明ではABSまたはTCSが非作動であることを前提とし、車速センサ63からの車速VSPを用いて到達入力回転数Ni*を求める場合について説明してきたが、本実施の形態では、アンチスキッド制御装置320やトラクションコントロール装置330から作動信号が入力された場合、車速センサ63からの車速VSP(以下、車速センサ車速VSPSEN)に代え、推定車体速VSPFLを変速制御車速SftVSPとして設定する構成を採用している。
【0087】
図6は変速制御プログラム中の変速制御車速設定処理を示すフローチャートである。この処理は、到達入力回転数算出部72(図3)において実行されるものである。
【0088】
先ず、ステップ104では、アンチスキッド制御装置320からの作動信号によりABS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ105へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0089】
ステップ105では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ106へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0090】
ステップ106では、変速制御車速SftVSPとして駆動輪速を検出する車速センサ63からの車速センサ車速VSPSENが設定され、ステップ104へ戻る。
【0091】
ステップ107では、変速制御車速SftVSPとして推定車体速VSPFLが設定され、ステップ108へ進む。ここで、推定車体速VSPFLとは、ABS制御やTCS制御で従動輪速に基づいて決められる疑似車体速や前後加速度センサからの出力信号を積分演算することで得られる車体速演算値をいう。
【0092】
なお、ステップ104〜ステップ107は、請求項1の変速制御車速切換手段に相当する。
【0093】
ステップ108では、アンチスキッド制御装置320からの作動信号によりABS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ109へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0094】
ステップ109では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される(作動状態判断手段に相当)。非作動であると判断されるとステップ110へ進み、作動であると判断されるとステップ107へ進む。
【0095】
ステップ110では、スロットル開度TVO及び推定車体速VSPFLから図4に示したような変速マップを基にして到達入力回転数Ni*FLが算出されると共に、スロットル開度TVO及び車速センサ車速VSPSENから図4に示したような変速マップを基にして到達入力回転数Ni*SENが算出され、ステップ111へ進む。
【0096】
ステップ111では、推定車体速VSPFLを用いて算出された到達入力回転数Ni*FLと、車速センサ車速VSPSENを用いて算出された到達入力回転数Ni*SENとの差の絶対値が、設定しきい値A以下かどうかが判断される(戻し条件判定手段に相当)。ここで、変速制御車速SftVSPを推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENへ戻すことにより変速比が変化する場合、乗員にとって変速比変化を許容できる最大値を実験等により求め、この求められた1つの値が設定しきい値Aとされる。このステップ111でYESと判断されると、ステップ106へ進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される(請求項1の変速制御車速戻し手段に相当)。また、ステップ111でNOと判断されると、ステップ112へ進む。
【0097】
ステップ112では、推定車体速VSPFLが固定値B以下かどうかが判断される(車体速判断手段に相当)。ここで、変速制御車速SftVSPの最小値として設定されている値が固定値Bとされる。このステップ112でYESと判断されると、ステップ106へ進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される(請求項3の変速制御車速戻し手段に相当)。また、ステップ112でNOと判断されると、ステップ107へ進む。
【0098】
したがって、ABSもTCSも非作動である車両走行時には、図6のフローチャートにおいて、ステップ104→ステップ105→ステップ106の流れが繰り返され、ステップ106では、変速制御車速SftVSPとして車速センサ車速VSPSENの設定が維持される。
【0099】
このABSもTCSも非作動状態からABS或いはTCSが作動を開始すると、図6のフローチャートにおいて、ステップ104→ステップ107或いはステップ104→ステップ105→ステップ107の流れとなり、ステップ107では、変速制御車速SftVSPが車速センサ車速VSPSENから推定車体速VSPFLに切り換えられる。
【0100】
そして、ABS或いはTCSが作動を維持している間は、図6のフローチャートにおいて、ステップ107→ステップ108或いはステップ107→して108→ステップ109を繰り返す流れとなり、ステップ107での推定車体速VSPFLが維持される。
【0101】
このABS或いはTCSの作動が終了し、ABSもTCSも非作動状態になると、図6のフローチャートにおいて、ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ111へと進む流れとなり、ステップ11において、到達入力回転数Ni*FLと到達入力回転数Ni*SENとの差の絶対値が設定しきい値A以下という戻し条件が判断され、戻し条件が非成立の時にはステップ112を介してステップ107へ戻り、戻し条件が成立するまで上記ステップの流れが繰り返えされる。そして、ステップ111での戻し条件が成立すると、ステップ111からステップ106へと進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。
【0102】
また、ステップ111での戻し条件が不成立であっても、推定車体速VSPFLが固定値B以下という車体速条件が成立すると、ステップ112からステップ106へと進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。
【0103】
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、ABS或いはTCSの作動が開始されると、直ちに変速制御車速SftVSPが車速センサ車速VSPSENから推定車体速VSPFLに切り換えられるため、ABS或いはTCSが作動状態でも車速センサ車速を変速制御車速とする場合のような不要な変速が抑えられ、ABS或いはTCSの作動開始直後から不要な変速によるABS制御性能或いはTCS制御性能の悪化が防止される。さらに、ABS或いはTCSの作動が終了すると、直ちに変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻されるのではなく、変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づいて設定された戻し条件の成立を待って変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻されるため、ABS或いはTCSの作動終了時に変速比の急変が確実に抑えられることになり、ABS或いはTCSの作動終了と同時に変速制御車速SftVSPを車速センサ車速VSPSENに戻す場合のような、変速比急変によるショックや再スリップ等の発生が防止される。
【0104】
また、戻し条件を判定するにあたって、推定車体速VSPFLを用いて算出された到達入力回転数Ni*FLと、車速センサ車速VSPSENを用いて算出された到達入力回転数Ni*SENとの差の絶対値が、設定しきい値A以下である場合を戻し条件成立として判定されるため、1つのしきい値を設定するだけで、しきい値の設定が容易でありながら、変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づく戻し条件を設定することができる。
【0105】
すなわち、車速センサ車速VSPSENと推定車体速VSPFLとの単純な差で車速センサ車速VSPSENへの戻しを許可する考えもあるが、同じ車速差でも車速域によって変速比の変化幅が異なるため、しきい値を車速域に対応して多数設定したり、車速の関数にて演算により求める必要がある等、しきい値を設定するのが困難である。
【0106】
さらに、戻し条件が不成立の場合でも、推定車体速VSPFLが固定値B以下であると判断された場合には、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻されるため、ショックや再スリップ等の発生を防止しながら、ABS或いはTCSの作動終了時点から応答良く変速制御車速SftVSPを車速センサ車速VSPSENに戻すことができる。
【0107】
すなわち、車速検出精度の低い極低速域での不安定な変速制御を抑えるため、変速制御車速SftVSPの最小値を固定値Bに設定しており、推定車体速VSPFLがそれ以下になった場合、変速制御車速SftVSPとしてはその最小値以下になることはないこと、また、車速センサ車速VSPSENと推定車体速推定車体速VSPFLとの間に多少の差がある場合でも固定値Bの車速付近は最低変速比になる設定となっている。
【0108】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0109】
例えば、上記実施の形態では、本発明による無段変速機の変速制御装置をトロイダル型無段変速機に適用する場合について説明したが、本発明の変速制御装置をVベルト式無段変速機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無段変速機の変速制御装置を備えるトロイダル型無段変速機の縦断側面図である。
【図2】図1のトロイダル型無段変速機をその変速制御システムと共に示す縦断正面図である。
【図3】図2のコントローラが実行する変速制御の機能ブロック線図である。
【図4】無段変速機の変速パターンを例示する変速線図である。
【図5】本発明による無段変速機の変速制御装置の変速制御プログラムの全体を示すフローチャートである。
【図6】変速制御プログラム中の変速制御車速設定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 入力コーンディスク
2 出力コーンディスク
3 パワーローラ
4 ステップモータ
5 変速制御弁
6 ピストン
7 プリセスカム
8 変速リンク
20 入力軸
28 ローディングカム
41 トラニオン
43 アッパリンク
45 ロアリンク
60 インヒビタスイッチ
61 コントローラ
62 スロットル開度センサ
63 車速センサ
64 入力回転センサ
65 出力回転センサ
66 油温センサ
67 ライン圧センサ
68 エンジン回転センサ
69 UP/DOWNスイッチ
70 モード選択スイッチ
71 変速マップ選択部
72 到達入力回転数算出部
73 到達変速比算出部
74 変速時定数算出部
75 目標変速比算出部
310 エンジン制御スイッチ
320 アンチスキッド制御装置
330 トラクションコントロール装置
340 定速走行装置[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a shift control device for a continuously variable transmission applied to a vehicle equipped with a slip control device such as an anti-skid control device (ABS) or a traction control device (TCS) and a continuously variable transmission. Belongs to.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, as a shift control device of a vehicle equipped with both an anti-lock brake device and a continuously variable transmission, for example, a shift control device described in Japanese Patent Application Laid-Open No. H2-234851 is known.
[0003]
According to this publication, when an anti-lock brake device is operating, a drive wheel vehicle speed fluctuates due to an increase or decrease in a braking force. Therefore, in the shift control in which the driving wheel vehicle speed is set as the shift control vehicle speed, useless shift control in which the gear ratio suddenly changes to the deceleration side is performed.
[0004]
Therefore, in order to prevent the anti-lock effect of the anti-lock brake device from being deteriorated by the shift control, when the anti-lock brake device is operating, the drive wheel speed, which is the shift control vehicle speed for determining the shift target value, is reduced. A technique for replacing the estimated vehicle speed with the estimated vehicle speed is shown.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional shift control device for a continuously variable transmission, when the anti-lock brake control ends and the anti-lock brake device is switched from the operating state to the non-operating state, the shift control vehicle speed of the shift control is immediately set. Is returned from the estimated vehicle speed to the drive wheel speed, and when returning to the drive wheel speed, if the difference between the estimated vehicle speed and the drive wheel speed is large such as when the drive wheels are still slipping, the shift control vehicle speed changes suddenly. Accordingly, there is a problem that the gear ratio also changes suddenly, and a shock or a re-slip may occur.
[0006]
SUMMARY OF THE INVENTION The present invention has been made in view of the above problems, and prevents a sudden change in the gear ratio at the end of the operation of the slip control device while preventing deterioration of the braking / driving force control performance due to unnecessary speed change immediately after the start of the operation of the slip control device. It is an object of the present invention to provide a shift control device for a continuously variable transmission that suppresses the occurrence of shock, re-slip, and the like by suppressing the occurrence of shocks and re-slip.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
According to the first aspect of the present invention, a slip control device that controls at least one of a braking force and a driving force acting between a tire and a road surface, and a drive wheel that continuously changes input rotation from an engine to drive wheels. And a continuously variable transmission that obtains output rotation to the vehicle,
Shift control means for setting a running state including at least a shift control vehicle speed of the vehicle as an input, and setting an input rotational speed or a gear ratio after the shift of the continuously variable transmission,
Operating state determining means for determining an operating state of the slip control device;
When the slip control device is not operated by the operation state determining means, a shift control vehicle speed based on a vehicle speed sensor vehicle speed which is a driving wheel speed is input to the shift control device, and when the slip control device is operated. Is a shift control device for a continuously variable transmission that inputs a shift control vehicle speed based on an estimated vehicle speed used for braking / driving force control to the shift control means.
Shift control vehicle speed switching means for switching the shift control vehicle speed from the vehicle speed sensor vehicle speed to the estimated vehicle body speed at the same time as the switching determination when the slip control device determines to switch from non-operation to operation;
When the slip control device determines to switch from operation to non-operation, the estimated vehicle speed and the vehicle speed sensor vehicle speed are monitored, and the gear ratio change caused by returning the shift control vehicle speed from the estimated vehicle body speed to the vehicle speed sensor vehicle speed is within the allowable change range. Return condition determination means for determining a return condition set based on a determination criterion that
When the return condition is satisfied, a shift control vehicle speed return unit that returns the shift control vehicle speed from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed,
It is characterized by having.
[0008]
According to a second aspect of the present invention, in the shift control device for a continuously variable transmission according to the first aspect,
The return condition determination means determines the absolute value of the difference between the input speed or gear ratio after the shift calculated using the estimated vehicle speed and the input speed or gear ratio after the shift calculated using the vehicle speed sensor vehicle speed. A means for determining whether the value is equal to or less than a set threshold value is provided.
[0009]
According to a third aspect of the present invention, in the shift control device for a continuously variable transmission according to the first or second aspect,
Providing vehicle speed determination means for determining whether the estimated vehicle speed is equal to or less than a fixed value set as the minimum value of the shift control vehicle speed,
Even if the return condition is not satisfied, if the estimated vehicle speed is determined to be equal to or less than the fixed value, the shift control vehicle speed is changed from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed. It is characterized by a means for returning.
[0010]
Function and Effect of the Invention
According to the first aspect of the present invention, in the shift control means of the continuously variable transmission for continuously changing the input rotation from the engine to obtain the output rotation to the drive wheels, at least the shift control of the vehicle is performed. The running state including the vehicle speed is input, and the input rotation speed or the gear ratio of the continuously variable transmission after the shift is set.
[0011]
In this shift control, the operating state determining means determines the operating state of the slip control device that controls at least one of the braking force and the driving force acting between the tire and the road surface.
[0012]
If it is determined by the operating state determining means that the slip control device is not operating, a shift control vehicle speed based on a vehicle speed sensor vehicle speed, which is a driving wheel speed, is input to the shift control device, and the input rotation speed after shifting or The gear ratio is set. On the other hand, when it is determined by the operating state determining means that the slip control device is operating, a shift control vehicle speed based on the estimated vehicle speed used for braking / driving force control is input to the shift control means, and the input rotation after the shift is changed. A number or gear ratio is set.
[0013]
When it is determined that the slip control device is switched from non-operation to operation, the transmission control vehicle speed switching means switches the transmission control vehicle speed from the vehicle speed sensor vehicle speed to the estimated vehicle body speed simultaneously with the switching determination.
[0014]
On the other hand, when the slip control device determines to switch from operation to non-operation, the return condition determination means monitors the estimated vehicle speed and the vehicle speed sensor vehicle speed, and shifts by shifting the shift control vehicle speed from the estimated vehicle body speed to the vehicle speed sensor vehicle speed. A return condition set based on a criterion that the ratio change is within an allowable change range is determined. When the return condition is satisfied, the shift control vehicle speed returning means changes the shift control vehicle speed from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed. Is returned to.
[0015]
As described above, when the operation of the slip control device is started, the shift control vehicle speed is immediately switched from the vehicle speed sensor vehicle speed to the estimated vehicle body speed, so that the vehicle speed sensor vehicle speed is set to the shift control vehicle speed even in the operation state of the slip control device. Unnecessary shifting as in the case described above is suppressed, and deterioration of braking / driving force control performance due to unnecessary shifting immediately after the start of operation of the slip control device is prevented. Here, the deterioration of the braking / driving force control performance means, for example, that when the anti-skid control device is activated, the braking force acting on the wheels is excessively increased due to the sudden change in the gear ratio in the deceleration side in addition to the braking force due to the brake fluid pressure. It means that braking lock is caused early.
[0016]
Further, when the operation of the slip control device is completed, the speed change control vehicle speed is not immediately returned from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed, but is returned based on the determination criterion that the speed ratio change is within the allowable change range. After the condition is satisfied, the shift control vehicle speed is returned from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed. Therefore, when the operation of the slip control device ends, a sudden change in the gear ratio is reliably suppressed, and when the operation of the slip control device is terminated, the shock caused by the sudden change in the gear ratio, such as when the speed control vehicle speed is returned to the vehicle speed sensor vehicle speed. The occurrence of re-slip or the like is prevented.
[0017]
In the invention according to
[0018]
In other words, there is a concept that the return to the vehicle speed sensor vehicle speed is permitted by a simple difference between the vehicle speed sensor vehicle speed and the estimated vehicle body speed. It is difficult to set a threshold value, for example, it is necessary to set a large number in accordance with the range or to calculate by a function of the vehicle speed.
[0019]
On the other hand, since the input rotation speed or gear ratio after shifting corresponds to the control target value in the shift control, the target value calculated using the estimated vehicle speed and the target value calculated using the vehicle speed sensor When the return is permitted by the absolute value of the difference between, only one threshold value needs to be set.
[0020]
Therefore, it is possible to set the return condition based on the criterion that the change in the gear ratio is within the allowable change range, while easily setting the threshold value.
[0021]
In the invention according to
[0022]
That is, in order to suppress unstable shift control in an extremely low speed range where the vehicle speed detection accuracy is low, the minimum value of the shift control vehicle speed is set to a fixed value, and when the vehicle speed becomes lower than that, the shift is changed. The control vehicle speed does not fall below the minimum value, and even if there is a slight difference between the vehicle speed sensor vehicle speed and the estimated vehicle speed, the minimum gear ratio is set near the fixed value vehicle speed. I have.
[0023]
Therefore, if it is determined that the estimated vehicle speed is equal to or lower than the fixed value, a shock or re-slip may occur even if the shift control vehicle speed is immediately returned from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor speed without waiting for the return condition to be satisfied. And the shift control vehicle speed can be returned to the vehicle speed sensor vehicle speed with good response from the end of the operation of the slip control device.
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
A shift control device for a continuously variable transmission according to the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0025]
[Configuration of transmission unit and transmission control device of continuously variable transmission]
1 and 2 show a toroidal type continuously variable transmission provided with a shift control device for a continuously variable transmission according to the present invention. FIG. 1 is a longitudinal sectional side view showing a transmission unit of the toroidal type continuously variable transmission. FIG. 3 is a diagram illustrating a shift control device of the toroidal-type continuously variable transmission.
[0026]
First, a transmission unit which is a main part of a toroidal type continuously variable transmission will be described with reference to FIG. This transmission unit includes an
[0027]
The
[0028]
A pair of
[0029]
That is, a
[0030]
Here, the rotation of the
[0031]
The
[0032]
The
[0033]
With the above configuration, the thrust acting between the input and
[0034]
As shown in FIG. 2, the
[0035]
The
[0036]
A shift control device that performs a shift by vertically moving the two
[0037]
Each of the
[0038]
Here, the
[0039]
The speed
[0040]
Then, the
[0041]
The operation command of the
[0042]
With this operation command, when the
[0043]
Thus both the
[0044]
During such shifting, the precess cam 7 coupled to the lower end of the one
[0045]
When the speed ratio command value corresponding to the actuator drive position command Asstep to the
[0046]
Since the aim of the control is to make the power roller tilt angle φ a value corresponding to the gear ratio command value, the precess cam 7 basically has to feed back only the power roller tilt angle φ. Here, the reason why the power roller offset amount y is also fed back is to avoid a hunting phenomenon of the shift control by giving a damping effect of preventing the shift control from becoming oscillating.
[0047]
An actuator drive position command Asstep to the
[0048]
For this purpose, as shown in FIG. 2, a signal from a
[0049]
The
[0050]
[Controller configuration]
In the present embodiment, the
[0051]
The shift
[0052]
A description will be given of the case where the shift map selected in this way is, for example, as shown in FIG. 4. The reaching input rotation
[0053]
Attained gear
[0054]
The shift time constant calculator 74 includes a selection range (forward normal travel range D, forward sports travel range Ds), a vehicle speed VSP, a throttle opening TVO, an engine speed Ne, an accelerator pedal operation speed, and a torque down control device (not shown). ), The speed reduction according to various conditions such as a torque reduction amount signal, a torque reduction permission signal, an anti-skid control signal, a traction control signal, a constant speed traveling signal, and a speed ratio deviation RtoERR from a target speed ratio Ratio0 described later. The first shift time constant Tg1 and the second shift time constant Tg2 of the control are determined, and the deviation Eip between the attained speed ratio i * and the target speed ratio Ratio0 is calculated.
[0055]
Here, the first shift time constant Tg1 and the second shift time constant Tg2 determined to correspond to the secondary delay system of the toroidal-type continuously variable transmission determine the response of the shift to the attained speed ratio i * . The target speed
[0056]
The input
[0057]
The torque-shift-compensated transmission
[0058]
Here, a supplementary explanation of the torque shift of the toroidal type continuously variable transmission is as follows. During transmission of the toroidal type continuously variable transmission, the
[0059]
Therefore, the torque shift of the toroidal-type continuously variable transmission differs depending on the target speed ratio Ratio0 and the transmission input torque Ti, and the torque shift compensation speed
[0060]
The actual speed
[0061]
The first feedback (FB)
[0062]
These first feedback gains fbpDATA1, fbiDATA1 and fbdDATA1 are previously determined as a two-dimensional map of the transmission input rotation speed Ni and the vehicle speed VSP, and based on this map, the transmission input rotation speed Ni and the vehicle speed VSP are used to determine the input speed and the vehicle speed VSP. Shall be sought.
[0063]
Second feedback (FB)
[0064]
These second feedback gain fbpDATA2, fbiDATA2, fbdDATA2 is set in advance as a two-dimensional map of the working oil temperature TMP and the line pressure P L, determined by the search from the working oil temperature TMP and the line pressure P L based on this map Shall be.
[0065]
The feedback
[0066]
The
The speed ratio feedback correction amount by the proportional control is obtained by RtoERR × fbpDATA,
Next, the gear ratio feedback correction amount by the integral control is obtained by ∫RtoERR × fbiDATA,
Further, the gear ratio feedback correction amount by the differential control is obtained by (d / dt) RtoERR × fbdDATA,
Finally, the sum of the three is set as a gear ratio feedback correction amount FBrto (= RtoERR × fbpDATA + ∫RtoERR × fbiDATA + (d / dt) RtoERR × fbdDATA) by PID control.
[0067]
The target gear
[0068]
The step motor drive position
[0069]
Accordingly, the drive position command Asstep can always be regarded as the actual drive position of the
[0070]
The
[0071]
When a speed ratio command value corresponding to the drive position command Asstep is achieved by this shift, mechanical feedback via the precess cam 7 causes the
[0072]
In the present embodiment, a step motor follow-up
[0073]
The step motor follow-up
[0074]
That is, the
[0075]
The
Conversely, when △ STP ≧ △ STP LIM, it is determined that the
[0076]
If the
[0077]
In this way, when it is determined that the
[0078]
Further, in the present embodiment, when the step motor drive position
The actual drive position of the
[0079]
Further, in the present embodiment, the step motor follow-up
It is possible to reliably determine that the stepping
[0080]
[Overall shift control]
When the
[0081]
FIG. 5 shows the entire shift control, and this routine is executed, for example, every 10 ms. First, in
[0082]
Next, in
[0083]
Next, in
[0084]
Next, at
[0085]
Thereafter, in
[0086]
[Setting of shift control vehicle speed]
The above description has been made on the assumption that the ABS or TCS is inactive, and the case where the reaching input rotation speed Ni * is obtained using the vehicle speed VSP from the
[0087]
FIG. 6 is a flowchart showing a shift control vehicle speed setting process in the shift control program. This process is executed by the reaching input rotation speed calculation unit 72 (FIG. 3).
[0088]
First, in
[0089]
In
[0090]
In
[0091]
In
[0092]
[0093]
In
[0094]
In
[0095]
In
[0096]
In
[0097]
In
[0098]
Therefore, when the vehicle is running in which neither the ABS nor the TCS is in operation, the flow of
[0099]
When the ABS or the TCS starts to operate from the non-operation state of the ABS and the TCS, the flow of
[0100]
While the ABS or TCS is operating, the flow of FIG. 6 repeats Step 107 →
[0101]
When the operation of the ABS or the TCS is completed and both the ABS and the TCS are deactivated, the flow proceeds to step 107 →
[0102]
Further, even if the return condition in
[0103]
As described above, according to the present embodiment, when the operation of the ABS or TCS is started, the shift control vehicle speed SftVSP is immediately switched from the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN to the estimated vehicle body speed VSPFL. Unnecessary shifts such as when the vehicle speed sensor is used as the shift control vehicle speed in the operating state are suppressed, and deterioration of the ABS control performance or TCS control performance due to unnecessary shifts immediately after the start of the ABS or TCS operation is prevented. Further, upon completion of the operation of the ABS or TCS, the speed change control vehicle speed SftVSP is not immediately returned from the estimated vehicle speed VSPFL to the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN, but is set based on a determination criterion that the speed ratio change is within the allowable change range. After the established return condition is satisfied, the shift control vehicle speed SftVSP is returned from the estimated vehicle body speed VSPFL to the vehicle speed sensor vehicle speed VPSEN, so that a sudden change in the gear ratio at the end of the operation of the ABS or the TCS is reliably suppressed, and the ABS or the As in the case where the shift control vehicle speed SftVSP is returned to the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN at the same time as the end of the operation of the TCS, the occurrence of a shock or a re-slip due to a sudden change in the gear ratio is prevented.
[0104]
In determining the return condition, the absolute value of the difference between the reached input rotation speed Ni * FL calculated using the estimated vehicle speed VSPFL and the reached input rotation speed Ni * SEN calculated using the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN is determined. If the value is equal to or less than the set threshold value A, it is determined that the return condition is satisfied. Therefore, setting of one threshold value is easy and setting of the threshold value is easy, but the change of the gear ratio is an allowable change. It is possible to set a return condition based on the criterion of being within the range.
[0105]
In other words, it is possible to allow the vehicle speed sensor to return to the vehicle speed sensor VSPSEN with a simple difference between the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN and the estimated vehicle body speed VSPFL. It is difficult to set a threshold value, for example, it is necessary to set a large number of values corresponding to the vehicle speed range, or to calculate by a function of the vehicle speed.
[0106]
Further, even when the return condition is not satisfied, if it is determined that the estimated vehicle speed VSPFL is equal to or lower than the fixed value B, the shift control vehicle speed SftVSP is returned from the estimated vehicle speed VSPFL to the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN, so that a shock or The shift control vehicle speed SftVSP can be returned to the vehicle speed sensor vehicle speed VPSEN with good response from the end of the operation of the ABS or TCS while preventing occurrence of re-slip or the like.
[0107]
That is, the minimum value of the shift control vehicle speed SftVSP is set to the fixed value B in order to suppress unstable shift control in an extremely low speed range where the vehicle speed detection accuracy is low, and when the estimated vehicle speed VSPFL becomes lower than that, The shift control vehicle speed SftVSP does not fall below the minimum value. Even when there is a slight difference between the vehicle speed sensor vehicle speed VSPSEN and the estimated vehicle body speed estimated vehicle speed VSPFL, the vehicle speed near the fixed value B is the lowest. The gear ratio is set.
[0108]
The present invention is not limited to the above embodiment, and many modifications and variations are possible.
[0109]
For example, in the above-described embodiment, a case has been described in which the transmission control device of the continuously variable transmission according to the present invention is applied to a toroidal type continuously variable transmission. However, the transmission control device of the present invention is applied to a V-belt type continuously variable transmission. It can also be applied.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional side view of a toroidal type continuously variable transmission including a shift control device for a continuously variable transmission according to the present invention.
FIG. 2 is a vertical sectional front view showing the toroidal-type continuously variable transmission shown in FIG. 1 together with a shift control system thereof.
FIG. 3 is a functional block diagram of a shift control executed by a controller of FIG. 2;
FIG. 4 is a shift diagram illustrating a shift pattern of the continuously variable transmission.
FIG. 5 is a flowchart showing the entire shift control program of the shift control device for the continuously variable transmission according to the present invention.
FIG. 6 is a flowchart showing a shift control vehicle speed setting process in a shift control program.
[Explanation of symbols]
Claims (3)
少なくとも車両の変速制御車速を含む走行状態を入力とし、前記無段変速機の変速後の入力回転数或いは変速比を設定する変速制御手段と、
前記スリップ制御装置の作動状態を判断する作動状態判断手段と、
該作動状態判断手段によりスリップ制御装置が作動していない場合には、駆動輪速である車速センサ車速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力し、スリップ制御装置が作動している場合には、制駆動力制御に用いる推定車体速に基づく変速制御車速を前記変速制御手段に入力する無段変速機の変速制御装置において、
前記スリップ制御装置が非作動から作動への切り換え判断時、切り換え判断と同時に変速制御車速を車速センサ車速から推定車体速へと切り換える変速制御車速切換手段と、
前記スリップ制御装置が作動から非作動への切り換え判断時、推定車体速と車速センサ車速とを監視し、変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速へ戻すことによる変速比変化が許容変化範囲内であるという判定基準に基づいて設定された戻し条件を判定する戻し条件判定手段と、
前記戻し条件が成立するとき、変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速に戻す変速制御車速戻し手段と、
を備えていることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。A slip control device that controls at least one of a braking force and a driving force acting between a tire and a road surface, and a continuously variable transmission that continuously changes an input rotation from an engine to obtain an output rotation to a driving wheel. A mounted vehicle,
Shift control means for setting a running state including at least a shift control vehicle speed of the vehicle as an input, and setting an input rotational speed or a gear ratio after the shift of the continuously variable transmission;
Operating state determining means for determining an operating state of the slip control device;
When the slip control device is not operated by the operation state determining means, a shift control vehicle speed based on a vehicle speed sensor vehicle speed which is a driving wheel speed is input to the shift control device, and when the slip control device is operated. Is a shift control device for a continuously variable transmission that inputs a shift control vehicle speed based on an estimated vehicle speed used for braking / driving force control to the shift control means.
Shift control vehicle speed switching means for switching the shift control vehicle speed from the vehicle speed sensor vehicle speed to the estimated vehicle body speed at the same time as the switching determination when the slip control device determines switching from non-operation to operation;
When the slip control device determines to switch from operation to non-operation, the estimated vehicle speed and the vehicle speed sensor vehicle speed are monitored, and the gear ratio change caused by returning the shift control vehicle speed from the estimated vehicle body speed to the vehicle speed sensor vehicle speed is within the allowable change range. Return condition determination means for determining a return condition set based on a determination criterion that
When the return condition is satisfied, a shift control vehicle speed return unit that returns the shift control vehicle speed from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed,
A shift control device for a continuously variable transmission, comprising:
前記戻し条件判定手段を、推定車体速を用いて算出された変速後の入力回転数或いは変速比と、車速センサ車速を用いて算出された変速後の入力回転数或いは変速比との差の絶対値が、設定しきい値以下であるかどうかを判定する手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。The shift control device for a continuously variable transmission according to claim 1,
The return condition determination means determines the absolute value of the difference between the input speed or gear ratio after shifting calculated using the estimated vehicle speed and the input speed or gear ratio after shifting calculated using the vehicle speed sensor vehicle speed. A shift control device for a continuously variable transmission, wherein a means for determining whether a value is equal to or less than a set threshold value is provided.
推定車体速が変速制御車速の最小値として設定された固定値以下かどうかを判断する車体速判断手段を設け、
前記変速制御車速戻し手段を、戻し条件が不成立の場合でも、前記車体速判断手段において推定車体速が固定値以下であると判断された場合には変速制御車速を推定車体速から車速センサ車速に戻す手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。The shift control device for a continuously variable transmission according to claim 1 or 2,
Providing a vehicle speed determining means for determining whether the estimated vehicle speed is equal to or less than a fixed value set as a minimum value of the shift control vehicle speed,
Even if the return condition is not satisfied, if the estimated vehicle speed is determined to be less than or equal to the fixed value, the shift control vehicle speed is changed from the estimated vehicle speed to the vehicle speed sensor vehicle speed. A shift control device for a continuously variable transmission, wherein the shift control device is a returning unit.
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