JP3570558B2 - Dna断片およびそれを含むベクター、該ベクターによって形質転換された形質転換体、該ベクターを用いる蛋白質の産生方法 - Google Patents

Dna断片およびそれを含むベクター、該ベクターによって形質転換された形質転換体、該ベクターを用いる蛋白質の産生方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
組換えDNA技術を用いて蛋白質を産生させる際に有用なDNA断片、および当該DNAを有するベクター、該ベクターを用いた形質転換体、およびこれらを用いた蛋白質の生産方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
現在、生理活性物質等の蛋白質を生産する方法の1つとして、遺伝子工学的技術が広く利用されている。すなわち、目的とする蛋白質をコードする遺伝子を適当な発現ベクターに組み込み、該ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形質転換体の培養混合物から精製するという方法である。近年、より効率的に目的蛋白質を生産させ、最終的な生産量を増加させるための改良が進んでいる。
例えば、宿主として大腸菌を使用する際には以下の方法により目的の蛋白質の発現量を増加させ、最終的な生産量を増加させることが可能になった。すなわち、強力なSD配列を用いることによってリボソームへの会合を起きやすくさせる(J.Shine, L.Dalgano,;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,71;1342, 1974)、組換えDNA分子の各菌体あたりのコピー数を増加させる(R.Nagarajarao, S.G.Rogers,;Gene,6,;247, 1978)、転写量を増加させる目的で強力なプロモーターを用いる(H.A.DeBore,L.J.Comstock,M.Vasser,;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80;21,1980 )、大腸菌自身に存在するプロテアーゼによる生成した有用な目的とする蛋白質の分解を防ぐためにプロテアーゼ欠損の菌株(例えばlon株)を用いる(M.F.Charatte,G.W.Henderson,A.Markovitz,;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78;4728,1981 )(C.H.Chung,A.L.Goldberg,;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78;4931,1981 )等である。
【0003】
一方、目的の蛋白質を積極的に宿主細胞外へ分泌発現させる方法も既に開発され、目的蛋白質の生産に応用されている。蛋白質を細胞内から分泌させることにより、目的タンパク質が宿主細胞内で分解されたり修飾されたりすることを回避できる。また、インクルージョンボディーを形成する事を回避できるので蛋白質の精製がより容易になる。目的とする蛋白質を分泌発現させるには、そのN末端に20〜40アミノ酸程度のシグナルペプチドを融合させた形で発現させる事が必要である。ここでいうシグナルペプチドとは、宿主細胞由来の分泌型蛋白質のシグナルペプチドである。これまでに、種々のシグナルペプチドが蛋白質の分泌発現に使用され、様々なタンパク質の分泌発現が報告されてきた(K.Nakamura,M.Inouye,;EMBO J.,1;771, 1982)(渡辺三登利、菊地泰弘、依田幸司、日下巌、山崎真狩、田村学造、日本農芸化学会昭和59年度大会要旨集 p.425 1984)。しかしながら、一般に、タンパク質を分泌発現させた場合の生産量は、タンパク質を宿主内に蓄積させた場合の生産量に比べて、かなり低い。そのため、先に述べたようなメリットがあるにも関わらず、分泌発現方法によるタンパク質の生産は、工業的には十分利用されていないのが現状である。
以上のように、遺伝子工学的に蛋白質を生産するための技術は、まだ十分とは言ず、生産量の増加、すなわち、発現量を増加させ、また、分泌発現量を増加させるのための技術の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、形質転換体を使用して遺伝子工学的に目的のタンパク質を産生させる場合に、生産量を増加させるために有用なDNA断片およびそれを含むベクターを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
生産量を増加させるためには、形質転換体による目的タンパク質の発現量の増加、形質転換体内での目的タンパク質の安定化、もしくは分泌発現量の増加の少なくとも1つ以上が改善されればよい。
本発明者は鋭意研究の結果、驚くべき事に、ある特定のポリペプチドとの融合タンパク質として目的のタンパク質を発現させる事により、目的タンパク質の生産量が極めて増加する事を見いだした。すなわち、所望するタンパク質を特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドとの融合タンパク質として発現させることにより、発現量が増加し、また、宿主体内からの分泌される量が増加する。本発明者らはこれらの知見に基づき、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明の第1の態様は、目的蛋白質を特定のポリペプチドとの融合蛋白質として発現させるために使用できる、特定のポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNA断片を提供する。
【0007】
本発明第2の態様は、上記ポリペプチドをコードする塩基配列を有することを特徴とするベクターを提供する。
【0008】
本発明の第3の態様は、本発明第2の態様のベクターで形質転換された形質転換体を提供する。
【0009】
本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様のベクターを使用した所望の蛋白質の産生方法を提供する。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、アミノ酸は、当該分野で慣用されている、以下に示す3文字表記もしくは1文字表記の略号を用いて表される。なお、アミノ酸に関し光学異性体が有り得る場合には、特に明示しない場合は、L体を表すものとする。更に、特に明示しない場合は、蛋白質のアミノ酸配列の左端および右端は、それぞれN末端およびC末端である。
【0011】
Gln または、 Q : グルタミン残基
Asp または、 D : アスパラギン酸残基
Pro または、 P : プロリン残基
Tyr または、 Y : チロシン残基
Val または、 V : バリン残基
Lys または、 K : リジン残基
Glu または、 E : グルタミン酸残基
Ala または、 A : アラニン残基
Asn または、 N : アスパラギン残基
Leu または、 L : ロイシン残基
Phe または、 F : フェニルアラニン残基
Gly または、 G : グリシン残基
His または、 H : ヒスチジン残基
Ser または、 S : セリン残基
Thr または、 T : スレオニン残基
Ile または、 I : イソロイシン残基
Trp または、 W : トリプトファン残基
Arg または、 R : アルギニン残基
Met または、 M : メチオニン残基
Cys または、 C : システイン残基
【0012】
本明細書中で使用する核酸の塩基配列は、以下の略号で表される。さらに、特に明示しない限り核酸の塩基配列の左端および右端はそれぞれ5’末端および3’末端である。
【0013】
A:アデニン
C:シトシン
G:グアニン
T:チミジン
【0014】
次に、本明細書中で用いられるX、J、Y、Zおよびx、j、y、zの記号について説明する。
本明細書中でXは下記式1〜8より選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列(それぞれ配列表の配列番号1、2、3、4、5、6、7、8に対応する)を表わし、xはそれをコードする塩基配列を表わす。
【0015】
式1:AVLPQEEEGSG
式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
式3:AVLDQEEEGSG
式4:AVLPQEEEGDG
式5:AVLPQEEEGSGD
式6:AVLPQEEEGSGDD
式7:AVLPQEEEGSGDDD
式8:ADDPQEEEGSG
【0016】
現在の技術を持ってすれば、上記の配列の一部のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列や、上記配列のN末端および/またはC末端に、任意のアミノ酸が任意の数付加することは現在の技術を使用すれば可能である。たとえば、式2の配列は式1の配列のC末端に15個のアミノ酸が付加したものである。また、式5、6、7の配列は式1の配列のC末端に1個ないし3個のアミノ酸が付加したものである。式3、4、8に示した配列は式1の配列の一部のアミノ酸を他のアミノ酸に置換した配列である。目的のタンパク質を、これらの配列を有するポリペプチドとの融合タンパク質として産生させた場合、何れの場合も、式1のポリペプチドとの融合タンパク質として産生させた場合と同様に、目的タンパク質の分泌発現量は増加する。特に、後に記載する実施例2では式3、4、5、6の配列を有するポリペプチドとの融合タンパク質として目的タンパク質を産生させた場合、分泌発現量に与える効果はより大であった。
これらのことを考慮すると、上記式1ないし8のアミノ酸配列に限らず、その一部のアミノ酸を他のアミノ酸に置換したり、N末端および/またはC末端に、任意のアミノ酸を、任意の数、付加もしくは欠損させるなどして得られる配列も、蛋白質の生産量を増加させるために使用できるものと考えられる。したがって、Xでしめされるポリペプチドには、上記式1ないし8のアミノ酸配列に、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、付加が生じたアミノ酸配列を有するポリペプチドも包含される。
【0017】
xは、Xで表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列であればいかなる塩基配列であってもよい。すなわち、コドンの縮重を考慮したすべての可能なコドンの組み合わせが含まれる。
xのより好ましい具体的な塩基配列は下記式9ないし15より選ばれる少なくとも1つの配列である(式9〜15は、それぞれ配列表の配列番号9、10、11、12、13、14、15、16に対応する)。
【0018】
Figure 0003570558
【0019】
本明細書中でJはシグナルペプチドのアミノ酸配列を意味し、jはそれをコードする塩基配列を意味する。
ここでシグナルペプチドとは、原核生物由来、真核生物由来に関わらずあらゆる種類の分泌蛋白質のシグナルペプチドを意味する。例えば、一般的に使用されているシグナルペプチドには、大腸菌外膜リポ蛋白質(Lpp)、大腸菌外膜蛋白質(OmpF)、λファージレセプター蛋白質(LamB)等のシグナルペプチド等がある。本発明でJで示されるシグナルペプチドは、特に限定されないが、好ましくは大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナルペプチドがよい。以下に大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナルペプチドのアミノ酸配列を示した(配列表の配列番号17に対応する)。
【0020】
式17
MKQSTIALALLPLLFTPVTKA
【0021】
jが意味する塩基配列は、上記Jで示されるシグナルペプチドをコードする塩基配列であればいかなる配列でもよい。周知のように、1つのアミノ酸に対応するコドンは複数存在する。したがって、jには、コドンの縮重を考慮した、すべての可能な組み合わせが含まれる。
jのより好ましい具体例を以下の式18に示した(配列表の配列番号18に対応する)。
【0022】
Figure 0003570558
【0023】
本明細書中でYは化学物質や酵素等によって認識され切断されうるアミノ酸もしくはアミノ酸配列を意味し、yはそれをコードする塩基配列を意味する。
目的とする蛋白質が他のタンパク質との融合蛋白として産生されている場合には、他のタンパク質と目的蛋白質を切断分離することが必要になる。このような目的のために、現在、特定のアミノ酸配列部分でポリペプチドを切断する化学物質や酵素が使用されている。例えば、化学物質としては、臭化シアン、酸、2−(2−Nitrophenylsulphonyl)−3−methyl−3−bromoindolenine(BNPS−skatole)、ヒドロキシルアミン等がある。また、部位特異的切断に用いられる酵素としては、エンテロキナーゼ、トリプシン、血液凝固系第Xa因子、コラゲナーゼ、トロンビン等がある。
【0024】
Yは、このような化学物質や酵素によって認識され切断されるアミノ酸もしくはアミノ酸配列であればいかなるアミノ酸およびアミノ酸配列であってもよい。例えば、臭化シアンによって認識されるMet、トリプシンによって認識されるLysもしくはArg、血液凝固第Xa因子によって認識されるアミノ酸配列IleーGluーGlyーArg等(バイオトレンド Vol.2 No.4 p111 1990 丸善 参照)、いかなる配列であってもよい。これらのアミノ酸もしくはアミノ酸配列の中から適宜選択する事ができる。yが意味する塩基配列は、上記Yで示されるアミノ酸またはアミノ酸配列であればいかなる配列でもよい。周知のように1つのアミノ酸に対応するコドンは複数存在する。したがって、yには、コドンの縮重を考慮した、すべての可能な組み合わせが含まれる。yのより好ましい具体例は、MetをコードするATGおよび、FXaにより認識されるIle−Glu−Gly−Argをコードする配列である。
【0025】
本明細書中でZは目的とする蛋白質のアミノ酸配列を意味し、zはそれをコードする塩基配列を意味する。
Zが意味する目的蛋白質には、ヒト由来タンパク質に限らず、いかなる由来のタンパク質、いかなる性質および物性のタンパク質が含まれる。例えば、インターロイキン1〜11、各種コロニー刺激因子、TNFやIFNα、β、γ等のサイトカイン、EGF、FGF等の増殖因子、インスリン等のホルモン、t−PA等の酵素、もしくはこれらのインヒビターやレセプター、また、コラーゲン等の生体成分等である。Zが意味する目的蛋白質は、特に限定されないが、好ましくは、生理活性を有する蛋白質がよく、より好ましくは以下のPSTI(Pancreatic Secretary Trypsin Inhibitor)を示す [Kikuchi N. et al., J. Brochem. 102巻、607〜612頁、1987年] 式19、AN68を示す式20(特願平4−119289号)、Q19K/Y46Dを示す式21(特願平4−297344号)、R11S/Q19K/Y46Dを示す式22(特願平4−297344号)の配列を有するタンパク質、もしくは、これらのアミノ酸配列にアミノ酸の置換、付加、欠失が生じてなるアミノ酸配列を有するタンパク質が好ましい。これらのタンパク質は、それぞれ記載の公知の物質または特許出願明細書中に詳細に記載されており、これらの特許出願明細書中の記載を引用して本出願の内容とする。
【0026】
Figure 0003570558
【0027】
Figure 0003570558
【0028】
Figure 0003570558
【0029】
Figure 0003570558
【0030】
以下に本発明の第1の態様を説明する。
説明で用いるX、xの示す意味およびそれらの好ましい例については先に説明した通りである。
本発明第1の態様はxで示される塩基配列を有するDNA断片である。本発明のDNA断片はxで示される塩基配列に加え、その5’末端や3’末端に制限酵素認識部位や任意のアミノ酸やアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する物であってもよい。例えば、その5’末端に、jで示されるシグナル配列をコードする塩基配列を有するDNA断片、すなわち、J−X(例えば配列表、配列番号23〜30参照)をコードする塩基配列を有するDNA断片は、本発明第1の態様のDNA断片として好ましい(例えば配列表、配列番号31〜38参照)。また、j−x−y、j−x−y−z、j−x−zで示されるDNA断片も、本発明第1の態様のDNA断片として好ましい。
また、本発明のDNA断片はいかなる方法で得られた物であっても良い。例えば化学合成する場合には、目的の塩基配列、およびその相補鎖の塩基配列を有するDNAを、一本鎖DNA断片として設計する。次に各オリゴマーをDNA合成機(例えばアプライドバイオシステムズ社製、392A型)を化学合成し精製する。その後、引き続いてT4ポリヌクレオチドキナーゼによる5’末端のリン酸化処理、アニーリング、T4DNAリガーゼ等によるライゲーション等の処理をすることにより目的のDNA断片を得る事ができる。また、プライマーを化学合成により作成して、適当なcDNAライブラリーから、PCR法等を使用して所望の変異を導入しながら得る事もできる。J−Xの好ましいアミノ酸配列の例を配列表の配列番号23〜30に示し、j−xの好ましい塩基配列の例を配列表の配列番号31〜38に示した。
【0031】
目的タンパク質を、Xで示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドとの融合タンパク質として発現させた場合、少なくとも、発現量および/または分泌量が増加する。本発明第1の態様のDNA断片は、組換えDNA技術を用いて産生させようとする目的の蛋白質を、Xで示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドとの融合蛋白質として発現させるために有用であり、すなわち、目的蛋白質を高収率で産生させるために使用できる。
【0032】
以下に本発明の第2の態様を説明する。
説明の中で使用するX,J,Y,Zおよびx,j,y,zの意味およびそれらの好ましい例については、それぞれ先に説明した通りである。
本発明第2の態様はxで示される塩基配列を有することを特徴とするベクターである。
xで示される塩基配列は、タンパク質の生産量を増加させるために有効なので、本発明のベクターは、蛋白質の発現ベクターを構築する際の材料として使用できる。
【0033】
本発明のベクターは、好ましくはxに加えその5’末端にjで示される配列を有するものがよい。すなわち、j−xで表される塩基配列を有するベクターである。蛋白質がJ−Xで示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドとの融合蛋白質として発現された場合、その蛋白質の分泌発現量は増加する。したがって、j−xで示される塩基配列は、少なくとも物質の分泌発現量を増加させるために有用である。j−xで示される塩基配列を有するベクターは、物質を分泌発現させるための発現ベクターの構築の際の材料として使用する事ができる。
【0034】
本発明のベクターは、j−xの5’末端および/または3’末端に制限酵素認識部位を有していてもよい。その場合には、当該j−xで示される塩基配列を、適当な市販のベクターに組み込んだり、j−xの下流に任意の目的とする蛋白質をコードする塩基配列を組み込んだりする場合に有用である。
【0035】
本発明のベクターは、j−xの3’末端にyで示される塩基配列を有するもの、すなわち、j−x−yで表される配列を有するものであってもよい。本発明のベクターは、j−x−yの5’末端および/または3’末端に制限酵素認識部位を有していてもよい。その場合には、当該j−x−yで示される塩基配列を、適当な市販のベクターに組み込んだり、j−x−yの下流に任意の目的とする蛋白質をコードする塩基配列を組み込んだりする場合に有用である。
【0036】
本発明のベクターは、j−x、j−x−yで表される配列の3’末端に任意の目的とする蛋白質をコードする塩基配列が接続されたものであってもよい。すなわち、j−x−zもしくはj−x−y−zで表される配列をその内部に有するベクターであってもよい。このような場合、化学物質や酵素により認識されるアミノ酸もしくはアミノ酸配列Yは、Zで示される目的蛋白質のアミノ酸配列中に存在しないアミノ酸もしくはアミノ酸配列であることが好ましく、従って、yもそのようなYをコードする塩基配列がよい。
【0037】
本発明のベクターはj−x、j−x−y、j−x−y−z、もしくはj−x−zのいずれかで表される配列に加え、その上流および/または下流の任意の位置に、発現に必要な配列や、マーカーとなる配列、リンカー配列等を有していてもよい。例えば、j−x、j−x−y、j−x−y−z、もしくはj−x−zの上流に、一つ以上のプロモーター配列、SD配列を有していてもよいし、上流もしくは下流の任意の位置に、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子もしくはアンピシリン耐性遺伝子を有していてもよい。また、プラスミドのコピー数の増幅を目的として、デヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR遺伝子)の配列等を上流に有していてもよい。
【0038】
以上に述べた本発明のベクターは、いかなる目的で使用されてもよい。例えば、遺伝子をクローニングするために使用されてもよいし、他のベクターを構築する際の材料として使用されてもよい。
【0039】
本発明のベクターは自己複製可能なベクターが好ましい。本発明第1の態様でも説明したように、xで示される塩基配列は少なくともタンパク質の発現量および/または分泌量を増加させるために有用である。従って、xで示される塩基配列を有する本発明のベクターは、好ましくは、タンパク質の発現用に使用されるのがよい。すなわち、本発明のベクターは、j−x、j−x−y、j−x−y−z、もしくはj−x−zのいずれかの配列に加えて、少なくともプロモーター配列を有するものが好ましい。また、より好ましくは、プロモーター配列に加え、オペレーター配列、SD配列も合わせ持つものが好ましい。
宿主が原核細胞である場合に機能するプロモーターの例としては、trpプロモーター、lacプロモーター、λファージPプロモーター、tacプロモーター、blaプロモーター、lppプロモーター、ompAプロモーター、ompCプロモーター、ompFプロモーター等がある。宿主細胞が真核細胞である場合に機能するプロモーターの例としては、アクチン遺伝子のプロモーター、SV40のプロモーター、アデノウイルスIIのプロモーター、エロンゲーションファクター遺伝子のプロモーター等がある。
本発明のベクターが有するプロモーター配列は特に限定されないが好ましくは、下記〔1〕ないし〔3〕の群より選ばれる少なくとも1つの配列が好ましい。
〔1〕trpプロモーター
〔2〕tacプロモーター
〔3〕lacプロモーター
【0040】
本発明の第1の態様のDNA断片、例えば、j−x、j−x−y、j−x−z、j−x−y−zで示される塩基配列を有するDNA断片は、いずれも公知のDNA技術で得る事ができる。例えば化学合成したり、適当なDNA断片を鋳型として、PCR法等を使用して変異を導入しながら、作製することも可能である。もちろん、j,x,y,zで示される塩基配列を有するDNA断片を個々に得てライゲーションさせてもよい。jで示されるシグナルペプチドは、市販のベクターに適当なものが組み込まれている場合があるので、適当な制限酵素で切断後、分離して得る事ができる。
【0041】
本発明の第2の態様のベクターはいかなる方法で得られた物であっても良い。例えば、本発明の第2の態様のベクターは、j−x、j−x−y,j−x−z、j−x−y−zで示される塩基配列およびその相補鎖からなる2本鎖DNA断片を作成して、それを市販のベクターに正しい読みとり枠で組み込む事により得る事ができる。また、適当なプロモーター配列やマーカー配列をもつDNA断片をそれぞれ作成して、上記配列と共に任意の位置に組み込んでもよい。ベクターにDNA断片を組み込む方法は公知である(例えばMolecular Cloning、 a labolatory manual、 T. Maniatis等編、Cold Spring Harbor Laboratory、1982)。使用する市販のベクターの由来は特に限定されず、あらゆる種類のプラスミド、ファージ、ウイルス由来のベクターから適宜選択して使用できる。ベクターの代表的なものを列挙すると、pUC118、pBluescriptIIKS(+)、pBR322、pSV2−dhfr、λZapII、λgt10、pAc700、AcNPV、YAC、pEFBOS、pEFN−II等があげられる。
【0042】
次に、本発明の第3の態様の形質転換体について説明する。
本発明の第3の態様の形質転換体は、本発明の第2の態様のベクターを宿主となる細胞や微生物に導入する事によって形質転換体とされる。宿主細胞の例としては、大腸菌、枯草菌、酵母、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、Sf細胞、HeLa細胞、Namalwa細胞等がある。また、温度感受性株や栄養要求性等、ミュータントも本発明の形質転換体を得るための宿主細胞として使用できる。本発明の形質転換体は、由来は特に限定されないが、しかしながら、好ましくは下記〔1〕ないし〔3〕よりなる群より選ばれる少なくとも1つがよい。
〔1〕大腸菌
〔2〕枯草菌
〔3〕酵母
【0043】
本発明の形質転換体は、好ましくは、目的とする蛋白質を発現し、産生するものがよい。この場合には、形質転換に使用するベクターはプロモータ等発現に必要な配列を有している事が必要であり、当該発現に必要な配列と宿主細胞とは互いに機能し得るように組み合わせる必要がある。代表的な組み合わせ例としてはSV40の初期プロモーターを有するベクターとCOS細胞、トリプトファンプロモーターとトリプトファンSD配列を有するベクターと大腸菌等がある(実験医学臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック、1991年3月20日発行、羊土社
参照)。
【0044】
形質転換体の作成方法は公知である(実験医学臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック、既出、参照)。すなわち、本発明の第2の態様の発現ベクターを、エレクトロポレイション法、プロトプラスト法、アルカリ金属法、リン酸カルシウムゲル法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、ウイルス粒子を用いてインフェクションさせる方法等の操作を行った後、薬剤耐性や、酵素要求性、もしくは発現産物等を指標にして、宿主が当該ベクターにより形質転換されたクローンを選択すればよい。
【0045】
本発明の第3の態様の形質転換体は、本発明の第2の態様のベクターを大量に製造する目的や、目的とする蛋白質を製造するために使用できる。
【0046】
次に、本発明の第4の態様の所望のタンパク質の産生方法について説明する。説明で用いるJ、X、Y、Zおよびj、x、y、zの意味およびそれぞれの好ましい例については、先に説明した通りである。
本発明の第4の態様は、本発明第1の態様のDNA断片を利用した蛋白質の産生方法、すなわち、本発明の第2の態様のベクターを使用した蛋白質の製造方法である。当該方法では、目的とする蛋白質Zを、J−X−ZもしくはJ−X−Y−Zいずれかで表されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質として発現させる工程を含む事を特徴とする。すなわち、本発明の産生方法において、目的とするタンパク質Zは、そのN末端に、J−XもしくはJ−X−Yのアミノ酸配列を有する融合タンパク質として発現されたのち、融合タンパク質として宿主細胞もしくは培地に存在していてもよいし、切断されて、例えばX−Z、X−Y−Z、Zのような形で、宿主や培地中に存在していてもよい。またこのような融合蛋白質の形で単離・精製されてもよい。
【0047】
以下に本発明の産生方法の工程の一例を説明する。
当該産生方法は、例えば、下記a)からf)の工程を順次行えばよい。
a)j−x−zもしくはj−x−y−zで表されるDNA断片を有する発現ベクターを得る。
b)a)で得た発現ベクターで適切な宿主細胞を形質転換する。
c)得られた形質転換体を培養し必要な場合は導入した遺伝子の発現を誘導する。
d)得られた形質転換体の培養上清中および/あるいは、形質転換体そのものから、J−X−ZもしくはJ−X−Y−Zで表されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を回収し精製する。
e)得られた融合タンパク質より、目的とする蛋白質Zを単離精製する。
【0048】
上記a)の発現ベクターは本発明第2の態様のベクターであって、発現に必要な塩基配列を有するベクターである。当該ベクターを得るための方法は本発明第2の態様で説明した。b)の工程では形質転換体を作製するが、ここで用いる宿主細胞はa)で得られた発現ベクターが機能し得るような宿主細胞である。形質転換の方法は、本発明第3の態様で説明した通りである。
【0049】
上記c)の工程では形質転換体を培養するが、培養方法は宿主細胞に応じた公知方法で行えばよい(例えば、生物化学工学、合葉修一等、1976年、東京大学出版会および微生物遺伝学実験法 p96〜115、石川辰夫編 共立出版1982年参照)。通常、大腸菌であればL−ブロース培地やM9培地(カザミノ酸含有)を培地として、37℃にて1〜2日間ジャーファーメンターにて培養する。枯草菌の場合はTBAB(Tryptose Blood Agar Base、Difco社)プレートやPenassay broth(Antibiotic Medium No.3、 Difco社)等を培地とし、30℃〜35℃にて1〜2日間培養する。また、酵母であれば8%ショ糖を含むYP培地を用い、28℃にて約1〜2日間培養する。
近年では、目的蛋白質の分泌発現量を増加させる目的で形質転換体を低温(約20℃〜25℃)で培養する方法も確立されているので、必要に応じて低温培養を行っても良い。このように、蛋白質の生産量を増加させるための工夫がされた培養方法と本発明の産生方法を組み合わせれば、目的蛋白質の最終的な生産量はより高くなる事が予想される。
【0050】
また、産生誘導刺激の必要性およびその方法は、導入された組換えDNA分子の持つプロモーターの種類によって決定される。例えば、導入されたプロモーターがトリプトファンプロモーターであれば、M9培地(最小必須培地)を使用し、3β−インドールアクリル酸を添加して産生誘導刺激を行う。すなわち、本発明の製造方法においては産生誘導刺激は形質転換に使用した発現ベクターや形質転換体に応じた方法で行えば良い。
【0051】
上記d)の工程では、J−X−ZもしくはJ−X−Y−Zで表されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を回収、精製する。通常シグナルペプチドを有するタンパク質は、細胞から培養上清中に分泌されるが、宿主細胞内にインクルージョンボディーとして蓄積されることもある。
培養上清より回収するには、培養上清もしくはその濃縮液をスターティングマテリアルとして精製を行う。また、目的の蛋白質がペリプラズムに蓄積される場合は、Willsky等の方法(J.Bacteriol.,Vol.pp595 1976)等で蛋白質を回収後精製する。細胞内に蓄積された融合タンパク質を回収するには、リゾチーム、界面活性剤、凍結融解、加圧等の手段を用いて細胞を破壊した後、遠心分離、濾過等の方法により抽出する。その後リフォールディング処理を行い(例えば、Thomas E. Creighton, J.Mol. Biol., 87巻、563ー577頁、1974年参照)、更に精製すればよい。
【0052】
通常行われるタンパク質の精製方法としては、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーや抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等がある。したがって、工程d)においても、目的とする融合タンパク質を、その分子量や生理活性を指標として、通常使用され得る精製方法を適宜組み合わせ、必要によりHPLCシステム等を使用して行えば良い。
【0053】
工程e)では、得られた融合タンパク質から、目的とする蛋白質Zを単離精製する。工程d)で培養上清もしくはペリプラズムから融合タンパク質を回収している場合には、Jで表されるシグナルペプチド部分は既に切断されている場合が多いので、融合タンパク質からXもしくはX−Yで表される部分を切断除去すればよい。また、細胞内より回収している場合にはJ−X、もしくはJ−X−Yで表される部分を切断除去する。
切断除去には、特定のアミノ酸もしくはアミノ酸配列(融合タンパク質がJ−X−Y−Zで表される場合には、Yで示されるアミノ酸もしくは表されるアミノ酸配列)を認識して、それと反応し、結果的にポリペプチド鎖を切断する効果を有する化学物質や酵素を使用する。ここで用いる化学物質や酵素は特に限定されないが、目的とする蛋白質Zの活性を失わないような物質を選択する事が必要である。目的とする蛋白質Zは、そのアミノ酸配列を完全に有した形で切断単離されるのが好ましいが、その活性や特性を失わない範囲であれば、化学物質等の処理によりそのN末端側やC末端側の一部が欠失される事があってもかまわない。また、同様に、目的とする蛋白質ZのN末端側に、XやYに由来するペプチド断片が存在していてもかまわない。
いうまでもないが、形質転換体によりJ−X−ZもしくはJ−X−Y−Zとして発現された融合蛋白質から、余分なJーXやJ−X−Yが宿主細胞自身によって除去されるような場合には化学物質や酵素を用いての切断処理は必要ない。
【0054】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例として示すものであり、本発明はこれらによって、何等、限定されるものではない。また、以下の記載において用いる略号は、当該分野における慣用略号に基づくものである。なお、実施例中の諸操作は、下記の雑誌、成書を参考として実施した。
【0055】
1.A Practical guide to molecular cloning, Bernard Perbal著、1984年、John Wiley & Sons, Inc.
2.A Practical guide to molecular cloning, Second edition、 Bernard Perbal著、1987年、John Wiley & Sons, Inc.
3.遺伝子操作実験法、高木康敬編著、1980年、講談社
4.遺伝子操作マニュアル、高木康敬編著、1982年、講談社
5.Molecular Cloning, a laboratory manual、 T. Maniatis 等編、1982年、Cold Spring Harbor Laboratory
6.Methods in Enzymology 、65巻、L. Grossman 等編、1980年、Academic Press
7.Methods in Enzymology 、68巻、R. Wu 編、1979年、Academic Press
8.PCR Protocols 、a guide to methods and applications 、 Michadel A. I 等編、1990年、Academic Press
9.Molecular Cloning, a laboratory manual、Second edition T. Maniatis 等編、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory
10.実験医学別冊、細胞工学的技術総集編、1989年、羊土社
11.実験医学別冊、遺伝子工学ハンドブック、1991年、羊土社
【0056】
実施例1.プラスミドpKK223Mの作成
j−xで示される塩基配列を有するベクターであって、jとして前記式18の大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナル配列をコードする塩基配列、xとして前記式9の塩基配列を有するプラスミドpKK223Mを以下の方法で作成した。
まず、市販のプラスミドpKK223−3を制限酵素EcoRIおよびHindIII にて二重消化し、得られたDNA断片混合物を0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、約4.5kbのDNA断片をジエチルアミノエチルセルロ−ス紙(以後、DEAEセルロース紙と略す)に吸着させ、残りのDNA断片と分離した。さらに、DEAEセルロース紙を高濃度塩溶液(2M NaCl/10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)/1mM EDTA)にて洗浄し、約4.5kbのDNA断片をDEAEセルロース紙より回収した。
まず、図1の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント1a)を、4つの断片に分けて設計した。これら4つの断片のうち、S2、S3をATPの存在下、T4ポリヌクレオチドキナーゼで5’末端をリン酸化した。続いて、オリゴヌクレオチドS1とS3およびS2とS4をそれぞれアニーリングさせた後、T4DNAリガーゼ(宝酒造株式会社製)を使用してライゲーションした。ライゲーション後のサンプルを8%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、約120bpのDNA断片を分離、調製した。
次に、前記約4.5kbのDNA断片と約120bpのDNA断片をライゲーションし、大腸菌HB101株を形質転換させ、所望のアンピシリン耐性コロニーを分離した。得られた形質転換体からプラスミドDNAを分離し、プラスミドpKK223Mと命名した(図2参照)。
【0057】
実施例2.プラスミドpM474の作成
本発明のプラスミドpM474を以下の方法で作成した。当該プラスミドは、j−x−y−zで示されるPSTIの発現ベクターであって、j,x,y,zとしてそれぞれ以下の塩基配列を有するプラスミドである。
j:前記式18の大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナル配列をコードする塩基配列、
x:式9の塩基配列
y:Metをコードする塩基配列
z:PSTIをコードする塩基配列
【0058】
〔1〕pM474の作成
プラスミドpM463(KANAMORI T.等、GENE、66巻、295ー300頁、1988年、図3参照)を制限酵素HindIII およびNruIにて二重消化し、約3.4kbのDNA断片を分離した。
一方、SD配列、大腸菌アルカリフォスファターゼシグナルペプチドをコードする塩基配列、式1のアミノ酸配列をコードする塩基配列およびPSTIのN末端側のアミノ酸配列の一部をコードする塩基配列から成るDNA断片を、6つの断片に分割して設計した(フラグメントA、図4参照)。実施例1の要領で化学合成し、最終的に、約140bpのDNA断片を分離、調製した。前記約3.4kbのDNA断片と約140bpのDNA断片をライゲーションし、大腸菌HB101株を形質転換させ、所望のアンピシリン耐性コロニーを分離した。得られた形質転換体からプラスミドDNAを分離し、プラスミドpM474を得た。
プラスミドpM474を制限酵素HindIII およびBamHIで二重消化し、目的とするサイズ約300bpの断片を抽出、精製した。DNAシークエンサー(DNAシークエンサー370A、アプライドバイオシステムズ社)を使用して、シークエンシングを行った。
プラスミドpM474のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの確認された塩基配列、および対応するアミノ酸配列を図5に示した(配列表の配列番号19参照)
【0059】
〔2〕分泌発現量の比較
本発明のプラスミドpM474を使用した場合のPSTI分泌発現量を、プラスミドpM463(既出)を使用した場合のそれと比較した。プラスミドpM463には、大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナルペプチドをコードする塩基配列の下流に、直接、PSTIをコードする塩基配列が組み込まれている。
まず、ハナハンの方法(Hanahan,D.著、Techniques for Transformation of E. Coli、 In: DNA cloning, vol 1, Glover, D. M. (ed.),109−136頁、IRL Press 、1985年)により、プラスミドpM463とpM474でそれぞれlon株の大腸菌GC4670(lon:Tn10 thr,leu,lacY)を形質転換し、大腸菌GC4670(pM463)およびGC4670(pM474)を作製した。それぞれを50μg/mlアンピシリン含有L−ブロース5mlにて終夜培養後、アンピシリン50μg/ml、カザミノ酸2%を含むM9CA培地50倍量に、この培養液を植菌し、37℃にて約1時間培養した。培地に終濃度10μg/mlの3β−インドールアクリル酸(和光純薬工業株式会社製)を添加し、さらに16時間培養した。得られた培養混合物を遠心分離器(CR20B3、日立工機株式会社製)を使用して、遠心分離し、上清を回収した。
それぞれの培養上清を、0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)で各濃度に希釈してサンプルとし、後述の方法でトリプシン阻害活性を測定した。その結果、xで示される塩基配列を有しているプラスミドpM474で、極めて高い分泌発現量が確認された。以下に結果を示す。
【0060】
Figure 0003570558
【0061】
実施例3.
j−x−y−zで示される塩基配列を有するポリペプチドAN68の発現ベクターであって、j,x,y,zとしてそれぞれ以下の塩基配列を有するプラスミドを、以下の〔2〕ないし〔9〕の方法で作成した。
j:前記式18の大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナル配列をコードする塩基配列、
x:前記式9ないし12いずれかの塩基配列
y:Metをコードする塩基配列
z:ポリペプチドAN68をコードする塩基配列
また、大腸菌アルカリフォスファターゼシグナルペプチドをコードする塩基配列の下流に直接、ポリペプチドAN68をコードする塩基配列が組み込まれたプラスミドpM594を〔1〕の方法で作成した。
【0062】
〔1〕プラスミドpM594の作成
pM594をプラスミドpM552(特願平3−325220号明細書参照)から以下のように作成した。プラスミドpM552は、下記式23のアミノ酸配列をコードする塩基配列(すなわち、下記式24の塩基配列)を、大腸菌アルカリフォスファターゼシグナルペプチドをコードする塩基配列の下流に有し、トリプトファンプロモーター、カナマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドである(図6、微工研条寄第3561号)。
【0063】
Figure 0003570558
【0064】
Figure 0003570558
【0065】
まず、第一次PCR用のセンスプライマーとしてHindIII プライマー(図7)、AN68プライマー(図8)を、おのおの化学合成し、これらをプライマーとして、プラスミドpM552を鋳型とする第一次PCRを行った。PCRは、ジーンアンプキット(宝酒造株式会社)を用いて行い、94℃、1分間、55℃、2分間、72℃、3分間を1サイクルとする反応を、30サイクル繰り返した。第一次PCR後の増幅産物の一部を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とする、サイズ約130bpのDNA断片が確認された。増幅産物をフェノール処理/エタノール沈殿で精製した後、TEバッファーに溶解した。これをセンスプライマーとして、プラスミドpM552を鋳型とする第二次PCRを第一次PCRと同様に行なった。なお、アンチセンスプライマーとしては、pBR BamHIプライマー(図9)を化学合成して使用した。
第二次PCR後の増幅産物の一部を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とするサイズ約350bpのDNA断片が確認された。増幅産物をフェノール処理/エタノール沈殿にて精製した後、制限酵素HindIII およびBamHIで消化し、サイズ約300bpのDNA断片を得た。
プラスミドpM463(既出)を制限酵素HindIII およびBamHIにて二重消化し、サイズ約3.3kbのDNA断片を得た。次に、上記DNA断片とライゲーションし、プラスミドpM594を得た。
【0066】
〔2〕pM710の作製
図10の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント1b)を5つの断片に分割して設計し、実施例1の要領で化学合成し、最終的に約150bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM710を作製した。
プラスミドpM710のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの確認された塩基配列、および対応するアミノ酸配列を図11に示した(配列表の配列番号20参照)
【0067】
〔3〕pM776の作製
図12の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント2)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約200bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM776を作製した。
【0068】
〔4〕pM777の作製
図13の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント3)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約150bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM777を作製した。
【0069】
〔5〕pM778の作製
図14の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント4)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約150bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM778を作製した。
【0070】
〔6〕pM779の作製
図15の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント5)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約160bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM779を作製した。
【0071】
〔7〕pM780の作製
図16の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント6)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約160bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM780を作製した。
【0072】
〔8〕pM781の作製
図17の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント7)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約160bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM781を作製した。
【0073】
〔9〕pM711の作製
図18の塩基配列で示されるDNA断片(フラグメント8)を6つの断片に分割して設計し、実施例1と同様の方法で化学合成し、最終的に約150bpのDNA断片を得た。一方、プラスミドpM594を制限酵素HindIII およびApaIで二重消化し、約3.2kbpのDNA断片を得た。これと、化学合成にて得たDNA断片とをライゲーションし、プラスミドpM711を作製した。
【0074】
〔10〕分泌発現量の比較
〔1〕ないし〔9〕で得られたプラスミドを使用して、実施例2の要領で大腸菌JE5505を形質転換し、形質転換体JE5505(pM594)、JE5505(pM710)、JE5505(pM776)、JE5505(pM777)、JE5505(pM778)、JE5505(pM779)、JE5505(pM780)、JE5505(pM781)、JE5505(pM711)を得た。これらをそれぞれ培養して培養混合物を回収した。それぞれの培養混合物を遠心分離器を使用して、遠心分離し、上清を回収した。培養上清を、0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)で各濃度に希釈してサンプルとし、後述の方法で培養上清中のトリプシン阻害活性を測定した。測定結果を以下に示す。xで示される塩基配列を有するプラスミドにおいて、プラスミドpM594と比較して極めて高い分泌発現量が得られた。本発明のベクターを使用し、ポリペプチドAN68をXで示されるアミノ酸配列との融合蛋白として発現させることにより、分泌発現量が極めて低いAN68の分泌発現量が増加したことが確認された。
【0075】
Figure 0003570558
【0076】
〔11〕菌体内発現量の比較
〔1〕で得られた形質転換体JE5505(pM594)および〔2〕で得られたJE5505(pM710)を培養し、培養混合物を回収した。分光光度計を使用して、波長550nmの吸光度を測定したところOD16であった。この培養混合物6.3μl相当分を遠心分離し、ペレットを回収した。これに、終濃度が15%グリセロール/0.0025%BPB/0.063M Tris−HCl(pH6.8)/2%SDS/5% β−メルカプトエタノールとなるように泳動バッファー10μlを加えた。全量を、ラエムリ(Laemmli) の方法(Laemmli U. K., Nature, 227巻、680−685 頁、1970年)を参考にして、以下の方法でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(以後SDS−PAGEと略す)に供した。分子量マーカーとしては、BRL社製のサイズ43kD、29kD、18.4kD、14.3kD、6.2kDのマーカーを使用した。
泳動終了後、クマシーブリリアントブルーR−250にて染色を行なった。
その結果、JE5505(pM594)に比べ、JE5505(pM710)の方が明らかに、発現量が高い事が確認された(図19)。
【0077】
実施例4.プラスミドpM727の作成
j−x−y−zで示される塩基配列を有する、ポリペプチドQ19K/Y46Dの発現ベクターであって、j,x,y,zとしてそれぞれ以下の塩基配列を有するプラスミドを、以下の方法で作成した。
j:前記式18の大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナル配列をコードする塩基配列、
x:前記式9の塩基配列
y:Metをコードする塩基配列
z:ポリペプチドQ19K/Y46D
【0078】
〔1〕プラスミドpM748の構築
プラスミドpM710を鋳型とし、2度のPCRを行った。PCRの諸条件は実施例3〔1〕に従った。第一次PCR用のセンスプライマーとしては、化学合成して得たY46Dプライマー(図20)を、アンチセンスプライマーとしてはpBRBamHIプライマーを使用した。得られた増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とするサイズ約120bpのバンドが認められた。この増副産物をアンチセンスプライマーとし、HindIII プライマーをセンスプライマーとして、プラスミドpM710を鋳型とする第二次PCRを行った。得られた増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ目的とするサイズ約380bpのバンドが認められた。この増幅産物をフェノール処理/エタノール沈澱で精製した後、実施例3〔1〕の要領でプラスミドpM463に組み込み、プラスミドpM748を作製した。
【0079】
〔2〕プラスミドpM727の構築
プラスミドpM748を鋳型として、2度のPCRを行った。PCRの諸条件は実施例3〔1〕に従った。第一次PCR用のセンスプライマーとしてはHindIII プライマーを、アンチセンスプライマーとしてはQ19Kプライマー(図21)を化学合成し使用した。得られた増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とするサイズ約210bpのバンドが認められた。この増幅産物をセンスプライマーとし、pBRBamHIプライマーをアンチセンスプライマーとし、プラスミドpM748を鋳型とする第二次PCRを行った。得られた増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ目的とするサイズ約380bpのバンドが認められた。この増幅産物をフェノール処理/エタノール沈澱で精製した後、実施例3〔1〕の要領で、プラスミドpM463に組み込み、発現用プラスミドpM727を作製した。
プラスミドpM727のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの確認された塩基配列、および対応するアミノ酸配列を図22に示した(配列表の配列番号21参照)。
【0080】
〔3〕分泌発現量の測定
実施例2の要領で大腸菌JE5505を形質転換し、形質転換体JE5505(pM727)を作成し、培養した。培養混合物を回収して遠心分離し、上清を回収した。培養上清を、0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)で各濃度に希釈してサンプルとし、後述の方法でトリプシン阻害活性を測定した。その結果、培養上清中のトリプシン阻害活性は117U/mlであり、比活性から算出したタンパク質量を求めると約14μg/mlであった。本発明のベクターを使用しない場合と比較して、明らかに高い分泌発現量が得られたことから、本発明のベクターを使用してポリペプチドQ19K/Y46DをXで示されるアミノ酸配列との融合蛋白質として発現させることにより、本来分泌発現しにくいQ19K/Y46Dの分泌発現量が増加することが確認された。
【0081】
実施例5.プラスミドpM765の作成
〔1〕プラスミドpM765を以下の方法で作成した。プラスミドpM765は、j−x−y−zで示される塩基配列を有する、ポリペプチドR11S/Q19K/Y46Dの発現ベクターであって、j,x,y,zとしてそれぞれ以下の塩基配列を有するものである。
j:前記式18の大腸菌アルカリフォスファターゼのシグナル配列をコードする塩基配列、
x:前記式9なの塩基配列
y:Metをコードする塩基配列
z:ポリペプチドR11S/Q19K/Y46D
【0082】
プラスミドpM727を鋳型として2度のPCRを行った。PCRの諸条件は実施例3〔1〕に従った。第一次PCR用のセンスプライマーとしてはHindIIIプライマーを、アンチセンスプライマーとしては、化学合成して得たR11Sプライマー(図23)を使用した。得られた増幅産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とするサイズ約180bpのバンドが認められた。この増幅産物をセンスプライマーとし、pBRBamHIプライマーをアンチセンスプライマーとして、プラスミドpM727を鋳型とする第二次PCRを行った。第二次PCR後の増幅産物を、1.5%アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とするサイズ約380bpのバンドが確認された。この増幅産物をフェノール処理/エタノール沈澱で精製した後、実施例3〔1〕の要領でプラスミドpM463に組み込み、発現用プラスミドpM765を作製した。
プラスミドpM765のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの確認された塩基配列、および対応するアミノ酸配列を図24に示した(配列表の配列番号22参照)。
【0083】
〔2〕分泌発現量の測定
実施例2の要領で大腸菌JE5505を形質転換し、形質転換体JE5505(pM765)を作成し、培養した。培養混合物を回収して遠心分離し、上清を回収した。培養上清を、0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)で各濃度に希釈してサンプルとし、後述の方法でトリプシン阻害活性を測定した。その結果、培養上清中のトリプシン阻害活性は460U/mlであり、比活性から算出したタンパク質量を求めると約75μg/mlであった。本発明のベクターを使用しない場合と比較して、明らかに高い分泌発現量が得られ、Xで示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドとの融合蛋白質として発現させることにより、分泌量が増加することが確認された。
【0084】
実施例6.プラスミドpM765を利用したポリペプチドR11S/Q19K/Y46Dの生産
〔1〕プラスミドpM765を用い、実施例2の要領で大腸菌株JE5505を形質転換し、大腸菌株JE5505(pM765)〔本願発明者によって、平成5年4月28日、茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託番号FERM BP−4285として寄託されている〕を作製し、培養した。得られた培養混合物をBenchmarkGX(メンブレックス(Membrex)社、孔径0.2μm)を使用して濃縮後、4℃にて、約10000×g、20分間遠心分離を行い菌体を回収した。
【0085】
〔2〕〔1〕で得られた菌体を破砕用溶液(0.5% TritonX−100,10mM EDTA)に懸濁し、ミニラボ(RANNIE社)を使用し、800barで加圧破砕した。その後、4℃、20分間、約10000×gで遠心分離し、ペレットを回収した。回収したペレットに破砕用溶液を添加し、再び、4℃、20分間、約10000×gで遠心分離した。この操作を更に2回行い、ペレットを回収した。回収したペレットに可溶化バッファー(5Mグアニジン塩酸,0.005% Tween80,50mM Tris塩酸pH8.0,5mM EDTA,2mM 還元型グルタチオン,0.02mM 酸化型グルタチオン)を加え、更に、終濃度50mMとなるように2−メルカプトエタノールを添加し、4℃にて終夜撹拌した。この溶液を限外濾過膜(YM−5、グレースジャパン社)を使用して濃縮した後、孔径0.44μmのフィルターを使用して濾過した。
Sephacryl S−100 HR(ファルマシア社製)を充填したカラム(5cmφ×95cm)を、前述の可溶化バッファーで平衡化し、これに濃縮濾液を添加した。前述の可溶化バッファーを展開液とし、波長280nmにおける吸光度を指標として蛋白質含量をモニターしながら、流速3.5ml/分でゲル濾過を行った。30mlずつ分取し、各画分の一部を採取し、SDS−PAGEに供した。SDS−PAGEは、PAGEL(SPU−15S、アトー社)を使用し、その使用説明書に従って行った。クマシーブリリアントブルーで染色し、目的の分子量のポリペプチドを多く含む画分を選択した。この画分の蛋白質含量がほぼ0.5mg/mlとなるように、可溶化バッファーを使用して調整し、リフォールディング処理用サンプルとした。
【0086】
〔3〕〔2〕で得たリフォールディング処理用サンプルを、〔2〕で使用した可溶化バッファーからグアニジン塩酸を除いた溶液、約15倍量に対し、2回透析した。次いで、約15倍量の蒸留水に対して3回透析を行った。透析終了後、塩酸を使用してサンプルをpH2に調整した。このサンプルについて以下のように精製を行った。
【0087】
〔4〕予め0.1%TFA溶液で平衡化したPLRP−Sカラム(25mmφ×150mm、ポリマーラボラトリーズ社製)に、〔3〕で得たリフォールディング処理後のサンプルを添加し、0.1%TFA溶液を用いて吸着させた。溶出は、0.1%TFA/アセトニトリル溶液を用い、アセトニトリルの直線濃度勾配(0−70%アセトニトリル/0.1%TFA溶液/30分、70−100%アセトニトリル/0.1%TFA溶液/3分)により、流速5ml/分で、波長280nmにおける吸光度をモニターしながら溶出を行い、5mlずつ分取した。各画分のトリプシン阻害活性を、後述の方法で測定し、活性の認められた画分を凍結乾燥後、70%蟻酸におよそ100μMとなるように溶解した。次いで、モル濃度比で2000倍量となるように臭化シアンを加え、25℃、24時間暗所に静置した。これに蒸留水を加えて2倍希釈した。
【0088】
〔5〕SP−トヨパール(30mmφ×150mm、東ソー株式会社)を10%蟻酸溶液で平衡化した後、FPLCシステム(既出)を用いて以下の方法で陽イオン交換クロマトグラフィーを行った。すなわち、〔4〕で得られたサンプルをSP−トヨパールに添加し、10%蟻酸溶液を用いて吸着させた。NaCl/10%蟻酸を使用し、NaClの直線濃度勾配(0−1.2M NaCl/10% 蟻酸溶液/100分間)により、流速8ml/分で、波長280nmの吸光度をモニターしながら溶出した。32mlずつ分取し、各画分のトリプシン阻害活性を後述の方法で測定した。得られた活性画分を〔3〕の逆相クロマトグラフィー用サンプルとした。
【0089】
〔6〕PLRP−Sカラム(25mmφ×150mm、既出)を0.1%TFA溶液で平衡化した後、〔5〕で得られた活性画分を添加し、0.1%TFA溶液を用いて吸着させた。溶出は0.1%TFA/アセトニトリル溶液を用い、アセトアニリルの直線濃度勾配(0−70%/アセトニトリル/0.1%TFA/15分、70−100%アセトニトリル/0.1%TFA溶液/3分)により流速10ml/分で行った。波長280nmの吸光度をモニターしながら溶出を行い、ピークごとに分取し、各画分のトリプシン阻害活性を実施例8の方法で測定した。得られた活性画分を凍結乾燥して、精製標品を得た。
【0090】
〔7〕〔6〕で得られた精製標品をPAGEL(既出)を使用したSDS−PAGEに供した。銀染色の結果、単一のバンドが認められた。
【0091】
〔8〕アミノ酸配列の分析
〔6〕で得た精製ポリペプチドを50%酢酸に溶解し、モデル477Aプロテインシークエンシングシステム−120A PTHアナライザー(アプライドバイオシステムズ社)を用いてアミノ酸配列の分析を行なった。PTHアミノ酸を270nmの紫外部吸収にて検出して、その保持時間を測定し、予め同一の方法で分離した標準PTHアミノ酸(アプライドバイオシステムズ社)の保持時間を基準にしてアミノ酸の同定を行なった。その結果、目的とするタンパク質、R11S/Q19K/Y46Dが精製されたことが確認された。
【0092】
実施例7.プラスミドpM727を利用したポリペプチドQ19K/Y46Dの生産
〔1〕プラスミドpM727を用い、実施例2の要領で大腸菌株JE5505を形質転換し、大腸菌株JE5505(pM727)を作製し、培養した。培養上清を回収して、6NのHClを加えてpH2に調製した。孔径1.0μmのフィルター(日本ポール社製)を使用して濾過した。濾液を、更に、CNカートリッジ(孔径0.22μm、ミリポア社製)を使用して濾過した。
【0093】
〔2〕SP−トヨパール(550C、東ソー株式会社)を50mMグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)で平衡化した後、〔1〕で得られた濾液を添加した。50mMギ酸アンモニウム溶液(pH3.0)で洗浄後、50mMギ酸アンモニウム溶液(pH5.0)を使用し、波長280nmの吸光度をモニターしながら溶出した。各画分のトリプシン阻害活性を実施例8の方法で測定した。得られた活性画分を、分画分子量3000の限外濾過膜(フィルトロン、富士フィルター社製)にて濃縮後、孔径0.22μmのフィルターを使用して沈澱を除去した。上清を回収して、以下のゲル濾過を行った。
【0094】
〔3〕Superdex75(26mmφ×600mm、ファルマシア社製)を 50mMギ酸アンモニウム(pH5.0)で平衡化し、〔2〕で得られた上清を添加した。50mMギ酸アンモニウム(pH5.0)で、波長280nmの吸光度をモニターしながら、流速2ml/分で溶出を行った。6mlごとに分取し、各画分のトリプシン阻害活性を後述の方法で測定した。得られた活性画分を凍結乾燥した。
【0095】
〔4〕〔3〕で得た凍結乾燥品を、実施例6〔〕、〔〕、〔〕の方法に準じて臭化シアン分解および精製した。得られた精製標品を実施例6〔〕の方法でSDS−PAGEに共したところ単一のバンドが確認された。実施例6〔〕の方法でアミノ酸分析を行った結果、目的とするタンパク質、Q19K/Y46Dであることが確認された。
トリプシン阻害活性の測定
培養混合物を遠心分離して得た培養上清に0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)を加えて段階希釈し、ウシトリプシン阻害活性測定用のサンプルとした。これらの活性測定用サンプルのウシトリプシン阻害活性を、合成基質S−2444(第一化学薬品株式会社製)を基質として、カッセル(Kassell)の方法(Kassell B.等、Methods in Enzymol.,19巻、844−852頁、1970年)に準じて以下のように測定した。
すなわち、まず、ウシトリプシン(Type XIII、シグマ社製)を、0.001MHClに溶解し、13600BAEEU/mlに調製し、それを、0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)にて希釈し、0.6BAEEU/mlのトリプシン溶液を調製した。一方、合成基質S−2444を蒸留水に溶解し、2mMのS−2444溶液を調製した。
次に、上述のウシトリプシン阻害活性測定用サンプル100μlもしくはコントロールを、ウシトリプシン溶液100μlと混合した。37℃にて10分間静置した後、上記S−2444溶液50μlを加え、反応を開始させた。37℃にて20分間反応後、50%酢酸50μlを加えて反応を停止させ、分光光度計にて、波長405nmにおける吸光度を測定した。なお、データ処理の際に、ここで用いた各種溶液の吸光度への影響を差し引くための対照としては、上記ウシトリプシン溶液100μlに、予め、50%酢酸50μlを加え、ウシトリブシン阻害活性測定用サンプルもしくはコントロール100μl、S−2444溶液50μlを加えたものを使用した。
【0096】
【発明の効果】
組換えDNA技術を用いてタンパク質を生産する際に、本発明のDNA断片を有する本発明のベクターを用いて、所望のタンパク質を特定のポリペプチドの融合タンパク質として発現させると、所望のタンパク質の発現量および/または宿主体内からの分泌量が増加する。
したがって、本発明は、組換えDNA技術で所望のタンパク質を生産する際のタンパク質の生産量を増加させ、また、本来分泌発現しにくいようなタンパク質の分泌発現を可能にする。
【0097】
【配列表】
Figure 0003570558
【0098】
Figure 0003570558
【0099】
Figure 0003570558
【0100】
Figure 0003570558
【0101】
Figure 0003570558
【0102】
Figure 0003570558
【0103】
Figure 0003570558
【0104】
Figure 0003570558
【0105】
Figure 0003570558
【0106】
Figure 0003570558
【0107】
Figure 0003570558
【0108】
Figure 0003570558
【0109】
Figure 0003570558
【0110】
Figure 0003570558
【0111】
Figure 0003570558
【0112】
Figure 0003570558
【0113】
Figure 0003570558
【0114】
Figure 0003570558
【0115】
Figure 0003570558
Figure 0003570558
【0116】
Figure 0003570558
Figure 0003570558
【0117】
Figure 0003570558
Figure 0003570558
【0118】
Figure 0003570558
Figure 0003570558
【0119】
Figure 0003570558
【0120】
Figure 0003570558
【0121】
Figure 0003570558
【0122】
Figure 0003570558
【0123】
Figure 0003570558
【0124】
Figure 0003570558
【0125】
Figure 0003570558
【0126】
Figure 0003570558
【0127】
Figure 0003570558
【0128】
Figure 0003570558
【0129】
Figure 0003570558
【0130】
Figure 0003570558
【0131】
Figure 0003570558
【0132】
Figure 0003570558
【0133】
Figure 0003570558
【0134】
Figure 0003570558

【図面の簡単な説明】
【図1】フラグメント1aの塩基配列を示す図。
【図2】プラスミドpKK223Mを示す図。
【図3】プラスミドpM463を示す図。
【図4】フラグメントAの塩基配列を示す図。
【図5】プラスミドpM474のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの塩基配列および対応するアミノ酸配列を示す図。
【図6】プラスミドpM552を示す図。
【図7】HindIII プライマーの塩基配列を示す図。
【図8】AN68プライマーの塩基配列を示す図。
【図9】pBR BamHIプライマーの塩基配列を示す図。
【図10】フラグメント1bの塩基配列を示す図。
【図11】プラスミドpM710のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの塩基配列および対応するアミノ酸配列を示す図。
【図12】フラグメント2の塩基配列を示す図。
【図13】フラグメント3の塩基配列を示す図。
【図14】フラグメント4の塩基配列を示す図。
【図15】フラグメント5の塩基配列を示す図。
【図16】フラグメント6の塩基配列を示す図。
【図17】フラグメント7の塩基配列を示す図。
【図18】フラグメント8の塩基配列を示す図。
【図19】形質転換体JE5505(pM710)の菌体より得られた蛋白質のSDSーPAGEの結果を示す図。
【図20】Y46Dプライマーの塩基配列を示す図。
【図21】Q19Kプライマーの塩基配列を示す図。
【図22】プラスミドpM727のHindIII 消化部位からBamHI消化部までの塩基配列および対応するアミノ酸配列を示す図。
【図23】R11Sプライマーの塩基配列を示す図。
【図24】プラスミドpM765のHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの塩基配列および対応するアミノ酸配列を示す図。

Claims (11)

  1. xで示される塩基配列からなるDNA断片。
    (ただし、xは、
    下記式〜8のいずれかで示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を表わす。)
    式1:AVLPQEEEGSG
    式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
    式3:AVLDQEEEGSG
    式4:AVLPQEEEGDG
    式5:AVLPQEEEGSGD
    式6:AVLPQEEEGSGDD
    式7:AVLPQEEEGSGDDD
    式8:ADDPQEEEGSG
  2. 請求項1に記載のDNA断片を含むことを特徴とするベクター、ただし、該ベクターが請求項 1 に記載のDNA断片に加え、他の任意の塩基配列が組み込まれたベクターである場合であって、請求項1に記載のDNA断片と該任意の塩基配列とが、HI−30全体の塩基配列からなる配列となる場合を除く。
  3. j−xで示される塩基配列からなるDNA断片。
    (ただし、
    jはシグナルペプチドをコードする塩基配列、
    xは、
    下記式〜8のいずれかで示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を表わす。)
    式1:AVLPQEEEGSG
    式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
    式3:AVLDQEEEGSG
    式4:AVLPQEEEGDG
    式5:AVLPQEEEGSGD
    式6:AVLPQEEEGSGDD
    式7:AVLPQEEEGSGDDD
    式8:ADDPQEEEGSG
  4. j−x−yで示される塩基配列からなるDNA断片。
    (ただし、
    jはシグナルペプチドをコードする塩基配列、
    xは、
    下記式〜8のいずれかで示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、
    式1:AVLPQEEEGSG
    式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
    式3:AVLDQEEEGSG
    式4:AVLPQEEEGDG
    式5:AVLPQEEEGSGD
    式6:AVLPQEEEGSGDD
    式7:AVLPQEEEGSGDDD
    式8:ADDPQEEEGSG
    yは酵素および/または化学薬品によって切断されうるアミノ酸もしくはアミノ酸配列をコードする塩基配列、
    を表わす。)
  5. j−x−y−zで示される塩基配列からなるDNA断片。
    (ただし、
    jはシグナルペプチドをコードする塩基配列、
    xは、
    下記式〜8のいずれかで示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、
    式1:AVLPQEEEGSG
    式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
    式3:AVLDQEEEGSG
    式4:AVLPQEEEGDG
    式5:AVLPQEEEGSGD
    式6:AVLPQEEEGSGDD
    式7:AVLPQEEEGSGDDD
    式8:ADDPQEEEGSG
    yは酵素および/または化学薬品によって切断されうるアミノ酸もしくはアミノ酸配列をコードする塩基配列、
    zは所望の蛋白質をコードする塩基配列、
    を表わす。)
  6. j−x−zで示される塩基配列からなるDNA断片
    (ただし、
    jはシグナルペプチドをコードする塩基配列、
    xは、
    下記式〜8のいずれかで示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、
    式1:AVLPQEEEGSG
    式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
    式3:AVLDQEEEGSG
    式4:AVLPQEEEGDG
    式5:AVLPQEEEGSGD
    式6:AVLPQEEEGSGDD
    式7:AVLPQEEEGSGDDD
    式8:ADDPQEEEGSG
    zは所望の蛋白質をコードする塩基配列、
    を表わす。)
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載のDNA断片を含むことを特徴とするベクター。
  8. 以下の群より選択されるプロモーターを、さらに有する請求項2または7に記載のベクター。
    〔1〕trpプロモーター
    〔2〕tacプロモーターおよび
    〔3〕lacプロモーター
  9. 請求項2、7および8のいずれかに記載のベクターを用いて形質転換されたことを特徴とする形質転換体。
  10. 前記形質転換体の宿主が大腸菌、枯草菌および酵母よりなる群より選択される請求項9に記載の形質転換体。
  11. 請求項9または10に記載の形質転換体を培養して、J−X−ZもしくはJ−X−Y−Zのアミノ酸配列で表される融合タンパク質を発現させる工程を含むことを特徴とするZの産生方法。
    (ただし、
    Jはシグナルペプチド、
    Xは、
    下記式〜8のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり、
    式1:AVLPQEEEGSG
    式2:AVLPQEEEGSGGGQLVTEVTKKEDSG
    式3:AVLDQEEEGSG
    式4:AVLPQEEEGDG
    式5:AVLPQEEEGSGD
    式6:AVLPQEEEGSGDD
    式7:AVLPQEEEGSGDDD
    式8:ADDPQEEEGSG
    Yは酵素および/または化学薬品によって切断されうるアミノ酸またはアミノ酸配列、
    Zは所望の蛋白質のアミノ酸配列、
    を表わす。)
JP12852893A 1993-05-01 1993-05-01 Dna断片およびそれを含むベクター、該ベクターによって形質転換された形質転換体、該ベクターを用いる蛋白質の産生方法 Expired - Fee Related JP3570558B2 (ja)

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