JP3569419B2 - 光学特性調整板付光導波回路およびその製造方法 - Google Patents
光学特性調整板付光導波回路およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信あるいは光情報処理などの分野で用いられる光導波回路に関するもので、具体的には、光導波回路の基板上に形成されている複数の光導波路の入力側の光学特性値と出力側の光学特性値とに避けがたく生じる誤差を光学特性調整板により修正した構成の光学特性調整板付光導波回路およびその製造方法に関するものである。
【0002】
前記光導波回路としては、例えば、平面上に形成された光導波路により構成された2光束あるいは多光束の光干渉計がある。そして、前記光学特性としては、例えば、前記複数の光導波路を伝搬する光の位相および振幅、光導波路の複屈折が挙げられる。
【0003】
【従来の技術】
近年、例えば、シリコン基板上に形成した石英系光導波路などによって構成されたプレーナ光波回路(PLC=Planar Lightwave Circuit)の研究が盛んに行われている。そこでは、マッハツェンダ干渉計やアレイ導波路格子型波長合分波器のように2光束あるいは多光束の干渉を用いて、スイッチングや波長合分波の機能を実現している。
【0004】
マッハツェンダ干渉計を利用した熱光学スイッチについて、詳しくは、奥野他「石英系熱光学スイッチ技術」NTT R&D vol.143,No.11,pp.1289−1298,Nov.1994 に記載されている。このスイッチは2本アーム導波路の光路長差を導波表面に設けた薄膜ヒータで熱的に制御することによりスイッチ機能を実現していいる。
【0005】
図1にこの回路構成の概略を、図2に図1のII−II線に沿う拡大断面図を示す。
【0006】
図1中、符号10l−a,102−aは入力ポート、103はシリコン基板、104−1は第1のアーム導波路、104−2は第2のアーム導波路、105は薄膜ヒータ、また、図2中、符号109はクラッド層、および114はコア層を、各々図示する。
【0007】
また、作製した2×2熱光学スイッチの特性の一例を図3に示した。図3の横軸は薄膜ヒータに印加した電力、縦軸はスルーポート(101−a→101−b)への光の透過率を示す。透過率は薄膜ヒータへの印加電力に依存して変化する。ここで、電力をPlとP2とで時間的に切り替えることにより、この回路は2×2光スイッチとして作動する。
【0008】
ここで、図1に示した2本のアーム導波路104−1,104−2は等しい長さに設計されている。よって本来、電力が印加されていないときにスルーポートへの透過率が最低になるはずである。すなわち、P1=0となるはずである。
【0009】
しかし、導波路の作製誤差により2本のアーム導波路104−1,104−2の長さに0.1μmオーダーの光路長差が発生し、それが原因となってP1≠0となっている。ここで、0.1μmの光路長誤差は、光波長にとっては一割程度になるためP1の値もスイッチ電力(P2−P1)に比較して無視できないような値となる。一方、0.1μmオーダーの光路長誤差は10mm程度のアーム導波路104−1,104−2にとっては10−5程度の誤差であり、この値を大幅に低減することは作製技術上困難である。
【0010】
また、P1の電力はスイッチの消費電力を増大させており、その値を0にすることが好ましい。
【0011】
アレイ導波路格子型波長合分波器では、並列に並べられた互いに光路長がn×△Lずつ異なる30〜100本程度のアーム導波路を伝搬した複数の光の干渉により光の波長合分波機能を実現している。
【0012】
ここで、nは導波路の実効屈折率、△Lは10〜100μm程度の値である。詳しくは、H.Takahasi et al.,”Arrayed Waveguide Grating for Wavelength Division Multi/Demultiplexer with Nanometre Resolution,”Electron.Lett.,vol.26,no.2,pp.87−88,1990.に記載されている。
【0013】
図4にその回路構成の概略を示す。図4中、符号110は入力導波路、111は出力導波路、112はスラブ導波路、113はアレイ導波路および103はシリコン基板を各々図示する。
【0014】
図5に図4に示したアレイ導波路格子型波長合分波器の中心ポートから中心出力ポートへの透過波長特性を示す。図5から明らかなように、中心入力ポートから中心出力ポートへ特定の波長のみが透過し、それ以外の波長の光は阻止されていることが分かる。
【0015】
現在のところ、阻止波長の透過率と透過波長の透過率との比で表されるクロストークは−30dB程度である。
【0016】
このクロストークを低減することは、波長合分波機能として極めて重要な課題である。このクロストークが−30dB程度に制限されている第1の原因は、アレイ導波路に設定したn×△Lの光路長差が作製誤差により0.1μmオーダーでゆらいでいるため、各アレイ導波路を通過した光の位相に誤差が生じるためである。
【0017】
また、第2の原因は、分岐部より各アレイ導波路に分配され、再び合波部により結合される各パスからの透過光の振幅が、導波路損失の不均一性等によって設計値からずれる。すなわち、振幅誤差が生じるためである。
【0018】
さらに、例えば、隣接周波数間隔が小さいアレイ導波路格子のように、導波路占有面積の大きな光回路では、光回路を構成する光導波路に複屈折のばらつきが生じる。このため、光導波路の偏波によって、位相の分布が異なり、特性に偏波依存性が生じる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、PLC作製時における0.1μmオーダーの光路長誤差は、2光束あるいは多光束の干渉計の特性劣化を引き起こしている。したがって、この光路長誤差を何らかの方法で調整することができれば、干渉計の特性を向上させることができる。
【0020】
また、PLC作製時において生じる、分岐部より複数のチャンネル導波路に分配され、再び合波部により結合される各パスからの透過光の振幅の設計値からのずれは、2光束あるいは多光束の干渉計の特性劣化を引き起こしている。したがって、この振幅の設計値からずれを何らかの方法で調整することかできれば、干渉計の特性を向上させることができる。さらに、振幅及び位相特性を所望の値に調整することにより、通過波長域の平坦化及び分散制御等の機能を付加することが可能となる。
【0021】
さらに、導波路占有面積の大きな光回路では、光回路を構成する光導波路に複屈折のばらつきのため、特性に偏波依存性が生じる。したがって、この複屈折のばらつきを何らかの方法で、調整することができれば、偏波に依らず、高性能な光回路を作製することができる。
【0022】
本発明は、以上述べた事情に鑑み、本発明の課題の一つは、このPLC作製時に生じる光路長誤差を、作製後に行う付加的な加工で調整した位相調整板付光導波回路とその製造方法を提供することにあり、他の課題は、光の振幅特性をPLC作製後に行う付加的な加工で調整する振幅調整板付光導波回路およびその製造方法を提供することにあり、さらに他の課題は、光の複屈折をPLC作製後に行う付加的な加工で調整する複屈折調整板付光導波回路およびその製造方法を提供することにある。なお、本発明では、同一の光導波回路に位相調整板と振幅調整板の両方を設けてより一層の光学特性の向上を図った構成も含まれる。また、本発明には、これらの光学特性調整板の製造装置をも含まれる。
【0023】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1の光学特性調整板付光導波回路は、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路であって、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を有し、該溝に該光導波回路の光学特性を調整する光学特性調整板が設置され、該光学特性調整板が、一様な光学特性を有する膜を凹凸加工した膜からなり、前記光導波路の各々の光学特性の測定値から決定された各光導波路に必要な光学特性の調整量に対応して、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の光学特性の調整量に応じた膜厚となるように長手方向に凹凸を設けた光学特性調整板であることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項2の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相であり、前記光学特性調整板は一様な屈折率を有する位相調整板であることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項3の光導波回路は、前記請求項2の光導波回路において、前記位相調整板の屈折率が前記複数の導波路の屈折率と異なっていることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項4の光導波回路は、前記請求項2の光導波回路において、前記位相調整板を構成する膜の凹部が透明材料により埋められていることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項5の光導波回路は、前記請求項4の光導波回路において、前記膜の屈折率と該膜の凹部を埋める透明材料の屈折率とが異なることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項6の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は一様な吸収係数を有する振幅調整板であることを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項7の光導波回路は、前記請求項6の光導波回路において、前記振幅調整板を構成する膜の凹部が透明材料により埋められていることを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項8の光導波回路は、前記請求項7の光導波回路において、前記膜の屈折率と該膜の凹部を埋める透明材料の屈折率とが同一であることを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項9の光導波回路は、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路であって、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を有し、該溝に該光導波回路の光学特性を調整する光学特性調整板が設置され、該光学特性調整板が、一定厚みの膜と、該膜の上に形成され該膜の長手方向に厚みが異なる金属膜とから構成されている振幅調整板であり、前記金属膜の厚みが、前記光導波路の各々を伝搬する光の振幅の測定値から決定された各光導波路に必要な振幅調整量に対応して、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなっていることを特徴とする。
【0034】
本発明の請求項10の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相および振幅であり、前記光学特性調整板は位相振幅調整板であることを特徴とする。
【0035】
本発明の請求項11の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の複屈折であり、前記光学特性調整板は複屈折調整板であることを特徴とする。
【0036】
本発明の請求項12の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記溝の内壁と前記光学特性調整板との間隙に光学的に透明な接着剤を充填したことを特徴する。
【0037】
本発明の請求項13の光導波回路は、前記請求項12の光導波回路において、前記光学特性調整板が位相調整板であり、該位相調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とが異なることを特徴とする。
【0038】
本発明の請求項14の光導波回路は、前記請求項12の光導波回路において、前記光学特性調整板が振幅調整板であり、該振幅調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とが同一であることを特徴とする。
【0039】
本発明の請求項15の光導波回路は、前記請求項12の光導波回路において、前記光学特性調整板が複屈折調整板であり、該複屈折調整板の一方の屈折率と前記接着剤の屈折率とが同一であることを特徴とする。
【0040】
本発明の請求項16の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記溝が少なくとも二つ形成されており、その内の一つに設置される光学特性調整板が位相調整板であり、他の一つに設置される光学特性調整板が振幅調整板であることを特徴とする。
【0041】
また、本発明の請求項17は光学特性調整板付光導波回路の製造方法に関するもので、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路に、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を形成する溝形成工程と、前記複数の光導波路を光が伝搬するときの各光導波路それぞれの光学特性を測定し、各光導波路の光学特性の測定値から各光導波路に必要な光学特性の調整量を決定する光学特性調整量決定工程と、一様な光学特性を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が各光導波路の前記光学特性調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程によって光学特性調整板を作製する光学特性調整板作製工程と、前記溝に前記光学特性調整板を設置する光学特性調整板設置工程とを有してなることを特徴とする。
【0042】
本発明の請求項18の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の位相であり、前記光学特性調整板は位相調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な屈折率を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の位相調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程からなることを特徴とする。
【0043】
本発明の請求項19の製造方法は、前記請求項18の製造方法において、前記位相調整板を作製する光学特性調整板作製工程が、さらに、凹凸が形成された一様な屈折率を有する膜の凹部を該膜の屈折率と異なる屈折率を有する透明材料により埋めて該膜を平坦化する膜平坦化工程を有することを特徴とする。
【0044】
本発明の請求項20の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な吸収係数を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の振幅調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程からなることを特徴とする。
【0045】
本発明の請求項21の製造方法は、前記請求項20の製造方法において、前記振幅調整板を作製する光学特性調整板作製工程が、さらに、凹凸が形成された一様な吸収係数を有する膜の凹部を該膜の屈折率と同一の屈折率を有する透明材料により埋めて該膜を平坦化する膜平坦化工程を有することを特徴とする。
【0046】
本発明の請求項22の光学特性調整板付光導波回路の製造方法は、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路に、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を形成する溝形成工程と、前記複数の光導波路を光が伝搬するときの各光導波路それぞれの光学特性を測定し、各光導波路の光学特性の測定値から各光導波路に必要な光学特性の調整量を決定する光学特性調整量決定工程と、光学特性調整板を作製する光学特性調整板作製工程と、前記溝に前記光学特性調整板を設置する光学特性調整板設置工程とを有し、前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一定厚みの膜の上に、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなる厚み変化を長手方向に有する金属膜を形成する工程からなることを特徴とする。
【0047】
本発明の請求項23の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相および振幅であり、前記光学特性調整板は位相振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な屈折率を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の位相調整量に応じた膜厚になるように凹凸を長手方向に形成するとともに、該膜の上に、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなる厚み変化を長手方向に有する金属膜を形成する工程からなることを特徴とする。
【0048】
本発明の請求項24の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光学特性調整板設置工程の後に、前記溝の内壁と前記光学特性調整板との間隙に光学的に透明な接着剤を充填する接着剤充填工程を有することを特徴とする。
【0049】
本発明の請求項25の製造方法は、前記請求項24の製造方法において、前記光学特性調整板が位相調整板であり、該位相調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とを異ならせることを特徴とする。
【0050】
本発明の請求項26の製造方法は、前記請求項24の製造方法において、前記光学特性調整板が振幅調整板であり、該振幅調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とを同一とすることを特徴とする。
【0051】
本発明の請求項27の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記溝形成工程で少なくとも二つの溝を形成し、その内の一つには光学特性調整板として位相調整板を設置し、他の一つには光学特性調整板として振幅調整板を設置することを特徴とする。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
本発明の光導波回路は、前記光導波路を構成する複数の導波路を横断する溝と、前記溝挿入時に前記光導波路と交差する部分の光学特性を補正するように予め光学特性を空間的に変化させた板と、前記溝に前記板を固定する接着剤とから構成される。
【0055】
以下、本発明では、溝挿入時に前記導波路との交差部にあたる部分の光学特性を調整できるように予め加工された板を光学特性調整板と呼ぶ。
【0056】
本構成によって、複数の導波路を伝搬する光の光学特性は、導波路との交差部の光学特性調整板の光学特性に応じて変化する。
【0057】
したがって、複数の導波路の光学特性を測定し、その後、その光学特性を調整するように加工した光学特性調整板を、接着剤を用いて溝に固定することによって、複数の導波路の光学特性を所望の値に調整することができる。
【0058】
なお、調整する光回路の部位としては、直線導波路、曲線導波路のほか、干渉型光回路の干渉光路や3dBカップラ、スラブ導波路等のそれぞれの合分波部を用いても、本発明は有効である。
【0059】
調整する光学特性が光の位相で、光学特性調整板が位相調整板である場合、複数の導波路を伝搬する光は、導波路との交差部の位相調整板の光学厚さに応じて、異なる位相変化が与えられる。その結果、例えば、干渉計形光回路を構成する光導波路の光路長誤差を調整し、光回路の特性を格段に向上させることができる。
【0060】
調整する光学特性が光の振幅で、光学特性調整板が振幅調整板である場合、複数の導波路を伝搬する光は、導波路との交差部の振幅調整板の損失に応じて、異なる損失が与えられる。その結果、例えば、干渉計形光回路を構成する光導波路の振幅分布を調整し、光回路の特性を格段に向上させることができる。
【0061】
調整する光学特性が光の複屈折で、光学特性調整板が複屈折調整板である場合、複数の導波路を伝搬する光は、導波路との交差部の複屈折調整板の光学厚みに応じて、異なる複屈折を与えられる。その結果、例えば、干渉計形光回路を構成する光導波路の複屈折誤差を調整し、光回路の特性を格段に向上させることができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明に係る好適な実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図6に本発明の第1の実施例としてのマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチを示す。図6中、符号11−a,12−aは入力ポート、符号11−b,12−bは出力ポート、13はシリコン基板、14−1は第1のアーム導波路、14−2は第2のアーム導波路、15は薄膜ヒータ、16は溝、17は位相調整板を、各々図示する。
【0064】
また、図7に図6中のVII −VII 線に沿う拡大断面図を示す。
【0065】
本実施例では、従来のマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチのアーム導波路に交差する幅一定の溝16を加工した後、厚みが空間的に変化した面内屈折率一定の位相調整板17(図8)をその溝16に挿入している。
【0066】
さらに,上記位相調整板17を溝16に固定するために、図7に示すように、接着剤18を充填している。
【0067】
ここで、位相調整板17を構成する膜17aの面内屈折率をn1 、接着剤18の屈折率をn2 とした場合、2本のアーム導波路14−1,14−2が感じる溝16の光路長はそれぞれ以下の式で与えられる。
【0068】
第1のアーム導波路14−1における溝の光路長=n1 ×w1 +n2 ×(w0 −w1 )
第2のアーム導波路14−2における溝の光路長=n1 ×w2 +n2 ×(w0 −w2 )
よって、その相対的な光路長差は(n1 −n2 )×(w2 −w1 )となる。
【0069】
ただし、ここで、膜の面内屈折率をn1 、接着剤の屈折率をn2 、第1のアーム導波路14−1に交差する膜厚をw1 、第2のアーム導波路14−2に交差する膜厚をw2 、溝16の幅をw0 とする。
【0070】
本実施例では、膜の面内屈折率と接着剤の屈折率との屈折率差(n1 −n2 )および膜厚の差(w2 −w1 )を適当に与えることによって、作製誤差によって生じたアーム導波路の光路長差を調整する。
【0071】
本実施例のマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチの作製手順を以下に示す。
【0072】
▲1▼ 従来技術と同様の技術によって、シリコン基板上に火災堆積法と反応性イオンエッチング法でマッハツェンダ干渉計を作製する。
【0073】
▲2▼ ダイシングソーにより幅20μm、深さ150μmの溝16を加工する。
▲3▼ 該溝16に屈折率n2の接着剤18を充填する。
【0074】
▲4▼ この状態で図10に示すような薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を測定し、P1 ,P2 を求める。
【0075】
▲5▼ (n1 −n2 )×(w2 −w1 )=(λ/2)×P1 /(P2 −P1 )を満足する膜厚差(w2 −w1 )を求める。ただし、λは光波長で本実施例はλ=1.55μmの光を用いた。
【0076】
▲6▼ 面内屈折率n1のポリイミド膜17aをその膜厚がw1 およびw2 となるように、図9に示すような加工治具30を用いる方法で加工する。この膜を所定の厚さに加工したものを位相調整板17と呼ぶ(図8)。
【0077】
▲7▼ 加工した位相調整板17を上記形成した溝16に挿入し、接着剤18で固定する。
【0078】
実際に石英系PLC技術を用いて2×2光スイッチを作製したところ、
P1 =20mW
P2 =420mW
であった。
【0079】
また、用いた接着剤18の屈折率およぴポリイミド膜17aの面内屈折率はそれぞれ以下の通りであり、その屈折率差は0.01である。
【0080】
n1 =1.53
n2 =1.52
よって、W2 −W1 =3.9μmに設定することによって、作製誤差を調整することができる。
【0081】
よって、ここでは、
w2 =16.0μm
w1 =12.1μm
と設定した。
【0082】
また、図9に示すような加工方法では、膜厚の絶対的な精度は±0.5μm程度しかとれないが、その相対的な膜厚差は士0.05μmで加工できるため、精度良く作製誤差の調整が実現される。
【0083】
作製した2×2光スイッチの薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を図11に示す。P1 は0となり、スイッチングは、400mWを印加するかしないかでオンオフ動作をする。
【0084】
また、20μm幅の溝加工およびそこに膜と接着剤を挿入したときの光の過剰損失は、0.3dBであった。この値は光回路全体の値に比べて充分に小さな値であり、実用上間題にはならない。
【0085】
(実施例2)
図12に本発明の第2の実施例としてのアレイ導波路格子型波長合分波器を示す。
【0086】
図12中、符号13はシリコン基板,16は溝,17は位相調整板,19はクラッド層,20は入力導波路,21は出力導波路.22はスラブ導波路,23はアレイ導波路を各々図示する。また、図13には図12で用いた位相調整板の拡大図を示す。
【0087】
本実施例では、並列に配置されたアレイ導波路23の光路長の誤差は、低コヒーレントな光源を用いて測定することができる。
【0088】
この測定法に関しては、K.Takada et al., ”Measurement of phase error distributions in silica−based arrayed−waveguide grating multiplexers by using Fourier transform Spectroscopy,”Electron.Lett.,vol.30,no.20,pp−1671−1672,1994に詳しく紹介されている。
【0089】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0090】
その基本的な手順は上述した第1の実施例と同じである。
【0091】
▲1▼ 従来技術によって、シリコン基板13上に火災堆積法と反応性イオンエッチング法でアレイ導波路格子波長合分波器を作製する。
【0092】
▲2▼ ダイシングソーにより幅20μm、深さ150μmの溝16を加工する。
▲3▼ 上記溝16に屈折率n2 の接着剤を充填する。
【0093】
▲4▼ この状態で並列に配置されたアレイ導波路23の光路長の誤差を測定して求める。
【0094】
▲5▼ 面内屈折率n1 のポリイミド膜をその膜厚がw1 ,w2 ・・・wN となるように、図9に示したような加工法で加工する。
【0095】
ここで、w1 ,w2 ・・wN の各膜厚は、アレイ導波路23の光路長誤差を調整するように決める。例えば、光路長誤差が1本目、2本目・・・N本目のアレイ導波路でそれぞれδL1 ・・・δLN ならば、
【0096】
【数1】
δLi +(n1 −n2 )×wi =一定
となるようにwi を定める。
【0097】
▲6▼ 最後に加工した位相調整板17を溝16に挿入し、接着剤で固定する。
【0098】
図14に位相調整板挿人前のアレイ導波路格子型波長合分波器の透過波長特性を、図15に上記のプロセスにより位相調整板を挿入した後のアレイ導波路格子型波長合分波器の透過波長特性を示す。
【0099】
位相調整板挿入よりアレイ導波路の光路長誤差が調整され、そのクロストークが−30dBから−40dBに改善された。このとき、溝加工を含む位相調整板挿入の過剰損失は0.3dBであった。
【0100】
前記実施例1、2においては、位相調整板の面内屈折率と接着剤の屈折率との差が、0.01となるように、それぞれの材料を選択した。この場合、0.1μmの光路長誤差を調整するために必要な膜圧の変化は、10μmであり、位相調整板の膜厚加工精度が、±0.5μmであっても、±0.005μmの精度で光路長誤差を調整することができた。
【0101】
ちなみに、接着剤と膜との屈折率差を任意の値に設定することによって、膜厚の変化が光路長に及ぼす割合を調整することも可能である。
【0102】
(実施例3)
図16に本発明の第3の実施例としてのアレイ導波路波長合分波器を示す。
【0103】
図16中、符号20は入力導波路、21は出力導波路、22はスラブ導波路、23はアレイ導波路、19はクラッド層、13はシリコン基板、16は溝、27は振幅調整板を各々図示する。
【0104】
また、図17は図16中A−A線に沿う拡大断面図を示す。さらに、図18には図16で使用した振幅調整板の拡大図を示す。
【0105】
本実施例では、アレイ導波路型光合分波器のアレイ導波路上に交差する一定幅の溝16を加工した後、厚みが空間的に変化した面内吸収率が一定の振幅調整板27をその溝16に挿入している。
【0106】
さらに、上記振幅調整板27を溝16に固定するために、図17に示すように、光学的に透明な接着剤28を充填している。ここで、接着剤28の屈折率は振幅調整板27の屈折率と同一となるようにし、位相特性にも変化を及ぼさないようにした。
【0107】
ここで、i番目のアレイ導波路に交差する部分の膜厚をWi とすると、i番目のアレイ導波路を伝搬する光の溝16を通過した後の振幅Ai は、
【0108】
【数2】
Ai 2=exp(−αWi )
だけ変化する。
【0109】
ここで、αは振幅調整板27の面内吸収係数である。ここでは、透明な膜を挿入したとき生じる一定の損失は除いている。この関係は、光の吸収に関するランベルトの法則であり、吸収係数が膜厚に対して一定であるときに適用できる。
【0110】
従って、本実施例では、膜の面内吸収係数αと膜厚Wi を適当に与えることによって、振幅調整を行う。
【0111】
まず、入力導波路20,出力導波路21,スラブ導波路22およびアレイ導波路23より形成される複数のパスの振幅誤差の分布を測定する。この測定法に関しては、低コヒーレントな光源を用いた公知の光回路解析法が適用出来る(例えば、特願平6−5989号参照)。
【0112】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0113】
1) シリコン基板13上に火炎堆積法と反応性イオンエッチング法でアレイ導波路型波長合分波器を作製する。
【0114】
2) 入力導波路20,出力導波路21,スラブ導波路22およびアレイ導波路23より形成される複数のパスの位相誤差および振幅誤差の分布を低コヒーレントな光源を用いて測定する。この測定に基づき、振幅調整量A1 ,A2 ,・・・AN (Ai ≦1:添字はアレイ導波路の番号)を決定する。
【0115】
3) 各アレイ導波路上にレーザ光を照射し、屈折率を部分的に変化させ、位相誤差を調整した。
【0116】
4) ポリイミド膜(吸収係数α:屈折率n1 )を作製し、挿入時にアレイ導波路と交差する部分にその膜厚がw1 ,w2 ,・・・wN となるように、加工する。
【0117】
ここで、wi は
【0118】
【数3】
Ai 2=exp(−αWi )
となるように決定する。
【0119】
5) ダイシングソーにより幅W0 、深さ150ミクロンの溝16を作製する。
【0120】
6) 上記溝16に振幅調整板27を挿入し、接着剤28で固定する。
【0121】
本実施例における位相誤差の低減には、モードロックQスイッチYAGレーザの第2高調波を用いた。
【0122】
また、振幅調整では、吸収係数0.02(1/μm)、膜厚30ミクロンの膜を作製し、ダイシングソーにより、0〜20ミクロンまで0.5ミクロン精度で膜厚wi を加工した。また、溝16の幅w0 は、35ミクロンとした。
【0123】
図19に振幅調整板挿入前(位相誤差低減後の)のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示し、図20に上記方法により振幅調整板を挿入した後のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示した。
【0124】
図20に示すように、上記振幅調整板27によりアレイ導波路の振幅誤差が調整され、そのクロストークは、−40dBから−50dBに改善された。このとき、溝加工を含む振幅調整板挿入の過剰損失は1.7dBであった。
【0125】
(実施例4)
図21に本発明の第4の実施例としてのアレイ導波路型波長合分波器を示す。図21中、符号16−1、16−2は溝、27−1は位相調整板、27−2は振幅調整板を各々図示する。
【0126】
本実施例では、従来のアレイ導波路型光合分波器のアレイ導波路上に交差する一定幅の溝16−1を加工した後、厚みが空間的に変化した面内屈折率が一定の位相調整板27−1をその溝16−1に挿入し、さらに、接着剤を充填している。この構成は位相誤差を低減するためのものである。
【0127】
さらに、前記実施例3と同様、アレイ導波路型光合分波器のアレイ導波路上に交差する一定幅の溝16−2を加工し、振幅調整板27−2をその溝16−2に挿入している。本実施例が第3の実施例と異なるのは、挿入する振幅調整板27−2が、図22に示すような厚みが平坦化されたものとなっている点である。
【0128】
図22中、31は厚みが空間的に変化した面内吸収率が一定の膜、32はその凹凸を埋める透明な材料である。ここで、凹凸を埋めるのに透明な材料32の屈折率は、膜31の屈折率と同一となっている。
【0129】
上記振幅調整板27−2を溝に固定するために、接着剤を充填するが、本実施例4に使用する振幅調整板はその凹凸が埋められているため、前記実施例3のときのように、接着剤の屈折率は振幅調整板の屈折率とを同一にする必要はない。
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0130】
1) シリコン基板13上に火炎堆積法と反応性イオンエッチング法でアレイ導波路型波長合分波器を作製する。
【0131】
2) 入力導波路20、出力導波路21、スラブ導波路22およびアレイ導波路23より形成される複数のパスの位相誤差および振幅誤差の分布を低コヒーレントな光源を用いて測定する。この測定に基づき、振幅調整量A1 ,A2 ,・・・AN (Ai ≦1:添字はアレイ導波路の番号)を決定する。
【0132】
3) 前記実施例1および2に示した位相調整板付光回路およびその製造方法により、位相調整板27−1を溝16−1に挿入し、位相誤差を低減する。
【0133】
4) ポリイミド膜(吸収係数α:屈折率n1 )を作製し、挿入時にアレイ導波路と交差する部分にその膜厚がw1 ,w2 ,・・・wN となるように、加工する。
【0134】
ここで、wi は
【0135】
【数4】
Ai 2=exp(−αwi )
となるように決定する。
【0136】
5) ダイシングソーにより幅w0 、深さ150ミクロンの溝16−2を作製する。
【0137】
6) 溝16−2に振幅調整板27−2を挿入し、接着剤で固定する。
【0138】
実際には、吸収係数0.03(1/μm)、膜厚20ミクロンの膜を作製し、ダイシングソーにより、0〜15ミクロンまで0.5ミクロン精度で膜厚wi を加工した。その後、作製した膜31と同一の屈折率を有する透明材料32を膜にスピンコートした。スピンコートにより、作製した溝が埋まり、膜厚が全体にわたって22ミクロン(一定値)となった。また、溝の幅w0 は、25ミクロンとした。
【0139】
振幅調整板によりアレイ導波路の振幅誤差が調整され、そのクロストークは、隣接チャンネルを除いて40dBから−50dBに改善された。このとき、2つの溝加工を含む位相調整板、振幅調整板挿入の過剰損失は2.2dBであった。
【0140】
(実施例5)
本発明の第5の実施例の構成は、前記第4の実施例と同じである。
【0141】
第4の実施例と異なる点は、図23に示すような振幅調整板を挿入した点である。図23中、符号33は透明な膜、34は金属膜を各々図示する。各金属膜34の厚さは、金属の吸収率と振幅調整量により決定される。金属膜34の場合、吸収係数が大きいため、必要な膜厚が薄く、金属膜の凹凸が位相に及ぼす影響は小さい。
【0142】
本実施例では、通常ガウス型で近似できる、アレイ導波路格子型波長合分波器の振幅特性をsinc関数状に調整した。また、位相調整はsinc関数における負の値を実現するため、すなわち位相を180度ずらすために用いた。
【0143】
実際の振幅調整膜は、膜厚15ミクロンの膜を作製し、Crを蒸着して作製した。また、溝の幅w0 は、20ミクロンとした。
【0144】
図24,図25および図26は調整前後の振幅特性、位相特性、透過波長特性を示したものである。振幅特性、位相特性を調整し、sinc関数状の分布を実現できたことにより、通過域が平坦化され、3dB帯域幅は約280%広げることができた。
【0145】
このとき、溝加工を含む振幅調整板挿入の過剰損失は3.5dBであった。
【0146】
(実施例6)
図27は本発明の第6の実施例としての振幅調整板付1×8スプリッタを示す。
【0147】
図27中、符号35は入力導波路、36はスラブ導波路、37は出力導波路、16は溝、27は振幅調整板である。入力導波路はシングルモード導波路となるように設計されており、ガウス型で近似可能な強度分布を有する。入力光はスラブ導波路で広がり出力導波路へと結合される。スラブ導波路出力部での光パワーの分布は、スラブ導波路入力部の分布をフーリエ変換したものとなる。スラブ導波路入力部の分布がほぼガウス型であるので、出力部の分布もほぼガウス型に近似できる。一般に1×Nスプリッタは、N本の出力導波路に導かれる光パワーを同一とするため、出力導波路の開口幅は中央から外に向かうにつれて幅広になるように設計される。実際には、図28のようにシミュレーションによってスラブ導波路出力部での光パワー分布を計算し、各出力導波路に結合される光パワーが同一となるように、すなわち、図28中の縦線で区切られた面積Si (iは出力ポート番号)が同一となるように、開口幅xi が決定される。
【0148】
一般に実際に作製した1×Nスプリッタにおいては、入力導波路における光パワーの分布が完全にガウス型ではないこと、あるいはスラブ導波路と出力導波路との結合部の損失にばらつきがあること等の理由によって、出力光パワーのポート間のばらつきが存在する。
【0149】
本実施例では、石英系光導波路で作製した1×8スプリッタにおいて、出力光パワーのポート間のばらつきが振幅調整板27を用いることによって低減されている。
【0150】
本実施例のl×8スプリッタの作製手順を以下に示す。
【0151】
1) 1×8スプリッタの8本の出力導波路から出力される光のパワーを測定した。図29は測定した出力光パワーの出力ポート依存性である。損失は11.8〜12.6dBに分布していた。このばらつきを低減するための振幅調整量は以下のように決定した。最高損失12.6dBと各出力ポートの損失との差を計算し、その値の平方根を振幅調整量Ai (iは出力ポート番号)とした。図30は決定した振幅調整量の出力ポート依存性である。最大調整量は損失にして0.8dB、すなわち0.83であったので、最大の振幅調整量は 0.83=0.91となった。
【0152】
2) 膜厚10ミクロンに対して、0.9(<最大振幅調整量0.91)の振幅調整が得られるように、振幅調整板の材料の吸収係数αを0.021(1/μm)と決定した。本実施例における振幅調整板は、図30に示すように、透明膜上に吸収膜が形成され、吸収膜への切り込み量(切りのこし量)で吸収を変化させる構成とした。透明膜は、振幅調整板の強度・操作性を充分保ったまま、吸収膜の切りのこし量を小さくして過剰損失を低減させるために用いた。吸収膜および透明膜の膜厚はそれぞれ10μmおよび8μmと設定した。吸収膜部への切り込み量は、切りのこし量Wi が次式を満たすように決定した。
【0153】
【数5】
Ai 2=exp(−α・Wi ) (1)
図31は決定した振幅調整板への切り込み量の分布である。最大切り込み量は最小調整量を与える10μmであった。
【0154】
3) 図32は実際の振幅調整板を作製する工程を示したものである。まず、スピンコート法によって膜厚8μmの透明膜62をSi基板61の上に形成し、乾燥後、透明膜の上に吸収係数α=0.021(1/μm)、膜厚10μmの吸収膜63をスピンコート法によって形成した。その後、ダイシングソー64を用いて、前述の方法で決定した量の切り込みを作製した。1×8スプリッタの隣接出力導波路の問隔は250μmであったので、ダイシングソーの刃の幅は100μmとした。切り込み作製後、Si基板上で膜を短冊状に切り、ピンセット65で引きはがして振幅調整板27とした。
【0155】
4) 1×8スプリッタの8本の出力導波路すべてを横断する幅20μmの溝13をダイシングソーを用いて加工した。その溝にピンセット付きのマニュピュレータを用いて、作製した振幅調整板を挿入し、振幅調整板への切り込み作製部と出力導波路が交差するように位置を合わせた。さらに、マイクロピペットを用いて、振幅調整板27と溝16との間隙に、振幅調整板の屈折率と同じ値を有する接着剤を注入し、その後、紫外線を照射して固定した。
【0156】
図33は、調整後の各出力ポートにおける光パワーの分布を示したものである。11.8〜12.6dBに分布していた損失は、12.8〜12.9dBとなり、そのばらつきが低減された。平均0.3dBの過剰損失は、主に導波路を横断するように作製した幅20μmの溝部における回折損失による。以上の結果は、TEモードについて示したものであるが、TMモードでもほとんど変わりなく調整できていた。
【0157】
(実施例7)
図34に本発明の第7の実施例としての位相調整板付アレイ導波路格子型波長合分波器を示す。図34中、符号20は入力導波路、21は出力導波路、22はスラブ導波路、23はアレイ導波路、19はクラッド層、13はシリコン基板、16は溝、27は位相調整板を各々図示する。また、図35は図34中のB− B線に沿う拡大断面図を示す。さらに、図36には図34で使用した位相調整板の拡大図を示す。
【0158】
本実施例のアレイ導波路型光合分波器は、すべてのアレイ導波路を横断するように形成された一定幅の溝16中に、位相調整板17を挿入して構成される。
【0159】
さらに、上記位相調整板17と溝16の内壁との間隙には接着剤18が充填され、光回路と位相調整板は固定されている。
【0160】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器におけるアレイ導波路の光路長の波長オーダーのずれ、すなわち位相誤差を位相調整板17を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数8、アレイ導波路数30、チャンネル波長間隔は0.8nmである。
【0161】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0162】
1)アレイ導波路格子を構成する各アレイ導波路を通過する光の位相および振幅特性を測定した。この測定に関しては、低コヒーレンス光を用いた公知の光回路解折法を適用した(例えば、特願平6−5989号参照)。図37に測定系を示す。41は光源、42,43は光ファイパ3dBカップラ、44は測定用干渉型光回路、45,46,49はレンズ、47はプリズム、48はリフレクタ、51,52はカップラ42の出射ポート、53,54はカップラ43の入射ポート、50は狭線幅レーザ、55はダイクロイックミラー、56,57は光検出器、58はフリンジカウンタ、59はウェーブフォーム・レコーダである。
【0163】
光源51には、コヒーレンス長35μmの1.55μm帯のSLD光を用いた。狭線幅レーザ50には、波長1.3μm帯のDFBレーザを用いた。SLD光ならびにDFBレーザ光は3dBカップラ42によって2つの光路に分けられ、一方は測定する光回路に、他方は電動ステージ上に設置されたリフレクタ48からなる光路長可変部に導かれる。2つの光路からの光は再び3dBカップラ43によって結合される。干渉系計から出射する波長1.3μmと1.55μmの光はダイクロイックミラー55で分離され、1.3μmの光は光検出器56で、1.55μmの光は光検出器57で受光される。干渉計内の光路長が半波長だけ変化するとレーザ50からの光のビート信号が半周期変化することを利用して、フリンジカウンタ58は半波長の光路長変化毎にクロックパルスを発生する。このパルスを外部クロックとして、ウェーブフォーム・レコーダ59は干渉信号をサンプリングする。この構成では、光回路を通過する経路と光路長可変部を通過する経路の光路長差が光源のコヒーレンス長より短い時のみ2つの光は干渉し、干渉信号が観測される。アレイ導波路は光路長が順番に△Lずつ長くなるよう設計されているので、光路長可変部の光路長を長くしていくと、短いアレイ導波路から順番に干渉信号が得られる。
【0164】
図38に観測した干渉信号の例を示す。光源のコヒーレンス長が△L=254μmより充分小さいため、干渉信号は図38中の波線内に表示されるようなフリンジに分離することができる。各フリンジは、各アレイ導波路を通過した光の伝達関数を表すので、離散フーリエ変換等の数学的処理によって、光の位相と振幅の情報を得ることがてきる。すべてのフリンジについて同様の処理を行うことによって、すべてのアレイ導波路に関する位相と振幅の分布が得られる。図39および図40はそれぞれ各アレイ導波路の透過中心波長における位相および振幅の分布を示したものである。図41に、入力ポート番号8から出力ポート番号9への透過波長特性を示す。クロストークは最大で25dBであり、その大きな原因は0.3〜0.25ラジアンの間に分布する位相誤差であった。
【0165】
2) 位相誤差を低減するための位相調整量を以下のように決定した。まず、本実施例における位相調整板27の構成は一定膜厚の膜に位相調整量に応じた切り込みが形成されたものに決定した(図36)。さらに、本実施例では接着剤28の屈折率は位相調整板の屈折率よりも小さくして、位相調整量は負の値になるようにした。
【0166】
図39を見てわかるように、位相誤差はTEモードとTMモードで若干異なる。そこで、位相調整量は位相誤差がTEモードとTMモードの平均値であるとして計算した。位相調整量の最大値は0.32フジアンとなったので、約7μmの切り込みでこの0.32ラジアン=0.08μmの位相を調整できるように、位相調整板と接着剤の屈折率差を0.011と決定した。この屈折率差から、各位相調整量に相当する切り込み量を決定した。図42に決定した位相調整板への切り込み量の分布を示した。
【0167】
3) 図43は位相調整板を作製する行程を示したものである。
【0168】
まず、スピンコート法によって膜厚15μmの膜66をSi基板61上に形成し、乾燥後、ダイシングソー64を用いて、前述の方法て決定した量の切り込みを作製した,最小隣接アレイ導波路間隔は120μmであったので、ダイシングソの刃の幅は60μmとした。切り込み作製後、Si基板上で膜を短冊状に切り、ピンセット65で引きはがして位相調整板とした。
【0169】
4) アレイ導波路格子の30本の出力導波路すべてを横断する幅20μmの溝16をダイシングソーを用いて加工した。その溝にピンセット付きのマニュピュレータを用いて、作製した位相調整板を挿入し、位相調整板への切り込み作製部と各アレイ導波路が交差するように位置を合わせた。さらに、マイクロピペットを用いて、位相調整板17と溝16との問隙に、位相調整板の屈折率に比べて0.011だけ屈折率が小さい接着剤を注入し、その後、紫外線を照射して固定した。
【0170】
図44に位相調整板挿入後のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示す.図45、図46はそれぞれ位相調整後の位相誤差および振幅分布を示すグラフである。位相調整板によりアレイ導波路の位相誤差が調整され.そのクロストークは、調整前の−25dBからTEモードで−37dB、TMモードで−39dBに改善された。このとき、溝加工と位相調整板挿入による過剰損失は1.0dBであった。TE・TMモードの平均の位相誤差はその標準偏差が0.088から0.036低減された。振幅分布は位相調整板挿入前とほとんど変わらないことから、位相調整板が振幅に及ばす影響は小さく、ほぼ独立に位相のみが調整できたことがわかる。
【0171】
(実施例8)
図47に本発明第8の実施例としての位相調整板および振幅調整板付アレイ導波路型波長合分波器を示す。図47中、16−1,16−2は溝、27−1,27−2は位相調整板、振幅調整板を各々図示する。
【0172】
本実施例のアレイ導波路型光合分波器は、すべてのアレイ導波路を横断する一定幅の溝16−1および16−2中に位相調整板27−1および振幅調整板27−2が挿入され、さらに各調整板と溝の内壁との間隙には接着剤が充填、固定されて構成されている。
【0173】
本実施例ては、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器における位相誤差および振幅誤差をそれぞれ位相調整板27−1および振幅調整板27−2を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数16、アレイ導波路数64、チャンネル波長間隔は0.8nmである。
【0174】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0175】
1) すべてのアレイ導波路を横断する幅25μm,深さ120μmの溝を2本、反応性イオンエッチング法を用いて作製した。2本の溝の間隔は100μmとした。図48、図49に、溝作製後に低コヒーレンス干渉計を用いて測定したTEモードでの位相および振幅の分布をそれぞれ示す。さらに、図50にTEモードでの透過波長特性を示す。クロストークは、−29dBであり、この主たる原因は位相誤差である。
【0176】
2) 本実施例での位相調整板は、前記実施例7の位相調整板と同じ構成の凹部を有する膜の凹部が異なる屈折率を有する透明材料を用いて平坦化されたものとした。構成を図51に示す。位相調整板への切り込み量は、前記実施例7と同様の方法で決定した。決定に際しては、最大切り込み量および位相調整板を構成する2つの物質の屈折率差がそれぞれ7μmおよび0.015となるようにした。
【0177】
図52は本実施例の位相調整板を作製する工程を示したものである。まず、実施例7と同じ構成の凹部を有する膜68を、ダイヤモンドバイト71を回転させて使用するフライス加工により作製した。続いて、0.015だけ異なる屈折率の透明材料69をスピンコートして、その凹部を平坦化した。最初の膜66および最終的な位相調整板70の厚みは、それぞれ15μm、20μmとした。
【0178】
3) 作製した位相調整板27−1を、溝16−1に挿入し、紫外線硬化接着剤を用いて溝に固定した。このとき、位相調整板は溝に挿入するだけで位相が調整できるように平坦化されているので、接着剤の屈折率を厳密に設定する必要はない。そこで、接着剤の屈折率は、コアの屈折率とほぽ同じ1.47とした。接着剤とコアの屈折率の値をほぼ同一にすることは、溝における回折損失を低減することおよび溝幅の分布が及ぼす位相誤差への影讐を小さくすることに役立つ。
【0179】
4) 位相調整板挿入後の位相および振幅の分布を低コヒーレンス干渉法を用いて測定した。図53、図54に測定したTEモードでの位相および振幅の分布を示す。また、図55にTEモードでの透過波長特性を示す。位相誤差の最大値が0.45ラジアンから0.05ラジアンに低減された結果、クロストークは−29dBから−39dBに改善された。また、TMモードの位相誤差も同時に低減されクロストークは−39dB以下に改善された。−39dBのクロストークは振幅分布のガウス分布からのずれによるので、次に振幅調整板27−2を作製した。
【0180】
本実施例での振幅調整板は、実施例6の振幅調整板と同じ構成の凹部を有する膜の凹部が、吸収膜と同一の屈折率を有し、かつ透明な材料を用いて平坦化されたものを用いた。凹部を埋める材料の屈折率を、吸収膜の屈折率と同一にしたのは、振幅調整板によって位相誤差を生じさせないためである。また、凹部を埋める物質を透明な材料としたのは、この材料によって吸収を変化させないためである。
【0181】
5) 振幅調整板への切り込み量は、以下の方法で決定した。まず、測定した振幅分布(図54)をガウス分布てフィッティングし、分布がピーク値を持つパス番号とピーク値およびその値がピーク値の1/eとなるパス番号を求める。本実施例では、振幅調整が損失を与える構成とする。すなわち、調整量は1より小さい値とするので、フィッティング曲線がすべての振幅値を下回るように、ピーク値を設定し直した(図54中の波線)。このようにして得られたフィッティング曲線が最終的な振幅の設定値となる。この調整後の振幅設定値と調整前の振幅値との比から振幅調整量Ai (iはパス番号)を決定した。図56に決定した振幅調整量の分布を示した。振幅調整量は1.0から0.92に分布した,
6) 次に、振幅調整板の加工データを求めた。まず、膜厚10μmに対して、0.90(<最大振幅調整量0.92)の振幅調整が得られるように、振幅調整板の材料の吸収係数a=0.021(1/μm)と決定した。吸収膜部への切り込み量は、切りのこし量Wi が(1)式を満たすように決定した。図57は決定した振幅調整板への切り込み量の分布である。最大切り込み量は最小調整量を与える10μmであった。
【0182】
7) 図58は本実施例の位相調整板を作製する工程を示したものである。まず、実施例6と同じ構成の凹部を有する膜72をフライス加工により作製後、透明な物質73をスピンコートして、その凹部を平坦化した。最初の透明膜62、吸収膜63および最終的な振幅調整板74の厚みは、それぞれ8μm、l0μm、22μmとした。
【0183】
8) 作製した振幅調整板を溝16−1に挿入し、紫外線硬化接着剤を用いて溝に固定した。このとき、位相誤差を伴わず振幅のみが調整できるように、振幅調整板は平坦化されているので、接着剤の屈折率を厳密に振幅調整板と同じ値に設定する必要はない。そこで、接着剤の屈折率は、コアの屈折率とほぽ同じ1.47とした。接着剤とコアの屈折率の値をほぼ同にすることは、溝における回折損失を低減することおよび溝幅の分布が及ぼす位相誤差への影響を小さくすることに役立つ。
【0184】
図59、図60に振幅調整板挿入後のTEモードでの振幅分布ならびに透過波長特性を示した。
【0185】
振幅誤差は、標準偏差にして0.02まで低減され、クロストークは−48dBまで改善された。このとき位相誤差は、振幅調整板挿入前後で大きな変化はなく、位相特性に影響を与えることなく振幅のみが調整てきた。また、TMモードの特性はほとんどTEモードと同じであり、位相、振幅とも誤差に偏波依存性が生じることなく調整できた。
【0186】
以上、位相調整板および振幅調整板の設置により、アレイ導波路型光波長合分波器のクロストークが−29dBから−48dBへと大きく改善された。このとき、溝加工を含む位相調整板および振幅調整板挿入の過剰損失は1.7dBであった。
【0187】
(実施例9)
本発明の第9の実施例は、振幅位相調整板付アレイ導波路型波長合分波器である。その構成は第7の実施例の構成と同じであるが、位相調整板27の代わりに、図61に示すような振幅位相調整板(光学特性調整板)98を挿入した点が異なる。図61中、80は屈折率が一様で透明な膜、81は金属膜である。透明膜80には凸部82が形成されており、凸部の厚さを変化させて位相を調整する構成となっている。一方、各金属膜81はその厚さを変えることにより、吸収係数を変え、光の振幅を調整するために用いられる。各金属膜の厚さは、金属の吸収率と振幅調整量により決定される。金属膜の場合、吸収係数が大きいため、必要な膜厚が薄く、金属膜の厚さの違いが位相に及ぼす影響は小さい。すなわち、位相調整に用いる凸部82の厚さは、金属膜の厚さに独立して決定てきる。
【0188】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器において、通常ガウス型で近似できる、各アレイ導波路を通過する光の振幅持性をsinc関数状に調整した。位相調整はsinc関数における負の値を実現するため、すなわち位相を180度変化させるために用いた。
【0189】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器における位相誤差および振幅誤差をそれぞれ振幅位相調整板98を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数8、アレイ導波路数64、チャンネル波長間隔は0.8nmである。
【0190】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0191】
1) すべてのアレイ導波路を横断する幅25μm、深さ120μmの溝を、反応性イオンエツチング法を用いて作製した。次に、低コヒーレンス干渉計を用いて位相と振幅の分布を測定した。図62、図63、図64に、振幅位相調整板挿入前後の振幅分布、位相分布ならびに透過波長特性を示した。
【0192】
2) 各アレイ導波路を通過する光の透過持性をsinc関数状に調整するために必要な振幅・位相の調整量を決定し、振幅位相調整板の加工データを決定した。金属膜の膜厚および透明膜の凸型部の厚さは、実施例6およびと実施例7と同様の方法で求めた。
【0193】
3) 決定した加工データに基づき、図65に示した工程で、本実施例の振幅位相調整板を作製した。まず、基板91上に厚さ30μmの金属膜92を形成し、前記金属膜をマスク93を用いたエッチングによって加工し、凹型の型を形成した。加工深さは予め決定した透明膜の凸部の厚さと同一にした。次に型上にスピンコート法を用いてポリイミド膜95を作製した。さらに膜の上に厚さを局所的に変化させた金属Cr膜96をスパッタ法により形成した。作製した金属膜付凸型透明膜97を基板91からピンセットを用いて引きはがし、切断して、振幅位相調整板98とした。
【0194】
4) 作製した振幅位相調整板98を図34のアレイ導波路を横断する幅の溝に挿入、位置合わせを行った後、接着剤を用いて固定した。
【0195】
振幅位相調整板挿入後の位相、振幅分布、透過波長特性(図62、図63、図64)を見ればわかるとおり、sinc関数状の透過特性が実現できたことにより、通過域が平坦化され、3dB帯域幅を約280%広げることがてきた。このとき、溝加工を含む振幅調整板挿入の過剰損失は3.5dBであった。
【0196】
以上の結果はTEモードについて示したものであるが、TMモードでもほとんど変わりなく調整できていた。
【0197】
(実施例10)
本発明の第10の実施例は、位相調整板および複屈折調整板付アレイ導波路型合分波器である。その構成は、第8の実施例の構成と同じであるが、振幅調整板27−2の替わりに、図66に示す複屈折調整板27−3を挿入した点が異なる。複屈折調整板は調整対象となる導波路を伝搬するTEおよびTMモードの2つの偏波の光に対して、異なる位相変化を与え、その変化量を導波路毎に異なる値とするために用いる。
【0198】
実施例7の図39に示したように、アレイ導波路格子型波長合分波器の位相誤差には、一般に偏波依存性が存在する。これは、各導波路における複屈折にばらつきがあるために生じるものである。前記実施例1〜9においては、位相誤差の偏波依存性の光学特性への影響が小さかった。しかし、導波路の占有する面積が大きく、大きな複屈折ばらつきを有する光回路では、位相調整板のみで、両偏波の位相誤差を同時に解消することができない。
【0199】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型は調合分波器における一つの偏波の位相誤差を位相調整板27−1により低減し、さらに残った他方の偏波の位相誤差をそれぞれ複屈折調整板27−3を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数16、アレイ導波路数64、チャンネル波長間隔は0.08nmである。
【0200】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0201】
1) すべてのアレイ導波路を横断する幅25μm、深さ120μmの溝を、ダイシングソーを用いて作製した。次に、低コヒーレンス干渉計を用いてTEモードの位相と振幅の分布を測定した。位相誤差は360度の範囲に分布しており、クロストークは−5dBであった。続いて、実施例7と同様の方法で、TEモードに対する位相誤差のみを位相調整板を用いて低減した。位相調整後の透過特性は、TEモードで−32dB、TMモードで−20dBであった。
【0202】
2) TMモードの位相誤差のみを低減するため、複屈折調整板を作製した。複屈折調整板は、図66に示したように、調整板の長手方向とその垂直方向の屈折率が異なる値nx 、ny (nx ≠ny )となる複屈折板に対して、凹部を加工したものである。まず、低コヒーレンス干渉計を用いてTMモードの位相と振幅の分布を測定した。次に、屈折率差(ny −nx )とTMモードの位相誤差から、複屈折調整板に加工する凹部の深さを算出した。さらに、スピンコートによって作製したポリイミド膜に対して、一方向に力を加えて、ny −nx =0.035 、膜厚20μmの複屈折膜を作製した。最後に、実際にダイシングソーを用いて作製した複屈折膜に切り込みを加工し、複屈折調整板とした。
【0203】
3) 作製した複屈折調整板をアレイ導波路を横断する幅に挿入し、位置合わせを行った後、接着剤を用いて固定した。接着剤の屈折率は、nx を同一とした。これは、TEモードの位相が変化しないようにするためである。
【0204】
複屈折調整板挿入後のクロストークは、TE,TMモードとも−32dBとなった。位相誤差は、TE、TMモードともほぼ同じとなり、かつTEモードの位相誤差には変化がなかった。以上、本実施例の複屈折調整板によって、アレイ導波路格子型合分波器における位相誤差の偏波依存性を低減することができた。 以上、本発明の実施例では、マッハツェンダ干渉計形2×2スイッチにおける低消費電力化、1×Nスプリッタにおける出力光のポート間ばらつきの低減、アレイ導波路格子型合分波器における位相誤差、振幅誤差の低減によるクロストーク改善や透過特性の調整による通過域のフラット化、あるいは複屈折のばらつきの低減による位相誤差の偏波依存性の低減等を例として示した。
【0205】
しかしながら、本発明の光学特性を調整した導波形光回路は、実施例に示した2×2スイッチ、1×Nスプリッタ、アレイ導波路格子型合分波器に限定されるものではなく、複数の導波路を有するすべての光回路において適用可能である。したがって、1×Nスプリッタのような干渉部を持たない光回路から、マッハツェンダ型光回路、トランスバーサル型フィルタ等の干渉型光回路まで、その光学特性、例えば、位相、振幅、複屈折等の調整に使用できる。
【0206】
また、実施例では、調整の対象とする光学特性として、振幅、位相、複屈折を例として示したが、例えば、偏光、非線形定数等の他の光学特性の調整にも適用できる。
【0207】
さらに、本発明は、本実施例に示した石英系導波路に限定されるものではなく、LNやポリマーを用いた光回路にも適用できる。
【0208】
本実施例では、調整板の凹凸加工をダイシングソーを用いた加工と、ダイヤモンド切削工具を用いたフライス加工の例を示したが、エッチングによる加工等の他の加工法を用いてもよい。また、膜の直接加工に限定されるものではなく、実施例9に示したように、型加工等による間接加工でもよい。
【0209】
膜の形成方法についても、例えば、真空蒸着、スパッタリング法などの物理気相成長法、化学気相成長法および液相成長法等の他の形成方法を用いてもよく、前述のスピンコート法に限定されるものではない。
【0210】
調整板は、実施例に示した凹部を有するものや、凸部を有するものや、その凹部あるいは凸部を平坦化したものなどの、どのような取り合わせでもよい。
【0211】
【発明の効果】
以上、実施例とともに説明したように、本発明の光路長誤差を調整したマッハツェンダ干渉系型2×2スィッチは、従来のものに比べて低消費電力なものとなる。また、光路長誤差を調整したアレイ導波路格子型波長合分波器は、そのクロストークが従来のものに比べて−10dB以上低減したものとなる。また、本発明の振幅誤差を調整したアレイ導波路格子型合分披器は、そのクロストークが従来のものに比べて−10dB以上低減したものとなる。また、振幅特性および位相特性をsinc関数状に調整したアレイ導波路格子型合分波器では、通過域の3dB幅を約280%広げることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のマッハツェンダ干渉計型2×2スイッチを示す図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1に示したマッハツェンダ干渉計の薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を示すグラフである。
【図4】アレイ導波路格子型波長合分波器の回路構成図である。
【図5】図4に示したアレイ導波路格子型波長合分波器の中心入力ポートから中心出力ポートへの透過波長特性図である。
【図6】第1の実施例としてのマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチを示す図である。
【図7】図6中のVII −VII 線に沿う拡大断面図である。
【図8】第1の実施例に用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【図9】第1の実施例に用いた位相調整板の作製方法図である。
【図10】図6に示したマッハツェンダ干渉計において位相調整板挿入前の薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を示すグラフである。
【図11】図6に示したマッハツェンダ干渉計において位相調整板挿入後の薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を示すグラフである。
【図12】第2の実施例としてのアレイ導波路格子型波長合分波器の斜視図である。
【図13】第2の実施例に用いた位相調整板の概路図である。
【図14】図12に示したアレイ導波路格子型波長合分波器において、位相調整板挿入前における中心入力ポートから中心出力ポートへの透過波長特性を示すグラフである。
【図15】図12に示したアレイ導波路格子型波長合分波器において、位相調整板挿入後における中心入力ポートから中心出力ポートへの透過波長特性を示すグラフである。
【図16】第3の実施例であるアレイ導波路格子型合分波器を示す斜視図である。
【図17】図16中のA−A線に沿う拡大図である。
【図18】第3の実施例に用いた振幅調整板の拡大斜視図である。
【図19】図16に示したアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板挿入前の透過波長特性図である。
【図20】図16に示したアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板挿入後の透過波長特性図である。
【図21】第4の実施例のアレイ導波路格子型合分波器の斜視図である。
【図22】第4の実施例に用いた振幅調整板の拡大斜視図である。
【図23】第5の実施例に用いた振幅調整板の拡大斜視図である。
【図24】第5の実施例のアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板、位相調整板挿入前後の振幅分布を表す図である。
【図25】第5の実施例のアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板、位相調整板挿入前後の位相分布を表す図である。
【図26】第5の実施例のアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板、位相調整板挿入前後の透過波長特性図である。
【図27】本発明の第6の実施例の振幅調整板付1×8スプリッタの平面図である。
【図28】第6の実施例においてシミュレーションにより求めたスラブ導波路出力部でのパワー分布を示すグラフである。
【図29】第6の実施例で測定した出力光パワーの出力ポート依存性を示すグラフである。
【図30】第6の実施例において決定した振幅調整量の出力ポート依存性を示すグラフである。
【図31】第6の実施例において決定した振幅調整板への切り込み量の分布を示すグラフである。
【図32】第6の実施例における振幅調整板の作製工程を示す図である。
【図33】第6の実施例において振幅調整板により調整した後のスプリッタの各出力ポートにおける光パワーの分布を示すグラフである。
【図34】本発明の第7の実施例の位相調整板付アレイ導波路格子型波長合分波器の斜視図である。
【図35】図34のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図36】第7の実施例に用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【図37】第7の実施例の波長合分波器のアレイ導波路を通過する光の位相および振幅を測定するための測定系の構成図である。
【図38】図37の測定系により観測した本実施例の波長合分波器のアレイ導波路の干渉信号の一例を示すグラフである。
【図39】第7の実施例において波長合分波器の各アレイ導波路の透過中心波長における位相分布を示すグラフである。
【図40】第7の実施例において波長合分波器の各アレイ導波路の透過中心波長における振幅分布を示すグラフである。
【図41】第7の実施例の波長合分波器の入力ポート番号8から出力ポート番号9への透過波長特性を示すグラフである。
【図42】第7の実施例において決定した位相調整板への切り込み量の分布を示すグラフである。
【図43】第7の実施例における位相調整板の作製工程を示す図である。
【図44】第7の実施例において位相調整板の挿入後のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示すグラフである。
【図45】第7の実施例において位相調整後の合分波器の位相誤差を示すグラフである。
【図46】第7の実施例において位相調整後の合分波器の振幅分布を示すグラフである。
【図47】第8の実施例の位相調整板および振幅調整板付アレイ導波路波調合分波器の斜視図である。
【図48】第8の実施例において波長合分波器に溝を形成した後に低コヒーレンス干渉計を用いて測定したTEモードでの位相分布を示すグラフである。
【図49】第8の実施例において波長合分波器に溝を形成した後に低コヒーレンス干渉計を用いて測定したTEモードでの振幅分布を示すグラフである。
【図50】第8の実施例において波長合分波器に溝を形成した後のTEモードでの透過波長特性を示すグラフである。
【図51】第8の実施例で用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【図52】第8の実施例で用いた位相調整板の作製工程を示す図である。
【図53】第8の実施例において位相調整板を波長合分波器の溝に挿入した後の波長合分波器の位相分布を示すグラフである。
【図54】第8の実施例において位相調整板を波長合分波器の溝に挿入した後の波長合分波器の振幅分布を示すグラフである。
【図55】第8の実施例において位相調整板を波長合分波器の溝に挿入した後の波長合分波器の透過波長特性を示すグラフである。
【図56】第8の実施例において波長合分波器の測定振幅値の分布から決定した振幅調整量の分布を示すグラフである。
【図57】第8の実施例において振幅調整量から決定した振幅調整板への切り込み量の分布を示すグラフである。
【図58】第8の実施例における位相調整板の作製工程を示す図である。
【図59】第8の実施例において振幅調整板挿入後の波長合分波器のTEモードでの振幅分布を示すグラフである。
【図60】第8の実施例において振幅調整板挿入後の波長合分波器のTEモードでの透過波長特性を示すグラフである。
【図61】第9の実施例で用いて振幅位相調整板の拡大斜視図である。
【図62】第9の実施例において振幅位相調整板を合分波器に挿入した前後の合分波器の振幅分布を示すグラフである。
【図63】第9の実施例において振幅位相調整板を合分波器に挿入した前後の合分波器の位相分布を示すグラフである。
【図64】第9の実施例において振幅位相調整板を合分波器に挿入した前後の透過波長特性を示すグラフである。
【図65】第9の実施例における振幅位相調整板の作製工程を示す図である。
【図66】本発明の第10の実施例に用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【符号の説明】
11−a 第1の入力ポート
11−b 第1の出力ポート
12−a 第2の入力ポート
12−b 第2の出力ポート
13 シリコン基板
14 石英系光導波路
14−1 第1のアーム導波路
14−2 第2のアーム導波路
15 薄膜ヒータ
16 溝
17 位相調整板
17a ポリミイド膜
18 接着剤
19 クラッド層
20 入力導波路
21 出力導波路
22 スラブ導波路
23 アレイ導波路
16−1 溝
16−2 溝
27 振幅調整板
27−1 位相調整板
27−2 振幅調整板
28 接着剤
21 吸収膜
22 透明膜
23 透明膜
24 金属膜
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信あるいは光情報処理などの分野で用いられる光導波回路に関するもので、具体的には、光導波回路の基板上に形成されている複数の光導波路の入力側の光学特性値と出力側の光学特性値とに避けがたく生じる誤差を光学特性調整板により修正した構成の光学特性調整板付光導波回路およびその製造方法に関するものである。
【0002】
前記光導波回路としては、例えば、平面上に形成された光導波路により構成された2光束あるいは多光束の光干渉計がある。そして、前記光学特性としては、例えば、前記複数の光導波路を伝搬する光の位相および振幅、光導波路の複屈折が挙げられる。
【0003】
【従来の技術】
近年、例えば、シリコン基板上に形成した石英系光導波路などによって構成されたプレーナ光波回路(PLC=Planar Lightwave Circuit)の研究が盛んに行われている。そこでは、マッハツェンダ干渉計やアレイ導波路格子型波長合分波器のように2光束あるいは多光束の干渉を用いて、スイッチングや波長合分波の機能を実現している。
【0004】
マッハツェンダ干渉計を利用した熱光学スイッチについて、詳しくは、奥野他「石英系熱光学スイッチ技術」NTT R&D vol.143,No.11,pp.1289−1298,Nov.1994 に記載されている。このスイッチは2本アーム導波路の光路長差を導波表面に設けた薄膜ヒータで熱的に制御することによりスイッチ機能を実現していいる。
【0005】
図1にこの回路構成の概略を、図2に図1のII−II線に沿う拡大断面図を示す。
【0006】
図1中、符号10l−a,102−aは入力ポート、103はシリコン基板、104−1は第1のアーム導波路、104−2は第2のアーム導波路、105は薄膜ヒータ、また、図2中、符号109はクラッド層、および114はコア層を、各々図示する。
【0007】
また、作製した2×2熱光学スイッチの特性の一例を図3に示した。図3の横軸は薄膜ヒータに印加した電力、縦軸はスルーポート(101−a→101−b)への光の透過率を示す。透過率は薄膜ヒータへの印加電力に依存して変化する。ここで、電力をPlとP2とで時間的に切り替えることにより、この回路は2×2光スイッチとして作動する。
【0008】
ここで、図1に示した2本のアーム導波路104−1,104−2は等しい長さに設計されている。よって本来、電力が印加されていないときにスルーポートへの透過率が最低になるはずである。すなわち、P1=0となるはずである。
【0009】
しかし、導波路の作製誤差により2本のアーム導波路104−1,104−2の長さに0.1μmオーダーの光路長差が発生し、それが原因となってP1≠0となっている。ここで、0.1μmの光路長誤差は、光波長にとっては一割程度になるためP1の値もスイッチ電力(P2−P1)に比較して無視できないような値となる。一方、0.1μmオーダーの光路長誤差は10mm程度のアーム導波路104−1,104−2にとっては10−5程度の誤差であり、この値を大幅に低減することは作製技術上困難である。
【0010】
また、P1の電力はスイッチの消費電力を増大させており、その値を0にすることが好ましい。
【0011】
アレイ導波路格子型波長合分波器では、並列に並べられた互いに光路長がn×△Lずつ異なる30〜100本程度のアーム導波路を伝搬した複数の光の干渉により光の波長合分波機能を実現している。
【0012】
ここで、nは導波路の実効屈折率、△Lは10〜100μm程度の値である。詳しくは、H.Takahasi et al.,”Arrayed Waveguide Grating for Wavelength Division Multi/Demultiplexer with Nanometre Resolution,”Electron.Lett.,vol.26,no.2,pp.87−88,1990.に記載されている。
【0013】
図4にその回路構成の概略を示す。図4中、符号110は入力導波路、111は出力導波路、112はスラブ導波路、113はアレイ導波路および103はシリコン基板を各々図示する。
【0014】
図5に図4に示したアレイ導波路格子型波長合分波器の中心ポートから中心出力ポートへの透過波長特性を示す。図5から明らかなように、中心入力ポートから中心出力ポートへ特定の波長のみが透過し、それ以外の波長の光は阻止されていることが分かる。
【0015】
現在のところ、阻止波長の透過率と透過波長の透過率との比で表されるクロストークは−30dB程度である。
【0016】
このクロストークを低減することは、波長合分波機能として極めて重要な課題である。このクロストークが−30dB程度に制限されている第1の原因は、アレイ導波路に設定したn×△Lの光路長差が作製誤差により0.1μmオーダーでゆらいでいるため、各アレイ導波路を通過した光の位相に誤差が生じるためである。
【0017】
また、第2の原因は、分岐部より各アレイ導波路に分配され、再び合波部により結合される各パスからの透過光の振幅が、導波路損失の不均一性等によって設計値からずれる。すなわち、振幅誤差が生じるためである。
【0018】
さらに、例えば、隣接周波数間隔が小さいアレイ導波路格子のように、導波路占有面積の大きな光回路では、光回路を構成する光導波路に複屈折のばらつきが生じる。このため、光導波路の偏波によって、位相の分布が異なり、特性に偏波依存性が生じる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、PLC作製時における0.1μmオーダーの光路長誤差は、2光束あるいは多光束の干渉計の特性劣化を引き起こしている。したがって、この光路長誤差を何らかの方法で調整することができれば、干渉計の特性を向上させることができる。
【0020】
また、PLC作製時において生じる、分岐部より複数のチャンネル導波路に分配され、再び合波部により結合される各パスからの透過光の振幅の設計値からのずれは、2光束あるいは多光束の干渉計の特性劣化を引き起こしている。したがって、この振幅の設計値からずれを何らかの方法で調整することかできれば、干渉計の特性を向上させることができる。さらに、振幅及び位相特性を所望の値に調整することにより、通過波長域の平坦化及び分散制御等の機能を付加することが可能となる。
【0021】
さらに、導波路占有面積の大きな光回路では、光回路を構成する光導波路に複屈折のばらつきのため、特性に偏波依存性が生じる。したがって、この複屈折のばらつきを何らかの方法で、調整することができれば、偏波に依らず、高性能な光回路を作製することができる。
【0022】
本発明は、以上述べた事情に鑑み、本発明の課題の一つは、このPLC作製時に生じる光路長誤差を、作製後に行う付加的な加工で調整した位相調整板付光導波回路とその製造方法を提供することにあり、他の課題は、光の振幅特性をPLC作製後に行う付加的な加工で調整する振幅調整板付光導波回路およびその製造方法を提供することにあり、さらに他の課題は、光の複屈折をPLC作製後に行う付加的な加工で調整する複屈折調整板付光導波回路およびその製造方法を提供することにある。なお、本発明では、同一の光導波回路に位相調整板と振幅調整板の両方を設けてより一層の光学特性の向上を図った構成も含まれる。また、本発明には、これらの光学特性調整板の製造装置をも含まれる。
【0023】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1の光学特性調整板付光導波回路は、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路であって、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を有し、該溝に該光導波回路の光学特性を調整する光学特性調整板が設置され、該光学特性調整板が、一様な光学特性を有する膜を凹凸加工した膜からなり、前記光導波路の各々の光学特性の測定値から決定された各光導波路に必要な光学特性の調整量に対応して、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の光学特性の調整量に応じた膜厚となるように長手方向に凹凸を設けた光学特性調整板であることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項2の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相であり、前記光学特性調整板は一様な屈折率を有する位相調整板であることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項3の光導波回路は、前記請求項2の光導波回路において、前記位相調整板の屈折率が前記複数の導波路の屈折率と異なっていることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項4の光導波回路は、前記請求項2の光導波回路において、前記位相調整板を構成する膜の凹部が透明材料により埋められていることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項5の光導波回路は、前記請求項4の光導波回路において、前記膜の屈折率と該膜の凹部を埋める透明材料の屈折率とが異なることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項6の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は一様な吸収係数を有する振幅調整板であることを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項7の光導波回路は、前記請求項6の光導波回路において、前記振幅調整板を構成する膜の凹部が透明材料により埋められていることを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項8の光導波回路は、前記請求項7の光導波回路において、前記膜の屈折率と該膜の凹部を埋める透明材料の屈折率とが同一であることを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項9の光導波回路は、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路であって、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を有し、該溝に該光導波回路の光学特性を調整する光学特性調整板が設置され、該光学特性調整板が、一定厚みの膜と、該膜の上に形成され該膜の長手方向に厚みが異なる金属膜とから構成されている振幅調整板であり、前記金属膜の厚みが、前記光導波路の各々を伝搬する光の振幅の測定値から決定された各光導波路に必要な振幅調整量に対応して、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなっていることを特徴とする。
【0034】
本発明の請求項10の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相および振幅であり、前記光学特性調整板は位相振幅調整板であることを特徴とする。
【0035】
本発明の請求項11の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の複屈折であり、前記光学特性調整板は複屈折調整板であることを特徴とする。
【0036】
本発明の請求項12の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記溝の内壁と前記光学特性調整板との間隙に光学的に透明な接着剤を充填したことを特徴する。
【0037】
本発明の請求項13の光導波回路は、前記請求項12の光導波回路において、前記光学特性調整板が位相調整板であり、該位相調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とが異なることを特徴とする。
【0038】
本発明の請求項14の光導波回路は、前記請求項12の光導波回路において、前記光学特性調整板が振幅調整板であり、該振幅調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とが同一であることを特徴とする。
【0039】
本発明の請求項15の光導波回路は、前記請求項12の光導波回路において、前記光学特性調整板が複屈折調整板であり、該複屈折調整板の一方の屈折率と前記接着剤の屈折率とが同一であることを特徴とする。
【0040】
本発明の請求項16の光導波回路は、前記請求項1の光導波回路において、前記溝が少なくとも二つ形成されており、その内の一つに設置される光学特性調整板が位相調整板であり、他の一つに設置される光学特性調整板が振幅調整板であることを特徴とする。
【0041】
また、本発明の請求項17は光学特性調整板付光導波回路の製造方法に関するもので、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路に、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を形成する溝形成工程と、前記複数の光導波路を光が伝搬するときの各光導波路それぞれの光学特性を測定し、各光導波路の光学特性の測定値から各光導波路に必要な光学特性の調整量を決定する光学特性調整量決定工程と、一様な光学特性を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が各光導波路の前記光学特性調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程によって光学特性調整板を作製する光学特性調整板作製工程と、前記溝に前記光学特性調整板を設置する光学特性調整板設置工程とを有してなることを特徴とする。
【0042】
本発明の請求項18の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の位相であり、前記光学特性調整板は位相調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な屈折率を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の位相調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程からなることを特徴とする。
【0043】
本発明の請求項19の製造方法は、前記請求項18の製造方法において、前記位相調整板を作製する光学特性調整板作製工程が、さらに、凹凸が形成された一様な屈折率を有する膜の凹部を該膜の屈折率と異なる屈折率を有する透明材料により埋めて該膜を平坦化する膜平坦化工程を有することを特徴とする。
【0044】
本発明の請求項20の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な吸収係数を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の振幅調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程からなることを特徴とする。
【0045】
本発明の請求項21の製造方法は、前記請求項20の製造方法において、前記振幅調整板を作製する光学特性調整板作製工程が、さらに、凹凸が形成された一様な吸収係数を有する膜の凹部を該膜の屈折率と同一の屈折率を有する透明材料により埋めて該膜を平坦化する膜平坦化工程を有することを特徴とする。
【0046】
本発明の請求項22の光学特性調整板付光導波回路の製造方法は、基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路に、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を形成する溝形成工程と、前記複数の光導波路を光が伝搬するときの各光導波路それぞれの光学特性を測定し、各光導波路の光学特性の測定値から各光導波路に必要な光学特性の調整量を決定する光学特性調整量決定工程と、光学特性調整板を作製する光学特性調整板作製工程と、前記溝に前記光学特性調整板を設置する光学特性調整板設置工程とを有し、前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一定厚みの膜の上に、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなる厚み変化を長手方向に有する金属膜を形成する工程からなることを特徴とする。
【0047】
本発明の請求項23の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相および振幅であり、前記光学特性調整板は位相振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な屈折率を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の位相調整量に応じた膜厚になるように凹凸を長手方向に形成するとともに、該膜の上に、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなる厚み変化を長手方向に有する金属膜を形成する工程からなることを特徴とする。
【0048】
本発明の請求項24の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記光学特性調整板設置工程の後に、前記溝の内壁と前記光学特性調整板との間隙に光学的に透明な接着剤を充填する接着剤充填工程を有することを特徴とする。
【0049】
本発明の請求項25の製造方法は、前記請求項24の製造方法において、前記光学特性調整板が位相調整板であり、該位相調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とを異ならせることを特徴とする。
【0050】
本発明の請求項26の製造方法は、前記請求項24の製造方法において、前記光学特性調整板が振幅調整板であり、該振幅調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とを同一とすることを特徴とする。
【0051】
本発明の請求項27の製造方法は、前記請求項17の製造方法において、前記溝形成工程で少なくとも二つの溝を形成し、その内の一つには光学特性調整板として位相調整板を設置し、他の一つには光学特性調整板として振幅調整板を設置することを特徴とする。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0054】
本発明の光導波回路は、前記光導波路を構成する複数の導波路を横断する溝と、前記溝挿入時に前記光導波路と交差する部分の光学特性を補正するように予め光学特性を空間的に変化させた板と、前記溝に前記板を固定する接着剤とから構成される。
【0055】
以下、本発明では、溝挿入時に前記導波路との交差部にあたる部分の光学特性を調整できるように予め加工された板を光学特性調整板と呼ぶ。
【0056】
本構成によって、複数の導波路を伝搬する光の光学特性は、導波路との交差部の光学特性調整板の光学特性に応じて変化する。
【0057】
したがって、複数の導波路の光学特性を測定し、その後、その光学特性を調整するように加工した光学特性調整板を、接着剤を用いて溝に固定することによって、複数の導波路の光学特性を所望の値に調整することができる。
【0058】
なお、調整する光回路の部位としては、直線導波路、曲線導波路のほか、干渉型光回路の干渉光路や3dBカップラ、スラブ導波路等のそれぞれの合分波部を用いても、本発明は有効である。
【0059】
調整する光学特性が光の位相で、光学特性調整板が位相調整板である場合、複数の導波路を伝搬する光は、導波路との交差部の位相調整板の光学厚さに応じて、異なる位相変化が与えられる。その結果、例えば、干渉計形光回路を構成する光導波路の光路長誤差を調整し、光回路の特性を格段に向上させることができる。
【0060】
調整する光学特性が光の振幅で、光学特性調整板が振幅調整板である場合、複数の導波路を伝搬する光は、導波路との交差部の振幅調整板の損失に応じて、異なる損失が与えられる。その結果、例えば、干渉計形光回路を構成する光導波路の振幅分布を調整し、光回路の特性を格段に向上させることができる。
【0061】
調整する光学特性が光の複屈折で、光学特性調整板が複屈折調整板である場合、複数の導波路を伝搬する光は、導波路との交差部の複屈折調整板の光学厚みに応じて、異なる複屈折を与えられる。その結果、例えば、干渉計形光回路を構成する光導波路の複屈折誤差を調整し、光回路の特性を格段に向上させることができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明に係る好適な実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図6に本発明の第1の実施例としてのマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチを示す。図6中、符号11−a,12−aは入力ポート、符号11−b,12−bは出力ポート、13はシリコン基板、14−1は第1のアーム導波路、14−2は第2のアーム導波路、15は薄膜ヒータ、16は溝、17は位相調整板を、各々図示する。
【0064】
また、図7に図6中のVII −VII 線に沿う拡大断面図を示す。
【0065】
本実施例では、従来のマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチのアーム導波路に交差する幅一定の溝16を加工した後、厚みが空間的に変化した面内屈折率一定の位相調整板17(図8)をその溝16に挿入している。
【0066】
さらに,上記位相調整板17を溝16に固定するために、図7に示すように、接着剤18を充填している。
【0067】
ここで、位相調整板17を構成する膜17aの面内屈折率をn1 、接着剤18の屈折率をn2 とした場合、2本のアーム導波路14−1,14−2が感じる溝16の光路長はそれぞれ以下の式で与えられる。
【0068】
第1のアーム導波路14−1における溝の光路長=n1 ×w1 +n2 ×(w0 −w1 )
第2のアーム導波路14−2における溝の光路長=n1 ×w2 +n2 ×(w0 −w2 )
よって、その相対的な光路長差は(n1 −n2 )×(w2 −w1 )となる。
【0069】
ただし、ここで、膜の面内屈折率をn1 、接着剤の屈折率をn2 、第1のアーム導波路14−1に交差する膜厚をw1 、第2のアーム導波路14−2に交差する膜厚をw2 、溝16の幅をw0 とする。
【0070】
本実施例では、膜の面内屈折率と接着剤の屈折率との屈折率差(n1 −n2 )および膜厚の差(w2 −w1 )を適当に与えることによって、作製誤差によって生じたアーム導波路の光路長差を調整する。
【0071】
本実施例のマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチの作製手順を以下に示す。
【0072】
▲1▼ 従来技術と同様の技術によって、シリコン基板上に火災堆積法と反応性イオンエッチング法でマッハツェンダ干渉計を作製する。
【0073】
▲2▼ ダイシングソーにより幅20μm、深さ150μmの溝16を加工する。
▲3▼ 該溝16に屈折率n2の接着剤18を充填する。
【0074】
▲4▼ この状態で図10に示すような薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を測定し、P1 ,P2 を求める。
【0075】
▲5▼ (n1 −n2 )×(w2 −w1 )=(λ/2)×P1 /(P2 −P1 )を満足する膜厚差(w2 −w1 )を求める。ただし、λは光波長で本実施例はλ=1.55μmの光を用いた。
【0076】
▲6▼ 面内屈折率n1のポリイミド膜17aをその膜厚がw1 およびw2 となるように、図9に示すような加工治具30を用いる方法で加工する。この膜を所定の厚さに加工したものを位相調整板17と呼ぶ(図8)。
【0077】
▲7▼ 加工した位相調整板17を上記形成した溝16に挿入し、接着剤18で固定する。
【0078】
実際に石英系PLC技術を用いて2×2光スイッチを作製したところ、
P1 =20mW
P2 =420mW
であった。
【0079】
また、用いた接着剤18の屈折率およぴポリイミド膜17aの面内屈折率はそれぞれ以下の通りであり、その屈折率差は0.01である。
【0080】
n1 =1.53
n2 =1.52
よって、W2 −W1 =3.9μmに設定することによって、作製誤差を調整することができる。
【0081】
よって、ここでは、
w2 =16.0μm
w1 =12.1μm
と設定した。
【0082】
また、図9に示すような加工方法では、膜厚の絶対的な精度は±0.5μm程度しかとれないが、その相対的な膜厚差は士0.05μmで加工できるため、精度良く作製誤差の調整が実現される。
【0083】
作製した2×2光スイッチの薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を図11に示す。P1 は0となり、スイッチングは、400mWを印加するかしないかでオンオフ動作をする。
【0084】
また、20μm幅の溝加工およびそこに膜と接着剤を挿入したときの光の過剰損失は、0.3dBであった。この値は光回路全体の値に比べて充分に小さな値であり、実用上間題にはならない。
【0085】
(実施例2)
図12に本発明の第2の実施例としてのアレイ導波路格子型波長合分波器を示す。
【0086】
図12中、符号13はシリコン基板,16は溝,17は位相調整板,19はクラッド層,20は入力導波路,21は出力導波路.22はスラブ導波路,23はアレイ導波路を各々図示する。また、図13には図12で用いた位相調整板の拡大図を示す。
【0087】
本実施例では、並列に配置されたアレイ導波路23の光路長の誤差は、低コヒーレントな光源を用いて測定することができる。
【0088】
この測定法に関しては、K.Takada et al., ”Measurement of phase error distributions in silica−based arrayed−waveguide grating multiplexers by using Fourier transform Spectroscopy,”Electron.Lett.,vol.30,no.20,pp−1671−1672,1994に詳しく紹介されている。
【0089】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0090】
その基本的な手順は上述した第1の実施例と同じである。
【0091】
▲1▼ 従来技術によって、シリコン基板13上に火災堆積法と反応性イオンエッチング法でアレイ導波路格子波長合分波器を作製する。
【0092】
▲2▼ ダイシングソーにより幅20μm、深さ150μmの溝16を加工する。
▲3▼ 上記溝16に屈折率n2 の接着剤を充填する。
【0093】
▲4▼ この状態で並列に配置されたアレイ導波路23の光路長の誤差を測定して求める。
【0094】
▲5▼ 面内屈折率n1 のポリイミド膜をその膜厚がw1 ,w2 ・・・wN となるように、図9に示したような加工法で加工する。
【0095】
ここで、w1 ,w2 ・・wN の各膜厚は、アレイ導波路23の光路長誤差を調整するように決める。例えば、光路長誤差が1本目、2本目・・・N本目のアレイ導波路でそれぞれδL1 ・・・δLN ならば、
【0096】
【数1】
δLi +(n1 −n2 )×wi =一定
となるようにwi を定める。
【0097】
▲6▼ 最後に加工した位相調整板17を溝16に挿入し、接着剤で固定する。
【0098】
図14に位相調整板挿人前のアレイ導波路格子型波長合分波器の透過波長特性を、図15に上記のプロセスにより位相調整板を挿入した後のアレイ導波路格子型波長合分波器の透過波長特性を示す。
【0099】
位相調整板挿入よりアレイ導波路の光路長誤差が調整され、そのクロストークが−30dBから−40dBに改善された。このとき、溝加工を含む位相調整板挿入の過剰損失は0.3dBであった。
【0100】
前記実施例1、2においては、位相調整板の面内屈折率と接着剤の屈折率との差が、0.01となるように、それぞれの材料を選択した。この場合、0.1μmの光路長誤差を調整するために必要な膜圧の変化は、10μmであり、位相調整板の膜厚加工精度が、±0.5μmであっても、±0.005μmの精度で光路長誤差を調整することができた。
【0101】
ちなみに、接着剤と膜との屈折率差を任意の値に設定することによって、膜厚の変化が光路長に及ぼす割合を調整することも可能である。
【0102】
(実施例3)
図16に本発明の第3の実施例としてのアレイ導波路波長合分波器を示す。
【0103】
図16中、符号20は入力導波路、21は出力導波路、22はスラブ導波路、23はアレイ導波路、19はクラッド層、13はシリコン基板、16は溝、27は振幅調整板を各々図示する。
【0104】
また、図17は図16中A−A線に沿う拡大断面図を示す。さらに、図18には図16で使用した振幅調整板の拡大図を示す。
【0105】
本実施例では、アレイ導波路型光合分波器のアレイ導波路上に交差する一定幅の溝16を加工した後、厚みが空間的に変化した面内吸収率が一定の振幅調整板27をその溝16に挿入している。
【0106】
さらに、上記振幅調整板27を溝16に固定するために、図17に示すように、光学的に透明な接着剤28を充填している。ここで、接着剤28の屈折率は振幅調整板27の屈折率と同一となるようにし、位相特性にも変化を及ぼさないようにした。
【0107】
ここで、i番目のアレイ導波路に交差する部分の膜厚をWi とすると、i番目のアレイ導波路を伝搬する光の溝16を通過した後の振幅Ai は、
【0108】
【数2】
Ai 2=exp(−αWi )
だけ変化する。
【0109】
ここで、αは振幅調整板27の面内吸収係数である。ここでは、透明な膜を挿入したとき生じる一定の損失は除いている。この関係は、光の吸収に関するランベルトの法則であり、吸収係数が膜厚に対して一定であるときに適用できる。
【0110】
従って、本実施例では、膜の面内吸収係数αと膜厚Wi を適当に与えることによって、振幅調整を行う。
【0111】
まず、入力導波路20,出力導波路21,スラブ導波路22およびアレイ導波路23より形成される複数のパスの振幅誤差の分布を測定する。この測定法に関しては、低コヒーレントな光源を用いた公知の光回路解析法が適用出来る(例えば、特願平6−5989号参照)。
【0112】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0113】
1) シリコン基板13上に火炎堆積法と反応性イオンエッチング法でアレイ導波路型波長合分波器を作製する。
【0114】
2) 入力導波路20,出力導波路21,スラブ導波路22およびアレイ導波路23より形成される複数のパスの位相誤差および振幅誤差の分布を低コヒーレントな光源を用いて測定する。この測定に基づき、振幅調整量A1 ,A2 ,・・・AN (Ai ≦1:添字はアレイ導波路の番号)を決定する。
【0115】
3) 各アレイ導波路上にレーザ光を照射し、屈折率を部分的に変化させ、位相誤差を調整した。
【0116】
4) ポリイミド膜(吸収係数α:屈折率n1 )を作製し、挿入時にアレイ導波路と交差する部分にその膜厚がw1 ,w2 ,・・・wN となるように、加工する。
【0117】
ここで、wi は
【0118】
【数3】
Ai 2=exp(−αWi )
となるように決定する。
【0119】
5) ダイシングソーにより幅W0 、深さ150ミクロンの溝16を作製する。
【0120】
6) 上記溝16に振幅調整板27を挿入し、接着剤28で固定する。
【0121】
本実施例における位相誤差の低減には、モードロックQスイッチYAGレーザの第2高調波を用いた。
【0122】
また、振幅調整では、吸収係数0.02(1/μm)、膜厚30ミクロンの膜を作製し、ダイシングソーにより、0〜20ミクロンまで0.5ミクロン精度で膜厚wi を加工した。また、溝16の幅w0 は、35ミクロンとした。
【0123】
図19に振幅調整板挿入前(位相誤差低減後の)のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示し、図20に上記方法により振幅調整板を挿入した後のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示した。
【0124】
図20に示すように、上記振幅調整板27によりアレイ導波路の振幅誤差が調整され、そのクロストークは、−40dBから−50dBに改善された。このとき、溝加工を含む振幅調整板挿入の過剰損失は1.7dBであった。
【0125】
(実施例4)
図21に本発明の第4の実施例としてのアレイ導波路型波長合分波器を示す。図21中、符号16−1、16−2は溝、27−1は位相調整板、27−2は振幅調整板を各々図示する。
【0126】
本実施例では、従来のアレイ導波路型光合分波器のアレイ導波路上に交差する一定幅の溝16−1を加工した後、厚みが空間的に変化した面内屈折率が一定の位相調整板27−1をその溝16−1に挿入し、さらに、接着剤を充填している。この構成は位相誤差を低減するためのものである。
【0127】
さらに、前記実施例3と同様、アレイ導波路型光合分波器のアレイ導波路上に交差する一定幅の溝16−2を加工し、振幅調整板27−2をその溝16−2に挿入している。本実施例が第3の実施例と異なるのは、挿入する振幅調整板27−2が、図22に示すような厚みが平坦化されたものとなっている点である。
【0128】
図22中、31は厚みが空間的に変化した面内吸収率が一定の膜、32はその凹凸を埋める透明な材料である。ここで、凹凸を埋めるのに透明な材料32の屈折率は、膜31の屈折率と同一となっている。
【0129】
上記振幅調整板27−2を溝に固定するために、接着剤を充填するが、本実施例4に使用する振幅調整板はその凹凸が埋められているため、前記実施例3のときのように、接着剤の屈折率は振幅調整板の屈折率とを同一にする必要はない。
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0130】
1) シリコン基板13上に火炎堆積法と反応性イオンエッチング法でアレイ導波路型波長合分波器を作製する。
【0131】
2) 入力導波路20、出力導波路21、スラブ導波路22およびアレイ導波路23より形成される複数のパスの位相誤差および振幅誤差の分布を低コヒーレントな光源を用いて測定する。この測定に基づき、振幅調整量A1 ,A2 ,・・・AN (Ai ≦1:添字はアレイ導波路の番号)を決定する。
【0132】
3) 前記実施例1および2に示した位相調整板付光回路およびその製造方法により、位相調整板27−1を溝16−1に挿入し、位相誤差を低減する。
【0133】
4) ポリイミド膜(吸収係数α:屈折率n1 )を作製し、挿入時にアレイ導波路と交差する部分にその膜厚がw1 ,w2 ,・・・wN となるように、加工する。
【0134】
ここで、wi は
【0135】
【数4】
Ai 2=exp(−αwi )
となるように決定する。
【0136】
5) ダイシングソーにより幅w0 、深さ150ミクロンの溝16−2を作製する。
【0137】
6) 溝16−2に振幅調整板27−2を挿入し、接着剤で固定する。
【0138】
実際には、吸収係数0.03(1/μm)、膜厚20ミクロンの膜を作製し、ダイシングソーにより、0〜15ミクロンまで0.5ミクロン精度で膜厚wi を加工した。その後、作製した膜31と同一の屈折率を有する透明材料32を膜にスピンコートした。スピンコートにより、作製した溝が埋まり、膜厚が全体にわたって22ミクロン(一定値)となった。また、溝の幅w0 は、25ミクロンとした。
【0139】
振幅調整板によりアレイ導波路の振幅誤差が調整され、そのクロストークは、隣接チャンネルを除いて40dBから−50dBに改善された。このとき、2つの溝加工を含む位相調整板、振幅調整板挿入の過剰損失は2.2dBであった。
【0140】
(実施例5)
本発明の第5の実施例の構成は、前記第4の実施例と同じである。
【0141】
第4の実施例と異なる点は、図23に示すような振幅調整板を挿入した点である。図23中、符号33は透明な膜、34は金属膜を各々図示する。各金属膜34の厚さは、金属の吸収率と振幅調整量により決定される。金属膜34の場合、吸収係数が大きいため、必要な膜厚が薄く、金属膜の凹凸が位相に及ぼす影響は小さい。
【0142】
本実施例では、通常ガウス型で近似できる、アレイ導波路格子型波長合分波器の振幅特性をsinc関数状に調整した。また、位相調整はsinc関数における負の値を実現するため、すなわち位相を180度ずらすために用いた。
【0143】
実際の振幅調整膜は、膜厚15ミクロンの膜を作製し、Crを蒸着して作製した。また、溝の幅w0 は、20ミクロンとした。
【0144】
図24,図25および図26は調整前後の振幅特性、位相特性、透過波長特性を示したものである。振幅特性、位相特性を調整し、sinc関数状の分布を実現できたことにより、通過域が平坦化され、3dB帯域幅は約280%広げることができた。
【0145】
このとき、溝加工を含む振幅調整板挿入の過剰損失は3.5dBであった。
【0146】
(実施例6)
図27は本発明の第6の実施例としての振幅調整板付1×8スプリッタを示す。
【0147】
図27中、符号35は入力導波路、36はスラブ導波路、37は出力導波路、16は溝、27は振幅調整板である。入力導波路はシングルモード導波路となるように設計されており、ガウス型で近似可能な強度分布を有する。入力光はスラブ導波路で広がり出力導波路へと結合される。スラブ導波路出力部での光パワーの分布は、スラブ導波路入力部の分布をフーリエ変換したものとなる。スラブ導波路入力部の分布がほぼガウス型であるので、出力部の分布もほぼガウス型に近似できる。一般に1×Nスプリッタは、N本の出力導波路に導かれる光パワーを同一とするため、出力導波路の開口幅は中央から外に向かうにつれて幅広になるように設計される。実際には、図28のようにシミュレーションによってスラブ導波路出力部での光パワー分布を計算し、各出力導波路に結合される光パワーが同一となるように、すなわち、図28中の縦線で区切られた面積Si (iは出力ポート番号)が同一となるように、開口幅xi が決定される。
【0148】
一般に実際に作製した1×Nスプリッタにおいては、入力導波路における光パワーの分布が完全にガウス型ではないこと、あるいはスラブ導波路と出力導波路との結合部の損失にばらつきがあること等の理由によって、出力光パワーのポート間のばらつきが存在する。
【0149】
本実施例では、石英系光導波路で作製した1×8スプリッタにおいて、出力光パワーのポート間のばらつきが振幅調整板27を用いることによって低減されている。
【0150】
本実施例のl×8スプリッタの作製手順を以下に示す。
【0151】
1) 1×8スプリッタの8本の出力導波路から出力される光のパワーを測定した。図29は測定した出力光パワーの出力ポート依存性である。損失は11.8〜12.6dBに分布していた。このばらつきを低減するための振幅調整量は以下のように決定した。最高損失12.6dBと各出力ポートの損失との差を計算し、その値の平方根を振幅調整量Ai (iは出力ポート番号)とした。図30は決定した振幅調整量の出力ポート依存性である。最大調整量は損失にして0.8dB、すなわち0.83であったので、最大の振幅調整量は 0.83=0.91となった。
【0152】
2) 膜厚10ミクロンに対して、0.9(<最大振幅調整量0.91)の振幅調整が得られるように、振幅調整板の材料の吸収係数αを0.021(1/μm)と決定した。本実施例における振幅調整板は、図30に示すように、透明膜上に吸収膜が形成され、吸収膜への切り込み量(切りのこし量)で吸収を変化させる構成とした。透明膜は、振幅調整板の強度・操作性を充分保ったまま、吸収膜の切りのこし量を小さくして過剰損失を低減させるために用いた。吸収膜および透明膜の膜厚はそれぞれ10μmおよび8μmと設定した。吸収膜部への切り込み量は、切りのこし量Wi が次式を満たすように決定した。
【0153】
【数5】
Ai 2=exp(−α・Wi ) (1)
図31は決定した振幅調整板への切り込み量の分布である。最大切り込み量は最小調整量を与える10μmであった。
【0154】
3) 図32は実際の振幅調整板を作製する工程を示したものである。まず、スピンコート法によって膜厚8μmの透明膜62をSi基板61の上に形成し、乾燥後、透明膜の上に吸収係数α=0.021(1/μm)、膜厚10μmの吸収膜63をスピンコート法によって形成した。その後、ダイシングソー64を用いて、前述の方法で決定した量の切り込みを作製した。1×8スプリッタの隣接出力導波路の問隔は250μmであったので、ダイシングソーの刃の幅は100μmとした。切り込み作製後、Si基板上で膜を短冊状に切り、ピンセット65で引きはがして振幅調整板27とした。
【0155】
4) 1×8スプリッタの8本の出力導波路すべてを横断する幅20μmの溝13をダイシングソーを用いて加工した。その溝にピンセット付きのマニュピュレータを用いて、作製した振幅調整板を挿入し、振幅調整板への切り込み作製部と出力導波路が交差するように位置を合わせた。さらに、マイクロピペットを用いて、振幅調整板27と溝16との間隙に、振幅調整板の屈折率と同じ値を有する接着剤を注入し、その後、紫外線を照射して固定した。
【0156】
図33は、調整後の各出力ポートにおける光パワーの分布を示したものである。11.8〜12.6dBに分布していた損失は、12.8〜12.9dBとなり、そのばらつきが低減された。平均0.3dBの過剰損失は、主に導波路を横断するように作製した幅20μmの溝部における回折損失による。以上の結果は、TEモードについて示したものであるが、TMモードでもほとんど変わりなく調整できていた。
【0157】
(実施例7)
図34に本発明の第7の実施例としての位相調整板付アレイ導波路格子型波長合分波器を示す。図34中、符号20は入力導波路、21は出力導波路、22はスラブ導波路、23はアレイ導波路、19はクラッド層、13はシリコン基板、16は溝、27は位相調整板を各々図示する。また、図35は図34中のB− B線に沿う拡大断面図を示す。さらに、図36には図34で使用した位相調整板の拡大図を示す。
【0158】
本実施例のアレイ導波路型光合分波器は、すべてのアレイ導波路を横断するように形成された一定幅の溝16中に、位相調整板17を挿入して構成される。
【0159】
さらに、上記位相調整板17と溝16の内壁との間隙には接着剤18が充填され、光回路と位相調整板は固定されている。
【0160】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器におけるアレイ導波路の光路長の波長オーダーのずれ、すなわち位相誤差を位相調整板17を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数8、アレイ導波路数30、チャンネル波長間隔は0.8nmである。
【0161】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0162】
1)アレイ導波路格子を構成する各アレイ導波路を通過する光の位相および振幅特性を測定した。この測定に関しては、低コヒーレンス光を用いた公知の光回路解折法を適用した(例えば、特願平6−5989号参照)。図37に測定系を示す。41は光源、42,43は光ファイパ3dBカップラ、44は測定用干渉型光回路、45,46,49はレンズ、47はプリズム、48はリフレクタ、51,52はカップラ42の出射ポート、53,54はカップラ43の入射ポート、50は狭線幅レーザ、55はダイクロイックミラー、56,57は光検出器、58はフリンジカウンタ、59はウェーブフォーム・レコーダである。
【0163】
光源51には、コヒーレンス長35μmの1.55μm帯のSLD光を用いた。狭線幅レーザ50には、波長1.3μm帯のDFBレーザを用いた。SLD光ならびにDFBレーザ光は3dBカップラ42によって2つの光路に分けられ、一方は測定する光回路に、他方は電動ステージ上に設置されたリフレクタ48からなる光路長可変部に導かれる。2つの光路からの光は再び3dBカップラ43によって結合される。干渉系計から出射する波長1.3μmと1.55μmの光はダイクロイックミラー55で分離され、1.3μmの光は光検出器56で、1.55μmの光は光検出器57で受光される。干渉計内の光路長が半波長だけ変化するとレーザ50からの光のビート信号が半周期変化することを利用して、フリンジカウンタ58は半波長の光路長変化毎にクロックパルスを発生する。このパルスを外部クロックとして、ウェーブフォーム・レコーダ59は干渉信号をサンプリングする。この構成では、光回路を通過する経路と光路長可変部を通過する経路の光路長差が光源のコヒーレンス長より短い時のみ2つの光は干渉し、干渉信号が観測される。アレイ導波路は光路長が順番に△Lずつ長くなるよう設計されているので、光路長可変部の光路長を長くしていくと、短いアレイ導波路から順番に干渉信号が得られる。
【0164】
図38に観測した干渉信号の例を示す。光源のコヒーレンス長が△L=254μmより充分小さいため、干渉信号は図38中の波線内に表示されるようなフリンジに分離することができる。各フリンジは、各アレイ導波路を通過した光の伝達関数を表すので、離散フーリエ変換等の数学的処理によって、光の位相と振幅の情報を得ることがてきる。すべてのフリンジについて同様の処理を行うことによって、すべてのアレイ導波路に関する位相と振幅の分布が得られる。図39および図40はそれぞれ各アレイ導波路の透過中心波長における位相および振幅の分布を示したものである。図41に、入力ポート番号8から出力ポート番号9への透過波長特性を示す。クロストークは最大で25dBであり、その大きな原因は0.3〜0.25ラジアンの間に分布する位相誤差であった。
【0165】
2) 位相誤差を低減するための位相調整量を以下のように決定した。まず、本実施例における位相調整板27の構成は一定膜厚の膜に位相調整量に応じた切り込みが形成されたものに決定した(図36)。さらに、本実施例では接着剤28の屈折率は位相調整板の屈折率よりも小さくして、位相調整量は負の値になるようにした。
【0166】
図39を見てわかるように、位相誤差はTEモードとTMモードで若干異なる。そこで、位相調整量は位相誤差がTEモードとTMモードの平均値であるとして計算した。位相調整量の最大値は0.32フジアンとなったので、約7μmの切り込みでこの0.32ラジアン=0.08μmの位相を調整できるように、位相調整板と接着剤の屈折率差を0.011と決定した。この屈折率差から、各位相調整量に相当する切り込み量を決定した。図42に決定した位相調整板への切り込み量の分布を示した。
【0167】
3) 図43は位相調整板を作製する行程を示したものである。
【0168】
まず、スピンコート法によって膜厚15μmの膜66をSi基板61上に形成し、乾燥後、ダイシングソー64を用いて、前述の方法て決定した量の切り込みを作製した,最小隣接アレイ導波路間隔は120μmであったので、ダイシングソの刃の幅は60μmとした。切り込み作製後、Si基板上で膜を短冊状に切り、ピンセット65で引きはがして位相調整板とした。
【0169】
4) アレイ導波路格子の30本の出力導波路すべてを横断する幅20μmの溝16をダイシングソーを用いて加工した。その溝にピンセット付きのマニュピュレータを用いて、作製した位相調整板を挿入し、位相調整板への切り込み作製部と各アレイ導波路が交差するように位置を合わせた。さらに、マイクロピペットを用いて、位相調整板17と溝16との問隙に、位相調整板の屈折率に比べて0.011だけ屈折率が小さい接着剤を注入し、その後、紫外線を照射して固定した。
【0170】
図44に位相調整板挿入後のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示す.図45、図46はそれぞれ位相調整後の位相誤差および振幅分布を示すグラフである。位相調整板によりアレイ導波路の位相誤差が調整され.そのクロストークは、調整前の−25dBからTEモードで−37dB、TMモードで−39dBに改善された。このとき、溝加工と位相調整板挿入による過剰損失は1.0dBであった。TE・TMモードの平均の位相誤差はその標準偏差が0.088から0.036低減された。振幅分布は位相調整板挿入前とほとんど変わらないことから、位相調整板が振幅に及ばす影響は小さく、ほぼ独立に位相のみが調整できたことがわかる。
【0171】
(実施例8)
図47に本発明第8の実施例としての位相調整板および振幅調整板付アレイ導波路型波長合分波器を示す。図47中、16−1,16−2は溝、27−1,27−2は位相調整板、振幅調整板を各々図示する。
【0172】
本実施例のアレイ導波路型光合分波器は、すべてのアレイ導波路を横断する一定幅の溝16−1および16−2中に位相調整板27−1および振幅調整板27−2が挿入され、さらに各調整板と溝の内壁との間隙には接着剤が充填、固定されて構成されている。
【0173】
本実施例ては、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器における位相誤差および振幅誤差をそれぞれ位相調整板27−1および振幅調整板27−2を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数16、アレイ導波路数64、チャンネル波長間隔は0.8nmである。
【0174】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0175】
1) すべてのアレイ導波路を横断する幅25μm,深さ120μmの溝を2本、反応性イオンエッチング法を用いて作製した。2本の溝の間隔は100μmとした。図48、図49に、溝作製後に低コヒーレンス干渉計を用いて測定したTEモードでの位相および振幅の分布をそれぞれ示す。さらに、図50にTEモードでの透過波長特性を示す。クロストークは、−29dBであり、この主たる原因は位相誤差である。
【0176】
2) 本実施例での位相調整板は、前記実施例7の位相調整板と同じ構成の凹部を有する膜の凹部が異なる屈折率を有する透明材料を用いて平坦化されたものとした。構成を図51に示す。位相調整板への切り込み量は、前記実施例7と同様の方法で決定した。決定に際しては、最大切り込み量および位相調整板を構成する2つの物質の屈折率差がそれぞれ7μmおよび0.015となるようにした。
【0177】
図52は本実施例の位相調整板を作製する工程を示したものである。まず、実施例7と同じ構成の凹部を有する膜68を、ダイヤモンドバイト71を回転させて使用するフライス加工により作製した。続いて、0.015だけ異なる屈折率の透明材料69をスピンコートして、その凹部を平坦化した。最初の膜66および最終的な位相調整板70の厚みは、それぞれ15μm、20μmとした。
【0178】
3) 作製した位相調整板27−1を、溝16−1に挿入し、紫外線硬化接着剤を用いて溝に固定した。このとき、位相調整板は溝に挿入するだけで位相が調整できるように平坦化されているので、接着剤の屈折率を厳密に設定する必要はない。そこで、接着剤の屈折率は、コアの屈折率とほぽ同じ1.47とした。接着剤とコアの屈折率の値をほぼ同一にすることは、溝における回折損失を低減することおよび溝幅の分布が及ぼす位相誤差への影讐を小さくすることに役立つ。
【0179】
4) 位相調整板挿入後の位相および振幅の分布を低コヒーレンス干渉法を用いて測定した。図53、図54に測定したTEモードでの位相および振幅の分布を示す。また、図55にTEモードでの透過波長特性を示す。位相誤差の最大値が0.45ラジアンから0.05ラジアンに低減された結果、クロストークは−29dBから−39dBに改善された。また、TMモードの位相誤差も同時に低減されクロストークは−39dB以下に改善された。−39dBのクロストークは振幅分布のガウス分布からのずれによるので、次に振幅調整板27−2を作製した。
【0180】
本実施例での振幅調整板は、実施例6の振幅調整板と同じ構成の凹部を有する膜の凹部が、吸収膜と同一の屈折率を有し、かつ透明な材料を用いて平坦化されたものを用いた。凹部を埋める材料の屈折率を、吸収膜の屈折率と同一にしたのは、振幅調整板によって位相誤差を生じさせないためである。また、凹部を埋める物質を透明な材料としたのは、この材料によって吸収を変化させないためである。
【0181】
5) 振幅調整板への切り込み量は、以下の方法で決定した。まず、測定した振幅分布(図54)をガウス分布てフィッティングし、分布がピーク値を持つパス番号とピーク値およびその値がピーク値の1/eとなるパス番号を求める。本実施例では、振幅調整が損失を与える構成とする。すなわち、調整量は1より小さい値とするので、フィッティング曲線がすべての振幅値を下回るように、ピーク値を設定し直した(図54中の波線)。このようにして得られたフィッティング曲線が最終的な振幅の設定値となる。この調整後の振幅設定値と調整前の振幅値との比から振幅調整量Ai (iはパス番号)を決定した。図56に決定した振幅調整量の分布を示した。振幅調整量は1.0から0.92に分布した,
6) 次に、振幅調整板の加工データを求めた。まず、膜厚10μmに対して、0.90(<最大振幅調整量0.92)の振幅調整が得られるように、振幅調整板の材料の吸収係数a=0.021(1/μm)と決定した。吸収膜部への切り込み量は、切りのこし量Wi が(1)式を満たすように決定した。図57は決定した振幅調整板への切り込み量の分布である。最大切り込み量は最小調整量を与える10μmであった。
【0182】
7) 図58は本実施例の位相調整板を作製する工程を示したものである。まず、実施例6と同じ構成の凹部を有する膜72をフライス加工により作製後、透明な物質73をスピンコートして、その凹部を平坦化した。最初の透明膜62、吸収膜63および最終的な振幅調整板74の厚みは、それぞれ8μm、l0μm、22μmとした。
【0183】
8) 作製した振幅調整板を溝16−1に挿入し、紫外線硬化接着剤を用いて溝に固定した。このとき、位相誤差を伴わず振幅のみが調整できるように、振幅調整板は平坦化されているので、接着剤の屈折率を厳密に振幅調整板と同じ値に設定する必要はない。そこで、接着剤の屈折率は、コアの屈折率とほぽ同じ1.47とした。接着剤とコアの屈折率の値をほぼ同にすることは、溝における回折損失を低減することおよび溝幅の分布が及ぼす位相誤差への影響を小さくすることに役立つ。
【0184】
図59、図60に振幅調整板挿入後のTEモードでの振幅分布ならびに透過波長特性を示した。
【0185】
振幅誤差は、標準偏差にして0.02まで低減され、クロストークは−48dBまで改善された。このとき位相誤差は、振幅調整板挿入前後で大きな変化はなく、位相特性に影響を与えることなく振幅のみが調整てきた。また、TMモードの特性はほとんどTEモードと同じであり、位相、振幅とも誤差に偏波依存性が生じることなく調整できた。
【0186】
以上、位相調整板および振幅調整板の設置により、アレイ導波路型光波長合分波器のクロストークが−29dBから−48dBへと大きく改善された。このとき、溝加工を含む位相調整板および振幅調整板挿入の過剰損失は1.7dBであった。
【0187】
(実施例9)
本発明の第9の実施例は、振幅位相調整板付アレイ導波路型波長合分波器である。その構成は第7の実施例の構成と同じであるが、位相調整板27の代わりに、図61に示すような振幅位相調整板(光学特性調整板)98を挿入した点が異なる。図61中、80は屈折率が一様で透明な膜、81は金属膜である。透明膜80には凸部82が形成されており、凸部の厚さを変化させて位相を調整する構成となっている。一方、各金属膜81はその厚さを変えることにより、吸収係数を変え、光の振幅を調整するために用いられる。各金属膜の厚さは、金属の吸収率と振幅調整量により決定される。金属膜の場合、吸収係数が大きいため、必要な膜厚が薄く、金属膜の厚さの違いが位相に及ぼす影響は小さい。すなわち、位相調整に用いる凸部82の厚さは、金属膜の厚さに独立して決定てきる。
【0188】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器において、通常ガウス型で近似できる、各アレイ導波路を通過する光の振幅持性をsinc関数状に調整した。位相調整はsinc関数における負の値を実現するため、すなわち位相を180度変化させるために用いた。
【0189】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型波長合分波器における位相誤差および振幅誤差をそれぞれ振幅位相調整板98を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数8、アレイ導波路数64、チャンネル波長間隔は0.8nmである。
【0190】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0191】
1) すべてのアレイ導波路を横断する幅25μm、深さ120μmの溝を、反応性イオンエツチング法を用いて作製した。次に、低コヒーレンス干渉計を用いて位相と振幅の分布を測定した。図62、図63、図64に、振幅位相調整板挿入前後の振幅分布、位相分布ならびに透過波長特性を示した。
【0192】
2) 各アレイ導波路を通過する光の透過持性をsinc関数状に調整するために必要な振幅・位相の調整量を決定し、振幅位相調整板の加工データを決定した。金属膜の膜厚および透明膜の凸型部の厚さは、実施例6およびと実施例7と同様の方法で求めた。
【0193】
3) 決定した加工データに基づき、図65に示した工程で、本実施例の振幅位相調整板を作製した。まず、基板91上に厚さ30μmの金属膜92を形成し、前記金属膜をマスク93を用いたエッチングによって加工し、凹型の型を形成した。加工深さは予め決定した透明膜の凸部の厚さと同一にした。次に型上にスピンコート法を用いてポリイミド膜95を作製した。さらに膜の上に厚さを局所的に変化させた金属Cr膜96をスパッタ法により形成した。作製した金属膜付凸型透明膜97を基板91からピンセットを用いて引きはがし、切断して、振幅位相調整板98とした。
【0194】
4) 作製した振幅位相調整板98を図34のアレイ導波路を横断する幅の溝に挿入、位置合わせを行った後、接着剤を用いて固定した。
【0195】
振幅位相調整板挿入後の位相、振幅分布、透過波長特性(図62、図63、図64)を見ればわかるとおり、sinc関数状の透過特性が実現できたことにより、通過域が平坦化され、3dB帯域幅を約280%広げることがてきた。このとき、溝加工を含む振幅調整板挿入の過剰損失は3.5dBであった。
【0196】
以上の結果はTEモードについて示したものであるが、TMモードでもほとんど変わりなく調整できていた。
【0197】
(実施例10)
本発明の第10の実施例は、位相調整板および複屈折調整板付アレイ導波路型合分波器である。その構成は、第8の実施例の構成と同じであるが、振幅調整板27−2の替わりに、図66に示す複屈折調整板27−3を挿入した点が異なる。複屈折調整板は調整対象となる導波路を伝搬するTEおよびTMモードの2つの偏波の光に対して、異なる位相変化を与え、その変化量を導波路毎に異なる値とするために用いる。
【0198】
実施例7の図39に示したように、アレイ導波路格子型波長合分波器の位相誤差には、一般に偏波依存性が存在する。これは、各導波路における複屈折にばらつきがあるために生じるものである。前記実施例1〜9においては、位相誤差の偏波依存性の光学特性への影響が小さかった。しかし、導波路の占有する面積が大きく、大きな複屈折ばらつきを有する光回路では、位相調整板のみで、両偏波の位相誤差を同時に解消することができない。
【0199】
本実施例では、石英系光導波路で作製したアレイ導波路格子型は調合分波器における一つの偏波の位相誤差を位相調整板27−1により低減し、さらに残った他方の偏波の位相誤差をそれぞれ複屈折調整板27−3を用いて低減した。作製したアレイ導波路格子は、入出力ポート数16、アレイ導波路数64、チャンネル波長間隔は0.08nmである。
【0200】
本実施例の波長合分波器の作製手順を以下に示す。
【0201】
1) すべてのアレイ導波路を横断する幅25μm、深さ120μmの溝を、ダイシングソーを用いて作製した。次に、低コヒーレンス干渉計を用いてTEモードの位相と振幅の分布を測定した。位相誤差は360度の範囲に分布しており、クロストークは−5dBであった。続いて、実施例7と同様の方法で、TEモードに対する位相誤差のみを位相調整板を用いて低減した。位相調整後の透過特性は、TEモードで−32dB、TMモードで−20dBであった。
【0202】
2) TMモードの位相誤差のみを低減するため、複屈折調整板を作製した。複屈折調整板は、図66に示したように、調整板の長手方向とその垂直方向の屈折率が異なる値nx 、ny (nx ≠ny )となる複屈折板に対して、凹部を加工したものである。まず、低コヒーレンス干渉計を用いてTMモードの位相と振幅の分布を測定した。次に、屈折率差(ny −nx )とTMモードの位相誤差から、複屈折調整板に加工する凹部の深さを算出した。さらに、スピンコートによって作製したポリイミド膜に対して、一方向に力を加えて、ny −nx =0.035 、膜厚20μmの複屈折膜を作製した。最後に、実際にダイシングソーを用いて作製した複屈折膜に切り込みを加工し、複屈折調整板とした。
【0203】
3) 作製した複屈折調整板をアレイ導波路を横断する幅に挿入し、位置合わせを行った後、接着剤を用いて固定した。接着剤の屈折率は、nx を同一とした。これは、TEモードの位相が変化しないようにするためである。
【0204】
複屈折調整板挿入後のクロストークは、TE,TMモードとも−32dBとなった。位相誤差は、TE、TMモードともほぼ同じとなり、かつTEモードの位相誤差には変化がなかった。以上、本実施例の複屈折調整板によって、アレイ導波路格子型合分波器における位相誤差の偏波依存性を低減することができた。 以上、本発明の実施例では、マッハツェンダ干渉計形2×2スイッチにおける低消費電力化、1×Nスプリッタにおける出力光のポート間ばらつきの低減、アレイ導波路格子型合分波器における位相誤差、振幅誤差の低減によるクロストーク改善や透過特性の調整による通過域のフラット化、あるいは複屈折のばらつきの低減による位相誤差の偏波依存性の低減等を例として示した。
【0205】
しかしながら、本発明の光学特性を調整した導波形光回路は、実施例に示した2×2スイッチ、1×Nスプリッタ、アレイ導波路格子型合分波器に限定されるものではなく、複数の導波路を有するすべての光回路において適用可能である。したがって、1×Nスプリッタのような干渉部を持たない光回路から、マッハツェンダ型光回路、トランスバーサル型フィルタ等の干渉型光回路まで、その光学特性、例えば、位相、振幅、複屈折等の調整に使用できる。
【0206】
また、実施例では、調整の対象とする光学特性として、振幅、位相、複屈折を例として示したが、例えば、偏光、非線形定数等の他の光学特性の調整にも適用できる。
【0207】
さらに、本発明は、本実施例に示した石英系導波路に限定されるものではなく、LNやポリマーを用いた光回路にも適用できる。
【0208】
本実施例では、調整板の凹凸加工をダイシングソーを用いた加工と、ダイヤモンド切削工具を用いたフライス加工の例を示したが、エッチングによる加工等の他の加工法を用いてもよい。また、膜の直接加工に限定されるものではなく、実施例9に示したように、型加工等による間接加工でもよい。
【0209】
膜の形成方法についても、例えば、真空蒸着、スパッタリング法などの物理気相成長法、化学気相成長法および液相成長法等の他の形成方法を用いてもよく、前述のスピンコート法に限定されるものではない。
【0210】
調整板は、実施例に示した凹部を有するものや、凸部を有するものや、その凹部あるいは凸部を平坦化したものなどの、どのような取り合わせでもよい。
【0211】
【発明の効果】
以上、実施例とともに説明したように、本発明の光路長誤差を調整したマッハツェンダ干渉系型2×2スィッチは、従来のものに比べて低消費電力なものとなる。また、光路長誤差を調整したアレイ導波路格子型波長合分波器は、そのクロストークが従来のものに比べて−10dB以上低減したものとなる。また、本発明の振幅誤差を調整したアレイ導波路格子型合分披器は、そのクロストークが従来のものに比べて−10dB以上低減したものとなる。また、振幅特性および位相特性をsinc関数状に調整したアレイ導波路格子型合分波器では、通過域の3dB幅を約280%広げることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のマッハツェンダ干渉計型2×2スイッチを示す図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1に示したマッハツェンダ干渉計の薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を示すグラフである。
【図4】アレイ導波路格子型波長合分波器の回路構成図である。
【図5】図4に示したアレイ導波路格子型波長合分波器の中心入力ポートから中心出力ポートへの透過波長特性図である。
【図6】第1の実施例としてのマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチを示す図である。
【図7】図6中のVII −VII 線に沿う拡大断面図である。
【図8】第1の実施例に用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【図9】第1の実施例に用いた位相調整板の作製方法図である。
【図10】図6に示したマッハツェンダ干渉計において位相調整板挿入前の薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を示すグラフである。
【図11】図6に示したマッハツェンダ干渉計において位相調整板挿入後の薄膜ヒータ印加電力に対する光透過率の変化を示すグラフである。
【図12】第2の実施例としてのアレイ導波路格子型波長合分波器の斜視図である。
【図13】第2の実施例に用いた位相調整板の概路図である。
【図14】図12に示したアレイ導波路格子型波長合分波器において、位相調整板挿入前における中心入力ポートから中心出力ポートへの透過波長特性を示すグラフである。
【図15】図12に示したアレイ導波路格子型波長合分波器において、位相調整板挿入後における中心入力ポートから中心出力ポートへの透過波長特性を示すグラフである。
【図16】第3の実施例であるアレイ導波路格子型合分波器を示す斜視図である。
【図17】図16中のA−A線に沿う拡大図である。
【図18】第3の実施例に用いた振幅調整板の拡大斜視図である。
【図19】図16に示したアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板挿入前の透過波長特性図である。
【図20】図16に示したアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板挿入後の透過波長特性図である。
【図21】第4の実施例のアレイ導波路格子型合分波器の斜視図である。
【図22】第4の実施例に用いた振幅調整板の拡大斜視図である。
【図23】第5の実施例に用いた振幅調整板の拡大斜視図である。
【図24】第5の実施例のアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板、位相調整板挿入前後の振幅分布を表す図である。
【図25】第5の実施例のアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板、位相調整板挿入前後の位相分布を表す図である。
【図26】第5の実施例のアレイ導波路格子型合分波器において、振幅調整板、位相調整板挿入前後の透過波長特性図である。
【図27】本発明の第6の実施例の振幅調整板付1×8スプリッタの平面図である。
【図28】第6の実施例においてシミュレーションにより求めたスラブ導波路出力部でのパワー分布を示すグラフである。
【図29】第6の実施例で測定した出力光パワーの出力ポート依存性を示すグラフである。
【図30】第6の実施例において決定した振幅調整量の出力ポート依存性を示すグラフである。
【図31】第6の実施例において決定した振幅調整板への切り込み量の分布を示すグラフである。
【図32】第6の実施例における振幅調整板の作製工程を示す図である。
【図33】第6の実施例において振幅調整板により調整した後のスプリッタの各出力ポートにおける光パワーの分布を示すグラフである。
【図34】本発明の第7の実施例の位相調整板付アレイ導波路格子型波長合分波器の斜視図である。
【図35】図34のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図36】第7の実施例に用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【図37】第7の実施例の波長合分波器のアレイ導波路を通過する光の位相および振幅を測定するための測定系の構成図である。
【図38】図37の測定系により観測した本実施例の波長合分波器のアレイ導波路の干渉信号の一例を示すグラフである。
【図39】第7の実施例において波長合分波器の各アレイ導波路の透過中心波長における位相分布を示すグラフである。
【図40】第7の実施例において波長合分波器の各アレイ導波路の透過中心波長における振幅分布を示すグラフである。
【図41】第7の実施例の波長合分波器の入力ポート番号8から出力ポート番号9への透過波長特性を示すグラフである。
【図42】第7の実施例において決定した位相調整板への切り込み量の分布を示すグラフである。
【図43】第7の実施例における位相調整板の作製工程を示す図である。
【図44】第7の実施例において位相調整板の挿入後のアレイ導波路格子型合分波器の透過波長特性を示すグラフである。
【図45】第7の実施例において位相調整後の合分波器の位相誤差を示すグラフである。
【図46】第7の実施例において位相調整後の合分波器の振幅分布を示すグラフである。
【図47】第8の実施例の位相調整板および振幅調整板付アレイ導波路波調合分波器の斜視図である。
【図48】第8の実施例において波長合分波器に溝を形成した後に低コヒーレンス干渉計を用いて測定したTEモードでの位相分布を示すグラフである。
【図49】第8の実施例において波長合分波器に溝を形成した後に低コヒーレンス干渉計を用いて測定したTEモードでの振幅分布を示すグラフである。
【図50】第8の実施例において波長合分波器に溝を形成した後のTEモードでの透過波長特性を示すグラフである。
【図51】第8の実施例で用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【図52】第8の実施例で用いた位相調整板の作製工程を示す図である。
【図53】第8の実施例において位相調整板を波長合分波器の溝に挿入した後の波長合分波器の位相分布を示すグラフである。
【図54】第8の実施例において位相調整板を波長合分波器の溝に挿入した後の波長合分波器の振幅分布を示すグラフである。
【図55】第8の実施例において位相調整板を波長合分波器の溝に挿入した後の波長合分波器の透過波長特性を示すグラフである。
【図56】第8の実施例において波長合分波器の測定振幅値の分布から決定した振幅調整量の分布を示すグラフである。
【図57】第8の実施例において振幅調整量から決定した振幅調整板への切り込み量の分布を示すグラフである。
【図58】第8の実施例における位相調整板の作製工程を示す図である。
【図59】第8の実施例において振幅調整板挿入後の波長合分波器のTEモードでの振幅分布を示すグラフである。
【図60】第8の実施例において振幅調整板挿入後の波長合分波器のTEモードでの透過波長特性を示すグラフである。
【図61】第9の実施例で用いて振幅位相調整板の拡大斜視図である。
【図62】第9の実施例において振幅位相調整板を合分波器に挿入した前後の合分波器の振幅分布を示すグラフである。
【図63】第9の実施例において振幅位相調整板を合分波器に挿入した前後の合分波器の位相分布を示すグラフである。
【図64】第9の実施例において振幅位相調整板を合分波器に挿入した前後の透過波長特性を示すグラフである。
【図65】第9の実施例における振幅位相調整板の作製工程を示す図である。
【図66】本発明の第10の実施例に用いた位相調整板の拡大斜視図である。
【符号の説明】
11−a 第1の入力ポート
11−b 第1の出力ポート
12−a 第2の入力ポート
12−b 第2の出力ポート
13 シリコン基板
14 石英系光導波路
14−1 第1のアーム導波路
14−2 第2のアーム導波路
15 薄膜ヒータ
16 溝
17 位相調整板
17a ポリミイド膜
18 接着剤
19 クラッド層
20 入力導波路
21 出力導波路
22 スラブ導波路
23 アレイ導波路
16−1 溝
16−2 溝
27 振幅調整板
27−1 位相調整板
27−2 振幅調整板
28 接着剤
21 吸収膜
22 透明膜
23 透明膜
24 金属膜
Claims (27)
- 基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路であって、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を有し、該溝に該光導波回路の光学特性を調整する光学特性調整板が設置され、
該光学特性調整板が、一様な光学特性を有する膜を凹凸加工した膜からなり、前記光導波路の各々の光学特性の測定値から決定された各光導波路に必要な光学特性の調整量に対応して、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の光学特性の調整量に応じた膜厚となるように長手方向に凹凸を設けた光学特性調整板である
ことを特徴とする光学特性調整板付光導波回路。 - 前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相であり、前記光学特性調整板は一様な屈折率を有する位相調整板であることを特徴とする請求項1に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記位相調整板の屈折率が前記複数の導波路の屈折率と異なっていることを特徴とする請求項2に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記位相調整板を構成する膜の凹部が透明材料により埋められていることを特徴とする請求項2に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記膜の屈折率と該膜の凹部を埋める透明材料の屈折率とが異なることを特徴とする請求項4に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は一様な吸収係数を有する振幅調整板であることを特徴とする請求項1に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記振幅調整板を構成する膜の凹部が透明材料により埋められていることを特徴とする請求項6に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記膜の屈折率と該膜の凹部を埋める透明材料の屈折率とが同一であることを特徴とする請求項7に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路であって、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を有し、該溝に該光導波回路の光学特性を調整する光学特性調整板が設置され、
該光学特性調整板が、一定厚みの膜と、該膜の上に形成され該膜の長手方向に厚みが異なる金属膜とから構成されている振幅調整板であり、
前記金属膜の厚みが、前記光導波路の各々を伝搬する光の振幅の測定値から決定された各光導波路に必要な振幅調整量に対応して、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなっていることを特徴とする光学特性調整板付光導波回路。 - 前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相および振幅であり、前記光学特性調整板は位相振幅調整板であることを特徴とする請求項1に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の複屈折であり、前記光学特性調整板は複屈折調整板であることを特徴とする請求項1に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記溝の内壁と前記光学特性調整板との間隙に光学的に透明な接着剤を充填したことを特徴する請求項1に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記光学特性調整板が位相調整板であり、該位相調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とが異なることを特徴とする請求項12に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記光学特性調整板が振幅調整板であり、該振幅調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とが同一であることを特徴とする請求項12に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記光学特性調整板が複屈折調整板であり、該複屈折調整板の一方の屈折率と前記接着剤の屈折率とが同一であることを特徴とする請求項12に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 前記溝が少なくとも二つ形成されており、その内の一つに設置される光学特性調整板が位相調整板であり、他の一つに設置される光学特性調整板が振幅調整板であることを特徴とする請求項1に記載の光学特性調整板付光導波回路。
- 基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路に、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を形成する溝形成工程と、
前記複数の光導波路を光が伝搬するときの各光導波路それぞれの光学特性を測定し、各光導波路の光学特性の測定値から各光導波路に必要な光学特性の調整量を決定する光学特性調整量決定工程と、
一様な光学特性を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が各光導波路の前記光学特性調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程によって光学特性調整板を作製する光学特性調整板作製工程と、
前記溝に前記光学特性調整板を設置する光学特性調整板設置工程と
を有してなることを特徴とする光学特性調整板付光導波回路の製造方法。 - 前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の位相であり、前記光学特性調整板は位相調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な屈折率を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の位相調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程からなることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
- 前記位相調整板を作製する光学特性調整板作製工程が、さらに、凹凸が形成された一様な屈折率を有する膜の凹部を該膜の屈折率と異なる屈折率を有する透明材料により埋めて該膜を平坦化する膜平坦化工程を有することを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
- 前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な吸収係数を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の振幅調整量に応じた膜厚となるように凹凸を長手方向に形成する工程からなることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
- 前記振幅調整板を作製する光学特性調整板作製工程が、さらに、凹凸が形成された一様な吸収係数を有する膜の凹部を該膜の屈折率と同一の屈折率を有する透明材料により埋めて該膜を平坦化する膜平坦化工程を有することを特徴とする請求項20に記載の製造方法。
- 基板上に複数の光導波路を有してなる光導波回路に、前記複数の光導波路のすべてを横切る溝を形成する溝形成工程と、
前記複数の光導波路を光が伝搬するときの各光導波路それぞれの光学特性を測定し、各光導波路の光学特性の測定値から各光導波路に必要な光学特性の調整量を決定する光学特性調整量決定工程と、
光学特性調整板を作製する光学特性調整板作製工程と、
前記溝に前記光学特性調整板を設置する光学特性調整板設置工程とを有し、
前記光導波路の光学特性が該光導波路を伝搬する光の振幅であり、前記光学特性調整板は振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一定厚みの膜の上に、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなる厚み変化を長手方向に有する金属膜を形成する工程からなることを特徴とする光学特性調整板付光導波回路の製造方法。 - 前記光導波路の光学特性が、該光導波路を伝搬する光の位相および振幅であり、前記光学特性調整板は位相振幅調整板であり、前記光学特性調整板作製工程が、一様な屈折率を有する膜に、前記各光導波路と交差する位置の膜厚が前記各光導波路の位相調整量に応じた膜厚になるように凹凸を長手方向に形成するとともに、該膜の上に、前記各光導波路と交差する位置の厚みが前記各光導波路の振幅調整量に応じた厚みとなる厚み変化を長手方向に有する金属膜を形成する工程からなることを特徴とする請求項1 7に記載の製造方法。
- 前記光学特性調整板設置工程の後に、前記溝の内壁と前記光学特性調整板との間隙に光学的に透明な接着剤を充填する接着剤充填工程を有することを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
- 前記光学特性調整板が位相調整板であり、該位相調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とを異ならせることを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
- 前記光学特性調整板が振幅調整板であり、該振幅調整板の屈折率と前記接着剤の屈折率とを同一とすることを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
- 前記溝形成工程で少なくとも二つの溝を形成し、その内の一つには光学特性調整板として位相調整板を設置し、他の一つには光学特性調整板として振幅調整板を設置することを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
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JPH112734A (ja) | 1999-01-06 |
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