JP3569273B2 - 荷電ビーム描画装置及び描画方法 - Google Patents

荷電ビーム描画装置及び描画方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の荷電ビーム光学系を持つマルチビーム方式の荷電ビーム描画装置及び描画方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子ビーム描画装置は、先端デバイス開発に広く用いられている。この電子ビーム描画装置は、電子ビームを電磁的に若しくは静電的に偏向させ、所望の図形を試料上に描画するものである。しかしながら、単にビームを偏向した場合には、図25(a)に示すような偏向歪みが生じる。このため、描画に先立ち、図25(b)に示すように、描画位置の調整を行う必要がある。
【0003】
描画位置の調整は一般的に以下のように行う。即ち、ビームの偏向距離分だけステージを動かし、ステージ上に設けたマークを検出し得るように、偏向電極若しくはコイルに印加する電圧若しくは電流を決定する。この際、ビーム調整に用いるマークとしては、マークと下地基板の原子番号の違いや凹凸による反射電子率の違いを利用したものがある。ビーム偏向領域の大きさは通常百μmから数mmであり、偏向領域を越える範囲に描画を行う場合には、ビーム偏向領域内にステージを移動して描画を行う。
【0004】
なお、図中の201は歪みを持った偏向領域、202は歪みを修正した偏向領域を示している。
【0005】
また、半導体装置の作製においては、同一基板に形成された下地パターンに対して、重ね合わせ露光を行うのが一般的である。このような場合、下地基板上に設けられたマークの位置検出を行う必要がある。位置検出用マークとしては、上記描画位置の調整と同様に、マークの凹凸やマークと下地基板の原子番号の違いによる反射電子率の差を利用したものがある。このマークに電子ビームを走査し、反射電子信号の強弱を測定することによって、マーク位置の検出を行う。
【0006】
近年、高スループットを目指した電子ビーム描画装置の技術開発が行われている。この中でも、複数の電子ビーム光学系を持つマルチビーム方式は有力である。このマルチビーム方式の電子ビーム描画装置では、1本のビームで描画するのではなく、複数のビームで描画を行うために、描画スループットが格段に向上すると期待される。
【0007】
マルチビーム方式は、各光学系でビームの調整が必要となるため、個々のビーム調整を順次行った場合には、莫大な時間がかかる。このため、上記描画位置の調整や重ね合わせ露光においては、複数のビームについて、同時にマーク検出を行う必要がある。しかしながら、複数のビームで同時にマーク検出を行うと、他のマークから反射電子の影響によって、正確な位置合わせができないという問題があった。
【0008】
即ち、一つの電子光学系は、図26に示すように、電子銃1・ビームブランキング系3,4・ビーム偏向系5a,5b・ビーム調整用レンズ系2a,2b,2c・反射電子検出器6からなっている。図27にビーム調整用マークの概観を示す。図27の(a)は平面図、(b)は断面図である。マーク位置検出を行う場合には、図28に示すように、各電子ビーム光学系13に対応する描画領域12にマーク10をそれぞれ設け、複数のマーク10上に同時にビーム走査を行い、ビーム走査位置とそれに対応する反射電子信号から、マーク位置を検出する。従来の電子ビーム光学系では、図29に示すように、複数の電子ビーム7で同時にマークの検出を行った場合には、本来のマークからの反射電子8と共に、他のマークからの反射電子9が横方向から検出器6に侵入してくるため、個々のマーク位置検出は困難である。
【0009】
この対策として、各々の電子ビーム光学系毎に位置検出のタイミングをずらす方法や、チップ毎に位置合わせを行わずに複数のチップをまとめて位置合わせする方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、装置構成が複雑になるほか、全ての電子ビーム光学系で同時にマーク検出を行う場合に比べて、マーク検出に時間がかかるとの問題があった。
【0010】
一方、マルチビーム方式は、光ステッパやX線露光のように一括露光ではないため、各鏡筒でビームの調整が必要となる。電子ビーム源を一つしか持たない従来の電子ビーム描画装置の場合、描画位置調整用のマークは一つしか用いていなかった。しかしながら、マルチビーム描画装置においては、多くのビーム調整を行わねばならないために、一つのマークを共用した場合には、ビーム調整に多くの時間を要する。このため、マルチビーム描画装置では、各電子ビーム光学系に対応した基準マークを持ち、各鏡筒毎にビーム調整を行う方法を採用しなければならない。
【0011】
しかしながら、前述の各電子ビーム光学系に対応した基準マークによって、各鏡筒毎にビーム調整を行う方法では、以下のような問題が生じる。即ち、チップサイズはデバイスの種類によってまちまちであり、必ずしも一つのチップに一つの電子ビーム源を対応させる訳ではない。図30のように、電子ビーム光学系211の配置ピッチ(より具体的には、一つの電子ビーム光学系による描画領域212)よりも大きなパターン213を描画する場合は、複数の電子ビーム光学系211を用いて、一つのパターン213を描画することになる。例えば、10mmピッチで電子ビーム光学系を配置した場合、チップサイズが20mm角を越える場合には4個以上の電子ビーム光学系を用いて描画することになる。また、フォトマスクのように、一辺が150mmを越えるような試料を描画する場合には、さらに多くの電子ビームで描画することになる。
【0012】
ここで、各電子ビーム光学系の基準マーク214の位置が図31(a)のように理想的に配置されている場合は問題ない。しかしながら、実際は図31(b)のように歪んでいるはずであり、この基準マークを基に描画されたパターンは図32のように、歪んだ形状となってしまう。この場合、一つのチップを複数の電子ビーム源で描画した場合には、図33に示すように、隣接する電子ビーム光学系の描画領域境界でつなぎ精度が問題となる。なお、215が一つの描画領域、216は描画領域境界、217は描画パターンである。
【0013】
描画精度上は、この偏向領域のつなぎ精度が重要となる。これは、幾らビームの最小寸法が小さくとも、つなぎ精度が悪い場合には設計データ通りの図形を試料上に描画することができないからである。
【0014】
上述したように、前記したマルチビーム方式は、ステッパのような一括露光ではないため、各鏡筒でビームの調整が必要になる。マルチビーム描画装置の各電子ビーム源は独立した電子光学系を有しているため、個々にビーム調整を行っても、異なる電子ビーム源の間ではつなぎ精度が劣化するという問題があった。その上、チップサイズはデバイスの種類によってまちまちであり、必ずしも一つのチップに一つの電子ビーム源を対応させるような方式は合理的でない。1チップを複数の電子ビーム源で描画する状況となることは必然であるが、このとき電子ビーム源毎のビーム特性の違いからビーム偏向境界領域でのつなぎ精度が劣化するという問題が生じる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のマルチビーム方式の電子ビーム描画装置では、マーク位置検出に際して、装置構成が複雑になったり、時間がかかるとの問題があった。さらに、各電子ビーム光学系の配置ピッチよりも大きな描画領域を必要とするパターン描画の際には、描画されたパターンが歪んだり、隣接する電子ビームの描画領域でのつなぎ精度が悪くなるという問題があった。
【0016】
なお、これらの問題は電子ビーム描画装置に限らず、荷電ビームとしてイオンビームを用いたイオンビーム描画装置についても同様に言えることである。
【0017】
本発明は、上記の事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、高速・高精度なマーク位置検出が可能となり、描画スループット及び描画精度の向上をはかり得るマルチビーム方式の荷電ビーム描画装置及び描画方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0020】
(1)複数の荷電ビーム光学系を持つマルチビーム方式の荷電ビーム描画装置において、複数の荷電ビーム光学系のうち一つの荷電ビーム光学系を選択する手段と、該手段により選択された以外の荷電ビーム光学系で順次マーク検出を行う手段と、前記選択された荷電ビーム光学系における他のマークからの反射粒子の干渉を測定する手段と、該手段の測定結果に基づき干渉のない荷電ビーム光学系同士をグループ化する手段と、該手段によりグループ化された荷電ビーム光学系で同時にマーク位置検出を行う手段とを具備してなることを特徴とする。
【0021】
さらに、複数の荷電ビーム光学系を持つマルチビーム方式の荷電ビーム描画装置の荷電ビーム描画方法において、複数の荷電ビーム光学系のうち一つの荷電ビーム光学系を選択し、選択した荷電ビーム光学系をオフした状態で、他の荷電ビーム光学系で順次マーク検出を行い、選択した荷電ビーム光学系における他のマークからの反射粒子の干渉を測定し、その測定結果から干渉のない荷電ビーム光学系同士をグループ化し、マーク位置検出の際には、該グループの荷電ビームで同時にマーク位置検出を行うことを特徴とする。
【0025】
(作用)
上記の(1)の構成であれば、複数の荷電ビーム光学系で同時に位置合わせを行った場合でも、他のマークからの反射粒子の侵入を防止することができ、描画スループット及び描画精度の向上をはかることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
発明の実施形態を説明する前に、本発明の参考例を説明する。
【0029】
(参考例)
図1は、本発明の参考例に係わるマルチビーム方式電子ビーム描画装置における1つの電子ビーム光学系を示す図である。この電子ビーム光学系は、電子銃1、ビームブランキング系3,4、ビーム偏向系5a,5b、ビーム調整用レンズ系2a,2b,2c、反射電子検出器6からなっている。
【0030】
マーク位置検出を行う場合には、各電子ビームに対応したマーク上にビーム走査を行う。しかしながら、従来の電子ビーム光学系では、前記図31に示すように反射電子検出器がむき出しの状態になっている。このため、複数の電子ビームでマークを検出を行った場合には、他のマークからの反射電子が横方向から検出器に侵入してくるため、個々のマーク位置検出は困難になる。
【0031】
これに対し本参考例では、図1に示すように、反射電子検出器6にコリメータ11が取り付けてある。このため、図2に示すように、複数のビーム7で同時にマーク10の位置検出を行った場合でも、対応するマーク10からの反射電子8は従来と同様に検出しながら、他のマーク10からの反射電子9の侵入を防止することができる。偏向歪みの補正のように、ビームを数mmの範囲で偏向した場合でも、開口角を調整することによって、他のマーク10からの反射電子9のみを除去することが可能となる。
【0032】
このように本参考例では、反射電子検出器6に取り付けられたコリメータ11により、他のマーク10からの反射電子9を除去することが可能となる。このため、多数の電子ビーム7により同時に位置合わせを行った場合でも、個々の電子ビームで独立にマーク位置検出を行うことができ、描画時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0033】
次に、参考例より具体的な例について説明する。
【0034】
(参考例1−1)
図3は、本参考例で用いたマルチビーム方式の電子ビーム描画装置の概略構成を示す図である。図中13は電子ビーム光学系、図中14は試料、15は試料室、16はステージ、17は基準マーク、18は制御回路、19は制御計算機、50はステージ測長系である。
【0035】
本描画装置の加速電圧は10kVである。また、描画可能範囲は150mm角であり、10mmピッチで15×15個、計225個の電子ビーム光学系が配置されている。ビーム偏向系13は静電偏向による主副・2段構成であり、それぞれの偏向領域の大きさは主偏向は500μm、副偏向は100μmである。各電子ビーム光学系13の描画領域は電子銃を中心とした±5mmであり、この描画領域を400個の主偏向領域で描画することになる。
【0036】
ステージ16上には、前記図28に示すようにビーム調整用マークが設けられている。このマークは各電子ビーム光学系13と一対を成すように対応して15×15個あり、各電子ビーム光学系13の描画領域内に1個設けた。マークの形状は、前記図27に示すような十字の形をしており、光露光とプラズマエッチングによって、Si基板を堀りこんで形成した。マークの大きさは片側100μm、幅は5μm、深さは2μmである。
【0037】
本参考例においては、各電子ビーム光学系13の反射電子検出器6に、図1のようにコリメータ11を設けた。このコリメータ11は、筒状をしている。
【0038】
ここでは、このマルチビーム方式の電子ビーム描画装置の偏向歪み補正について図4を用いて説明する。偏向歪み補正は以下の要領で行った。
【0039】
まず、500μmの主偏向領域を50μmのメッシュに分割し、その格子点上に基準マーク20が来るようにステージを移動させる。次いで、ビームを偏向し、マーク20上に走査する。ビームの偏向量とマーク位置から、マーク中心における偏向電圧を計算する。図中22に示すように、順次基準マークを移動させ、偏向量を記憶する。同様の操作を、大きさ100μm角の副偏向領域についても行った。この時、メッシュのサイズは5μmとした。
【0040】
上記偏向歪み補正を15×15個のビームについて同時に行った結果、個々の電子ビーム光学系について、問題なく行うことができた。このとき、ビーム調整に要した時間は1分であった。15×15個のビームについて、1個毎にビーム調整を行った場合は225分(約3時間半)を要した。これに対し、本参考例では15×15個のビームについて同時に行った結果、ビーム調整に要する時間を225分の1に短縮することができた。また、偏向歪みの調整後に、通常の描画を行った結果、高精度の描画を行うことができた。
【0041】
(参考例1−2)
本参考例においては、各電子ビーム光学系の反射電子検出器6に、図5のようにコリメータ23を設けた。本参考例におけるコリメータ23は、参考例1−1と同様に筒状をしているが、個々の反射電子検出器6にではなく、1つの電子ビーム光学系を囲むように設けた。ここでは、このマルチビーム方式の電子ビーム描画装置で、Si基板上に形成された下地パターンに対する位置合わせを行った。
【0042】
図6に示すように、ウェハ26に複数のチップ25が配列されている。チップサイズは10mm角であり、各々のチップ25の四隅に位置合わせマーク24が配置されている。これらのマーク24は、光露光とプラズマエッチングによってSi基板を堀りこんだ凹型マークであり、マーク24の大きさは片側100μm、幅は5μm、深さは2μmである。描画の際には、各電子ビーム光学系で1個のチップを同時に描画する。位置合わせは以下のように行う。
【0043】
チップ25とは、別の場所に設けられたウェハアライメントマーク27で、ステージ上のウェハ位置を確認する。次いで、ウェハ26上のチップレイアウト情報から、各チップ25内のマーク位置を算出する。算出された各チップ25のマーク位置に基づき、ステージを移動して、マーク位置検出を行う。このようにして、チップ25内の4個のマーク位置を順次検出する。ここでは、チップを電子ビーム光学系と同ピッチで配置したため、特別なことをしなくても、15×15個のビームで同時にマーク位置検出が可能である。
【0044】
上記位置合わせマーク24の検出を15×15個のビームについて同時に行った結果、個々の電子ビーム光学系について、位置合わせを問題なく行うことができた。このとき、1個のビーム調整を要する時間は1分であり、1チップで計4分の時間を要した。15×15個のビームについて、1個毎にビーム調整を行った場合は約12時間を要したのに対し、本参考例では15×15個のビームについて同時に行った結果、位置合わせに要する時間を225分の1に短縮することができた。また、位置合わせ後に、通常の描画を行った結果、高精度の描画を行うことができた。
【0045】
(参考例1−3)
本参考例においては、各電子ビーム光学系の反射電子検出器に、図7に示すように穴の開いた遮蔽板31をコリメータとして用いた。そして、このコリメータ31を、図8に示すように、試料と電子ビーム光学系の間に設置した。なお、図7中の28は電子ビームの通過穴、29は反射電子検出器のための開口部、30は電子ビーム光学系の描画領域を示している。
【0046】
上記コリメータ31を用いて、参考例1−2と同様に位置合わせ描画を行ったところ、問題なく位置合わせを行うことができた。また、位置合わせ後に、通常の描画を行った結果、高精度の描画を行うことができた。
【0047】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0048】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について図9のフローチャートを参照して説明する。ここでは、説明を簡単にするために、図10,11に示すように、電子ビーム源を8×8の計64個のアレイとした電子ビーム描画装置について、説明する。
【0049】
まず、本実施形態は、以下の手段を具備していることを特徴とする。
【0050】
(1) 複数の電子ビーム光学系のうち一つの電子ビーム光学系を選択する(S1)。
【0051】
(2) 選択した電子ビーム光学系のビームをオフする(S2)。
【0052】
(3) 選択された以外の電子ビーム光学系で順次マーク検出を行う(S3)。
【0053】
(4) 選択された電子ビーム光学系における、他のマークからの反射粒子の干渉を測定する(S4)。
【0054】
(5) 全ての電子ビーム光学系で上記操作を繰り返す(S5,S6)。
【0055】
(6) 干渉のない電子ビーム光学系同士をグループ化する(S7)。
【0056】
(7) グループ化された電子ビーム光学系の一つを選択する(S8)。
【0057】
(8) 選択された電子ビーム光学系を用い、複数のマーク位置検出を同時に行う(S9)。
【0058】
(9) 全てのグループで上記操作を繰り返す(S10,S11)。
【0059】
そして、前記S4の工程では、他の電子ビームからの反射電子の干渉を測定する。例えば、選択した電子ビーム光学系を図中の35、この電子ビーム光学系の描画領域を図中の34とした場合、このビームをブランクする。このとき、図中36に示す列の電子ビームでマーク検出を行うと、例えば隣接する図中37に該当する電子ビームの場合には、反射電子が図中35の電子ビーム光学系の反射電子検出器に飛び込んでくる(図10(a))。一方、図中38に示すそれ以外の電子ビーム光学系では、反射電子は検出されないか、検出されたとしても、その量はノイズと同じレベルである(図10(b))。
【0060】
次いで、図中39の列の電子ビーム光学系から順次電子ビーム光学系を選択し、同様に反射電子の干渉を測定する(図10(c))。ここでは、例えば隣接する図中40の電子ビーム光学系では反射電子が干渉するが、図中41に示すそれ以外の電子ビーム光学系では反射電子は検出されないものとする(図11(d))。このようにすれば、図中43に示すように、反射電子が干渉する最小単位で求めることができる。この場合、図中43に示す領域内では、同時にマーク検出ができないので、異なるグループ(図中34,37,40,42)になるように設定する(図11(e))。
【0061】
前記S7の工程では、図12に示すように、図中43の最小単位を、全電子ビームアレイに適用する。この結果、相互に反射電子の干渉のない電子ビーム群を、4個のグループにすることができる。
【0062】
S1〜S7で求められたグループでは、同時にマーク位置検出を行っても、反射電子の干渉がなく、問題なくマーク位置検出を行うことができる。この場合、全ての電子ビーム光学系でマーク検出を行うのに、4回で済むことになる。この結果、64個の全ての電子ビーム光学系についてマーク検出を行う場合に比べ、16分の1にマーク検出に要する時間を低減することができる。この結果、複数の電子ビーム光学系で同時にビーム調整や位置合わせを行うことができ、描画時間を大幅に短縮することが可能となる。なお、ここでは説明を簡単にするために電子ビーム光学系を8×8個のアレイとしたが、電子ビーム光学系がもっと大きな10×10個のアレイであっても、同様にマーク検出を行うことができる。
次に、第1の実施形態のより具体的な実施形態について説明する。
【0063】
(実施形態1−1)
本実施形態で用いたマルチビーム描画装置の概略構成は前記図3に示す通りである。本装置の加速電圧は10kVである。また、描画可能範囲は80mm角であり、10mmピッチで8×8個、計64個の電子ビーム光学系を配置されている。ビーム偏向系は静電偏向による主副・2段構成であり、それぞれの偏向領域の大きさは主偏向は500μm、副偏向は100μmである。各電子ビームの描画領域は電子銃を中心とした±5mmであり、この描画領域を400個の主偏向領域で描画することになる。
【0064】
ステージ上には、前記図30に示すようにビーム調整用マークが設けられている。このマークは各電子ビーム光学系と一対を成すように対応して8×8個あり、各電子光学系の描画領域内に1個設けた。マークの形状及び大きさは、前記図29で説明したのと同じである。
【0065】
本実施形態においては、マルチビーム方式の電子ビーム描画装置の偏向歪み補正を行った。まず、偏向歪み補正に先立ち、電子ビーム光学系のグループ化を行い。以下に、図10,11及び図12を用いながら説明する。
【0066】
1)電子ビーム光学系(図中35)を選択する。
【0067】
2)この電子ビーム光学系のビームをブランクする。
【0068】
3)図中36に示す列の電子ビーム光学系でマーク検出を行う。
【0069】
4)この結果、隣接する図中37に該当する電子ビーム光学系の場合には、反射電子が図中35の電子ビーム光学系の反射電子検出器で検出された。
【0070】
5)一方、図中38に示すそれ以外の電子ビーム光学系では、殆ど反射電子は検出されなかった。
【0071】
6)次いで、図中39の列の電子ビーム光学系から順次電子ビーム光学系を選択し、同様に反射電子の干渉を測定した。ここでは、隣接する図中40の電子ビームでは反射電子が干渉したが、図中41に示すそれ以外の電子ビーム光学系では反射電子は検出されなかった。
【0072】
7)上記の結果、図11(d)図中43に示すような4個の電子ビーム描画領域で構成される反射電子が干渉する最小単位を求めた。
【0073】
8)図中43に示す領域内を、異なるグループ(図中34,37,40,42)になるように設定した。
【0074】
9)8)の最少単位を、図12に示すように、8×8個のアレイ中に繰り返して配置した。
【0075】
以上の要領で、各グループ内に16個の電子ビーム光学系を持つ4個のグループを作成し、その情報を制御計算機に格納した。
【0076】
次いで、偏向歪み補正は以下の要領で行った。
【0077】
1)前記図4に示すように、500μmの主偏向領域を50μmのメッシュに分割し、その格子点上に基準マークがくるようにステージを移動させる。
【0078】
2)第1グループの16個のビームを選択する。
【0079】
3)16個のビームを同時に偏向し、マーク上に走査する。
【0080】
4)ビームの偏向量とマーク位置から、マーク中心における偏向電圧を計算する。
【0081】
5)第2グループから第4グループについて、3)〜4)の操作を繰り返し行う。
【0082】
6)図4の22と同様にして基準マークを移動させ、2)〜5)の操作を繰り返し行う。
【0083】
7)1)〜7)と同様の操作を、大きさ100μm角の副偏向領域についても行う。この時、メッシュのサイズは5μmとした。
【0084】
上記操作を、8×8個のビームについて、まず第1〜4のグループまで各16個のビームで同時に行った結果、個々の電子ビーム光学系について、偏向歪み補正を問題なく行うことができた。この時、1個のビーム調整に要する時間は1分であり、8×8個のビームを4個のグループ別の偏向歪み補正を行うに要した時間は4分であった。8×8個のビームについて、1個毎にビーム調整を行った場合は約1時間を要したのに対し、本実施形態では8×8個のビームについて同時に行った結果、偏向歪み補正に要する時間を約16分の1に短縮することができた。また、偏向歪み補正後に、通常の描画を行った結果、高精度の描画を行うことができた。
【0085】
(実施形態1−2)
本実施形態においては、マルチビーム方式の電子ビーム描画装置で、Si基板上に形成された下地パターンに対する位置合わせを行った。
【0086】
チップサイズは10mm角であり、前記図6に示すようにチップの四隅に位置合わせマークが配置されている。このマークは、光露光とプラズマエッチングによって、Si基板を堀りこんだ凹型マークであり、マークの大きさは片側100μm、幅は5μm、深さは2μmである。描画の際には、各電子ビーム光学系で1個のチップを同時に描画する。位置合わせは以下のように行う。
【0087】
まず、チップとは別の領域に設けられたウェハアライメントマークを光学的に検出し、ステージ上のウエハ位置を確認する。次いで、ウェハ上のチップレイアウト情報から、各チップ内のマーク位置を算出する。算出された各チップのマーク位置に基づき、まず第1のマーク位置を測定するためにステージを移動させ、第1から第4までのグループ毎に、各チップのマーク位置検出を順次行う。続いて、第2から第4のマーク位置測定を、同様の手順で行った。ここでは、チップを電子ビーム光学系と同ピッチで配置したため、ステージ移動はチップ内のマーク位置に合わせて4回行えばよい。
【0088】
上記位置合わせマークの検出を、8×8個のビームについて、4個のグループ別に同時に行った結果、個々の電子ビーム光学系について、位置合わせを問題なく行うことができた。この時、1個のビーム調整を要する時間は15秒であり、1チップで計1分の時間を要した。この結果、8×8個のビームの位置合わせに要した時間は4分であった。8×8個のビームについて、1個毎にビーム調整を行った場合は約1時間を要したのに対し、本実施形態では8×8個のビームについて同時に行った結果、位置合わせに要する時間を約16分の1に短縮することができた。また、位置合わせ後に、通常の描画を行った結果、高精度の描画を行うことができた。
【0089】
(実施形態1−3)
本実施形態においては、電子光学系のグループ化を計算機上のシミュレーションによって、行った。実際のデバイス作成においては、試料としてGaAs基板や、Wなどの重金属が成膜されたものが考えられる。計算機によって、電子ビーム光学系のグループ化を行えば、多種多様な基板について、基板が変わる度にグループ化を行う必要がない。
【0090】
まず、計算機のプログラム上で、本実施形態で用いたマルチビーム方式の電子ビーム描画装置を再現した。ここでは、図13に示すように、1次元のみの計算を行った。
【0091】
まず、10kVに加速された電子がSi基板上に入射した場合、図中46に示す列の電子ビーム光学系で順次マーク検出を行った場合に、図中45の電子ビーム光学系に干渉の度合を計算した。ここでは、最も隣接するマークからの反射電子9は、図中45の電子ビーム光学系の反射電子検出器で検出された。一方、最隣接以外のマークからの反射電子9′は図中45の電子ビーム光学系の反射電子検出器では殆ど検出されないとの結果が得られた。この1次元空間での計算結果を、2次元に拡大した結果、図12と同様のグループ化を行うことができた。
【0092】
計算機でグループ化を行う場合には、試料としてGaAs基板や、Wなどの重金属を想定する場合でも、反射電子の及ぶ範囲は、モンテカルロ計算による反射電子の量や角度のデータから、求めることができる。このため、多種多様な基板について、基板が変わる度にグループ化を行う必要がなくなった。
【0093】
上記方法にて、電子ビームのグループ化を行い、実施形態1−2と同様に位置合わせ描画を行ったところ、問題なく位置合わせを行うことができた。また、位置合わせ後に、通常の描画を行った結果、高精度の描画を行うことができた。
【0094】
本発明は描画装置や描画方法を限定するものではない。実施形態に示した以外にも、例えば一つのビームをアパーチャによって、複数に分割するタイプの描画装置にも、応用可能である。また、本発明はマークの形状や種類を限定するものではない。実施形態に示した以外にも、例えば重金属を用いた凸型マークでも、応用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して、利用することができる。
【0095】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、説明を簡単にするために、電子ビーム源を3×3の計9個のアレイとした電子ビーム描画装置について説明する。このとき、各電子ビーム光学系には、図14に示すように、各電子ビーム光学系に対応した基準マークが設けられている。図中の7は電子ビーム、10はマーク、13は電子光学系、52は1個の電子光学系による描画領域である。
【0096】
基準マークの位置を前記図31(a)のように、理想的な配置で作ることは難しい。実際には、図31(b)のように歪んでいる。このような基準マークを用いた場合、基準マーク位置がずれているために、1チップを複数の電子ビーム光学系で描画する場合に、各電子ビーム光学系の描画領域境界でパターン位置ずれが発生する。
【0097】
本実施形態では、各電子ビーム光学系の対応する基準マークの位置測定だけではなく、隣接する電子ビーム光学系の基準マーク位置を測定することによって、各基準マークの相対的な位置ずれを測定している。例えば、図中1行目,1列目の基準マークを原点とした時に、前記図32に示すように各基準マークがずれていたとする。なおここでは、説明を簡単にするために、100μmを1として表記する。
【0098】
まず、各電子ビーム光学系の中心にマークを移動し、マーク位置の検出を行う。次いで、図15に示すように、電子ビーム光学系のピッチ分だけ、Y方向にマークを移動させ、隣接する電子ビーム光学系の基準マークの位置を測定する。さらに、逆方向にステージを移動し、隣接する電子ビーム光学系の基準マークの位置を測定する。このようにすれば、各列毎に行間の基準マーク位置のXY方向のずれ量を求めることができる。なお、図中の47は固定された電子ビーム配置、48は移動したステージ位置を示している。
【0099】
ここで、1行目の各電子ビーム光学系を基準(0,0)とすると、列方向の基準マークの位置は以下のように表すことができる。
【0100】
Figure 0003569273
次に、図16のように、X方向についてもステージを動かし、行間と同様に、列間のマーク位置ずれ測定を行う。ここで、1列目の各電子ビーム光学系を基準として、1行目の基準マークの位置ずれが以下のように表わせたとする。
【0101】
Figure 0003569273
この値を、1回目の測定結果に足しあわせれば、図中1行目,1列目の基準マークを原点とした、各基準マークの相対的位置を求めることができる。
【0102】
Figure 0003569273
この結果を基に、描画領域の位置補正を行えば、各電子ビーム光学系の基準マークが異なることによる描画領域境界でのパターンの位置ずれを低減することができる。上記の例では、基準マークの相対的な位置ずれが0となるようにするには、以下のように描画位置の補正を行えばよい。
【0103】
Figure 0003569273
この描画位置の補正は、各電子ビーム光学系において、ビーム偏向量を変えることによって行う。この結果、補正された描画位置は、図17中の56に示すように、隣接する電子ビーム光学系の描画領域と重なり合うことなく、調整することができる。なお、図中の55は補正前の描画位置、56は補正後の描画位置である。
【0104】
このようにすれば、各電子ビーム光学系の描画領域境界においても、つなぎ精度が改善することが可能となる。また、各電子ビーム光学系のビーム偏向歪みの調整や、マーク検出は各電子ビーム光学系毎に行えば良いので、マルチビーム描画装置の描画スループットが向上することが可能となる。なお。ここでは説明を簡単にするために、電子ビームを3×3個のアレイとしたが、電子ビームがもっと大きな100×100個のアレイであっても、同様に描画領域の補正を行うことができる。
【0105】
次に、第2の実施形態のより具体的な実施形態について説明する。
【0106】
(実施形態2−1)
本実施形態で用いたマルチビーム描画装置の概略構成は前記図3に示す通りである。各電子ビーム光学系の構成は前記図26と同様である。
【0107】
本描画装置の加速電圧は10kVである。また、描画可能範囲は80mm角であり、10mmピッチで8×8個、計64個の電子ビーム光学系が配置されている。ビーム偏向系は静電偏向による主副・2段構成であり、それぞれの偏向領域の大きさは主偏向は500μm、副偏向は100μmである。各電子ビーム光学系の描画領域は電子銃を中心とした±5mmであり、この描画領域を400個の主偏向領域で描画することになる。
【0108】
マーク位置の検出を行うと、その情報は制御計算機に送られ、記憶される。マーク検出後に、記憶されたマーク位置情報に基づき、各基準マークの位置ずれを計算する。その後、各電子ビーム光学系の描画領域の位置を補正し、制御回路にその補正情報を送る。描画の際には、制御計算機から、描画データが各電子ビーム光学系の描画制御回路に送られるが、この時描画領域の補正データを基に描画位置の補正を行う。
【0109】
ステージ上には、図14と同様にビーム調整用マークが設けられている。図14は3×3のアレイで表現されているが、このマークは各電子ビーム光学系と一対を成すように対応して8×8個あり、各電子ビーム光学系の描画領域内に1個設けた。マークの形状は、前記図27に示すような十字の形をしており、光露光とプラズマエッチングによって、Si基板を堀りこんで形成した。マークの大きさは片側100μm、幅は5μm、深さは2μmである。
【0110】
本実施形態においては、80mm角のフォトマスクの描画を行った。まず、各電子ビーム光学系において、それぞれの基準マークを用いて、主・副偏向領域の歪み補正を行った。次いで、各電子ビーム光学系の描画領域の補正は、以下のように行った。
【0111】
1)まず、各電子ビーム光学系の中心付近にマークを移動し、マーク位置の検出を行う。
【0112】
2)次いで、図18(a)に示すように電子ビーム光学系のピッチ分(10mm)だけ、Y方向にマークを移動させ、隣接する電子ビーム光学系の基準マークの位置を測定する。なお、図中の51は電子銃、52は1つの電子銃による描画領域である。
【0113】
3)今度は、2)と逆方向に−10mmステージを移動し、隣接する電子ビーム光学系の基準マークの位置を測定する。これにより、列毎の基準マーク位置のXY方向のずれ量を求めることができる。ここでは、図18(b)に示すように、図中の53で示す1行目の各電子ビーム光学系を基準として、列方向の基準マークの位置を算出した。
【0114】
4)次に、ステージを元に戻し、X方向もY方向と同様に10mmだけ、マークを移動させ、隣接する電子ビーム光学系の基準マークの位置を測定する。
【0115】
5)3)と同様に、反対方向に10mmステージを移動させ、隣接する電子ビーム光学系の基準マーク位置を測定する。ここでは、1列目の各電子ビーム光学系を基準として、行方向の基準マークの位置を算出した。
【0116】
6)上記1)〜5)の操作によって、各基準マークの相対的位置を求めることができた。
【0117】
7)基準マークの相対的な位置ずれを相殺するように、図17と同様に、各電子ビーム光学系の描画領域位置を計算した。
【0118】
8)上記の計算結果は、各電子ビーム光学のビーム偏向歪みの測定データをもとに、各電子ビーム光学のビーム偏向のデータに変換し、制御回路に記憶した。
【0119】
実際の描画では、フォトマスクの描画データは、予め制御計算機内で各電子ビーム光学系の描画領域にあわせて分割しておく。
【0120】
主偏向領域毎に各電子ビーム光学系に描画データを転送すると、制御回路ではステージを移動するとともに、送られてきた描画データに予め記憶されている描画位置の補正データを加えて、描画を行う。このようにして、主偏向領域毎にステージを動かし、8×8個の電子光学系で同時に描画を行った。
【0121】
上記のようにして描画を行った結果、各電子ビーム光学系の描画領域境界において、つなぎ精度を改善され、高精度な描画を行うことができた。また、各電子ビーム光学系のビーム偏向歪みの調整や、マーク検出は各電子ビーム光学系毎に行えば良いので、マルチビーム描画装置のビーム調整に要する時間を大幅に短縮することができた。
【0122】
なお、上記実施形態では電子ビームを8×8個のアレイとしたが、本発明は電子ビームのアレイ数を限定するものではない。実施形態で示した以外にも、電子ビームのアレイ数が100×100個の電子ビーム描画装置で利用することも可能である。また、本発明は描画装置や描画方法を限定するものものではない。上記実施形態に示した以外にも、例えば一つのビームをアパーチャによって、複数に分割するタイプの描画装置にも、応用可能である。また、本発明はマークの形状や種類を限定するものではない。上記実施形態に示した以外にも、例えば重金属を用いた凸型マークでも、応用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して、利用することができる。
【0123】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。各々の電子ビーム光学系は図24のように、隣合う電子ビーム光学系の描画領域と重なる範囲を描画領域とする。その際、2領域が重なった部分は2分の1、4領域が重なった部分は4分の1の照射量で描画するよう照射量補正を行う。これらの工程により描画精度を向上させることが可能となる。
【0124】
次に、第3の実施形態のより具体的な実施形態について説明する。
【0125】
(実施形態3−1)
本実施形態で用いたマルチビーム描画装置の概略構成は前記図3に示す通りである。本描画装置は、各電子ビーム源が各々の描画領域の左上端にあるときを基準位置とする。
【0126】
図19(a)に示すように、試料101にはビーム調整用マーク103が設けられている。マークの形状は、図19(b)に示すような十字の形をしており、光露光とプラズマエッチングによってSi基板を彫り込んで形成した。マークの大きさは片側10μm、幅は1μm、深さは2μmである。
【0127】
本描画装置における描画可能範囲は、154mm角であり、50mmピッチで3×3基、計9基の電子ビーム源が配置されている。ビームは主副2段偏向であり、それぞれの偏向領域の大きさは、主偏向が6mm、副偏向が2mmである。各ビームの描画領域は、荷電ビーム源を中心に±27mmである。描画領域を主偏向領域81個に分割して描画することになる。
【0128】
本実施形態では、150mm角のフォトマスクを描画した。描画に先立って、1枚のマスクを複数の電子ビーム源で描画するよう、マスクデータの変換を行った。副偏向領域単位で多重描画を行うものとし、まずマスクデータを各電子ビーム源のピッチで9個の領域に分割した。この周囲に図20のように副偏向領域1つ分の幅のデータを加え、電子ビーム源1基分の描画データとする。このデータを主偏向領域に分割、さらに副偏向領域に分割し、ビットデータに変換する。なお、図中の71はマスクの大きさ、72は描画領域、73は主偏向領域、74は副偏向領域である。
【0129】
データ変換の際、図21の81,82,83,84の部分のように通常の露光量で描画される領域とは別に、2重に描画される領域(図中85,86,87,88,89)、4重に描画される領域(図中810,811)には照射量設定用のデータを持たせた。即ち、2領域が重なった部分は2分の1、4領域が重なった部分は4分の1の照射量で描画するよう照射量補正を行う。これにより、多重描画を行った領域においても、照射量は重なりのない領域と同等となった。
【0130】
続いて、各荷電ビームの偏向歪み調整を行った。偏向歪み調整は以下のように行った。
【0131】
1)図22に示すように、6mmの主偏向領域を500μmのメッシュに分割し、その格子点上に基準マークが来るようにステージを移動させる。なお、図中の121は主偏向領域、122は基準マークである。
【0132】
2)9個のビームについて、順次ビームを偏向し、マーク位置を検出する。
【0133】
3)基準マークを移動させ、1)〜2)の操作を繰り返し行う。
【0134】
4)1)〜3)と同様の操作を、大きさ2mm角の副偏向領域についても行う。メッシュのサイズは50μmとした。
【0135】
続いて、描画を行った。まず、ステージを基準位置に移動させ、各荷電ビーム源の第一の主偏向領域の描画を行った。まず、図23の図中91のように主偏向領域の描画を行い、次いでステージを右方向に6mm移動させ、同様にして第2の主偏向領域の描画を行った。以下、図中92に従って、順次描画を行った。
【0136】
以上実施の結果、各荷電ビーム源の偏向境界領域においてもつなぎ精度よくパターンを形成することができた。
【0137】
なお、本発明は描画装置や描画方法を限定するものではない。上記実施形態に示した以外にも、例えば一つのビームをアパーチャによって複数に分割するタイプの描画装置にも応用可能である。また、本発明はマークの形状や種類を限定するものではない。上記実施形態に示した以外にも、例えば重金属を用いた凸型マークでも、応用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して、利用することができる。
【0138】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、複数の荷電ビームで同時に位置合わせを行った場合でも、他のマークからの反射粒子の侵入を防止することができる。また、複数の荷電ビームで同時に位置合わせを行うことができ、描画時間を大幅に短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例に係わる電子ビーム描画装置の光学系を示す図。
【図2】複数のビームでマーク検出を行った場合の効果を示す図。
【図3】参考例1−1に係わる電子ビーム描画装置の概略構成を示す図。
【図4】参考例1−1におけるビーム調整用マークの形状を示す図。
【図5】参考例1−2に係わる電子ビーム描画装置の概略構成を示す図。
【図6】参考例1−2におけるチップと位置合わせマークとの関係を示す図。
【図7】参考例1−3におけるコリメータの構造を示す図。
【図8】参考例1−3における電子ビーム光学系とコリメータの配置を示す図。
【図9】第1の実施形態による描画方法の手順を示す図。
【図10】実施形態1−1における電子ビーム光学系のグループ化の手順を示す図。
【図11】実施形態1−1における電子ビーム光学系のグループ化の手順を示す図。
【図12】グループ化された電子ビームの様子を示す図。
【図13】計算機プログラム上で再現したマルチビーム描画装置の構成を示す図。
【図14】第2の実施形態におけるマーク検出の様子を示す図。
【図15】基準マークの位置測定方法を示す図。
【図16】基準マークの位置測定方法を示す図。
【図17】描画位置補正の効果を説明するための図。
【図18】実施形態2−1における基準マークの位置測定方法を示す図。
【図19】ステージ上のビーム調整マーク及びその位置を示す図。
【図20】電子ビーム源弦1基当たりの描画領域を示す図。
【図21】各電子ビーム源の描画領域の重なりを示す図。
【図22】偏向歪み調整の際の主偏向領域の分割を示す図。
【図23】描画領域内での描画の順序を示す図。
【図24】多重描画の一例を示す図。
【図25】ビーム偏向歪みを示す図。
【図26】従来の電子ビーム光学系を示す図。
【図27】マークの平面形状及び断面形状を示す図。
【図28】マーク検出の様子を示す図。
【図29】複数のビームでマーク検出を行った場合の問題点を示す図。
【図30】マルチビーム方式の電子ビーム描画装置の描画方法を示す図。
【図31】理想的な基準マークの配置と現実に想定されるマークの位置ずれの様子を示す図。
【図32】基準マークの位置ずれによる描画領域の位置ずれの様子を示す図。
【図33】電子ビーム光学系の描画領域境界における位置ずれの様子を示す図。
【符号の説明】
1…電子銃
2a,2b,2c…ビーム調整用レンズ系
3…ブランキング用偏向器
4…ブランキングアパーチャ
5a,5b…ビーム偏向系
6…反射電子検出器
7…電子ビーム
8…対応するマークからの反射電子
9…他のマークからの反射電子
10…基準マーク
11,23…コリメータ
13…電子ビーム光学系
14…試料
15…試料室
16…ステージ
17…基準マーク
18…制御回路
19…制御計算機
24…チップアライメントマーク
25…チップ
26…ウェハ
27…ウェハアライメントマーク
28…電子ビームの通過穴
29…反射電子のための開口部
30…描画領域
31…遮蔽板(コリメータ)

Claims (2)

  1. 複数の荷電ビーム光学系を持つマルチビーム方式の荷電ビーム描画装置において、
    複数の荷電ビーム光学系のうち一つの荷電ビーム光学系を選択する手段と、該手段により選択された以外の荷電ビーム光学系で順次マーク検出を行う手段と、前記選択された荷電ビーム光学系における他のマークからの反射粒子の干渉を測定する手段と、該手段の測定結果に基づき干渉のない荷電ビーム光学系同士をグループ化する手段と、該手段によりグループ化された荷電ビーム光学系で同時にマーク位置検出を行う手段とを具備してなることを特徴とする荷電ビーム描画装置。
  2. 複数の荷電ビーム光学系を持つマルチビーム方式の荷電ビーム描画方法において、
    複数の荷電ビーム光学系のうち一つの荷電ビーム光学系を選択し、選択した荷電ビーム光学系をオフした状態で、他の荷電ビーム光学系で順次マーク検出を行い、選択した荷電ビーム光学系における他のマークからの反射粒子の干渉を測定し、その測定結果から干渉のない荷電ビーム光学系同士をグループ化し、マーク位置検出の際には、該グループの荷電ビームで同時にマーク位置検出を行うことを特徴とする荷電ビーム描画方法。
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