JP3568029B2 - ディスク装置のヘッド支持機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューターの記憶装置等として用いられる磁気ディスク装置等の磁気ディスクに対する情報の記憶および再生に使用されるヘッドの支持機構に関し、特に、磁気ディスク装置に設けられた磁気ディスクに対する情報の記録を高密度化するために最適なヘッド支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置に設けられた磁気ディスクの記録密度は、日を追う毎に高密度化が進でいる。磁気ディスクに対するデータの記録および再生に使用される磁気ヘッドは、通常、スライダに搭載されており、磁気ヘッドが搭載されたスライダは、磁気ディスク装置内に設けられたヘッド支持機構によって支持されている。ヘッド支持機構は、スライダが取り付けられたヘッドアクチュエーターアーを有しており、このヘッドアクチュエーターアームが、ボイスコイルモータ(VCM)によって回動されるようになっている。そして、ボイスコイルモータを制御することにより、スライダに搭載されたヘッドが、磁気ディスク上の任意の位置に位置決めされる。
【0003】
磁気ディスクに対してデータをさらに高密度で記録するためには、磁気ディスクに対して磁気ヘッドをさらに高度に位置決めする必要がある。しかしながら、このように、VCMにてヘッドアクチュエーターアームの回動させて磁気ヘッドを位置決めする構成では、磁気ヘッドを、より高精度に位置決めすることができないという問題がある。このために、磁気ヘッドを高精度に位置決めするヘッド支持機構が既に提案されている。
【0004】
図10は、従来の磁気ディスク装置のヘッド支持機構の一例を示す平面図である。回転駆動される図示しない磁気ディスクに対するデータの記録/再生を行うヘッド102は、サスペンションアーム104の一方の端部に支持されている。サスペンションアーム104の他方の端部は、キャリッジ106の先端部に設けられた突起108に対して、この突起108を中心に微小角の範囲内で回動可能に支持されている。キャリッジ106の基端部は、磁気ディスク装置のハウジングに対して固定される軸部材110によって、回動可能に支持されている。
【0005】
キャリッジ106には、永久磁石(図示せず)が固定されており、ハウジング側に固定された磁気回路112の一部である駆動コイル114に流す励磁電流を制御することによって、この永久磁石に対して、キャリッジ106が、軸部材110に対して回動するようになっている。これにより、ヘッド102が、磁気ディスクにおける実質的な半径方向に沿って移動される。
【0006】
キャリッジ106とサスペンションアーム104との間には、一対の圧電素子116が設けられている。各圧電素子116は、キャリッジ106の長手方向に対して、それぞれの長手方向が相反する方向に若干傾斜した状態で取り付けられている。そして、各圧電素子116を、それぞれ、図10に矢印A14で示す方向に伸縮させることによって、サスペンションアーム104が、キャリッジ106に対して突起108を中心に、キャリッジ106の表面に沿って、微小角度の範囲内で回動する。これにより、サスペンションアーム104の先端部に取り付けられたヘッド102は、磁気ディスクの表面に沿って、微小な範囲で変位され、磁気ディスク上の任意の位置にて高精度で位置決めすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示す従来のヘッド支持機構では、各圧電素子116が、サスペンションアーム104およびキャリッジ106にそれぞれ設けられた部材の間にそれぞれ挟まれた状態になっており、各圧電素子116の長手方向(矢印A14で示す方向)に沿ったそれぞれの側部が、各部材に当接されている。そして、各圧電素子116のバルク変形によって、サスペンションアーム104を回動させて、ヘッド102を微小に変位させるようになっている。このように、各圧電素子116への印加電圧に対して、サスペンションアーム104の回動によって、ヘッド102を微小に変位させているために、各圧電素子116にそれぞれ印加される電圧に対して、ヘッド102が必ずしも高精度に追従するものではなく、ヘッド102を高精度で位置決めすることができないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、磁気ディスク等に対するトラッキング補正等のために、ヘッドを高精度で微小変位させることができるディスク装置のヘッド支持機構を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、電圧の制御によって、ヘッドを高精度で微小変位させることができるディスク装置のヘッド支持機構を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、このようなヘッド支持機構に対して好適に使用される薄膜圧電体アクチュエータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のディスクのヘッド支持機構は、回転駆動されるディスクに対して少なくともデータの再生を行うヘッドが設けられたスライダと、該スライダを支持するスライダ支持部と、長板状の支持基板部と、該支持基板部の先端部で、該スライダ支持部と該支持基板部とを連結し、該支持基板部の前記ディスクに対する垂直方向の変形を、前記ディスクの半径方向に変換して該スライダ支持部に伝達する弾性ひんじ部と、該支持基板部を前記ディスクの表面に対して垂直な方向に変形させる駆動部材とを有するディスクのヘッド支持機構であって、前記支持基板部は先端部側になるにつれて順次幅方向寸法が小さくなっていることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
前記駆動部材は、前記支持基板部に積層状態で配置された薄膜圧電体であり、該薄膜圧電体は、電圧が印加されることによって伸縮する構成であり、該薄膜圧電体が収縮することによって前記支持基板部を反った状態に変形させる。
【0014】
また、本発明のディスク装置のヘッド支持機構は、回転駆動されるディスクに対して少なくともデータの再生を行うヘッドが設けられたスライダと、該スライダを一方の端部上に支持する長板状の支持基板部と、該支持基板部に積層状態で配置され、電圧が印加されることによって伸縮する駆動部材とを具備し、該駆動部材が収縮することによって、該支持基板部が反った状態とされ、該支持基板部の反りによる変位方向が、該駆動部材の収縮方向に一致していることを特徴とする。
【0015】
前記駆動部材が薄膜圧電体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態におけるディスク装置におけるヘッド支持機構100をディスク側からの斜視図、図2は、図1のヘッド支持機構100を分解して示す斜視図である。
【0018】
このヘッド支持機構100は、ボイスコイルモータ(図示せず)により回転原動されるヘッドアクチュエータアームに取り付けられるベースプレート7と、このベースプレート7に積層状態で取り付けられたロードビーム9と、ベースプレート7におけるロードビーム9とは反対側に積層されてスポット溶接等によってベースプレート7に貼り付けられたフレクシャ5と、フレクシャ5上に積層された薄板状の薄膜圧電体基板8とを有している。
【0019】
ベースプレート7は、その一方の端部(基端部)に、軸部材が挿通される貫通孔7Aが設けられている。
【0020】
ベースプレート7に積層されたフレクシャ5は、ステンレス鋼板等によって、可撓性を有する長板状に構成されており、その一方の端部(基端部)には、ベースプレート7に設けられた貫通孔7Aと整合状態になって軸部材が挿通される貫通孔5Eが設けられている。
【0021】
フレクシャ5の中程における基端部寄りの位置から先端部にかけた部分は、両側の各側縁部に沿った外枠部5Aおよび5Bと、先端縁に沿った先端枠部5Dとによって、枠状に構成されており、この枠状部分の内部における先端部に、正方形の平板状をしたジンバル6が設けられている。ジンバル6は、ベースプレート7の先端縁から突出した状態で配置されている。
【0022】
ジンバル6は、正方形の枠状をした枠部6Aと、枠部6A内に配置されたジンバル本体部6Bとを有している。枠部6Aは、フレクシャ5の基端部から、フレクシャ5の枠状部分の軸心部に沿って設けられた支持梁5Cの先端部と、フレクシャ5の先端枠部5Dとの間に、フレクシャ5の長手方向に沿った軸周りに回動し得る状態で支持されている。ジンバル本体部6Bは、この枠部6A内に同心状態で配置されており、枠部6Aの回動の中心軸とは直交するフレクシャ5に沿った軸を中心として回動可能に枠部6Aに支持されている。ジンバル本体部6Bの中心部には、球形状に突出した突起部6Cが設けられている。
【0023】
ジンバル6を支持する支持梁5Cは、フレクシャ5の基端部側において、幅方向寸法がLになっており、先端側になるにつれて順次幅方向寸法が小さくなった三角形状に形成されている。
【0024】
ベースプレート7におけるフレクシャ5とは反対側の面に積層されたロードビーム9は、その先端部9Aが、ベースプレート7の先端側に配置されたジンバル6に対向するように、ベースプレート7の先端から突出した状態で配置されており、その先端部9Aが、先端側になるにつれて順次先細になった三角形の枠状に形成されている。そして、三角形状の枠状に形成された先端部9Aの先端に、ジンバル6側に突出したディンプル10が形成されている。ディンプル10は、ジンバル6の中心部に設けられた突起部6Cに対してスポット溶接等で貼り付けられており、突起部6Cがディンプル10によって支持されている。
【0025】
図4は、フレクシャ5上に貼り付けられた薄膜圧電体用基板8の平面図である。また、図6(b)は、その要部の拡大図である。薄膜圧電体用基板8は、フレクシャ5の基端部上に配置された本体部8Hと、この本体部8Hから、支持梁5Cの三角形状部分と同様の三角形状の長板状であって、支持梁5Cの三角形状部分と整合状態で配置された支持基板部8Aと、この支持基板部8Aの先端部から、ジンバル6の枠部6Aに沿って直角に屈曲した状態で配置された第1支持部8Bと、フレクシャ5の外枠部5Bから先端枠部5Dの中程に沿って配置された枠部8Cと、枠部8Cの先端部から、ジンバル6の枠部8Aに沿って、薄膜圧電体用基板8の前記第1支持部8Bと対向するように直角に屈曲された第2支持部8Dとを有している。そして、第1支持部8Bおよび第2支持部8Dの先端部は、相互に対向するように配置されて、先端側になるにつれて順次先細状にそれぞれ形成されている。
【0026】
第1支持部8Bおよび第2支持部8Dの先端部間には、スライダ支持部8Eが配置されている。このスライダ支持部8Eは、第1支持部8Bおよび第2支持部8Dの先端部とは、第1および第2の弾性ヒンジ部8Fおよび8Gによって、それぞれ、回動可能に支持されている。スライダ支持部8Eは、第2の弾性ヒンジ部8Gが設けられた第2支持部8Dの先端部が嵌合するように、一方の側部が三角形状に切り欠かれた長方形の平板状に形成されており、このスライダ支持部8E上に、ヘッド1(図3参照)が搭載されたスライダ2が設けられている。
【0027】
スライダ支持部8Eは、第1の弾性ヒンジ部8Fを中心として、図4に矢印A3で示す方向に沿って回動し得るようになっており、また、第2の弾性ヒンジ部8Gは、スライダ支持部8Eが矢印A3方向に沿って回動する際に、スライダ支持部8Eの回動を抑制して、スライダ支持部8Eの変形を防止するようになっている。
【0028】
スライダ2は、図3に示すように、直方体状をしており、薄膜圧電体用基板8の先端方向に位置する一方の端面2Eの上部における一方の側部に、MR素子等によって構成されたヘッド1が設けられている。スライダ2は、磁気ディスクの接線方向にヘッド1が向くように配置されている。また、ヘッド1が設けられた端面2Eの下部には、4つの端子2A〜2Dが、横方向に並んだ状態で設けられている。さらに、スライダ2の上面には、回転駆動される磁気ディスクによって生じる空気流が、スライダ2のピッチ方向(磁気ディスクの接線方向)に沿って通流させて、磁気ディスクとの間にエア潤滑膜を形成するエアーベアリング面2Fが設けられている。
【0029】
スライダ2は、エアーベアリング面2Fの中心位置が、ジンバル6の中央部に設けられた突起部6Cに対応するように、スライダ支持部8E上に配置されている。
【0030】
薄膜圧電体用基板8における三角形状になった支持基板部8Aには、支持基板部8Aにおける三角形状の頂部を除いて整合状態で配置された薄膜圧電体11が設けられている。
【0031】
図5は、図4のB−B線における断面図であり、図4および図5にそれぞれ矢印A2で示す方向が、相互に対応している。薄膜圧電体11における上面(薄膜圧電体用基板8とは反対側面)には、第1電極11Aが設けられており、この第1電極11Aが絶縁膜11Cによって覆われている。また、薄膜圧電体用基板8と薄膜圧電体11との間には、第2電極11Bが設けられており、この第2電極11Bが接地されている。
【0032】
第1電極11Aaおよび11B間に電圧を印加することによって、薄膜圧電体11に電圧を印加すると、薄膜圧電体11は第1電極11Aから電極層11Bの方向(図5に矢印A1で示す方向)に伸びる(D33モード)とともに、矢印A1の方向と直交する方向(図5に矢印A2で示す方向)に収縮する(D31モード)。そして、このD31モードの薄膜圧電体11の収縮を利用して、スライダ2のヘッド1を、磁気ディスクにおける直径方向に沿って微小変位させて、ヘッド1のトラッキング補正を行うようになっている。
【0033】
薄膜圧電体用基板8の支持基板部8Aには、薄膜圧電体11の近傍部分を除いて、薄膜圧電体駆動パターン15が設けられている。薄膜圧電体駆動パターン15は、絶縁膜15Aによって覆われており、また、薄膜圧電体用基板8との間に電極部15Bが設けられている。そして、絶縁膜15Aから露出した薄膜圧電体駆動パターン15の一部と薄膜圧電体11における上面に設けられた第1電極11Aにおける絶縁膜11Cから露出した部分とが、ワイヤーボンド19によって、電気的に接続されている。
【0034】
薄膜圧電体駆動パターン15に設けられた電極部15Bは、薄膜圧電体用基板8の支持基板部8Aにおける側部に設けられた端子部15Dに接続されている。
【0035】
薄膜圧電体用基板8には、スライダ支持部8E上に取り付けられるスライダ2の各端子2A〜2Dに接続される信号パターン12A、12B、12C、12Dがそれぞれ設けられている。一対の信号パターン12Aおよび12Bは、薄膜圧電体用基板8の本体部8H、支持基板部8Aおよび第1支持部8B上に配置されており、それぞれの各端部が、スライダ支持部8E上および本体部8Hの側部上にそれぞれ位置されている。また、他方の一対の信号パターン12Cおよび12Dは、本体部8H、薄膜圧電体用基板8の枠部8Cおよび第2支持部8G上に配置されており、それぞれの各端部が、スライダ支持部8E上および本体部8Hの側部上にそれぞれ配置されている。
【0036】
以上のように構成されたディスク装置のヘッド支持機構100について、図6を用いてその動作を説明する。図6(a)は、ヘッド支持機構100の要部の側面図、図6(b)は、その平面図である。薄膜圧電体11に対して、薄膜圧電体11が縮む方向に電圧(負の電圧)を印加すると、薄膜圧電体11は長手方向(矢印A2で示す方向)に収縮する。ステンレス等で構成された薄膜圧電体基板8は、矢印A2で示す収縮方向に対して剛性が高いために、薄膜圧電体11と、薄膜圧電体11に積層された薄膜圧電体用基板8とには、バイメタル効果により、図6(a)に示すように、反りを生じる。
【0037】
薄膜圧電体11および薄膜圧電体基板8にこのような反りが生じると、この反りに応じて、薄膜圧電体基板8における先細になった先端部分P(図6(b)参照)は、薄膜圧電体11自身の収縮と、バイメタル効果による反りとにより、矢印A4で示す方向にδだけ微小変位することになる。
【0038】
薄膜圧電体11に電圧が印加されることにより、薄膜圧電体11が図4に示す矢印A4方向に微小変位すると、薄膜圧電体基板11の第1支持部8Bが、支持基板部8Aに牽引されて、第2の弾性ヒンジ部14も同方向に牽引される。これにより、薄膜圧電体基板8のステイダ支持部8Eが、第1の弾性ヒンジ部13を回動中心として微小回動する。
【0039】
スライダ支持部8Aが第1の弾性ヒンジ部13を回動中心として微小回動すると、スライダ支持部8E上に支持されたスライダ2のヘッド1は、磁気ディスクの半径方向に対して、磁気ディスクに設けられた記録トラックの幅寸法の数倍程度にわたって移動することになる。薄膜圧電体11に対して電圧を印加しない状態になると、薄膜圧電体基板8は、図5に示した初期状態(電圧を印加する前の状態)に復帰する。
【0040】
このように、薄膜圧電体11が、電圧が印加されることにより、磁気ディスクの接線方向(矢印A2で示す方向)に伸縮すると、薄膜圧電体11を保持する薄膜圧電体基板8と薄膜圧電体11とには反りが生じ、薄膜庄電体基板8の支持基板部8Aには、磁気ディスクの接線方向(矢印A2で示す方向)に沿った直線変位が生じる。
【0041】
即ち、薄膜圧電体基板8は、磁気ディスクの表面に対して、実質的に垂直な方向(矢印A1で示す方向)の反りに基づいて、直線変位δ1を生じ、この直線変位δ1によって、スライダ支持部8Eは、ヘッド1がディスクの半径方向(矢印A5方向)に変位されるように回動される。その結果、スライダ2のヘッド1は、磁気ディスクの半径方向に沿って変位されて、オントラック制御される。
【0042】
この場合、薄膜圧電体11は、負電圧が印加されることによって収縮するようになっているために、薄膜圧電体11の反りによる変位方向と薄膜圧電体11自体の収縮方向とが一致しており、電圧の印加量に対して大きな変位量δが得られる。
【0043】
薄膜圧電体11に印加される電圧と薄膜圧電体11の先端部分Pとの関係を、図7に示す。薄膜圧電体11が伸びる方向に電圧が印加される場合を正、薄膜圧電体11が縮む方向に印加される電圧を負とすると、薄膜圧電体11に対する印加電圧の絶対値が同一であれば、負の印加電圧による薄膜圧電体11の先端部分Pの図6に矢印A4で示す方向への変位量は、正の印加電圧による薄膜圧電体11の先端部分Pの図6に矢印A4で示す方向とは反対方向への変位量よりも大きくなる。これは、前述したように、負の印加電圧による薄膜圧電体11の先端部分Pの薄膜圧電体11の反りによる変位方向と、収縮方向とが一致していることによる。
【0044】
また、薄膜圧電体11は、三角形状になっていることにより、三角形の頂点部分の変位量は、薄膜圧電体11が矩形状(長板状)になっている場合よりも、大きくなる。図8は、薄膜圧電体11が三角形状の場合と、矩形状の場合とにおける薄膜圧電体11に印加される電圧と、薄膜圧電体11の端部の変位量との関係を示している。薄膜圧電体11に対する印加電圧は、絶対値で示している。図8に示すように、薄膜圧電体11に対する印加電圧が小さい領域では、各薄膜圧電体11は、それぞれの形状の相違にもかかわらず、先端位置はほぼ同様に変位する。しかし、薄膜圧電体11に対する印加電圧が増加すると、三角形状の薄膜圧電体11では、その先端位置の変位量が大きく増加するが、矩形形状の薄膜圧電体11では、その先端位置の変位量が小さくなる。従って、それぞれの薄膜圧電体11に等しい電圧を印加した場合には、三角形状の薄膜圧電体11における先端位置の変位量が、矩形状の薄膜圧電体11よりも大きくなる。
【0045】
図9(a)および(b)に、矩形状の薄膜圧電体11と、三角形状の薄膜圧電体11との変形状態をそれぞれ示す。矩形状の薄膜圧電体11では、長手方向に沿って反り(U方向に沿った曲げ)が発生するとともに、幅方向(Y方向)に沿っても曲げが発生する。このとき、矩形状薄膜圧電体11の先端部における各側縁部(図9(a)に、RおよびQで示す領域)の変形は、先端位置Pの変位に大きく寄与しない。また、幅方向であるY方向に沿った曲げは、U方向に沿った曲げの変位には寄与しないばかりでなく、矩形状の薄膜圧電体11の剛性を高めるために、薄膜圧電体11の変形を抑制することになる。
【0046】
これに対して、図9(b)に示す3角形状の薄膜圧電体11の場合には、このように、先端部における各側縁部によって、先端位置Pの変位が抑制されるおそれがなく、また、Y方向に沿った曲げによるU方向に沿った曲げの変位の抑制も小さくなり、U方向に沿った曲げによって、先端位置Pの変位が大きくなる。
【0047】
このように薄膜圧電体11の形状を三角形状とすることにより、印加電圧に対して、ヘッド1の変位量を大きくすることができる。
【0048】
また、薄膜圧電体11の形状を3角形状とすることにより、スライダ2を支持する先端部の質量を小さくすることができるために、薄膜圧電体11の共振周波数を、矩形状の薄膜圧電体11よりも高くすることが可能となる。このように、薄膜圧電体11の共振周波数を高くすることによって、ヘッド1をより高精度に位置決めすることができ、高いオントラック制御性を確保することができる。
【0049】
本実施の形態によれば、薄膜圧電体基板8の厚みを10μm、薄膜圧電体11の厚みを2μm、薄膜圧電体11の長手方向の寸法を10mm、薄膜圧電体11に印加する電庄を3Vとした場合に、ヘッド部1は、磁気ディスクの半径方向に0.9μm変位させることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、スライダ2は、そのエアーベアリング面2Fの中心位置を中心として回動するために、例えば空気粘性摩擦力等の外乱の影響によって、スライダ2の変位量が大きく変化するおそれがない。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明のヘッド支持機構は、トラッキング補正等のために、ヘッドを高精度で微小に変位させることができる。
【0052】
また、本発明のヘッド支持機構は、印加電圧に対して効率的にヘッドを微小変位させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘッド支持機構の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】そのヘッド支持機構を分解して示す斜視図である。
【図3】そのヘッド支持機構に使用されるスライダの斜視図である。
【図4】そのヘッド支持機構に使用される薄膜圧電体基板の平面図である。
【図5】そのヘッド支持機構における薄膜圧電体基板の要部断面図である。
【図6】(a)は、そのヘッド支持機構の動作説明のための要部の側面図、(b)は、その平面図である。
【図7】そのヘッド支持機構における印加電圧と薄膜圧電体の先端部の変位との関係を示すグラフである。
【図8】矩形状および三角形状の各薄膜圧電体形状における印加電圧と薄膜圧電体の先端部の変位との関係を示すグラフである。
【図9】(a)は、矩形状の薄膜圧電体の変形を示す模式図、(b)は、三角形状の薄膜圧電体の変形を示す模式図である。
【図10】従来のディスク装置のヘッド支持機構の構成図である。
【符号の説明】
1 ヘッド部
2 スライダ
5 フレクシヤ
6 ジンバル
8 薄膜圧電体基板
8A 支持基板部
11 薄膜圧電体
Claims (4)
- 回転駆動されるディスクに対して少なくともデータの再生を行うヘッドが設けられたスライダと、
該スライダを支持するスライダ支持部と、
長板状の支持基板部と、
該支持基板部の先端部で、該スライダ支持部と該支持基板部とを連結し、該支持基板部の前記ディスクに対する垂直方向の変形を、前記ディスクの半径方向に変換して該スライダ支持部に伝達する弾性ひんじ部と、
該支持基板部を前記ディスクの表面に対して垂直な方向に変形させる駆動部材とを有するディスクのヘッド支持機構であって、
前記支持基板部は先端部側になるにつれて順次幅方向寸法が小さくなっていることを特徴とするディスクのヘッド支持機構。 - 前記駆動部材は、前記支持基板部に積層状態で配置された薄膜圧電体であり、該薄膜圧電体は、電圧が印加されることによって伸縮する構成であり、該薄膜圧電体が収縮することによって前記支持基板部を反った状態に変形させる、請求項1記載のディスク装置のヘッド支持機構。
- 回転駆動されるディスクに対して少なくともデータの再生を行うヘッドが設けられたスライダと、
該スライダを一方の端部上に支持する長板状の支持基板部と、
該支持基板部に積層状態で配置され、電圧が印加されることによって伸縮する駆動部材とを具備し、
該駆動部材が収縮することによって、該支持基板部が反った状態とされ、該支持基板部の反りによる変位方向が、該駆動部材の収縮方向に一致していることを特徴とするディスク装置のヘッド支持機構。 - 前記駆動部材が薄膜圧電体である請求項3記載のディスク装置のヘッド支持機構。
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JP (1) | JP3568029B2 (ja) |
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JP4117723B2 (ja) * | 2002-01-31 | 2008-07-16 | 富士通株式会社 | ディスクに記録再生を施すヘッドを微小移動させる機構及びそれを有するディスク装置 |
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