JP3567522B2 - ティーバッグ用原紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、茶の成分を抽出するためのティーバッグ用原紙に関する。さらに詳しく述べれば、本発明は、水溶性塩化物イオン(Cl)や吸着可能有機ハロゲン化合物(AOX)のような塩素系化合物の含有量が極めて少なく、塩素系漂白剤の使用なしに得られた白色度の高い麻パルプ繊維を主体として構成されるティーバッグ用原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
ティーバッグとは、紅茶、緑茶、ウーロン茶等の茶葉を詰め込むための薄葉紙からなる小袋のことをいい、茶葉が詰め込まれた小袋は、カップ、湯呑茶碗或いはやかんの中で沸騰水或いは高温水のような熱湯に浸漬することにより茶の成分を抽出することができ、使用後不要になれば内容物を含んだまま廃棄すればよいため、その取扱の簡便性が消費者に受け、家庭、職場、ホテル等においてますます需要が伸びている。
【0003】
紅茶、緑茶等のためのティーバッグで国内で普及しているものは、二つ折りで底部がガゼット折りになっているダブルチャンバーバッグと呼ばれているティーバッグである。このティーバッグに茶葉を詰め込む作業は、まずティーバッグ用原紙の上に、茶葉を約2グラムづつ2箇所に落し、次いでその原紙を回転する2個のクリンピングギヤーを通過させることにより、紙がギヤーシールによって綴じ合わされ、二つ折りにすると同時に底部がW型のガゼット折りに形成され、その後フィルターバッグの上部を折込み、糸とタッグを取り付け、さらにエンベロープ(外封袋)に包まれてティーバッグの姿になる。
【0004】
このダブルチャンバーバッグは、機械的なクリンピングによって袋形状とされ、熱シールを一切使わないため、熱融着フィルム又は繊維を使用しなくてよく、そのため茶の香りを損なわないという利点がある。このクリンプタイプのティーバッグ用原紙に要求される品質としては次のような項目を挙げることができる。
熱湯につよいこと、
茶の香気を損なうような成分を含有せず、異臭がないこと、
クリンピングギヤーによる綴じ合わせに適し、折曲げが容易、カット性がよい等の加工適性があること、
茶の成分の抽出速度(濾過速度)が早いこと、
湯(或いは水)切れがよいこと。
【0005】
前記の要求品質に応じて従来からティーバッグ用原紙には高い濾過性と、乾燥時と湿潤時における高い強度が要求されている。そしてこのような品質を満足するためには嵩高である必要があり、高い強度を得るには高密度の方が有利である。従って、ティーバッグ用原紙を製造する際には、このように相反する性能を兼ね備えたパルプ繊維を選択する必要がある。以上の観点から、ティーバッグ用原紙のためのパルプ繊維をみてみると、木材からのパルプ繊維は、例えば周知のクラフト蒸解法やソーダ蒸解法でパルプ化された化学パルプは、材種によって特性が大幅に異なり、嵩の出易い低密度が得られる材からのパルプは、強度が弱く、高い強度が得られるパルプは高い密度を伴い濾過性が不足するのでティーバッグ用原紙の原料繊維として不適である。これに対して、非木材繊維の一つであるマニラ麻パルプ繊維は、木材パルプ繊維より繊維が長く、剛直であるため強度が優れているほか嵩高いため、濾過性をはじめとするフィルターに必要な特性を備えている。しかしながら、マニラ麻パルプ単独では前記原紙とした時に乾燥および湿潤時の強度ともに不足するため、様々な補助薬品をパルプスラリーに添加して抄紙したり、或いは抄紙後に得られる原紙を薬品で処理して強度の不足を補っているのが実状である。
【0006】
特公昭43−30005号公報には、セルロースパルプからなる繊維ウエブを、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na−CMC)のような水溶性高分子化合物とポリアミドエピクロルヒドリンのような陽イオンアルカリ性硬化樹脂のアルカリ性水溶液で処理した後、次いで酸処理することにより高い湿潤強度を有する繊維ウエブの製造方法が開示されている。しかしながら、この方法によるティーバッグ用薄葉紙は湿潤強度、特にアルカリ性液での湿潤強度が低く、アルカリ性の薬草茶のためのティーバッグには不適であった。この問題点を解決するために、特公昭63−38480号公報には、ポリアミドエピクロルヒドリンのような熱硬化性カチオン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースのような非ビスコース塗膜形成要素及びポリエチレンイミンのようなポリアルキレンイミンの3種類の処理剤を特定の割合で紙のスラリー中に添加して抄紙し、或いは抄紙後の紙に含浸させることによる吸水性と耐アルカリ性の良好な紙の製造方法が開示されている。
【0007】
又、米国特許第2,698,793号明細書には、疎水性サイジング剤とアルキレンイミン樹脂を添加して用いる方法が開示されているが、この方法では得られる紙に撥水性が生じ、吸水性も低下してしまうのでティーバッグ用には不適であるという欠点がある。いずれにしても、前記の方法は、テイーバッグ用原紙として通気性を維持しつつ湿潤強度を高めることを重要技術課題としたものであり、用いる原料パルプ或いは薬品中の塩素系化合物の含有量については何等配慮されたものではなかった。
【0008】
一方、近年、地球環境保護の面から、工場排水中のダイオキシン量の削減が注目されており、この一貫として紙パルプ工業では、ダイオキシンの分析が複雑なため、その代替として製紙工場より排出される製紙排水中に含有される吸着可能有機ハロゲン化合物(AOX)の量が規制される方向にあり、さらには有機塩素系化合物を含まないパルプの製造方法が脚光を浴びてきている。このような背景で、原料パルプを製造する側においても種々の対応策が採られ始めている。即ち、製紙工場において漂白パルプを製造する際に、有機塩素系化合物が発生するのは未漂白パルプを塩素系漂白剤を用いる多段漂白シーケンスの予備漂白段階で、塩素を使用することによるところが大きいことから、塩素系漂白剤のうち塩素を二酸化塩素で置き換える方法(ECF)の採用、塩素系漂白剤を全く使用しないで酸素、オゾン、過酸化水素等の酸素系漂白剤のみを用いた漂白方法(TCF)への転換が検討されている。
【0009】
しかしながら、前記ECFやTCFによるパルプの漂白方法は、現在のところ北米や北欧において実施されているに過ぎず、わが国では実機操業できる段階までに至っていないのが実状であり、それに代えて蒸解法で従来より一層脱リグニンを進めておいて、塩素系漂白剤を用いる多段漂白シーケンスの前に酸素漂白を設けてパルプのカッパー価を減少させ、次いで塩素あるいは塩素系漂白剤の使用量を減少させて漂白するという方法が主流を占めている。一方、このような現状を踏まえてティーバッグ用パルプ繊維としては、パルプが公知のクラフト蒸解法で得られたいわゆるクラフトパルプを未漂白で用いると、パルプ中に含有されるリグニンに起因してパルプは褐色乃至茶色を呈しており、この原料パルプの色がそのまま抄紙した後も発現するので、そのような色を呈したままのティーバッグ用薄葉紙がティーバッグに用いられた場合、茶葉から熱湯により茶の成分を抽出する際、茶の香りや味を損なう恐れがある。
【0010】
これに対し、非木材繊維である麻は、木材よりリグニン含有量が少なく、セルロースやペントザンの含有量が多いので、易蒸解性である上にパルプ収率も高い。従って、麻の蒸解法は木材を蒸解するために周知のクラフト蒸解法よりソーダ蒸解法、とりわけ苛性ソーダ蒸解法が好適に用いられる。しかしながら、ソーダ蒸解法によるパルプは白色度が低く、塩素系以外の漂白剤は勿論、漂白力の強い塩素系漂白剤を一段で漂白してもパルプの品質を損なうことなく、ハンター白色度を70%以上とすることに困難を伴うという欠点がある。これに対し、亜硫酸ソーダ(サルファイト)法、とりわけ中性亜硫酸ソーダ(中性サルファイト)法では、原麻を蒸解した後の粗パルプは比較的白色度が高く(ハンターは白色度で60〜80%)、従って公知の塩素系漂白剤を用いた漂白は必要とせず、通常塩素系漂白剤による一段の漂白もしくは漂白無しで使用できる。通常、一段漂白の場合、アルカリ性のもとで次亜塩素酸ソーダが頻繁に使用される。しかしながら、次亜塩素酸ソーダによる漂白の場合、それ自体が塩素化合物であるから漂白後のパルプにはどうしても水溶性塩化物が増加してしまい、そのようなパルプを原料としてティーバッグ用原紙を製造すると原紙には多量の水溶性塩化物イオンや吸着可能性有機ハロゲン化合物(AOX)が含有されるという欠点がある。さらに、そのほかに水溶性塩化物イオンやAOXの含有量を増加させることなく湿潤時の強度が顕著に改善されたティーバッグ用原紙の具現化も望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、麻パルプを用いてティーバッグ用原紙を製造する際に、塩素化合物の含有量が少なく、従って水中に溶出する水溶性塩化物イオン(Cl)やAOXの量が少なく、白色度が高く、しかも濾過性や湿潤強度をはじめとする各種の要求品質を満足する条件について鋭意検討した結果、原麻の蒸解法として中性亜硫酸ソーダ(Na2SO3 +NaOH)蒸解法を採用すると、塩素系漂白剤を用いなくとも、水と接触したときに溶出する水溶性塩化物イオン(Cl)の量が少なく、しかも吸着可能有機ハロゲン化合物(AOX)も少なくて、白色度の高いティーバッグ用原紙が得られること、さらに湿潤強度に優れたものを得るために塩素含有量が少なく、加熱処理後に適度の被膜形成能を有するカルボキシメチルセルロースに着眼し、鋭意検討した結果、特定の範囲のカチオン性のアルカリ性熱硬化樹脂とカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩とを一緒に用いることによって前記原紙の湿潤強度の顕著な改善が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の目的は、塩素系漂白薬品を全く使用しないで、高い白色度を有し、水溶性化合物イオン(Cl)と吸着可能有機ハロゲン化合物の含有量が極めて少ない麻パルプ繊維を主体として構成されるティーバッグ用原紙、及びさらに湿潤強度が顕著に改善されたティーバッグ用原紙を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、麻パルプを主体として構成されるティーバッグ用原紙であって、該麻パルプが、亜硫酸ソーダで蒸解され、塩素系漂白薬品による漂白処理がなされておらず、JIS P 8144及びJIS K 0101による水溶性塩化物イオン(Cl)の含有量が45ppm以下で、JIS P 8123によるハンター白色度が70%以上であり、かつ原紙中に絶乾全重量当り60重量%以上含有されることを特徴とするティーバッグ用原紙である。本発明の第二は、湿潤強度剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂とカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩とを含有することを特徴とする請求項1記載のティーバッグ用原紙である。
【0013】
本発明において麻パルプを主体として構成されるティーバッグ用原紙とは、麻パルプを絶乾ベースで全パルプ繊維当り60重量%以上含有してなるティーバッグ用原紙のことをいう。本発明のために用いられるパルプは、塩素系漂白剤では漂白されていないもので、パルプの白色度が高いもの、好ましくはハンター白色度が70%〜85%で、中性亜硫酸ソーダで蒸解された麻パルプ、他の靱皮繊維及び針葉樹木材をクラフト蒸解された化学パルプ等が挙げられ、前記したように麻パルプを主体に他のパルプが混合して用いられる。前記麻パルプを得るための原麻としては、マニラ麻、大麻、亜麻、黄麻、サイザル麻等を挙げることができるが、原麻の入手の容易さ、品質の均一性、価格等を考慮すると国際市場性のあるフィリピン産、エクアドル産等のマニラ麻が好適に使用できる。麻パルプの他にもコウゾ、ミツマタ等の靱皮繊維も用いることができる。
【0014】
原麻の蒸解は、地球釜のように蒸解中に回転が可能な圧力容器で亜硫酸ソーダをNa2SO3として原麻絶乾重量当り15〜27重量%、好ましくは17〜19重量%)および苛性ソーダをNaOHとして原麻絶乾重量当り1〜12重量%、好ましくは1〜5重量%添加し、温度140〜175℃、保持時間60〜180分で行なわれる。蒸解が進むと廃液は酸性側になるため、前記のように予めアルカリが添加されて廃液の中和が行われる。これらの範囲をはずれた条件では、所望の特性を有するパルプが得られない、或いは不経済となるので適さない。蒸解が終了した麻パルプは、公知の洗浄装置で洗浄が行なわれ、パルプから廃液が除去され、さらに公知の粗選、精選装置で未蒸解物(ノット)、結束繊維、異物(砂、チリ等)を除去した後、精選パルプは漂白を施すことなくそのままで或いは酸素系漂白剤や還元性漂白剤のごとくいずれも塩素系漂白剤を含有しない漂白剤で所望の白色度に一段で漂白した後、抄紙原料のために用いられる。
【0015】
本発明のティーバッグ用原紙は、前記麻パルプ単独で、他の靱皮繊維と混合されて、或いは該麻パルプに塩素系漂白剤を用いない漂白(TCF)法で得られた木材パルプが混合され、麻パルプの全パルプ繊維当りの含有量が絶乾ベースで60重量%以上で用いられる。麻パルプの含有量が60重量%未満では、麻パルプの有する特性が損なわれ、ティーバッグ用原紙としての濾過性、加工適性等が発現しなくなるので適さない。この麻パルプを主体とするパルプ繊維を原料として、さらに湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂を添加して公知の湿式抄紙機で抄紙してティーバッグ用原紙が得られる。しかしながら、このような原紙を用いて小袋に形成し、ティーバッグとされ、これに茶葉を詰め込み、さらに茶葉を詰め込まれた小袋を容器にいれ、熱湯を注いで茶の成分を抽出する際に、熱湯に対する袋の強度(湿潤強度)をさらに十分なものとするため、本発明では湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂の他に塩素系化合物を殆ど含まないカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩を併用して、前記原紙の湿潤強度を補強するのが好ましい。即ち、ティーバッグ用原紙として必要な湿潤強度が、単に熱湯の中で小袋を静置した時の強度だけではなく、熱湯中で揺らしたり、またスプーンに接触したり、スプーンに押し付けられたりした時にも耐えるだけの強度を必要とする場合には前記の補強方法が有効である。
【0016】
前記ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は、湿潤強度増強剤として公知のメラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、グリオキザール、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンイミン等の中からパルプ繊維に容易に定着するカチオン基を有し、しかもホルマリンを含まないという点で本発明ために好適に用いられる。しかしながら、この湿潤強度増強剤には製造時の副生成物としてDCH(ジクロルヒドリン)のような低分子量の有機塩素化合物が通常含有されるので、本発明で使用するポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は、エポキシ化する際、ポリアミンに対してのエピクロルヒドリンのモル比を少なくし、樹脂製造時の未反応エピクロルヒドリンやDCHのような副生成物を少なくしたものを使用するとかの配慮が望ましい。本発明の添加量範囲であれば、一般のポリアミドエピクロルヒドリン樹脂であっても紙中の水溶性塩化物イオン(Cl)の量を45ppm以下及びAOXの量を1ppm以下の水準に維持できる。これらの樹脂の例としては、フィブラボン3400、1500HP(いずれもヘンケル・コーポレーション製)、スミレーツ6615(住友化学製)等を挙げることができる。
【0017】
本発明においては、前記ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は、パルプの絶乾重量当り0.2〜3重量%、好ましくは0.5%〜2重量%含有させる。含有させる方法には特に限定はないが、ティーバッグ用原紙を抄紙する際に、パルプスラリーに前記樹脂を添加し、含有させるのが操作が容易であり好ましい。前記樹脂の含有量が0.2重量%未満では、湿潤強度が十分発現せず、含有量が3重量%を越えると湿潤強度の向上は飽和に達し、経済的でない上、前記樹脂中にはハロゲン化合物が含有されているので、これに由来する紙中の水溶性塩化物イオン(Cl)の量が45ppm及びAOXの量が1ppmをオーバーしてしまう。さらに、このポリアミドエピクロルヒドリン樹脂の電荷はカチオン性であるため、3重量%以上添加すると原料パルプスラリーの電荷がプラス側に傾きすぎ、抄紙の際にシートの地合い崩れを生じ、逆に湿潤強度が低下する。
【0018】
一方、本発明者等は前記したポリアミドエピクロルヒドリン樹脂単独では湿潤強度の向上には限界があり、アニオン性の薬品を併用することによりパルプスラリーの電荷の片寄りを防ぎ、電荷を0付近に調整した状態で抄紙することによって湿潤強度の更なる向上が可能となるとの知見を得て、各種のアニオン性薬品を検討した。その結果、前記アニオン性の薬品には、カルボキシメチルセルロース、澱粉、ポリアクリルアミド等に的を絞り、高い湿潤強度の発現と低い水溶性塩化物イオンとAOXの含有量という両方を満足する薬品としてカルボキシメチルセルロースーアンモニウム(NH3ーCMC)が選択されたのである。NH3ーCMCは、セルロース、水酸化ナトリウム及びモノクロル酢酸から得られる公知のカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaーCMC)を酸処理した後、アンモニアで中和することによって得られる。
【0019】
同じCMCの中でも、NH3ーCMCに含有される全塩素含有量は、約0.1重量%であるのに対し、NaーCMCに含有される全塩素含有量は0.5〜1重量%であることからも分かるように、NH3ーCMCに含有される全塩素含有量はNaーCMCのそれの1/5〜1/10という低い水準に抑えることができる上、NH3ーCMCを含有するパルプスラリーを用いて抄紙し、得られる薄葉紙をドライヤーで乾燥する時、NH3ーCMCは、熱により分解して気化性のアンモニアと水不溶性のCMC酸(H−CMC)に変化するので、NaーCMCの場合より塩素含有量を低い水準に維持しながら、より一層高い湿潤強度をティーバッグ用原紙に付与することができる。NH3ーCMCとしては市販品(例えば、キッコレートNA(ニチリン化学社製)やセロゲンNB(第一工業製薬社製))が本発明のために使用できる。
【0020】
本発明のためのNH3ーCMCの含有量は、絶乾パルプ重量当り0.2〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%であり、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂との使用割合は、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂:NH3ーCMCが重量比で1:2〜2:1の範囲である。NH3ーCMCの含有量が0.2重量%未満では湿潤強度の発現が十分ではなく、含有量が3重量%を越えて多くなると、湿潤強度の向上は飽和状態に達し、経済的ではない。また、NH3ーCMCの使用比率がポリアミドエピクロルヒドリン樹脂の200重量%を越えて大きくなると、パルプスラリーの電位がマイナスに傾きすぎて、抄紙の際に薄葉紙の地合い崩れを生じ、逆に、含有量が前記樹脂の50重量%未満では湿潤強度の向上が不十分となるので併用の効果が得られず適さない。
【0021】
本発明のティーバッグ用原紙は、公知の円網抄紙機、短網抄紙機、傾斜式抄紙機、長網式抄紙機のいずれでも製造することができる。乾燥方式は、スルー式が一般的であるが、ヤンキー型、多筒式または他の方式でもかまわない。乾燥温度は120℃以上、好ましくは150〜180℃の範囲で、乾燥時間は15秒以上、好ましくは30秒〜2分の範囲から適宜選択して用いられる。抄紙後、ティーバッグ用原紙を乾燥する際に、前記したようにNH3−CMCは加熱によりアンモニアを放出してCMC酸(H−CMC)に変化して初めて水不溶性となり、原紙の湿潤強度が顕著に改善されるのである。従って、前記の条件より乾燥温度が低く、また乾燥時間が短すぎても所望の湿潤強度は得られないし、逆に前記の条件より乾燥温度が高く、また乾燥時間が長いと紙、とりわけセルロースが熱的な損傷を受けるとか、焦げる等の問題が発生し易くなり、不経済でもある。それ故、抄紙後の前記原紙の乾燥のためには高温の熱風を吹き付けるタイプのスルー式乾燥法方式が好適である。
【0022】
本発明のティーバッグ用原紙に前記の湿潤強度増強剤のような薬品を含有させる方法は、公知の抄紙工程のミキシングタンク、ミキシングボックス等においてパルプスラリー中に、薬品を添加するのが好ましい。薬品の添加順序には特に制限はないが、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂を先に添加し、次いでNH3−CMCを添加するのが好ましい。パルプは、ポーラスな紙を抄造するため、未叩解(フリーネス650〜750mlCSF)で使用されるのが好ましいが、用途によっては、叩解により結合強度が増加するので、フリーネスを500mlCSFまで低下させたパルプ全部あるいは一部を用いても良い。米坪量は所望するティーバッグの用途に応じて10〜30g/m2の範囲内で適宜選択されて用いられるが、特に12〜20g/m2の範囲が好ましい。
【0023】
本発明によるティーバッグ用原紙は、以上詳細に説明したように、亜硫酸ソーダで蒸解され、塩素系漂白薬品による漂白がなされていない麻パルプ繊維を絶乾重量当り60重量%以上含有するパルプ繊維を原料として製造されているので、麻パルプの有する嵩高で通気性の優れた特性をそのまま付与されており、白色度が高く、しかも水溶性塩化物イオン(Cl)や吸着性の有機ハロゲン化合物(AOX)のような塩素系化合物が極めて少ないという特徴を有している。さらに、湿潤強度増強剤として塩素系化合物の少ないポリアミドエピクロルヒドリン樹脂とカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩とを併用して含有させることにより、前記の特徴を損なうことなく、より一層優れた湿潤強度が付与されたティーバッグ用原紙が得られる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例において%とあるのは特に断らない限り重量%を示す。
【0025】
実施例1エクアドル産マニラ麻の原麻(No.4グレード)を50〜70mmの長さに切断し、この原麻の絶乾200gを寒冷紗に詰めて4リットル固定式オートクレーブの中に入れ、亜硫酸ソーダを絶乾原麻重量当り18%(Na2SO3として)と苛性ソーダを1%(NaOHとして)添加し、液比10、昇温時間90分、最高温度170℃、最高温度保持時間90分の条件で蒸解した。得られた粗パルプを150メッシュ金網上で脱水して廃液を分離し、次いで10カット(10/1000インチスリット幅)の実験用フラットスクリーンにかけ、スクリーンを通過した精選パルプを得た。精選パルプ収率は87.0%、スクリーン残渣率は0.03%、パルプのハンター白色度は75.3%であった。このパルプ100%で、フリーネス660mlCSFに叩解し、湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:WS−570、日本PMC社製)を絶乾パルプ重量当り1.5%添加し、実験室丸型手抄マシーンにおいて米坪量14g/m2のティーバッグ用原紙を製造し、回転式ドラム乾燥機で水分含有率5.0%まで乾燥した。
【0026】
原紙の米坪量、ハンター白色度、裂断長(乾燥)、湿潤裂断長、比引裂強さ、水溶性塩化物イオン(Cl)の量及びAOX(吸着可能有機ハロゲン化合物)量を測定した。用いた試験法は次の通り。
試験法
(1)米坪量JIS P 8124により測定した。
(2)ハンター白色度JIS P 8123により測定した。
(3)裂断長(乾燥)
JIS P 8113により引張り強度を測定し、得られた破断時の荷重指示値(kgf)を試験片の幅と米坪量を掛け合わせて得られる値で除し、1000倍して求めた。
裂断長(km)={破断時の荷重指示値(kgf)×1000}/{試験片の幅(mm)×試験片の米坪量(g/m2)}
(4)湿潤裂断長JIS P 8135により試験片を20℃の蒸留水に浸漬し、ろ紙で過剰の水を除いた後、引張り強度を測定し、(3)と同様にして求めた。
【0027】
(5)比引裂き強さJIS P 8116により測定。エルメンドルフ引裂き強さ試験機を用いて内部引裂き強さを求め、米坪量で除し、100倍して求めた。
(6)水溶性塩化物イオン(Cl)の量JIS P 8144により前処理し、JIS K 0101、32.1チオシアン酸水銀(II)吸光光度法により塩化物イオンを測定した。
(7)AOX(吸着可能有機ハロゲン化合物)の量試料絶乾10gに対し、蒸留水を30分間沸騰させて精製した蒸留精製水を1リットル添加し、80℃で2時間撹拌機で撹拌しながら抽出した。抽出液を濾過し、繊維分を除去した後、抽出液中の塩素を吸着装置で活性炭に吸着させ、全有機ハロゲン分析装置(TOX−10Σ型、三菱化成社製)を用いてAOXの量を測定した。一方、試料を入れないで同一の操作を行って得られた抽出液の分析値をブランクとし、試料を用いた分析値を補正した。
【0028】
実施例2実施例1で製造した精選済の麻パルプをポリエチレン製の袋に入れ、亜ニチオン酸ソーダ(Na2S2O4)を絶乾パルプ重量当り1%添加し、パルプ濃度3%で温度40度の恒温槽に入れ、手揉みで内容物を攪拌しながら30分間漂白し、漂白済の麻パルプを水洗浄し、脱水した。パルプのハンター白色度は78.3%であった。このパルプを用いて実施例1と同様にして米坪量が14g/m2のティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0029】
実施例3実施例1で製造した精選済の麻パルプをポリエチレン製の袋に入れ、過酸化水素(H22として)、苛性ソーダ(NaOHとして)、珪酸ソーダ(Na2SiO3として)を絶乾パルプ重量当りそれぞれ0.5%、0.5%、1.0%添加し、パルプ濃度10%で温度70℃の恒温槽に入れ、120分間静置、漂白し、得られた漂白済の麻パルプを水洗浄、脱水した。パルプのハンター白色度は78.8%であった。このパルプを用いて実施例1と同様にして米坪量が14g/m2のティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0030】
実施例4エクアドル産マニラ麻の原麻(No.4グレード)を100mmの長さに切断し、14m3容量の地球釜に絶乾700kg追い詰めしながら投入し、これに亜硫酸ソーダを絶乾原麻重量当り20%(Na2SO3として)と苛性ソーダを1.2%(NaOHとして)添加し、液比7.5、昇温時間90分、最高温度160℃、最高温度保持時間90分、原麻の詰込みから蒸解完了まで0.9rpmで釜を回転させながら蒸解した。得られた蒸解済の粗パルプをブロータンクへ排出し、傾斜型のドレーナーを経てバルブレスフィルターで洗浄脱液し、次いで10カット(10/1000インチ幅)の回転式スリットスクリーン、過流式スクリーンにかけ、スクリーンを通過した精選パルプを得た。パルプのハンター白色度は77.9%であった。得られたパルプを用いて円網抄紙機で12g/m2の米坪量のティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0031】
比較例1エクアドル産マニラ麻の原麻(No.4グレード)を50〜70mmの長さに切断し、この原麻の絶乾200gを4リットル固定式オートクレーブの中に入れ、苛性ソーダを絶乾原麻重量当り15%(NaOHとして)添加し、液比7.5、昇温時間90分、最高温度160℃、最高温度保持時間90分の条件で蒸解した。得られた粗パルプを150メッシュ金網上で脱水して廃液を分離し、次いで10カット(10/1000インチスリット幅)の実験用フラットスクリーンにかけ、スクリーンを通過した精選パルプを得た。パルプのハンター白色度は50.1%であった。
【0032】
得られた精選済の麻パルプをポリエチレン製の袋に入れ、次亜塩素酸ソーダをを絶乾パルプ重量当り1%(NaClOとして)と苛性ソーダを0.15%(NaOHとして)添加し、パルプ濃度3%で温度40度の恒温槽に入れ、120分間静置し漂白した。得られた漂白済の麻パルプを水洗浄、脱水した。パルプの白色度は68.4%であった。このパルプを用いて実施例1と同様にして米坪量が14g/m2のティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0033】
比較例2蒸解薬品として苛性ソーダをマニラ麻の原麻絶乾重量当り17%(NaOHとして)使用した以外は、実施例4と同様にして蒸解、洗浄、精選してパルプを製造し(パルプの白色度50.3%)、得られたパルプに次亜塩素酸ソーダをパルプ絶乾重量当り1.7%(NaClOとして)を添加し、ビーターにおいて無負荷で回流させながらパルプ濃度3%、温度40℃、時間45分の条件で漂白し、得られた漂白済の麻パルプを水洗浄、脱水した。パルプのハンター白色度は73.1%であった。このパルプを用いて実施例4と同様にして米坪量が12g/m2のティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0034】
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
Figure 0003567522
【0036】
実施例5実施例1で得られた精選麻パルプ(ハンター白色度75.3%)100%でフリーネス650mlCSFに叩解し、湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:フィブラボン1500HP、ヘンケル・コーポレーション社製)及びカルボキシメチルセルロースアンモニウム(商品名:キッコレートNA−L、ニチリン化学社製)をそれぞれ絶乾パルプ重量当り1.0%づつ添加し、実験用角型手抄きシートマシンにおいて米坪量13g/m2ティーバッグ用原紙を製造し、回転式ドラム乾燥機で水分含有率5.0%まで乾燥した。得られた原紙を実施例1と同様にして測定し、その品質を評価した。
【0037】
実施例6湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(フィブラボン1500HP)を絶乾パルプ重量当り1%及びカルボキシメチルセルロースアンモニウム(キッコレートNA−L)を2%添加したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0038】
実施例7湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(フィブラボン1500HP)を絶乾パルプ重量当り0.5%及びカルボキシメチルセルロースアンモニウム(キッコレートNAーL)を0.3%添加したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0039】
実施例8湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:スミレーツ6615、住友化学社製)及びカルボキシメチルセルロースアンモニウム(商品名:セロゲンNB、第一工業製薬社製)を絶乾パルプ重量当りそれぞれ0.5%づつ添加したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0040】
実施例9湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:WS−570、日本PMC社製)を絶乾パルプ重量当り0.5%及びカルボキシメチルセルロースアンモニウム(商品名:セロゲンNB、第一工業製薬社製)を1.0%添加したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0041】
実施例10実施例1で得られた精選麻パルプ(ハンター白色度75.3%)70%とTCF法で漂白されたN−BKP(ハンター白色度80.8%、商品名:HS−600、カナダ国ハウサンド社製)30%を混合し、フリーネス650mlCSFに混合叩解したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0042】
比較例3湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:WS−570、日本CMC社製)を絶乾パルプ重量当り1.0%とカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaーCMC、商品名:セロゲンWSC、第一工業製薬社製)を1.0%添加したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その紙質を評価した。
【0043】
比較例4比較例1で得られた漂白済みのソーダ法からの麻パルプ(ハンター白色度68.4%)100%を用いて、このパルプをフリーネス650mlCSFに叩解し、湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(商品名:WSー570、日本PMC社製)を絶乾パルプ重量当り1.0%とカルボキシメチルセルロースナトリウム(商品名:セロゲンWSC、第一工業製薬社製)を1.0%添加したこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0044】
比較例5比較例1で得られた漂白済みのソーダ法からの麻パルプ(ハンター白色度68.4%)100%をフリーネス650mlCSFに叩解して用いたこと以外は、実施例5と同様にしてティーバッグ用原紙を製造し、その品質を評価した。
【0045】
実施例5〜10及び比較例3〜5で得られた結果を表2に示した。
【0046】
【表2】
Figure 0003567522
【0047】
表1から分かるように、本発明のティーバッグ用原紙は漂白なしで、或いは塩素系漂白薬品によらない漂白剤で一段漂白して、ハンター白色度が高く、水溶性塩化物イオン(Cl)が30〜45ppm、有機ハロゲン化合物(AOX)が1ppm以下のように極めて低く、強度に優れたものであった(実施例1〜4)。これに対し、苛性ソーダ蒸解した麻パルプを使用すると、蒸解のみではパルプの白色度が低いためそのままでティーバッグ用原紙には使用できず、パルプの白色度は蒸解薬品の添加量を増やしてもあまり改善できなかった。更に、これらのパルプに塩素系漂白剤として次亜塩素酸ソーダを用いて漂白してもパルプのハンター白色度は顕著には改善できなかった。苛性ソーダには塩素が含有されており、得られるパルプの水溶性塩化物イオン(Cl)の量及びAOXの量も極めて高い水準であり、したがって、苛性ソーダは、食品用紙製品の原料としてのパルプを製造する蒸解薬品としては不適であった(比較例1及び2)。
【0048】
又、表2から分るように、中性亜硫酸ソーダで蒸解し、漂白を施していない麻パルプを主体とする原料に、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂とカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩を添加して抄造した本発明のティーバッグ用原紙は、白色度が高く水溶性塩化物イオン(Cl)の量と有機ハロゲン化合物(A0X)の量が極めて少ない上、湿潤強度(裂断長)が高い(実施例5〜10)。これに対し、中性亜硫酸蒸解し、漂白を施していない麻パルプを抄紙原料とし湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂とカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na−CMC)とを併用すると、湿潤強度はやや低い水準といえる程度まで改善されるが、Na−CMCに随伴して塩素化合物が持ち込まれるため原紙の水溶性塩化物イオン(Cl)とAOXの量が高くなる(比較例3)。
【0049】
これに対し、苛性ソーダで蒸解して得られた麻パルプの白色度は低く、そのままではティーバッグ用薄葉紙の原料として使用できないため、次亜塩素酸ソーダを用いて1段漂白を行いパルプの白色度を高くし、このパルプを原料とし、湿潤強度剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂とカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(NaーCMC)とを併用した場合(比較例4)、紙の強度(裂断長(乾紙)と湿潤裂断長)は低く、当然のことながら水溶性塩化物イオン(Cl)と有機ハロゲン化合物(AOX)の量が極めて多い。ソーダ麻パルプを次亜塩素酸塩漂白した場合は、湿潤強度増強剤として塩素化合物を殆ど含まないカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩(NH3ーCMC)を用いても(比較例5)、水溶性塩化物イオン(Cl)とAOXの量が若干減少する程度で、湿潤強度は低い。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したごとく、本発明は、湿潤時の引張り強度と白色度が高く、水溶性塩化物イオン(Cl)や吸着性有機ハロゲン化合物(AOX)で示される塩素化合物の量が極めて低いので、食品衛生上好ましい使い捨て茶袋に好適なティーバッグ用原紙を提供するという効果を奏する。

Claims (1)

  1. 麻パルプを主体として構成されるティーバッグ用原紙であって、該麻パルプが、亜硫酸ソーダで蒸解され、塩素系漂白薬品による漂白処理がなされておらず、JIS P 8144及びJIS K 0101による水溶性塩化物イオン(Cl-)の含有量が45ppm以下で、かつ原紙中に絶乾全重量当たり60重量%以上含有され、湿潤強度増強剤としてポリアミドエピクロルヒドリン樹脂とカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩とを含有することを特徴とするティーバッグ用原紙。
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