JP3566270B2 - 下水道菅の埋設施工検査方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、所定場所に予め埋設設置した一対のマンホール間に、複数の下水道菅を埋設して連結して下水道を形成し、この下水道について複数ある下水道菅の位置(傾斜および蛇行程度等)が当初の設計の許容範囲内かどうかの適否を測定する下水道菅の埋設施工の完成検査や内部の経年変化の程度検査に関する方法およびそれに使用する装置に係るものである。
【0002】
【従来技術】
従来の下水道菅の検査は、上手側のマンホールと下手側のマンホールの間の一方から他方に光を投射させたり、あるいは水を流して、「通じて」いるか否か検査するという大雑把なものであった。
近年では、公知公報の番号は不知であるが、下水道菅内にカメラを有する測定機を挿入して移動させ、この測定機が撮影した映像によって施工検査を行う方法も実現し、公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知例のうち単なる光の投射や水を流す方法では、「通じて」いるかどうかのみの判定に留まり、正確な判定は困難であった。
また、下水道菅内を撮影する方法では、変形や接続不良といった具体的な不具合の発見は可能であるが、勾配や蛇行の程度を判断するのは極めて困難であり、検査結果に客観性が乏しいという課題がある。
本願は、下水道菅の勾配や蛇行の程度の検査結果の客観性を向上させつつ、個別具体的な施工の適否判断できるようにしたものである。
【0004】
【発明の目的】
下水道菅の施工の適否の客観性を向上、下水道菅の施工検査結果の数値化と個別具体的施工適否判定の両立、下水道菅の施工や経年変化等の検査の容易化。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定位置に予め埋設設置した一対のマンホール2間を、人が入れない直径の複数の下水道菅1を連結して埋設することで下水道3を形成し、測定機15による検査前に、前記一対のマンホール2のうちの上手側のマンホール2の排水口4より所定量の水を流し、前記上手側のマンホール2の排水口4の中心に光ビーム12を発光しうる発光器11を設置し、前記上手側の排水口4の中心から下手側のマンホール2の流入口5の中心に向かって前記光ビーム12を照射し、該光ビーム12を受光するカメラヘッド18の受光部26が前記下手側のマンホール2の流入口5の中心となるように設定した測定機15を前記複数の下水道菅1内を自走させ、前記カメラヘッド18により下水道菅1内を撮影した映像とともに受光した光ビーム12をビーム光点Bとしてモニタ27の画面に表示し、該モニタ27の画面には「+」形状の座標基準軸表示32を表示し、前記測定機15の走行中の複数地点で受光した光ビーム12の夫々の位置を位置検出処理部33によりビーム光点Bとして2次元座標の検出値にして記憶し、各測定地点でのビーム光点Bの2次元座標を比較して下水道菅1の傾斜および/または蛇行具合を測定すると共に、測定機15を下水道菅1内に自走させて得た映像による下水道菅1内に生じる水の溜り具合および前記光ビーム12のビーム光点Bの座標検出値を総合的に検討して傾斜や蛇行具合を判定する下水道菅の埋設施工検査方法としたものである。
本発明は、前記受光部26と前記モニタ27の間に、光量その他の条件により光ビーム12以外の反射光等を除去する画像処理手段37を設け、モニタ27に下水道菅1内の映像およびビーム光点Bのみを表示するように構成した下水道菅の埋設施工検査方法としたものである。
本発明は、前記カメラヘッド18は、前記下水道菅1の継ぎ目部分にて、下水道菅1の流路10の円周方向に回転させて、前記下水道菅1の継ぎ目を全周に亘って撮影する下水道菅の埋設施工検査方法としたものである。
【0006】
【実施例】
本発明の方法を実施する装置の実施例の図面により以下説明する。
まず、下水道菅1の埋設について一例を説明すると、下水道菅1はヒューム管あるいは硬質塩化ビニル等の樹脂管により15m程度の長さで形成されるが、特に、変形や沈下が多い樹脂管の下水道菅1の施工検査に対して有利である。
下水道菅1の設置予定場所の所定位置には予めマンホール2を埋設設置する。マンホール2は下水道3の上手側と下手側に一対設けて一組とし、この一組の上手側のマンホール2の排水口4から下手側のマンホール2の流入口5に向かって地面を切削して切削溝6を掘り、上手側マンホール2の排水口4に下水道菅1の一端7を接続し、この下水道菅1を切削溝6の底上に載置した状態で芯出し、この下水道菅1を上手側とし、この上手側の下水道菅1の他端8に対して下手側の下水道菅1を切削溝6の底上に載置した状態で一端7を接続して芯出し、これを反復して下手側のマンホール2の流入口5に最も下手側となる下水道菅1の他端8を接続する。このようにして、一対のマンホール2の排水口4とマンホール2の流入口5との間を複数の下水道菅1により接続することで一組のマンホール2の接続が終了して下水道3の一部を形成し、各所定位置に配置された各組の各マンホール2の夫々を接続する作業を反復して下水道菅1の埋設作業を行う。
【0007】
しかして、前記マンホール2とマンホール2の間に設けた下水道菅1は、上手側の下水道菅1から下手側の下水道菅1に向かって下水道菅1内の流路10が低くなるように傾斜させるが、下水道菅1の下方の地盤の固さや下水道菅1を埋設させる前の地盤鎮圧の作業のばらつき等の原因により、下手側の下水道菅1が高くなることがあり、特に、下水道菅1の一端7または他端8の一方が上から押され手沈むと他方がシーソーのように上がって、図9のようにジグザグとなって、その結果流路10の一部が規定の傾斜になっていなかったり、あるいは、逆勾配となることさえある。
【0008】
そこで、上手側のマンホール2の排水口4の中心から下手側のマンホール2の流入口5の中心に向かって発光器11により光ビーム12を照射し、この光ビーム12を受光して測定する測定機15を流入口5から排水口4に向けて下水道菅1内を自走させ、各下水道菅1の位置を測定機15により検出して、下水道菅1の勾配や蛇行(左右の位置ずれ)の程度を測定検査する。
【0009】
この測定方法で使用される測定機15は、下水道菅1の内径より小さく正面視の大きさに形成した車体16の両側に複数車輪17を設け、車輪17の一部または全部を車体16内に設けたモータ(図示省略)により駆動させて下水道菅1内を自走するように構成する。
【0010】
車体16の走行方向の前側にはカメラヘッド18を設ける。カメラヘッド18は車体16に取付けたアーム19に取付軸20を介して回動自在に取付け、アーム19は車体16に対して回転する回転部21に取付け、流路10の軸心方向と平行方向の下水道菅1内を撮影可能にすると共に、カメラヘッド18は流路10内の円周方向にも回転可能に構成し、各下水道菅1の継ぎ目部分の撮影が可能になるように構成している。前記カメラヘッド18および回転部21は任意の駆動源により遠隔操作可能に構成すると、操作性が向上して好適であり、実施例では図示は省略するが小型電動モータを設けている。
【0011】
22はケーブルであり、車体16のコネクタ23に接続し、所望位置に設けた電源から電力を車体16に供給する。
前記カメラヘッド18は、通常のビデオ撮影を行えるビデオカメラに準じたものであればよく、その構成は任意であり、一例を示すと、前側部分に受光レンズ24を設け、該受光レンズ24からの透過光を受けるCCD等と呼ばれる撮像素子25を設け、受光レンズ24および撮像素子25を有する受光部26に構成し、受光部26で得られた映像信号を前記ケーブル22により任意場所に設置したモニタ27に送信して表示する。28は照明用のライトである。
【0012】
前記の場合、カメラヘッド18の受光レンズ24が下水道菅1の中心を移動するように構成する。実施例では、車体16に対して車輪17は左右に移動自在に設け、左右の車輪17の幅を変更することで受光レンズ24が下水道菅1の中心に位置させているが(図3)、他の構成でもよい。
図6〜図8はモニタ27の画面表示の形態を示し、29は距離表示、30は下水道菅1の登録番号である。
【0013】
この場合、カメラヘッド18による映像はモニタ27において通常のモニタ画像として表示され、人間が入れない下水道菅1内を目視により認識確認でき、また、モニタ27には座標基準軸表示回路部31により「+」形状の表示信号を出力し、モニタ27の画面内に座標基準軸表示32を表示するようにすると(図7)、下水道菅1の変形を容易に認識できて好適である。
【0014】
しかして、前記発光器11による光ビーム12は、カメラヘッド18の受光部26で受光されて、モニタ27の画面にビーム光点Bとして表示されるように構成する。
即ち、発光器11からの光ビーム12をカメラヘッド18により受光してモニタ27にビーム光点Bとして表示することにより、モニタ27を目視している作業者にとって直接下水道菅1のずれを認識でき、検査精度を向上させる。
【0015】
即ち、下水道菅1内の撮影映像により、下水道菅1の変形や接続不良といった具体的な不具合の発見を可能とし、一方で、モニタ27にビーム光点Bとして表示することにより、勾配や蛇行の程度を客観的に表示して、検査結果に客観性を付与するのである。
【0016】
還元すると、単にモニタ27にビーム光点Bとして表示しても、下水道菅1の変形や接続不良といった個別具体的な不具合の発見は困難であり、下水道菅1内の撮影映像のみでは勾配や蛇行の程度を客観的に表示できないが、前記構成により個別具体的な不具合の発見と勾配や蛇行の程度の客観性とを両立させられる。
【0017】
そのため、前記発光器11は、直進性の高いレーザー光を光ビーム12として発光し、この光ビーム12がモニタ27の画面にビーム光点Bとして表示されるようにすればよく、構成は任意であるが、一例を示すと、可視光線で、レーザー出力:約1mmw以下、レーザー波長:532nm、ビーム径:約0.5〜1mm(出射口にて)、ビーム広がり角(ポインティングスタビリティー):10μradとし、出射口より約100m程度の離れた地点において約1〜2mm程度のビーム径となるようすると、光ビーム12はカメラヘッド18の受光部26により受光され、モニタ27の画面にビーム光点Bとして表示可能となって、好適である。
【0018】
更に、受光部26で得られた光ビーム12の信号は、ポジションディテクタ等の位置検出処理部33により処理することで、2次元座標として数値化するように構成し、位置検出処理部33により得られたビーム光点Bの2次元座標の検出値を記憶し、各測定地点でのビーム光点Bの2次元座標を比較して下水道菅1の傾斜を測定する。
【0019】
このようにすると、下水道菅1内の撮影映像では変形や接続不良が目視では発見できなくても、ビーム光点Bの2次元座標数値により変形や接続不良を発見することができ、検査精度を向上させられる。
【0020】
発光器11は、水準器等を有し、上手側のマンホール2内の所定位置に、上手側マンホール2の排水口4の中心から下手側のマンホール2の流入口5の中心に向けて光ビーム12を照射するように正確に設置可能に構成する。
【0021】
この状態で、測定機15を、受光部26の中心が下水道菅1の中心に位置したまま走行するようにセットし、次に、下手側のマンホール2の流入口5から上手側の流路10に向かって下水道菅1内を走行させ、カメラヘッド18は下水道菅1内を撮影すると共に、発光器11からの光ビーム12を受光部26で受光し、順次走行中の測定機15からの光ビーム12のビーム光点Bの2次元座標を記憶し、この検出値と受光部26の中心とのずれを検出して比較し、各下水道菅1の位置ずれを測定する。
【0022】
このように、下水道菅1の傾斜および蛇行具合を目視のみではなく、光ビーム12に対する2次元座標として数値化することで、施工精度が許容範囲内否かの適否を客観的に判断できる。
【0023】
また、数値化と同時に下水道菅1内を撮影することで、2次元座標数値と映像とを画面で直接対比可能となって、下水道菅1内の撮影映像では変形や接続不良が目視では発見できなくても、ビーム光点Bの2次元座標数値により変形や接続不良を発見することができ、検査精度を向上させられ、両者の相乗効果により下水道菅1の位置ずれの原因の特定も容易となり、施工検査の精度を向上させるだけでなく、その後の補修工事(やり直し工事を含む)等の事後処理を容易にする。
【0024】
しかして、前記測定機15は、詳細は後述するが、下水道菅1に所定量の水を流した後に走行させて映像を得ると水の溜り具合により下水道菅1の変形や接続不良といった具体的な不具合の発見を一層容易としつつ、勾配の適否の客観性をも確保できることになって好適であり、そのため、水を流した後の検査作業に支障がないように車体16本体およびカメラヘッド18は所定基準の防水構造に構成してあると、検査・測定の汎用性が広がって好適である。
図中、35は信号処理器、36は車体16の走行速度を検出する車速センサであり、車速センサ36により走行距離を測定して位置検出処理部33によるビーム光点Bの座標を検出記憶させる。
【0025】
また、受光部26とモニタ27の間に、光量その他の条件により光ビーム12以外の反射光等を除去する画像処理手段37を設け、モニタ27に下水道菅1内の映像およびビーム光点Bのみを表示するようにすると、好適である。
【0026】
【作用】
次に作用を述べる。
下水道菅1の設置予定場所の所定位置には予めマンホール2を埋設設置する。次に、下水道3の流路10となる上手側と下手側に一対設けたマンホール2の内の上手側のマンホール2の排水口4から下手側のマンホール2の流入口5に向かって地面を切削して切削溝6を掘る。
【0027】
次に、切削溝6底の上手側マンホール2の排水口4に下水道菅1の一端7を接続し、この下水道菅1の他端8に対して下手側の下水道菅1の一端7を接続し、これを反復して下手側のマンホール2の流入口5に最下手側の下水道菅1の他端8を接続する。このようにして、マンホール2の排水口4とマンホール2の流入口5との間を複数の下水道菅1により接続し、この下水道菅1の上に土を被せて一対のマンホール2の間の下水道菅1の埋設作業が完了し、他の所定位置に複数設けた各マンホール2間において前記下水道菅1の埋設作業を反復して下水道3の設置作業が完了する。
【0028】
しかして、下水道菅1の埋設作業が終了すると、上手側のマンホール2内の所定位置に発光器11を設置する。発光器11は上手側のマンホール2の排水口4の中心より下手側のマンホール2の流入口5の中心に向けて光ビーム12を照射するように設置する。
【0029】
この場合、直径150mmの下水道菅1ではその中心を光ビーム12が通り、光ビーム12は上下左右何れの方向にも75mm振れても下水道菅1の内周面に当たらないから、上手側の排出口4より下手側の流入口5の途中で光ビーム12が下水道菅1の内周面に当たって、測定機15による測定ができないときはそもそも、許容範囲外である。
【0030】
即ち、許容範囲の一例を示すと、設定勾配が0.3%の場合、100m先の下手側のマンホール2の流入口5は300mm下がることになり、寸法公差は管径の5%とすると上下左右何れの方向も3.75mmの振幅幅であり、途中で光ビーム12が下水道菅1の内周面に当たることはない。
【0031】
次に、下手側のマンホール2の流入口5の中心に測定機15の受光部26の受光レンズ24の中心が位置するようにセットして挿入し、測定機15のモータに通電して上手側の流路10に向けて下水道菅1内を自走させる。
【0032】
測定機15は、カメラヘッド18により下水道菅1内を撮影しつつ前進し、撮影映像をケーブル22により任意場所に設置したモニタ27に送信して表示する。
【0033】
モニタ27の画面には下水道菅1内が映像表示されているので、目視により継ぎ目の不具合の有無や下水道菅1の変形等を確認し、施工精度を判定する。
【0034】
しかして、発光器11からの光ビーム12はカメラヘッド18の受光部26で受光されて、モニタ27の画面にビーム光点Bとして表示されるように構成しているから、モニタ27のビーム光点Bの位置を見れば、継ぎ目や下水道菅1の変形等の不具合が無くても、目視により位置ずれを確認できる。
【0035】
即ち、下水道菅1内の撮影映像により、下水道菅1の変形や接続不良といった具体的な不具合の発見と、一方で、モニタ27にビーム光点Bとして表示することにより、勾配や蛇行の程度の客観的表示を同時に行える。
したがって、単なるモニタ27におけるビーム光点Bの表示ではないので、下水道菅1の変形や接続不良といった個別具体的な不具合の発見を容易にしつつ、下水道菅1内の撮影映像のみでは表示できない勾配や蛇行の程度をビーム光点Bとして表示し、個別具体的な不具合の発見と勾配や蛇行の程度の客観性とを両立させる。
【0036】
この場合、モニタ27には座標基準軸表示回路部31により「+」形状の表示信号を出力することができるから、モニタ27の画面内に「+」の座標基準軸表示32を表示すると、座標基準軸表示32の中心に対するビーム光点Bの位置を見れば、一層、下水道菅1の位置が本来の設置されるべき位置に対してどの程度ずれているかが一目瞭然となって、容易に判定可能となる。
【0037】
次に、受光部26で得られたビーム光点Bの信号は位置検出処理部33により下水道菅1(受光部26)の中心に対する2次元座標として検出されて記憶されているから、順次測定機15を前進走行させて光ビーム12のビーム光点Bの2次元座標を検出し、この検出値と下水道菅1(受光部26)の中心とのずれを検出して比較すると、本来あるべき下水道3の中心に対するずれを測定することができ、下水道菅1の傾斜および蛇行の程度を正確に数値化して測定する。
【0038】
図9は、測定機15を下水道菅1内で走行させる状態を示したものであり、理解を容易にするために各下水道菅1の傾斜勾配を省略して水平に設置すべき(適性勾配は水平と仮定)と仮定して図示しており、また、図10は、その各地点(a〜f)間のビーム光点Bの2次元座標を検出記憶したものを表したものである。
【0039】
この例では、測定機15を下手側の流入口5から(a地点)では光ビーム12は中心に位置させ、b地点まで測定機15を走行させると、ビーム光点Bの2次元座標も以前中心を表示しているので、この部分の下水道菅1の傾斜は水平(所定勾配)であることがわかる。次に、測定機15をc地点に向けて走行させると、ビーム光点Bの2次元座標は上手側の流路10に向かうに従い低くなって逆勾配であることが客観的に理解できる。同様に、c地点〜d地点間では勾配が急傾斜過ぎることがわかり、d地点〜e地点間では逆勾配であり、e地点〜f地点間では勾配が急傾斜過ぎることが理解できる。
【0040】
このように、下水道菅1の傾斜が目視のみではなく、光ビーム12に対する2次元座標として数値化することで、施工精度が許容範囲内否かの適否を客観的に判断できるだけでなく、下水道菅1内の映像と一緒に目視できるから、2次元座標検出値と下水道菅1内の映像とを同時に把握でき、目視では発見できない個別具体的な不具合いの程度も的確に判定できる。
【0041】
即ち、目視では継ぎ目に異常がなくても、光ビーム12のビーム光点Bの2次元座標の数値に異常があるときは、施工当初は不具合が発現していなくても経年変化により顕在化するような微妙な嵌め込み異常等の不具合が隠れていることがあり、このような不具合の発見が可能となる。
【0042】
しかして、前記の場合、測定機15による検査前に、上手側のマンホール2の排水口4より所定量の水を流し、その後測定機15を走行させて映像を得ると、流路10の底に生じる水の溜り具合で傾斜や蛇行具合が適性範囲かどうかの判断が容易になる。
【0043】
即ち、下水道菅1の継ぎ目では幾分沈下していると、三角状に水が溜るのでこの大きさによりある程度の勾配の適否を判定できるだけでなく、下水道菅1の接続部分の適否の判定もできる。
【0044】
この場合、受光部26とモニタ27の間に、光量その他の条件により光ビーム12以外の反射光等を除去する画像処理手段37を設けているから、下水道菅1の内面に付着した水滴にビーム12が反射しても、モニタ27に対する水滴による反射光の影響を最小限にし、水を流した後の検査において特に有効である。
【0045】
しかして、本発明の方法によれば、測定機15を下水道菅1内で自走させるので、下水道設置直後の施工完成検査、内部の経年変化の程度の検査、あるいは、下水道菅1内の洗浄作業後の検査等、種々の検査に使用でき、検査可能範囲を広くする。
【0046】
しかして、測定機15のカメラヘッド18はアーム19に対して取付軸20を中心に回動させると、流路10の円周方向にカメラヘッド18が向き、次に、アーム19ごと回転部21により車体16に対して回転させると、各下水道菅1の継ぎ目部分の撮影ができる。
【0047】
また、測定機15は車体16の両側に複数車輪17を設け、車輪17の一部または全部を車体16内に設けたモータにより駆動させて自走するように構成しているから、下水道菅1内を上手側に走行させることができ、ケーブル22がモニタ27の画面に入らず、目視を良好にし、しかも、測定機15を移動させるための作業が不要になって、作業全体を容易にする。
【0048】
また、流路10内に測定機15を挿入する際に、下水道菅1の登録番号を入力しておくと、モニタ27の画面に登録番号30を表示するから、測定機15によるビーム光点Bの2次元座標の対象となる下水道菅1を簡単に識別でき、好適である。
【0049】
また、発光器11による光ビーム12は、ビーム広がり角を10μradとし、出射口より約100m程度の離れた地点において約1〜2mm程度のビーム径となるように構成しているから、直径150mm程度の下水道菅1であっても、モニタ27の画面に正確なビーム光点Bとして表示可能となる。
【0050】
また、車体16の走行速度は車速センサ36により検出されるから、車速センサ36により走行距離を演算し、走行距離ごとの位置検出処理部33によるビーム光点Bの座標を検出記憶させられる。
【0051】
しかして、実施例では、流路10の上手側に発光器11を設置し、上手側に向けて測定機15を自走させているが、勿論、流路10の下手側に発光器11を設置し、下手側に向けて測定機15を自走させてもよい。
【0052】
【効果】
本発明は、所定位置に予め埋設設置した一対のマンホール2間を、人が入れない直径の複数の下水道菅1を連結して埋設することで下水道3を形成し、測定機15による検査前に、前記一対のマンホール2のうちの上手側のマンホール2の排水口4より所定量の水を流し、前記上手側のマンホール2の排水口4の中心に光ビーム12を発光しうる発光器11を設置し、前記上手側の排水口4の中心から下手側のマンホール2の流入口5の中心に向かって前記光ビーム12を照射し、該光ビーム12を受光するカメラヘッド18の受光部26が前記下手側のマンホール2の流入口5の中心となるように設定した測定機15を前記複数の下水道菅1内を自走させ、前記カメラヘッド18により下水道菅1内を撮影した映像とともに受光した光ビーム12をビーム光点Bとしてモニタ27の画面に表示し、該モニタ27の画面には「+」形状の座標基準軸表示32を表示し、前記測定機15の走行中の複数地点で受光した光ビーム12の夫々の位置を位置検出処理部33によりビーム光点Bとして2次元座標の検出値にして記憶し、各測定地点でのビーム光点Bの2次元座標を比較して下水道菅1の傾斜および/または蛇行具合を測定すると共に、測定機15を下水道菅1内に自走させて得た映像による下検道菅1内に生じる水の溜り具合および前記光ビーム12のビーム光点Bの座標検出値を総合的に検討して傾斜や蛇行具合を判定する下水道菅の埋設施工検査方法としたものであるから、下水道菅1内の撮影映像のみでは表示できない勾配や蛇行の程度をビーム光点Bとして表示することで、個別具体的な不具合の発見と勾配や蛇行の程度の客観性とを両立させてモニタ27の映像と2次元座標の数値とによる総合的な下水道菅の検査を容易に実現でき、下水道菅1内の映像と一緒にビーム光点Bを目視できるので同時に把握でき、目視のみでは発見できない個別具体的な不具合いの程度も的確に判定でき、また、光ビーム12に対する2次元座標として数値化することで、施工精度が許容範囲内否かの適否を客観的に判断でき、下水道菅の施工の適否判断の客観性を向上させ、また、下水道菅1内の映像に基づく目視判断精度を一層向上させ、下水道菅の施工や経年変化等の検査を容易化できる。
本発明は、前記受光部26と前記モニタ27の間に、光量その他の条件により光ビーム12以外の反射光等を除去する画像処理手段37を設け、モニタ27に下水道菅1内の映像およびビーム光点Bのみを表示するように構成した下水道菅の埋設施工検査方法としたものであるから、下水道菅1の内面に付着した水滴にビーム12が反射しても、モニタ27に対する水滴による反射光の影響を最小限にし、水を流した後の検査において有効である。
本発明は、前記カメラヘッド18は、前記下水道菅1の継ぎ目部分にて、下水道菅1の流路10の円周方向に回転させて、前記下水道菅1の継ぎ目を全周に亘って撮影する下水道菅の埋設施工検査方法としたものであるから、継ぎ目の不具合の有無や下水道菅1の変形等を確認し、施工精度を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下水道菅設置状態の一部破断斜視図。
【図2】測定機の側面図。
【図3】同正面図。
【図4】カメラヘッドを回転状態にした側面図。
【図5】施工検査装置の概略図。
【図6】モニタ画面一形態図。
【図7】座標基準軸表示をオンにしたモニタ画面一形態図。
【図8】水を流した後のモニタ画面一形態図。
【図9】測定機の走行状態説明図。
【図10】図9に該当する傾斜状態の表示図。
【符号の説明】
1…下水道菅、2…マンホール、3…下水道、4…排水口、5…流入口、6…切削溝、7…一端、8…他端、10…流路、11…発光器、12…光ビーム、15…測定機、16…車体、17…車輪、18…カメラヘッド、19…アーム、20…取付軸、21…回転部、22…ケーブル、24…受光レンズ、25…撮像素子、26…受光部、27…モニタ、29…距離表示、30…登録番号、31…座標基準軸表示回路部、32…座標基準軸表示、33…位置検出処理部、35…信号処理器、36…車速センサ、37…画像処理手段。
Claims (3)
- 所定位置に予め埋設設置した一対のマンホール2間を、人が入れない直径の複数の下水道菅1を連結して埋設することで下水道3を形成し、測定機15による検査前に、前記一対のマンホール2のうちの上手側のマンホール2の排水口4より所定量の水を流し、前記上手側のマンホール2の排水口4の中心に光ビーム12を発光しうる発光器11を設置し、前記上手側の排水口4の中心から下手側のマンホール2の流入口5の中心に向かって前記光ビーム12を照射し、該光ビーム12を受光するカメラヘッド18の受光部26が前記下手側のマンホール2の流入口5の中心となるように設定した測定機15を前記複数の下水道菅1内を自走させ、前記カメラヘッド18により下水道菅1内を撮影した映像とともに受光した光ビーム12をビーム光点Bとしてモニタ27の画面に表示し、該モニタ27の画面には「+」形状の座標基準軸表示32を表示し、前記測定機15の走行中の複数地点で受光した光ビーム12の夫々の位置を位置検出処理部33によりビーム光点Bとして2次元座標の検出値にして記憶し、各測定地点でのビーム光点Bの2次元座標を比較して下水道菅1の傾斜および/または蛇行具合を測定すると共に、測定機15を下水道菅1内に自走させて得た映像による下水道菅1内に生じる水の溜り具合および前記光ビーム12のビーム光点Bの座標検出値を総合的に検討して傾斜や蛇行具合を判定する下水道菅の埋設施工検査方法。
- 請求項1において、前記受光部26と前記モニタ27の間に、光量その他の条件により光ビーム12以外の反射光等を除去する画像処理手段37を設け、モニタ27に下水道菅1内の映像およびビーム光点Bのみを表示するように構成した下水道菅の埋設施工検査方法。
- 請求項2において、前記カメラヘッド18は、前記下水道菅1の継ぎ目部分にて、下水道菅1の流路10の円周方向に回転させて、前記下水道菅1の継ぎ目を全周に亘って撮影する下水道菅の埋設施工検査方法。
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