JP3565387B2 - 手話単語パターン辞書作成システムおよび方法 - Google Patents
手話単語パターン辞書作成システムおよび方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実際の手話動作を入力した手話データのパターンに基づき手話動作に対応する手話単語の認識を行う手話パターン認識装置で用いる手話単語パターン辞書の作成技術に係り、特に、状況や個人差による手話動作の変動にも効率良く対応して正しい認識を行うのに好適な手話単語パターン辞書作成システムおよび方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、手話の認識技術に関しては、例えば、本出願人等による特願平6−253457号公報や、「非接触による手話動作の認識アルゴリズムの開発(計測自動制御学会:ヒューマン・インタフェース部会 Human Interface News and Report Vol.10 No.1, pp.41−46, 1995)」に記載のものがある。これらの技術では、手話動作の基本単位である動作要素(手の形状や方向、位置、および動き方等)を表す記号の組合わせとして手話動作を表現した手話単語パターン辞書を使用する。すなわち、入力された手話データから動作要素を認識し、この動作要素と、手話単語パターン辞書中に予め作成された動作要素の組合せを比較することにより、どの手話単語が入力されたかを認識する。
【0003】
これらの技術では、入力された手話動作からどのように動作要素を認識するか、また、認識された動作要素と手話単語パターン辞書中の動作要素との比較をどのように行なうか等についての技術が開示されている。しかし、動作要素の組合せとして記述される手話単語パターン辞書を如何にして作成するかに関しての技術は述べられていない。
手話単語パターン辞書を作成する場合、手作業で必要な動作要素とそれらの関係を1つ1つ登録していくことが考えられる。この場合、認識精度を上げるためには、手話者による実際の手話における動作要素を登録する必要がある。
【0004】
このように人間が手作業により動作要素を登録することは、大まかな動作に対しては比較的容易である。しかし、実際の手話動作においては、状況や手話者の癖による個人差があり、同じ手話単語に対する手話動作であっても、異なる動作要素の組合せとなる場合がある。その相違が大きい場合には、誤った手話動作としても良いが、ある程度の相違を吸収できなければ、実用にはならない。
【0005】
このような実際の手話動作における動作要素を登録するためには、手話データから動作要素を認識した後、必要な動作要素を選択する必要がある。一般に、1つのパターンデータから認識される動作要素の種類は多く、また、動作要素間の時間的な関係も理想的な状態にある場合はほとんどない。そのため、人間が手作業で一つ一つ動作要素を選択していては非常に効率が悪い。さらに、通常の認識用手話単語パターンの学習には、1つの単語あたり、数十から数百のサンプルを使用するため、全てを人間が手作業で行なうことは、実用的でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、実際の手話動作に対応できる精度の高い手話単語パターン辞書を自動的に作成することができない点である。
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、手話単語パターン辞書の作成に係るユーザの労力を軽減でき、かつ、精度の良い手話認識を可能とする手話単語パターン辞書作成システムおよび方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の手話単語パターン辞書作成システムは、(1)予め作成された手話単語W(手話単語テンプレート905)の各動作要素911,912(1301,1303,1305,1307)を抽出すると共に、この抽出した各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき、抽出した各動作要素と予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素1302,1304,1306,1308を抽出する動作要素抽出部111と、手話単語テンプレート905に対応する実際の手話動作の各動作要素1504を、それぞれが発生した時間帯1501,1502と共に抽出し、この抽出した各動作要素の内、動作要素抽出部111で抽出した各動作要素と一致し、かつ、発生した時間帯が手話単語テンプレート905の各動作要素の発生時間帯と少しでも重なるものを選択する動作要素認識部103と、この動作要素認識部103で選択した各動作要素1707〜1712から、これらの各動作要素1707〜1712が発生したそれぞれの時間帯が、手話単語テンプレート905の各動作要素1301,1303,1305,1307の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、この特定した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正する手話単語パターン辞書作成部107とを少なくとも有し、手話単語パターン辞書作成部107で修正した手話単語テンプレート905を手話単語パターン辞書格納部109に格納することを特徴とする。
また、(2)上記(1)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、動作要素抽出部111は、手話単語テンプレート905の各動作要素を中心とした空間の所定の範囲内に含まれる同じ種類の動作要素を、手話単語テンプレート905の各動作要素と置き換え可能な動作要素として抽出することを特徴とする。
また、(3)上記(1)もしくは(2)のいずれかに記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、動作要素認識部103で選択した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素と置き換えて、手話単語テンプレート905を表現する各動作要素の組合せ1801〜1803を1以上生成し、この生成した組合せの内、各動作要素の時間帯の並びのずれが、手話単語テンプレート905における各動作要素の発生する時間順に対して予め設定された許容値内の組合せ1801,1802を抽出し、この抽出した組合せの各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正することを特徴とする。
また、(4)上記(3)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、動作要素認識部103で選択した各動作要素を、この各動作要素に置き換え可能な予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素毎に同時要素1701〜1705としてまとめ、かつ、この同時要素が、手話動作の内の手の形状、方向、位置等の静的な状態を記述した静的動作要素1707,1708,1709、もしくは、手話動作の内の手の動き方等の動的な状態を記述した動的動作要素1710〜1712のいずれからなるのか分類し、各同時要素1707〜1709単位で組合せ1801〜1803を生成することを特徴とする。
また、(5)上記(4)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、それぞれ同じ時間帯で発生する手話単語テンプレート905の各動作要素を同時要素2601〜2604単位で逐次要素(906〜908)としてまとめ、この逐次要素906〜908単位で各動作要素を並べて手話単語テンプレート905を表現することを特徴とする。
また、(6)上記(5)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、逐次要素を構成する同時要素が静的動作要素からなる静的同時要素であれば、同じ静的同時要素の各動作要素の発生時間帯を少なくとも一つ含む時間帯を、この静的同時要素の時間帯(1605〜1606)として求め、逐次要素を構成する同時要素が動的動作要素からなる動的同時要素であれば、この動的同時要素の各動作要素の時間帯2003を同時要素の時間帯として求め、逐次要素を構成する同時要素の求めた時間帯全てを含む時間帯を逐次要素の時間帯(2101)として求め、この求めた各逐次要素の時間帯2301〜2303の並びと、手話単語テンプレート905の各逐次要素1901〜1903の並びとのずれが、予め設定された閾値以内となる組合せを抽出することを特徴とする。
また、(7)上記(6)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、抽出した各組合せ1801〜1802の同時要素を構成する各動作要素の内、この動作要素が含まれる逐次要素の求めた時間帯以外で発生した動作要素を同時要素から削除し(図25)、残った同時要素の各動作要素を、同時要素単位および逐次要素単位で、手話単語テンプレート905に追加してこの手話単語テンプレート905の修正を行う(図26)ことを特徴とする。
また、本発明の手話単語パターン辞書の作成方法は、(8)予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素(図9)を抽出すると共に、この抽出した各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき、抽出した各動作要素と同じ種類で予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素を抽出する第1のステップ(ステップ1001)と、手話単語テンプレート905に対応する実際の手話動作の各動作要素を、それぞれが発生した時間帯と共に抽出し(図15)、この抽出した各動作要素の内、ステップ1001で抽出した各動作要素と一致し(尚、予め作成された各動作要素は当然実際の手話動作にも含まれており、抽出される)、かつ、発生した時間帯が予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素の発生時間帯と少しでも重なる(図16)ものを選択する第2のステップ(ステップ1002,1003)と、このステップ1002で選択した各動作要素から、この各動作要素が発生したそれぞれの時間帯が、予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、この特定した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正する第3のステップ(ステップ1004〜1007)とを少なくとも有し、ステップ1007で修正した手話単語テンプレート905を手話単語パターン辞書格納部109に格納することを特徴とする。
また、(9)上記(8)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第3のステップは、第2のステップで選択した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素と置き換えて、手話単語テンプレート905を表現する各動作要素の組合せを1以上生成する第4のステップ(ステップ1004)と、このステップ1004で生成した組合せの内、各動作要素の時間帯の並びのずれが、手話単語テンプレート905における各動作要素の発生する時間順に対して予め設定された許容値内の組合せを抽出する第5のステップ(ステップ1005)と、このステップ1005で抽出した組合せの各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正する第6のステップ(ステップ1006,1007)とを少なくとも有することを特徴とする。
また、(10)上記(9)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第4のステップ(ステップ1004)では、第2のステップ(ステップ1002,1003)で選択した各動作要素を、この各動作要素に置き換え可能な予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素毎に同時要素としてまとめ、かつ、この同時要素が、手話動作の内の手の形状、方向、位置等の静的な状態を記述した静的動作要素、もしくは、手話動作の内の手の動き方等の動的な状態を記述した動的動作要素のいずれからなるのか分類して、各同時要素単位で組合せを生成することを特徴とする。
また、(11)上記(10)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、それぞれ同じ時間帯で発生する手話単語テンプレート905の各動作要素を同時要素単位で逐次要素としてまとめ、この逐次要素単位で各動作要素を並べて手話単語テンプレート905を表現することを特徴とする。
また、(12)上記(11)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第5のステップでは、逐次要素を構成する同時要素が静的動作要素からなる静的同時要素であれば、同じ静的同時要素の各動作要素の発生時間帯を少なくとも一つ含む時間帯を、この静的同時要素の時間帯として求め、逐次要素を構成する同時要素が動的動作要素からなる動的同時要素であれば、この動的同時要素の各動作要素の時間帯を同時要素の時間帯として求め、逐次要素を構成する同時要素の求めた時間帯を全て含む時間帯を逐次要素の時間帯として求め、この求めた各逐次要素の時間帯の並びと、手話単語テンプレート905の各逐次要素の並びとのずれが、予め設定された閾値以内となる組合せを抽出することを特徴とする。また、(13)上記(12)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第6のステップでは、第5のステップで抽出した各組合せ(図25、1801,1802)の同時要素を構成する各動作要素の内、この動作要素が含まれる逐次要素の第5のステップで求めた時間帯以外で発生した動作要素を同時要素から削除し(図25)、残った同時要素の各動作要素を、同時要素単位および逐次要素単位で、手話単語テンプレート905に追加してこの手話単語テンプレート905の修正を行う(図26)ことを特徴とする。
また、(14)上記(8)から(13)のいずれかに記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語テンプレート905が、同じ手話動作を2以上の所定回数を繰返して表現される場合、手話単語テンプレート905に対する実際の手話動作の所定回数の繰り返し毎に、第2および第3のステップにおける発生時間順に矛盾しない動作要素の特定を繰り返し、この繰り返しの全てで特定された発生時間順に矛盾しない各動作要素を、置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、予め正しい動作要素が記述された手話単語テンプレートに、実際の手話動作の学習用手話データから得られた動作要素を追加して、手話単語パターン辞書を作成する。この時、学習用手話データから得られた動作要素が、手話単語テンプレートに追加して良いものか否かの選別を行なう。例えば、学習用手話データから得られた動作要素が、手話単語テンプレートの動作要素に類似しているか否か、および、発生する時間順序など手話動作における各動作要素の時間関係に大きなずれがないか否かを判別する。類似していないものや時間関係のずれが大きいものは、誤った動作のものとして、手話単語テンプレートに追加しない。
【0009】
以下、このような本発明の手話単語パターン辞書作成システムに係る実施例を、図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の手話単語パターン辞書作成システムの本発明に係る構成の一実施例を示すブロック図である。
本図1において、101は手話入力部、102は学習用手話データ格納部、103は本発明に係る動作要素認識部、104は動作要素認識用パターン格納部、105は動作要素リスト格納部、106は動作要素格納部、107は手話単語パターン辞書作成部、108は手話単語テンプレート格納部、109は手話単語パターン辞書格納部、110は手話単語テンプレート入力部、111は動作要素抽出部である。
【0010】
手話入力部101は、手話における手動作を電気信号に変換して手話データとして入力し、学習用手話データ格納部102に格納する。動作要素認識部103は、動作要素リスト格納部105に格納してある動作要素を列挙した動作要素リストの内容に従い、学習用手話データ格納部102中に格納してある手話データから動作要素を認識する。この動作要素認識部103による動作要素の認識の際に必要な動作要素のパターンや各種パラメータは、動作要素認識用パターン格納部104に格納されている。
動作要素認識部103によって認識された動作要素は動作要素格納部106に格納される。
【0011】
手話単語パターン辞書作成部107は、動作要素格納部106に格納されている動作要素と、手話単語テンプレート格納部108に格納されている手話動作の大まかな構造を記述した手話単語テンプレートとを用いて手話パターン辞書の作成を行ない、手話単語パターン辞書格納部109に格納する。
手話単語テンプレート入力部110は、手話単語テンプレートの内容を入力し、手話単語テンプレート格納部108に格納する。
【0012】
本発明に係る動作要素抽出部111は、手話単語テンプレート格納部108に格納されている手話単語テンプレート中に記述されている動作要素を抽出し、動作要素認識部103で認識すべき動作要素のリストを作成し、動作要素リスト格納部105に格納する。
特に、動作要素抽出部111は、手話単語テンプレート格納部108内の手話単語テンプレート中に記述されている動作要素を抽出するだけではなく、この抽出した各動作要素と予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素を、各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき抽出し、リストに載せ動作要素リスト格納部105に格納する。
【0013】
そして、動作要素認識部103は、手話単語テンプレート格納部108に格納された手話単語テンプレートに対応して手話入力部101から入力され学習用手話データ格納部102に格納された実際の手話動作の各動作要素を、それぞれが発生した時間帯と共に抽出し、この抽出した各動作要素の内、動作要素リスト格納部105に格納された各動作要素と一致し、かつ、発生した時間帯が手話単語テンプレートの各動作要素の発生時間帯と少しでも重なるものを選択して、動作要素格納部106に格納する。
【0014】
手話単語パターン辞書格納部109は、動作要素格納部106に格納された各動作要素から、それぞれが発生した時間帯が、学習用手話データ格納部102に格納された実際の手話動作の各動作要素の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、この特定した各動作要素を、それぞれ対応する各動作要素に追加して、手話単語テンプレートを修正し、この修正した手話単語テンプレートを手話単語パターン辞書格納部109に格納する。
以下、このような動作を行う手話単語パターン辞書作成システムに関してさらに詳細を説明する。
【0015】
図2は、図1における手話単語パターン辞書作成システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2において、手話入力装置201は、手話における手動作を電気信号に変換する装置であり、例えば、手袋にセンサを設置し、手の形状や動きを電気信号に変換する装置として良く知られている装置を利用することができる。このような手話入力装置201によって、手話の手動作は指の曲げ角度や手の位置などからなる多次元の時系列データに変換される。
【0016】
文字入力装置202は、手話単語テンプレートを記述するための文字を入力するための装置であり、キーボードなどの一般に使用される文字入力のための装置を使用することができる。演算装置203は、動作要素の認識や手話単語パターン辞書の作成を行う装置であり、メモリ205からプログラムを読み込み、そのプログラムに従って処理を行う。出力装置204は、手話単語パターン辞書の作成の処理過程や処理結果を表示し、確認するための装置であり、一般に使用されるCRTディスプレイなどの文字出力装置を使用することができる。
【0017】
メモリ205は、動作要素認識プログラム206、動作要素抽出プログラム207、および手話単語パターン辞書作成プログラム208を格納するための記憶装置である。メモリ209は、動作要素認識用パターン210、手話単語テンプレート211、および動作要素リスト212を格納するための記憶装置である。メモリ213は、入力装置201から入力された学習用手話データを格納するための記憶装置である。メモリ214は、学習用手話データから認識された動作要素を格納するための記憶装置である。メモリ215は、作成された手話単語パターン辞書を格納するための記憶装置である。
【0018】
図3は、図1における手話入力部によって変換された手動作データのフォーマット例を示す説明図である。
図3において、301は手の位置に関するデータであり、この手の位置301は、さらにx軸のデータ(x)302、y軸のデータ(y)303、z軸のデータ(z)304から構成されている。
また、305は手の方向に関するデータであり、この手の方向305は、x軸回りの角度(α)306、y軸回りの角度(β)307、z軸回りの角度(γ)308から構成されている。
【0019】
また、309は指の曲げに関するデータであり、この指の曲げ309は、親指の第2関節の曲げ角度(α1)310、親指の第3関節の曲げ角度(β1)311、人差し指の第1関節の曲げ角度(α2)312、人差し指の第2関節の曲げ角度(β2)313、中指の第1関節の曲げ角度(α3)314、中指の第2関節の曲げ角度(β3)315、薬指の第1関節の曲げ角度(α4)316、薬指の第2関節の曲げ角度(β4)317、小指の第1関節の曲げ角度(α5)318、小指の第2関節の曲げ角度(β5)319から構成されている。
【0020】
また、320〜322はそれぞれ、時刻t1、t2、tnにおける手の位置301、手の方向302、指の曲げ309の情報を表す。
このように、手話における動作は手の位置301、手の方向305、指の曲げ309からなる時系列データとして表される。
【0021】
図4は、図1における動作要素認識用パターン格納部に格納される動作要素を認識するためのパラメータの格納フォーマットを示す説明図である。
図4において、動作要素名401は、認識処理にそのパラメータを使用する動作要素の名称を、パラメータ数402は、その動作要素の認識に使用するパラメータの数を表し、403〜405は各パラメータを表す。
以下、図5〜図9を用いて、図1における手話単語テンプレート格納部108に格納される手話単語テンプレートのフォーマットについて詳細に説明する。
【0022】
図5は、動作要素によって表現した手話動作のモデルを示す説明図である。
本図5に示すように、手話の動作は、時間的に連続して生じる逐次要素501〜503の列で表すことができる。また、各逐次要素501〜503は、同じ時間範囲に生じる同時要素504〜506から構成される。さらに、各同時要素504〜506は、同じ時間範囲に存在する動作要素507〜509から構成されている。ここで、例えば、同時要素504を構成する動作要素507〜509は、同じ種類で属性のみ異なる動作要素であり、同時要素504中の動作要素507〜509のいずれかの動素要素が存在すれば、その同時要素504が存在すると見なされる。一方、逐次要素501中に含まれる同時要素504〜506が全て存在する場合のみ、その逐次要素501が存在すると見なされる。
【0023】
図6は、動作要素の種類を示す説明図である。
本図6に示すように、動作要素は、手の形状、手の方向、手の位置、および、直線、波線、両手の距離、両手の位置関係などの大分類と、それぞれの具体的な属性である小分類によって表現される。尚、動作要素によっては、さらに詳細な属性が付加される動作要素もある。
【0024】
図7は、図5で示したモデルに基づく手話単語テンプレートの記述フォーマット例を示す説明図である。
図7において、手話単語名701は、その動作要素の組み合わせが表す手話単語名を表す。繰り返し回数702は、動作要素の組み合わせによって表現される全体の動作が何回繰り返されるかを表す。逐次要素数703は、手話単語を構成する逐次要素の数である。逐次要素704〜706は、手話単語を構成する各逐次要素を表す。同時要素数707は、逐次要素を構成する同時要素の数である。同時要素708〜710は、逐次要素704を構成する各同時要素を表す。動作要素数711は、同時要素を構成する動作要素の数である。動作要素712〜714は、同時要素708を構成する各動作要素である。
【0025】
図8は、動作要素の記述フォーマット例を示す説明図である。
本図8において、801は、図6に示した動作要素の大分類および小分類の組、802は、その動作要素を表現するために使用される手の種類および部位であり、手の種類には、「右」あるいは「左」のいずれかを記述する。また、部位に関しては、方向に関係する動作要素の場合、「指先」、「法線」、「側面」、「親指」、「人差し指」、「中指」、「薬指」、「小指」が、また、位置に関係する動作要素の場合、「掌」、「親指」、「人差し指」、「中指」、「薬指」、「小指」のいずれかを記述する。図中803,804は、動作要素の大分類および小分類以外の属性であり、動作要素によって列挙される個数が異なる。
【0026】
図9は、図3から図8で述べた手話単語テンプレートの記述フォーマットに従って記述した手話単語テンプレートの一例を示す説明図である。
本図9に示す手話901は、「とても」という意味の手話であり、「動作開始時の状態」902、「直線運動の状態」903、「動作終了時の状態」904の逐次的に生じる3つの状態によって表される。これらの状態からなる手話901の手話単語テンプレートを905に示す。
【0027】
この手話単語テンプレート905において、逐次要素906〜908は、それぞれ手話901の状態902〜904に対応する。逐次要素906は、2つの同時要素909,910から構成されており、各同時要素909,910は、それぞれ、「形状」911および「方向」912の動作要素から構成される。同様に逐次要素907は、1つの同時要素で「直線」、逐次要素908は、2つの逐次要素でそれぞれ「形状」および「方向」の同時要素から構成されている。
この手話単語テンプレート905に記述されている動作要素は、図8で述べた属性が省略されているが、実際には動作要素に応じていくつかの属性を付加することもできる。小分類および属性が記述された場合は、手話単語パターン辞書を作成する際の基準値として使用される。
【0028】
次に、図10から図26を用いて、手話単語パターン辞書を作成する方法について詳細に説明する。
図10は、本発明に係る手話単語パターン辞書の作成処理の一実施例を示すフローチャートである。
本図10において、ステップ1001は図1における動作要素抽出部111、ステップ1002は図1における動作要素認識部103、ステップ1003〜ステップ1007は図1における手話単語パターン辞書作成部107の処理に対応する。
以下、ステップ1001〜ステップ1007におけるそれぞれの処理を順次説明する。
【0029】
ステップ1001において、手話単語テンプレートからその中に記述されている動作要素を抽出し、動作要素リストを作成する。この動作要素リストを作成する場合、まず、手話単語テンプレート中の動作要素について、図11に示すような動作要素の大分類、小分類、手の種類および手の部位、からなるリストを作成する。尚、手話単語テンプレート中で小分類が指定されていない動作要素については、小分類の項目は省略される。また、この図11に示すリストにおいては、全ての属性は省かれる。
そして、このようにして作成されたリスト中の各動作要素について、大分類は同一で、かつ、その動作要素の小分類を基準として、小分類が空間的にある範囲に含まれる動作要素をリストに追加する。
【0030】
このような動作要素のリストへの追加に関して、図12を用いて説明する。
例えば、大分類が「方向」で、小分類が「上」であるとすると、図12のように、「上」1201を中心とするある範囲1204に含まれる小分類を持つ「方向」が動作要素リストに追加される動作要素として選択される。図12の場合、「上内」1202と「上外」1203を持つ「方向」が追加されることになる。ここで、範囲1204は、任意に設定することができるが、手話単語パターン辞書作成時の検索範囲を小さくするために、通常は、特徴パラメータ空間において、中心となる小分類に隣合う小分類のみが選択されるように設定する。また、小分類が省略された動作要素に関しては、その大分類に対応する全ての小分類が選択される。
【0031】
図13に、このようにして作成した動作要素リストの一例を示す。
この図13における動作要素リスト中の動作要素1301,1303,1305,1307は、図9に示した手話単語テンプレートから抽出された動作要素である。また、斜線で示した動作要素1302,1304,1306,1308は追加された動作要素である。
【0032】
図10に戻り、ステップ1002の処理を説明する。
このステップ1002においては、学習用手話データから、ステップ1001で選択された図13に示す動作要素リスト中の動作要素の認識を行なう。この動作要素の認識は、図1の動作要素認識部103によって行なわれる。以下、この動作要素認識部103について説明する。
【0033】
図14は、図1における動作要素認識部の構成例を示すブロック図である。
本図14の動作要素認識部103において、特徴パラメータ抽出部1401では、入力された学習用手話データから、速度や加速度、曲率など、動作要素を認識するために必要なパラメータの抽出を行なう。
パラメータ選択部1402では、例えば図13に示すような動作要素リスト中の動作要素を参照し、それぞれの動作要素の認識に必要なパラメータを選択し、該当する各認識部に送る。形状認識部1403、方向認識部1404、位置認識部1405、直線認識部1406、円認識部1407は、それぞれの動作要素を認識するための認識部であり、認識を行なう必要のある動作要素の種類それぞれに対して用意される。
【0034】
これらの各認識部では、パラメータ選択部1402から送られてきた特徴パラメータと、図1における動作要素認識用パターン格納部104に格納されている動作要素認識用パターン中の該当する動作要素のパターンを使用して、その動作要素の認識を行ない、結果を出力する。それぞれの動作要素を認識するための技術としては、例えば、特願平6−253457号(「手話認識装置」)に記載の技術等を用いて容易に行なうことができる。
【0035】
このようにして、動作要素認識部103において認識された動作要素の出力結果の一例を図15に示す。
この図15に示すように、図14の動作要素認識部103で認識された動作要素は、始点1501、終点1502、評価値1503、および動作要素1504の4つの項目の組によって記述され、この4項目の組のリスト形式で図1の動作要素格納部106に格納される。
【0036】
図10に戻り、ステップ1003の処理を説明する。
このステップ1003においては、図1の動作要素認識部103で認識された動作要素から、図1の手話単語テンプレート格納部108に格納されている手話単語テンプレート中の動作要素に対応する動作要素を検索し、手話単語テンプレート中の動作要素と、認識された動作要素の対応表を作成する。
この対応表の作成において、動作要素間の対応は、同時要素を単位として求める。また、同時要素に含まれる動作要素が形状や方向のように静的であるか、あるいは、直線や円のように動的であるかによって対応を求める処理が異なる。
【0037】
例えば、静的な動作要素の場合は、次の図16の例に示すように、同時要素に含まれる動作要素あるいは、その動作要素の小分類を基準としたある範囲内に含まれる小分類を持つ動作要素のいずれかが検出されている連続した区間を求め、その中に含まれる動作要素の組をその同時要素に対応する動作要素とする。
すなわち、図16において、中心となる小分類を持つ動作要素を「形状・ア」1601,1602、その小分類を中心としたある範囲内の小分類を持つ動作要素を「形状・モ」1603および「形状・サ」1604とすると、時刻1605と時刻1606の間の区間にある動作要素の組「形状・ア」、「形状・モ」および「形状・サ」が同時要素に対応する動作要素として対応表に登録される。
【0038】
また、動的な動作要素の場合は、動き全体を単位として認識が行なわれるため、一つの認識された動作要素が同時要素中のいずれかの動作要素と同じであれば、その動作要素は、単独で、その同時要素に対応する動作要素として対応表に登録される。
このようにして作成された動作要素の対応表の一例を図17に示す。
この図17における対応表は、図9に示した手話単語テンプレート905と、図15に示した動作要素認識結果から求められた対応表である。
【0039】
図17において、組合せ数1706は、その同時要素に対応する動作要素の組の数であり、この後に動作要素の組合せ1707が記述される。
ここで、静的な同時要素は1701,1702,1704,1705であり、動的な同時要素は1703のみである。同時要素1701,1702,1705では、手話単語テンプレートに記述された動作要素と、その動作要素の小分類を中心としたある範囲内に含まれる小分類を持つ動作要素の組1707〜1709が各同時要素に対応している。一方、同時要素1703に対しては、動作要素1710〜1712の各々が対応している。
【0040】
図10に戻り、ステップ1004の処理を説明する。
このステップ1004においては、手話単語テンプレート中の動作要素との対応関係を求めて認識された図17に示される各動作要素を用いて、辞書に格納する手話単語パターンの候補となる動作要素の組合せを求める。この場合も、ステップ1003と同様に、同時要素を単位として、同時要素に対応する動作要素の組を1つずつ選択することによって、次の図18に示すような組合せを求める。
【0041】
この図18では、図17の対応表を用いて作成した手話単語パターンの候補を示し、図17の対応表では、同時要素1701〜1705に対して、それぞれ1組、1組、3組、1組、1組の動作要素の組が対応しているため、手話単語パターンの候補としては、これらの組合せの総数である「1×1×3×1×1=3」通りの候補が作成される。図18においては、作成された3つの手話単語パターン組合せの候補1801〜1803が示されている。同時要素に対応する動作要素の組は、同時要素1703を除いて1組だけであるため、図18に示された3つの手話単語パターン組合せの候補1801〜1803においては、同時要素1703に対応する動作要素1804〜1806のみが異なっている。
【0042】
図10に戻り、ステップ1005の処理を説明する。
このステップ1005においては、ステップ1004で求めた図18の手話単語パターン候補中の動作要素間の時間的な関係が許容範囲内であるかどうかを判定する。この時間的な関係も、同時要素を単位として判定を行なう。このためまず、同時要素の時間範囲を求める。ここで、静的な動作要素から構成される同時要素の場合は、同時要素に対応する動作要素の少なくとも1つが存在する連続した時間範囲を、その同時要素が存在する時間範囲とする。また、動的な同時要素の場合は、その同時要素に対応する動作要素の時間範囲をその同時要素の存在する時間範囲とする。
【0043】
手話単語テンプレートに記述されている同時要素および逐次要素の時間的な関係は、理想的な状態を表す。すなわち、図19に示すように、逐次要素に含まれる同時要素は全て同じ時間範囲に存在し、また、それぞれの逐次要素は互いの時間範囲に重なりもギャップも存在しない。
図19は、図9の手話単語テンプレート905が表す同時要素、逐次要素の関係を示しており、逐次要素1901〜1903の間には全く時間的な重なりもギャップも存在しない。しかし、学習用手話データから認識された動作要素に基づき構成される同時要素や逐次要素は、図19に示されるような理想的な関係になることはなく、同時要素間にずれが生じたり、逐次要素間に重なりやギャップが生じる。以下、その説明を行う。
【0044】
図20は、図18の手話単語パターンの候補における同時要素の時間的な関係を示す説明図である。
本図20で示すように、それぞれ静的な同時要素2001と同時要素2002の間、および、同時要素2004と同時要素2002の間には、時間範囲にずれが生じている。また、各逐次要素に相当する範囲と考えられる同時要素2001、同時要素2002、同時要素2004の間には、時間的な重なりが生じている。
このため、手話単語パターンの候補の判定は、手話単語テンプレートが示す理想的な同時要素間、および、逐次要素間の関係を基準として、重なりやギャップが許容範囲内であるかどうかを判定することにより行なう。
【0045】
これを行なうために、まず、各逐次要素に含まれる同時要素間の重なりを評価する。重なりの評価には、i番目の同時要素の時間範囲を(「Si、Ei」)として、次の「数1」に示す重なり度rを定義し、この重なり度の値が、予め設定してある閾値Ts以上の場合、その逐次要素が存在すると判定する。
【数1】
【0046】
図21において、範囲2101が「数1」の分子、範囲2102が分母に対応する。同時要素間の関係が許容範囲内であると判定された逐次要素の時間範囲は、その逐次要素に含まれる同時要素に共通の時間範囲、すなわち、図21において範囲2101に相当する範囲とする。尚、同時要素間の重なり度として、逐次要素に含まれる同時要素から2つの同時要素を選択し、全ての組合せに対して「数1」と同様の式で2つの同時要素間の重なり度を求め、その平均を用いても良い。また、検出された逐次要素の時間範囲として、その逐次要素に含まれる同時要素の時間範囲の平均値を用いても良い。
【0047】
各逐次要素中の同時要素間の関係が許容範囲内であると判定された場合、次に、逐次要素間の関係の評価を行なう。これを行なうためには、i番目とi+1番目の逐次要素について次の「数2」に示す評価値eを定義し、この評価値eがあらかじめ設定してある範囲(「To,Tg」)の範囲内にある場合、i番目とi+1番目の逐次要素の時間的な関係は許容値以内であると判定する。
【数2】
【0048】
図22において、範囲2201、範囲2203が「数2」の分子、範囲2202、範囲2204が分母に対応する。この図22では、各同時要素は、逐次要素の範囲に含まれる部分のみ示してある。
検出された逐次要素間の関係が許容範囲内にない場合を、図23に示す。
図23は、図18に示した手話単語パターン候補1803に対応する図であり、この場合、逐次要素2302と逐次要素2303は時間的な関係が逆転しており、「数2」の条件を満たさないため許容範囲外であると判定される。
【0049】
このような「数2」に基づく判定によって、全ての隣合う逐次要素間の関係が許容範囲内であると判定された手話単語パターン候補が、手話単語パターン辞書の作成に使用される。
尚、繰り返し回数が2回以上の場合、繰り返し回数分の逐次要素間の関係について同様な評価を行なう。
また、逐次要素間の関係の評価値として、逐次要素間のギャップあるいは重なりの大きさをそのまま使用してもよい。また、常に、或る大きさのギャップあるいは重なりが生じる場合、ギャップや重なりの平均値を基準値とし、そこからのずれの大きさに対して評価値を求めてもよい。
【0050】
図10に戻り、ステップ1006の処理を説明する。
このステップ1006においては、ステップ1005で許容範囲内であると判定された手話単語パターンの候補を用いて、手話単語テンプレートを修正するための修正用動作要素リストを作成する。この処理は、基本的にはステップ1004と逆の処理である。例えば、図18に示した手話単語パターンの候補の場合、許容範囲外であると判定された候補1803以外の、候補1801、候補1802を用いて、同時要素と動作要素の対応表を再構築する。ただし、静的な動作要素を含む同時要素については、候補中の動作要素の組合せにより検出された逐次要素の範囲に含まれない動作要素は削除される。
【0051】
以下、ステップ1006の処理を図24を用いて説明する。
図24において、動作要素2401〜2403からなる同時要素は、静的な「方向」の動作要素を含み、逐次要素2404,2405のいずれにも含まれる同時要素とする。この場合、逐次要素2404の範囲内には、動作要素2403は含まれないため、逐次要素2404中のこの同時要素に対応する動作要素は、動作要素2401,2402のみとなる。同様に、逐次要素2405中のこの同時要素に対応する動作要素は、動作要素2402,2403のみとなる。
【0052】
このようにして作成した、図18の手話単語パターンの候補に対応する修正用動作要素リストを図25に示す。
このような図10のステップ1006での処理により、図18では3つの動作要素から構成されていた同時要素1807および同時要素1808の部分には、図25において、2501および2502に示すように、2つの動作要素のみが対応する。
【0053】
図10に戻り、最後のステップ1007の処理を説明する。
このステップ1007においては、ステップ1006で作成された修正用動作要素リストを用いて手話単語テンプレートの内容を修正することにより、手話単語パターン辞書を作成する。
図9の手話単語テンプレート905を、図25の修正用動作要素リストによって修正して作成した手話単語パターン辞書を図26に示す。
この図26に示すように、同時要素2601〜2604に、学習用手話データから認識された動作要素が追加されている。
【0054】
以上、図1〜図26を用いて説明したように、本実施例の手話単語パターン辞書作成システムおよび方法では、ユーザによって手話の大まかな構造のみが定義された手話単語テンプレートをもとに、学習用手話データから必要な動作要素の認識を行ない、この認識した動作要素から、手話単語テンプレート中の動作要素に対応する動作要素を検索し、この検索した動作要素間の関係が許容範囲内であるかどうかを検証し、この検証の結果、動作要素間の関係が許容範囲内の場合に、その動作要素によってテンプレートを修正することにより、手話単語パターン辞書を作成する。
【0055】
このことにより、ユーザは、手話の大まかな構造のみを記述すれば良いので、手話単語パターン辞書作成時に必要なユーザの労力を減らすことができる。また、実際の手話から得られた動作要素によって手話単語パターン辞書を作成できるため、精度の良い認識を行なうことができるようになる。
尚、本発明は、図1〜図26を用いて説明した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、実際の手話動作に対応できる精度の高い手話単語パターン辞書を自動的に作成することができ、状況や個人差による手話動作の変動にも効率良く対応して正しい認識を行う高性能な手話認識装置を容易に構築することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手話単語パターン辞書作成システムの本発明に係る構成の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1における手話単語パターン辞書作成システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図1における手話入力部によって変換された手動作データのフォーマット例を示す説明図である。
【図4】図1における動作要素認識用パターン格納部に格納される動作要素認識用パターンのフォーマット例を示す説明図である。
【図5】動作要素によって表現された手話動作のモデルを示す説明図である。
【図6】手話単語を構成する動作要素の種類を示す説明図である。
【図7】図5で示したモデルに基づく手話単語テンプレートの記述フォーマット例を示す説明図である。
【図8】動作要素の記述フォーマット例を示す説明図である。
【図9】手話単語テンプレートの一例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る手話単語パターン辞書の作成処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図11】手話単語テンプレート中の動作要素リストのフォーマット例を示す説明図である。
【図12】図11における動作要素リストに追加される動作要素の選択範囲例を示す説明図である。
【図13】図1の動作要素抽出部で抽出された動作要素リスト例を示す説明図である。
【図14】図1における動作要素認識部の構成例を示すブロック図である。
【図15】図1における学習用手話データ格納部に格納される学習データに基づく動作要素認識部による動作要素の認識結果例を示す説明図である。
【図16】図1における動作要素認識部による断続的な静的動作要素から構成される同時要素の抽出例を示す説明図である。
【図17】図1における動作要素認識部の認識結果により出力された動作要素の対応表の一例を示す説明図である。
【図18】図1における手話単語パターン辞書作成部で作成された手話単語パターン候補の一例を示す説明図である。
【図19】図9の手話単語テンプレートが表す同時要素と逐次要素の関係例を示す説明図である。
【図20】図18の手話単語パターン候補における同時要素間の時間的な関係を示す説明図である。
【図21】数1で表される同時要素間の重なり状態例を示す説明図である。
【図22】数2で表される逐次要素間の重なり状態例およびギャップ状態例を示す説明図である。
【図23】図18における3番目の手話単語パターン候補の各逐次要素の位置関係を示す説明図である。
【図24】同時要素中の静的な動作要素と逐次要素との位置関係を示す説明図である。
【図25】図1における手話単語パターン辞書作成部により作成された修正用動作要素リストの一例を示す説明図である。
【図26】図1における手話単語パターン辞書作成部により作成された手話単語パターン辞書の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
101:手話入力部、102:学習用手話データ格納部、103:動作要素認識部、104:動作要素認識用パターン格納部、105:動作要素リスト格納部、106:動作要素格納部、107:手話単語パターン辞書作成部、108:手話単語テンプレート格納部、109:手話単語パターン辞書格納部、110:手話単語テンプレート入力部、111:動作要素抽出部、201:手話入力装置、202:文字入力装置、203:演算装置、204:出力装置、205:メモリ、206:動作要素認識プログラム、207:動作要素抽出プログラム、208:手話単語パターン辞書作成プログラム、209:メモリ、210:動作要素認識用パターン、211:手話単語テンプレート、212:動作要素リスト、213〜215:メモリ、301:手の位置のデータ、302:x軸のデータ(x)、303:y軸のデータ(y)、304:z軸のデータ(z)、305:手の方向データ、306:x軸回りの角度(α)、307:y軸回りの角度(β)、308:z軸回りの角度(γ)、309:指の曲げデータ、310:親指の第2関節の曲げ角度(α1)、311:親指の第3関節の曲げ角度(β1)、312:人差し指の第1関節の曲げ角度(α2)、313:人差し指の第2関節の曲げ角度(β2)、314:中指の第1関節の曲げ角度(α3)、315:中指の第2関節の曲げ角度(β3)、316:薬指の第1関節の曲げ角度(α4)、317:薬指の第2関節の曲げ角度(β4)、318:小指の第1関節の曲げ角度(α5)、319:小指の第2関節の曲げ角度(β5)、320〜322:情報、401:動作要素名、402:パラメータ数、403〜405:パラメータ、501〜503:逐次要素、504〜506:同時要素、507〜509:動作要素、601:動作要素大分類、602:動作要素小分類、701:手話単語名、702:繰り返し回数、703:逐次要素数、704〜706:逐次要素、707:同時要素数、708〜710:同時要素、711:動作要素数、712〜714:動作要素、801:動作要素の大分類および小分類の組、802:手の種類および部位、803,804:動作要素の大分類および小分類以外の属性、901:手話、902:「動作開始時の状態」、903:「直線運動の状態」、904:「動作終了時の状態」905:手話単語テンプレート、906〜908:逐次要素、909,910:同時要素、911:動作要素「形状」、912:動作要素「方向」、1101〜1103:動作要素、1201:「上」、1202:「上内」、1203:「上外」、1204:範囲、1301〜1308:動作要素、1401:特徴パラメータ抽出部、1402:パラメータ選択部、1403:形状認識部、1404:方向認識部、1405:位置認識部、1406:直線認識部、1407:円認識部、1501:始点、1502:終点、1503:評価値、1504:動作要素、1601,1602:「形状・ア」、1603:「形状・モ」、1604:「形状・サ」、1605,1606:時刻、1701〜1705:同時要素、1706:組合せ数、1707〜1709:動作要素の組合せ、1710〜1712:動作要素、1801〜1803:手話単語パターン組合せの候補、1804〜1806:動作要素、1901〜1903:逐次要素、2001,2002〜2004:同時要素、2101,2102:範囲、2201〜2204:範囲、2301〜2303:逐次要素、2401〜2403:動作要素、2404,2405:逐次要素、2601〜2604:同時要素。
【発明の属する技術分野】
本発明は、実際の手話動作を入力した手話データのパターンに基づき手話動作に対応する手話単語の認識を行う手話パターン認識装置で用いる手話単語パターン辞書の作成技術に係り、特に、状況や個人差による手話動作の変動にも効率良く対応して正しい認識を行うのに好適な手話単語パターン辞書作成システムおよび方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、手話の認識技術に関しては、例えば、本出願人等による特願平6−253457号公報や、「非接触による手話動作の認識アルゴリズムの開発(計測自動制御学会:ヒューマン・インタフェース部会 Human Interface News and Report Vol.10 No.1, pp.41−46, 1995)」に記載のものがある。これらの技術では、手話動作の基本単位である動作要素(手の形状や方向、位置、および動き方等)を表す記号の組合わせとして手話動作を表現した手話単語パターン辞書を使用する。すなわち、入力された手話データから動作要素を認識し、この動作要素と、手話単語パターン辞書中に予め作成された動作要素の組合せを比較することにより、どの手話単語が入力されたかを認識する。
【0003】
これらの技術では、入力された手話動作からどのように動作要素を認識するか、また、認識された動作要素と手話単語パターン辞書中の動作要素との比較をどのように行なうか等についての技術が開示されている。しかし、動作要素の組合せとして記述される手話単語パターン辞書を如何にして作成するかに関しての技術は述べられていない。
手話単語パターン辞書を作成する場合、手作業で必要な動作要素とそれらの関係を1つ1つ登録していくことが考えられる。この場合、認識精度を上げるためには、手話者による実際の手話における動作要素を登録する必要がある。
【0004】
このように人間が手作業により動作要素を登録することは、大まかな動作に対しては比較的容易である。しかし、実際の手話動作においては、状況や手話者の癖による個人差があり、同じ手話単語に対する手話動作であっても、異なる動作要素の組合せとなる場合がある。その相違が大きい場合には、誤った手話動作としても良いが、ある程度の相違を吸収できなければ、実用にはならない。
【0005】
このような実際の手話動作における動作要素を登録するためには、手話データから動作要素を認識した後、必要な動作要素を選択する必要がある。一般に、1つのパターンデータから認識される動作要素の種類は多く、また、動作要素間の時間的な関係も理想的な状態にある場合はほとんどない。そのため、人間が手作業で一つ一つ動作要素を選択していては非常に効率が悪い。さらに、通常の認識用手話単語パターンの学習には、1つの単語あたり、数十から数百のサンプルを使用するため、全てを人間が手作業で行なうことは、実用的でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、実際の手話動作に対応できる精度の高い手話単語パターン辞書を自動的に作成することができない点である。
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、手話単語パターン辞書の作成に係るユーザの労力を軽減でき、かつ、精度の良い手話認識を可能とする手話単語パターン辞書作成システムおよび方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の手話単語パターン辞書作成システムは、(1)予め作成された手話単語W(手話単語テンプレート905)の各動作要素911,912(1301,1303,1305,1307)を抽出すると共に、この抽出した各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき、抽出した各動作要素と予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素1302,1304,1306,1308を抽出する動作要素抽出部111と、手話単語テンプレート905に対応する実際の手話動作の各動作要素1504を、それぞれが発生した時間帯1501,1502と共に抽出し、この抽出した各動作要素の内、動作要素抽出部111で抽出した各動作要素と一致し、かつ、発生した時間帯が手話単語テンプレート905の各動作要素の発生時間帯と少しでも重なるものを選択する動作要素認識部103と、この動作要素認識部103で選択した各動作要素1707〜1712から、これらの各動作要素1707〜1712が発生したそれぞれの時間帯が、手話単語テンプレート905の各動作要素1301,1303,1305,1307の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、この特定した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正する手話単語パターン辞書作成部107とを少なくとも有し、手話単語パターン辞書作成部107で修正した手話単語テンプレート905を手話単語パターン辞書格納部109に格納することを特徴とする。
また、(2)上記(1)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、動作要素抽出部111は、手話単語テンプレート905の各動作要素を中心とした空間の所定の範囲内に含まれる同じ種類の動作要素を、手話単語テンプレート905の各動作要素と置き換え可能な動作要素として抽出することを特徴とする。
また、(3)上記(1)もしくは(2)のいずれかに記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、動作要素認識部103で選択した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素と置き換えて、手話単語テンプレート905を表現する各動作要素の組合せ1801〜1803を1以上生成し、この生成した組合せの内、各動作要素の時間帯の並びのずれが、手話単語テンプレート905における各動作要素の発生する時間順に対して予め設定された許容値内の組合せ1801,1802を抽出し、この抽出した組合せの各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正することを特徴とする。
また、(4)上記(3)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、動作要素認識部103で選択した各動作要素を、この各動作要素に置き換え可能な予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素毎に同時要素1701〜1705としてまとめ、かつ、この同時要素が、手話動作の内の手の形状、方向、位置等の静的な状態を記述した静的動作要素1707,1708,1709、もしくは、手話動作の内の手の動き方等の動的な状態を記述した動的動作要素1710〜1712のいずれからなるのか分類し、各同時要素1707〜1709単位で組合せ1801〜1803を生成することを特徴とする。
また、(5)上記(4)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、それぞれ同じ時間帯で発生する手話単語テンプレート905の各動作要素を同時要素2601〜2604単位で逐次要素(906〜908)としてまとめ、この逐次要素906〜908単位で各動作要素を並べて手話単語テンプレート905を表現することを特徴とする。
また、(6)上記(5)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、逐次要素を構成する同時要素が静的動作要素からなる静的同時要素であれば、同じ静的同時要素の各動作要素の発生時間帯を少なくとも一つ含む時間帯を、この静的同時要素の時間帯(1605〜1606)として求め、逐次要素を構成する同時要素が動的動作要素からなる動的同時要素であれば、この動的同時要素の各動作要素の時間帯2003を同時要素の時間帯として求め、逐次要素を構成する同時要素の求めた時間帯全てを含む時間帯を逐次要素の時間帯(2101)として求め、この求めた各逐次要素の時間帯2301〜2303の並びと、手話単語テンプレート905の各逐次要素1901〜1903の並びとのずれが、予め設定された閾値以内となる組合せを抽出することを特徴とする。
また、(7)上記(6)に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語パターン辞書作成部107は、抽出した各組合せ1801〜1802の同時要素を構成する各動作要素の内、この動作要素が含まれる逐次要素の求めた時間帯以外で発生した動作要素を同時要素から削除し(図25)、残った同時要素の各動作要素を、同時要素単位および逐次要素単位で、手話単語テンプレート905に追加してこの手話単語テンプレート905の修正を行う(図26)ことを特徴とする。
また、本発明の手話単語パターン辞書の作成方法は、(8)予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素(図9)を抽出すると共に、この抽出した各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき、抽出した各動作要素と同じ種類で予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素を抽出する第1のステップ(ステップ1001)と、手話単語テンプレート905に対応する実際の手話動作の各動作要素を、それぞれが発生した時間帯と共に抽出し(図15)、この抽出した各動作要素の内、ステップ1001で抽出した各動作要素と一致し(尚、予め作成された各動作要素は当然実際の手話動作にも含まれており、抽出される)、かつ、発生した時間帯が予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素の発生時間帯と少しでも重なる(図16)ものを選択する第2のステップ(ステップ1002,1003)と、このステップ1002で選択した各動作要素から、この各動作要素が発生したそれぞれの時間帯が、予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、この特定した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正する第3のステップ(ステップ1004〜1007)とを少なくとも有し、ステップ1007で修正した手話単語テンプレート905を手話単語パターン辞書格納部109に格納することを特徴とする。
また、(9)上記(8)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第3のステップは、第2のステップで選択した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素と置き換えて、手話単語テンプレート905を表現する各動作要素の組合せを1以上生成する第4のステップ(ステップ1004)と、このステップ1004で生成した組合せの内、各動作要素の時間帯の並びのずれが、手話単語テンプレート905における各動作要素の発生する時間順に対して予め設定された許容値内の組合せを抽出する第5のステップ(ステップ1005)と、このステップ1005で抽出した組合せの各動作要素を、それぞれ置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加して、手話単語テンプレート905を修正する第6のステップ(ステップ1006,1007)とを少なくとも有することを特徴とする。
また、(10)上記(9)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第4のステップ(ステップ1004)では、第2のステップ(ステップ1002,1003)で選択した各動作要素を、この各動作要素に置き換え可能な予め作成された手話単語テンプレート905の各動作要素毎に同時要素としてまとめ、かつ、この同時要素が、手話動作の内の手の形状、方向、位置等の静的な状態を記述した静的動作要素、もしくは、手話動作の内の手の動き方等の動的な状態を記述した動的動作要素のいずれからなるのか分類して、各同時要素単位で組合せを生成することを特徴とする。
また、(11)上記(10)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、それぞれ同じ時間帯で発生する手話単語テンプレート905の各動作要素を同時要素単位で逐次要素としてまとめ、この逐次要素単位で各動作要素を並べて手話単語テンプレート905を表現することを特徴とする。
また、(12)上記(11)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第5のステップでは、逐次要素を構成する同時要素が静的動作要素からなる静的同時要素であれば、同じ静的同時要素の各動作要素の発生時間帯を少なくとも一つ含む時間帯を、この静的同時要素の時間帯として求め、逐次要素を構成する同時要素が動的動作要素からなる動的同時要素であれば、この動的同時要素の各動作要素の時間帯を同時要素の時間帯として求め、逐次要素を構成する同時要素の求めた時間帯を全て含む時間帯を逐次要素の時間帯として求め、この求めた各逐次要素の時間帯の並びと、手話単語テンプレート905の各逐次要素の並びとのずれが、予め設定された閾値以内となる組合せを抽出することを特徴とする。また、(13)上記(12)に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、第6のステップでは、第5のステップで抽出した各組合せ(図25、1801,1802)の同時要素を構成する各動作要素の内、この動作要素が含まれる逐次要素の第5のステップで求めた時間帯以外で発生した動作要素を同時要素から削除し(図25)、残った同時要素の各動作要素を、同時要素単位および逐次要素単位で、手話単語テンプレート905に追加してこの手話単語テンプレート905の修正を行う(図26)ことを特徴とする。
また、(14)上記(8)から(13)のいずれかに記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、手話単語テンプレート905が、同じ手話動作を2以上の所定回数を繰返して表現される場合、手話単語テンプレート905に対する実際の手話動作の所定回数の繰り返し毎に、第2および第3のステップにおける発生時間順に矛盾しない動作要素の特定を繰り返し、この繰り返しの全てで特定された発生時間順に矛盾しない各動作要素を、置き換え可能な手話単語テンプレート905の各動作要素に追加することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、予め正しい動作要素が記述された手話単語テンプレートに、実際の手話動作の学習用手話データから得られた動作要素を追加して、手話単語パターン辞書を作成する。この時、学習用手話データから得られた動作要素が、手話単語テンプレートに追加して良いものか否かの選別を行なう。例えば、学習用手話データから得られた動作要素が、手話単語テンプレートの動作要素に類似しているか否か、および、発生する時間順序など手話動作における各動作要素の時間関係に大きなずれがないか否かを判別する。類似していないものや時間関係のずれが大きいものは、誤った動作のものとして、手話単語テンプレートに追加しない。
【0009】
以下、このような本発明の手話単語パターン辞書作成システムに係る実施例を、図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の手話単語パターン辞書作成システムの本発明に係る構成の一実施例を示すブロック図である。
本図1において、101は手話入力部、102は学習用手話データ格納部、103は本発明に係る動作要素認識部、104は動作要素認識用パターン格納部、105は動作要素リスト格納部、106は動作要素格納部、107は手話単語パターン辞書作成部、108は手話単語テンプレート格納部、109は手話単語パターン辞書格納部、110は手話単語テンプレート入力部、111は動作要素抽出部である。
【0010】
手話入力部101は、手話における手動作を電気信号に変換して手話データとして入力し、学習用手話データ格納部102に格納する。動作要素認識部103は、動作要素リスト格納部105に格納してある動作要素を列挙した動作要素リストの内容に従い、学習用手話データ格納部102中に格納してある手話データから動作要素を認識する。この動作要素認識部103による動作要素の認識の際に必要な動作要素のパターンや各種パラメータは、動作要素認識用パターン格納部104に格納されている。
動作要素認識部103によって認識された動作要素は動作要素格納部106に格納される。
【0011】
手話単語パターン辞書作成部107は、動作要素格納部106に格納されている動作要素と、手話単語テンプレート格納部108に格納されている手話動作の大まかな構造を記述した手話単語テンプレートとを用いて手話パターン辞書の作成を行ない、手話単語パターン辞書格納部109に格納する。
手話単語テンプレート入力部110は、手話単語テンプレートの内容を入力し、手話単語テンプレート格納部108に格納する。
【0012】
本発明に係る動作要素抽出部111は、手話単語テンプレート格納部108に格納されている手話単語テンプレート中に記述されている動作要素を抽出し、動作要素認識部103で認識すべき動作要素のリストを作成し、動作要素リスト格納部105に格納する。
特に、動作要素抽出部111は、手話単語テンプレート格納部108内の手話単語テンプレート中に記述されている動作要素を抽出するだけではなく、この抽出した各動作要素と予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素を、各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき抽出し、リストに載せ動作要素リスト格納部105に格納する。
【0013】
そして、動作要素認識部103は、手話単語テンプレート格納部108に格納された手話単語テンプレートに対応して手話入力部101から入力され学習用手話データ格納部102に格納された実際の手話動作の各動作要素を、それぞれが発生した時間帯と共に抽出し、この抽出した各動作要素の内、動作要素リスト格納部105に格納された各動作要素と一致し、かつ、発生した時間帯が手話単語テンプレートの各動作要素の発生時間帯と少しでも重なるものを選択して、動作要素格納部106に格納する。
【0014】
手話単語パターン辞書格納部109は、動作要素格納部106に格納された各動作要素から、それぞれが発生した時間帯が、学習用手話データ格納部102に格納された実際の手話動作の各動作要素の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、この特定した各動作要素を、それぞれ対応する各動作要素に追加して、手話単語テンプレートを修正し、この修正した手話単語テンプレートを手話単語パターン辞書格納部109に格納する。
以下、このような動作を行う手話単語パターン辞書作成システムに関してさらに詳細を説明する。
【0015】
図2は、図1における手話単語パターン辞書作成システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2において、手話入力装置201は、手話における手動作を電気信号に変換する装置であり、例えば、手袋にセンサを設置し、手の形状や動きを電気信号に変換する装置として良く知られている装置を利用することができる。このような手話入力装置201によって、手話の手動作は指の曲げ角度や手の位置などからなる多次元の時系列データに変換される。
【0016】
文字入力装置202は、手話単語テンプレートを記述するための文字を入力するための装置であり、キーボードなどの一般に使用される文字入力のための装置を使用することができる。演算装置203は、動作要素の認識や手話単語パターン辞書の作成を行う装置であり、メモリ205からプログラムを読み込み、そのプログラムに従って処理を行う。出力装置204は、手話単語パターン辞書の作成の処理過程や処理結果を表示し、確認するための装置であり、一般に使用されるCRTディスプレイなどの文字出力装置を使用することができる。
【0017】
メモリ205は、動作要素認識プログラム206、動作要素抽出プログラム207、および手話単語パターン辞書作成プログラム208を格納するための記憶装置である。メモリ209は、動作要素認識用パターン210、手話単語テンプレート211、および動作要素リスト212を格納するための記憶装置である。メモリ213は、入力装置201から入力された学習用手話データを格納するための記憶装置である。メモリ214は、学習用手話データから認識された動作要素を格納するための記憶装置である。メモリ215は、作成された手話単語パターン辞書を格納するための記憶装置である。
【0018】
図3は、図1における手話入力部によって変換された手動作データのフォーマット例を示す説明図である。
図3において、301は手の位置に関するデータであり、この手の位置301は、さらにx軸のデータ(x)302、y軸のデータ(y)303、z軸のデータ(z)304から構成されている。
また、305は手の方向に関するデータであり、この手の方向305は、x軸回りの角度(α)306、y軸回りの角度(β)307、z軸回りの角度(γ)308から構成されている。
【0019】
また、309は指の曲げに関するデータであり、この指の曲げ309は、親指の第2関節の曲げ角度(α1)310、親指の第3関節の曲げ角度(β1)311、人差し指の第1関節の曲げ角度(α2)312、人差し指の第2関節の曲げ角度(β2)313、中指の第1関節の曲げ角度(α3)314、中指の第2関節の曲げ角度(β3)315、薬指の第1関節の曲げ角度(α4)316、薬指の第2関節の曲げ角度(β4)317、小指の第1関節の曲げ角度(α5)318、小指の第2関節の曲げ角度(β5)319から構成されている。
【0020】
また、320〜322はそれぞれ、時刻t1、t2、tnにおける手の位置301、手の方向302、指の曲げ309の情報を表す。
このように、手話における動作は手の位置301、手の方向305、指の曲げ309からなる時系列データとして表される。
【0021】
図4は、図1における動作要素認識用パターン格納部に格納される動作要素を認識するためのパラメータの格納フォーマットを示す説明図である。
図4において、動作要素名401は、認識処理にそのパラメータを使用する動作要素の名称を、パラメータ数402は、その動作要素の認識に使用するパラメータの数を表し、403〜405は各パラメータを表す。
以下、図5〜図9を用いて、図1における手話単語テンプレート格納部108に格納される手話単語テンプレートのフォーマットについて詳細に説明する。
【0022】
図5は、動作要素によって表現した手話動作のモデルを示す説明図である。
本図5に示すように、手話の動作は、時間的に連続して生じる逐次要素501〜503の列で表すことができる。また、各逐次要素501〜503は、同じ時間範囲に生じる同時要素504〜506から構成される。さらに、各同時要素504〜506は、同じ時間範囲に存在する動作要素507〜509から構成されている。ここで、例えば、同時要素504を構成する動作要素507〜509は、同じ種類で属性のみ異なる動作要素であり、同時要素504中の動作要素507〜509のいずれかの動素要素が存在すれば、その同時要素504が存在すると見なされる。一方、逐次要素501中に含まれる同時要素504〜506が全て存在する場合のみ、その逐次要素501が存在すると見なされる。
【0023】
図6は、動作要素の種類を示す説明図である。
本図6に示すように、動作要素は、手の形状、手の方向、手の位置、および、直線、波線、両手の距離、両手の位置関係などの大分類と、それぞれの具体的な属性である小分類によって表現される。尚、動作要素によっては、さらに詳細な属性が付加される動作要素もある。
【0024】
図7は、図5で示したモデルに基づく手話単語テンプレートの記述フォーマット例を示す説明図である。
図7において、手話単語名701は、その動作要素の組み合わせが表す手話単語名を表す。繰り返し回数702は、動作要素の組み合わせによって表現される全体の動作が何回繰り返されるかを表す。逐次要素数703は、手話単語を構成する逐次要素の数である。逐次要素704〜706は、手話単語を構成する各逐次要素を表す。同時要素数707は、逐次要素を構成する同時要素の数である。同時要素708〜710は、逐次要素704を構成する各同時要素を表す。動作要素数711は、同時要素を構成する動作要素の数である。動作要素712〜714は、同時要素708を構成する各動作要素である。
【0025】
図8は、動作要素の記述フォーマット例を示す説明図である。
本図8において、801は、図6に示した動作要素の大分類および小分類の組、802は、その動作要素を表現するために使用される手の種類および部位であり、手の種類には、「右」あるいは「左」のいずれかを記述する。また、部位に関しては、方向に関係する動作要素の場合、「指先」、「法線」、「側面」、「親指」、「人差し指」、「中指」、「薬指」、「小指」が、また、位置に関係する動作要素の場合、「掌」、「親指」、「人差し指」、「中指」、「薬指」、「小指」のいずれかを記述する。図中803,804は、動作要素の大分類および小分類以外の属性であり、動作要素によって列挙される個数が異なる。
【0026】
図9は、図3から図8で述べた手話単語テンプレートの記述フォーマットに従って記述した手話単語テンプレートの一例を示す説明図である。
本図9に示す手話901は、「とても」という意味の手話であり、「動作開始時の状態」902、「直線運動の状態」903、「動作終了時の状態」904の逐次的に生じる3つの状態によって表される。これらの状態からなる手話901の手話単語テンプレートを905に示す。
【0027】
この手話単語テンプレート905において、逐次要素906〜908は、それぞれ手話901の状態902〜904に対応する。逐次要素906は、2つの同時要素909,910から構成されており、各同時要素909,910は、それぞれ、「形状」911および「方向」912の動作要素から構成される。同様に逐次要素907は、1つの同時要素で「直線」、逐次要素908は、2つの逐次要素でそれぞれ「形状」および「方向」の同時要素から構成されている。
この手話単語テンプレート905に記述されている動作要素は、図8で述べた属性が省略されているが、実際には動作要素に応じていくつかの属性を付加することもできる。小分類および属性が記述された場合は、手話単語パターン辞書を作成する際の基準値として使用される。
【0028】
次に、図10から図26を用いて、手話単語パターン辞書を作成する方法について詳細に説明する。
図10は、本発明に係る手話単語パターン辞書の作成処理の一実施例を示すフローチャートである。
本図10において、ステップ1001は図1における動作要素抽出部111、ステップ1002は図1における動作要素認識部103、ステップ1003〜ステップ1007は図1における手話単語パターン辞書作成部107の処理に対応する。
以下、ステップ1001〜ステップ1007におけるそれぞれの処理を順次説明する。
【0029】
ステップ1001において、手話単語テンプレートからその中に記述されている動作要素を抽出し、動作要素リストを作成する。この動作要素リストを作成する場合、まず、手話単語テンプレート中の動作要素について、図11に示すような動作要素の大分類、小分類、手の種類および手の部位、からなるリストを作成する。尚、手話単語テンプレート中で小分類が指定されていない動作要素については、小分類の項目は省略される。また、この図11に示すリストにおいては、全ての属性は省かれる。
そして、このようにして作成されたリスト中の各動作要素について、大分類は同一で、かつ、その動作要素の小分類を基準として、小分類が空間的にある範囲に含まれる動作要素をリストに追加する。
【0030】
このような動作要素のリストへの追加に関して、図12を用いて説明する。
例えば、大分類が「方向」で、小分類が「上」であるとすると、図12のように、「上」1201を中心とするある範囲1204に含まれる小分類を持つ「方向」が動作要素リストに追加される動作要素として選択される。図12の場合、「上内」1202と「上外」1203を持つ「方向」が追加されることになる。ここで、範囲1204は、任意に設定することができるが、手話単語パターン辞書作成時の検索範囲を小さくするために、通常は、特徴パラメータ空間において、中心となる小分類に隣合う小分類のみが選択されるように設定する。また、小分類が省略された動作要素に関しては、その大分類に対応する全ての小分類が選択される。
【0031】
図13に、このようにして作成した動作要素リストの一例を示す。
この図13における動作要素リスト中の動作要素1301,1303,1305,1307は、図9に示した手話単語テンプレートから抽出された動作要素である。また、斜線で示した動作要素1302,1304,1306,1308は追加された動作要素である。
【0032】
図10に戻り、ステップ1002の処理を説明する。
このステップ1002においては、学習用手話データから、ステップ1001で選択された図13に示す動作要素リスト中の動作要素の認識を行なう。この動作要素の認識は、図1の動作要素認識部103によって行なわれる。以下、この動作要素認識部103について説明する。
【0033】
図14は、図1における動作要素認識部の構成例を示すブロック図である。
本図14の動作要素認識部103において、特徴パラメータ抽出部1401では、入力された学習用手話データから、速度や加速度、曲率など、動作要素を認識するために必要なパラメータの抽出を行なう。
パラメータ選択部1402では、例えば図13に示すような動作要素リスト中の動作要素を参照し、それぞれの動作要素の認識に必要なパラメータを選択し、該当する各認識部に送る。形状認識部1403、方向認識部1404、位置認識部1405、直線認識部1406、円認識部1407は、それぞれの動作要素を認識するための認識部であり、認識を行なう必要のある動作要素の種類それぞれに対して用意される。
【0034】
これらの各認識部では、パラメータ選択部1402から送られてきた特徴パラメータと、図1における動作要素認識用パターン格納部104に格納されている動作要素認識用パターン中の該当する動作要素のパターンを使用して、その動作要素の認識を行ない、結果を出力する。それぞれの動作要素を認識するための技術としては、例えば、特願平6−253457号(「手話認識装置」)に記載の技術等を用いて容易に行なうことができる。
【0035】
このようにして、動作要素認識部103において認識された動作要素の出力結果の一例を図15に示す。
この図15に示すように、図14の動作要素認識部103で認識された動作要素は、始点1501、終点1502、評価値1503、および動作要素1504の4つの項目の組によって記述され、この4項目の組のリスト形式で図1の動作要素格納部106に格納される。
【0036】
図10に戻り、ステップ1003の処理を説明する。
このステップ1003においては、図1の動作要素認識部103で認識された動作要素から、図1の手話単語テンプレート格納部108に格納されている手話単語テンプレート中の動作要素に対応する動作要素を検索し、手話単語テンプレート中の動作要素と、認識された動作要素の対応表を作成する。
この対応表の作成において、動作要素間の対応は、同時要素を単位として求める。また、同時要素に含まれる動作要素が形状や方向のように静的であるか、あるいは、直線や円のように動的であるかによって対応を求める処理が異なる。
【0037】
例えば、静的な動作要素の場合は、次の図16の例に示すように、同時要素に含まれる動作要素あるいは、その動作要素の小分類を基準としたある範囲内に含まれる小分類を持つ動作要素のいずれかが検出されている連続した区間を求め、その中に含まれる動作要素の組をその同時要素に対応する動作要素とする。
すなわち、図16において、中心となる小分類を持つ動作要素を「形状・ア」1601,1602、その小分類を中心としたある範囲内の小分類を持つ動作要素を「形状・モ」1603および「形状・サ」1604とすると、時刻1605と時刻1606の間の区間にある動作要素の組「形状・ア」、「形状・モ」および「形状・サ」が同時要素に対応する動作要素として対応表に登録される。
【0038】
また、動的な動作要素の場合は、動き全体を単位として認識が行なわれるため、一つの認識された動作要素が同時要素中のいずれかの動作要素と同じであれば、その動作要素は、単独で、その同時要素に対応する動作要素として対応表に登録される。
このようにして作成された動作要素の対応表の一例を図17に示す。
この図17における対応表は、図9に示した手話単語テンプレート905と、図15に示した動作要素認識結果から求められた対応表である。
【0039】
図17において、組合せ数1706は、その同時要素に対応する動作要素の組の数であり、この後に動作要素の組合せ1707が記述される。
ここで、静的な同時要素は1701,1702,1704,1705であり、動的な同時要素は1703のみである。同時要素1701,1702,1705では、手話単語テンプレートに記述された動作要素と、その動作要素の小分類を中心としたある範囲内に含まれる小分類を持つ動作要素の組1707〜1709が各同時要素に対応している。一方、同時要素1703に対しては、動作要素1710〜1712の各々が対応している。
【0040】
図10に戻り、ステップ1004の処理を説明する。
このステップ1004においては、手話単語テンプレート中の動作要素との対応関係を求めて認識された図17に示される各動作要素を用いて、辞書に格納する手話単語パターンの候補となる動作要素の組合せを求める。この場合も、ステップ1003と同様に、同時要素を単位として、同時要素に対応する動作要素の組を1つずつ選択することによって、次の図18に示すような組合せを求める。
【0041】
この図18では、図17の対応表を用いて作成した手話単語パターンの候補を示し、図17の対応表では、同時要素1701〜1705に対して、それぞれ1組、1組、3組、1組、1組の動作要素の組が対応しているため、手話単語パターンの候補としては、これらの組合せの総数である「1×1×3×1×1=3」通りの候補が作成される。図18においては、作成された3つの手話単語パターン組合せの候補1801〜1803が示されている。同時要素に対応する動作要素の組は、同時要素1703を除いて1組だけであるため、図18に示された3つの手話単語パターン組合せの候補1801〜1803においては、同時要素1703に対応する動作要素1804〜1806のみが異なっている。
【0042】
図10に戻り、ステップ1005の処理を説明する。
このステップ1005においては、ステップ1004で求めた図18の手話単語パターン候補中の動作要素間の時間的な関係が許容範囲内であるかどうかを判定する。この時間的な関係も、同時要素を単位として判定を行なう。このためまず、同時要素の時間範囲を求める。ここで、静的な動作要素から構成される同時要素の場合は、同時要素に対応する動作要素の少なくとも1つが存在する連続した時間範囲を、その同時要素が存在する時間範囲とする。また、動的な同時要素の場合は、その同時要素に対応する動作要素の時間範囲をその同時要素の存在する時間範囲とする。
【0043】
手話単語テンプレートに記述されている同時要素および逐次要素の時間的な関係は、理想的な状態を表す。すなわち、図19に示すように、逐次要素に含まれる同時要素は全て同じ時間範囲に存在し、また、それぞれの逐次要素は互いの時間範囲に重なりもギャップも存在しない。
図19は、図9の手話単語テンプレート905が表す同時要素、逐次要素の関係を示しており、逐次要素1901〜1903の間には全く時間的な重なりもギャップも存在しない。しかし、学習用手話データから認識された動作要素に基づき構成される同時要素や逐次要素は、図19に示されるような理想的な関係になることはなく、同時要素間にずれが生じたり、逐次要素間に重なりやギャップが生じる。以下、その説明を行う。
【0044】
図20は、図18の手話単語パターンの候補における同時要素の時間的な関係を示す説明図である。
本図20で示すように、それぞれ静的な同時要素2001と同時要素2002の間、および、同時要素2004と同時要素2002の間には、時間範囲にずれが生じている。また、各逐次要素に相当する範囲と考えられる同時要素2001、同時要素2002、同時要素2004の間には、時間的な重なりが生じている。
このため、手話単語パターンの候補の判定は、手話単語テンプレートが示す理想的な同時要素間、および、逐次要素間の関係を基準として、重なりやギャップが許容範囲内であるかどうかを判定することにより行なう。
【0045】
これを行なうために、まず、各逐次要素に含まれる同時要素間の重なりを評価する。重なりの評価には、i番目の同時要素の時間範囲を(「Si、Ei」)として、次の「数1」に示す重なり度rを定義し、この重なり度の値が、予め設定してある閾値Ts以上の場合、その逐次要素が存在すると判定する。
【数1】
【0046】
図21において、範囲2101が「数1」の分子、範囲2102が分母に対応する。同時要素間の関係が許容範囲内であると判定された逐次要素の時間範囲は、その逐次要素に含まれる同時要素に共通の時間範囲、すなわち、図21において範囲2101に相当する範囲とする。尚、同時要素間の重なり度として、逐次要素に含まれる同時要素から2つの同時要素を選択し、全ての組合せに対して「数1」と同様の式で2つの同時要素間の重なり度を求め、その平均を用いても良い。また、検出された逐次要素の時間範囲として、その逐次要素に含まれる同時要素の時間範囲の平均値を用いても良い。
【0047】
各逐次要素中の同時要素間の関係が許容範囲内であると判定された場合、次に、逐次要素間の関係の評価を行なう。これを行なうためには、i番目とi+1番目の逐次要素について次の「数2」に示す評価値eを定義し、この評価値eがあらかじめ設定してある範囲(「To,Tg」)の範囲内にある場合、i番目とi+1番目の逐次要素の時間的な関係は許容値以内であると判定する。
【数2】
【0048】
図22において、範囲2201、範囲2203が「数2」の分子、範囲2202、範囲2204が分母に対応する。この図22では、各同時要素は、逐次要素の範囲に含まれる部分のみ示してある。
検出された逐次要素間の関係が許容範囲内にない場合を、図23に示す。
図23は、図18に示した手話単語パターン候補1803に対応する図であり、この場合、逐次要素2302と逐次要素2303は時間的な関係が逆転しており、「数2」の条件を満たさないため許容範囲外であると判定される。
【0049】
このような「数2」に基づく判定によって、全ての隣合う逐次要素間の関係が許容範囲内であると判定された手話単語パターン候補が、手話単語パターン辞書の作成に使用される。
尚、繰り返し回数が2回以上の場合、繰り返し回数分の逐次要素間の関係について同様な評価を行なう。
また、逐次要素間の関係の評価値として、逐次要素間のギャップあるいは重なりの大きさをそのまま使用してもよい。また、常に、或る大きさのギャップあるいは重なりが生じる場合、ギャップや重なりの平均値を基準値とし、そこからのずれの大きさに対して評価値を求めてもよい。
【0050】
図10に戻り、ステップ1006の処理を説明する。
このステップ1006においては、ステップ1005で許容範囲内であると判定された手話単語パターンの候補を用いて、手話単語テンプレートを修正するための修正用動作要素リストを作成する。この処理は、基本的にはステップ1004と逆の処理である。例えば、図18に示した手話単語パターンの候補の場合、許容範囲外であると判定された候補1803以外の、候補1801、候補1802を用いて、同時要素と動作要素の対応表を再構築する。ただし、静的な動作要素を含む同時要素については、候補中の動作要素の組合せにより検出された逐次要素の範囲に含まれない動作要素は削除される。
【0051】
以下、ステップ1006の処理を図24を用いて説明する。
図24において、動作要素2401〜2403からなる同時要素は、静的な「方向」の動作要素を含み、逐次要素2404,2405のいずれにも含まれる同時要素とする。この場合、逐次要素2404の範囲内には、動作要素2403は含まれないため、逐次要素2404中のこの同時要素に対応する動作要素は、動作要素2401,2402のみとなる。同様に、逐次要素2405中のこの同時要素に対応する動作要素は、動作要素2402,2403のみとなる。
【0052】
このようにして作成した、図18の手話単語パターンの候補に対応する修正用動作要素リストを図25に示す。
このような図10のステップ1006での処理により、図18では3つの動作要素から構成されていた同時要素1807および同時要素1808の部分には、図25において、2501および2502に示すように、2つの動作要素のみが対応する。
【0053】
図10に戻り、最後のステップ1007の処理を説明する。
このステップ1007においては、ステップ1006で作成された修正用動作要素リストを用いて手話単語テンプレートの内容を修正することにより、手話単語パターン辞書を作成する。
図9の手話単語テンプレート905を、図25の修正用動作要素リストによって修正して作成した手話単語パターン辞書を図26に示す。
この図26に示すように、同時要素2601〜2604に、学習用手話データから認識された動作要素が追加されている。
【0054】
以上、図1〜図26を用いて説明したように、本実施例の手話単語パターン辞書作成システムおよび方法では、ユーザによって手話の大まかな構造のみが定義された手話単語テンプレートをもとに、学習用手話データから必要な動作要素の認識を行ない、この認識した動作要素から、手話単語テンプレート中の動作要素に対応する動作要素を検索し、この検索した動作要素間の関係が許容範囲内であるかどうかを検証し、この検証の結果、動作要素間の関係が許容範囲内の場合に、その動作要素によってテンプレートを修正することにより、手話単語パターン辞書を作成する。
【0055】
このことにより、ユーザは、手話の大まかな構造のみを記述すれば良いので、手話単語パターン辞書作成時に必要なユーザの労力を減らすことができる。また、実際の手話から得られた動作要素によって手話単語パターン辞書を作成できるため、精度の良い認識を行なうことができるようになる。
尚、本発明は、図1〜図26を用いて説明した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、実際の手話動作に対応できる精度の高い手話単語パターン辞書を自動的に作成することができ、状況や個人差による手話動作の変動にも効率良く対応して正しい認識を行う高性能な手話認識装置を容易に構築することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手話単語パターン辞書作成システムの本発明に係る構成の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1における手話単語パターン辞書作成システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図1における手話入力部によって変換された手動作データのフォーマット例を示す説明図である。
【図4】図1における動作要素認識用パターン格納部に格納される動作要素認識用パターンのフォーマット例を示す説明図である。
【図5】動作要素によって表現された手話動作のモデルを示す説明図である。
【図6】手話単語を構成する動作要素の種類を示す説明図である。
【図7】図5で示したモデルに基づく手話単語テンプレートの記述フォーマット例を示す説明図である。
【図8】動作要素の記述フォーマット例を示す説明図である。
【図9】手話単語テンプレートの一例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る手話単語パターン辞書の作成処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図11】手話単語テンプレート中の動作要素リストのフォーマット例を示す説明図である。
【図12】図11における動作要素リストに追加される動作要素の選択範囲例を示す説明図である。
【図13】図1の動作要素抽出部で抽出された動作要素リスト例を示す説明図である。
【図14】図1における動作要素認識部の構成例を示すブロック図である。
【図15】図1における学習用手話データ格納部に格納される学習データに基づく動作要素認識部による動作要素の認識結果例を示す説明図である。
【図16】図1における動作要素認識部による断続的な静的動作要素から構成される同時要素の抽出例を示す説明図である。
【図17】図1における動作要素認識部の認識結果により出力された動作要素の対応表の一例を示す説明図である。
【図18】図1における手話単語パターン辞書作成部で作成された手話単語パターン候補の一例を示す説明図である。
【図19】図9の手話単語テンプレートが表す同時要素と逐次要素の関係例を示す説明図である。
【図20】図18の手話単語パターン候補における同時要素間の時間的な関係を示す説明図である。
【図21】数1で表される同時要素間の重なり状態例を示す説明図である。
【図22】数2で表される逐次要素間の重なり状態例およびギャップ状態例を示す説明図である。
【図23】図18における3番目の手話単語パターン候補の各逐次要素の位置関係を示す説明図である。
【図24】同時要素中の静的な動作要素と逐次要素との位置関係を示す説明図である。
【図25】図1における手話単語パターン辞書作成部により作成された修正用動作要素リストの一例を示す説明図である。
【図26】図1における手話単語パターン辞書作成部により作成された手話単語パターン辞書の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
101:手話入力部、102:学習用手話データ格納部、103:動作要素認識部、104:動作要素認識用パターン格納部、105:動作要素リスト格納部、106:動作要素格納部、107:手話単語パターン辞書作成部、108:手話単語テンプレート格納部、109:手話単語パターン辞書格納部、110:手話単語テンプレート入力部、111:動作要素抽出部、201:手話入力装置、202:文字入力装置、203:演算装置、204:出力装置、205:メモリ、206:動作要素認識プログラム、207:動作要素抽出プログラム、208:手話単語パターン辞書作成プログラム、209:メモリ、210:動作要素認識用パターン、211:手話単語テンプレート、212:動作要素リスト、213〜215:メモリ、301:手の位置のデータ、302:x軸のデータ(x)、303:y軸のデータ(y)、304:z軸のデータ(z)、305:手の方向データ、306:x軸回りの角度(α)、307:y軸回りの角度(β)、308:z軸回りの角度(γ)、309:指の曲げデータ、310:親指の第2関節の曲げ角度(α1)、311:親指の第3関節の曲げ角度(β1)、312:人差し指の第1関節の曲げ角度(α2)、313:人差し指の第2関節の曲げ角度(β2)、314:中指の第1関節の曲げ角度(α3)、315:中指の第2関節の曲げ角度(β3)、316:薬指の第1関節の曲げ角度(α4)、317:薬指の第2関節の曲げ角度(β4)、318:小指の第1関節の曲げ角度(α5)、319:小指の第2関節の曲げ角度(β5)、320〜322:情報、401:動作要素名、402:パラメータ数、403〜405:パラメータ、501〜503:逐次要素、504〜506:同時要素、507〜509:動作要素、601:動作要素大分類、602:動作要素小分類、701:手話単語名、702:繰り返し回数、703:逐次要素数、704〜706:逐次要素、707:同時要素数、708〜710:同時要素、711:動作要素数、712〜714:動作要素、801:動作要素の大分類および小分類の組、802:手の種類および部位、803,804:動作要素の大分類および小分類以外の属性、901:手話、902:「動作開始時の状態」、903:「直線運動の状態」、904:「動作終了時の状態」905:手話単語テンプレート、906〜908:逐次要素、909,910:同時要素、911:動作要素「形状」、912:動作要素「方向」、1101〜1103:動作要素、1201:「上」、1202:「上内」、1203:「上外」、1204:範囲、1301〜1308:動作要素、1401:特徴パラメータ抽出部、1402:パラメータ選択部、1403:形状認識部、1404:方向認識部、1405:位置認識部、1406:直線認識部、1407:円認識部、1501:始点、1502:終点、1503:評価値、1504:動作要素、1601,1602:「形状・ア」、1603:「形状・モ」、1604:「形状・サ」、1605,1606:時刻、1701〜1705:同時要素、1706:組合せ数、1707〜1709:動作要素の組合せ、1710〜1712:動作要素、1801〜1803:手話単語パターン組合せの候補、1804〜1806:動作要素、1901〜1903:逐次要素、2001,2002〜2004:同時要素、2101,2102:範囲、2201〜2204:範囲、2301〜2303:逐次要素、2401〜2403:動作要素、2404,2405:逐次要素、2601〜2604:同時要素。
Claims (9)
- 手話動作における手の形状、方向、位置、および動き方等をそれぞれ記述した動作要素を、発生する時間順に並べた組合せで表現された手話単語を予め格納する手話単語パターン辞書格納手段を具備し、入力された実際の手話動作の上記各動作要素を時間順に抽出し、該抽出した各動作要素および時間順に対応する手話単語を上記手話単語パターン辞書格納手段から抽出して上記実際の手話動作の認識を行なう手話認識装置における上記手話単語パターン辞書の作成システムであって、予め作成された手話単語Wの上記各動作要素を抽出すると共に、該抽出した各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき、上記抽出した各動作要素と予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素を抽出する動作要素抽出手段と、上記手話単語Wに対応する実際の手話動作の各動作要素を、それぞれが発生した時間帯と共に抽出し、該抽出した各動作要素の内、上記動作要素抽出手段で抽出した各動作要素と一致し、かつ、発生した時間帯が上記予め作成された手話単語Wの各動作要素の発生時間帯と少しでも重なるものを選択する動作要素認識手段と、該動作要素認識手段で選択した各動作要素から、該各動作要素が発生したそれぞれの時間帯が、上記予め作成された手話単語Wの上記各動作要素の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、該特定した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な上記手話単語Wの各動作要素に追加して、上記手話単語Wを修正する手話単語パターン辞書作成手段とを少なくとも有し、上記手話単語パターン辞書作成手段で修正した上記手話単語Wを上記手話単語パターン辞書格納手段に格納することを特徴とする手話単語パターン辞書作成システム。
- 請求項1に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、上記動作要素抽出手段は、上記予め作成された手話単語Wの各動作要素を中心とした空間の所定の範囲内に含まれる同じ種類の動作要素を、上記手話単語Wの各動作要素と置き換え可能な動作要素として抽出することを特徴とする手話単語パターン辞書作成システム。
- 請求項1、もしくは、請求項2のいずれかに記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、上記手話単語パターン辞書作成手段は、上記動作要素認識手段で選択した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な上記手話単語Wの各動作要素と置き換えて、上記手話単語Wを表現する各動作要素の組合せを1以上生成し、該生成した組合せの内、各動作要素の上記時間帯の並びのずれが、上記手話単語Wにおける各動作要素の発生する時間順に対して予め設定された許容値内の組合せを抽出し、該抽出した組合せの各動作要素を、それぞれ置き換え可能な上記手話単語Wの各動作要素に追加して、上記手話単語Wを修正することを特徴とする手話単語パターン辞書作成システム。
- 請求項3に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、上記手話単語パターン辞書作成手段は、上記動作要素認識手段で選択した各動作要素を、該各動作要素に置き換え可能な上記予め作成された手話単語Wの各動作要素毎に同時要素としてまとめ、かつ、該同時要素が、上記手話動作の内の上記手の形状、方向、位置等の静的な状態を記述した静的動作要素、もしくは、上記手話動作の内の上記手の動き方等の動的な状態を記述した動的動作要素のいずれからなるのか分類して、上記各同時要素単位で上記組合せを生成することを特徴とする手話単語パターン辞書作成システム。
- 請求項4に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、それぞれ同じ時間帯で発生する上記手話単語Wの各動作要素を上記同時要素単位で逐次要素としてまとめ、該逐次要素単位で上記各動作要素を並べて上記手話単語Wを表現することを特徴とする手話単語パターン辞書作成システム。
- 請求項5に記載の手話単語パターン辞書作成システムにおいて、上記手話単語パターン辞書作成手段は、上記逐次要素を構成する同時要素が上記静的動作要素からなる静的同時要素であれば、同じ上記静的同時要素の各動作要素の発生時間帯を少なくとも一つ含む時間帯を、該静的同時要素の時間帯として求め、上記逐次要素を構成する上記同時要素が上記動的動作要素からなる動的同時要素であれば、該動的同時要素の各動作要素の時間帯を上記同時要素の時間帯として求め、上記逐次要素を構成する上記同時要素の上記求めた時間帯を全て含む時間帯を、上記逐次要素の時間帯として求め、該求めた各逐次要素の時間帯の並びと、上記手話単語Wの各逐次要素の並びとのずれが、上記予め設定された閾値以内となる組合せを抽出することを特徴とする手話単語パターン辞書作成システム。
- 手話動作における手の形状、方向、位置、および動き方等をそれぞれ記述した動作要素を、発生する時間順に並べた組合せで表現された手話単語を手話単語パターン辞書として予め格納し、入力された実際の手話動作の上記各動作要素を時間順に抽出し、該抽出した各動作要素および時間順に対応する手話単語を上記手話単語パターン辞書から抽出して上記実際の手話動作の認識を行なう手話認識装置における上記手話単語パターン辞書の作成方法であって、
予め作成された手話単語Wの上記各動作要素を抽出すると共に、該抽出した各動作要素のそれぞれの記述内容に基づき、上記抽出した各動作要素と予め定められた度合いで類似する置き換え可能な各動作要素を抽出する第1のステップと、
上記手話単語Wに対応する実際の手話動作の各動作要素を、それぞれが発生した時間帯と共に抽出し、該抽出した各動作要素の内、上記第1のステップで抽出した各動作要素と一致し、かつ、発生した時間帯が上記予め作成された手話単語Wの各動作要素の発生時間帯と少しでも重なるものを選択する第2のステップと、該第2のステップで選択した各動作要素から、該各動作要素が発生したそれぞれの時間帯が、上記予め作成された手話単語Wの上記各動作要素の発生時間順に矛盾しない動作要素を特定し、該特定した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な上記手話単語Wの各動作要素に追加して、上記手話単語Wを修正する第3のステップとを少なくとも有し、
上記第3のステップで修正した上記手話単語Wを上記手話単語パターン辞書格納手段に格納することを特徴とする手話単語パターン辞書作成方法。 - 請求項7に記載の手話単語パターン辞書作成方法において、上記第3のステップは、上記第2のステップで選択した各動作要素を、それぞれ置き換え可能な上記手話単語Wの各動作要素と置き換えて、上記手話単語Wを表現する各動作要素の組合せを1以上生成する第4のステップと、
該第4のステップで生成した組合せの内、各動作要素の上記時間帯の並びのずれが、上記手話単語Wにおける各動作要素の発生する時間順に対して予め設定された許容値内の組合せを抽出する第5のステップと、
該第5のステップで抽出した組合せの各動作要素を、それぞれ置き換え可能な上記手話単語Wの各動作要素に追加して、上記手話単語Wを修正する第6のステップと
を少なくとも有することを特徴とする手話単語パターン辞書作成方法。 - 請求項7、もしくは、請求項8のいずれかに記載の手話単語パターン辞書作成方法において、上記手話単語Wが、同じ手話動作を2以上の所定回数を繰返して表現される場合、上記手話単語Wに対する実際の手話動作の上記所定回数の繰り返し毎に、上記第2および第3のステップにおける上記発生時間順に矛盾しない動作要素の特定を繰り返し、該繰り返しの全てで特定された上記発生時間順に矛盾しない各動作要素を、上記置き換え可能な手話単語Wの各動作要素に追加することを特徴とする手話単語パターン辞書作成方法。
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