JP3561263B2 - 温湿度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度および湿度を測定する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置、プリント基板あるいは湿度センサーなどの中には、結露や水濡れによって性能が悪化したり、あるいは作動不良等の不具合が発生するものもある。このため、これらの装置を密閉したハウジングに収納したり、スペースヒーターを設けたり、あるいはある一定の条件の環境下で使用することで上記のようなトラブルあるいは性能の劣化を防止している。しかしながら、結露や水濡れを完全に防止することは非常に困難であり、また、湿度測定装置などにおいては感湿部を被ってしまうことはできないので結露や水濡れを防止することは不可能である。このような装置において、万一結露や水濡れがあり、これに起因した性能の劣化が予想される場合には、早急に不良の発生する可能性のある部分を交換することが必要となる。また、性能の劣化や不具合が発生した場合に、結露や水濡れが起きたか否かによって対処が異なる場合があり、このようなケースにおいては結露や水濡れの有無を判断できることが望ましい。
【0003】
特に、セラミック基板や無機塩、あるいは高分子といった感湿部を用いた湿度測定装置のように、周囲の雰囲気によってイオン伝導性や誘電率等の表面の物性値が可逆的に変化する性質を用いた測定装置においては、感知部が結露や水濡れに曝されると性能が劣化し、校正値が変化したり、測定誤差が発生するなどの原因となる。従って、精度良く安定した測定結果が求められる測定装置においては、結露や水濡れがあった場合に、感知部の交換や校正のやり直しが必要であることを明示する機能を備えていることが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような機能を満足する結露や水濡れを検知できる簡単な装置はなく、湿度測定装置によって湿度を検出しその結果から類推したり、あるいは、結露や水濡れが実際に起きたか否かに関係なく、そのような環境下に設置された装置においては定期的に部品や感知部を交換してしまうなどの措置が取られている。従って、確実にトラブルを防止し性能を発揮させるためには短周期で部品を交換したり、装置の設置された環境を一定に維持するなどの対策が必要となるのでコストがかかる。一方、湿度などを測定する装置においては、雰囲気の変化を阻止することは不可能であり、定期的に感知部を交換するか、あるいは性能が劣化したと思われるとすぐに交換する程度の対策しか取りえなかった。
【0005】
そこで、本発明においては、結露や水濡れを簡単に、かつ、確実に検知できる簡易な構造の検出装置を提供することを目的としている。そして、結露や水濡れによる性能の劣化やトラブルを未然に防止可能にすると共に、装置の性能を維持するコストを削減可能な検出装置を提供することも本発明の目的の1つである。さらに、結露や水濡れを確実に検出し、表示できる機能を付加した湿度等の測定装置を提供することも本発明の目的の1つである。そして、この機能を付加することによって湿度等を確実に精度良く測定可能な湿度等の測定装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、センサーの設置された環境の温度および湿度の変化を測定して表示用のパネルに表示可能な温湿度測定装置であって、センサーが接続コードを介して繋がった温湿度測定装置を提供する。すなわち、本発明の温湿度測定装置は、表面に表示用のパネルを備えた本体と、この本体に接続コードを介して繋がったセンサーとを有し、センサーの内部には、温度の測定素子および湿度の測定素子が収納されており、本体は、センサーの設置された環境の温度および湿度の変化を測定して表示用のパネルに表示可能なものである。このセンサーは温度の測定素子および湿度の測定素子が周囲の空気と良好に接触するように設けられた流通口に加え、当該センサーの水濡れの有無を示す水濡れ表示部と、当該センサーの表面から水濡れ表示部が見える水濡れ表示窓とを備えており、センサーに水濡れがあったときなどは、センサーを交換するなどの適切な対応を迅速にとることができる。したがって、水分による色の変化が残る水濡れ表示部の表示に基づきセンサーの状況を的確に監視できるので、確実に精度の高い測定が可能となり、また、センサーの交換等に必要なコストを最小限に止めることが可能となる。
【0007】
また、本体は、測定中の温度または湿度に応じた適切な基準抵抗を自動的に選択して測定値を校正する機能を設けることにより、広い測定範囲にわたって精度の良い測定ができる。さらに、本体を、データ集積装置とケーブルを介して接続できるようにすることにより、計測された湿度および温度の変化を集中管理できる温湿度測定装置を提供できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を説明する。図1に、本発明の水濡れ検出機能を備えた温湿度測定装置を示してある。この温湿度測定装置1は、表面に表示用の液晶パネル11を備えた本体10と、この本体10に接続コード21を介して繋がったセンサー20を備えており、センサー20の設置された環境の温度と湿度の変化を測定し液晶パネル11に表示することができる。同時に、本例の温湿度測定装置1は、パソコン等のデータ集積装置(不図示)とケーブル12を介して接続できるようになっており、一か所、あるいは複数箇所に設置された本例の温湿度測定装置1で計測された湿度、温度の変化の様子をパソコンでグラフや表にして表示あるいはプリントアウトでき、このような方法で多くの場所の環境を集中管理できるようになっている。さらに、本例の温湿度測定装置1は、本体10の内部に複数の基準抵抗を備えた校正機能を備えており、それらから測定中の温度あるいは湿度に応じた適切な基準抵抗を自動的に選択するようになっている。このような校正機能を設けることによって、従来の測定装置では難しかった広い測定範囲にわたって精度の良い測定ができる温湿度測定装置を実現している。
【0009】
センサー20は、内部に温度の測定素子および湿度の測定素子が収納されている。また、これらの測定素子が周囲の空気と良好に接触し高感度の測定が行われるようにセンサー20の表面22に複数の流通口23が設けてある。本例のセンサー20の表面22には、さらに、水濡れ表示窓24と高温表示窓25が設けてある。水濡れ表示窓24は、センサー20の内部が結露したり、あるいはセンサー20に水がかかるなどの原因によって湿度の測定素子が水に濡れた可能性があるときに色が変わり、その後、原因が除去されても色は元に戻らず、結露や水濡れが起きたことを明示できるようになっている。高温表示窓25は、センサー20が高温、例えば60°C以上の温度に曝されると変色し、そのような環境下にセンサー20が置かれたことを明示できるようになっている。これらの表示窓24および25は、センサー20が、それに収納された温度および湿度の測定素子に悪影響を与える可能性のある環境下に置かれたことを警告するためのものである。そして、これらの表示機能によってセンサー20の性能を担保でき、本体10に設けられた上記の校正機能と相まって高精度で確実な測定を行えるようになっている。さらに、センサー20の周囲が高温あるいは結露といった環境になった場合は、これらの表示窓24および25の変色によってそのような状況を確実に把握でき、センサー20を交換するなどの適切な対応を迅速にとることができる。このように、本例の温湿度測定装置は、常に正常なセンサー20によって温度および湿度の測定を行うことができるので、環境の変化が大きな場所であっても、安心して測定装置を設置でき、精度の高い測定を行うことができる。
【0010】
図2に、センサー20の表面22を覆う蓋26を開いた様子を示してある。センサー20の内部には、温度の測定素子であるサーミスタ31と湿度の測定素子であるセラミック基板を用いた湿度センサー32の搭載された測定用の基板30が収納されており、この基板30と本体とが接続コード21によって繋がっている。さらに、この測定用の基板30に隣接した水濡れ表示窓24に対応した部分に、水濡れや結露による水分で変色する水濡れ感知シール34が貼りつけられており、また、高温表示窓25に対応した部分に温度によって変色する温度感知シール35が貼りつけられている。
【0011】
本例の水濡れ感知シール34は、白色の上質紙36の表面に水溶性の色素を含有した塗料37が点状に離散して塗布されている。従って、水濡れや結露の発生していない正常な状態では、水濡れ感知シール34の表面は、紙36の色、すなわち白色に見える。これに対し、水塗れや結露があると、紙36の表面の水分によって塗料37に含有された水溶性の色素が溶け出し、紙36が色素の色、例えば青や赤に染まる。そして、紙36が乾いた後であってもその色は消えない。従って、本例のセンサー20においては、正常時は水濡れ表示窓24は白色であり、いったん、結露や水濡れが起きると水濡れ表示窓24が青や赤などに変色し、結露や水濡れが起きたことが明確に判るようになっている。
【0012】
水濡れ感知シール34に用いられる水溶性の色素を含んだ塗料37として好適なものに水塗り絵用インキとして公知のものがある。この水塗り絵用インキを点状あるいは線状に印刷することによって本例の水濡れ感知シール34は容易に製造することができる。水塗り絵用インキは、変成フェノール樹脂やエポキシアクリレートなどといった樹脂と溶剤とからなる油性あるいは水溶性のビヒクルに水溶性染料、例えば、食用色素などが分散されており、さらに必要な添加剤や分散剤が付加されたものがある。これらの水塗り絵用インキは、いずれも本例の水濡れ感知シールに適しており、これらを凸版印刷方式や平板印刷方式によって紙片上に点状あるいは線状などの適当な模様を印刷することによって、本例の水濡れ感知シールを製造することができる。
【0013】
さらに、本例の水濡れ感知シール34は、図3に示すように、シールの表面側38に塗料37が印刷され、裏面側39は接着面となっている。従って、この接着面39をカバーする保護シール40を剥がすとセンサー20の所定の箇所に簡単に取り付けることができる。本例のセンサー20に用いられているセラミックタイプの湿度センサー32は、湿度を静電容量やイオン伝導度などを用いて計測しているので、水濡れが発生すると校正値を狂わせる恐れがある。そこで、本例のようにセンサー20に水濡れ感知シール34を取り付けておけば、湿度センサー32が水濡れあるいは結露などによって表面に水分が発生したか否かがすぐに判り、ユーザーは水濡れ表示窓24の色の変化を定期的に監視し、色が変わった場合は、センサー20を本体から外して交換すれば良い。このような処理によって、温湿度測定装置1は、常に正常な状態で動作し、精度の良く確実な湿度測定を行えるようになる。
【0014】
水濡れ感知シール34がなければ、精度の良い測定を行うためには、水濡れに関係なく単周期でセンサー20を変えてしまうか、あるいは高い湿度を計測した時にセンサー20を変えてしまうなどの処置を行う必要があるので、メンテナンス費用が高く、ユーザーの手間もかかる。これに対し、本例の水濡れ感知シール34を設けておけば、ユーザーは定期的に色の変化を見るだけでセンサー20の状況を把握でき、常に信頼性の高い測定を行うことができる。また、センサーの寿命などに合わせて交換すれば良いので、メンテナンス費用も低減できる。湿度センサーに限らず、各種のガスセンサーなど感知部の周囲の雰囲気によって表面の物性値が可逆的に変化するセンサーの多くは、水分が表面に付着すると校正値が変化したり、感度が劣化するものが多い。従って、これらのセンサーの性能を維持するためにも本例の水濡れ感知シールは非常に有効である。
【0015】
同様に、本例の水濡れ感知シール34は、図4に示すようにICパッケージ51などの搭載されたプリント基板50などにも簡単に貼り付けることが可能である。このようなプリント基板50は、現在、大小を問わず様々な装置に内蔵されており、種々変化する環境下で使用されるものが多い。このため、本例の水濡れ感知シールを貼り付けておけば、水濡れや結露が発生したことが明確に分かるので、万一、装置の性能に問題があると考えられる事態が発生した場合には、その原因がプリント基板の結露等の問題なのかをすぐに判断できる。また、定期的にプリント基板に付けられた水濡れ感知シール34を監視して、結露などが発生した場合はプリント基板を交換すれば、トラブルの発生を未然に防ぐことも可能となる。
【0016】
本例の水濡れ感知シールの用途は上記に限定されるものではなく、電子、電気機器などで水分の発生がトラブルの原因となりやすいものには全て適用可能である。また、本例の水濡れ感知シールは、塗料が印刷された紙片で主に構成されているので、適当な大きさにカットしてどのような場所にも設置することができる。従って、設置スペースは非常に小さくて良く、小さな水濡れ感知シールを用いた場合であっても感度が劣化するようなことはない。また、本例の水濡れ感知シールは上記のような方法で簡単に製造できるので安価に提供することができ、水があると確実にそれを感知するので信頼性も高い。
【0017】
なお、上記においては、水濡れ感知シールを例にとって本発明を説明したが、このようなシール状のものに限定されるものではない。独立して床面などに置けるものや、壁などに掛けるもの、あるいはビス等によって取り付けられるものなど本発明の水濡れ検出装置の形態は様々である。さらに、本発明の水濡れ検出装置は、色の変化によって視覚によって水濡れや結露の有無が明確に判るようにしてある。そのため、本例では白色の紙を用いて水濡れがあると色素の色が明瞭に表れるようにしているが、ベースとなる紙の色は本例に限定されるものではなく、水濡れによる色の変化が明確に判れば良い。また、上記の例では、水溶性の色素を含んだ塗料を散点状に印刷してあるが、塗料の配置はこれに限定されず線画など塗料が離散的に紙片の上に塗布される図形であれば良い。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の温湿度測定装置は、センサーの設置された環境の温度および湿度の変化を測定して表示用のパネルに表示可能な温湿度測定装置であって、当該センサーの水濡れの有無を示す水濡れ表示部を備えているセンサーを、接続コードを介して温湿度測定装置に繋げることにより、センサーに水濡れがあったときなどは、センサーを交換するなどの適切な対応を迅速にとることができる。したがって、水濡れ表示部の表示に基づきセンサーの状況を的確に監視できるので、確実に精度の高い測定が可能となり、また、センサーの交換等に必要なコストを最小限に止めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる温湿度測定装置の概要を示す図である。
【図2】図1に示す温湿測定装置のセンサー部の構造を示す図である。
【図3】図2に示すセンサー部に水濡れ感知シールを取り付ける様子を示す図である。
【図4】本発明に係る水濡れ感知シールを取り付けたプリント基板の例を示す図である。
【符号の説明】
1・・温湿度測定装置
10・・本体
20・・センサー部
24・・水濡れ表示窓
25・・高温表示窓
34・・水濡れ感知シール
36・・紙片
37・・水溶性色素を含有した塗料
Claims (4)
- 表面に表示用のパネルを備えた本体と、
この本体に接続コードを介して繋がったセンサーとを有し、
センサーの内部には、温度の測定素子および湿度の測定素子が収納されており、
前記本体は、前記センサーの設置された環境の温度および湿度の変化を測定して前記表示用のパネルに表示可能な温湿度測定装置であって、
前記センサーは、前記温度の測定素子および前記湿度の測定素子が周囲の空気と良好に接触するように設けられた流通口と、当該センサーの水濡れの有無を示す水濡れ表示部と、当該センサーの表面から前記水濡れ表示部が見える水濡れ表示窓とを備えている温湿度測定装置。 - 請求項1において、前記水濡れ表示部は、水分による色の変化が残ることを特徴とする温湿度測定装置。
- 請求項1において、前記本体は、測定中の温度または湿度に応じた適切な基準抵抗を自動的に選択して測定値を校正する機能を備えている温湿度測定装置。
- 請求項1において、前記本体は、データ集積装置とケーブルを介して接続できるようになっており、計測された湿度および温度の変化を集中管理できる温湿度測定装置。
Priority Applications (1)
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JP2002179533A JP3561263B2 (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 温湿度測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002179533A JP3561263B2 (ja) | 2002-06-20 | 2002-06-20 | 温湿度測定装置 |
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JP15310395A Division JP3593180B2 (ja) | 1995-06-20 | 1995-06-20 | 水濡れ検出装置および水濡れ表示機能を備えた湿度測定装置 |
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JP2003433495A Division JP2004117375A (ja) | 2003-12-26 | 2003-12-26 | 電気および/または電子機器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009092523A (ja) * | 2007-10-09 | 2009-04-30 | Hioki Ee Corp | 湿度センサの劣化判定方法及び湿度測定装置 |
CN107192479A (zh) * | 2017-07-24 | 2017-09-22 | 重庆市计量质量检测研究院 | 便携式温湿度校验仪 |
-
2002
- 2002-06-20 JP JP2002179533A patent/JP3561263B2/ja not_active Expired - Fee Related
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