JP3560916B2 - ふっ素化ポリマー類を用いた外科手術における術後の癒着および組織損傷を防止するための方法および組成物 - Google Patents

ふっ素化ポリマー類を用いた外科手術における術後の癒着および組織損傷を防止するための方法および組成物 Download PDF

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    • C08L101/04Compositions of unspecified macromolecular compounds characterised by the presence of specified groups, e.g. terminal or pendant functional groups containing halogen atoms

Description

【0001】
(発明の背景)
関連出願
本出願は、1993年10月26日提出された米国特許出願番号08/141,016に関する内容を包含し、この出願は、1993年3月3日提出された米国特許出願番号08/026,125(現在、米国特許第5,350,573号、1994年9月27日発行)の一部継続出願であり、そしてこの出願は、1992年1月8日提出された米国特許出願番号07/818,125(現在、放棄)の継続出願であり、さらにこの出願は、1991年5月8日提出された米国特許出願番号07/696,960(現在、米国特許第5,140,016号、1992年8月18日発行)の分割出願であり、そしてさらにこの出願は、1990年7月19日提出された米国特許出願番号07/555,377(現在、米国特許第5,080,893号、1992年1月14日発行)の継続出願であり、そしてまたこの出願は、1988年5月31日提出された米国特許出願番号07/199,687(現在、放棄)の継続出願である。関連する内容は、また、1991年8月29日提出された米国特許出願番号07/750,840、1993年10月26日提出された米国特許出願番号08/141,017、1994年3月21日提出された米国特許出願番号08/210,454、および1995年6月7日提出された米国特許出願番号08/485,832にも含まれている。上記に明示した各出願および特許全ての内容および開示は、参照することにより本明細書に取り込まれている。
【0002】
1.発明の属する技術分野
本発明は、外科手術の技術の改良、および、組織を保護するための外科手術用溶液に関する。
【0003】
2.背景技術
外科手術の間、組織表面の操作に伴う外傷および乾燥や虚血性外傷のような他の原因によって引き起される外科手術に関係する組織の癒着は、外科手術による処置の術後の併発症の中で最も厄介なものの一つに挙げられる。
【0004】
癒着を低減するための各種の技法が提案されているが、本問題は依然当事者を悩ませ続けており、最も見事な最も周到に実施された外科手術でさえも、厳しい妥協を余儀なくされている。本問題を緩和するために行われたこれまでの試みおよびそれに伴うむなしい結果は、以下の文献に記載されている。Davisら、Surgery、2巻、877頁(1937); Gozalez、Surgery、26巻、181頁(1949); Hunterら、J.Bone Joint Surg.、53A、829頁(1971); Ellis、Surg.Gynecol.Obst.、133巻、497−511頁(1971);Lindsayら、Verdan,C.編、「手の腱の手術(Tendon Surgery of the Hand)」、 London,Churchill Livingstone,35−39頁(1979); Potenza、J.Bone Joint Surg.、45A、1217頁(1963); Verdan、J.Bone Joint Surg.、54A、472頁(1972); St.Ongeら、Clin.Orthop.、148巻、259−275頁(1980); Thomasら、Clin.Orthop.、206巻、281−289頁(1986); Weissら、Bull.Hosp.Jt.Dis.Orthop.Inst.、46(1)巻、9−15頁(1986)。
【0005】
Goldbergら[Arch.Surg.、115巻、776−780頁(1980)]は、ある種の親水性ポリマー溶液[ポビドン(Povidone)、ポリビニルピロリドン、K−30 PVP、およびデキストラン]を使用して、乾燥および/または腹膜の処置に伴う外傷を受けている組織、並びに、手術の前および手術中癒着を防ぐために組織に接触している、外科手術用具などをコーティングすることを記載している。Goldbergらの物質および方法は、外科手術における癒着の事故を低減するねらいで、親水性ポリマー溶液を使用した他の研究に比べてある程度の改良を示したものの、さらなる改良の強い要請は、依然存在している。
【0006】
Goldbergらの物質および方法、および、ある程度の利点を示している他の先行技術の明確な問題点は、ポリマー物質の高濃度溶液の使用が必要とされることであり、そのことが外科手術における実用化を非常に困難にしている。高濃度のポリマー溶液(約10−15%)、例えばGoldbergらによって使用された25%のPVPおよびデキストラン溶液は、外科手術の間に、組織、外科医の手袋、器具、その他の表面で乾燥して粘性を持つようになる。このことは、正常な外科手術の手順を著しく妨げ得る。ある程度の組織の保護効果を達成するだけでさえも、高濃度のPVP(K−30の分子量約40,000)およびデキストラン(分子量約300,000)が必要とされる。Goldbergらの報告以前の多くの研究では、より低濃度のPVP、デキストランまたは他の水溶性ポリマーが使用され、より効果がなかった。例えば、Ellis(上記)は、ラットを用いた腹膜癒着の研究で、「PVPの使用は若干多い癒着事故を伴った」と述べている。彼は、また、「何故なら、血漿またはデキストランのような高分子溶液は、横隔膜の下側表面にある機能的な空隙を通じて急速に吸収されることが知られている」、そして「従って、PVPまたは腹腔に導入された他の如何なる高分子溶液の如何なる効果も、単に一過性のものであるということは、あり得ることである」とも述べている。10%のデキストラン−70(分子量70,000)および1%のヒアルロン酸(分子量不明)を用いたBerguistの研究[Eur.Surg.Res.、9巻、321頁(1977)]の中で、ラットおよびウサギを用いた研究において、癒着に関して「コントロールおよび処理グループ間に差が認められなかった」と報告されている。雌のウサギにおける生殖道の癒着の低減に見られた、ある程度有利な効果からの示唆に基づいて、比較的低分子量のデキストラン−70を非常に高濃度(32%)で使用する試み[Neuwirthら、Am.J.Obst.Gynecol.、121巻、420頁(1974)]でさえ、非常に好結果を与えるということが実証されていない。デキストラン−70の32%(W/V)溶液が、約1984年に子宮鏡液として商品として導入されたが、最近の研究では、32%のデキストランを用いても「癒着の低減に効果なし」ということが示されている[Hadick、Military Medicine、152巻、144頁(1987)]。
【0007】
さらに、そのような高濃度の使用は、外科手術用溶液の使用量を増大させ、そのような高濃度の、しばしば高粘度の溶液の調製、精製、安定化および貯蔵に問題を投げかける可能性がある。例えば、32%のデキストランは、「温度変化に曝された場合、または長期間貯蔵された場合」、結晶化する傾向がある(32%デキストラン−70の商品のデータシート)。
【0008】
Goldbergらによって報告された研究は、外科手術を施す前に組織および手術用具にコーティングすることを含む外科手術の方法を用いて、癒着の防止に25%のPVP(分子量40,000)を用いてほんの僅かな改良を、そして25%のデキストラン(分子量300,000)で僅かな改良を示唆したものの、用いた材料および手術溶液は、外科手術における臨床での使用には明らかに非実用的であった。
【0009】
1990年7月19日提出の米国特許出願番号07/555,377、現在米国特許第5、080、893号には、外科手術の間の、組織の操作による手術に伴う組織の癒着を防止する改良された方法が記載されており、その方法は、手術の間組織を操作する前に、手術に関与する組織の表面、および/または、手術の間組織表面と接触する手術用具の表面を、水溶性で、生体適合性のある、薬学的に許容されるポリペプチド類、多糖類、合成ポリマー類、それらの塩および錯体から成るグループから選択される、親水性ポリマー物質の水溶液でコーティングすることを含む。ここで、親水性ポリマー物質は、高分子量(500,000より大)のものであり、その溶液は、約0.01重量%から約15重量%のポリマー物質を含有する。
【0010】
上記出願は、さらに、操作による手術に伴う組織の癒着、または、手術の間の組織の乾燥を防止するために、手術に関与する組織の表面、および、好ましくは手術の間組織表面と接触する用具の表面もまたコーティングする目的に、特異的に適応したある種の組成物を記載しており、その組成物は、本質的に、薬学的に許容されるポリペプチド類、多糖類、合成ポリマー類、それらの塩および錯体並びにそれらの混合物より成るグループから選択される、薬学的に許容される高分子量(500,000より大)の親水性ポリマー物質の水溶液より成る。ポリマー物質が多糖類の場合は、その発明によれば、約0.01重量%から約1重量%未満の多糖類を含有する溶液が、高度に有利であることが見出されている。ポリマー物質がポリペプチドまたは合成ポリマーの場合には、その発明によれば、約0.01重量%から約15重量%未満を含有する溶液が使用され得る。
【0011】
上記発明に記載されている他の実施態様は、外科手術の用具を含み、その表面は、上記の組成物から形成されたコーティングを有して、手術の間組織表面と接触するように適応している。
【0012】
しかしながら、外科手術に伴う癒着は、手術の処置の間組織に加えられる損傷から引き起される、いくつかのタイプの併発症のうちのたった1つである。術後の癒着の形成に加えて、外科手術中の組織の外傷は、手術の処置中および処置後他の潜在的に危険な併発症の宿主になる可能性があり、上記併発症は以下を含む:
(1)外科手術中の多量の出血を伴う、および、術後の出血のリスクが大きい過度の血管の損傷;
(2)治癒の長期化、周囲の健常組織を損傷する(急性)術後炎症の進展、並びに関連する二次併発症、苦痛などを伴う慢性せん延性炎症の可能性の増大;
(3)整形外科および形成外科において特に重要な、重度のはん痕組織を伴う妥協的な傷の治癒;
(4)例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺などの器官の機能を損なう可能性のある、器官および組織の損傷;
(5)筋肉および重要器官の機能の妥協に至る筋肉および器官の部分的虚血を伴う、血液供給量の低下を招き得る血管の損傷で、心筋の損傷の場合は生命の危険を伴う状態である;
(6)損傷した組織部位への病原体の選択付着および増殖(術後のブドウ状球菌およびシュードモナス菌による感染)による、処置の困難さが増した、回復の遅い、そして生命の危険を伴う全身性敗血症の機会の大きい、急性および慢性感染症への感受性の増大。
【0013】
上記の組織損傷に関する全ての併発症は、長期化する入院、患者の不快、罹病および死亡のリスクの増大、再入院および関係する患者のリスクを伴う矯正手術の発生の増大、および健康管理コストの増大を招き得る。
【0014】
外科手術中の乾燥および擦過による組織の損傷は、各種の病理的な手術によるおよび術後の併発症を招き得る。卵巣の乾燥および擦過による損傷は、しばしば器官の表面上の薄い繊維状の膜の形成に至る。しばしばこの膜は、肉眼では見にくいものであるが、ファロピオ管へ卵子を輸送するのを妨げる物理的なバリアとして作用し、このようにして受精を妨げる。
【0015】
人工器官および移植組織、例えば、動物またはヒトの組織または器官から全体または一部が由来する、心臓弁膜、心室補助器、血管新生化移植片、じん帯、腱、角膜、植皮片、移植筋などは、人工器官の採取、加工、製作、出荷および貯蔵の正常な過程で、取り扱われ操作が行われる。そのような生体人工器官のいくつかの特異的な例は、ブタの心臓弁膜、胎児組織由来の血管新生化移植片(例えば臍帯組織から)胎児の神経組織、電気駆動筋肉血液ポンプ(例えば心室補助器)などである。これらの組織由来の生体人工器官の操作および器官の移植は、例えば乾燥または擦過外傷によって組織を損傷し得る。そしてそれにより、in vivoでの生物物理的または生化学的性質に悪い影響を与え、生体人工器官または器官移植の安全性および有効性を低下させる。心臓、肺、腎臓、肝臓、角膜、腱などのような器官および組織の移植は、採取、貯蔵、調製、加工、出荷および器官、組織または複合生体人工器官の受入れ患者への移植に伴って行われる正常な操作によって、同様に損傷し得る。
【0016】
本発明の目的は、外科手術の間の手術に伴う癒着を防止する、改良された方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、外科手術において、組織を保護し組織の損傷を防止する改良された組成物および方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、ヒトおよび動物由来の組織および器官を、組織の採取、処理、貯蔵、出荷および移植の間に行われる操作の間、器官または組織の機能の低下を招き得る、または望ましくない生物学的挙動を誘導し得る外傷および傷害から保護するための、改良された方法および組成物を提供することである。
【0019】
最後に、本発明のさらなる目的は、動物またはヒトの組織または器官由来の生体人工器官の部品を、その採取および製作、加工、貯蔵、処置、出荷および生体人工器官の移植の間、外傷および損傷から保護するための、改良された組成物および方法を提供することである。上記部品の外傷または損傷は、生体人工器官の機能の低下または望ましくない生物学的挙動を誘導し得る。
【0020】
(発明の概要)
本発明の1つの実施態様は、外科手術において術後の組織の癒着を防止し、組織を保護し、そして組織の損傷を防止する方法を含み、この方法は、手術の間組織を操作する前に、手術に関与する組織の表面に生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液の湿式コーティングを施すことを含み、ここで:
(a)ポリマー物質は、(1)約60,000未満の分子量を有し、C2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
(b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、約0.1重量%から約5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである。
【0021】
本発明の他の1つの実施態様は、外科手術において組織を保護し、組織の損傷を防止する方法であって、手術の間組織を操作する前に、手術の関与する表面に、生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液の湿式コーティングを施すことを含み、ここで:
(a)ポリマー物質は、(1)約60,000未満の分子量を有し、C2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
(b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、約0.1重量%から約5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである。
【0022】
本発明のさらに他の実施態様は、外科手術用具を含み、その表面は、上記の組成物の1つから形成されるコーティングをその上に有して、手術の間組織表面と接触するように適応しているものである。
【0023】
本発明のさらなる実施態様は、動物またはヒトから組織または器官を採取し、それを用いて生体人工器官を製作し、引き続いてその生体人工器官を操作し動物またはヒトに移植する間、組織または器官を損傷から保護する方法に関し、その方法は、採取、生体人工器官の製作、それの処置および移植の前におよび間、生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液の湿式コーティングを組織または器官の表面に施すことを含み、ここで:
(a)ポリマー物質は、(1)約60,000未満の分子量を有し、C2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
(b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、約0.1重量%から約5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである。
【0024】
(発明の実施の形態)
本発明は、手術による癒着や手術による組織への障害は、手術操作の前に上記溶液で、関連する組織や手術用具の表面をあらかじめ確実にコーティングすることにより、従来よりも大幅にうまく防止することができるという発見に基づく。
【0025】
ポリマー溶液の粘度は通常、溶液中のポリマーの分子量と濃度により決定される。この関係は、η=MC[フェリー(Ferry)、「ポリマーの粘弾性(Viscoelastic Properties of Polymers)」、541〜542頁、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(J. Wiley & Sons)、,ニューヨーク、(1970)]により経験的に説明される。従って多くのポリマーでは、ポリマー材料の分子量と濃度の一方または両方が増加すると、溶液の粘度が同様に増加する。しかし、ヒアルロン酸またはカルボキシメチルセルロースのようなイオン性多電解質ポリマーでは、溶液中の分子会合は、低濃度または低分子量で粘度を増加させることができる。組織傷害を防止し、従って癒着形成を減少させるポリマー材料溶液の能力は、分子量や濃度のみでなく溶液の粘度に関係していることが発見されている。すなわち、適当な濃度の比較的低分子量のポリマー材料(特に、溶液中で会合して粘度が増加するもの)は、手術の傷害から組織を防御し、従って癒着の形成を防ぐ充分な粘度を与えることができる。
【0026】
本発明の新規の低分子量ポリマー組成物は明らかに、この分野の広範な文献から予測される程度より、手術による癒着頻度および手術による組織傷害の頻度をはるかに低下させる。
【0027】
後述するように、本明細書に記載の比較的低濃度の範囲で使用される本発明の低分子量の親水性ポリマー溶液の使用は、予想外に高い粘度を与え、手術による癒着と組織傷害のリスクを顕著に低下させる。パーフルオロカーボン基で置換した親水性ポリマーの低分子量と低濃度での、この予想外の溶液の粘度の上昇は、水溶液中の分子会合が原因であると考えられる。
【0028】
関係する組織をプレコーティングして手術中に本発明のポリマー組成物を使用する予想外の利点は、手術後または組織処理またはコーティング後の結果よりはるかに良好な結果を与えることにあることが明瞭に証明されている。
【0029】
さらに、従来の潅流溶液を手術中に使用する時でさえ、手術の前に組織をコーティングするのに使用する時、本発明の組成物の驚くほど有利な組織防御性、癒着防止性が証明されている。
【0030】
本発明の目的において以下の定義が本明細書で使用される。
「表面」とは、手術中に異質物質による操作に関係し操作を受けるかまたは手術領域中の外傷性乾燥に暴露されるすべての組織の表面、ならびに手術で使用されかつ関係する組織に接触するすべての手術器具の表面を意味する。
【0031】
「関係する組織表面」とは、手術中に異質物質による操作に関係し操作を受けるか、手術領域中で外傷性乾燥に暴露されるか、または内視鏡操作中にCOのようなガスに暴露されるすべての組織を意味する。
【0032】
「手術用具」とは、手術で使用され、関係する組織に接触する、すべての装置、器具、付属品、綿棒、スポンジ、ガーゼ、手袋、縫糸などを意味する。
【0033】
「手術」とは、組織を手術による癒着に暴露する、内視鏡操作を含むすべての侵襲的手術法を含む。
【0034】
「操作」とは、手術による癒着または組織傷害を引き起こす、関係する組織とのすべての接触を意味する。
【0035】
「手術による癒着」とは、関係する組織への操作的外傷後に手術後に発生するコラーゲン性結合組織を意味する。またこの用語には、手術操作中の乾燥性および/または虚血外傷による関係組織から発生する癒着も規定される。
【0036】
「組織傷害」という用語は、創傷治癒または炎症性応答、乾燥または剥離性外傷による脱色、上皮または内皮表面への視覚的または顕微鏡的傷害、組織の機械的性質の変化(すなわち、乾燥による脆化)、および表面細胞層の代謝機能(例えば、酵素機能)の変化を誘発するような、組織の物理的、生理学的、または生化学的状態への一時的または永久的影響を引き起こす、硬組織と軟組織および臓器の表面への損傷を意味する。
【0037】
「水性組成物から形成されるコーティング」とは、水性組成物を使用して、コーティングされた表面上に形成される「湿潤」コーティング、ならびに乾燥し従って再水和することにより湿潤コーティングを生成する、水性組成物から形成されるコーティングを意味する。
【0038】
「人工器官」という用語は、ヒトまたは動物の体の一部を置き換える器具を意味する。
【0039】
「生体人工器官」という用語は、少なくとも一部は、ヒトまたは動物由来の組織または臓器を含む人工器官を意味する。
【0040】
一般に、手先の操作や組織傷害後にかつ創傷縫合の直前に、種々の親水性のポリマー溶液を使用し、手術領域の組織表面にそのような溶液を適用して手術による癒着を防止する試みについて、多くの文献がある。そのような研究を導いている考え方は、粘性のポリマー溶液は、コラーゲン性結合組織による外傷組織の架橋(癒着)に対する防御バリアを提供する可能性があるというものである。ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストラン(dex)およびヒアルロン酸(HA)のすべてが研究されているが、臨床的に実用性のある結果は得られていない。
【0041】
本発明は、癒着と組織傷害の防止の大きな改良は驚くべきことに、低分子量で低濃度のいくつかの水性の親水性ポリマー溶液を用いて、手術操作が始まる前に、組織にポリマー溶液を適用することを含む組織防御法を使用して、充分な粘弾性を与えることにより、達成されるという発見に基づく。材料と使用法のこの組合せは、非常にうまく組織を防御し、手術による癒着を防止し、先行技術の欠点を克服し、ここで(1)使用されるポリマー(すなわち、PVPまたはデキストラン)は、有効な作用を与えるのに充分な粘度を有するには高濃度(20%を超える)が必要であり、従って手術中に困難な物理的取り扱い性を示す、500,000未満の分子量を有し、(2)溶液は、手術の最後に組織をコーティングし、従って本発明の方法により提供される手術中の組織防御を与えない方法により使用されている。すなわち、(a)100,000ダルトン未満の分子量と10%未満の濃度を有するポリマーを用いて、手術中の傷害から組織表面を防御するのに充分な粘度を提供して可能になった、より希薄な水溶性の親水性ポリマー溶液と、(b)手術の最初およびその最中に組織防御性コーティングとして溶液が使用される方法の使用、との組合せにより、臨床的に実用的な、手術による癒着を防止するのに大きな改良が達成されることが発見された。
【0042】
本発明は、本明細書に記載の新規の種々の粘性のポリマー溶液の使用に基づく。
【0043】
予想外に我々は、本出願の方法により、手術による癒着の防止と組織防御のために使用される時、分子量が約60,000未満の上記フルオロアルキル置換ポリマーの希薄溶液は、約5.0重量%までの濃度で有効であることを発見した。従ってそのような溶液は、希薄溶液による優れた生体適合性、好適な非ニュートンレオロジー、および組織コーティング、1〜2リットルの希薄溶液を必要とする一般的な手術応用の現実的なコスト、および本発明の使用法と組合せた時の癒着防止性のために、本発明の方法のための効率的な材料である。
【0044】
手術後の癒着が大きな合併症である実質的にすべての種類の手術(例えば、腹腔、心膜、産科、腹腔鏡、内視鏡、婦人科、神経、ENT、歯科、関節鏡、整形外科、形成外科、プラスチック、再生、人工器官、筋肉、または腱)が、本発明による変更と改良を受ける。重要な例には、腹部、胸部、心血管、産科/婦人科、および神経学的操作があり、これらすべては、手術的傷害に帰因する重症の術後、合併症の危険性がある。移植、血管修復とバイパス、血管交換などを伴う心臓手術の場合、大多数の再手術を含む繰り返し冠動脈手術で、再手術が毎年増加している。最初の手術による術後の心膜癒着は一般的であり、繰り返し心臓手術を受けている患者に大きなリスクを与える。再胸骨切開術中の心臓、大血管および心臓外移植片への傷害の可能性ならびに手術時間の延長は、罹患率と死亡率を増加させる。再胸骨切開術は、大きな血管傷害の6%の頻度に関連しており、および再胸骨切開術中の大きな出血を経験している患者では、35%を超える死亡率が報告されている。冠動脈移植片への傷害が関係すると、50%を超える死亡率が報告されている。小児の心臓手術もまた、再手術の頻度が非常に高い。心臓手術と再胸骨切開術および心膜癒着に関連する重症となり得る合併症が顕著に増加していることを考慮すると、そのような癒着の防止は医療上の大きなニーズである。 本発明の材料と方法により可能になった心膜癒着ならびに組織傷害の顕著な低下を、以下に例示する。
【0045】
心膜癒着は、すべての種類の腹部手術に関連する重症となり得る術後合併症を伴うもう1つの大きな医療上の問題であり、腹壁切開について50〜90%の頻度が報告されている。以下の例に示すように、本発明の材料と方法を使用することにより、腹部癒着の劇的な低下が可能になり、臨床的に現実的となる。
【0046】
この親水性のポリマー材料は、リンゲル乳糖液、通常の食塩水または他の任意の等浸透圧生理的媒体のような、従来から手術で使用されている任意の適当な水溶液に溶解される。
【0047】

ヒアルロン酸ナトリウム(HA)溶液を使用して組織をプレコーティングすると術後の癒着形成が大幅に低下し、従って手術による傷害を低下させることは、すでに開示されている(ゴールドバーグ(Goldberg)ら、Transactions of the 17ht Annual Meeting of the Society for Biomaterials, p. 252 (1991)]。
【0048】
動物モデル
定速自己剥離器を使用したラットの盲腸剥離モデルを使用して、広範囲の粘度と分子量で本明細書に記載の溶液を評価した。再現性があり制御された組織傷害を引き起こしかつ再現性のある誘導性癒着形成のために、自己剥離法を開発した。この器具は、自由に垂直に動く回転スプライン軸を使用する。剥離力は、軸の重さにより提供され、軸は自由に動くため、わずかな手の動きによっては剥離力は変化しない。軸は、電池で動くモーターに連結され、これは軸を一定速度で回転させる。すべての実験で使用される剥離表面は、軸の端に固定されたVII型手術ゲージ(表面積1.77cm)であった。盲腸は、剥離表面を収容するのに充分大きい孔を含有するテフロン(登録商標)器具中に、剥離中に固定した。再現性のある結果を得るために、剥離パラメータを標準化した。剥離力は70gであり、軸は各部位について140rpmで60回転させ、各動物の盲腸を、盲腸の前部と後部部位の近くと遠くで全部で4つの剥離部位について剥離させた。
【0049】
すべての実験は、ランダム/ブラインドプロトコールを使用して行った。処理溶液と動物を充分ランダム化して、動物群を順番にしないようにした。
【0050】
実験プロトコール
雌のスプラーグ−ドーレイ(Sprague−Dawley)ラット(200〜250g)を、ケタミン(100mg/kg体重)とキシラン(10mg/kg体重)を筋肉内注射して麻酔した。4〜5cmの腹部中線の切開により各動物の腹膜を外科的に露出させた。2mlの溶液を使用して、腹部の臓器をコーティングし、試験溶液でプレコーティングした綿棒で盲腸を腹腔の外に出した。盲腸をさらに2mlの溶液(盲腸前部に1.0mlと盲腸後部に1.0ml)でコーティングし、4つの部位で剥離させた。剥離後盲腸を腹腔にもどし、切開部を閉じた。手術の1週間後、CO窒息により動物を屠殺し、左の傍正中切開術により腹腔に近づき、0〜4のスケールで癒着の等級をつけた。
【0051】
すべての試験溶液は、pH7.0に調整したリン酸緩衝化生理食塩水溶液(PBS)で無菌的に調製した。PBS対照群も含めた。
【0052】
カイ自乗解析により、異なる処理群間で顕著な癒着を有する動物の割合を比較した。報告され解析されたデータは、盲腸癒着スコアが2以上の動物の数を示す。
【0053】
親水性のポリマー溶液を、術後癒着形成の減少について広範に研究した。これらの溶液は一般的に、やや粘性であり、手術の最後(従って、組織傷害が起きてから)に手術領域に多量に適用し、あまり効果がなかった。一方、本発明の溶液は、手術中に手術組織をプレコーティングすることにより、癒着形成を減少させるように作用し、従って手術中に粘性防御バリアを提供し、これが組織外傷と癒着形成を低下させる。
【0054】
盲腸癒着の評価のためのスケール
0=癒着無し
1=非常に薄い癒着
2=自由に分離可能な面を有する弱い剥離癒着
3=面の分離が困難な中程度の癒着
4=分離不可能な面を有する高密度の癒着
【0055】
以下の表1は、両端がC17で終わるポリエチレングリコール[PEG−F]:
[F17−(OCHCH−OC17
(式中、xは、ポリマーが約35,000の分子量を有するようなものである)の1.1重量%溶液を用いる試験からのデータを要約する。同様の結果が、類似の水溶性F13(OCHCHOC13ポリマー(PEGセグメントは約35,000の分子量を有する)について得られる。同様の結果はまた、F−置換基がC〜C20の範囲のC鎖を有し、そのようなパーフルオロアルキル基の数が1以上であり、PEGセグメントは20,000〜60,000の分子量を有する、他のPEG−Fを使用して得られる。
【0056】
同様の結果はまた、20,000〜60,000の分子量を有する他のパーフルオロアルキル置換水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリ(エチレン)オキシド/プロピレンオキシド)についても得られる。
【0057】
【表1】
Figure 0003560916
【0058】
このクラスのフルオロ置換水溶性ポリマーは、フルオロカーボン基が溶液中で物理的会合することにより、比較的低分子量のポリマーを使用して、高い溶液粘度を得ることを可能にする点でユニークである。このクラスのポリマーの重要な面は、腎クリアランスカットオフが通常約40,000〜60,000の分子量であるため、容易に生分解性ではないポリマー鎖でも腎クリアランス(腎糸球体経由)が起きる可能性があることである。
【0059】
構造C2n+1(式中、n≧4)の少なくとも1つの結合した置換基フルオロカーボン基を有し、分子量が約60,000未満である、任意の適当な親水性の実質的に水溶性のポリマーが、本発明の目的に適している。そのようなポリマーの例は、[F17(OCHCHOC17](式中xは、分子の分子量が約35,000であるような整数である)である。他の例には、特に限定されないが、フルオロカーボン基修飾ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、中性多糖(すなわち、デキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース)、イオン性多糖(すなわち、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸)、およびポリペプチドがあり、ここでフルオロカーボン基は好ましくは(特に限定されないが)パーフルオロ−C〜C12置換基である。さらにこれらの置換基パーフルオロカーボン基は、基質の水溶性ポリマー鎖の末端にあるかまたは鎖に沿ったいくつかの適当な移植部位にある。

Claims (16)

  1. 手術の間組織表面に接触するのに適応した表面を有する手術用具であって、前記手術用具の表面上には湿式コーティングが施され、前記湿式コーティングは生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液を含み、ここで:
    (a)ポリマー物質は、(1)60,000未満の分子量を有し、Cn2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
    (b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、0.1重量%から5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである;
    手術用具。
  2. 前記ポリマー物質が、Cn2n+1で表され、n≧4である基を両末端に有するポリエチレングリコールである、請求項1記載の用具。
  3. 前記Cn2n+1基がC817である、請求項2記載の用具。
  4. 前記ポリマー物質が、ポリアクリルアミド類、ポリジメチルアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン類、中性多糖類、イオン性多糖類、ポリペプチド類およびそれらの混合物より成るグループから選択される、請求項1記載の用具。
  5. 動物またはヒトから採取された組織または器官を損傷から保護する方法であって、前記組織または器官の表面に、生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液の湿式コーティングを施すことを含み、ここで:
    (a)ポリマー物質は、(1)60,000未満の分子量を有し、Cn2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
    (b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、0.1重量%から5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである;
    方法。
  6. 前記ポリマー物質が、Cn2n+1で表され、n≧4である基を両末端に有するポリエチレングリコールである、請求項5記載の方法。
  7. 前記Cn2n+1基がC817である、請求項6記載の方法。
  8. 前記ポリマー物質が、ポリアクリルアミド類、ポリジメチルアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン類、中性多糖類、イオン性多糖類、ポリペプチド類およびそれらの混合物より成るグループから選択される、請求項5記載の方法。
  9. 少なくともその1部に、動物またはヒトの組織または器官またはその1部を含む生体人工器官であって、前記組織または器官或いはその1部が、前記動物またはヒトからそれを採取し、前記生体人工器官を製作し、そして前記生体人工器官を操作し、動物またはヒトに移植する間に起こる損傷から前記組織または器官或いはその1部を保護するために、生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液のコーティングを有し、ここで:
    (a)ポリマー物質は、(1)60,000未満の分子量を有し、Cn2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
    (b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、0.1重量%から5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである;
    生体人工器官。
  10. 前記ポリマー物質が、Cn2n+1で表され、n≧4である基を両末端に有するポリエチレングリコールである、請求項9記載の生体人工器官。
  11. 前記Cn2n+1基がC817である、請求項10記載の生体人工器官。
  12. 前記ポリマー物質が、ポリアクリルアミド類、ポリジメチルアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン類、中性多糖類、イオン性多糖類、ポリペプチド類およびそれらの混合物より成るグループから選択される、請求項9記載の生体人工器官。
  13. 動物またはヒトから採取された組織または器官或いはその1部を損傷から保護する方法であって、生理的に許容される親水性ポリマー物質の水溶液の湿式コーティングを前記組織または器官の表面に施すことを含み、ここで
    (a)ポリマー物質は、(1)60,000未満の分子量を有し、Cn2n+1で表され、且つ、n≧4である、少なくとも1つの置換基を有する、実質的に水溶性のポリマー、(2)薬学的に許容されるその塩または錯体、または(3)それらの混合物であり;そして
    (b)前記溶液中の前記ポリマー物質の濃度が、0.1重量%から5.0重量%の範囲であり、前記分子量および濃度が、前記組織に湿式コーティングを施すことを可能にするようなものである;
    方法。
  14. 前記ポリマー物質が、Cn2n+1で表され、n≧4である基を両末端に有するポリエチレングリコールである、請求項13記載の方法。
  15. 前記Cn2n+1基がC817である、請求項14記載の方法。
  16. 前記ポリマー物質が、ポリアクリルアミド類、ポリジメチルアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン類、中性多糖類、イオン性多糖類、ポリペプチド類およびそれらの混合物より成るグループから選択される、請求項13記載の方法。
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