JP3557509B2 - 動物の個体識別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(競走)馬、(牧)牛等の動物の個体管理が必要な機関において、動物の個体識別のためのデータを登録し、且つ照合を行うための動物の個体識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
競馬場やセリ場、あるいは繁殖牧場でのサラブレッドの個体識別は、血統書統括機関の主導のもとに行なわれている。現行の日本での個体識別方法は毛色・肢部の白斑・頭部の白斑・旋毛によるものであり、世界的にはこの他に血液型による方法や烙印・入れ墨を用いる方法等がある(参考文献:「馬の知識」,II−3.馬の見分け方,P.153〜P.154)。
【0003】
牛の個体識別の場合、首輪や耳タグ等の識別表札や烙印・入れ墨を用いる方法が一般の牧場にも採用されている。
【0004】
また昨今注目されている動物の個体識別方法に、MC(Micro Chip)を利用した技術がある。これは超小型集積回路内蔵チップをガラス管に封入したもので、動物の生体内に注射器等の注入器によって埋め込み、識別の際には非接触検知器で埋め込み局所をなぞって、その出力信号を個体識別の情報とするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術には次のような解決すべき課題があった。
毛色・白徴・白斑・旋毛による識別の場合、特徴の少ない馬や、同一の特徴を有する馬が多いため馬の特定が度々不完全になることがある。更に烙印・入れ墨は消えてしまったり、改竄される危険性がある上、動物が受ける疼痛や局所の化膿等、動物愛護の面からも改善が望まれていた。また血液型による個体識別は正確な反面、判定までにかなりの処理時問を要するうえコスト高になる欠点がある。
【0006】
識別表札は破損・紛失したり盗難される危険性があり、また烙印・入れ墨等の場合は馬の場合と同様に消えてしまったり、改竄される危険性がある等の間題を持っている。特にこの改竄行為が明らかになったとしても、元来どこに所属していたかを証明することが困難であることにも問題がある。
【0007】
MC方法は、一度埋め込めば半永久的に利用でき、利便性が高い等の利点もある。しかし、生体動物への埋め込みの操作性、埋め込み時の動物に与える疼痛性、腫脹、圧痛、化膿等の局所反応性、動物の運動機能障害や臨床上の異常性、MCの生体内での移動性、検知器の操作性、検知感度の変化及び安定性、信頼性で多くの課題を持っている。そして何よりも動物愛護の面から、MC方式の採用に抵抗感を持つ動物関係者もあり、MC識別方式に代わる利便性のある識別方法が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
動物の目を撮影してその画像を得る目領域撮像部と、上記目の画像中の虹彩顆粒の位置と傾きと大きさとを計測し、切り出した虹彩顆粒の画像中の虹彩顆粒の位置と傾きと基準になる部分の長さとが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行う幾何的正規化部と、この幾何的正規化部の出力から虹彩顆粒の画像の特徴を抽出する特徴抽出部と、この特徴抽出部の出力した虹彩顆粒データを記憶して登録する辞書記憶部とを備えたことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0009】
〈構成2〉
識別対象となる特定の動物の目の虹彩顆粒を撮影して得た虹彩顆粒データを記憶して登録する辞書記憶部と、任意の動物の目を新たに撮影したときに得た画像から、虹彩顆粒の位置と傾きと大きさとを計測し、切り出した画像中の虹彩顆粒の位置と傾きと基準になる部分の長さとが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行って、虹彩顆粒データを得る幾何的正規化部と、この幾何的正規化部の出力から虹彩顆粒の画像の特徴を抽出する特徴抽出部と、この特徴抽出部の出力した虹彩顆粒データと上記辞書記憶部に登録された虹彩顆粒データとを比較する照合部と、この照合部の出力により、新たに撮影して得た虹彩顆粒データが、上記辞書記憶部に登録された特定の動物の目を撮影して得たものかどうか識別した結果を出力する識別結果出力部、とを備えたことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0010】
〈構成3〉
構成1または2に記載の個体識別装置において、幾何的正規化部は、虹彩顆粒の画像の重心を虹彩顆粒の位置と判定して、その位置が予め設定した所定値になるように座標変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0011】
〈構成4〉
構成1または2に記載の個体識別装置において、幾何的正規化部は、虹彩顆粒の画像の主成分の基準線に対する傾きを虹彩顆粒の傾きと判定して、その傾きが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0012】
〈構成5〉
構成1または2に記載の個体識別装置において、幾何的正規化部は、虹彩顆粒の画像の長手方向の長さを虹彩顆粒の基準になる部分の長さと判定して、その長さが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0013】
〈構成6〉
構成1または2に記載の個体識別装置において、特徴抽出部に入力する信号に対して、予め、虹彩顆粒の画像濃度の平均値とコントラストとを計算し、この画像濃度の平均値とコントラストとが予め設定した所定値になるように濃度変換処理を行う濃度正規化部を設けたことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0014】
〈構成7〉
構成6記載の個体識別装置において、濃度正規化部は、虹彩顆粒の画像濃度の標準偏差をその画像のコントラストとみなし、その画像濃度の標準偏差が所定値になるように濃度変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
【0015】
〈構成8〉
構成1または2に記載の個体識別装置において、特徴抽出部は、虹彩顆粒の画像をタイル状に分割し、各タイル内の画素値の平均を1画素として縮小し、その結果得られた縮小モザイク画像を虹彩顆粒データとすることを特徴とする動物の個体識別装置。
【0016】
〈構成9〉
構成2に記載の個体識別装置において、幾何的正規化部は、幾何的正規化を異なるパラメータを用いて行うことにより、複数種類の虹彩顆粒データを得て、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒データとの比較対象にすることを特徴とする動物の個体識別装置。
【0017】
〈構成10〉
構成2に記載の個体識別装置において、照合部は、識別対象となる虹彩顆粒データの全画素と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒データの対応する全画素を比較して、各画素の画素値の差分和から相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
【0018】
〈構成11〉
構成2に記載の個体識別装置において、照合部は、識別対象となる虹彩顆粒データの全画素と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒データの対応する全画素を比較して、各画素の画素値の差分和を全画素数で除算した平均差分から相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
【0019】
〈構成12〉
構成2に記載の個体識別装置において、照合部は、識別対象となる虹彩顆粒の画像領域と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒画像領域とを重ねあわせて、両者の画像が重なり合った領域のみを対象として相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
【0020】
〈構成13〉
構成2に記載の個体識別装置において、照合部は、識別対象となる虹彩顆粒の画像領域と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒画像領域とを重ねあわせて、いずれか一方の画像に含まれ、かつ、両者の画像が重なり合った領域以外の領域を対象として相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
〈具体例1〉
この具体例は、(競走)馬、(牧)牛等の動物の個体管理が必要な機関においての動物の個体識別のために、虹彩顆粒データを登録し、且つ照合処理を行なうためのデータ登録・照合機能を持つ装置に関するものである。以下は対象とする動物として特に馬の場合を例に取り上げて説明する。
図1には、具体例1の装置のブロック図を示した。
この装置の説明を行う前に、馬の目の構造等を説明する。
【0022】
図2は、馬の目の画像説明図である。
この図は、馬の眼球の正面図を示したものである。
この図に示すように、馬の目は、上下のまぶた13の間の瞳孔10、アイリス(虹彩)11、虹彩顆粒12より成り、人の目との大きな違いは、瞳孔10が楕円形であり、また馬や反芻類に特有の虹彩顆粒12を持つことである。
【0023】
外界からの光は瞳孔10を通過し、瞳孔奥にある網膜に到達する。アイリス11は瞳孔10を取り巻く筋肉であり、収縮・散大して瞳孔11ヘの入射光量を制御する働きをもつ。また虹彩顆粒12は、アイリス11と瞳孔10の間に位置し、半球状の隆起した顆粒が連なった形を成す。虹彩顆粒12は、メラニン色素に富んだ黒色をしておりアイリス11が収縮してもなおまぶしい日中の光を吸収する働きがあるとされている。
【0024】
この虹彩顆粒12は様々な大きさ・形の3次元形状をしており、また表面には細かいしわや凹凸があり、これらは馬や目の左右により異なり個体差があることはこれまであまり知られていなかった。本発明はこの点に着目したものであり、カメラで馬の目を撮像して虹彩顆粒12を基準データとして登録しておき、検査時は撮像した虹彩顆粒データと登録データとの比較照合により検査対象個体を識別するものである。
【0025】
ここで、図1に戻って、装置の各部の構成を説明する。
図1に具体例1として虹彩顆粒による動物の個体識別装置の構成を示す。
この装置は、目領域撮像部1、虹彩顆粒切り出し部2、幾何的正規化部3、濃度正規化部4、特徴抽出部3、相違度計算・照合部6、識別結果出力部7、辞書記憶部8より成る。また本装置には虹彩顆粒の画像及びID情報を登録する「登録モード」と入力画像を辞書と比較することにより馬を識別する「識別モード」がある。ここで辞書とは登録された各馬の虹彩顆粒データのことである。本装置の構成の内、目領域撮像部1、虹彩顆粒切り出し部2、幾何的正規化部3、濃度正規化部4、特徴抽出部5は両モードに共通の処理部であり、また相違度計算・照合部6、識別結果出力部7は識別モードにおいてのみ利用される。以下に各部の具体的な構成を説明する。
【0026】
目領域撮像部1は、CCDビデオカメラ等の画像入力部及び照明より成り、馬の目の映像を信号として捉える。画像入力部は、カメラで馬の目を撮像する部分であり、馬の目の像のアナログ光情報をセンサによりデジタル電気信号に変換する処理を行なう。また照明は馬の目をコントラスト良く捉えるために照射し、光源としては馬が眩しくて過剰に動くことを避けるために、赤色光あるいは近赤外光、赤外光のような動物には感知しにくい波長の光が用いられる。
【0027】
虹彩顆粒切り出し部2は、目領域撮像部1より馬の目の全体映像を受けて、その中から虹彩顆粒領域の上縁及び下縁を検出することにより、虹彩顆粒領域のみを切り出す処理を行なう他、虹彩顆粒の左右両端から虹彩顆粒の横幅の長さの計算を行なう。
幾何的正規化部3は、虹彩顆粒画像の位置、傾き、大ささを計測し、それらを座標変換により所定値に正規化する処理部である。
【0028】
濃度正規化部4は、虹彩顆粒画像全体の濃度の明るさ及びコントラストを測定し、それらを所要値になるように正規化する処理部である。
特徴抽出部5は、虹彩顆粒画像の特徴を抽出し、コード化する処理部である。コード化した虹彩顆粒データは、登録モードにおいては馬名、目の左右といったID情報とともに辞書記憶部8に登録され、識別モードにおいては相違度計算・照合部6に渡される。この辞書記憶部8に登録されるID情報と虹彩顆粒コードが「辞書」である。
【0029】
相違度計算・照合部6は、特徴抽出部5より虹彩顆粒コードを受け、それを辞書記憶部8の各馬の辞書と比較照合し、該当する馬を決定する処理部である。
識別結果出力部7は、相違度計算・照合部6の出力結果を受け、識別した馬のID情報を出力する処理部である。
辞書記憶部8は、馬のID情報及び虹彩顆粒データを記憶保持する部分であり、「登録モード」において新規に馬のID情報及び虹彩顆粒データを追加する機能、及び「識別モード」において記憶保持する馬のID情報及び虹彩顆粒データを相違度計算・照合部6に渡す機能を持つ。
【0030】
〈具体例1の装置の動作〉
始めに目領域撮像部1の動作を説明する。馬の目は赤色光あるいは近赤外光、赤外光の波長を光源とする照明により照らされ、CCDビデオカメラ等の画像入力装置によって撮像される。CCDセンサは2次元配列の光電変換素子により構成され、撮像対象の反射光を一定時間露光し、光電変換により印荷した電圧レベルを一定階調で量子化することによりデジタル信号に変換する。これにより2次元配列の画像フレームが得られる。
【0031】
次に虹彩顆粒切り出し部2の動作を図2、図4を用いて説明する。
図4には、虹彩顆粒切り出し部の動作説明図を示した。
図2に示したように、目領域撮像部1から得られる画像はまぶた13、瞳孔10、アイリス11、虹彩顆粒12を含んでいる。虹彩顆粒切り出し部2で行なう処理は、これら複数の器官から虹彩顆粒12の領域のみを特定する処理である。
【0032】
具体的な動作を図4を用いて説明する。瞳孔10は中空であることから照明による反射光が少ない。従って瞳孔10の画像は濃度が低く均一な領域となる。従ってSobelオペレータに代表される濃度変化検出処理を施すと、瞳孔10の領域は濃度が均一なことから濃度変化はほぼ0となる。そこで濃度変化があらかじめ定めた閾値以下で、面積がある所要値以上の一連の領域を瞳孔10の領域として特定することができる。
【0033】
次に虹彩顆粒12の領域を求める。瞳孔10の上部には虹彩顆粒12があり、さらにその上にはアイリス11が位置し、それぞれの器官の内部の変化に較べ、器官の境界における濃度の変化の方が大きい。そのため前述の濃度変化検出処理を施した画像では、境界の画素値が大きな値を持つ。従って、先に特定した瞳孔領域の重心Cをまず求めた上で、重心Cを始点として画素値が所要の閾値以上となる画素を探索して上向すれば、最初に瞳孔10と虹彩顆粒12の境界上の点P1が検出され、次に虹彩顆粒12とアイリス11の境界上の点P2が検出される。
【0034】
同様の手順により、重心Cを通る水平線L上の他の点についても、重心Cの隣接点から順に始点として上向探索を行えば、虹彩顆粒の全領域について下縁と上縁が求められる。またこのようにして求められる虹彩顆粒の上縁と下緑の左右両端は上縁と下縁の垂直方向の間隔が所要の小さな値以下となった点E1,E2として求められる。この方法により虹彩顆粒12の領域を特定することができる。
【0035】
すなわち、上縁と下縁の間の画素値を1とし、それ以外の画素値を0としたマスク画像mxyを作成することができる。また次の幾何的正視化部3にて用いるパラメータである虹彩顆粒の横幅の大きさは、左右両端の座標間の距離(d:E1,E2間距離)によって計算することができる。
【0036】
次に幾何的正規化部3の動作を図3を用いて説明する。
図3は、画像内の虹彩顆粒12のみを拡大して表示した虹彩顆粒の画像説明図である。
馬の動きに人のカメラ操作が追随することの難しさから、カメラとの相対位置や傾き、撮影距離は不安定に変化し、実際に得られる虹彩顆粒12の画像は、この図3に示すように位置ズレ、傾き、大きさ変化を持つ。このように幾何的な不安定な画像をそのまま照合することは、対応点が正しく取れず、照合精度の低下を招くこととなり好ましくない。従って幾何的正規化部3により、虹彩顆粒の位置・傾き・大ささを計測し、それらを正規化・補正することにより安定化を図る。その方法を以下に説明する。なお、図3において、虹彩顆粒の位置は、例えば重心Jの位置座標により正規化を図る。また、傾きはθによって正規化を図る。また、虹彩顆粒の基準となる長さは図のdとし、この長さを正規化する。
【0037】
まず最初に虹彩顆粒12の幾何的パラメータの計測動作を説明する。
図3に示すように、画像内に2次元のxy座標を設定し、虹彩顆粒12の位置ズレを重心座標(xm,ym)で、また傾きをx軸に対する角度θで、さらに大きさを長手方向の長さdでそれぞれ表すものとする。この内長手方向の長さdの求め方は、虹彩顆粒切り出し部2で説明した通りである。従ってここでは残りの重心座標(xm,ym)と傾きθの求め方を説明する。
【0038】
重心座標(xm,ym)は虹彩顆粒12の画素の座標値から求め、また傾きθは主成分分析を用いて求める。具体的には、重心座標(xm,ym)は虹彩顆粒切り出し部2から馬の目画像Pxy(1≦x≦W,1≦y≦H)と、虹彩顆粒12のマスク画像mxyを受け、次式に示す虹彩顆粒領域すなわちマスク領域(mxy=1)内の座標値(x,y)の平均を用いて求められる。ただし次式においてW,Hはそれぞれ水平方向及び垂直方向の画像サイズである。
xm=(1/n)ΣΣmxyx …(1)
ym=(1/n)ΣΣmxyy …(2)
n=(1/n)ΣΣmxy …(3)
なお、上記のΣは、y=1からH、x=1からWの範囲の総和を示す。
【0039】
また傾き(θ)の求め方は、同様に虹彩顆粒12のマスク画像mxy内の座標値を用いて、次式のような主成分分析の第1主成分を用いることにより求められる。
ここで主成分分析とは多変量解析の1手法であり、多変量のデータを代表的な次元で要約する方法であり、横長の虹彩顆粒に対しては最も長い横方向の直線が第1主成分となる傾向がある。
Figure 0003557509
なお、上記のΣは、y=1からH、x=1からWの範囲の総和を示す。
上式(1)〜(8)の計算を行なうための具体的な動作を図5を用いて説明する。
【0040】
図5は、幾何的正規化部3において虹彩顆粒の画像から正規化パラメータを計測する処理の動作フローチャートである。
図中の各記号は、画素数カウンタn、水平画素カウンタx、垂直画素カウンタy、水平重心カウンタmx、垂直重心カウンタmy、水平偏差カウンタsx、垂直偏差カウンタsy、水平垂直偏差カウンタsz、また虹彩顆粒切り出し部2より得たマスクマトリクスホルダmxyをそれぞれ表すものとする。また水平画素数W、垂直画素数Hは定数である。以下に各ステップの処理を順に説明する。
【0041】
〈ステップS1〉
画素数カウンタn、水平画素カウンタx、水平重心カウンタmx、垂直重心カウンタmy、水平偏差カウンタsx、垂直偏差カウンタをsy、水平垂直偏差カウンタszをそれぞれ初期化する。
〈ステップS2〉
水平画素カウンタxをインクリメントする。
〈ステップS3〉
垂直画素カウンタyを初期化する。
〈ステップS4〉
垂直画素カウンタyをインクリメントする。
【0042】
〈ステップS5〉
虹彩顆粒切り出し部2より得たマスクマトリクスホルダmの画素番号(x,y)の値mxyを調べ、mxy=1であれば虹彩顆粒に対応する画素であるため次のステップS6に進み、mxy=0であれば虹彩顆粒以外の画素であるため処理対象外としてステップS7に進む。
〈ステップS6〉
画素数カウンタnをインクリメントし、水平重心カウンタmx、垂直重心カウンタmy、水平偏差カウンタsx、垂直偏差カウンタsy、水平垂直偏差カウンタszに、座標値(x,y)の所要の演算値を加算する。
〈ステップS7〉
垂直画素カウンタyを定数Hと比較し、y<Hであれば水平画素番号xのラインに未処理の画素があるものとしてステップS4に進む。またy=Hであれば水平画素番号xのラインの画素の処理が終ったものとしてステップS8に進む。
【0043】
〈ステップS8〉
水平画素カウンタxを定数Wと比較し、x<Wであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS2に進む。またx=Wであれば全ての画素の処理が終ったものとしてステップS9に進む。
〈ステップS9〉
全ての画素に対する処理が終了すると、各カウンタには虹彩顆粒領域の座標値の統計情報が加算されているため、式(1)〜式(8)の演算をここで行なう。
【0044】
上記の処理が終了すると、重心座標(xm,ym)、傾きθ及び横幅の大きさdが求められる。なお上記の処理は説明の簡便のため、画像の全画素に対する処理を説明したが、マスク外(mxy=0)の領域の計算を省くため、虹彩顆粒の上縁、下縁の間のみを処理対象とすることも可能である。
【0045】
次に求めたパラメータを用いた正規化処理を図6を用いて説明する。
ここで行なう処理は、入力画像マトリクスPxyに対する平行移動・回転移動・拡大縮小の座標変換を行ない出力画像マトリクスQijを得るものである。具体的には出力画像Qijの座標値(i,j)の平行移動・回転移動・拡大縮小の逆変換式から入力画像Pxyの座標値(x,y)を求め画素値を代入する(Qij=Pxy)。変換後の虹彩顆粒の大きさをD、角度を0、重心座標をマトリクスの中心(I/2,J/2)に設定した場合の座標の変換式は次式となる。
x={(i−I/2) cosθ−(j−J/2) sinθ}d/D+xm …(9)
y={(i−I/2) sinθ+(j−J/2) cosθ}d/D+ym …(10)
【0046】
ここでこの変換には虹彩顆粒領域のみを矩形に切り出す処理も含むため、出力画像マトリクスQij(1≦i≦I,1≦j≦J)には、入力画像Pxy(1≦x≦W,1≦y≦H)とは画像サイズが異なる点に注意が必要である。
【0047】
上記の処理をさらに具体的に実現するための動作を図6を用いて説明する。
図6は、幾何的正規化部3の座標変換の動作を表すフローチャートである。
図中の各記号は、入力画像の画像マトリクスホルダPxy、水平画素カウンタx、垂直画素カウンタy、水平重心カウンタmx、垂直重心カウンタmy、マスクマトリクスホルダmxy、出力画像の画像マトリクスホルダQij、水平画素カウンタi、垂直画素カウンタj、虹彩顆粒の重心(xm,ym)、傾きθ、大きさd、変換係数sであり、また、入力画像の水平画素数W、垂直画素数H及び出力画像の水平画素数I、垂直画素数J、正規化後の顆粒の大きさDはそれぞれ定数である。この内入力画像マトリクスホルダPxyは目領域撮像部1から、またマスクマトリクスホルダmxyは虹彩顆粒切り出し部2から得たものである。以下に各ステップの処理を順に説明する。
【0048】
〈ステップS11〉
水平画素カウンタiを初期化し、大きさの変換係数sをセットする。
〈ステップS12〉
水平画素カウンタiをインクリメントする。
〈ステップS13〉
垂直画素カウンタjを初期化する。
〈ステップS14〉
垂直画素カウンタjをインクリメントする。
【0049】
〈ステップS15〉
出力画像の座標(i,j)の逆変換式(9),(10)に従い、対応する入力画像の座標(x,y)を求める。
〈ステップS16〉
虹彩顆粒切り出し部2より得たマスク画像mの画素番号(x,y)の値mxyを調べ、mxy=1であれば虹彩顆粒に対応する画素であるため次のステップS17に連み、mxy=0であれば虹彩顆粒以外の画素であるため処理対象外としてステップS18に進む。
【0050】
〈ステップS17〉
ここで出力画像マトリクスホルダQijに座標変換した入力画像マトリクスホルダの値Pxyをセットする。
〈ステップS18〉
垂直画素カウンタjを定数Jと比較し、j<Jであれば水平画素番号iのラインに未処理の画素があるものとしてステップS14に進む。またj=Jであれば水平画素番号iのラインの画素の処理が終ったものとしてステップS19に進む。
【0051】
〈ステップS19〉
水平画素カウンタiを定数Iと比較し、i<Iであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS12に進む。またi=Iであれば全ての画素の処理が終わり、出力画像マトリクスホルダQijには、座標変換による正規化された虹彩顆粒画像が格納されているため幾何的正規化部の処理を終了し、次の濃度正規化部4に進む。
【0052】
以上が幾何的正規化部3の動作であり、処理が終了すると入力画像マトリクスホルダPxyの虹彩顆粒が出力画像マトリクスホルダQijに正規化して格納される。その際、ステップS16でマスク領域外と判定した画素に対してはS17の画素値複写を行なわないため、出力画像マトリクスホルダQxyの虹彩顆粒の領域は非0の値を持ち、虹彩顆粒以外の領域は0となる。
【0053】
次に濃度正規化部4の動作を説明する。馬の目の撮影は様々な場所、時間帯、天候条件の元で行なわれるため環境光やCCDの温度特性の影響を受け、得られる画像全体の輝度やコントラストは不安定である。そのためそのまま照合を行なった場合同一の馬の目の画像でも差が大きく現れ、照合精度は良くない。本発明の2つ目はこの不安定性を抑えるために、濃度の正規化を行ない変動分を補正するものである。具体的にはまず虹彩顆粒領域の平均濃度qm と標準偏差qs を計測した上で、それらを所要値(D,K)となるよう画像の濃度値を変換する。虹彩顆粒領域の平均濃度qm と標準偏差qs の算出式は次式で表される。ただしnは虹彩顆粒領域(Qij≠0)の画素数を表す。
【0054】
Figure 0003557509
なお、上記のΣは、いずれもj=1からJ、i=1からIの範囲の総和を示す。
【0055】
図7は、濃度正規化部の動作フローチャート(その1)である。
最初に図7を用いて虹彩顆粒領域の平均濃度と標準偏差の算出の動作を説明する。
図中の各記号は、画素数カウンタn、水平画素カウンタi、垂直画素カウンタj、平均カウンタqx、分散カウンタs、偏差ホルダqs、画像マトリクスホルダQijをそれぞれ表す。この内画像マトリクスホルダPxyは幾何的正規化部2から得たものである。また水平画素数I、垂直画素数Jは定数である。以下に各ステップの処理を順に説明する。
【0056】
〈ステップS21〉
画素数カウンタn、水平画素カウンタi、平均カウンタqm、分散カウンタsをそれぞれ初期化する。
〈ステップS22〉
水平画素カウンタiをインクリメントする。
〈ステップS23〉
垂直画素カウンタjを初期化する。
〈ステップS24〉
垂直画素カウンタjをインクリメントする。
【0057】
〈ステップS25〉
入力画像マトリクスホルダQijの中で虹彩顆粒に相当する領域の画素は非ゼロであり、また領域外の画素はゼロである。これを利用して入力画像マトリクスホルダQijがゼロである場合はステップS27ヘスキップし、また入力画像Qijが非ゼロである場合は次のステップS26に進む。これにより虹彩顆粒領域のみに対して次のステップS36の処理を行なうようにここで画素を選別する。
【0058】
〈ステップS26〉
画素数カウンタnをインクリメントし、式(11)、式(12)を行なうための画素値Qijを用いた所要の演算値を平均カウンタqm、分散カウンタsにそれぞれ加算する。
〈ステップS27〉
垂直画素カウンタjを定数Jと比較し、j<Jであれば番号jの垂直ラインに未処理の画素があるものとしてステップS24に進む。またj=Jであれば番号iの垂直ラインの画素の処理が終ったものとしてステップS28に進む。
【0059】
〈ステップS28〉
水平画素カウンタiを定数Iと比較し、i<Iであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS22に進む。またi=Iであれば全ての画素の処理が終ったものとしてステップS29に進む。
【0060】
〈ステップS29〉
全ての画素に対する処理が終了すると、平均カウンタqm用及び分散カウンタsには虹彩顆粒領域の濃度値の統計情報が加算されているため、式(11),(12)に基づき濃度平均qm、濃度標準偏差qsを計算する。
以上の処理により虹彩顆粒領域の濃度平均・偏差を計測することができる。
【0061】
次に上記の濃度平均・偏差の計測値を用いた濃度正規化処理の動作を説明する。ここで行なう処理は各画素値に対して次式のような線形変換を施すことにより、画像の濃度平均qm ・標準偏差qsをそれぞれ所要値(D,K)に変換するものである。
Qij=(Qij−qm)K/qs+D …(13)
【0062】
具体的な動作を図8を用いて説明する。
図8は、濃度正規化部の動作フローチャート(その2)である。
図中の各記号は、入力画像の画像マトリクスホルダQij、水平画素カウンタi、垂直画素カウンタj、変換係数ホルダs、濃度平均ホルダqm、標準偏差ホルダqsを表す。この内入力画像の画像マトリクスホルダQijは幾何的正規化部3から、また濃度平均ホルダqm、標準偏差ホルダqsは前のステップS29にて求めたものである。また水平画素数I、垂直画素数J、濃度平均所要値D及び濃度標準偏差Kは定数である。
【0063】
〈ステップS31〉
水平画素カウンタiを初期化する。また大きさの変換係数sを濃度標準偏差qsを所要値Kに変換する式s=K/qsにセットする。
〈ステップS32〉
水平画素カウンタiをインクリメントする。
〈ステップS33〉
垂直画素カウンタjを初期化する。
〈ステップS34〉
垂直画素カウンタjをインクリメントする。
【0064】
〈ステップS35〉
入力画像マトリクスホルダQijの中で虹彩顆粒に相当する領域の画素は非ゼロであり、また領域外の画素はゼロである。これを利用して入力画像マトリクスホルダQijがゼロである場合はステップS37ヘスキップし、また入力画像Qijが非ゼロである場合は次のステップS36に進む。これにより虹彩顆粒領域のみに対して次のステップS36の処理を行なうようにここで画素を選別する。
【0065】
〈ステップS36〉
式(13)に従い濃度変換処理を行なう。
〈ステップS37〉
垂直画素カウンタjを定数Jと比較し、j<Jであれば水平画素番号iのラインに未処理の画素があるものとしてステップS34に進む。またj=Jであれば番号iの垂直ラインの画素の処理が終ったものとしてステップS38に進む。
【0066】
〈ステップS38〉
水平画素カウンタiを定数Iと比較し、i<Iであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS32に進む。またi=Iであれば全ての画素の濃度変換処理が終わったことになるため、濃度正規化部4を終了し、次の特徴抽出部5に進む。
【0067】
以上の処理が終了すると入力画像マトリクスホルダQijの虹彩顆粒画像の明度、コントラストが正規化されて置き換わる。その際、ステップS35で画像マトリクスホルダQijの非虹彩顆粒領域と判定した画素に対してはS36の濃度変換を行なわないため、画素値は0のままである。以上が濃度正規化部4の動作である。
【0068】
図9は、特徴抽出部の動作説明図である。
次に特徴抽出部5の動作を図9を用いて説明する。
特徴抽出部5で行なう処理は2次元の虹彩顆粒画像をタイル状に分割し、各タイル内の画素値の平均を1画素として縮小する処理である。具体的には図9に示すように、大きさI×Jの2次元マトリクスQijを大きさdU×dVの矩形画素をタイルとするU×V個のタイルに分割し、各タイル内の画素値の平均値を1画素とするU×Vの縮小画像Ruvを作る。(水平方向I=U×dU、垂直方向J=V×dV)。
【0069】
このように特徴データ数を圧縮する理由としては、(1)登録データの記憶部の小型化、(2)識別時の照合処理の高速化が図れる他、(3)タイル領域を平均化することにより、細かい画像ノイズや位置ずれによる画素値の不安定性を除去し照合精度の安定性が図れる点にある。
【0070】
図10は、特徴抽出部の動作フローチャートである。
具体的な動作を図10を用いて説明する。
図中の各記号は、入力画像マトリクスホルダQij、特徴画像マトリクスホルダRuv、水平画素カウンタi、垂直画素カウンタj、画素数ホルダnをそれぞれ表す。また入力画像の水平画素数I、垂直画素数J、タイルの水平画素数du、垂直画素数dv、特徴画像の水平画素数U、垂直画素数Vはそれぞれ定数である。
【0071】
〈ステップS51〉
水平画素カウンタi及び特徴画像マトリクスホルダRuv(u=1,…,U,v=1,…,V)を初期化する。
〈ステップS52〉
水平画素カウンタiをインクリメントする。
〈ステップS53〉
垂直画素カウンタjを初期化する。
〈ステップS54〉
垂直画素カウンタjをインクリメントする。
【0072】
〈ステップS55〉
入力画像Qijの中で虹彩顆粒に相当する領域は非ゼロ、それ以外の領域はゼロであることを利用して、入力画像Qijがゼロである場合はステップS57ヘスキップし、また入力画像Qijが非ゼロである場合は次のステップS56に進む。これにより虹彩顆粒領域のみに対して次のステップS56の処理を行なうようここで画素の選別をする。
【0073】
〈ステップS56〉
画素(i,j)の対応する縮小画像の画素(u,v)=([i/du],[j/dv])を求め、画素番号(u,v)の特徴画像マトリクスホルダRuvに入力画像の画素値Qijを加算する。なお記号([])はガウス記号であり、小数点以下を切捨てる([4.5]=4)。
〈ステップS57〉
垂直画素カウンタjを定数Jと比較し、j<Jであれば番号iの垂直ラインに未処理の画素があるものとしてステップS54に進む。またj=Jであれば番号iの水平ラインの画素の処理が終ったものとしてステップS58に進む。
【0074】
〈ステップS58〉
水平画素カウンタjを定数Iと比較し、i<Iであれば末処理の垂直ラインがあるものとしてステップS52に進む。またi=Iであれば全ての画素の処理が終わったものとして次のステップS59に進む。
【0075】
〈ステップS59〉
ステップS58までの処理が終了すると画像マトリクスホルダRuvの各画素には、du×dv画素の入力画素値が加算されている。従って画像マトリクスホルダRuvの全ての画素を画素数n=du・dvで除算することにより、マトリクスサイズdu×dvのタイル内の画素値の平均値が求められ、特徴マトリクスホルダRuvは入力画像の縮小モザイク画像となる。
以上が特徴抽出部5の動作であり、処理が終了すると入力画像Qijの虹彩顆粒が特徴抽出されて特徴画像Ruvに格納される。
【0076】
「登録モード」においては、この特徴抽出部5により得られる特徴画像データを辞書記憶部8に馬のID情報とともに記憶する。
「登録モード」では、以上の動作により処理が完了する。次に、実際に任意の馬について個体識別を行おうとすると、これまでと全く同様の処理が特徴抽出部5まで実行される。そして、識別モードにおいては、図1に示した相違度計算・照合部6と識別結果出力部7とが動作する。
【0077】
次に相違度計算・照合部6及び識別結果表示部7の動作を図11を用いて説明する。
図11は相違度計算・照合部6の動作を表すフローチャートである。
ここで行なう処理は、あらかじめ登録してある辞書と入力画像の特徴とを比較してその差分の平均を求め、平均が所要値よりも小さい唯一の辞書があれば、その辞書のIDの馬を検査対象馬として識別して出力するものである。平均が所要値よりも小さい辞書が一つもないか、あるいは二つ以上ある場合は、入力画像を該当する登録馬ではないものとしてリジェクトする。これは虹彩顆粒の大きさ・形状・しわに個体差があるため、辞書と同一の馬の目との差分の方が、辞書と異なる馬の目との差分よりも小さいためである。従って差分値に適当な閾値を設けることにより、両者を分離することができる。
【0078】
相違度計算・照合部6の具体的な動作を図11を用いて説明する。
図中の各記号は、入力画像の特徴画像マトリクスホルダRuv、辞書マトリクスホルダTkuv 、画素数カウンタn、辞書番号カウンタk、候補辞書数カウンタm、候補辞書番号ホルダα、平均差分カウンタSk 、水平画素カウンタu、垂直画素カウンタv、差分カウンタsを表し、また特徴画像サイズU×V、辞書数Cおよぴ閾値thは定数とする。
【0079】
〈ステップS61〉
辞書番号カウンタk及び候補辞書数カウンタmを初期化する。
〈ステップS62〉
辞書番号カウンタkをインクリメントする。
〈ステップS63〉
水平画素カウンタu及び差分カウンタsを初期化する。
〈ステップS64〉
水平画素カウンタvをインクリメントする。
【0080】
〈ステップS65〉
垂直画素カウンタuを初期化する。
〈ステップS66〉
垂直画素カウンタvをインクリメントする。
〈ステップS67〉
入力特徴画像マトリクスホルダRuv及び辞書マトリクスホルダTkuv の中で虹彩顆粒に相当する画素は非ゼロであり、またそれ以外の領域はゼロである。これを利用して入力特徴画像Ruvと辞書画像Tkuv がともにゼロである場合はステップS69ヘスキップし、またどちらか一つでも非ゼロであれば次のステップS68に進む。これにより両者の虹彩顆粒領域のOR領域のみに限定した照合ができる。
【0081】
〈ステップS68〉
画素数カウンタnをインクリメントし、入力特徴画像マトリクスホルダRuvと辞書マトリクスホルダTkuv との差分を求めて差分カウンタsに加算する。
〈ステップS69〉
垂直画素カウンタvを定数Vと比較し、v<Vであれば番号uの垂直ラインに未処理の画素があるものとしてステップS66に進む。またv=Vであれば番号uの垂直ラインの画素の処理が終ったものとしてステップS70に進む。
【0082】
〈ステップS70〉
水平画素カウンタuを定数Uと比校し、u<Uであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS64に進む。またu=Uであれば全ての画素の処理が終わったものとして次のステップS71に進む。
〈ステップS71〉
ステップS58までの処理が終了すると差分カウンタsには、入力特徴画像Ruvと辞書画像Tkuv との差分が加算されている。従って差分カウンタsを画素数nで除算することにより、一画素あたりの平均差分が求められる。
【0083】
〈ステップS72〉
差分カウンタsを閾値thと比較し、s<thであれば入力画像の馬が辞書と同一候補であるものとして次のステップS73に進む。またs≧thであれば入力画像の馬が辞書とは異なるものとしてステップS74の次の辞書の検査に進む。
【0084】
〈ステップS73〉
正解候補の辞書としてその辞書番号kを候補辞書番号ホルダaに格納し、また候補辞書数カウンタmをインクリメントする。
〈ステップS74〉
辞書番号カウンタkの値を辞書数Cと比較し、辞書番号カウンタkが辞書数より小さい(k<C)ならばまだ未照合の辞書があるためステップS62に進み、そうでない場合(k≧C)は全ての辞書との照合が終ったものとして次のステップS75に進む。
【0085】
〈ステップS75〉
ステップS61〜S74までの処理が終了すると候補辞書数カウンタmには入力特徴画像Ruvと辞書Tkuv の差分が所要の闘値thより小さな辞書数がカウントされ、また候補辞書番号ホルダaにはその内の一つの辞書番号が格納されている。正しい識別条件は、差分値が閾値より小さい辞書(s<th)が唯一の時(m=1)のみ正解とすることである。そこで候補辞書数カウンタmが1であるか否かを調ベ、候補辞書数カウンタmが1の場合は入力馬が登録馬と同一であるとして識別結果出力部7に候補辞書番号aの馬のID情報を表示する。また候補辞書数カウンタmが1以外の値である場合には、入力馬が登録馬ではない旨のリジェクト情報を識別結果出力部7に表示する。
【0086】
以上が相違度計算・照合部6及び識別結果表示部7の動作である。ステップS72において用いた閾値thは入力馬の目と誤識別することがないように十分小さな値にあらかじめ設計しておくものとする。
識別結果の出力はディスプレイやプリンタ等により行われる。
以上が本具体例の動作の説明である。
【0087】
〈具体例1の効果〉
以上説明した具体例1の装置には次のような効果がある。
1.幾何的正規化部3により虹彩顆粒の位置・傾き・大きさを計測しそれらを正規化・補正するため、馬の顔や眼球が動いたりあるいはカメラアングルが一定していなくても安定した位置・大きさ・傾きに補正して照合できるため、精度の良い識別が行なえる。
2.濃度正規化部4により虹彩顆粒の明るさ・コントラストを一定値に正規化・補正するため、場所、時間帯、天候といった環境条件やCCDの温度特性等の光学系の不安定性によらず安定した照合が行なえる。
【0088】
3.特徴抽出部5により虹彩顆粒画像を平均化して画素数を圧縮するため、特徴データサイズを小さくでき、辞書記憶部8を小型化できる。
4.特徴抽出部5により虹彩顆粒画像を平均化して画素数を圧縮するため、特徴データサイズを小さくでき、相違度計算・照合部6の計算時間を短縮でき、高速な識別処理が可能となる。
【0089】
5.特徴抽出部5により一定領域を平均化することにより、画像の高周波が除去され、細かい画像ノイズや位置ずれによる画素値の不安定性が軽滅され、安定した照合が行なえる。
【0090】
〈具体例2〉
具体例1で述べた識別方法は、虹彩顆粒切り出し部2及び幾何的正規化部3において虹彩顆粒の2次元画像から虹彩顆位の幾何的パラメータを算出し、それに基づき幾何的正規化を行なうものであった。しかしながら虹彩顆粒は3次元形状の組織であるため、2次元画像から幾何的パラメータを抽出する場合、カメラアングルによっては辞書と対応が好適に行われない場合がある。例えば正面画像を辞書を用いてやや左側面から撮影した画像を照合する場合、虹彩顆粒が3次元形状であるため入力画像は辞書画像に較べ左側面がやや余分に見え、右側面は隠れる部分ができる。
【0091】
このように3次元形状のアングルによる見え方の変動は幾何的正規化部3のような2次元的な座標変換だけでは隠れた部分を補正することはできないが、辞書との位置対応が正確に取れれば同一馬と異なる馬とで相違度に差が現れ識別可能となる。ところが、間題は幾何的正規化部3において左右の端点を基準に位置合わせをした場合、カメラアングルによって虹彩顆粒の左右端が変化し、正確な位置対応を取れないことにある。
【0092】
そこで具体例2にて述べる方法は、この間題に対して幾何的正規化部3に少しずつ値が異なる様々な正規化量を通用することにより正確な対応位置を探索し、カメラアングルに起因する対応点のズレを軽滅するものである。様々な値の正規化量に対して相違度は最も対応が正確にとれた場合に小さくなる。
【0093】
図12は、具体例2の装置のブロック図である。
この装置は、目領域撮像部101、虹彩顆粒切り出し部102、幾何的正規化部103,113,…,193、濃度正規化部104,114,…,194、特徴抽出部105,115,…,195、相違度計算部106,116,…,196、照合部107、識別結果出力部108より成る。この具体例の構成は、前述した具体例1の幾何的正規化部3、濃度正規化部4、特徴抽出部5、相違度計算・照合部6を多重並列化した構成となっており、さらには具体例1における相違度計算・照合部6は、具体例2においては相違度計算部106,116,…,196と照合部107に分かれ、照合部107が各並列処理結果をまとめる役割を果たす。以下に各処理について説明する。
【0094】
目領域撮像部101は、CCDビデオカメラ等の画像入力部及び照明より成り、馬の目の映像を信号として捉える。画像入力部は、カメラで馬の目を撮像する部分であり、馬の目の像のアナログ光情報をセンサによりディジタル電気信号に変換する処理を行う。また照明は馬の目をコントラスト良く捉えるために照射し、光源としては馬がまぶしくて過剰に動くことを避けるために、赤色光あるいは近赤外光、赤外光のような動物には感知しにくい波長の光が用いられる。
【0095】
虹彩顆粒切り出し部102は、目領域撮像部101より馬の目の全体映像を受けて、その中から虹彩顆粒領域の上縁及び下縁を検出することにより、虹彩顆粒領域のみを切り出す処理を行う。また虹彩顆粒の両端から虹彩顆粒の横幅の長さを計算する。
幾何的正規化部103,113,…,193は、虹彩顆粒切り出し部102で検出された虹彩顆粒画像の位置ずれ、傾き、大きさを計測し、それを所定値に正規化する処理部である。具体的には、虹彩顆粒の重心位置、主成分方向の傾き、横幅の長さにより正規化量を算出し、各正規化量に予め定めた小さめの値を加算あるいは乗算した値を用いて幾何的な正規化を行う。加算あるいは乗算する値は並列に並べた幾何的正規化部103,113,…,193の各部によって異なる。
【0096】
濃度正規化部104,114,…,194は、虹彩顆粒画像全体の濃度の明るさ及びコントラストを計測し、それらを所要の明るさ、コントラストとなるように正規化する処理部である。この濃度正規化部は具体例1との比較のため並列して図示してあるが、皆一様の処理を行うため必ずしも多重並列化する必要はなく虹彩顆粒切り出し部102の後に単一の処理として行っても構わない。
特徴抽出部105,115,…,195は、虹彩顆粒画像の特徴を抽出し、コード化する処理部である。並列に行われる幾何的正規化部103,113,…,193の各部により補正量が異なるため特徴抽出部105,115,…,195の各部の処理結果もそれぞれ異なる。
【0097】
相違度計算部106,116,…,196は、特徴抽出部105,115,…,195より虹彩顆粒コードをそれぞれ受け、それを辞書記憶部の各馬の辞書と比較照合し、最も相違度の小さい辞書を求める処理部である。ここで、図12には辞書記憶部は省略してあるが、辞書記憶部の構成及び辞書の作成方法は具体例1の方法と同じである。
【0098】
照合部107は、相違度計算部106,116,…,196の各部より候補辞書及び相違度を受け、最も相違度の小さくかつ所要値以下の辞書のIDを該当する馬のIDとして決定する処理部である。
識別結果出力部108は、照合部106の出力を受け、識別した馬のID情報を出力する処理部である。
【0099】
〈具体例2の動作〉
具体例2の「識別モード」の動作を図13,図14を用いて説明する。
構成の説明で述べたように、この具体例はより適切な幾何的正規化を行うために幾何的正規化部以降の処理を多重並列化し、異なる様々な正規化パラメータにより幾何的正規化を行うものである。そのため各部の処理は具体例1と重複する部分もあるため、ここでは動作が異なる幾何的正規化部103,113,…,193、相違度計算部106、照合部107の動作のみに限定して以下に説明する。
【0100】
始めに幾何的正規化部103,113,…,193の動作を説明する。具体例1にて述べたように幾何的正規化部3は虹彩顆粒の位置・傾き・大きさを計測し、それらを正規化・補正することにより安定化を図るものである。具体例2においてはこの幾何的正規化を異なる様々な正規化パラメータを用いて行う。従って計測した正規化パラメータに予め定めた値を加算あるいは乗算するステップが入る点が具体例1と異なる点である。
【0101】
具体的には幾何的正規化部では計測した幾何的パラメータ(重心(xm ,ym )、傾きθ、スケールd)を用いて正規化を行うが、それらに対して各並列処理部により異なる小さな変化量((Δx ,Δy )、Δ0 、Δd )を加算する。これにより平行移動・回転移動・拡大縮小の座標逆変換式は次式となる。
x={(i−I/2) cos(θ+ Δθ)−(j−J/2) sin(θ+ Δθ) }(d+ Δ ) /
D+xm+Δx …(14)
y={(i−I/2) sin(θ+ Δθ)+(j−J/2) cos(θ+ Δθ) }(d+ Δ ) /
D+ym+Δy …(15)
ただし入力画像をPxy、出力画像をQij、変換後の幾何的パラメータとして、虹彩顆粒の大きさをD、角度を0、マトリクスの中心を(I/2,J/2)としている。
【0102】
図13は、幾何的正規化部の動作フローチャートである。
更に具体的な動作を図13を用いて説明する。本具体例の固有の動作はステップS100の正規化パラメータの変更のみであり、残りの各ステップは図1に示した具体例1と同様である。図13中の各記号は、入力画像の画像マトリクスホルダPxy、水平画素カウンタx、垂直画素カウンタy、水平重心カウンタmx、垂直重心カウンタmy、マスクマトリクスホルダmxy、出力画像の画像マトリクスホルダQij、水平画素カウンタi、垂直画素カウンタj、虹彩顆粒の重心(xm,ym)、傾きθ、大きさd、変換係数sであり、また、入力画像の水平画素数W、垂直画素数H及び出力画像の水平画素数I、垂直画素数J、正規化後の顆粒の大きさDはそれぞれ定数である。更に重心の変化量(Δx ,Δy )、傾きの変化量Δθ、大きさの変換量Δd は各多重並列処理毎に異なる定数である。この内入力画像マトリクスホルダPxyは目領域撮像部101から、またマスクマトリクスホルダmxyは虹彩顆粒切り出し部102から得たものである。以下に各ステップの処理を順に説明する。
【0103】
〈ステップS100〉
計測した幾何的パラメータ(重心(xm ,ym )、傾きθ、スケールd)に小さな変化量((Δx ,Δy )、Δθ、Δd )を加算する。変化量((Δx ,Δy )、Δθ、Δd )は正負両方の値を持ち得る。
〈ステップS11〉
水平画素カウンタiを初期化し、大きさの変換係数sをセットする。
〈ステップS12〉
水平画素カウンタiをインクリメントする。
〈ステップS13〉
垂直画素カウンタjを初期化する。
〈ステップS14〉
垂直画素カウンタjをインクリメントする。
【0104】
〈ステップS15〉
ステップS100の幾何的パラメータを用いて、式(14)及び式(15)に従い出力画像の座標(i,j)を変換して対応する入力画像の座標(x,y)を求める。
〈ステップS16〉
虹彩顆粒切り出し部2より得たマスク画像mの画素番号(x,y)の値mxyを調べ、mxy=1であれば虹彩顆粒に対応する画素であるため次のステップ17に進み、mxy=0であれば虹彩顆粒以外の画素であるため処理対象外としてステップS18に進む。
【0105】
〈ステップS17〉
出力画像マトリクスホルダQijに対応する入力画像マトリクスホルダの値Pxyをセットする。
〈ステップS18〉
垂直画素カウンタjを定数Jと比較し、j<Jであれば水平画素番号iのラインに未処理の画素があるものとして、ステップS19に進む。
〈ステップS19〉
水平画素カウンタiを定数Iと比較し、i<Iであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS12に進む。またi=Iであれば全ての画素の処理が終わり、出力画像マトリクスホルダQijには、座標変換による正規化された虹彩顆粒画像が格納されているため幾何的正規化部の処理を終了し、次の濃度正規化部104,114,…,194に進む。
【0106】
以上が幾何的正規化部103,113,…,193の動作であり、処理が終了すると入力画像マトリクスホルダPxyの虹彩顆粒が出力画像マトリクスホルダQijに正規化して格納される。その際、ステップS16でマスク領域外と判定した画素に対してはS17の画素値複写を行わないため、出力画像マトリクスホルダQxyの虹彩顆粒の領域は非0の値を持ち、虹彩顆粒以外の領域は0となる。
【0107】
図14は、相違度計算部の動作フローチャートである。
図14で行う処理は、予め登録してある辞書と入力画像の特徴とを比較してその差分の平均を求め、平均差分が最も小さい辞書のIDとその平均差分値を次の照合部107に渡すものである。
【0108】
具体的な動作を図14を用いて説明する。
相違度計算部106の具体例と異なる点は平均差分を所要値と絶対評価するのではなく、相対評価で最も小さい辞書のIDを求める点である。従って、図14の中で具体例1と異なる処理はステップS161,172,173である。図中の各記号は、入力画像の特徴画像マトリクスホルダRuv、辞書マトリクスホルダTkuv 画素数カウンタn、辞書番号カウンタk、候補辞書数カウンタm、候補辞書番号ホルダat 、平均差分ホルダS、水平画素カウンタu、垂直画素カウンタv、差分カウンタsを表し、また特徴画像サイズU×V、辞書数C及び閾値thは定数とする。
【0109】
〈ステップS161〉
辞書番号カウンタk、平均差分ホルダS及び候補辞書番号ホルダat を初期化する。平均差分ホルダSは十分大きな値に、また候補辞書番号ホルダat はエラー番号に初期化する。これは平均差分ホルダSは複数の辞書との平均差分の比較においてそれより小さな差分値を記憶しておくためのものであり、これが小さ過ぎると該当辞書なしとなるためである。また候補辞書番号ホルダat はエラー番号に初期化するのはそのようなエラーの発生の有無を後の照合部107で検知するためである。
【0110】
〈ステップS62〉
辞書番号カウンタkをインクリメントする。
〈ステップS63〉
水平画素カウンタu及び差分カウンタsを初期化する。
〈ステップS64〉
水平画素カウンタuをインクリメントする。
〈ステップS65〉
垂直画素カウンタvを初期化する。
〈ステップS66〉
垂直画素カウンタvをインクリメントする。
【0111】
〈ステップS67〉
入力特徴画像マトリクスホルダRuv及び辞書マトリクスホルダTkuv の中で虹彩顆粒に相当する画素は非ゼロであり、またそれ以外の領域はゼロである。これを利用して入力特徴画像Ruvと辞書画像Tkuv がともにゼロである場合はステップS69へスキップし、またどちらか一つでも非ゼロであれば次のステップS68に進む。これにより両者の虹彩顆粒領域のみに限定した照合ができる。
【0112】
〈ステップS68〉
画素数カウンタnをインクリメントし、入力特徴画像マトリクスホルダRuvと辞書マトリクスホルダTkuv との差分を求めて差分カウンタsに加算する。
〈ステップS69〉
垂直画素カウンタvを定数Vと比較し、v<Vであれば番号uの垂直ラインに未処理の画素があるものとしてステップS66に進む。またv=Vであれば番号uの垂直ラインに未処理の画素があるものとしてステップS66に進む。またv=Vであれば番号uの垂直ラインの画素の処理が終わったものとしてステップS70に進む。
【0113】
〈ステップS70〉
水平画素カウンタuを定数Uと比較し、u<Uであれば未処理の垂直ラインがあるものとしてステップS64に進む。またu=Uであれば全ての画素の処理が終わったものとして次のステップS71に進む。
〈ステップS71〉
ステップS58までの処理が終了すると差分カウンタsには、入力特徴画像Ruvと辞書画像Tkuv との差分が加算されている。従って、差分カウンタsを画素数nで除算することにより、一画素当り平均差分が求められる。
【0114】
〈ステップS172〉
差分カウンタsを平均差分ホルダSと比較し、s<Sであれば該当馬の辞書候補であるものとして次のステップS173に進む。またs≧Sであれば候補辞書とは異なるものとしてステップS74に進む。
〈ステップS173〉
正解候補の辞書としてその辞書番号kを候補辞書番号ホルダat に格納し、また平均差分ホルダSに平均差分値sを記憶する。
【0115】
〈ステップS74〉
辞書番号カウンタkの値を辞書数Cと比較し、辞書番号カウンタkが辞書数より小さい(k<C)ならばまだ未照合の辞書があるためステップS62に進み、そうでない場合(k≧C)は全ての辞書との照合が終わったものとして次の照合部107に進む。
【0116】
以上が相違度計算部の説明である。次に照合部107の動作を説明する。相違度計算部106,116,…,196のステップS61〜S74までの処理が終了すると、候補辞書番号ホルダat には入力画像と最も平均差分の小さな辞書番号が、また平均差分ホルダSにはその平均差分値が格納されている。ここで入力馬の識別条件は、差分値が閾値より小さい辞書(S<th)が唯一の時(m=1)のみ正解とすることである。そこで照合部107は、相違度計算部106,116,…,196の全ての平均差分ホルダSの値を調べ、その値が所要値thよりも小さい辞書IDが唯一である時のみそのID情報を、またそうでない場合は入力馬が登録馬ではない旨のリジェクト情報を識別結果出力部108にそれぞれ送る。閾値thは入力馬の目と誤識別することがないように十分小さな値に予め設計しておくものとする。
【0117】
〈具体例2の効果〉
以上説明した具体例2の装置には次のような効果がある。
1.正規化パラメータを様々に変えて幾何的正規化及び相違度計算を行うため、3次元形状を持つ虹彩顆粒を2次元画像として撮影する場合にも、カメラアングルの違いによる辞書の虹彩顆粒の対応点のずれを補正して、精度の高い識別が行える。
2.また正規化パラメータを様々に変えて幾何的正規化を行うことは、虹彩顆粒の幾何的パラメータの計測誤差がある場合にも正しいパラメータを探索して正確な正規化を行える効果も見込める。
【0118】
〈利用形態〉
1.本発明は虹彩顆粒の識別方法として説明したが、一般に個体差のある任意の3次元物体の識別に本発明は利用できる。
2.相違度計算部においては検査対象と辞書の虹彩顆粒とのOR領域を用いて照合する例を示したが、AND領域、XOR領域についてこれを適用することが可能である。即ち、照合の対象となる虹彩顆粒の画像が完全に重なり合わなかったとき、重なり合ったAND領域を照合したり、このAND領域と、いずれか一方の画像が存在する領域とを含むOR領域に適用できる。また、いずれか一方の画像が存在するXOR領域にも適用できる。はみだした部分の差が十分小さければ互いにその形状が近似していると判断できるからである。
【0119】
3.相違度計算部においては平均差分を相違度としたが、差分和や、所定値以上画素値に差のある画素数等、任意の基準が相違度として適用可能である。
4.具体例2において幾何的正規化部を多重並列化したが、その多重化数は任意である。
5.具体例2における多重並列化した幾何的正規化部は、並列回路、直列回路のどちらに実装してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】具体例1の装置のブロック図である。
【図2】馬の目の画像説明図である。
【図3】虹彩顆粒の画像説明図である。
【図4】虹彩顆粒切り出し部の動作説明図である。
【図5】幾何学的正規化部の動作フローチャート(その1)である。
【図6】幾何学的正規化部の動作フローチャート(その2)である。
【図7】濃度正規化部の動作フローチャート(その1)である。
【図8】濃度正規化部の動作フローチャート(その2)である。
【図9】特徴抽出部の動作説明図である。
【図10】特徴抽出部の動作フローチャートである。
【図11】相違度計算・照合部の動作フローチャートである。
【図12】具体例2の装置のブロック図である。
【図13】幾何的正規化部の動作フローチャートである。
【図14】相違度計算部の動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 目領域撮像部
2 虹彩顆粒切り出し部
3 幾何的正規化部
4 濃度正規化部
5 特徴抽出部
6 相違度計算照合部
7 識別結果出力部
8 辞書記憶部

Claims (13)

  1. 動物の目を撮影してその画像を得る目領域撮像部と、
    前記目の画像中の虹彩顆粒の位置と傾きと大きさとを計測し、切り出した虹彩顆粒の画像中の虹彩顆粒の位置と傾きと基準になる部分の長さとが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行う幾何的正規化部と、
    この幾何的正規化部の出力から虹彩顆粒の画像の特徴を抽出する特徴抽出部と、
    この特徴抽出部の出力した虹彩顆粒データを記憶して登録する辞書記憶部とを備えたことを特徴とする動物の個体識別装置。
  2. 識別対象となる特定の動物の目の虹彩顆粒を撮影して得た虹彩顆粒データを記憶して登録する辞書記憶部と、
    任意の動物の目を新たに撮影したときに得た画像から、虹彩顆粒の位置と傾きと大きさとを計測し、切り出した画像中の虹彩顆粒の位置と傾きと基準になる部分の長さとが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行って、虹彩顆粒データを得る幾何的正規化部と、
    この幾何的正規化部の出力から虹彩顆粒の画像の特徴を抽出する特徴抽出部と、
    この特徴抽出部の出力した虹彩顆粒データと前記辞書記憶部に登録された虹彩顆粒データとを比較する照合部と、
    この照合部の出力により、新たに撮影して得た虹彩顆粒データが、前記辞書記憶部に登録された特定の動物の目を撮影して得たものかどうか識別した結果を出力する識別結果出力部、とを備えたことを特徴とする動物の個体識別装置。
  3. 請求項1または2に記載の個体識別装置において、
    幾何的正規化部は、
    虹彩顆粒の画像の重心を虹彩顆粒の位置と判定して、その位置が予め設定した所定値になるように座標変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
  4. 請求項1または2に記載の個体識別装置において、
    幾何的正規化部は、
    虹彩顆粒の画像の主成分の基準線に対する傾きを虹彩顆粒の傾きと判定して、その傾きが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
  5. 請求項1または2に記載の個体識別装置において、
    幾何的正規化部は、
    虹彩顆粒の画像の長手方向の長さを虹彩顆粒の基準になる部分の長さと判定して、その長さが予め設定した所定値になるように座標変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
  6. 請求項1または2に記載の個体識別装置において、
    特徴抽出部に入力する信号に対して、予め、虹彩顆粒の画像濃度の平均値とコントラストとを計算し、この画像濃度の平均値とコントラストとが予め設定した所定値になるように濃度変換処理を行う濃度正規化部を設けたことを特徴とする動物の個体識別装置。
  7. 請求項6記載の個体識別装置において、
    濃度正規化部は、
    虹彩顆粒の画像濃度の標準偏差をその画像のコントラストとみなし、その画像濃度の標準偏差が所定値になるように濃度変換処理を行うことを特徴とする動物の個体識別装置。
  8. 請求項1または2に記載の個体識別装置において、
    特徴抽出部は、
    虹彩顆粒の画像をタイル状に分割し、各タイル内の画素値の平均を1画素として縮小し、その結果得られた縮小モザイク画像を虹彩顆粒データとすることを特徴とする動物の個体識別装置。
  9. 請求項2に記載の個体識別装置において、
    幾何的正規化部は、
    幾何的正規化を異なるパラメータを用いて行うことにより、複数種類の虹彩顆粒データを得て、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒データとの比較対象にすることを特徴とする動物の個体識別装置。
  10. 請求項2に記載の個体識別装置において、
    照合部は、識別対象となる虹彩顆粒データの全画素と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒データの対応する全画素を比較して、各画素の画素値の差分和から相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
  11. 請求項2に記載の個体識別装置において、
    照合部は、識別対象となる虹彩顆粒データの全画素と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒データの対応する全画素を比較して、各画素の画素値の差分和を全画素数で除算した平均差分から相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
  12. 請求項2に記載の個体識別装置において、
    照合部は、識別対象となる虹彩顆粒の画像領域と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒画像領域とを重ねあわせて、
    両者の画像が重なり合った領域のみを対象として相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
  13. 請求項2に記載の個体識別装置において、
    照合部は、識別対象となる虹彩顆粒の画像領域と、辞書記憶部に登録した虹彩顆粒画像領域とを重ねあわせて、
    いずれか一方の画像に含まれ、かつ、両者の画像が重なり合った領域以外の領域を対象として相違度を判定することを特徴とする動物の個体識別装置。
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