JP3556681B2 - 滅菌した2成分系繊維組ひも - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は、組んだ(braided)マルチフィラメントに関するものであり、特に外科縫合または結糸としての使用に適切に適合させた、滅菌し、組んだマルチフィラメントに関する。
【0002】
組んだマルチフィラメントは、しばしば、モノフィラメント相対物に比較して増強した、たわみ性、結び目の安全性、および引張り強さを与える。組んだマルチフィラメントが有するこの増強たわみ性は、1本の大きな直径を有するモノフィラメントに比較して、非常に細かいフィラメントの束が有するところの、曲げに対する低い抵抗力の直接的結果である。しかしながら、この認識されている増強を得るためには、これらの個々のマルチフィラメントは、それらが隣接するフィラメントに邪魔されないか或は拘束されないで曲がることができる必要がある。このような個々の繊維の有する移動度を低下させるいかなる機構、例えば簡単な繊維と繊維との摩擦、この組ひもの間隙の中に浸透しているコーティング物、または繊維を一緒に接着させている溶融ポリマーマトリックスなども、組ひものたわみ性に悪影響を与えている。これらのマルチフィラメント全体が一緒に接着している極端な場合、たわみもしくは曲げ抵抗力は、本質的にモノフィラメントと同様である。
【0003】
不幸にも、この組ひもを作り上げている隣接フィラメントの動きを犠牲にしてマルチフィラメントの組ひもが有する特異的な特性を改良する試みを用いた従来技術が数多く存在している。例えば、マルチフィラメント縫合ひもは、ほとんど普遍的に、取り扱い特性を改良するための表面コーティング物を有している。
【0004】
米国特許番号4,942,532には、マルチフィラメント縫合ひものためのポリエステルコーティングが開示されている。この好適なポリエステルコーティング物はポリブチレート[これは、1,4−ブタンジオールとアジピン酸との縮合生成物である]である。米国特許番号4,624,256には、少なくとも90%のε−カプロラクトンと生分解性モノマーとの縫合用コーティング共重合体、および任意の潤滑剤が開示されている。開示されている生分解性ポリマー類のためのモノマーの例には、グリコール酸およびグリコリッド、並びにマルチフィラメント縫合ひも用生分解性コーティング物の製造で典型的に用いられている他のよく知られたモノマー類が含まれる。
【0005】
取り扱い性を改良するための、マルチフィラメント縫合用として通常に受けいれられているコーティング組成物の使用に対する代替物が、米国特許番号3,527,650に開示されている。この特許は、アクリル系ラテックス中のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子から成るコーティング組成物を開示している。このPTFE粒子は、マルチフィラメント縫合ひもが有する表面の粗さを低下させるための優れた滑剤として働くが、これらの粒子は、使用中に剥げ落ちる傾向を有している。また、この特別なコーティング物は、適当な用途では硬化段階を必要とする熱硬化性コーティング物である。
【0006】
極最近になって、マルチフィラメント縫合用として、モノフィラメント様の表面を作り出す劇的な試みがなされた。米国特許番号4,470,941には、異なる合成ポリマー類から誘導される「複合体」縫合ひもの製造が開示されている。この複合体縫合ひもは、低融点を有する繊維のコア[この回りには、高融点を有する繊維が組まれている]で構成されている。これらの異なる繊維は凝集性を示さないため、このコアの中にある低融点の繊維が溶融し、そしてその組んだ高融点繊維のマトリックス全体に渡って再分布する。このような複合体縫合ひもは、異なる合成繊維が有する最良の特性を組み合わせる試みを表してはいるが、不幸なことに、この点に関しては失敗である、と言うのは、再分布した低融点の繊維がマトリックスを形成し、これが有意に、繊維の動きを低下させることによる該複合体縫合ひもの堅さを上昇させているからである。
【0007】
マルチフィラメント縫合ひもの特性を増強する別の試みがWO/00020に見いだされる。この出願は、結び目強力が少なくとも7g/デニールの合成ポリマーから成る長く伸びたコアを、外科用フィルム形成材料でコートすることを開示している。この外科用フィルム形成材料は吸収性もしくは非吸収性であってもよく、そしてこれの長く伸びたコアの上に、溶液コーティング、溶融コーティングまたは押出しコーティングでコートすることができる。このようにコートしたマルチフィラメント縫合ひもは、通常にコートしたマルチフィラメント縫合ひもに斑点を生じさせるという同じ欠点を有している。
【0008】
組ひもの特性を改良するための従来技術に記述されている試みの全ては、繊維と繊維との摩擦、並びに繊維の移動度および組ひものたわみ性に対するその影響の重大さを見過ごしている。これに関連した特性には、繊維と繊維との摩擦係数[これはしばしばポリマーの表面エネルギーに関係している]、繊維断面の形状および直径、並びにこの組ひもを横切る横方向の力に影響を与える組ひも構造、が含まれる。高度に滑らかなポリマーから成る繊維を通常様式で用いる場合、高いたわみ性を示す組ひもが得られる。しかしながら、多くの場合、これらの組ひもは、比較的弱くそして利用できるものではない。従って、通常の組んだマルチフィラメントの設計では、組ひもの強度とたわみ性との間に妥協点が存在している。
【0009】
従来技術の欠点を鑑み、改良されたたわみ性と取り扱い性を示すマルチフィラメント縫合ひもを得ることが望まれている。より詳細には、少なくとも2種の異なる繊維形成材料から成る繊維で構成されている組んだマルチフィラメント[ここで、これらの繊維形成材料は、感知できる程にはそれが有する物性を犠牲にすることなく、組んだマルチフィラメントに関するたわみ性の増強に寄与している]を製造することが最も望ましい。
【0010】
【発明の要約】
本発明は、組んだ繊維を形成するように組まれた、滅菌した別々の連続している多数の糸から成る組んだ繊維である。各々の糸は多数のフィラメントから成り、そして少なくとも1本のフィラメントは2成分系のフィラメントである。こ2成分系のフィラメントは、このフィラメントの長さに沿って、第二繊維形成材料のコアを取り巻いている第一繊維形成材料の殻を有している。
【0011】
驚くべきことに、この2成分系繊維組ひもは、この組んだ糸を構成している異なる繊維形成材料が有する特定の特性に帰すべき顕著な特性の組み合わせを示す。これらの異なる繊維形成材料は、溶融接着を行う必要がないか、或は本発明の組ひもを形成している該2成分系繊維を製造するための他の特別な処理技術のいずれも必要としていない。その代わり、この組ひもの一体性、従ってそれが有する特性は、全体として、個々の糸の物理的組み合わせまたは組み立てによるものである。実際、使用する異なる繊維形成材料各々の種類および比率を変え、そしてこの組ひもの特定構造を調節することによって、この組ひもが有する物理的および生物学的特性を変えることが可能である。例えば、好適な具体例において、この2成分系繊維組ひもは、物理的強度もしくは結び目の安定性を有意に犠牲にすることなく、通常の単一繊維組ひもで製造した組ひものそれに比較して改良された、たわみ性を示す。
【0012】
本発明の滅菌した2成分系繊維組ひもは、外科用縫合もしくは結糸として、並びにそれが有する際だった物理的もしくは生物学的特性からの利点を示す他のいかなる医学用考案物の製造にとっても有効である。
【0013】
【発明の詳細な記述】
本発明を説明する目的で、「2成分系繊維」組ひもは、1本以上の糸が少なくとも1種の2成分系繊維から成っている、無菌の組んだ糸構造である。2成分系繊維は、この繊維の長さに渡って、縦方向に伸びている第二繊維形成材料の中心コアを取り巻いているところの、第一繊維形成材料の筒状殻が備わっている連続繊維である。
【0014】
この組んだ構造の中に在る各々の糸は、多数のフィラメントで構成されている。好適には、これらの糸の各々は、多数の2成分系繊維で構成されている。本発明の組んだ糸を製造するために使用できる2成分系繊維は、例えばヨーロッパ特許出願0 277 707および「織物、繊維および不織物の百科事典」(Encyclopedia of Textiles、 Fibers、 and Nonwoven Fabrics)、John Wiley & Sons、 New York(1984)、152−172頁および347−381頁に記述されているような、2つの空洞を有するダイスを用いた共押出しによって便利に製造され得る。
【0015】
この2成分系繊維組ひもを構成している無菌の組んだ糸は、連続しておりそして個別であり、従って各々の糸は、本質的にこの組ひもの長さ全体に沿って伸びており、そして組ひもの製造、処理および使用中、それが有する個々の一体性を維持している。
【0016】
本発明の2成分系繊維組ひもを、縦方向に伸びている糸のコアの回りの筒状の殻として便利に組むことができるが、望まれるならば、上記コアを削除することもできる。中心コアを有する組んだ殻の縫合ひもは、例えば米国特許番号3,187,752; 4,043,344;および4,047,533に示されている。コアは、平らになることに対して抵抗力を与えると共に強度を増大させるため、これを用いるのが有利である。
【0017】
この組んだ糸の2成分系繊維を構成している第一および第二繊維形成材料は、連続フィラメントに紡糸され得るいかなる材料であってもよい。優位に、この繊維形成材料は非金属性である。
【0018】
好適な繊維形成材料は、連続フィラメントを製造するための紡糸口金を用いて溶融紡糸可能な合成繊維形成ポリマーである。これらの繊維形成ポリマーは、所望の特別な用途に応じて生吸収性もしくは非生吸収性であってもよい。生吸収性ポリマーを生じさせるモノマーの例には、これに限定されるものではないが、ラクチド類およびラクトン類、例えばグリコール酸、グリコリッド、ラクチド、p−ジオキサノン、ε−カプロラクトンおよびトリメチレンカーボネート、並びにこれらのモノマー類と他のモノマー類とから誘導される共重合体もしくはポリマーブレンド物が含まれる。興味の持たれることには、生吸収性ポリマーの異なる組み合わせを用いた2成分系繊維を用いることで、特定用途用として、種々の生物学的特性、例えばインビボ破壊強度およびインビボ吸収形態など、を示す数多くの生吸収性2成分系繊維組ひもが製造できる。例えば、ゆっくりと分解するポリマー、例えばポリジオキサノンの殻と、迅速に分解するポリマー、例えばグリコリッドのホモポリマーまたはグリコリッドとラクチドとの共重合体のコアと、が備わっている2成分系繊維から成る組ひもは、通常の吸収性を示す組んだ縫合ひもに対して増大した強度保持を示すことが可能である。
【0019】
好適には、これらの組んだ糸を構成している異なる繊維形成ポリマー類は、非吸収性ポリマー類から誘導される。好適な具体例において、この繊維の殻を構成している第一繊維形成ポリマーは、全体的たわみ性を改良する滑性、即ちコンプライアンス、並びにこの2成分系繊維組ひもが有する表面感触性を示す。好適には、第一繊維形成ポリマーから製造した連続繊維は、Kissa, E.、「繊維科学および技術のハンドブック」(Handbook of fiber Science and Technology)、II巻、 パートB、Marcel Decker、 1984に記述されている如き、ポリマー表面上液体の接触角で測定して、約38dyne/cm未満の表面エネルギーを示す。このような繊維形成ポリマーには、ポリプロピレン(PP);ポリエチレン;完全フッ素置換ポリマー類、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびフッ素置換エチレン/プロピレン共重合体(FEP);ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(PETFE)、およびポリクロロフルオロエチレンが含まれる。より好適には、この第一繊維形成ポリマーから製造した連続フィラメントは、約30dyne/cm未満の表面エネルギーを示す。好適な第一繊維形成ポリマー類は、PP、PETFEおよびPTFEであり、最も好適な繊維形成ポリマーはPPである。
【0020】
より好適な具体例において、これらの2成分系繊維は、改良した強度を個々の2成分系繊維および組んだ糸に与えるように働くところの、粘り気のあるコアと共に、滑性を示す殻を有している。
【0021】
好適には、この繊維のコアを構成している第二繊維形成ポリマーから製造した連続フィラメントは、1デニール当たり3.5g以上、より好適には1デニール当たり5.0gの強力を有する。
【0022】
好適な第二繊維形成ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびナイロンであり、最も好適なポリマーはPETである。
【0023】
最も好適な具体例において、これらの組んだ糸は、各々の繊維がPP殻とPETコアとを有する2成分系繊維で構成されている。有利に、これらの糸は、この2成分系繊維組ひもの全体的強度を更に改良する目的で、縦方向に伸びている糸のコアの回りに筒状の殻構造を有している。これらの縦方向に伸びた糸は、好適には、PP殻/PETコア構造において、均質のPET繊維か或は2成分系繊維のどちらかで構造されている。両方の具体例において、この組んだ殻およびコア中の、各々の糸が有するPP体積比は、望ましくは約10〜約60%、好適には約30〜約50%の範囲である。PPの体積比が約10%以下の場合、この組ひものたわみ性に影響を与え、そして加工の困難さを増大させ、そしてこの体積比が約60%以上の場合、この組ひも全体の強度に悪影響を与え得る。上記2成分系繊維組ひもに関するフィラメントの細かさは、好適には1フィラメント当たり約0.5〜約3.0デニールである。より粗いフィラメントは、より堅い組ひもを生じさせる。
【0024】
本発明の組ひものために調製した2成分系繊維を、通常様式で互いに束にして糸を生じさせる。好適には、この糸の細かさは、約10〜約100デニールである。これらの糸は、優位に、引き伸ばして分子配向を与え、そしてアニール化して寸法安定性を増大させた後、最終的組ひも製造のためのボビンに巻き取る。次に、通常の組ひも技術、そして織物産業およびマルチフィラメント縫合糸製造用医学産業で通常に用いられている装置を用いて、該2成分系繊維組ひもを製造することができる。
【0025】
通常の均質組ひも製造と同様、これらの2成分系繊維組ひもを製造するための糸は、好適には加工されていないものである。仕上げ組ひも中の、1インチ当たりのピック数を調整して、「コアポッピィング(core popping)」[これは、この組ひもを曲げるとき、この組んだ殻を通してコア糸が破壊する傾向である]および組ひも全体の滑らかさ、の如き組ひもの品質と、引張り強さおよび組ひも直径とを均衡させることができる。
【0026】
この2成分系繊維ひもを製造した後、望ましくはこれを洗浄して機械油およびいかなる外来粒子も除去する。この洗浄した組ひもを、好適には、低い方の融点を有する繊維形成材料のガラス転移温度と溶融温度との間の温度で引き伸ばす。この引き伸ばし操作は、この組ひもの高密度化を生じさせると共に組ひもの滑らかさを改良する。その後、寸法安定性を改良するため、そして吸収性組ひもの場合インビボ破壊強度保持を改良するため、制御下でアニール化を行うことができる。
【0027】
望まれるならば、この2成分系繊維組ひもの表面を、生吸収性もしくは非吸収性コーティング物でコートして、この組ひもが有する取り扱い性および結び目継ぎ性能を更に改良することができる。例えば、この組ひもを有機溶媒中の所望コーティングポリマー溶液に浸漬した後、乾燥してこの溶媒を除去してもよい。
【0028】
後処理した上記2成分系繊維組ひもを滅菌して、医学用途の宿主、特に外科用縫合および結糸としての用途で用いることができる。この組ひもは、本分野でよく知られている通常技術のいずれかで滅菌され得る。例えば、この糸をコバルト60源からのガンマ照射に暴露することで滅菌を行うことができる。二者択一的に、望ましくない程上記照射技術がこの組ひもを劣化させる場合は、この組ひもを酸化エチレンに暴露することで滅菌してもよい。
【0029】
以下に示す実施例では、引張り特性および結び目安定性の各々を、Instron引張り試験機で測定する。引張り特性、即ち結んでいないときの引張り強度と結び目の引張り強度を、一般に米国特許番号4,838,267に記述されている操作に従って測定する。最初に、心棒の回りに通常の角結びで結び、Instron試験機で、この結び目を引き離すように引張ることで、滑りが生じるか否かを観察し、そしてそれが生じた場合、20個の結び目の中の20個が、滑り無しに奇麗に破壊するまで、追加的スロー(throw)で結び目を結ぶことによって、この結び目の安全性[これは、奇麗に破壊する前に滑らないように結び目を安全に確保するに必要なスロー数に対して指示を与える]を測定する。曲げの堅さ[これは、たわみ性の逆である]を、「小さい直径を有する組ひもの幾何学的および曲げ特性に対する構造の効果](The Effects of Structure on the Geometric and Bending Properties of Small Diameter Braids)、Drexel University修士論文、1991、 E.Ritter著、に記述されている如きKawabata Pure Bending Testerを用いて測定する。
【0030】
これらの実施例は説明の目的のみであり、請求する本発明の範囲を限定することを意図したものではない。この2成分系繊維組ひもを製造するために用いた繊維形成材料の種類および糸の幾何学構造を変化させることで、際だった物理的もしくは生物学的特性の組み合わせを示すところの、請求する本発明の範囲内に入る2成分系繊維組ひもを製造することができる。
【0031】
【実施例】
実施例I
繊維材料:共押出しおよびそれに続く配向により、PET/PP(コア/殻)2成分系繊維を製造する。この共押出しした2成分系繊維の構造を、図3の断面図に示す。このPPおよびPETの相対的体積比は50/50である。配向中の延伸比は、155度Fのゴデット温度で3.0であり、その結果として36デニールの糸が得られる。この延伸した繊維を、通常方法に従う組み機用ボビンに巻き取る。
【0032】
加工:16個の担体を有するN.E. Butt組み機のボビン担体各々に36デニールの糸を取り付け、そして4本の36デニール糸を、コア送り出し装置に取り付ける。35個のピックを有するギアを用いて1インチ当たり38個のピックを生じさせる。殻になる糸には、いかなるスプリング張力も掛けず、そしてこのコアの張力を15〜20gに維持する。この組ひもを水洗浄し、熱プレート装置の上で、5%の引き伸ばし比で熱引き伸ばし(125度F、90fpm)する。この熱引き伸ばしした組ひもを、90fpmのたわみ用ピン(pliabilizing pin)を通す。
【0033】
特性:この得られる組ひもの直径は0.0122インチであり、従ってUnited States Pharmaecopia (USP)サイズ2−0の非吸収性縫合ひもである。この組ひもおよび個々の2成分系繊維を、図1および2の透視図および断面図のそれぞれに示す。表1で、Kawabata Pure Bending Testerで測定した、この2成分系繊維複合体組ひものたわみ性を、2つの主要な非吸収性USPサイズ2−0の組み縫合ひも、即ちPETおよび絹と比較する。このデータは、組んだ縫合ひも個々の工学的曲げ堅さを示している。この曲げ堅さは、主観点特性であるたわみ性の逆であり、従ってこの値が低ければ低い程、より高いたわみ性を示す組ひもであることを示している。
【0034】
【表1】
Figure 0003556681
表1に示す結果は、通常の組ひもが示すたわみ性に比較して、2成分系繊維組ひものたわみ性は顕著に改良されていることを示している。更に、実施例Iの2成分系繊維組ひもの引張り強度は5.8ポンドであり、結び目強度は4.1ポンドであり、そして結び目安全性は4スローであることが示されている。これらの値は、サイズ2−0の非吸収性縫合ひもに関するUSP(United States Pharmaecopia)の要求を越えている。これらの結果は、許容できない程には物性を犠牲にすることなく、たわみ性の改良が達成され得ることを示している。
【0035】
この実施例Iの2成分系繊維組ひもを、通常方法のCo60で滅菌し、続いて、主観的取り扱い特性を、PETおよび絹製組ひもと比較した。この度合の平均は、PP/PET 1.5、PET 3.3、絹 4.1[ここで、1は最良の取り扱い性を示し、そして5は最悪の取り扱い性を示す]であった。
【0036】
実施例II
繊維材料:各々の組み機用ボビンに、2プライの36デニール糸(2/36)を巻き付ける以外は、実施例Iと同様である。
【0037】
加工:8個の担体を有するN.E. Butt組み機のボビン担体各々に2/36デニールのプライ糸(plied yarn)を取り付け、そして1本の2/36プライ糸を、コア送り出し装置に取り付ける。32個のピックを有するギアを用いて1インチ当たり42個のピックを生じさせる。殻になる糸には、いかなるスプリング張力も掛けず、そしてこのコアの張力を15〜20gに維持する。この組ひもを水洗浄し、熱プレート装置の上で、15%の引き伸ばし比で熱引き伸ばし(125度F、90fpm)する。
【0038】
特性:この得られる組ひもの直径は0.0118インチであり、従ってまたUSPサイズ2−0の非吸収性縫合ひもである。この組ひも曲げ堅さは、0.0184g・cm/ひもであり、引張り強度は5.6ポンドであり、そして結び目強度は3.9ポンドであることが示されている。
【0039】
滅菌:この明細書に記述した標準技術を用いて、この2成分系繊維組ひもを滅菌することができる。滅菌後、この組ひもはまだ、感知できる程にはそれが有する物性を損失することなく、改良されたたわみ性を有している。
【0040】
本発明の特徴および態様は以下のとおりである。
【0041】
1. 滅菌し、組んだ個別の連続糸から成り、各々の糸は多数のフィラメントから成り、そして1本以上の糸からの少なくとも1本のフィラメントは、2成分系繊維[ここで、この繊維は、この繊維の長さに沿って、第二繊維形成材料のコアを取り巻いている第一繊維形成材料の殻を有している]である、2成分系繊維組ひも。
【0042】
2. 各々の糸が多数の2成分系繊維から成る第1項の2成分系繊維組ひも。
【0043】
3. 該第一および第二繊維形成材料が非金属性である第2項の2成分系繊維組ひも。
【0044】
4. 該第一および第二繊維形成材料が合成繊維形成ポリマーである第3項の2成分系繊維組ひも。
【0045】
5. 該合成繊維形成ポリマーが生吸収性を示す第4項の2成分系繊維組ひも。
【0046】
6. 該生吸収性ポリマーを誘導するモノマーがグリコール酸、グリコリッド、ラクチド、p−ジオキサノン、ε−カプロラクトンまたはトリメチレンカーボネートである第5項の2成分系繊維組ひも。
【0047】
7. 該繊維形成ポリマーが非吸収性を示す第4項の2成分系繊維組ひも。
【0048】
8. 該第一繊維形成ポリマーから得られる連続フィラメントが、約38dynes/cm未満の表面エネルギーを示す第7項の2成分系繊維組ひも。
【0049】
9. 該連続フィラメントが、約30dynes/cm未満の表面エネルギーを示す第8項の2成分系繊維組ひも。
【0050】
10. 該第一繊維形成ポリマーがPP、PETFEまたはPTFEである第9項の2成分系繊維組ひも。
【0051】
11. 該第一繊維形成ポリマーがPPである第10項の2成分系繊維組ひも。
【0052】
12. 該第二繊維形成ポリマーから得られる連続フィラメントが、3.5g/デニール以上の強力を示す第11項の2成分系繊維組ひも。
【0053】
13. 該連続フィラメントが、5.0g/デニール以上の強力を示す第12項の2成分系繊維組ひも。
【0054】
14. 該第二繊維形成ポリマーがPETまたはナイロンである第13項の2成分系繊維組ひも。
【0055】
15. 該第二繊維形成材料がPETである第14項の2成分系繊維組ひも。
【0056】
16. PETコア/PP構造において、PETの均質繊維もしくは2成分系繊維から成る縦方向に伸びている糸のコアを該組ひもが取り巻いている第15項の2成分系繊維組ひも。
【0057】
17. 該組んだ殻およびコア中のPP糸各々の体積比が約10〜約60%である第16項の2成分系繊維組ひも。
【0058】
18. 該組んだ殻およびコア中のPP糸各々の体積比が約30〜約50%である第17項の2成分系繊維組ひも。
【0059】
19. 該繊維の細かさが、1フィラメント当たり約0.5〜約3.0デニールである第18項の2成分系繊維組ひも。
【0060】
20. 該糸の細かさが、約10〜約100デニールである第19項の2成分系繊維組ひも。
【図面の簡単な説明】
【図1】倍率が50Xの透視図で示した、実施例1で製造した2成分系繊維組ひもを説明する顕微鏡写真である。
【図2】倍率が100Xの断面図で示した、図1の2成分系繊維組ひもを示す顕微鏡写真、およびこの組ひもが有する多数の個々の2成分系繊維を更に1000Xの高倍率で示す顕微鏡写真である。
【図3】倍率が1500Xの断面図で示した、図2の個々の2成分系繊維を示す顕微鏡写真である。

Claims (1)

  1. 縫合糸又は結紮糸の製造に使用するための組ひもであって、該組ひもは、該組ひもの全長に沿って伸びかつ個々の一体性を維持している、その各々が多数のフィラメントから構成されている糸を、滅菌し、組んだ状態で含んでなり
    当該フィラメントの少なくとも一本が、ポリエチレンテレフタレートからなるコア部分と、長手方向に沿って該コア部分を包囲しているポリプロピレンからなる殻部分を有している2成分系繊維材料である、組ひも
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