JP3552064B2 - 水素製造装置の制御方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は水素製造装置の制御方法及びその装置に関し、詳しくは原料炭化水素をスチーム改質して水素を製造する水素製造装置において、所要の水素量で所定の水素純度を保持する制御方法及びその装置に関する。
特に、所要の水素製造量に応じて、スチーム改質炉出口の温度及びスチーム/カーボン比を設定して改質炉に供給するスチーム量及び燃料の供給量を制御することにより、水素純度を所定値に保持することを特徴とする水素製造装置における制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナフサ、C 留分炭化水素、回収ガス等の炭化水素類を原料とし、スチーム改質して水素を製造する方法はよく知られている。このスチーム改質による水素製造は、主に、脱硫部、スチーム改質器、脱炭酸部及びメタネーション部等から構成される水素製造装置を用いて行われており、通常、石油精製プラント等の水素を使用する各種プラントの需要先の要求に応じて水素製品を供給することになる。この場合、需要先の必要量の変動に対応して、即時に製造する水素量を変化させることが望ましい。
一方、各種プラント等に設置される水素製造装置は一般に大型であり、水素需要先の要求により仕込み原料を増減させた後、その増減が製品の水素量の変化として現れるまでには時間的な遅れが生じることは必須である。この時間的遅れに対しては、以前は需要先の水素消費量の変動幅を予測し、その最大量の水素を常時製造し、余剰水素を外部に放出する等で対応していた。
その後、コンピュータによる制御が提案され、例えば特開昭63−55102号公報等に記載されるような外部放出水素を最小限に制御するブリード水素最小化方法が提案された。現在稼働中の水素製造装置の殆どは、このブリード水素最小化制御を採用している。この制御方法は、需要先で消費される水素量の変動を、製造装置から流出する水素圧力の変動として検出して、無駄時間補償を組込み改質炉への原料流量を調節することにより放出水素量を最小限に制御する方式である。
【0003】
上記のブリード水素最小化制御方式においては、以前の単に余剰水素放出方式に比し、無駄な水素の製造を極力抑えることができる代わりに、改質炉への原料流量が大きく変動することになった。原料流量が大きく変動すると改質炉温度も大きく変動し、水素純度が大幅に変動することになる。
この原料流量の変動に対しては、スチーム/カーボン(S/C)比が一定となるように改質炉へのスチーム量をマニュアルで調整して制御し、また、改質炉の出口温度が一定の設計値に保持されるように燃料流量をマニュアルで調整して対応している。また、特開昭60−90802号では、これらをコンピュータで制御することが提案されている。
しかし、上記原料流量の変動に基づくスチーム量と燃料流量制御においても、調整時間の遅れ等により水素純度の変動を免れることはできず、水素純度を所定の値に保持することは難しい。
【0004】
一方、水素純度の変動は、消費側の後続プラント等に与える影響も大きく、その変動を極力小さくして安定化することが好ましい。従来、水素純度の変動を極力抑止するように改質炉の反応温度を所定温度に維持させるため、上記した改質炉出口温度を設定値にマニュアル等で制御するのとは別に、各装置のオペレータが運転操作上のノウハウとして、水素消費量の負荷変動に応じて改質炉出口温度を監視しつつ、装置設計安全範囲内で燃料流量を徐々に調整する等対処することも行われていた。
しかし、このような方法で安定して水素純度を一定に保つことは、各オペレータの習熟度等により異なり、更に、制御系の遅れや、水素純度を測定する分析計の遅れ等装置及び機器の性能もあり事実上容易でない。
従って、実際上は水素純度をある値以下にならないように、通常、製造される水素が最大流量のときに所定の水素純度が保持されるように高純度操作し、多少の水素純度の変動は許容するのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ブリード水素最少化制御方式等において、水素純度を必要以上に高く設定することは、燃料の過剰消費や、温度上昇により改質炉内の触媒寿命を短くする等の問題がある。特に、炭化水素のスチーム改質に用いる触媒は、高温において劣化し易くできる限り低温で運転するのが好ましい。従って、反応域の改質炉温度は、必要な反応率を保持に要する最低限の範囲とするのが好ましい。
特に、スチーム改質炉の後流でガス中の二酸化炭素を除去する脱炭酸装置を有する場合には、炭酸ガス以外の成分は大部分製造された水素ガス中に残存し、スチーム改質炉出口における二酸化炭素を除いた水素純度が、そのまま水素製造装置からの水素の純度となるため、改質炉出口で制御できることが望まれる。
【0006】
更に、水素純度が変動すると、後流に位置する水素化分解装置、直接脱硫装置等の水素を消費するプラントの運転にも影響を及ぼすことになる。即ち、これらのプラント装置では、水素製造装置からの水素を循環して用いてその大部分を反応により消費するものであり、循環する水素ガスの純度はそれらの反応面から一定とする必要があり、水素純度の変動は好ましくない。
更にまた、後続の各種プラント装置における水素の消費量は、石油等被処理物の処理量ばかりでなく、その性状によっても変化するもので、予め予測できないことが多い。
また、一つの水素製造装置でもって複数の水素消費装置に水素を供給することも多く、水素消費量の予測はより困難であり水素製造装置の設計段階で改質炉出口温度を一律に設定して水素純度を制御することは極めて難かしい。
【0007】
本発明は、上記したように後流の需要先の水素消費量に応じて、水素製造装置から流出する水素純度が変動するという従来の運転操作及び制御の状況を鑑み、更に、水素純度の変動が水素消費プラント側等にとっても好ましくなく、むしろその安定化が望まれている現況を考慮し、水素消費装置側に負荷変動があった場合でも製造される水素純度を所定値に保持する水素製造装置の制御方法の提供を目的とする。同時に、その装置を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的のために、水素製造プロセス操作における原料流量、スチーム供給量及び改質炉出口温度等の各種操作変数について、鋭意検討した結果本発明を完成するに到った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、原料炭化水素類をスチーム改質して水素を製造する水素製造装置において、(1)製造する水素純度を予め設定し、当該所定純度の水素所要量に応じて水素製造量を設定し、(2)前記設定した水素製造量に基づき改質炉への原料流量を制御すると同時に、(3)前記で制御された原料流量から製造が見込まれる見込水素製造量を算出し、(4)前記見込水素製造量に見合うと共に、水素純度を予め設定した所定の設定値に維持するスチーム/カーボン比となるように改質炉へのスチーム量を制御し、且つ、(5)前記見込水素製造量に見合うと共に、水素純度を予め設定した所定の設定値に維持するように改質炉出口温度を制御することを特徴とする水素製造装置の制御方法が提供される。
【0009】
更に、本発明は、原料炭化水素類をスチーム改質して水素を製造する水素製造装置において、(1)原料炭化水素類供給部−脱硫部−スチーム改質炉−脱炭酸部−水素供給部として各装置構成部が直列的に流通ラインにより順次連通しており、(i)該脱硫部−スチーム改質炉の流通ラインには原料温度検出器、原料圧力検出器及び流量調節弁が配設され、 ii 該スチーム改質炉には出口温度検出器、入口温度検出器、スチーム供給部からのスチーム流量調節弁を有するスチームライン、及び、燃料供給部からの燃料流量調節弁を有する燃料ラインが配設され、且つ、 iii 該水素供給部には水素圧力検出器が配設されると共に、(2) iv 該水素圧力検出器からの指示によりスチーム改質炉入口の原料流量を制御する改質炉原料流量制御系、(v)該改質炉原料流量制御系、該原料温度検出器及び該原料圧力検出器からの指示による見込素製造量と、予め設定した所定の水素純度により設定されるスチーム/カーボン比に基づきスチーム改質炉のスチーム供給量を制御する改質炉スチーム量制御系、及び vi )見込素製造量と、予め設定した所定の水素純度により設定される改質炉出口温度を制御するように燃料供給部の燃料流量を制御する燃料供給量制御系が形成されてなることを特徴とする水素製造装置を提供する。
【0010】
【作用】
本発明は上記のように構成され、製造する水素の純度を予め設定し、設定純度の水素の所要量(需要先の水素消費量)に応じる原料流量を決定し、その原料流量から水素製造量を見込み、当該水素製造装置において見込んだ見込水素製造量を供給するために必要となるスチーム改質炉でのスチーム/カーボン(S/C)比を、当該水素製造装置の特性等から動的に変動設定し、その設定値に基づいてスチーム改質炉入口において、原料炭化水素に付加するスチーム量を決定する。また、同時に見込んだ見込水素製造量を供給するために必要となるスチーム改質炉出口温度を、上記と同様に動的に変動設定し、その設定された改質炉出口温度になるように、上記見込水素製造量に応じて可変のコントローラーゲイン及び所要の水素量に応じて決定された原料流量から定められるフィードフォワード信号とを用いて、スチーム改質炉への燃料流量を制御する。本発明は、上記の制御方式を採ることにより、需要先の水素消費量の変動に応じて、スチーム改質炉のS/C比及び出口温度を所定の水素純度を保持するように自動的に制御することができる。
【0011】
また、定常状態時に後流側の水素消費に小幅の変動が生じた場合は、水素製造装置の出口側に設けられた圧力検出器により検出した圧力と予め設定した圧力値との変位値に、むだ時間補償を付加して求められるスチーム改質炉入口側の原料流量が調整制御され、その制御される原料流量から見込水素製造量を設定し、上記と同様に自動制御して、所定の水素純度を保持することができる。
従って、本発明の水素製造装置においては、水素消費量の変動に逐次追従して所要の水素製造量を見込み、それに応じて改質炉でのS/C比及び改質炉出口温度が連続して動的に設定されることで、改質炉に供給するスチーム量及び燃料流量を常に所定の水素純度を維持するように自動的に制御することができる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照にして、更に詳細に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に制限されるものでない。
図1は、本発明の制御方法及びその装置の一実施例の構成を示すための水素製造装置の概要説明図である。
図1において、回収ガス及びナフサを混合含有させたブタン(C )ガスを主成分とする原料炭化水素類は、原料炭化水素類供給部1からラインL1を流通して加熱炉(図示せず)を経て脱硫部2に流入して、原料炭化水素類中に含有される硫黄分が除去された後、ラインL2を流通してスチーム改質部3に供給される。
スチーム改質部3においては、所定量のスチームがラインL3を経由して供給され、ラインL1から供給された上記原料をスチーム改質して水素を製造する。この場合、吸熱反応の改質反応に必要な熱エネルギーはラインL4を経由して改質炉バーナに送入される燃料を燃焼させることにより供給される。
スチーム改質部3にて製造された水素は、ラインL5を経て脱炭酸部4にてスチーム改質により生成含有される炭酸ガスを除去し、その後、ラインL6を経て水素供給部5から需要先の水素消費プラント等に送出される。
【0013】
次いで、上記水素製造装置において、所定の定常状態にて運転されている状態から需要先プラントの水素消費量が変動した場合の各操作部及びラインにおける制御方法について説明する。
先ず、定常状態の運転時の水素消費装置での小幅な水素消費の変動に応じる制御方法について説明する。
図1において、圧力検出器PI により脱炭酸部4から水素供給部5へのラインL6での水素圧を検出し、検出水素圧を水素圧制御計PC に入力して所定圧(設計の定常状態水素圧)との変位が算出される。その算出された変位値にむだ時間補償を付加した上で、その出力をラインL2に配設された原料流量制御計FC に入力する。原料流量制御計FC は、水素圧力制御計PC から入力された原料流量設定値と原料流量検出器FI からの入力値に基づき原料流量調節弁V を作動させ脱硫後の原料流量を、変動した消費水素量に対応して調節制御する。
上記のようにして、後続の水素消費プラント等での水素消費の変動に基づく原料流量を制御する改質炉原料流量制御系C が形成される。
【0014】
一方、改質炉原料流量検出器FI0からの改質炉原料流量検出値F0、ラインL2に配設された改質炉原料温度検出器TI0及び改質炉原料圧力検出器PI0からそれぞれ検出される改質炉原料温度検出値T0及び改質炉原料圧力検出値P0に基づく各検出値F0、T0及びP0を演算制御装置6に入力し、上記により調節制御された改質炉3へ供給される原料流量の設定値から製造が見込まれる見込製造水素量H0を算出する。この場合、C4留分、回収ガス、ナフサ等の複数成分から構成される原料炭化水素においては、各構成成分の流量比率から求まる物性値が加味されて見込製造水素量H0が算出される。また、当該水素製造装置やプロセス等に基づく特性データを予め演算制御装置6に入力し、上記の算出見込水素製造量H0と、予め入力済の特性データとから、見込水素製造量H0に対応するS/C比の設定値を算出する。すなわち、予め入力済の特性データの最終データである所定の水素純度での図2及び図3に示された関係(見込水素製造量H 0 である運転負荷量と改質反応管出口部温度の関係、及び改質反応管出口部温度とS/C比との関係)から、所定の水素純度での見込水素製造量H 0 に対応するS/C比の設定値を算出する。得られたS/C比の設定値と演算器6において計算されたS/C比とを、S/C制御計XC1に入力し、それらに基づく値をスチーム流量制御計FC1に入力する。スチーム流量制御計FC1は、入力された値に基づきスチーム流量調節弁V1を作動させ、ラインL3から改質炉3に供給するスチーム量を調節制御する。上記のようにして、後続の水素消費プラント等での水素消費の変動に基づく改質炉へのスチーム供給量を制御する改質炉供給スチーム量制御系C1が形成される。
【0015】
また、上記と同様に演算制御装置6に入力された改質炉原料流量等から算出された見込水素製造量H 及び改質炉入口温度検出値T と予め入力済の特性データから、見込水素製造量H に対応し、且つ、予め設定した水素純度に対応する改質炉3の出口温度T を算出する。
得られた改質炉出口温度設定値T を改質炉出口温度制御計TC に入力し、同時に改質器出口温度検出器TI からの検出出口温度測定値T’ を改質炉出口温度制御計TC に入力し、その入力に基づいて改質炉出口温度制御計TC により制御される改質炉出口温度制御値に、更に予め演算制御装置6に入力された特性データにより演算された当該水素製造装置における見込水素製造量に応じ可変のコントローラーゲインXを付加し、その値を燃料流量制御計FC に入力する。
【0016】
上記の改質炉出口温度制御計TC 及びコントローラーゲインXからの入力と同時に、燃料流量制御計FC には、上記の算出された出口温度T に対応し、且つ、演算制御装置6に入力された改質炉原料流量、改質炉入口温度検出値T 等により必要な燃料流量を算出し、その必要燃料流量算出値を燃料流量制御計FC に入力する。
燃料流量制御計FC は、出口温度制御計TC とコントローラーゲインXによるフィードバック制御と上記必要燃料流量算出値に基づくフィードフォワード制御との双方の値、及び、燃料流量検出器FI からの検出値に基づき燃料流量調節弁V を作動させ、ラインL4から改質炉バーナーへの燃料流量を調節制御する。
上記のようにして、後続の水素消費プラント等での水素消費の変動に基づく改質炉における温度を制御する改質炉出口温度制御系C が形成される。
【0017】
上記の定常状態から水素消費量の小幅な変動とは異なり、大幅な変動や計画的に水素製造量を変化させたい場合は、その変動による所要の水素製造量設定値を原料流量制御計FC に直接入力して、上記の定常状態時の小幅変動の制御と同様に制御することができる。
また、上記の小幅変動と同様に、所定の水素純度及び所要水素製造量のデータを演算制御装置に入力し、その入力値に対応してスチーム改質炉への原料炭化水素類の流量値を原料流量制御系FC に入力し、その後は、上記の定常状態時の小幅変動の制御と同様に、S/C値及び改質炉出口温度を変動設定し、それらに基づき改質炉供給スチーム量及び燃料流量をそれぞれ制御することにより、水素消費先の所望の水素量を、予め設定した水素純度で供給することができる。
【0018】
本発明は上記のように、C0、C1及びC2の3つの制御系が組み込まれ、常時、変動する水素消費量に対応し、制御系C0において原料炭化水素類の流量を制御すると同時に、その原料炭化水素類の流量から見込水素製造量を計算し、C1制御系においてその見込水素製造量に対応し、且つ、予め設定された所定の水素純度を満たすためのS/C比に対応するための改質炉へのスチーム量を制御する。また、同時に、制御系C2において、計算された見込水素製造量に対応し、且つ、予め設定された所定の水素純度を満たすため改質炉出口温度を制御する。従って、水素消費側の変動に基づく原料流量の変化に応じ、常に、予め設定した水素純度の水素製造量を見込みながら、S/C比と改質炉出口温度が、連続的、且つ動的に制御される。これらの制御系は、下記するように現在の制御計装技術において容易に、且つ、簡便に自動制御できる方式であり、前記した従来の水素製造装置におけるような運転員による煩雑なマニュアル制御をすることなく、水素消費量に対応して供給する水素純度を所定の設定値に維持することができる。
【0019】
次に、見込水素製造量からS/C比及び改質炉出口温度を設定することにより水素製造装置を上記のように自動制御する方式の基本的構成を説明する。図2は、運転負荷量(見込水素製造量)とスチーム改質器出口温度(実線)及び改質反応管出口部温度(点線)の関係の一例を示す関係図である。この場合、運転負荷量、即ち、見込水素製造量とは、図1において水素供給部ラインL6に設置される水素圧力検出器PI1からの測定値と、水素圧制御計PC1に設定されている水素圧との変位値にむだ時間補償を付加して求められるスチーム改質炉入口側の原料流量が調整制御され、その制御される原料流量より算出される値であり、また、スチーム改質器出口温度とは、ラインL5に配設される改質器出口温度検出器TI2により検出される値である。
【0020】
一般に、スチーム改質器の内部には、触媒を充填した管状の反応管が多数設置され、原料である炭化水素類は供給されるスチームと共に各反応管の上端から流入する。各反応管は、改質炉バーナーに供給される燃料の燃焼ガスにより管の外側から直接加熱され、炭化水素類は下方へ流通しつつスチームと改質反応し、水素と一酸化炭素ガスとなって反応管下端から流出する。これら改質炉の多数の反応管下端の出口配管は集合し、通常、一本の配管となってスチーム改質器の外部に取り出される。
上記スチーム改質器出口温度は、スチーム改質器の下流において測定された温度である。スチーム改質器内部の反応管出口部からスチーム改質器出口温度測定部までの配管で外部放熱されるため、測定検出されるスチーム改質器出口温度は、改質反応管出口部における現実の改質反応温度より低くなる。しかしながら、スチーム改質器出口温度と改質反応管出口部温度との温度差は、放熱量及びその時点での水素製造量等を推測して推算可能である。
従って、改質炉出口温度をTI において測定することにより、そのときの運転負荷量との関係が推測可能となり、制御される原料流量からの見込水素製造量との変位を算出することができ、その変位値に基づき改質炉出口温度が制御できる。
【0021】
図3は改質反応管出口部温度とS/C比の関係の一例を示す関係図である。
この場合、改質反応管出口部温度は上記のようにスチーム改質器出口温度から推算される値であり、また、S/C比は所定の改質炉出口温度におけ運転負荷(見込み水素製造量)における原料炭化水素類が含有する炭素原子のモル流量に対するスチーム改質器入口側に供給するスチームのモル流量の比率である。
原料炭化水素類に単位流量当たり含まれる炭素原子の量は、オフラインで定期的に分析した値を、所定の演算制御装置に定期的に入力することにより求められる。この単位流量当たりに含まれる炭素原子量に原料流量を掛け合わせることにより、原料炭化水素類が含有する炭素原子のモル流量を得ることができる。
上記のようにして負荷変動、即ち、水素消費量の変動に基づく原料流量の変動に対応して供給するスチーム量は、所定の原料炭化水素類が含有する炭素原子のモル流量に、図3におけるS/C比を掛け合せることにより求めることができる。従って、改質炉出口温度をTI において測定することにより、S/Cが決定され、制御される原料流量との積によりスチーム流量を制御できる。
【0022】
なお、図2及び図3に示した関係は、所定の水素純度である水素純度97モル%に対する一実施例におけるものであり、これらの関係は、それぞれの操作において予め設定する水素純度により変化することは勿論であるが、また使用する装置及び充填する触媒の種類や活性等の各種操作条件により変化するものである。また、図2及び図3に示した関係は、水素純度が所定の設定値となるように、改質炉における原料炭化水素類とスチームからなる反応系の反応平衡により設定される反応管出口温度と供給スチーム量に、更に次の種々の要因を付加して示すことができる。即ち、見込水素製造量が低下した状態では、反応平衡より触媒層の温度を下げることができる。また、見込水素製造量が少ない場合にはスチーム改質器内の触媒管に原料炭化水素とスチームを均一に配分するためにS/C比を高めに設定しなければならない。更に、触媒活性低下に対処した反応平衡率、スチーム改質器の後流に設置される各種脱炭酸プロセスにおける熱バランス等に適用すべき水素製造装置の特性、原料特性、反応特性、触媒特性等各種条件を考慮して最終的データとして、運転負荷量と改質炉出口温度との関係、運転負荷量とS/C比との関係、運転負荷量とプロセスコントローラーゲインとの関係等の特性データを演算制御装置に入力して用いることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の制御方法及びその装置は、上記のように需要先の水素消費装置の水素消費量が変動しても、それに追随して自動的に水素純度を所定に維持するようにS/C比、及び、改質炉出口温度即ち改質反応温度を、連続的に変動させるものであり、製造される水素の純度を一定に制御することができる。従って、水素消費装置への影響を最少にすることができる。また、所定純度の水素を所要量供給するように制御すると同時に、その供給水素量を製造するための必要最低の温度に、改質炉温度を常時制御することができ、従来法での燃料の過剰消費及び触媒の劣化等の問題も生じることなく、水素製造装置の安定性や耐久性が極めて向上し、工業的実用性に優れる。更にまた、水素消費装置側での大幅、または計画的な水素所要量の変更に対しても、所定の純度を維持して所望量の水素を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のの一実施例の構成を示すための水素製造装置の概要説明図である。
【図2】本発明の一実施例に用いた運転負荷量(水素製造量)とスチーム改質器出口温度及び改質反応管出口部温度の関係の一例を示す関係図である。
【図3】本発明の一実施例に用いた改質反応管出口部温度とS/C比の関係の一例を示す関係図である。
【符号の説明】
1 原料炭化水素類供給部
2 脱硫部
3 スチーム改質部
4 脱炭酸部
5 水素供給部
L1、L2、L3、L4、L5、L6 流通ライン
原料流量制御系
改質炉供給スチーム量制御系
改質炉出口温度制御系
PI 改質炉原料圧力検出器
PI 水素圧検出器
TI 改質炉原料温度検出器
TI 改質炉入口温度検出器
TI 改質炉出口温度検出器
FI 改質炉原料流量検出器
FI スチーム流量検出器
FI 燃料流量検出器
PC 水素圧制御計
FC 原料流量制御計
FC スチーム流量制御計
FC 燃料流量制御計
TC 改質炉出口温度制御計
XC S/C比制御計
X コントローラーゲイン

Claims (4)

  1. 原料炭化水素類をスチーム改質して水素を製造する水素製造装置において、(1)製造する水素純度を予め設定し、当該所定純度の水素所要量に応じて水素製造量を設定し、(2)前記設定した水素製造量に基づき改質炉への原料流量を制御すると同時に、(3)前記で制御された原料流量から製造が見込まれる見込水素製造量を算出し、(4)前記見込水素製造量に見合うと共に、水素純度を予め設定した所定の設定値に維持するスチーム/カーボン比となるように改質炉へのスチーム量を制御し、且つ、(5)前記見込水素製造量に見合うと共に、水素純度を予め設定した所定の設定値に維持するように改質炉出口温度を制御することを特徴とする水素製造装置の制御方法。
  2. 該水素製造装置からの水素流量と前記(1)で設定した水素製造量との変位にむだ時間補償を付加して改質炉への原料流量を制御する請求項1記載の水素製造装置の制御方法。
  3. 前記(2)で制御された改質炉への原料流量と改質炉入口温度とから算出される所要燃料のフィードフォワード制御信号と、前記(5)で制御される改質炉出口温度設定値と改質炉出口温度との変位に基づくフィードバック制御信号を前記見込水素製造量によりゲイン補正したものとを加算して改質炉燃料流量を制御する請求項1または2記載の水素製造装置の制御方法。
  4. 原料炭化水素類をスチーム改質して水素を製造する水素製造装置において、(1)原料炭化水素類供給部−脱硫部−スチーム改質炉−脱炭酸部−水素供給部として各装置構成部が直列的に流通ラインにより順次連通しており、
    (i)該脱硫部−スチーム改質炉の流通ラインには原料温度検出器、原料圧力検出器及び流量調節弁が配設され、
    ii 該スチーム改質炉には出口温度検出器、入口温度検出器、スチーム供給部からのスチーム流量調節弁を有するスチームライン、及び、燃料供給部からの燃料流量調節弁を有する燃料ラインが配設され、且つ、
    iii 該水素供給部には水素圧力検出器が配設されると共に、
    (2) iv 該水素圧力検出器からの指示によりスチーム改質炉入口の原料流量を制御する改質炉原料流量制御系、
    (v)該改質炉原料流量制御系、該原料温度検出器及び該原料圧力検出器からの指示による見込素製造量と、予め設定した所定の水素純度により設定されるスチーム/カーボン比に基づきスチーム改質炉のスチーム供給量を制御する改質炉スチーム量制御系、及び
    vi )見込素製造量と、予め設定した所定の水素純度により設定される改質炉出口温度を制御するように燃料供給部の燃料流量を制御する燃料供給量制御系が形成されてなることを特徴とする水素製造装置。
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