JP3551708B2 - 光学情報記録方法及び光学情報記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体にレーザ光による光ビームを照射して、照射部分に多値情報を記録することができる光情報記録方法及び光情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録媒体としては種々の構造のものが提案されているが、将来の計算機の大容量化及び高速処理を考えた場合、メモリの高密度化、大容量化が重要な技術課題となっている。これまでは、媒体に光ビームを照射して記録を行う光ディスクや光カード等の光記録媒体では、記録媒体の記録トラックに沿って形成される記録ピットの1つに対して、1段階(記録の有無に対応した2値信号)の信号しか書き込めなかったためメモリ密度に限界があった。
そこで、このメモリ密度の限界を打開する方法として、一つの記録ピット中に複数の信号を書き込むことができる光記録媒体が提案されている。
【0003】
この光記録媒体は、情報が記録された媒体に再生レーザ光(読み出し光)を照射したときに、反射光の平均反射率が多段階になるように記録ピットの面積や形状、構造を変化させるもの、すなわち反射光の光量で多値情報を認識する方式と、記録ピットの形状や向き,位置,配置の組み合わせを複数定義し、これらの2次元的な配置情報を読みとる方式とが知られている。
【0004】
前記反射率の光量で多値情報を認識する光記録媒体としては、▲1▼記録ピットや記録溝の深さや幅を構造的に変化させて多値化する方式、▲2▼記録ピットの形状や位置により多値化する方式、▲3▼1つのユニットの中に複数ピットを形成して多値化する方式、▲4▼記録光(レーザビーム)のエネルギーを多段階に変化させて多値化する方式等がある。
【0005】
前記▲1▼に対応する技術としては、例えば特開昭62−43839号公報に記載されるように、記録媒体に形成する記録溝を、その対向縁部が多値化レベルをとるように記録溝を幅方向に変位させ(記録溝の幅方向を多値化)、この変位量を検出して多値情報を再生するものが提案されている。
【0006】
前記▲2▼に対応する技術としては、特開平6−318325号公報や特開平7−21568号公報に記載されるように、記録ピットの形状や向き、位置、配置の組み合わせを複数定義し、この2次元的な配置情報を読みとる方式がある。
更に、特開平7−169102号公報に記載されているように、マークの始端と終端の形状変化の組み合わせで多値化情報を表現し、多分割センサなどによって記録ピット形状を識別し多値化情報を再生する方式も存在する。
また、記録ピットの位置情報によって多値記録を行う方法としては、特開平8−235593号公報に示すように、記録ピットの記録トラック中心からの偏位量によって多値化情報を表現する方式がある。
【0007】
前記▲3▼に対応する技術としては、特開平6−318325号公報や特開平7−21568号公報に記載されるように、1つのユニットの中に複数ピットを形成し、そのピットの個数や配列の仕方によって1つのユニットを多値化し、ユニット毎に多値情報を再生するものも存在する。
【0008】
前記▲4▼に対応する技術としては、記録光(レーザビーム)のエネルギーを多段階に変化させて記録ピット径を多値化する方式(特開平2−14427号公報)、記録ピットにおける相変化の反射率を多段階とすることで多値化する方式(特開平2−31329号公報)が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した多値化方式では、それぞれ次に記載するような問題があった。
すなわち、前記▲1▼に対応する方式は、記録ピット形状や記録溝の深さや幅を変化させる立体的な構造によって多値情報を表現しているので、ROM記録媒体としては利用できてもRAM記録媒体として利用できる多値記録方式ではない。
【0010】
前記▲2▼に対応する方式として記録ピット形状を変形させて多値化する場合では、ピット形状が複雑であるためにRAM記録媒体としての利用が困難であり、さらにROM記録媒体として利用する場合にも、ピット形状の認識メカニズムが複雑になるという欠点がある。
【0011】
前記▲3▼に対応する方式として、1つのユニットの中に複数記録ピットを形成してその記録ピットの個数や配列方法によって多値化する場合、レーザ光などの光学的手法を使用して書き込みを行うに際して、各記録ピットの大きさがレーザ光の最小ビーム径に限定されるので、ユニット単位としては大きくなり記録密度を大幅に向上させることはできない。また、記録用光源を複数用いて記録する場合には光源の光量ばらつきの問題が避けられず、さらに配置情報を検出する手段がきわめて複雑になるという欠点がある。
【0012】
前記▲4▼で説明した1つの記録光により多値化を行う方式は、情報が記録された光記録媒体に再生レーザ光(読み出し光)を照射したときに、平均反射率が多段階になるように記録ピットの面積や形状等を変化させ(例えば、記録ピット径を変化させ)、再生レーザ光の反射光における反射率の光量で多値情報を認識するものであり、光記録媒体への記録や再生を比較的簡易に行うことができるという利点がある。
【0013】
しかしその一方、記録光により光記録媒体に記録を行うに際して、記録光としてのレーザビームの出力は環境温度の影響を受けやすく、エネルギーを多段階に変化させた場合には前の出力光の熱履歴の影響を大きく受けるため、記録ピット径を段階的に精度良く再現することは非常に困難である。さらに、安定した多段階のレーザ出力光を得るため、熱履歴のフィードバックをかけて蓄熱補正する方法も考えられるが、その制御機構はきわめて複雑となるため実現は容易でない。
【0014】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で安定した多値記録を行うことにより高密度記録を可能とする光学情報記録方法及び光学情報記録装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明により光学情報記録方法は、光記録媒体に照射する記録光について、位相差を生じさせた2つの光を合成して干渉させ、この干渉させた記録光により前記位相差に応じた多値記録を前記光記録媒体に行うものであって、前記2つの光の一方あるいは両方が、記録する情報に応じた、複数のドットの各々が透過あるいは不透過もしくは透明あるいは不透明の状態の2次元マトリクスパターンとされることを特徴としている。
【0016】
この場合に用いられる光記録媒体は、レーザビーム等を用いて記録が可能な媒体であればよく、例えば相変化光材料などを用いることが可能である。
【0017】
本発明方法によれば、出力されるレーザビームのエネルギーを変化させることなく、位相差を生じさせた2つの光を合成して干渉させて記録光とし、この記録光(干渉光)の強度を変化させることにより多段階の情報とし、光記録媒体に対して多値情報として記録することが可能となる。
【0018】
本発明による光学情報記録装置は、光記録媒体に記録光を照射することで、情報信号の記録を行う光学情報記録装置であって、位相のずれた2つの光を合成することにより前記記録光を生成する記録光生成手段を有している。そして、前記記録光生成手段は、所定の波長の光を出射する発光源と、前記発光源から出射された光を2つの分割光に分割する分割手段と、前記分割光を再び合成して記録光として出力する合成手段と、を具備し、前記分割光の一方あるいは両方の光路中に介在し、2次元マトリクス状に配置された複数のドットを記録する情報に応じて各々透過あるいは不透過もしくは透明あるいは不透明の状態とし、この状態の組み合わせによって通過する前記分割光の光量を調節する光量制御手段を備えることを特徴としている。
【0019】
すなわち、光記録媒体に記録光を照射するに際して、光記録媒体に照射される光源からの光ビームをハーフミラー等で2つの分割光とし、一方の分割光の位相をずらし、再び2つの分割光を光軸が合うように合成して記録光を得る。この記録光において、2つの分割光の位相のずれ量(位相差)を任意に選ぶことにより干渉効果によって光強度を変化させ、記録ピットにおける反射率を多値化することができる。
【0020】
また、分割光の一方あるいは両方の光路中に、光量を調節する光量制御手段を介在させることにより、合成された記録光の光記録媒体面での照射光量を変化させ、光記録媒体に形成される記録ピットの平均反射率を多値化することができる。
【0021】
この光量制御手段について、2次元マトリクス状に配置された複数のドットを各々透過あるいは不透過の状態(透過/不透過のドットパターン)とし、この状態の組み合わせによって通過する光量を制御するように構成すれば、合成された記録光の光記録媒体面での平均照射光量を変化させて多値化を図ることにより、ドットパターンに応じた濃度階調を表現することができる。
【0022】
すなわち、光量制御手段の存在によって、各分割光の半径や強度に差を持たせることができ、2つの分割光を光軸が合うように合成すると、2つの分割光の差分が合成された記録光となる。この記録光のパターンは、2次元マトリクス状に配置された複数のドットの透過/不透過の組み合わせによって自由に選択することができるため、光記録媒体での平均反射率を多段階となるように光量を制御することが容易である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の光学情報記録方法を採用した光学情報記録装置であり、光記録媒体101に多値情報を記録を行うものである。この光学情報記録装置は、光記録媒体101の表面に照射されるレーザ光(記録光)を出射するレーザ発生装置(発光源)102と、出射されたレーザ光を平行光とするコリメータレンズ103と、前記平行光を2つの分割光(光束L1,光束L2)に分岐させるハーフミラー104と、2つの分割光を合成して一つの記録光(光束L3)とするハーフミラー105と、ハーフミラー104で光路を変更された分割光(光束L2)をハーフミラー105に導くための全反射ミラー106,107と、合成された記録光(光束L3)をスポットビームにするためのピックアップレンズ108と、ハーフミラー104と全反射ミラー106との間の分割光(光束L2)の光路中に配置された光量制御手段109と、2つの分割光L1,L2の光路差を変化させるため全反射ミラー106,107の位置を移動させる可動手段110とから構成されている。
【0024】
光記録媒体101としては、記録光(レーザ光)を照射することで光記録媒体101の記録膜の反射率を変化させた記録ピットを形成して情報信号の記録を行い、また、再生光(レーザ光)を照射することで前記記録ピットによる反射率の強度を検出して情報信号の再生を行うことができる相変化型光ディスクが用いられている。
【0025】
上記構成の光学情報記録装置によれば、レーザ発生装置102から出射された発散性のレーザビームはコリメータレンズ103によって平行光束に変換され、ハーフミラー104に導かれる。レーザビームは、ハーフミラー104によって直進する光束L1と進行方向が90度曲げられる光束L2とに分岐される。光束L2は光量制御手段109を通過し、全反射ミラー107、108にて全反射し、更にハーフミラー106で再度進行方向が90度曲げられるように反射し、ハーフミラー104,105を透過直進してきた光束L1と光軸が一致するように合成される。
ここで、光束L1と光束L2は、後述するように所定の位相のずれ(位相差)をもって合成されるように、全反射ミラー106,107の位置が可動手段110によって微調整されている。
そして、ハーフミラー105で合成された光束L3は記録光としてピックアップレンズ108によって集光され、光記録媒体101上に結像して多値情報を記録する(記録ピットを形成する)。
【0026】
可動手段110は、全反射ミラー106,107の固定位置を多段階に設定することによって、レーザ光の波長をλとした場合に、光束L1と光束L2との位相のずれ量(位相差)を0〜λ/2の範囲で設定できるようになっており、一方の分割光(光束L2)に位相差を与えることで、2つの分割光が合成された記録光(干渉光)の光強度を連続的または段階的に弱めて変化させることができる。
【0027】
具体的には、光束L1と光束L2との位相差が0となるように、全反射ミラー106,107の位置を可動手段110で調整すれば、合成される記録光(光束L3)は分割光(光束L2)により弱められることがないので、最大の光強度を有することになる(合成される光束L3は光束L1と同じ光強度を有することになる)。また、光束L1と光束L2との位相差がλ/2となるように、全反射ミラー106,107の位置を可動手段110で調整すれば、合成される記録光(光束L3)は分割光(光束L2)により相殺され、光強度が最小となる。したがって、可動手段110により前記位相差が0〜λ/2の範囲で段階的に変化させるようにすれば、光強度を段階的に弱めて変化させることができ、記録光により光記録媒体に記録ピットを形成する場合に光強度に応じて多値化を図ることが可能となる
。
【0028】
上述した相変化型光ディスクは、光記録媒体の表面の記録膜に記録すべき情報に応じた高パワーのレーザ光スポット(記録光)を照射し、記録温度を局部的に上昇させることにより、結晶/非晶質間の相変化を起こさせて記録ピットを形成し、これにともなう反射率の変化を低パワーのレーザ光(再生光)によって、記録膜に形成される非晶質記録ピットとその周囲に形成される結晶組織間の反射率差を利用して反射光の強度差を検出することにより再生を行っている。
【0029】
例えば、結晶化時間が比較的遅い記録膜を用いた相変化型光ディスクでは、ディスクを回転させ、ディスク表面の記録膜に記録光を照射し、記録膜の温度を融点以上に上昇させ、記録光が通過した後、急冷することによりその部分を非晶質状態として記録(記録ピットを形成)している。
記録の消去は、記録膜温度を結晶化温度以上、融点以下の結晶化可能温度範囲で結晶化を進行させるために十分な時間保持し、記録膜を結晶化させることにより行う。
【0030】
高速結晶化が可能な記録膜を用いた相変化型ディスクでは、円形に集光した1本のレーザ光(記録光)が使われている。従来より知られている方法は、レーザ光を2つのレベル間で変化させることにより、結晶化あるいは非晶質化を行う。すなわち、記録膜の温度を融点以上に上昇させることが可能なパワーを有しているレーザ光を記録膜に照射することにより、そのほとんどの部分は冷却時に非晶質状態となり、一方、記録膜温度が結晶化温度以上、融点以下の温度に達するようなパワーを有しているレーザ光が照射された部分は結晶状態になる。
【0031】
相変化型光ディスクの記録膜には、カルコゲナイド系材料であるGeSbTe系、InSbTe系、InSe系、AsTeGe系、TeOx−GeSe系、TeSeSn系、SbSeBi系、BiSeGe系などが用いられるが、いずれも抵抗加熱真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法などの成膜法で成膜される。成膜直後の記録膜の状態は一種の非晶質状態であり、この記録膜に記録を行って非晶質の記録部を形成するために、記録膜全体を結晶質にしておく初期化処理が行われる。したがって、情報の記録は、この結晶化された状態の中に非晶質部分を形成することにより達成される。
【0032】
次に、分割光(光束L2)の光量を調整するための光量制御手段109の構成について説明する。
光量制御手段109は、図2に示すように、2次元マトリクス(8×8のマトリクスパターン)に配置された画素を有し、各画素を電気的な制御によってON,OFFして透過/不透過の部分を制御し(図の黒抜きの部分は光が不透過となる部分)、全体パターンが制御できるものであればよく、例えば液晶パネル等で構成することができる。
【0033】
例えば、光量制御手段109において、図2(a)のようなマトリクスパターン(遮蔽パターン)を作製した場合、光量制御手段109を通過した光束L2は、その中央部分が遮られるため、光束L1と光束L2が合成された光束L3において図3(a)に示すように、その中央部分に、光束L2の干渉を受けずに光強度が最大となる光束L1が出射される。
その一方、光束L3の周縁部は光束L1と光束L2が干渉して光強度が弱められるので(位相差がλ/2であれば出力が相殺される)、光束L1と光束L2が合成された光束L3の出力強度及びパターンを変化させることができる。
その結果、記録光(光束L3)により、マトリクスパターンに対応した反射率を有する記録ピット(平均反射率において多値化が図られたもの)が光記録媒体上に記録され、再生時には、記録ピットにおける平均反射率を検出することにより多値情報が再現可能となる。
【0034】
同様に、光量制御手段109によって図2(b)〜(j)のように段階的に不透過面積が増加する遮蔽パターン(マスクパターン)を作製すると、記録光における光束L3は、図2(b)〜(j)の不透過部分に対応して光強度が最大となる光束L1が出射される部分の面積が大きくなる。従って、光記録媒体101上に、マトリクスパターンに対応して光束L1部分を有する光束L3により記録ピットが形成され、段階的に平均反射率が異なる記録ピットを形成することができる。 したがって、マトリクスパターン(遮蔽パターン)を図2(j)〜(a)となるように順次変化させれば、記録光(光束L3)において、光強度が弱められる光束L1+光束L2が出射される部分に対して、光強度が最大となる光束L1が出射される部分の面積が順次小さくなるので、結果として記録光の光量を絞ることと略同じ作用をしていることになる。
【0035】
光記録媒体101に形成された記録ピットの多値記録情報は、再生光(レーザ光)を照射した場合に、その平均反射率の強度を光検出手段(図示せず)で検出することによって情報信号の再生を行うことができる。すなわち、相変化型光記録媒体を使用した場合、記録ピットの非晶質化度が増加するに従って、反射率が増加する。
可動手段110を多段階に設定することによって、分割光同士の位相のずれ量(位相差)を0〜1/2波長の範囲で段階的に設定し、2つの分割光による干渉光(記録光(光束L3=光束L1+光束L2))の強度を位相差に応じて変化させることによって、干渉領域での結晶化レベルを段階的に変化させて反射率を段階的に変化させることができる。
【0036】
更に、光量制御手段109を使用した場合、再生光によるレーザビームのスポット径は一定であるから、最大光強度の光束L1が光束L3中に占める割合が変化し、結果として光束L3全体に対して記録された記録ピットの平均反射率が変化する。
図2に示したマトリクスパターンを有する光量制御手段109の場合、(a)〜(j)の10通りのマトリクスパターンを作製することによって、可動手段110により光強度が可変される1つの記録光(光束L3)に対して10通りの情報を記録することができ多値化を図ることが可能となる。
そして、可動手段110(干渉レベルにより設定される記録光(光束L3)の強度差)と光量制御手段109(マトリクスパターンにより設定される光束L1がそのまま出射される面積差)により設定される多重記録レベルは、平均反射率を検出する光検出手段の分解能の許す範囲内において、干渉レベルとマトリクスパターンとの組み合わせによって複数設定することができる。
【0037】
平均反射率を多段階に変化させるための光量制御手段109の例としては、図2のマトリクスパターンの他に例えば図4に示すように、ランダムドットによって平均反射率を段階的に変化させることも可能である。また、光量制御手段109におけるマトリクスパターン等の記録パターンは、図2や図4に示したものに限定されず、平均反射率を段階的に変化させることができるパターンであればよい。すなわち、例えば、図2のマトリクスパターンの透過/不透過のパターンが逆になったものも使用できる。この場合、記録光(光束3)において、光束L1がそのまま出射される部分と、光束L1+光束L2により弱められる部分との関係は図3(b)のようになる。
【0038】
次に、光学情報記録装置の実施の形態の他の例について、図5を参照しながら説明する。
この光学情報記録装置は、光記録媒体101の表面に照射されるレーザ光を出射するレーザ発生装置102と、出射されたレーザ光を平行光とするコリメータレンズ103と、前記平行光を2つの分割光(光束L1,光束L2)に分岐させるとともに再度合成して一つの記録光(光束L3)とするハーフミラー201と、ハーフミラー201で光路を変更された分割光(光束L1)を全反射させる全反射ミラー202と、ハーフミラー201を透過して直進した分割光(光束L2)を全反射させる全反射ミラー203と、合成された記録光(光束L3)をスポットビームにするためのピックアップレンズ108と、ハーフミラー201と全反射ミラー203との間の分割光(光束L2)の光路に配置された光量制御装置109と、2つの分割光L1,L2の光路差を変化させるため全反射ミラー204の位置を移動させる可動手段110とから構成されている。
図5中、図1と同一のデバイスについては同一符号を付している。
【0039】
レーザ発生装置201から出射された発散性のレーザ光がコリメータレンズ102によって平行光束に変換され、ハーフミラー201に導かれる。レーザ光はハーフミラー201によって光束L1と光束L2に分岐する。光束L1は全反射ミラー202にて全反射しハーフミラー201を透過し、光束L2は全反射ミラー203にて全反射しハーフミラー201で反射するので、合成された記録光(光束L3)が得られる。ここで、光束L1と光束L2は図1と同様に多段階的な位相のずれ量(位相差)をもって合成されるように、全反射ミラー203の位置を可動手段110によって微調整される。ハーフミラー201で合成された記録光(光束L3)はピックアップレンズ208によって集光され光記録媒体101上に結像して多値情報を記録する(記録ピットを形成する)。
【0040】
図5の例では光量制御手段109をハーフミラー201と全反射ミラー203との間の光束L2の光路中に設置したが、全反射ミラー203として液晶パネルやDeformable Mirror Device(DMD)を利用することによって、光量制御手段の機能を合わせ持たせることができる。また、光量の制御の方法については、図1の例で説明したものと同様に透明/不透明のドットパターンの配置により光量の制御を行うことができる。
【0042】
図5のような分割光の光路設定によれば、光量制御手段109を分割光(光束L2)の光路中に設定する他に、分割光(光束L1)側に設けることもできる。この場合、光量制御手段109で図2のマトリクスパターン(遮蔽パターン)を使用した記録光(光束3)において、光束L1がそのまま出射される部分と、光束L1+光束L2により弱められる部分との関係は図3(c)のようになる。
更に、図1及び図5では光量制御手段109を分割光(光束L2)の光路中のみに設置したが、分割光(L1)の光路と分割光(光束L2)の光路との両方に配置するものであってもよい。
【0043】
上述の各例で説明した相変化型光記録材料を用いるた光記録媒体は、アニール処理やエージング処理によって結晶化させた状態を初期状態とし、記録パターンが非晶質領域によって形成されるようにしたが、非晶質状態を初期状態とし、記録パターンが結晶化領域によって形成されるようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、記録光生成手段により、光源からの出射光を2つの分割光に分割し、位相差を生じさせて分割光を合成して干渉させて記録光としたので、光源のパワーを一定のまま記録光を変調させることができ、位相差に応じた多値記録を行うことできる。
また、光量制御手段を設けることにより、種々の出力パターンを設定することができ、位相差による記録光の変調と組み合わせることにより、更なる多値化を図って高密度記録が可能となる。
また、記録光生成手段や光量制御手段を用いることにより、光源からの出射光のエネルギーを変化させることなく記録光の光強度を変化させるので、簡単な構成で段階的な強度変化を精度良く再現することができ、安定した多値記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学情報記録装置の実施の形態の一例を示す構成説明図である。
【図2】(a)ないし(j)は、光量制御手段による光量制御パターンを説明するマトリクスパターン図である。
【図3】(a)ないし(c)は、光量制御手段で図2のマトリクスパターン(遮蔽パターン)を使用した記録光(光束3)において、光束L1がそのまま出射される部分と、光束L1+光束L2により光強度が弱められる部分との関係を示す光束断面説明図である。
【図4】(a)ないし(j)は、他の例にかかる光量制御手段による光量制御パターンを説明するマトリクスパターン図である。
【図5】本発明による光学情報記録装置の実施の形態の他の例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
101…光記録媒体、 102…レーザ発生装置(発光源)、 103…コリメータレンズ、 104,105…ハーフミラー、 106,107…全反射ミラー、 108…ピックアップレンズ、 109…光量制御手段、 110…可動手段、 201…コリメータレンズ、 202,203…全反射ミラー、 L1,L2,L3…光束
Claims (2)
- 光記録媒体に照射する記録光について、位相差を生じさせた2つの光を合成して干渉させ、この干渉させた記録光により前記位相差に応じた多値記録を前記光記録媒体に行うものであって、前記2つの光の一方あるいは両方が、記録する情報に応じた、複数のドットの各々が透過あるいは不透過もしくは透明あるいは不透明の状態の2次元マトリクスパターンとされることを特徴とする光学情報記録方法。
- 光記録媒体に記録光を照射することで、情報信号の記録を行う光学情報記録装置であって、
位相のずれた2つの光を合成することにより前記記録光を生成する記録光生成手段を有し、前記記録光生成手段は、所定の波長の光を出射する発光源と、前記発光源から出射された光を2つの分割光に分割する分割手段と、前記分割光を再び合成して記録光として出力する合成手段と、
前記分割光の一方あるいは両方の光路中に介在し、2次元マトリクス状に配置された複数のドットを記録する情報に応じて各々透過あるいは不透過もしくは透明あるいは不透明の状態とし、この状態の組み合わせによって通過する前記分割光の光量を調節する光量制御手段を備えることを特徴とする光学情報記録装置。
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1997
- 1997-07-03 JP JP17839797A patent/JP3551708B2/ja not_active Expired - Fee Related
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