JP3549143B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば携帯電話システムの小型中継基地局などに使用されるアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地上以外にも地下街やトンネルなどを携帯電話のサービスエリアとするために、中継基地局がこれらの場所に設置されている。
【0003】
このような中継基地局には、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、またはループアンテナが一体的に設けられ、壁面や天井に設置されている。
【0004】
ところで地下街やトンネルなどに設置される小型中継基地局は、その設置スペースが限られていることと、一定区域内に数多く設置しなければならないことから、その小型化が強く要求される。上記従来の中継基地局のアンテナであれば、単一のアンテナであっても比較的広い周波数帯に亘って用いることができるが、用いる周波数帯に応じて寸法が定まり、それ以上の小型化は困難であった。そこで小型化に適した表面実装型アンテナをこのような中継基地局用のアンテナ装置として用いることが考えられる。但し、表面実装型アンテナは上記従来のアンテナに比較して、高利得が得られる周波数帯域が狭いため、システムで使用される周波数帯域をカバーするために複数の表面実装型アンテナを周波数帯に応じて分担させることになる。
【0005】
ここで、表面実装型アンテナを用いたアンテナ装置の構成例を図7に示す。同図において32,33,34,35は、それぞれ略直方体状の表面実装型アンテナであり、実装基板32s,33s,34s,35sに実装して、アース板31に対して垂直に略同じ高さで90度づつ異なる4つの方向に向けて取り付ける。また、36,37も略直方体状の表面実装型アンテナであり、それぞれ実装基板36s,37sに実装し、アース板31の中心付近に、アース板31に対して垂直に、アース板31から略同じ高さで互いに背中合わせで取り付ける。このようにしてアンテナ装置30を構成する。
【0006】
ここで表面実装型アンテナ32〜35はたとえばPDC800(パーソナル・ディジタル・セルラー・コミッティ)で用いられる比較的低い周波数帯(たとえば800MHz帯)で使用され、1つの通信方式の互いに少しづつ異なる周波数帯に対応させる。また、表面実装型アンテナ36,37はたとえばPDC1500で用いられる比較的高い周波数帯(たとえば1.5GHz帯)で互いに異なる周波数帯に対応させる。
【0007】
このように構成したアンテナ装置30は、地下街などの、地上とは電磁波的に遮断された場所の天井などに、アース板31を上にした状態で逆さまに取り付ける。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示したようなアンテナ装置によれば、複数の表面実装型アンテナが単一のアンテナ装置としてユニット化されるため、全体に小型化され、限られたスペースに設置できるという利点がある。ところが、図7に示した構造のアンテナ装置においては、表面実装型アンテナ32と34、33と35、および36と37の、互いの偏波面が一致し、且つ相互の距離が近接しているため、それぞれの表面実装型アンテナにおいて電界および磁界の向きが一致して相互干渉が生じ、各アンテナのマッチングをとるのが困難になる。また、このような相互干渉を避けるためには、各表面実装型アンテナの間隔を大きくとるという方法も考えられるが、その場合にはアンテナ装置全体が大型化するという問題が生じる。
【0009】
この発明の目的は複数の表面実装型アンテナ間の相互干渉を小さくし、且つ容易に小型化できるようにしたアンテナ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、アース板に対して複数の表面実装型アンテナを配置してなるアンテナ装置において、上記干渉および大型化の問題を解決するために、請求項1に記載のとおり、表面実装型アンテナの実装面が、前記アース板を底面とする略錐の側面を成すように配置する。また請求項2に記載のとおり、複数の表面実装型アンテナの各表面実装型アンテナを前記アース板に対して垂直方向または平行方向にそれぞれ異なり、それぞれの表面実装アンテナ間の干渉を低減する位置に配置する。これにより各表面実装型アンテナ間の間隔を狭めても複数の表面実装型アンテナ間の相互干渉が小さくなり、全体に小型化されたアンテナ装置が得られる。
【0011】
またこの発明は請求項3に記載のとおり、第1のアンテナ群を構成する複数の表面実装型アンテナを、前記アース板に対して垂直方向または平行方向のそれぞれ異なる位置に配置し、第2のアンテナ群を構成する複数の表面実装型アンテナを、当該表面実装型アンテナの実装面が、前記アース板を底面とする略錐の側面を成し、且つ第1のアンテナ群の周囲に配置する。この構造により、第1のアンテナ群をなす複数の表面実装型アンテナ同士の相互干渉、第2のアンテナ群をなす複数の表面実装型アンテナ同士の相互干渉および第1と第2のアンテナ群との間での相互干渉のいずれもが小さくなり、しかも限られた空間内に多数の表面実装型アンテナを配置することができ、全体に容易に小型化できる。また使用する周波数帯の異なった2種類の通信システムで兼用されるアンテナ装置が容易に得られる。
【0012】
前記表面実装型アンテナとしては、請求項4に記載のとおり、誘電体または磁性体からなる略直方体状の基体に少なくとも放射電極、給電電極およびグランド電極を形成したものとする。この構造の表面実装型アンテナは、それ自体が小型であるため、アンテナ装置全体の小型化に寄与する。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず図1および図2を参照して本願発明のアンテナ装置の構成を説明する。
【0014】
図1はアンテナ装置の主要部の斜視図、図2の(a)はアンテナ装置の平面図、(b)はその正面図である。両図において、アンテナ装置1は、略直方体状の表面実装型アンテナ3,4,5,6を実装基板3s,4s,5s,6sにそれぞれ表面実装するとともに、これらの実装基板3s〜6sをアース板2に対して約60度の角度で、略同じ高さで、90度づつ異なった4つの方向に向けて取り付けている。また、略直方体状の表面実装型アンテナ7,8をそれぞれ実装基板7s,8sに実装するとともに、アース板2の略中央部に、アース板2に対して垂直に取り付けている。この例では表面実装型アンテナ7,8を互いに背中合わせにするとともに、表面実装型アンテナ8が7より高い(アース板2から離れた)位置となるように、表面実装型アンテナ7,8を取り付けている。すなわち表面実装型アンテナ7,8はアース板2に対して垂直方向にずらせた関係で取り付けている。
【0015】
ここで表面実装型アンテナ3〜6はたとえばPDC800で用いる800MHz帯の少しずつ異なる周波数に対応させている。表面実装型アンテナ7,8はたとえばPDC1500で用いる1.5GHz帯の2つの帯域に対応させている。
【0016】
次に、図1および図2に示した各表面実装型アンテナの構成例を、一つの表面実装型アンテナ3を例として図3を参照して説明する。
【0017】
図3はその斜視図であり、表面実装型アンテナ3は、セラミックスや樹脂などの誘電体からなる直方体状の基体10と、基体10の一方の主面(図における下面)に形成したグランド電極11、基体10の他方の主面(図における上面)に形成したストリップ状の放射電極12、および基体10の一方の主面から一つの端面を経由して他方の主面にかけて形成した給電電極13で構成している。放射電極12は図に示すようにミアンダ状に折れ曲がったパターンを有して1/4波長近似の長さとし、その一端を、給電電極13を形成した端面に対向する他方の端面を経由してグランド電極11に接続し、他端を開放端としている。この放射電極12の開放端と給電電極13の端部との対向部分にギャップg1を構成している。なお、14は固定用の電極であり、この表面実装型アンテナ3を実装基板3sに実装する際に、実装基板3s上の電極に対して半田付けする。
【0018】
次に、図3に示した表面実装型アンテナの等価回路図を図4に示す。同図においてL1は図3に示した放射電極12の自己インダクタンスに相当するインダクタであり、R1は図3に示した放射電極12から放射するエネルギを抵抗による損失に置き換えて表した抵抗である。またC1は図3に示した放射電極12とグランド電極11との間に形成される静電容量、C3は放射電極12の一端と給電電極13の一端との間(ギャップg1部分)に形成される静電容量である。そしてp1は図3に示した給電電極13の他端に相当する信号入出力端子である。
【0019】
図4に示した表面実装型アンテナの共振回路は主としてインダクタL1、抵抗R1、コンデンサC1で構成される。信号入出力端子p1からコンデンサC3を介して共振回路に信号が入力されると、その信号の周波数に応じて共振回路が共振し、そのエネルギの一部が空中に放射される。この放射されるエネルギは、等価回路の上では抵抗R1で消費されるエネルギに相当する。また逆に空中からの電磁波が入射すると上記共振回路が共振してコンデンサC3を介して信号入出力端子p1から取り出される。このようにしてアンテナとして機能する。
図1および図2に示した他の表面実装型アンテナも、図3に示したものと同様の構造からなる。
【0020】
さて、図1および図2に示したように、たとえば表面実装型アンテナ3と5は、アース板2に対してそれぞれ約60度傾けて、背中合わせで取り付けているため、その両者の実装面は約60度の角度で交差し、表面実装型アンテナ3,5からそれぞれ放射される電磁波の偏波面である電界および磁界の向きが互いに一致しなくなり、相互干渉が抑えられる。このことは表面実装型アンテナ4と6に関しても同じである。また、隣接する表面実装型アンテナ同士の関係、たとえば表面実装型アンテナ3と4または3と6との関係についても、電磁波の偏波面である電界および磁界の向きが一致しなくなり、相互干渉が抑えられる。4つの表面実装型アンテナ3〜6をこのように配置することにより、互いの距離が近接していても相互干渉が抑えられ、マッチングが容易にとれるようになる。そのため、4つの表面実装型アンテナ3〜6の配置間隔を狭くして、全体に小型化を図ることができる。
【0021】
図1および図2に示したアンテナ装置1においては、表面実装型アンテナ7と8の偏波面は一致することになるが、アース板2に対して垂直方向に互いにずれているため、両者の相互干渉は小さい。特にこの2つの表面実装型アンテナ7,8を比較的高い周波数帯(たとえば1.5GHz帯)で用いるアンテナとすることによって、アース板2に対する垂直方向のずれ量が小さくても、波長が短い分、両者の相互干渉が容易に抑えられる。
【0022】
また、図1および図2に示したアンテナ装置においては、アース板2に対して垂直方向にずらせた表面実装型アンテナ7,8をアース板2の略中央部に配置し、アース板2に対して傾斜した表面実装型アンテナ3〜6をその周囲に配置したことにより、限られた空間内に多数の表面実装型アンテナを互いに干渉させることなく配置することができ、且つ使用する周波数帯の異なる2つの通信方式で共用可能なアンテナ装置が得られる。
【0023】
次に、上記アンテナ装置に適する他の表面実装型アンテナの構成例を図5に示す。
図5において20は、誘電体セラミックスからなる直方体状の基体であり、この基体20の一方の主面(図における下面)から1つの端面(図における左手前の端面)にかけてグランド電極21を形成し、基体20の他方の主面(図における上面)にコ字状の放射電極22を形成するとともに、その放射電極22の一端をグランド電極21に接続し、他端を開放している。また基体20の一方の主面から1つの端面を経由して他方の主面にかけて給電電極23を設けている。放射電極22はコ字状に形成していて、その開放端と給電電極23の一端との間にギャップg2を構成している。なお、基体20の一方の主面から1つの端面にかけて固定電極24を形成している。
【0024】
図5に示した表面実装型アンテナの等価回路は図4に示したものと同様となる。この場合、図5の放射電極22とグランド電極21との間の静電容量がC1、ギャップg2部分の静電容量がC3、放射電極22の自己インダクタンスがL1に相当する。
【0025】
このように表面実装型アンテナの放射電極は図3に示したようにミアンダ状のものに限らず、図5に示したようなコ字状であってもよく、さらにL字状や直線状などの別の形状であってもよく、同等の作用効果が得られる。また、表面実装型アンテナの基体としては誘電体に限らず磁性体を用いてもよい。また、図3および図5に示した例では、基体の表面に放射電極や給電電極を設けたが、これらの電極を基体の内部に形成してもよい。たとえば誘電体板や磁性体板の表面に放射電極や給電電極を形成し、その表面にさらに誘電体板や磁性体板を積層して積層体構造の内部に放射電極や給電電極を形成してもよい。
【0026】
図6はさらに他の表面実装型アンテナの構成例を示す斜視図である。同図において、40は誘電体セラミックスや樹脂などの誘電体材料からなる直方体状の基体であり、その1つの端面(図における右後方端面)に容量装荷電極45を形成し、対向する他方の端面(図における左手前端面)に給電電極43およびグランド電極41を形成している。また両端面の間に容量装荷電極45と給電電極43を電気的に接続するスルーホール42を形成している。さらに基体の一方の主面(図における下面)に容量装荷電極45から延びる固定電極44を形成している。
【0027】
このように構成した表面実装型アンテナは、容量装荷電極45を開放端とし、スルーホール42と給電電極43とによってモノポールアンテナを構成する。その動作は従来のモノポールアンテナと略同様である。
【0028】
なお、図1および図2に示した例では、表面実装型アンテナ3〜6をアース板2の中央方向へ傾斜させたが、逆に外側へ傾斜させてもよい。また、図1および図2に示した例では、表面実装型アンテナ7,8をアース板2に対して垂直方向にずらせたが、これをアース板2に対して平行方向にずらせて両者間の干渉を防止するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
請求項1,2に記載の発明によれば、各表面実装型アンテナ間の間隔を狭めても複数の表面実装型アンテナ間の相互干渉が小さくなり、全体に小型化されたアンテナ装置が得られる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、第1のアンテナ群をなす複数の表面実装型アンテナ同士の相互干渉、第2のアンテナ群をなす複数の表面実装型アンテナ同士の相互干渉および第1と第2のアンテナ群との間での相互干渉のいずれも小さくなり、しかも限られた空間内に多数の表面実装型アンテナを配置することができ、全体に容易に小型化できる。また使用する周波数帯の異なった2種類の通信システムで兼用されるアンテナ装置が容易に得られる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、アンテナ装置全体が容易に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係るアンテナ装置の主要部の斜視図である。
【図2】同アンテナ装置の平面図および正面図である。
【図3】同アンテナ装置で用いる表面実装型アンテナの構成を示す斜視図である。
【図4】同表面実装型アンテナの等価回路図である。
【図5】他の表面実装型アンテナの構成例を示す斜視図である。
【図6】他の表面実装型アンテナの構成例を示す斜視図である。
【図7】従来技術によるアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1−アンテナ装置
2−アース板
3,4,5,6,7,8−表面実装型アンテナ
3s,4s,5s,6s,7s,8s−実装基板
10−基体
11−グランド電極
12−放射電極
13−給電電極
Claims (4)
- それぞれに表面実装型アンテナを実装した複数の実装基板をアース板に配置してなるアンテナ装置であって、前記表面実装型アンテナの実装面が、前記アース板を底面とする略錐の側面を成すように配置したことを特徴とするアンテナ装置。
- それぞれに表面実装型アンテナを実装した複数の実装基板をアース板に配置してなるアンテナ装置であって、前記複数の表面実装型アンテナの各表面実装型アンテナを前記アース板に対して垂直方向または平行方向にそれぞれ異なり、それぞれの表面実装アンテナ間の干渉を低減する位置に配置したことを特徴とするアンテナ装置。
- それぞれに表面実装型アンテナを実装した複数の実装基板をアース板に配置してなるアンテナ装置であって、第1のアンテナ群を構成する複数の表面実装型アンテナを、前記アース板に対して垂直方向または平行方向のそれぞれ異なる位置に配置し、第2のアンテナ群を構成する複数の表面実装型アンテナを、当該表面実装型アンテナの実装面が、前記アース板を底面とする略錐の側面を成し、且つ第1のアンテナ群の周囲に配置したことを特徴とするアンテナ装置。
- 前記表面実装型アンテナは、誘電体または磁性体からなる略直方体状の基体に少なくとも放射電極、給電電極およびグランド電極を形成したものである請求項1、2または3に記載のアンテナ装置。
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JPH1155030A JPH1155030A (ja) | 1999-02-26 |
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ID=16631755
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JP21299697A Expired - Lifetime JP3549143B2 (ja) | 1997-08-07 | 1997-08-07 | アンテナ装置 |
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JP4927677B2 (ja) * | 2007-10-04 | 2012-05-09 | 古河電気工業株式会社 | 送信アンテナ装置 |
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- 1997-08-07 JP JP21299697A patent/JP3549143B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH1155030A (ja) | 1999-02-26 |
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