JP3543927B2 - 超音波探知装置及び超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

超音波探知装置及び超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波を使用して鋼材等の内部欠陥などを検出する際等に使用される超音波探知装置及び超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に、コンクリート構造物内に複雑に配設された鉄筋及びひび割れ深さ等の探知が可能な超音波探知装置及び超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波を使用した鋼等の内部欠陥及び溶接部の傷の有無等を探傷する技術の高精度化、迅速化及び容易化が検討されている。これらの研究及び発明の多くは超音波の直進性、その高い指向性、ホイヘンスの原理及びスネルの定理を基本として微細なキズの探知等を目的とするものである。
【0003】
従来の一般的な探傷方法においては、1乃至100MHzの周波数の中から広帯域の超音波を選び、これを鋼等の表面より入力し同一点又はその近傍における他点で鋼内部からの反射波(多くはよこ波)を取得し、その起生時刻と被探傷体の音速より超音波入力点及び受信点と内部欠陥との伝達径路長が計算される。内部欠陥等の位置は超音波の入力方向とその直進性より決められる。
【0004】
このような従来の高周波広帯域の超音波を使用した内部欠陥探知方法は、伝達距離の短い位置にある鋼のキズ等を探知するものであり微視的探知と位置ずけることができる。
【0005】
しかし、近時、弾性体の内部探知を巨視的に行う探知方法及び探知装置が要望されている。この巨視的探知とは、超音波発信及び受信位置から極めて離れた位置、例えば、10m離れた位置に存在する反射物の探知を可能とするもである。
【0006】
また、コンクリ−ト構造物に複雑に配されている鉄筋又は鉄骨の位置及びサイズの計測、ひび割れ状況とその深さ、内部空隙及びコンクリ−ト厚も超高精度に探知することが可能であり、鋳物、土、地盤の内部探査等にも利用可能な巨視的探知が望まれている。即ち、被探知体が多孔質若しくは幾つかの材質の異なる複合体又は材質粒子の結晶が1方向であるインゴットであっても、その内部探知が可能であることが望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の探知装置及び探知方法は、前述のように、超音波はその入力方向に向かって直進しその指向性が高いという性質及び超音波はホイヘンスの原理及びスネルの定理に基づいて材質の異なる境界等で反射、屈折及びモ−ド変換を行うという性質のみを利用するものであるため、鋼及び鉄等の均質弾性体の微視的探傷を高精度に行うことはできるが、コンクリ−ト等の内部に骨材とよばれる1乃至2cm程度の多量の細石及び微細な空隙を無数に有する多孔質材では、その内部探知は困難であり多くの場合不可能である。図113(a)は均質弾性体における超音波の直進性及び指向性を示す断面図、(b)は多孔質弾性体における超音波の直進性、指向性及び散乱を示す断面図である。
【0008】
図113(a)に示すように、鋼等の均質弾性体の探知においては、直下に入力されたたて波はその入力方向に直進し、その指向性が高い。しかし、図113(b)に示すように、コンクリ−ト等の多孔質弾性体材においては、内部の細石及び空隙の存在により超音波が散乱され、その直進性及び指向性が極めて低い。このため、入力超音波は、図113(b)に示すように、扇状に多孔質弾性体材内部へ拡散される。この現象は、入力波がよこ波の場合でも同様である。
【0009】
このように、多孔質弾性体材の探知及び探傷においては、超音波の直進性及び指向性が低減し、探知目標に達る径路の超音波の強度が大きく減衰してしまう。場合によっては、見かけ上、消滅することもある。更に、計測点近傍に大きな勢力を持った表面波及び散乱現象による大きな勢力の直接波が生じ、これ等の波の中に探知目標からの反射波が埋もれてしまう。また、この表面波及び直接波が探知目標からの反射波と誤認されることがある。更にまた、指向方向にない伝達径路の短い反射波等も起生する。そして、多数の細石による反射及び屈折時にモ−ド変換等も起こり、発信子の直下にたて波を入力した場合であっても、多孔質弾性体材内にたて波だけでなく、勢力が大きいよこ波が起生してくる。逆によこ波が入力された場合には、勢力が大きいたて波が起生する。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、被探知材の深い位置での探知及び探傷並びに多孔質材の探知及び探傷を高精度で行うことができる超音波探知装置及び超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波探知装置は、超音波を発信し受信した超音波の解析を行う超音波探知装置において、発信された発信超音波及び受信された受信超音波に第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理を実行する演算装置を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る他の超音波探知装置は、超音波を発信し受信した超音波の解析を行う超音波探知装置において、発信された発信超音波をこの発信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したもの並びに受信された受信超音波をこの受信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したものに第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理を実行する演算装置を有することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、発信された発信超音波及び受信された受信超音波が第1の処理により高強度で超広帯域の超音波とされる。次いで、第2の処理により掃引処理が行われて任意の周波数帯域において広帯域の超音波が取り出される。そして、これが自然数乗されることにより、所望の波が鋭敏に現れる。
【0014】
なお、前記演算装置は、前記第2の処理により変動した前記発信超音波の発信時刻に関連付けて前記受信超音波の起生時刻の補正を行う第4の処理と、被探知材中の目標探知物からの起生時刻の概略値が解っている場合に前記概略値に関連付けて前記受信超音波の時系列波の所定の領域を選択する第5の処理と、前記被探知材中の目標探知物による影響を受ける場合に受信される超音波と前記目標探知物による影響を受けない場合に受信される超音波との差を求める第6の処理と、複数点の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第7の処理と、同一点での複数回の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第8の処理と、発信される超音波が適当であるか不適当であるかを判別する第9の処理と、を含む処理を実行することが望ましい。
【0015】
探知及び探傷の環境等により誤差が生じることがあるので、第4乃至第9のプログラムによる処理により、その誤差が排除され高い精度の探知及び探傷が行われる。
【0016】
また、前記演算装置に接続され被探知材に超音波を発信する発信子と、前記演算装置に接続され前記被探知材からの超音波を受信する受信子と、を有し、前記発信子は、板状の基材と、この基材の両表面の中央部に形成された電極と、を有してもよい。更に、前記受信子が、板状の基材と、この基材の両表面の中央部に形成された電極と、を有してもよい。
【0017】
更にまた、前記演算装置に接続され被探知材に超音波を発信し前記被探知材からの超音波を受信する発信受信探触子を有し、この発信受信探触子は、板状の基材と、この基材の両表面の中央部に形成された電極と、を有してもよい。このような発信子、受信子及び発信受信探触子を用いれば、バックリング等の不必要な振動が抑制されるので、超音波の発信及び受信が高精度で行われる。
【0018】
また、前記第1のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表される第3のフィルタを有することが望ましい。更に、前記第1のフィルタは、前記発信超音波に含まれていない振動数の波を前記受信超音波より除去する第4のフィルタを有することが望ましい。前記第3のフィルタは、例えば、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 31 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 31 (t)=g 31 (t)+g 31 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 32 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 32 (t)=g 32 (t)−g 32 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタとすることができる。
【0019】
更にまた、前記第2のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数n次の余弦関数との積で表される第5のフィルタを有することが望ましく、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表され極大値を与える周波数が所望の周波数にある第6のフィルタを有することがより一層望ましい。前記第5のフィルタは、例えば、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 51 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 51 (t)=g 51 (t)+g 51 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 52 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 52 (t)=g 52 (t)−g 52 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタとすることができる。また、前記第6のフィルタは、例えば、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 61 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 61 (t)=g 61 (t)+g 61 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 62 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 62 (t)=g 62 (t)−g 62 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタとすることができる。
【0020】
本発明に係る超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、超音波探知装置から発信された発信超音波及び前記超音波探知装置に受信された受信超音波に第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る他の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、超音波探知装置から発信された発信超音波をこの発信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したもの並びに前記超音波探知装置に受信された受信超音波をこの受信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したものに第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0022】
なお、前記超音波探知用プログラムは、前記第2の処理により変動した前記発信超音波の発信時刻に関連付けて前記受信超音波の起生時刻の補正を行う第4の処理と、被探知材中の目標探知物からの起生時刻の概略値が解っている場合に前記概略値に関連付けて前記受信超音波の時系列波の所定の領域を選択する第5の処理と、前記被探知材中の目標探知物による影響を受ける場合に受信される超音波と前記目標探知物による影響を受けない場合に受信される超音波との差を求める第6の処理と、複数点の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第7の処理と、同一点での複数回の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第8の処理と、発信される超音波が適当であるか不適当であるかを判別する第9の処理と、を含む処理をコンピュータに実行させることが望ましい。
【0023】
また、前記第1のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表される第3のフィルタを有することが望ましい。更に、前記第1のフィルタは、前記発信超音波に含まれていない振動数の波を前記受信超音波より除去する第4のフィルタを有することが望ましい。前記第3のフィルタは、例えば、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 31 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 31 (t)=g 31 (t)+g 31 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 32 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 32 (t)=g 32 (t)−g 32 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタとすることができる。
【0024】
更にまた、前記第2のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数n次の余弦関数との積で表される第5のフィルタを有することが望ましく、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表され極大値を与える周波数が所望の周波数にある第6のフィルタを有することがより一層望ましい。前記第5のフィルタは、例えば、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 51 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 51 (t)=g 51 (t)+g 51 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 52 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 52 (t)=g 52 (t)−g 52 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタとすることができる。また、前記第6のフィルタは、例えば、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 61 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 61 (t)=g 61 (t)+g 61 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 62 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 62 (t)=g 62 (t)−g 62 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタとすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本願発明者等が前記課題を解決すべく、鋭意実験研究を重ねた結果、従来の超音波探知装置で利用されている2つの超音波伝達特性に加え新たな3つの超音波伝達特性をも利用することにより巨視的に探知及び探傷を行うことができることを見い出した。従来の超音波探知装置で利用されている2つの超音波伝達特性とは、超音波はその入力方向に向かって直進しその指向性が高いという特性、ホイヘンスの原理及びスネルの定理に基づいて材質の異なる境界等で超音波は反射、屈折及びモード変換するという特性である。また、新たに加えられる3つの超音波伝達特性とは、多孔質材内で超音波は散乱現象で扇状に拡散し多孔質材内にたて波及びよこ波を生じさせその拡散超音波の強度は超音波の周波数によって大きく変化するという性質、超音波強度の変化は伝達距離dと周波数fにより大きく異なりその減衰率αは伝達距離d及び周波数fに依存する関数α(d、f)となるという性質及び多孔質体表面から超音波のたて波及びよこ波を入力すると散乱現象等により直接波、たて波、よこ波及び表面波が生じこれらの伝達速度は相違するという性質である。
【0026】
図1は多孔質弾性体における周波数の変化による扇状拡散超音波の強度を示す図であって、(a)は低周波における模式図、(b)は高周波における模式図である。また、図2は均質弾性体における周波数の変化による扇状拡散超音波の強度を示す図であって、(a)は低周波における模式図、(b)は高周波における模式図である。超音波を均質及び多孔質弾性体表面より直下に入力した場合、その指向方向の強度を1.0であるベクトルで表現すると指向方向からθ度傾斜した方向における超音波強度は実線包絡線と伝達距離dで描がれる円弧によりP(θ)で表される。均質弾性体での強度P(θ)は角度θが90度に近づくのに伴って無視できるほど小さなものとなるが、多孔質弾性体では非常に勢力の大きい超音波が残存する。そして、低周波ではこの傾向は特に顕著である。
【0027】
また、図3は横軸に伝達距離をとり、多孔質弾性体材内の超音波の減衰率を模式的に示すグラフ図である。周波数が高くなるほど、また伝達距離が長くなるほど減衰率α(d、f)は加速度的に大きくなっている。
【0028】
以下、本発明の実施例に係る超音波探知装置について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図4は本発明の実施例に係る超音波探知装置を示すブロック図である。
【0029】
本実施例に係る超音波探知装置には、電圧パルス発生器1、このパルス発生器1から発生されたパルス波を受け被検知物に超音波を発信する発信探触子2a、被検的物内部からの反射波等を受信しこれを電気信号に変換する受信探触子2b、この受信探触子2bにより得られた電気信号を増幅する外付アンプ3、この外付アンプ3により増幅された電気信号を解析する解析装置4及びこの解析装置4による解析結果及びパルス発生器1により発生されたパルス波を表示する表示装置5が設けられている。
【0030】
パルス発生器1には、パルス波を発生させるパルス発生回路1a、このパルス波の発生間隔を変更するパルス間隔変更回路1b及びこれらに接続されパルス波をパルス発生器1の外部に送り出すパルス駆動回路1cが設けられている。
【0031】
また、解析装置4には、入力された電気信号を更に増幅するアンプ回路4a、増幅された信号にフィルタをかけるフィルタ回路4b、フィルタをかけられた信号を変換するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)4c並びにゲートアレイ4d及びCPU又はDSP4eが設けられている。ゲートアレイ4dは同一点受信波の加算平均の算出を行うものである。
【0032】
更に、CPU又はDSP4eには、読み取り可能な記憶装置(図示せず)が接続されており、この記憶装置内に以下の9種の処理プログラムが記憶されている。また、パルス発生器1、アンプ回路4a、フィルタ回路4b及びADC4cはCPU又はDSP4eにより制御される。なお、受信波に混入する電気的ノイズを除去又は低減するために外付アンプ3を本体の外側に設けている。
【0033】
なお、図4に示す本実施例に係る超音波探知装置では2探触子法で表現しているが、1探触子法を採用してもよい。図10は1探触子法が採用された例を示す模式図である。この場合には、1個の探触子が発信探触子及び受信探触子として機能する。
【0034】
第1の処理プログラムは、発信原波及び受信原波にローパスフィルタ若しくはハイパスフィルタ又は正弦関数若しくは余弦関数により表される特殊なフィルタをかけたり、発信原波をその発信原波で除したもの及び受信原波をその受信原波で除したものにローパスフィルタ若しくはハイパスフィルタ又は正弦関数若しくは余弦関数により表される特殊なフィルタ(第3のフィルタ)等をかけることにより、高強度超広帯域の入力超音波及び受信超音波を得るためのものである。
【0035】
第2の処理プログラムは、第1の処理プログラムにより得られた超音波に更にフィルタをかけることにより、任意の周波数帯域で時系列波を取り出すための掃引計算処理である。
【0036】
第3の処理プログラムは、第1の処理プログラム及び第2の処理プログラムにより得られた時系列波をm乗(m;自然数)することにより、散乱波等を見かけ上除去し有意の反射波等を明敏に取得するためのものである。
【0037】
第4の処理プログラムは、第2の処理プログラムで入力超音波の中心周波数の変化に伴って変化する発信時刻を用いて反射波の起生時刻を補正するものである。
【0038】
第5の処理プログラムは、予め探知目標物からの反射波等の起生時刻が類推可能である場合又はその起生時刻の概算値が求められている場合に、これらの概略の起生時刻に関連付けて時系列波の必要な部分を切り出すものである。
【0039】
第6の処理プログラムは、表面から比較的浅い位置に探知目標物がある場合に、その探知目標物がある位置での受信波と、ない位置での受信波との差をとるものである。
【0040】
第7の処理プログラムは、多点計測により得られた受信波から合成波を得るものである。
【0041】
第8の処理プログラムは、現場等における外乱の影響を排除するものである。
【0042】
第9の処理プログラムは、任意の中心周波数を有する広帯域周波数帯域において反射波等を抽出するときに同一の中心周波数及び周波数帯域で入力超音波を求め、この入力超音波の波形を検定することにより、不適当な入力超音波に対応する受信波を解析の対象から排除するものである。
【0043】
次に、発信探触子2a及び受信探触子2bについて説明する。図5(a)は本発明の実施例に使用されるセラミックス製探触子を示す面図、(b)は同じく探触子を示す面図、(c)は市販されている従来のセラミックス製探触子を示す面図、(d)は同じく探触子を示す面図、(e)は市販されている他の従来のセラミックス製探触子を示す面図、(f)は同じく探触子を示す面図である。
【0044】
本実施例において使用される探触子11は、図5(a)及び(b)に示すように、直径が30mm、厚さが2mmの円板形状に縁部12が設けられた形状を有している。縁部12が設けられいない領域の直径は23mmである。そして、この縁部12が設けられいない領域の両面にのみ電極13として白金が焼き付けられいる。
【0045】
一方、従来のセラミックス製探触子21a又は21bは、図5(c)乃至(f)に示すように、直径が30mm、厚さが2又は3mmの円板形状を有している。そして、その両面には、電極23として全面に白金が焼き付けられている。
【0046】
このように構成された探触子の動作について説明する。図6(a)乃至(c)は種々の振動形態における本発明の実施例に使用されるセラミックス製探触子の動作を示す断面図、(d)乃至(g)は種々の振動形態における従来のセラミックス製探触子の動作を示す断面図である。
【0047】
本実施例において使用される探触子11においては、縁部12により異常な振動の発生が抑制される。つまり、バックリングによる振動及び円周方向の振動が拘束された入力超音波を得ることができる。
【0048】
一方、従来の探触子21a又は21bにおいては、図6(d)及び(e)に示すように、円周方向の振動が発生しやすいと共に、積荷電圧が臨界値を超えると、その構造的及び物性的な限界を超えてバックリングが突如発生する。このバックリングは、半径方向又は厚さ方向への振動と比して若干遅れて起生する。このため、積荷電圧が高圧の場合、発信超音波に問題が生じることがある。
【0049】
図7(a)は探触子11により得られるスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図、図8(a)は探触子21aにより得られるスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図、図9(a)は探触子21bにより得られるスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。なお、図7乃至9は探触子に500Vの電圧を微小時間積荷したときの発信超音波(AEセンサにより収集)にsin((π/2)×(f/(2.5×10))のフィルタをかけ、これをX・exp(iωt)とし、X/X・exp(iωt)を求め、これに後述の第1の処理プログラムの第4例によるC・Cのフィルタをかけたものである。
【0050】
探触子11による発信波は、波数が少なく入力超音波として好適である。一方、探触子21a又は21bによる発信波においては、複数の波が重畳しているため、入力超音波に好適とはいえない。
【0051】
また、図5(a)及び(b)においては、縁部12が設けられているが、このような縁部12がなくセラミックス板が平板であっても電極がセラミックス板の中心部分のみに設けられていれば十分な効果が得られる。つまり、セラミックス板の周縁部に電極が形成されていなければよい。
【0052】
次に、前述の各処理プログラムについて、適宜、実測データを使用して具体的に説明する。図11(a)及び(b)は実測に使用される鉄筋が埋め込まれたコンクリート塊を示す断面図である。実測に使用されるコンクリート塊31は、一辺の長さが500mm、高さが300mmの正方柱形状を有する。その中には、表面又は裏面から50mm離れた位置に6本の直径が19mmの鉄筋32が150mmの間隔で埋め込まれている。また、表面から200mmの深さまで幅が2mmのひび割れが形成されている。
【0053】
このようなコンクリート塊31の超音波探知測定を行った場合、鉄筋径路のたて波、よこ波及び直接波33、ひび割れ径路のたて波及び表面波34、鉄筋からの反射径路のたて波35a及び35b、コンクリート塊底面からの反射径路のたて波36並びにコンクリート塊底面角部からの反射径路のたて波37等が受信される。図12(a)はAEセンサにより測定した発信超音波原波形のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。また、図13(a)は鉄筋の直上計測で発信探触子と、受信探触子としてのAEセンサをひび割れを挟んで配置して測定した受信超音波原波形のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【0054】
先ず、第1の処理プログラムについて鉄筋の直上位置での受信波を用いて説明する。第1の処理プログラムは、前述のように、発信原波及び受信原波にローパスフィルタ及びハイパスフィルタ、又は正弦関数及び余弦関数により表される特殊なフィルタをかけたり、発信原波をその発信原波で除したもの及び受信原波をその受信原波で除したものにローパスフィルタ及びハイパスフィルタ、又は正弦関数及び余弦関数により表される特殊なフィルタ等をかけることにより、高強度超広帯域の入力超音波及び受信超音波又は略受信超音波を得るためのものである。また、第1の処理プログラムには、以下の5種類がある。
【0055】
第1例は、一般的なローパスフィルタ及びハイパスフィルタを入力波及び受信原波にかけるものである。図14(a)はハイパスフィルタを示すグラフ図、(b)はローパスフィルタを示すグラフ図である。なお、図14(a)及び(b)において、フィルタの縦軸最大値は1.0に規準化されている。ハイパスフィルタFは、図14(a)に示すように、例えば、110kHzまでは単調に増加し、それ以上では一定である。一方、ローパスフィルタFは、図14(b)に示すように、例えば、120kHzまでは一定であり、それ以上では単調に減少する。このようなハイパスフィルタ及びローパスフィルタを入力超音波及び受信超音波にかけることにより、任意の周波数帯で入力超音波に対応する受信超音波を得ることが可能となる。図15(a)は前記フィルタF及びFを入力超音波にかけた後、更にFH1なるハイパスフィルタをかけて得られた入力超音波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。また、図16(a)は同様のフィルタリング処理で得られた受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。但し、図15(b)及び図16(b)は後述の第3の処理プログラム(m=6)を適用して表示されている。
【0056】
図15(b)に示すように、急峻で波数の少ない入力超音波となっている。そして、図16(b)に示す受信波では、急峻で波数の少ない反射波等の起生が確認されるが、探触子直下の鉄筋を径路する (反射波ではない)たて波、表面波及び直接波等は見かけ上消滅している。また、ひび割れ底部を迂回するたて波を示すピークA1及び表面波を示すピークE1が大きく卓越している。更に、コンクリ−ト底面側鉄筋からのたて波反射波B1及びコンクリ−ト底面からのたて波反射波を示すピークD1は他の起生波に比して若干小さい。これは,コンクリ−ト表面側鉄筋により超音波が遮断されたことが原因である。更にまた、コンクリ−ト底面側斜方向鉄筋からのたて波反射波を示すピークC1が大きく起生している。これは、表面側鉄筋により超音波の指向方向が変化させられたためである。
【0057】
第2例は、sin曲線及びcos曲線から構成される特殊関数によるフィルタ(第3のフィルタ)を入力波及び受信原波にかけるものである。特殊関数フィルタは、フィルタを特定する定数をfHLとしたとき、例えば、下記数式1で示される。
【0058】
【数1】
sin((π/2)×(f/(fHL/2)))=2×sin((π/2)×(f/fHL))・cos((π/2)×(f/fHL))
【0059】
図17は特殊関数フィルタの一例を示すグラフ図である。図17では、定数fHLは2.5×10(Hz)とされ、全周波数帯において1.0のスペクトル値を有する関数に特殊関数フィルタがかけられている。なお、図17に示す曲線は規格化されている。また、特殊関数フィルタの他の例として、上述の関数をn回乗じたものも使用することができる。つまり、特殊関数は下記数式2で示される。
【0060】
【数2】
sin((π/2)×(f/(fHL/2)))
【0061】
図18は特殊関数フィルタ(第3のフィルタ)の他の例(n=8)を示すグラフ図である。このような特殊関数フィルタを入力超音波及び受信超音波にかけることにより、任意の周波数帯で入力超音波に対応する受信超音波を得ることが可能となる。以下、sin((π/2)×(f/fHL))をC、cos((π/2)×(f/fHL))をCと記す。
【0062】
第3例は、入力波X・exp(iωt)及び受信原波Y・exp(iωt)の代わりに、X/X・exp(iωt)及びY/Y・exp(iωt)を夫々入力波及び略受信波とし、これらに一般的なロ−パスフィルタ又はハイパスフィルタを周波数軸上でかけるものである。なお、略受信波とは、受信波Y・exp(iωt)に対してY/Y・exp(iωt)をいうものとする。図19(a)は鉄筋直上計測における入力超音波X及び受信原波Yを示すグラフ図、(b)は鉄筋直上計測における入力超音波X及び伝達関数Y/Xを示すグラフ図である。図19(a)及び(b)に示すように、受信原波Yを入力波Xで除した場合、入力波スペクトルXの谷に該当する周波数帯で鋭いピ−クを持ったスペクトルが多数生じている。これは伝達関数Y/Xの計算により必然的に生ずる誤ったスペクトルである。そして、この誤ったスペクトルは反射波の特定に悪い影響を与える。従って、この誤ったスペクトルを取り除いた略受信波を求めて、反射波の起生時刻を特定するわけである。
【0063】
そこで、伝達関数Y/Xでその伝達関数を除することにより、入力超音波X/X・exp(iωt)に対する略受信波をY/Y・exp(iωt)とし、これらに一般的ローパスフィルタ/ハイパスフィルタを適用し任意の周波数帯で高強度広帯域の入力超音波と対応する略受信波を得ることを考える。この場合、波Y/X・exp(iωt)と波Y/Y・exp(iωt)とでは、各反射波の振幅に相違はあるが、その起生時刻は一致しているので、何ら問題なく起生時刻を特定することができる。
【0064】
次に、第4例について説明する。第4例は、第3例におけるローパスフィルタ及びハイパスフィルタの代わりに、第2例で説明したsin関数及びcos関数から構成される特殊関数をフィルタ(第3のフィルタ)として使用するものである。図20(a)はAE(アコースティックエミッション)センサによる受信波のスペクトルYに第1の処理プログラムの第4例を適用して得たF・Y/Yを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。受信原波は、図20に示すように、多数の林立するスペクトル成分を有する。これらのスペクトル成分は反射波等のその伝達距離に応じた共振振動数に対応するものである。しかし、第4例では、Y・exp(iωt)をY/Y・exp(iωt)と変換しているので、共振振動数におけるスペクトル値及び非共振振動数におけるスペクトル値の双方が1.0となる。このため、広帯域略受信波スペクトル(F・Y/Y)において、非共振の波が卓越して認識されるようになり、起生時刻が遅い反射波及び遠方からの反射波等の振幅が減少し、第1例の共振波を用いた図16の解析結果と、反射波等の起生状況が異なってくる。
【0065】
即ち、ひび割れ底部を迂回するたて波のピークA1が卓越し、これより遠方からの反射波は、径路35bからのたて波反射のピークC1が残存していることを除き、全て消滅している。そして、近距離径路の波のうち、鉄筋を介する径路33の直接波のピークF1が浮かび上がっている。
【0066】
また、第5例は、第3例又は第4例をより高精度化するものである。図21(a)はAEセンサにより収録された入力波Xに第2例のフィルタCを乗じて高周波成分を増幅した超音波のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。また、図22(a)はX/Xのスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。図21(b)と図22(b)との時系列波形を比較すると、後者では実際の入力波の前後にX/Xの計算により生じた波が起生している。
【0067】
X/Xの計算が行われた波には、入力波にはほとんど含まれていない振動数成分の波が多量に含まれている。従って、略受信波Y/Y・exp(iωt)の中にもこの振動数成分の波が多量に含まれることになる。このような振動数成分の波をできるだけ略受信波より除去することができれば、反射波等の抽出精度を向上できる。第5例はかかる振動数成分の波を除去しようとするものである。図23(a)は後述の第5の処理プログラムによる時系列波の切り出しにより不要な起生波を人為的に取り除くことで、入力超音波にもともと含まれていない、又は微小であったスペクトル成分を小さく、含まれていた成分をより大きくしたスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。この処理によりX/X=1.0で表される関数がFのようなC・Xにある程度相似した関数(第4のフィルタ)に変化する。即ち、入力超音波に含まれていない振動数成分がより小さくなり含まれている成分がより大きくなった関数が得られる。
【0068】
従って、第3例及び第4例におけるY/Y・exp(iωt)の替わりにF・Y/Y・exp(iωt)を略受信波とすれば、入力超音波が持たない振動数成分又は持っても微小な振動数成分が略受信波から除去される。
【0069】
解析装置4での実際の処理方法としては、探知で使用する超音波発信探触子毎にあらかじめこの関数Fをフィルタとして数値デ−タで準備しておきF・X/X・exp(iωt)及びF・Y/Y・exp(iωt)の計算がCPU又はDSP4eにより行われる。
【0070】
以上、第1の処理プログラムを整理すると以下のようになる。ここでは、入力超音波をX・exp(iωt)、受信原波をY・exp(iωt)とする。
【0071】
第1例は、X・exp(iωt)及びY・exp(iωt)にローパスフィルタ又はハイパスフィルタをかけるものである。
【0072】
第2例は、X・exp(iωt)及びY・exp(iωt)にsin関数又はcos関数からなるフィルタ(第3のフィルタ)をかけるものである。
【0073】
第3例は、X/X・exp(iωt)及びY/Y・exp(iωt)にローパスフィルタ又はハイパスフィルタをかけるものである。
【0074】
第4例は、X/X・exp(iωt)及びY/Y・exp(iωt)にsin関数又はcos関数からなるフィルタ(第3のフィルタ)をかけるものである。
【0075】
第5例は、第4のフィルタFを用いて得られるF・X/X・exp(iωt)及びF・Y/Y・exp(iωt)に、例えばsin関数又はcos関数からなるフィルタ(第3のフィルタ)をかけるものである。
【0076】
次に、第2の処理プログラムについて説明する。第2の処理プログラムは、前述のように、掃引処理である。そして、第2の処理プログラムには、以下の4種類がある。
【0077】
第1例は、一般的なローパスフィルタ及びハイパスフィルタを入力原波X・exp(iωt)及び受信原波Y・exp(iωt)又は入力原波をこの入力原波で除したX/X・exp(iωt)及び略受信波Y/Y・exp(iωt)にかけ、これらのフィルタの開始周波数を逐次変更するものである。図24はハイパスフィルタ及びローパスフィルタを示すグラフ図である。なお、フィルタの開始周波数は任意に決定される。
【0078】
第2例は、周波数の全領域で1.0となるスペクトル値を有する関数にsin((π/2)×(f/fHL))及びcos((π/2)×(f/fHL))を乗じて得た関数の最大値を1.0に基準化しsin((π/2)×(f/(fHL/2)))を求め、これにcos((π/2)×(f/fHL))又はsin((π/2)×(f/fHL))を乗じた下記数式3又は数式4に示す関数をフィルタ(第5のフィルタ)として使用する。
【0079】
【数3】
sin((π/2)×(f/(fHL/2)))・cos((π/2)×(f/fHL))
【0080】
【数4】
sin((π/2)×(f/(fHL/2)))・sin((π/2)×(f/fHL))
【0081】
図25は数式3に示す関数によるフィルタを示すグラフ図であり、その最大値を1.0に基準化して示している。図25において、kは4、fHLは2.5×10Hzである。また、nを1乃至405の間で任意に変化させることにより、フィルタ関数を高周波側から低周波側へと推移させている。数式4を用いれば、フィルタ関数を低周波側から高周波側へと推移させたものとなる。そして、第1の処理プログラムにより求められた入力波並びにこれに対応する受信波及び略受信波に上述のフィルタ関数を周波数軸上でかけることにより、任意の周波数帯において高強度かつ広帯域の入力超音波及び(略)受信波を得ることができる。
【0082】
なお、CPU又はDSP4eにより計測毎に上述のフィルタ関数を求めることも可能であるが、処理時間を短縮させるために以下の方法を採ることが望ましい。予め、1乃至30個程度のjに対してフィルタ関数FiLT(j)を用意しておく。次に、広帯域入力超音波に対してはFiLT(j)・X・exp(iωt)、広帯域受信超音波に対してはFiLT(j)・Y・exp(iωt)、広帯域略受信波に対してはFiLT(j)・Y/Y・exp(iωt)で表される掃引計算をCPU又はDSP4eに計算させる。そして、これらの時系列波をリアルタイムで表示させる。
【0083】
第3例は、周波数の全領域で1.0のスペクトル値を有する関数に下記数式5に示す関数を乗じ、その最大値を1.0に規格化した関数をフィルタ(第5のフィルタ)として使用する。
【0084】
【数5】
sin((π/2)×(f/fHL))・cos((π/2)×(f/fHL))
【0085】
第3例においては、fHLの値を変化させることにより、高周波側から低周波側又はその反対方向に掃引を行うことが可能である。図26はnが2であるときの種々のfHLにおけるフィルタ関数を示すグラフ図である。
【0086】
そして、第4例は、第2例、第3例で説明したフィルタ関数から任意に極大値を与える周波数が所望の周波数にある関数を取り出しそれ(第6のフィルタ)を高周波側から低周波側の方向又はその逆方向に自由自在に移動させ掃引を行う。図27はフィルタ関数の掃引を示すグラフ図である。
【0087】
第2例、第3例及び第4例においては、sin関数又はcos関数からなる特殊関数により掃引が行われるので、反射波の前後に山及び谷の数の多い波が起生しない。又は、起生していてもその数は少ない。この現象は、探知計測における反射波の取り出しに極めて好都合なものとなる。この現象について説明する。
【0088】
入力超音波並びに受信波及び略受信波は、時系列上での加減算でも求めることができる。ここでは、下記数式6で示される時系列波y(t)を使用して説明する。
【0089】
【数6】
y(t)=a+Σn=1 cos(nωt)+Σn=1 sin(nωt)
【0090】
但し、tは時間、ωは角速度、a、a及びbは係数、k及びnは正数である。そして、上記関数y(t)について下記数式7及び8の加減算を行う。
【0091】
【数7】
(t)=1/2×(y(t)−y(t+Δt))
【0092】
【数8】
(t)=1/2×(y(t)+y(t−Δt))
【0093】
更に、簡単のためnωがRである成分を取り出し、数式6をy(t)=acos(Rt)+bsin(Rt)とする。更にまた、Δtを1/2fHL=1/(2×2.5×10)とすると、数式7及び8は下記数式9乃至12で示される。
【0094】
【数9】
(t)=C(acos(Rt)+bsin(Rt))
【0095】
【数10】
(t)=C(acos(Rt)+bsin(Rt))
【0096】
【数11】
=sin((π/2)×(R/(2.5×10)))
【0097】
【数12】
=cos((π/2)×(R/(2.5×10)))
【0098】
このC及びCが第1の処理プログラムの第2例、第4例及び第5例並びに第2の処理プログラムの第2例、第3例及び第4例で示したフィルタ関数である。
【0099】
次に、このC及びC関数を用いて得られる入力超音波及び略受信超音波の特性について時系列波上で説明する。図28(a)は関数y(t)を示すグラフ図、(b)は関数y(t−Δt)を示すグラフ図、(c)は関数y(t)と関数y(t−Δt)との和を示すグラフ図である。
【0100】
関数y(t)に2Cフィルタをかける場合、波形の演算においては、関数y(t)とこれを微小時間(Δt)だけ右側にずらせた関数y(t−Δt)との和であるg(t)=y(t)+y(t−Δt)を計算すればよい。
Δtは小さいほど好ましいが、ここでは、簡単のため、波の周期をtとしてΔtをt/4としている。
【0101】
図29(a)は関数g(t)を示すグラフ図、(b)は関数g(t+Δt)を示すグラフ図、(c)は関数g(t)と関数g(t+Δt)との和を示すグラフ図である。
【0102】
更に、関数y(t)に2Cフィルタをかけることは、関数g(t)とこれを微小時間(Δt)だけ左側にずらせた関数g(t+Δt)との和であるh(t)=g(t)+g(t+Δt)を計算することを意味する。
【0103】
この関数h(t)を求める演算をn回繰り返すと、周期がtであったy(t)で示される関数はt+2n・Δtの周期が支配的な低周期の波に変化し、その振幅は増幅される。
【0104】
また、2Cフィルタの替わりに2Cフィルタをかけることは、前述の波の加算の替わりに減算を行い、g(t)=y(t)−y(t−Δt)及びh(t)=g(t)−g(t+Δt)を計算することを意味する。
【0105】
この場合、関数h(t)を求める演算をn回繰り返すと、y(t)なる波は高周波の波に逐次変化していき、その振幅が増幅してくる。
【0106】
次に、Δtを極めて小さくした場合の例について説明する。図30(a)は中心周波数が1.25MHzの広帯域の周波数を有する反射波のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。この波にC関数をフィルタとした場合のh(t)を求める演算をΔt=0.2μ秒として複数回行う。図31は図30の反射波に図28と図29の演算を1つの組としてn回行ったグラフ図であって、(a)はn=0回、(b)はn=5回、(c)はn=20回、(d)はn=100回の演算を行ったものである。図31(a)乃至(d)に示すように、演算回数nが大きくなるほど、反射波の周期がt+n・Δtの如く長周期側に徐々に推移し、その起生時刻が早くなる。
【0107】
次に、図32は図31に示す時系列波形の反射波のスペクトルを示すグラフ図であり、図31(a)に対応するスペクトルにC 2n=cos2n((π/2)×(f/(2.5×10)))を乗じたものとなっている。従って、ΔtとfHLとの間には、Δt=10/2fHL(μ秒)の関係が成り立つ。
【0108】
図33(a)は図30に示す反射波に625Hzのローパスフィルタをかけた結果のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。また、図34(a)は図30に示す反射波に625Hzのカッティングをかけた結果のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。これらの処理によれば、当初1周期分の波形であったものが多くの山谷を持った波に変化している。一方、先述の特殊関数の掃引ではこの様な現象は生じていなかった。また、初め高周波の反射波であったものが中心周波数が低周波側に移動していくに連れて、この反射波が徐々に低周波の波に変化して行きその振幅が増幅していた。このような現象は、説明するまでもなく、探知計測における反射波の取り出しに極めて有効なものとなる。
【0109】
但し、上述の事柄は一般的なローパス/ハイパスフィルタが使用不可能であることを示すものではない。後述の第3の処理プログラムを適用することにより、一般的なローパス/ハイパスフィルタも使用可能となる。図35はローパスフィルタを使用した場合の時系列波形y(t)を示すグラフ図であって、(a)はm=1、(b)はm=2、(c)はm=4である。また、図36はカッティングを使用した場合の時系列波形y(t)を示すグラフ図であって、(a)はm=1、(b)はm=2、(c)はm=4である。
【0110】
図35及び36に示すように、mが大きくなるに連れて、見かけ上、波数の少ない波が発現している。つまり、一般的ローパスフィルタ/ハイパスフィルタもコンクリート厚等のミリ単位の精度を必要としない探知には十分利用できる。
【0111】
次に、第2の処理プログラムの第3例を使用した計測例について説明する。ここでは、前述の図20(b)に示す反射波に第2の処理プログラムの第3例を適用する。図37は第3例における略受信波スペクトルを示すグラフ図である。また、図38は図37に対応する時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はfHLが1.25×10、(b)はfHLが0.625×10、(c)はfHLが0.3125×10である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0112】
HL=1.25×10Hzでは、75.9μ秒に大きな振幅の起生波のピークが、そしてそのすぐ後方 89.0μ秒に小さな振幅の起生波のピークが生じている。前者が貫通鉄筋を介して迂回する波33を示すピークF2であり、後者が波34を示すピークA2である。
【0113】
また、fHL=0.625×10Hzでは、ピークF2とA2とでその振幅が逆転し、fHL=0.3125×10Hzでは、ピークF2が消滅している。これは、前述のように、高周波の波は、より遠方から伝達する波の振幅は大きく減小し、少しでも近場から伝達する波の振幅が相対的に大きく増幅し、低周波の波になると、もともと勢力の大きい遠方からの波が減衰することなく浮かび上がってくるからである。
【0114】
次に、第3の処理プログラムについて説明する。第3の処理プログラムは、前述のように、第2の処理プログラムにより得られた時系列波をm乗するものである。
【0115】
図39(a)は第1の処理プログラムの第2例及び第2の処理プログラムの第2例によるフィルタをかけられた300kHz近傍を中心周波数とする広帯域受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)はその時系列波形を示すグラフ図である。ここでは、鉄筋直上位置における受信波Yに、第1の処理プログラムの第2例によるフィルタC (fHL=2.5×10Hz)及び第2の処理プログラムの第2例によるフィルタC 60(fHL=2.5×10Hz)がかけられている。図39(b)においては、振幅が大きい波の起生が確認できる。これらの波はいずれかの境界からの反射波又は迂回波である。また、中心周波数300kHzという比較的低周波での波の取り出しであるため、各反射波等は数回の繰り返しの波となり、これ等の波が重畳したものとして起生していることになる。
【0116】
図40(a)乃至(c)は第3の処理プログラムにより処理した結果の時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はmが2であるとき、(b)はmが4であるとき、(c)はmが6であるときを夫々示している。図40(a)乃至(c)に示すように、mの値が大きくなるに連れて、図39(b)において振幅が大きい波は増幅され、振幅が小さい波は消滅していく。特に、mが6である場合にはその結果が顕著であり、鉄筋径路の直接波33を示すピークF3、ひび割れ径路のたて波迂回波34を示すピークA3、鉄筋からの反射波(たて波)35aを示すピークB3及び鉄筋からの反射波(たて波)35bを示すピークC3が明敏に特定される。なお、図中の数値(起生時刻)は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0117】
また、図41(a)は第1の処理プログラムの第4例及び第2の処理プログラムの第2例によるフィルタをかけられた300kHz近傍を中心周波数とする広帯域受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)はその時系列波形を示すグラフ図である。ここでは、鉄筋直上位置における略受信波Y/Yに、第1の処理プログラムの第4例によるフィルタsin((π/2)×(f/2.5×10))及び第2の処理プログラムの第2例によるフィルタcos130((π/2)×(f/2.5×10))がかけられている。そして、図42(a)乃至(c)は図41(b)に示す時系列波を第3の処理プログラムにより処理した結果の時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はmが2であるとき、(b)はmが4であるとき、(c)はmが6であるときを夫々示している。図40(a)乃至(c)と同様に、mの値が大きくなるに連れて、図41(b)において振幅が大きい波は増幅され、振幅が小さい波は消滅している。
【0118】
このように、第3の処理プログラムによれば、勢力の大きい反射波又は迂回波を明敏に浮き上がらせることができる。つまり、コンクリ−ト内部の探知を邪魔する散乱波の存在があったとしても、有意の反射波及び迂回波よりその振幅が小さいため、mの値が大きくなると散乱波等は見かけ上消滅する。この結果、探知目的とする反射波及び迂回波等が増幅して顕著なものとなる。
【0119】
なお、前述の説明においては、第1の処理プログラムの第2例又は第4例と、第2の処理プログラムの第2例との組み合わせによりフィルタリングされた受信波又は略受信波が第3の処理プログラムにより処理されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の例の組み合わせによっても実現可能である。
【0120】
次に、第4の処理プログラムについて説明する。第4の処理プログラムは、前述のように、起生時刻を補正するものである。
【0121】
例えば、入力超音波X・exp(iωt)に第1の処理プログラムの第4例によりフィルタC ・C (fHL=2.5×10Hz)を適用し、これに第2の処理プログラムの第2例によるフィルタC を適用すると、下記数式13で示されるスペクトルが得られる。
【0122】
【数13】
・C ・C ・X/X
【0123】
ここで、nを0、2、12又は92とすると、順に1.25MHz、0.98MHz、0.57MHz、0.23MHzを中心周波数とする広帯域入力超音波スペクトルが得られる。図43は広帯域入力超音波のスペクトルを示すグラフ図である。また、これらの広帯域入力超音波における時系列波の起生時刻を下記表1に示す。
【0124】
【表1】
Figure 0003543927
【0125】
上記表1に示すように、nの値が増加して中心周波数が低周波になるに従って、入力超音波の起生時刻は早まっている。例えば、1.25MHz(n=0)と0.23MHz(n=92)とでは、3.2μ秒の差異が生じている。このため、コンクリート内での超音波の伝播速度を4(mm/μ秒)とすると、伝達長さで12.8mmの誤差が生じることになる。
【0126】
そこで、第4の処理プログラムでは、本実施例に使用される超音波発信子毎に各フィルタの中心周波数での入力超音波発信時刻を予め計算しておき、受信波における反射波等の起生時刻を補正する。この補正は、入力超音波発信時刻の計算値をCAL値tcal、測定された反射波等の起生時刻をtとしたとき、(t−tcal)により行われる。また、この補正は以下のようにして実行される。
【0127】
第1の方法として、超音波発信子毎、各フィルタの中心周波数毎にCAL値を計算しておき,同一の中心周波数で取り出した受信波に、該当するCAL値を適用し反射波等の起生時刻を補正する方法が挙げられる。
【0128】
第2の方法として、各中心周波数で受信波を取り出すときにこれと同時に入力波も取り出すことにより、CAL値を認識し補正する方法が挙げられる。
【0129】
次に、第5の処理プログラムについて説明する。第5の処理プログラムは、前述のように、探知目標からの反射波等の概略の起生時刻を利用して、必要な部分の時系列波のみを切り出すものである。
【0130】
第5の処理プログラムでは、下記数式14乃至17のいずれか1式に該当する時系列フィルタを受信波にかける。なお、時系列フィルタとは、時間軸上で連続的に変化する関数である。
【0131】
【数14】
sin((π/2)×((t−a)/(a−a))
【0132】
【数15】
cos((π/2)×((t−a)/(a−a))
【0133】
【数16】
sin((π/2)×((t−a)/(a−a))
【0134】
【数17】
cos((π/2)×((t−a)/(a−a))
【0135】
但し、探知目標からの概略の起生時刻をt、任意の値をαとしたとき、a=t−α、a=t+αである。以下、数式14で示される関数をE、数式15で示される関数をEとする。また、時系列フィルタEは、t≦aの下で0、t≧aの下で1.0となる。一方、時系列フィルタEは、t≦aの下で1.0、t≧aの下で0となる。
【0136】
次に、第5の処理プログラムを適用したコンクリート厚等の探知例について説明する。図44(a)及び(b)は実測に使用される鉄筋が埋め込まれたコンクリート塊を示す断面図である。実測に使用されるコンクリート塊71は、一辺の長さが500mm、高さが300mmの正方柱形状を有する。その中には、表面又は裏面から50mm離れた位置に6本の直径が19mmの鉄筋(丸鋼)72が150mmの間隔で埋め込まれている。
【0137】
先ず、コンクリート底部からのたて波反射の起生時刻の概略値を求める実施例について説明する。50乃至1500kHzの振動数成分を有する超音波を発信する発信探触子73aと受信探触子又はAEセンサ73bとを、コンクリート塊71の表面上で300mmの間隔をあけて配置する。図45(a)はAEセンサでの受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0138】
測定により得られた波形には、計測場所周辺の交通事情により生じた外乱による起生波、鉄筋を介して伝達する屈折波等を含む直接波及び鉄筋からのたて波反射波等が重畳した振幅が比較的小さい起生波が先ず現れている。
【0139】
そして、最左の点線カ−ソルが示している時刻で振幅が急激に大きくなってくる。この時刻をコンクリ−ト底部からの反射波の起生時刻の概略値として特定する。
【0140】
なお、図45(b)に示す時系列波形に前述の第3の処理プログラムによる処理を施すことにより、より容易に視覚的に起生時刻の概略値を得ることができる。図46はmを2として第3の処理プログラムにより処理した時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。視覚的により明敏にコンクリート底部からの反射波の起生が177μ秒付近にあると判断できる。
【0141】
また、このコンクリート塊71中の音速は3.85mm/μ秒である。従って、コンクリートの厚さは下記数式18で求められる。
【0142】
【数18】
((3.85×177/2)−1501/2=306mm
【0143】
この値は、実際の値300mmと近似しているといえる。ただし、この付近にはコンクリ−ト底面側の鉄筋からの反射波及びコンクリート底面隅部からの反射波等も存在しているため、306mmという値はこれらの波が重畳した波の起生時刻に他ならない。従って、第5の処理プログラムが必要となっているのである。図47は切り出された時系列波形を示すグラフ図である。
【0144】
図45(b)に示す時系列波形に、α=40として、数式14及び15で表される式を掛け合わせた関数E・Eを乗じた後、第1の処理プログラムの第4例の処理を行い、第2の処理プログラムの第2例としてC ・C 44(fHL=1.25×10Hz)のフィルタをかけて低周波側へ掃引し、最後に第3の処理プログラムによる処理を行った例について説明する。図48(a)はmが1の場合の時系列波形を示すグラフ図、(b)はmが4の場合の時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。コンクリート底面からの反射波を示すピークE4以外に下方の鉄筋の上端からの波を示すピークA4、その下端からの波を示すピークB4、鉄筋からの波とコンクリート底面からの波とが重複した反射波を示すピークC4及びコンクリートの角部からの波を示すピークD4が読みとれる。
【0145】
上述の処理は、中心周波数を488kHzとし、0乃至1000kHzの周波数帯の波を非共振の波が支配的である状態で取り出されたものである。そして、起生時刻として175μ秒が得られるので、コンクリート塊の厚さは下記数式19で求められる。
【0146】
【数19】
((3.85×175/2)−1501/2=301.5mm
【0147】
従って、より高精度での測定がなされたといえる。
【0148】
なお、上述の例では、中心周波数が488kHzであったが、中心周波数は、例えば、200、300又は600kHzであってもよい。これらの場合、各反射波の振幅に若干の変動が現れるが、コンクリート塊の厚さとして、同様の結果を得ることができる。但し、中心周波数を高周波側へ移行させると、鉄筋からの反射が浮かび上がってくる。これは前述した超音波の伝達特性より、伝達径路の長いコンクリ−ト底面からの反射波が高周波領域になればなるほど加速度的に減衰することに起因する。図49(a)は中心周波数が1250kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(b)は中心周波数が1090kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(c)は中心周波数が980kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(d)は中心周波数が900kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(e)は中心周波数が833kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(f)は中心周波数が740kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図である。中心周波数が1250又は1090kHzである図49(a)及び(b)ではコンクリート下面側鉄筋の裏面からのたて波反射のピークB5が卓越しているが、中心周波数が低周波に掃引されるにしたがい、ピークB5等は徐々に消滅し、図49(f)の場合で、コンクリート底面からのたて波反射のピークE5のみが得られている。この現象は低周波方向へ掃引することにより、より遠方からの反射波もその減衰が緩和されることより、コンクリ−ト底面からの反射波が卓越してきたわけである。
【0149】
このように、反射波を取り出す周波数帯での反射波の起生の変化から、得られた反射波が鉄筋からのものなのか、コンクリ−ト底部からのものかが判断可能である。
【0150】
なお、特に解析例として示さないが、第1及び第2の処理プログラムの他の例を使用しても同様の探知結果を得ることができる。また、上述の実際の解析例では、先述の第3の処理プログラム(m=4)並びに後述の第8及び第9の処理プログラムによる処理も行われている。
【0151】
更にまた、本処理プログラムは鉄筋径等の高精度な探知にも、後述する如く効力を発揮するものでもある。
【0152】
次に、第6の処理プログラムについて説明する。第6の処理プログラムは、前述のように、探知目標物が計測点近傍にある場合の波形と、ない場合の波形との差をとるものである。この差をとることにより、直接波及び表面波をある程度時系列波形から排除することを可能とする。
【0153】
図50は実測に使用される鉄筋が埋め込まれたコンクリート塊を示す断面図である。実測に使用されるコンクリート塊81の中には、表面から50mm離れた位置に、直径が19mmの鉄筋(丸鋼)82が埋め込まれている。そして、直径が20mmの発信子83aと受信子83bとが鉄筋82上に30mmの間隔で配置されている。このようなコンクリート塊81においては、有意の反射波等として鉄筋82の上端からの反射波84、その下端からの反射波85、直接波86及び表面波87が受信子83bに受信される。
【0154】
図51(a)はコンクリート塊中の鉄筋が計測点近傍に埋め込まれている場合の時系列波形を示すグラフ図、(b)は計測点近傍に鉄筋が埋め込まれていない場合の時系列波形を示すグラフ図である。そして、図52は図51(a)の時系列波と図51(b)の時系列波との差を示すグラフ図である。なお、超音波の発信時刻は86.8μ秒である。また、図53はこのときのフーリエスペクトルを示すグラフ図である。上述の時系列波では比較的低い周波数が卓越したものとなっている。
【0155】
コンクリート塊中の鉄筋が計測点近傍に埋め込まれている場合の時系列波と埋め込まれていない場合の時系列波との差を示す図52の波において、カーソルで示す時刻116.7μ秒(CAL値を考慮していない)を鉄筋からの反射波の概略起生時刻とし、α=10として時系列フィルタE・Eを乗じた後、第2の処理プログラムの第2例によるフィルタC (fHL=2.5×10Hz)を適用すると、nの値を大きくするに連れて鉄筋表面からの反射波が浮かび上がってくる。図54はフィルタC を示すグラフ図である。また、図55(a)はnが12のときの時系列波形を示すグラフ図、(b)はnが18のときの時系列波形を示すグラフ図、(c)はnが32のときの時系列波形を示すグラフ図、(d)はnが52のときの時系列波形を示すグラフ図である。
【0156】
nが12又は18のときには、直接波86を示すピークC6及び鉄筋下端からの反射波85を示すピークB6が卓越している。一方、nが大きくなり高周波領域側に掃引されると、鉄筋上端からの反射波84を示すピークA6が卓越してくる。
【0157】
この現象は前述の超音波は散乱現象で扇状に拡散するときに多孔質材内にたて波及びよこ波を生じさせその強度は超音波の周波数によって大きく変化するという性質及び超音波強度の変化は伝達距離dと周波数fにより大きく異なりその減衰率αは伝達距離d及び周波数fに依存する関数α(d、f)となるという性質のみならず、鉄筋が円断面を持つということにより生じたものであるが、理論的理由は未解明である。
【0158】
なお、図55(d)に示すn=52のときの起生波は図54を参照すると従来の超音波探傷器による周波数2.5MHzの広帯域入力波による受信波に、本装置で具備する第3、第5の処理プログラムによる処理を行ったものに相当する。従って、従来法による高周波数広帯域入力超音波を使用した鉄筋の探知では、もし鉄筋の表面からの反射波がそこそこ得られても、裏面からの反射波を取得することが難しいことになる。
【0159】
図55で得られた反射波のピークA6及びB6の起生時刻を超音波の発信時刻86.8μ秒を用いて補正すると、鉄筋上端からの反射波の起生時刻は110.5−86.8=23.7μ秒、下端からの起生時刻は117.1−86.8=30.3μ秒と算出される。
【0160】
そして、別途の計測により得られたコンクリート塊の超音波(たて波)の速度は4.3mm/μ秒であった。従って、スネルの定理で作図される探触子から鉄筋上端までの径路長は4.3×23.7/2=51.0mm、鉄筋表側から裏側までの径路長は6×(30.3−23.7)/2=19.8となる。これより、コンクリートのかぶり厚及び鉄筋径は、下記数式20及び21として求められる。
【0161】
【数20】
(51.0−(30/2)1/2=49.0
【0162】
【数21】
(19.8−(15−9.5)1/2=19.0
【0163】
なお、数式21において、15は探触子間距離の半分の値であり、9.5は発信子から、鉄筋に入射した波の入射点までの水平距離である。
【0164】
実際のかぶり厚は50mmであり、鉄筋径は19mmであるので、極めて高精度で測定されているといえる。
【0165】
なお、一般に2探触方法においては、探触子間距離を適正な値とする必要がある。探触子間距離が大きすぎると、鉄筋の上端又は下端からの反射波(たて波)の強度が小さくなり、探知が困難になる場合があるからである。多くの計測実験での経験値として、鉄筋のかぶり厚が3乃至10cm程度の場合、探触子間距離はかぶり厚の0.5乃至0.8倍程度であることが望ましい。
【0166】
次に、第7の処理プログラムについて説明する。第7の処理プログラムは、前述のように、多点計測により得られた受信波から合成波を求めるものである。つまり、多点計測により得られたk個の受信波をy(t) (i=1、2、・・・、k)とするとき、下記数式22で表される合成波y(t)を求めるものである。
【0167】
【数22】
y(t)=(1/k)×Σi=1 (t)
【0168】
このように、合成波として受信波の加算平均を取ることにより、コンクリート塊中の細石等からの反射波及び散乱波等が時系列波形から消滅する。
【0169】
図56は大きな細石を含むコンクリート塊を示す断面図である。探知対象であるコンクリート塊91中に大きな細石92等が運悪く図56に示すように存在する場合、この細石を経由する直接波(細石表面で反射するたて波及びよこ波)は受信子まで伝達される。このため、その伝達径路が短くその勢力が探知目標である鉄筋93からの反射波よりはるかに大きい場合がある。このような場合には探知目標を探知することが極めて困難である。
【0170】
なお、従来探傷器を用いた各種探傷においても複数点の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求めるという事例が存在する。例えば、成功しているとはとても見なせないが、コンクリートの厚さ計測で複数の受信波を加算することでコンクリート底面からの反射波を増幅させ、コンクリート厚を計測しようというこころみである。
【0171】
しかしながら、本装置での、この加算平均は、その機能が異なる。多孔質弾性体の内部探知で邪魔となる直接波の削除を目的としている。特に、図56に示す細石等からの反射波を除去するためのものである。
【0172】
実際の解析においては、本処理プログラムにより得られた合成波に第1の処理プログラムの、例えば、第4例を施す。そして、これを第2の処理プログラムによるフィルタC n1 n2(fHL=2.5×10)にかける。図57はn1が2、n2が20(中心周波数;480kHz)、30(中心周波数;400kHz)又は50(中心周波数;315kHz)であるときのスペクトルを示すグラフ図である。n2の値が高くなるにつれてスペクトルは低周波側へと掃引される。更に、これにmの値を4として第3の処理プログラムによる処理を行う。図58(a)はn2が20であるときの時系列波形を示すグラフ図、(b)はn2が30であるときの時系列波形を示すグラフ図、(c)はn2が50であるときの時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。図中の点線カーソルは直下の鉄筋の表側、裏側からの反射波の重畳波の起生時刻を示しており、早時刻側がたて波(超音波発信後31.6μ秒)を示し、遅時刻側がよこ波を示している。速度比は、後者が前者の63%程度である。なお、図58(c)に示すように、nが50である場合には、探触子直下の鉄筋だけでなく、直下からずれた位置に埋め込まれた鉄筋からのたて波での反射波を示すピークA7が明敏に示される。その他、探触子直下の鉄筋からのたて波を示すピークB7、よこ波を示すピークC7、表面波を示すD7及び直接波を示すE7が現れている。なお、この計算は中心周波数500kHz以下での反射波の取り出しといえる。低周波の取り出しであるため、鉄筋の上端及び下端からの反射波が重畳したものとなっている。多くの探知計測での経験として、図58の点線カーソルが示す起生時刻は鉄筋の下端からの反射波の起生時刻により近いものとなっている。
【0173】
次に、直下の鉄筋の計測を高精度に行う方法について説明する。先ず、鉄筋表側からの反射波の起生時刻の概略値を、入力波発信時刻86.8μ秒を用い、且つ鉄筋径の仮定値を20mm、音速を6mm/μ秒として86.8+31.6−2×20/6より110.0μ秒と求める。次に、前述の第5の処理プログラムによりαを20として数式22の合成波y(t)より時系列波を切り出す。ここでは、E・Eを使用する。更に、これに第2の処理プログラムの第2例によりC (但し、fHL=2.5×10Hz)フィルタをかけ、m=4として第3の処理プログラムによる処理を行う。図59(a)はnが6のときの時系列波形を示すグラフ図、(b)はnが10のときの時系列波形を示すグラフ図、(c)はnが14のときの時系列波形を示すグラフ図、(d)はnが20のときの時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0174】
図55と比較すると、直接波のピークC8の起生がほとんど生じていない。また、nが6又は10の比較的低周波領域の取り出しであるときには、鉄筋下端からの反射波を示すピークA8が、nが14又は20の高周波領域の取り出しであるときには、鉄筋上端からの反射波を示すピークB8が卓越している。
【0175】
このような多点計測による受信波の収録方法は過去にも見うけられるが、これ等の合成波を作ることで、探知に悪影響を及ぼす図56に示す大きい細石からの強度が大きい反射波、直接波、表面波及び散乱波を除去する方法としての事例は見当たらない。更に、第1、第2及び第3の処理プログラムによる処理を併用することで、低周波での広帯域振動数帯で鉄筋等からの反射波を取得できる。この反射波の起生時刻は、多くの同様の計測例より鉄筋裏側からの起生時刻に概略等しい。低周波での反射波であるため精度的な問題が若干残り、鉄筋径等の探知はできないが、この反射波の起生時刻を利用して第5の処理プログラムによる処理後に再度第2の処理プログラムにより時系列の取り出し周波数を高周波方向へ掃引すれば、極めて高精度に鉄筋等の上端及び下端からの反射波を取得することができる。
【0176】
また、この計測分析法は厚さが一定なコンクリート厚の計測にも極めて有効なものである。
【0177】
次に、第8の処理プログラムについて説明する。第8の処理プログラムは、前述のように、同一点で多数回連続して受信波を収集し、これを加算平均するものである。
【0178】
なお、従来の超音波探傷器においても受信波の加算平均を求める機能を持ったものがある。しかしながら、これらは鋼の内部の微細な傷の探知等を目的とするため、5MHz、10MHzの振動数の超音波を用いるものであった。このため、この振動数付近の電気的雑音を除去することが、加算平均の目的とするところである。
【0179】
一方、本発明による超音波探知装置巨視的探知を目指すものであり、0.1乃至2MHz程度の低周波の超音波も用いる。このため、従来装置では用いる超音波が高周波故に考慮せずとも良かった交通雑音等を無視できなくなる。即ち、本装置で計測される受信波には、求めようとする反射波等の振幅と同程度の振幅を持った外乱が混在することになる。このような外乱を除去するのが第8の処理プログラム目的とするところである。
【0180】
図60(a)は外乱の影響がある受信波の時系列波形を示すグラフ図、(b)は外乱の影響がある受信波の1000回の加算平均をとった結果の時系列波形を示すグラフ図である。また、図61はこのときのフーリエスペクトルを示すグラフ図である。ここで使用される受信波は、図61に示すように、0乃至700kHzの範囲で略一様に励起されている。また、図60(a)及び(b)に示すように、1000回の加算平均をとることにより、ほぼ外乱の影響が除去されている。
【0181】
他の例として、入力超音波を被探知体に入力せずに外乱のみを受信しこれに第1の処理プログラムの第2例及び第2の処理プログラムの第2例による処理が施された中心周波数が843kHzの広帯域周波数帯における測定について説明する。図62(a)は中心周波数が843kHzの受信波(外乱)のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を第3の処理プログラムを用いm=2で示したグラフ図である。大きな振幅を有する外乱が起生している。図63は図62の外乱を1000回加算平均した時系列波形を示すグラフ図である。1000回の加算平均により、大きな振幅を有する外乱も時系列波形から完全に除去されている。従って、土木又は建築構造物等の極めて大きな外乱が生じている現場での計測においても、その内部検知は高精度で行われる。
【0182】
但し、従来の電気的雑音等の除去のための加算平均と異なり、大量の加算平均を超高速で計算する必要があるので、本実施例においては、ゲートアレイ4d又は内蔵CPU4eによりこの加算平均の処理を極めて高速に行っている。
【0183】
なお、従来、コンクリート等の多孔質材内部では、超音波が散乱し、大きな勢力の散乱波が生じ、その内部探知が不能になるというのが定説であった。この現象は事実である。しかしながら、図62(b)に示す外乱を散乱波の起生と誤認識していたことも事実である。このような誤認識がコンクリート等の内部探知を不能としていた理由の1つでもあった。
【0184】
更に、巨視的探知では100kHz程度の低周波超音波が利用されることもある。このような低周波の波は減衰しにくく,比較的長時間継続する。このため、超音波発信間隔を著しく長く設定する必要がある。これは、平均化処理を行うときに、直前の超音波発信で被探知体内部に起生する波が完全に消滅した段階で次の入力超音波を発信する必要があるからである。経験によれば発信間隔は5乃至10m秒程度であることが望ましい。しかし、超高深度の探知を行う場合には、さらに発信間隔を大きくする必要がある。そこで、本実施例においては、コンピュータの制御によりパルス発生回路をこのような緩長な時間間隔で電圧積荷が可能なように制御している。
【0185】
次に、第9の処理プログラムについて説明する。第9の処理プログラムは、前述のように、不適当な入力超音波に対応する受信超音波を排除するものである。
【0186】
本実施例に使用される探触子11を使用する場合、その入力波は基本振動数をfとすると、2f、3f、・・・の高次の共振振動数を有する。図64は高次の共振振動数を有する波のフーリエスペクトルを示すグラフ図である。図64には1乃至3次の共振振動数を有する波が描かれている。図65(a)乃至(c)は各共振スペクトルによる時系列波形を示すグラフ図である。図65(a)乃至(c)に示すように、1乃至3次の共振振動数を有する波の起生時刻は同一であるとみなすことができる。図66は図65(a)乃至(c)に示す時系列波を重畳させた合成波を示すグラフ図である。複数種の共振振動数を有する波が重畳された場合、夫々の起生時刻は一致しているにも拘わらず、図66に示すように、起生時刻が異なる波が存在しているように見受けられてしまう。
【0187】
図67(a)は入力超音波の原波X・exp(iωt)が第1の処理プログラムの第2例によるフィルタをかけられた結果のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。ここでは、第1の処理プログラムの第2例によるフィルタとして、C (fHL=2.5×10Hz)が採用されている。図67(b)に示すように、時系列波に2個の波の起生が確認される。従って、このような波を入力波とした場合、1箇所の反射境界から2個の反射波が生ずるため、このような波は入力超音波として不適であり排除する必要がある。
【0188】
そこで、第9の処理プログラムでは、受信原波から広帯域周波数帯での反射波を抽出する場合に、入力超音波の適/不適を検定する。この検定では、時系列波に離散的に2以上のピークが生じているときを不適とし、これ以外を適とする。
【0189】
図67(a)及び(b)に示す入力波にC ・C (fHL=2.5×10Hz)のフィルタをかけた場合には、使用可能な入力波を得ることができる。図68(a)はC ・C のフィルタ及びこのフィルタをかけられた入力超音波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。なお、図67(b)及び図68(b)には、第3の処理プログラム(m=6)が適用されている。
【0190】
図68(b)に示すような波形である場合には、離散的に2以上のピークが発現していないので、その入力超音波は使用可能であり、適と検定される。
【0191】
なお、第2の処理プログラムにより、中心周波数帯を高周波側又は低周波側に掃引する場合にも、この検定は必要である。
【0192】
また、検定方法としては、例えば、反射波を抽出する度に対応する入力波を計算して求めこの適/不適を検定する方法が挙げられる。また、計測に使用される超音波発信子の入力波特性から各中心周波数及び周波数帯毎に適/不適を検定しておき、入力波が不適である場合にそれに対応する反射波の抽出を解析対象から除外してもよい。
【0193】
次に、上述のように構成され処理プログラムが組み込まれた本実施例に係る探知装置を使用したコンクリート塊中の反射物の探知方法について説明する。
【0194】
図69は被探知材を示す断面図である。多孔質弾性体材41中に反射物42が埋め込まれている。
【0195】
このような被探知材の表面から直下にたて波を入力すると、前述のように、散乱現象により超音波の指向性が大きく崩れる。つまり、図69に示すように、扇状に入力波の指向方向が拡大し、直下方向から傾斜した方向にも大きな勢力を持ったたて波及びよこ波が起生する。即ち、細石等との境界で散乱される反射波にはモ−ド変換を生じるものもあり、よこ波又はたて波に変換される。そして、無数の細石等で複雑に反射、屈折及びモ−ド変換を繰り返した波は浅い径路から深い径路の直接波として円弧状に発信点から受信点に伝達される。また、多孔質弾性体材41の表面には表面波が起生する。
【0196】
図70(a)は計測点近傍に反射物がない場合に発信点と受信点との間隔を35mmとしたときの受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。また、図71(a)は計測点近傍に反射物がない場合に発信点と受信点との間隔を100mmとしたときの受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。但し、被探知材中に反射物42は存在していないが、反射源として大きさが1乃至2cm程度の多数の細石が存在している。図70(b)と図71(b)とを比較することにより、発信点と受信点との間を伝達される表面波と直接波とが重畳された波を比較することが可能となる。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0197】
発信点と受信点との間隔が35mmである場合、最も早い波の起生は超音波入力より15μ秒後に生じている。これにより、直接波の第1波での等価音速として35/15=2.3(mm/μ秒)が得られる。なお,この計測における被探知材のたて波の音速は4.3(mm/μ秒)である。また、表面波はその音速がたて波の60%程度の値であるから、この直接波の第1波より後方に起生している。
【0198】
一方、発信点と受信点との間隔が100mmである場合、最も早い波の起生は超音波入力より51.3μ秒後に生じている。従って、等価音速は、100/51.3=1.95(mm/μ秒)となる。このとき、勢力の大きい直接波はさらに後の時刻に生ずることとなる。
【0199】
従って、発信点と受信点との間隔を調節しながら受信波に第1、第2及び第3の処理プログラムによる処理を施すことにより、計測点に近い位置の探知目標からの反射波、表面波及び直接波の起生を相互に重畳しない状態で計測することができる。図72は表面波、探知目標からのたて波反射波及び直接波が重畳しないで現れた時系列波形を示すグラフ図である。
【0200】
更に、限度はあるが発信点と受信点との間隔を長くすると、反射波の勢力に対して直接波の勢力がより小さくなってくる性質を持つことが多くの計測例で確認されている。この性質は,反射波を取り出すうえで、極めて好都合な現象であるといえる。なお、このような計測は、図69において、超音波を入力する直下方向から若干傾斜する方向に起生するたて波又は斜め方向に入力されるたて波を利用することで可能となる。
【0201】
そして、発信点から直下又は若干傾斜する方向にたて波超音波を入力し、受信点で受信波を得る計測において、これらの間隔を徐々に長く変化させながら受信波の推移を即時に表示させることにより、発信点又は受信点から近い位置に鉄筋等の反射境界があれば、直接波の起生の前にこの反射境界からの反射波が必ず浮び上ってくる。また、発信点と受信点との間隔及びコンクリートの音速によって表面波及び直接波の起生時刻は予め予測することが可能であるので、浮び上った波が鉄筋等の反射境界からの反射波であるのか表面波又は直接波であるのかの識別は極めて容易である。
【0202】
更に、コンクリ−ト内の鉄筋の探知においては、コンクリ−ト構造物における設計思想を利用すると、その効果は大きい。つまり、コンクリ−ト構造物の配筋方向は、多くの場合、予測可能である。従って、この予測を利用して反射波の往路と復路との長さがたて波反射で同一となるように発信点及び受信点を配筋方向と平行に配置する。
【0203】
次に、具体的な解析方法について説明する。図73(a)及び(b)は被探知材を示す断面図である。ここで探知される被探知材であるコンクリート塊51は、一辺の長さが300mm、高さが350mmの正方形角柱形状を有する。そして、表面から100mmの位置に幅が30mm、高さが20mmの角柱状の鉄棒52が埋め込まれている。丸鋼ではなく角柱状の鉄棒としたのは、分析結果と実測値とを詳細に比較するためである。
【0204】
図74は超音波の主な径路を示す断面図である。図74において実線はたて波を示し、破線は横波を示す。100mmの間隔で配置された発信センサ及び受信センサを有する探知装置による計測で、上述のように構成されたコンクリート塊51中を伝達する超音波の主な径路は以下の6径路である。
【0205】
散乱現象により発信センサ53aから斜方向に起生したたて波が鉄棒52の上端で反射され受信センサ53bまでたて波で伝達する径路54。散乱現象により発信センサ53aから斜方向に起生したたて波が鉄棒52の上端で屈折し、たて波で鉄棒52の下端に達し、ここでたて波反射し、鉄棒52の上端で更に屈折し、コンクリート塊51内をたて波で受信センサ53bまで伝達する径路55。径路55と同一の反射径路において、鉄棒52内をよこ波で伝達する径路56。散乱現象により発信センサ53aから斜方向に起生したたて波及びよこ波が鉄棒52の上端で反射及びモ−ド変換し、コンクリ−ト塊51内を夫々よこ波、たて波で受信センサ53bまで伝達する2つ径路57。発信センサ53aから発信されたたて波によりコンクリ−ト塊51の表面で発生した表面波が受信センサ53bまで伝達する径路58。浅い径路又は深い径路で発信センサ53aから受信センサ53bまで伝達される直接波の径路59。なお、直接波の音速は振幅は小さいが浅い径路のたて波に近い等価音速を持つものから深い径路で勢力が大きくたて波の1/4乃至1/2程度の等価音速を持つものまで種々雑多である。
【0206】
下記表2に以降に説明する解析例を示す。
【0207】
【表2】
Figure 0003543927
【0208】
解析例1では、先ず、受信センサ53bにより得られた受信原波に100kHzのハイパスフィルタをかける。これをy(t)=Y・exp(iωt)とする。
【0209】
次に、図71(b)より直接波の起生は51.3+CAL値≒133μ秒(CAL値=81)以降であるから、第5の処理プログラムにより133μ秒以降の波、即ち直接波等を削除低減する。具体的には、関数E (a1=133、a2=300)をy(t)に乗じることにより、関数y(t)を得た。
【0210】
次いで、第2の処理プログラムの第2例によりC ・C (fHL=2.5MHz)のフィルタを周波数軸上で乗じ、これをy(t)とする。これにより、中心周波数340kHz、周波数帯域が0乃至625kHzの広帯域受信波が得られる。図75は上記処理により得られたフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【0211】
更に、第3の処理プログラムにより関数y(t)よりy (t)(m=4)を得る。図76は第3の処理プログラムにより得られる時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。t=54.4μ秒に大きな振幅の起生波が確認される。これが鉄筋からの反射波である。しかし、この取り出しは中心周波数340kHzの低周波で行われているので、精度が高いとはいえない。即ち、径路54、55及び56等の反射波が重畳したものであり分析精度が悪い。また、以降に起生している波は他の径路の反射波及び直接波の残存が重畳したものである。
【0212】
そこで、解析例2においては、y(t)から第5の処理プログラムにより時系列波y(t)を切り出す。図76より54.4+81+10≒145μ秒の近傍に鉄棒52の下端からの反射波が存在していると推定し、この部分の波をa=145−α=95、a=145+α(α=50)として切り出したものがy(t)である。図77はy (t)(m=4)を示す時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。y(t)は中心周波数340kHzで取り出した波であるので、分析精度に問題がある。このため、第2の処理プログラムの第2例を再度適用し中心周波数を高周波方向へ掃引し1.5MHzとする。図78は第5の処理プログラムが適用されたフーリエスペクトルYに第2の処理プログラムの第2例を用い、C (fHL=2.5×10Hz)なるフィルタをかけたフーリエスペクトルYを示すグラフ図である。図79はy (t)(m=4)の時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0213】
解析例2によれば、図79に示すように、分析精度が向上し、解析例1では埋もれていた鉄棒52の下端からの反射波が浮き上っている。そして、径路54における鉄棒52の上端からの反射波の起生時刻は50.2μ秒、径路55における鉄棒52の下端からの反射波の起生時刻は57.6μ秒と測定される。なお、74.7μ秒での起生波も有意の反射波であるが、これについては後述する。
【0214】
次に、解析例3について説明する。解析例3では、解析例1と同様に受信原波に100kHzのハイパスフィルタをかけた波で第5の処理プログラムによる切り出しを行った後、第1の処理プログラムの第4例によりX/X・exp(iωt)に対する略受信波y(t)=Y/Y・exp(iωt)を求める。
【0215】
そして、第2の処理プログラムによりC ・C フィルタ及びC ・C 44フィルタ(fHL=2.5MHz)をY/Yに乗じることにより、y(t)=C ・C 44・Y/Y・exp(iωt)及びy(t)=C ・C ・Y/Y・exp(iωt)を求める。図80はy(t)及びy(t)のフーリエスペクトルY及びYを示すグラフ図である。
【0216】
次いで、第3の処理プログラムを用いて、y(t)及びy(t)よりy (t)及びy (t)(m=4)を得る。図81(a)はy (t)の時系列波形を示すグラフ図、(b)はy (t)の時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0217】
(t)の中心周波数は340kHzであり、解析例1と大きな相違は見られない。一方、y (t)の中心周波数は940kHzであり、y (t)には現れていない起生波が確認される。図81(b)において、大きな起生波で1番目に早期なものは入力超音波、2番目に早期な起生波は発信センサと受信センサとの間を伝達する径路58の表面波、3番目に早期な起生波は径路54における鉄棒52の上端からの反射波、小さな起生波で4番目に早期な起生波は径路55における鉄棒52の下端からの反射波、5番目に早期な起生波は径路59における直接波の残存を夫々示している。
【0218】
解析例4では、解析例3における中心周波数が940kHzの取り出し波Yに第5の処理プログラムを適用する。これにより、y(t)から入力超音波及び径路58の表面波を取り除くと共に、径路55における鉄筋52の下端からの反射波の近傍を増幅させる。即ち、表2に示す解析例2の2番目の第5の処理と同一の処理を行う。図82(a)は解析例4におけるフーリエスペクトルYを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。径路54又は55における鉄棒52の上端からの反射波を示すピークA9及び下端からの反射波を示すピークB9が明敏に読み取れる。
【0219】
しかしながら、これらの反射波には、第1の処理プログラムの第4例の処理により、発信超音波にほとんど含まれていない振動数の波が多量に含まれている。これより、解析例5では、第1の処理プログラムの第5例を用いて、この不必要に増幅された波を除去するためのフィルタFをYにかけ、Yを求める。
【0220】
図83(a)は解析例5におけるフーリエスペクトルYを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。解析例5では、上述の不要な波を除去することにより、微細ではあるが、鉄棒52の下端からの反射波で鉄棒52内をよこ波で伝達される径路56をとる波を示すピークA10も確認される。
【0221】
また、解析例6では、解析例5のYスペクトルに、更に第2の処理プログラムを適用する。例えば、C (fHL=2.5×10Hz)フィルタを使用する。これにより、中心周波数が1500kHz付近の高周波側へと推移する。
【0222】
図84(a)はこの処理で得られたフーリエスペクトルYを示すグラフ図、(b)は時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。ここでは、m=4として第3の処理プログラムが適用されている。解析例6では、径路55における鉄筋52の下端からの反射波を示すピークB11が卓越し、鉄筋52の上端からの径路54の反射波を示すピークA11が相対的に減少している。これは、たて波発信方向に対する傾きは径路54の方が大きいためである。つまり、散乱現象下における指向性の低い超音波の伝達でも高周波になればなるほど指向性が高くなるのは従来の超音波理論と同様である。従って、傾きが大きい径路54の反射波の振幅が小さくなっている。また、径路56をとる波を示すピークC11も確認される。
【0223】
解析例7では、解析例6で得られたスペクトルYに、第1の処理プログラムの第4例を適用し、更に第2の処理プログラムの第2例によるC 10・C (fHL=2.5×10Hz)フィルタを使用する。これにより、解析例6では共振振動数成分が卓越している反射波Yを非共振振動数成分が卓越する反射波Yに変換する。図85(a)は解析例7における反射波Yのフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。また、図86は図85(b)を拡大したグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0224】
図86においては、鉄筋上端からのたて波反射波を示すピークA12(径路54)、下端からのたて波反射波(径路55)を示すピークB12、鉄筋内のみよこ波で伝達する下端からの反射波(径路56)を示すピークC12、鉄筋上端でたて波からよこ波又はよこ波からたて波へモード変換し上端から反射された反射波(径路57)を示すピークD12並びにピークE12、F12及びG12の総計7個の起生波を示すピークが確認される。これらの7個の起生波は全て鉄棒52からの反射波である。鉄棒52からの反射波には、図74に示す主な径路54乃至57以外に、発信センサ53aから鉄棒52に到るまでたて波で伝達し鉄棒52の上端で屈折し、そして下端で反射し、鉄棒52から受信センサ53bまでの間をよこ波で伝達する4個の径路60a乃至60dがある。図87は反射波の径路を示す断面図である。なお、実線でたて波を、点線でよこ波を表記している。また、コンクリ−トが有する超音波の散乱特性により発信センサ53aから鉄棒52までをよこ波で鉄棒52から受信センサ53bまでをたて波で伝達する波も存在する。この径路の波は図87の紙面を返転させたものとなる。これらの2種類の反射波の受信センサに到達する時間は同一となる。従って、図74における5個の径路、図87における4×2個の径路の計13個の反射波の径路が発信センサ53aから受信センサ53bまでに鉄棒52を経由して存在することとなる。
【0225】
そして、これらの13個の反射波の径路のうち、受信センサ53bへ同一時刻に到達する波があることを考慮すると、起生する反射波の数は7個存在することになる。即ち、径路60aの反射波がピークE12を、径路60c、60dの反射波がピークF12を、径路60bの反射波がピークG12である。下記表3に各径路における起生時刻の計測値及び実測値を比較して示す。
【0226】
【表3】
Figure 0003543927
【0227】
ここでは、コンクリート塊51中のたて波の音速Vは4.3mm/μ秒、よこ波の音速は0.63V、表面波の音速は0.60Vであり、鉄棒52中のたて波の音速Vは6.0mm/μ秒、よこ波の音速は0.55Vとした。上記表3中の計算式はスネルの定理を使用して作図した図74及び図87内の伝達径路長を夫々コンクリートの超音波速度又は鉄の超音波速度で除して得られる伝達時間を加算したものである。なお、表3の径路58の計算式中10、13の値は、夫々発信子、受信子の径である。
【0228】
表3に示すように、1乃至2%以内の誤差で各反射波の起生時刻が特定されており、極めて高精度な計測結果といえる。
【0229】
なお、図示した反射径路以外にもコンクリ−ト塊51内の往路及び復路をともによこ波で伝達する計5個の反射波も存在する。しかし、この5個の反射波は受信センサに達する時刻が他の反射波に比して著しく遅くなるため、直接波の中に埋もれる。従って、計測対象から除外した。
【0230】
次に、ひび割れ深さの探知方法について説明する。図88(a)及び(b)は計測されるひび割れを模擬したコンクリートモデルを示す断面図である。計測されるコンクリート塊61には、コンクリート塊61の表面及び裏面から50mmの深さに夫々3本、合計で6本の鉄筋62が150mmの間隔で埋め込まれており、深さが100、150又は200mmのひび割れが1本ずつ形成されている。100mmのひび割れと150mmのひび割れとの間隔は121mmであり、150mmのひび割れと200mmのひび割れとの間隔は135mmである。また、100mmのひび割れはコンクリート塊61の端部から104mmの位置に形成されており、200mmのひび割れは他方の端部から140mmの位置に形成されている。
【0231】
先ず、3種類の測定タイプにより150mmの深さのひび割れの深さの計測を行った場合を示す。第1タイプでは、探触子の間隔を70mmとして2つの探触子の中間にひび割れが位置するように配置した。第2タイプでは、探触子の間隔を115mmとして2つの探触子の中間にひび割れが位置するように配置した。また、第3タイプでは、探触子の間隔を115mmとし、受信子をひび割れの近傍に配置し、発信子をひび割れから離れた位置に配置した。図89(a)は第1タイプにより測定された受信原波の時系列波形を示すグラフ図、(b)は第2タイプにより測定された受信原波の時系列波形を示すグラフ図、(c)は第3タイプにより測定された受信原波の時系列波形を示すグラフ図である。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0232】
図90は第1及び第2タイプにおけるコンクリート底面からのたて波反射の伝達径路を示す断面図である。これらのタイプでは、コンクリート底部からの反射波は受信探触子へ直接伝達している。このため、第1及び第2タイプにおける受信波にはコンクリート底部及びその近傍の鉄筋等からの反射波が多量に含まれている。特に、第1タイプではセンサ間距離が他のタイプに比して短いので、コンクリート底面からの反射波のたて波強度が大きくなる。
【0233】
図91及び92は第3タイプにおけるコンクリート底面からのたて波反射の伝達径路を示す断面図である。図92では、入力波は一度近接するひび割れ面で反射し、次にコンクリート底部で2度目の反射を行っている。しかしながら、受信探触子が計測対象のひび割れ面の影に隠れ、コンクリート底部からの反射波が受信子に直接伝達していない。但し、強度は小さいが、コンクリートの散乱現象により、破線で示す径路のたて波が存在する。
【0234】
図93は第3タイプにおいて貫通鉄筋を介して伝達する直接波及び反射波等を示す断面図である。第3タイプではひび割れの存在により受信子まで達する直接波の強度は微小となる。そして、鉄筋からの反射波もひび割れ部で遮断される。しかし、第1及び第2タイプでは、この直接波の強度が第3タイプと比して大きくなる。
【0235】
このように、第1タイプ乃至第3タイプにおいて受信波形状に相違が生じている。以上より、図89の第1、第2、第3タイプの受信波のカーソルで示した位置付近にひび割れ底部を迂回するたて波の起生があると予想できる。
【0236】
また、図94及び図95は第3タイプにおいてひび割れ底部を回折及び迂回するたて波の径路を示す断面図である。図95では、入力波は一度近接する計測対象外のひび割れ面で反射し、この反射波が当該ひび割れ底部で回折及び迂回している。一方、回折波はひび割れ底部に入射した波に対して90゜その進行方向が変化した波であるが、コンクリートが有する散乱現象により扇状に拡散する。そして、径路111乃至113へとその指向方向が変化した波が受信子により受信される。図94での対応する径路は径路101乃至103となる。
【0237】
図89(c)の第3タイプの受信波を用い、ひび割れ底部を回折及び迂回する径路111、112の波の起生時刻の概略値を167μ秒(80+(CAL値86))とし、第5の処理プログラムにおけるtをこの概略値+10の177μ秒とし、且つαの値を50とし、E ・E の処理を行う。次いで、第1の処理プログラムの第4例によりC ・C 10(fHL=2.5×10Hz)のフィルタをかける。更に、第2の処理プログラムの第2例によりC (fHL=2.5×10Hz)のフィルタをかける。図96は以上の処理で得られたフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【0238】
次に、mの値を4として第3の処理プログラムによる処理を行う。図97(a)乃至(f)は時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はnが0のとき、(b)はnが4のとき、(c)はnが8のとき、(d)はnが16のとき、(e)はnが32のとき、(f)はnが60のときをそれぞれ示している。なお、図中に表示する数値は超音波の発信時刻で補正されたものである。
【0239】
図97(a)に示すnが0のとき(中心周波数;980kHz)には、分析精度が極めて高く、150mmのひび割れ底部で迂回する径路101の迂回波はピークA13であり、その起生時刻は78.4μ秒、径路102の迂回波はピークB13であり、その起生時刻は81.6μ秒、更に、200mmのひび割れで一度反射した後、150mmのひび割れ底部で迂回する径路111の波はピークC13であり、その起生時刻は90.1μ秒、径路112の波はピークD13であり、その起生時刻は93.3μ秒と測定される。
【0240】
また、低周波側に掃引された図97(d)に示すnが16のとき(中心周波数;490kHz)には、径路102の迂回波(ピークB13)及び径路103の迂回波(ピークE13)が出現している。夫々の起生時刻は81.6μ秒、103μ秒と測定される。
【0241】
更に低周波側に掃引すると、計測の目的とする150mmの深さのひび割れ底部からの径路波102は徐々に消滅し、計測対象のひび割れに隣接する他のひび割れで反射して伝達する長い径路の回折及び迂回波が浮かび上がってくる。即ち、150mmの深さのひび割れ底部で迂回し、且つ100mmの深さのひび割れ底部で反射する径路103の反射波(ピークE13)、そして、一度200mmの深さのひび割れで反射し150mmの深さのひび割れ底部で迂回し、且つ100mmの深さのひび割れで反射する径路113の反射波(ピークF13)が浮かび上がってくる。その起生時刻は、夫々103μ秒、122.1μ秒と測定される。
【0242】
以上の現象は以下の理由で生ずる。本探知例で取り出した略受信波は、第1の処理プログラムの第4例を使用したことより非共振波が多量に含まれたものとなっている。これにより、高周波になればなるほど、伝達径路の長い回折及び迂回波が加速度的に減衰する。その一方で、低周波の波は高周波の波に比較しその減衰率が極端に小さい。このため、低周波領域の波では伝達径路が長くても、もともと勢力の強い波が減衰することなく浮かび上がっているのである。下記表4に測定結果と、図94、図95で作図された伝達径路長を理論値として比較して示す。
【0243】
【表4】
Figure 0003543927
【0244】
なお、前述の解析では第1の処理プログラムの第4例を使用したが、第2例を使用することも可能である。図98(a)は第1の処理プログラムの第2例により受信原波にC ・C をかけ、第2の処理プログラムの第2例により、C 14を乗じたフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【0245】
この場合、150mmの深さのひび割れ底部で迂回する径路の反射波(ピークB13)及び一度200mmの深さのひび割れで反射し150mmの深さのひび割れ底部で回折及び迂回する径路の反射波(ピークD13)が出現している。夫々の起生時刻は、81.0μ秒、93.0μ秒と測定される。なお、ピークD13が明敏に浮かび上がっているのは、共振波を使用しているためである。
【0246】
なお、このような解析を行うためには、第9の処理プログラムにより入力波が適正なものであるか否かが検定されている必要がある。図99(a)は図98の受信波に対応する入力超音波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。これらは、入力波の適/不適の検定のために発信探触子の発信超音波より得られたものである。入力超音波としては最適な形状であるといえる。従って、上述の計測結果は適正なものであると確認できる。
【0247】
また、説明してはいないが、第4及び8の処理プログラムが適宜使用されている。
【0248】
図97の解析結果は、図94、図95に示すひび割れ底部で回折及び迂回する多数の径路の波を分析周波数帯を変化させることで特定するものであった。即ち、高周波の波の取り出しで、より短い径路の回折波及び迂回波を、低周波の波の取り出しで、より長い径路の回折波及び迂回波の特定を行っている。これより、得られた迂回波等がどの径路のものであるかの特定には、ある程度の工学的判断を必要とする。しかしながら、工学的判断を分析用ソフトウェアに組み込むのは至難である。これより、ひび割れ深さ計測の自動化ソフトウェアでは、以下の巧妙な分析法を用いて、上記の工学的判断を不用のものとしている。
【0249】
このような分析法について説明する。
【0250】
図114は、図88の第3タイプ計測で、A点で直下に超音波を発信したとき、鉄筋径路とひび割れ底部を迂回する超音波のB点に至る伝達径路を示す模式図である。図114(a)で、鉄筋を径路する浅い径路201及び深い径路202並びにひび割れ底部を迂回する最短経路101を示している。従来の超音波探知装置では用いられていない図1乃至3の新たなる超音波伝達特性によれば、径路201及び202と径路101の伝達径路の超音波強度は、超音波の周波数により大きく変化する。
【0251】
図114(b)は高周波超音波の強度の変化を各径路毎にベクトルで表現したものであり、長い径路101の波は減衰し、短い径路201及び202の波の強度が卓越したものとなる。
【0252】
図114(c)は低周波超音波の強度の変化を各径路毎にベクトルで表現したものであり、長い径路101の波が減衰することなくB点に達している。
【0253】
以上、図114(b)、(c)でA点での入力超音波の強度(ベクトル)は、図1(a)によって定性的に作図している。
【0254】
以上より、図114の鉄筋径路201及び202並びにひび割れ底部迂回径路101の波を含む時系列波を、受信原波の微小な振幅の立ち上がり部の時刻をtとし、急激に振幅が大きくなる時刻をtとし、t=(t+t)/2を求め、この時刻tを第5の処理プログラムに適用して、分析用時系列波を切り出し、これに第1の処理プログラムを適用し広帯域超音波を求め、更に、第2の処理プログラムを用いて、低周波側に掃引又は高周波側に掃引して得られた時系列波を第3の処理プログラムでm乗表示すれば、径路201及び202並びに径路101の波を何らの工学的判断を要することなく確定できる。図115はt、t及びtの関係を示す図である。
【0255】
図116は図88の第3タイプの場合で探触子間距離を135mmとしたときの解析結果である。
【0256】
及びtを図115に示す如く読み取り、第5の処理プログラムを用いa=t−50、a=t+50とし、y(t)=Y・exp(iωt)=E・E・y(t)を求めた。
【0257】
次に、第1の処理プログラムの第4例を用いて非共振波が支配的な波としてy1,1(t)=Y1,1・exp(iωt)、Y1,1=C n1・C n1・Y/Yを作成する。但し、fHL=2.5×10Hzである。
【0258】
次に、第2の処理プログラムを用い、低周波側へ掃引したC n3・Y1,1、高周波側へ掃引したC n2・Y1,1のスペクトルを取り出す。但し、fHL=2.5×10Hzである。
【0259】
次に、第3の処理プログラムを用い、y1,2 =(C n2・Y1,1・exp(imωt)、y2,2 =(C n3・Y1,1・exp(imωt)を計算した。
【0260】
図116(a)はY1,1、C n2・Y1,1及びC n3・Y1,1のスペクトル、(b)はy1,2 (高周波取り出し波)、(c)はy2,2 (低周波取り出し波)である。なお、本図はn1=1、n2=15、n3=20、m=4として作成した。図中の数値は超音波発信時刻で補正している。以上、図116(b)の高周波取り出し波で鉄筋径路201及び202の波の起生を、(c)の低周波取り出し波でひび割れ底部迂回波の最短経路101の波の起生を何らかの工学的判断を加えることなく求め得ることを示した。
【0261】
次に、他のひび割れ深さの探知方法について説明する。ここでは、2種類の測定タイプにより図88(a)及び(b)のコンクリート塊61中のひび割れの深さ計測を表面のひび割れにそって、多点計測する。第4タイプでは、探触子の間隔を115mmとし、受信子をひび割れ近傍に配置し、発信子をひび割れから受信子より離れた位置に配置した。また、第5タイプでは、探触子の間隔を35mmとして2つの探触子の中間にひび割れが位置するように配置した。そして、ひび割れに沿って順次2つの探触子を移動させて受信原波を個々に計測し、これら受信波に第2の処理プログラムの第4例を適用し時系列波を求め、この時系列波の最初の起生時刻を計測した。図100は第5タイプの計測で得られた各時系列波での前記起生時刻をプロットした図(以下、起生時刻図という。)である。
【0262】
なお、本解析では、第2の処理プログラムの第4例のフィルタを以下のようにして求めた。全周波数帯にわたって1.0なるスペクトル値を持った関数にC n1・C n2・C n3(ここで、n1=408、n2=4、n3=4、fHL=1.25×10Hz)をかけるという第1、第2の処理プログラムを用いて作成した。第2の処理プログラム第4例は、このフィルタを周波数帯で自由に移動させることができるわけだが、図100を求めたときのこのフィルタの中心周波数は300kHzであった。
【0263】
図100には、貫通鉄筋の直上受信波で極大値を貫通鉄筋の中間点で極小値を持つ曲線が描かれている。各計測点でのこれら起生時刻は各々貫通鉄筋を径路とする波の起生時刻を示すものであり、ひび割れ深さは上記極小値より深いところに存在することとなる。従って、ひび割れ深さが浅いか深いかにより3種の起生時刻図のいずれかが得られる。図101(a)はひび割れが深い場合の起生時刻図、(b)はひび割れの深さが中程度でる場合の起生時刻図、(c)はひび割れが浅い場合の起生時刻図である。図101(b)、(c)の起生時刻図が得られれば、容易にひび割れ深さは特定できる。
【0264】
しかしながら、ひび割れが深い場合又は貫通鉄筋の間隔が狭い場合には、図101(a)に示す起生時刻図が得られるので、ひび割れ深さは解らない。これより、従来、市場にあるコンクリートのひび割れ深さ計測装置なるものは全て、無筋コンクリート、貫通鉄筋があってもその配筋間隔が30又は40cm以上というように極端に広い場合か又は極めて浅いひび割れ深さの計測にしか利用できない。
【0265】
そこで、図16及び20に示すような貫通鉄筋直上受信波を用いたひび割れ深さ計測値又は図97に示した貫通鉄筋中間点受信波で求めたひび割れ深さ、場合によっては図89(c)のひび割れ深さの概略値を初期値として、表面のひび割れにそって多点計測された全ての計測点位置でのひび割れ深さの計測を考える。もちろん、前述の自動化計測ソフトウェアにより受信波形の分析を行っても良いが、ここでは、他の分析法を適用した解析例を示す。
【0266】
ひび割れ底部を迂回する径路波の概略起生時刻を、例えば、図89(c)よりt=80μ秒とし、第5の処理プログラムによりE ・E (m=2、α=50)として時系列波を切り出す。更に、第1の処理プログラムの第4例によりフィルタC n1・C n2(n1=1、n2=1、fHL=2.5×10Hz)をかける。そして、第2の処理プログラムの第2例によりフィルタC n3(fHL=2.5×10Hz、n3=5)をかけ、第3の処理プログラム(m=4)を施す。
【0267】
図102は上記の処理により得られた計測結果を示す図である。計測点にそって完全にひび割れの深さが測定されている。なお、n1、n2及びn3の値は上記の値に限定されるものではない。図102の各計測点のひび割れ深さの変化がよりなめらかになるようにこの係数の値を変化させてもよい。
【0268】
なお、以上の計測は任意の計測点に隣接する他の計測点でのひび割れ深さがほとんど同一であるとの仮定条件下でなされたものである。即ち、任意計測点位置での受信波の解析時に採用する概略起生時刻tを、隣りの位置のすでに解として得られている時刻tとする方法である。また、第4タイプの場合、ひび割れ底部を回折する波の指向が受信子へ向いてくるので、迂回波の勢力が大きくなってくる。従って、第5タイプの場合より計測が容易になる。
【0269】
なお、図102にはひび割れ底部からの迂回波の起生のみしか示していないが、ひび割れ底部を迂回する径路波の概略起生時刻t=80μ秒の替わりに、例えば、図116の鉄筋径路波の概略起生時刻tを用いて同様の処理を行えば、説明するまでもなく各計測点における鉄筋径路波の起生時刻及び伝達距離も高精度に得ることができる。
【0270】
次に、コンクリート表面で、幅が0.01乃至0.1mm程度と極めて狭いひび割れの深さの探知方法について説明する。図103(a)乃至(c)は極めて狭いひび割れを有するコンクリートを示す模式図であり、発信及び受信探触子をひび割れを挟んで、極近傍に配置した計測である。
【0271】
本探知方法により探知される被探知材121は、以下のようにして作製されたものである。幅が100cm、厚さが23cm、長さが420cmのコンクリート板に異形鉄筋D20を長手方向及び幅方向に15cm間隔で上面及び下面からのかぶり厚を3cmとして2段配筋した。
【0272】
次に、コンクリート板の長手方向の2箇所を支持した状態で中央部分に荷重を繰り返し印加し人為的に微細な幅を有し深いひび割れを生じさせる。板表面でのひび割れ幅は約0.05mm以下である。
【0273】
このように形成されたひび割れの探知は以下のようにして行われる。
【0274】
先ず、受信波y(t)=Y・exp(iωt)に第1の処理プログラムの第4例を適用し、y(t)=Y/Y・exp(iωt)を求める。
【0275】
次に、C及びCを使用して作製された中心周波数が730kHzのフィルタFをy(t)に乗じることにより、y(t)=F・Y/Y・exp(iωt)を求める。そして、第3の処理プログラム(m=4)を適用する。図104(a)はF・Y/Yのフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【0276】
図104(b)において、1番目に早い起生波が入力超音波、2番目に早い起生波が鉄筋表面からのたて波反射波、3番目に早い起生波が鉄筋裏面からのたて波反射波、4又は5番目に早い起生波が鉄筋を介して伝達される直接波及びひび割れ面に生ずる表面波である。なお、点線カーソルが2本表示されているが、早い時刻のカーソルがたて波、遅い時刻のカーソルが表面波の起生時刻を示す。ここでは、表面波の速度をたて波の0.6倍としている。
【0277】
そして、コンクリート及び鉄筋中のたて波の音速は夫々4.15(mm/μ秒)、6.0(mm/μ秒)であるので、1又は2番目に早い起生波から、鉄筋のかぶり厚及び鉄筋径は次の値となる。かぶり厚は、4.15×(28.8−13.2)/2より32.3mm、鉄筋径は、6.0×(34.1−28.8)/2より16mmである。図105は異形鉄筋D20の形状を示す模式図である。異形鉄筋D20の表面には、輪状の凸部が長手方向に複数形成されており、凸部の尖端における径が20mm、凹部における径が16mmである。従って、上記の計測精度は極めて高いといえる。また、かぶり厚の実測値は32mmであるので、この精度も高い。
【0278】
しかし、ひび割れ底部からの迂回波並びに下側鉄筋及びコンクリート底面からの反射波の起生は散乱波等の林立の中に混在して図104(b)からは読み取れない。
【0279】
そこで、第2の処理プログラムの第2例により、周波数掃引用のフィルタFを使用する。図106はフィルタFを示すグラフ図である。なお、フィルタFは全周波数領域で1.0のスペクトル値を有する関数にフィルタC・C (fHL=2.5×10Hz)を乗じて作成したものである。また、図107(a)乃至(f)はこれらフィルタをY/Y・exp(iωt)にかけて得た時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はnが4のとき、(b)はnが6のとき、(c)はnが10のとき、(d)はnが16のとき、(e)はnが24のとき、(f)はnが36のときを夫々示している。
【0280】
図107(a)乃至(f)での起生波の意味するところは、最左のカーソル位置の起生波がひび割れ迂回波(たて波)、2番号のカーソル位置の起生波がひび割れ迂回波(表面波)、×印が下側にある鉄筋の表側からの反射波(たて波)、○印が下側にある鉄筋の裏側からの反射波(たて波)、△印がコンクリート底面からの反射波(たて波)である。これらの起生波の振幅は図107(a)乃至(f)で変化している。また、低周波の取り出しに移行することで散乱波が消滅し、最左のカーソルでその位置を示すひび割れ迂回波(たて波)、下側にある鉄筋の裏側からのたて波反射(○印)、コンクリート底面からのたて波反射(△印)が卓越してくる様子を見ることができる。
【0281】
なお、図107(a)、(b)で卓越していた下側にある鉄筋の表側からのたて波反射(×印)は低周波の取り出しで消滅し、裏側からの反射波(○印)が増幅している。コンクリート内の鉄筋の探知において、多くの同種の計測例によれば、高周波領域(1.2乃至2.5MHz)の波の取り出しでは、鉄筋表側からの反射波が、低周波領域(200乃至600kHz)の波の取り出しでは、鉄筋裏面からの反射波が卓越している。この現象は、第6の処理プログラムの説明で用いた図55の解析例でも示したが、鉄筋が円断面を持つことに起因していることが種々の計測実験で明らかとなっている。しかしながら、その理論的、物理的根拠は未解明である。今後の研究テーマの1つである。
【0282】
なお、△印で示すコンクリート底部からの反射波が小さい理由は、本計測が鉄筋直上で行われたことより、超音波が鉄筋により遮断され、且つひび割れによりその伝達が妨げられているからである。
【0283】
以上より、ひび割れ深さは、最左のカーソルが示す時刻(99.2μ秒)、超音波発信時刻(13.2μ秒)及びこのモデルのコンクリート音速(4.15mm/μ秒)を用いて、4.15×(99.2−13.2)/2=178mmと求められる。なお、実測値は175mmであった。
【0284】
更に、略受信波y(t)=Y/Y・exp(iωt)に開始周波数が185kHzのハイパスフィルター及び開始周波数が340kHzの比較的緩やかなローパスフィルタを乗ずるという第1の処理プログラムの第3例を適用すれば、図108(a)の如く図106のピークF6と類似したスペクトルが得られる。これより、第3の処理プログラム(m=4)を適用すると、図108(b)の如く図107(f)と類似した結果が得られる。図108(a)は第1の処理プログラムの第3例により得られた波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)はこれに対応する時系列波形を第3の処理プログラムを適用して表示するグラフ図である。若干波の数が増加しているが、図107(f)とほぼ同一であるといえる。
【0285】
なお、図107(f)においては、下側鉄筋の上端からの反射波が消滅している。そこで、この反射波を明敏に確認する方法について説明する。
【0286】
先ず、図107(f)の時系列波に第5の処理プログラムを適用する。図109は第5の処理プログラムによる時系列フィルタを示すグラフ図である。また、図110は第5の処理プログラムにより得られた波のフーリエスペクトルを示すグラフ図である。ここでは、aを66μ秒、aを166μ秒とした。
【0287】
次いで、第2の処理プログラムの第2例によりフィルタC (fHL=2.5×10Hz)をかけることにより、高周波側に掃引する。図111(a)は第2の処理プログラムにより掃引された波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【0288】
これにより、下側鉄筋の上端からの反射波を示すピークA14が明敏に確認できる。また、下側鉄筋の下端からの反射波を示すピークB14及びひび割れ深さを示すピークC14も確認される。
【0289】
なお、前述の実施例においては、解析装置4内に設けられた記憶装置に各処理プログラムが記憶されているが、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に前記各処理プログラムをルーチンとして構成されたプログラムが記憶されていてもよい。
【0290】
また、複数個の受信探触子及び発信探触子を直列に並べてもよい。これにより、多点計測を一括して行うことができる。図112(a)乃至(c)は多点計測用探触子による探知例を示す断面図である。図112(a)では、1個の発信受信探触子131から発信された超音波は隣接する発信受信探触子131に受信される。また、図112(b)では、1個の発信受信探触子132から発信された超音波は2個目に位置する発信受信探触子132に受信される。図112(c)では、1個の発信受信探触子133から発信された超音波は3個目に位置する発信受信探触子133に受信される。
【0291】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、被探知材の深い位置での探知及び探傷を行うことができる。また、複数個の反射波が得られた場合であっても、その個々の意味するところを容易に特定することができる。更に、探知可能な被探知材は、鉄、鋼及びプラステック等の均質的な弾性体だけでなく、コンクリ−ト構造物に複雑に配設されている鉄筋又は鉄骨の位置及びサイズの計測、ひび割れ状況及びその深さ、内部空隙の有無並びにコンクリ−ト厚の探知も超高精度に行うことができる。更にまた、鋳物、土又は地盤の内部探査等にも利用可能である。つまり、被探知材が多孔質若しくは複数種の材質の異なる複合体又は材質粒子の結晶が1方向であるインゴットであっても、その内部探知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質弾性体における周波数の変化による扇状拡散超音波の強度を示す図であって、(a)は低周波における模式図、(b)は高周波における模式図である。
【図2】均質弾性体における周波数の変化による扇状拡散超音波の強度を示す図であって、(a)は低周波における模式図、(b)は高周波における模式図である。
【図3】横軸に伝達距離をとり、多孔質弾性体材内の超音波の減衰率を模式的に示すグラフ図である。
【図4】本発明の実施例に係る超音波探知装置を示すブロック図である。
【図5】(a)は本発明の実施例に使用されるセラミックス製探触子を示す面図、(b)は同じく探触子を示す面図、(c)は市販されている従来のセラミックス製探触子を示す面図、(d)は同じく探触子を示す面図、(e)は市販されている他の従来のセラミックス製探触子を示す面図、(f)は同じく探触子を示す面図である。
【図6】(a)乃至(c)は種々の振動形態における本発明の実施例に使用されるセラミックス製探触子の動作を示す断面図、(d)乃至(g)は種々の振動形態における従来のセラミックス製探触子の動作を示す断面図である。
【図7】(a)は探触子11により得られるスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図8】(a)は探触子21aにより得られるスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図9】(a)は探触子21bにより得られるスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図10】1探触子法が採用された例を示す模式図である。
【図11】(a)及び(b)は実測に使用される鉄筋が埋め込まれた且つひび割れを模擬したコンクリート塊を示す断面図である。
【図12】(a)はAEセンサにより測定した入力超音波原波形のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図13】(a)は図11のコンクリートモデルを用いた鉄筋の直上計測でAEセンサにより測定した受信超音波原波形のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図14】(a)はハイパスフィルタを示すグラフ図、(b)はローパスフィルタを示すグラフ図である。
【図15】(a)はフィルタF及びFを入力超音波にかけた後、更にFH1なるハイパスフィルタをかけて得られた入力超音波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図16】(a)は図15を得たと同様のフィルタリング処理で得られた受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図17】特殊関数フィルタ(第3のフィルタ)の一例を示すグラフ図である。
【図18】特殊関数フィルタ(第3のフィルタ)の他の例(n=8)を示すグラフ図である。
【図19】(a)は鉄筋直上における入力超音波X及び受信原波Yを示すグラフ図、(b)は鉄筋直上における入力超音波X及び伝達関数Y/Xを示すグラフ図である。
【図20】(a)はAE(アコースティックエミッション)センサによる受信波のスペクトルYに、第1の処理プログラムの第4例を適用して得たF・Y/Yを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図21】(a)はAEセンサにより収録された入力波Xに第2例のフィルタCを乗じて高周波成分を増幅した超音波のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図22】(a)はX/Xのスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図23】(a)は後述の第5の処理プログラムによる時系列波の切り出しにより不要な起生波を人為的に取り除いて得たスペクトル(第4のフィルタ)を示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図24】ハイパスフィルタ及びローパスフィルタを示すグラフ図である。
【図25】数式3に示す関数(第5のフィルタ)によるフィルタを示すグラフ図である。
【図26】nが2であるときの種々のfHLにおけるフィルタ関数を示すグラフ図である。
【図27】フィルタ関数(第5のフィルタ)の掃引を示すグラフ図である。
【図28】(a)は関数y(t)を示すグラフ図、(b)は関数y(t−Δt)を示すグラフ図、(c)は関数y(t)と関数y(t−Δt)との和を示すグラフ図である。
【図29】(a)は関数g(t)を示すグラフ図、(b)は関数g(t+Δt)を示すグラフ図、(c)は関数g(t)と関数g(t+Δt)との和を示すグラフ図である。
【図30】(a)は中心周波数が1.25MHzの広帯域の周波数を有する反射波のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図31】演算が行われた反射波の時系列波形を示すグラフ図であって、(a)は0回、(b)は5回、(c)は20回、(d)は100回の演算を行ったものである。
【図32】図31に示す時系列波形が示す反射波のスペクトルを示すグラフ図である。
【図33】(a)は図30に示す反射波に625Hzのローパスフィルタをかけた結果のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図34】(a)は図30に示す反射波に625Hzのカッティングをかけた結果のスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図35】ローパスフィルタを使用した場合の時系列波形y(t)を示すグラフ図であって、(a)はm=1、(b)はm=2、(c)はm=4である。
【図36】カッティングを使用した場合の時系列波形y(t)を示すグラフ図であって、(a)はm=1、(b)はm=2、(c)はm=4である。
【図37】第2の処理プログラムの第3例における略受信波スペクトルを示すグラフ図である。
【図38】図37に対応する時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はfHLが1.25×10Hz、(b)はfHLが0.625×10Hz、(c)はfHLが0.3125×10Hzである。
【図39】(a)は第1の処理プログラムの第2例及び第2の処理プログラムの第2例によるフィルタをかけられた300kHz近傍を中心周波数とする広帯域受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)はその時系列波形を示すグラフ図である。
【図40】(a)乃至(c)は第3の処理プログラムにより処理した結果の時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はmが2であるとき、(b)はmが4であるとき、(c)はmが6であるときを夫々示している。
【図41】(a)は第1の処理プログラムの第4例及び第2の処理プログラムの第2例によるフィルタをかけられた300kHz近傍を中心周波数とする広帯域受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)はその時系列波形を示すグラフ図である。
【図42】(a)乃至(c)は図41(b)に示す時系列波を第3の処理プログラムにより処理した結果の時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はmが2であるとき、(b)はmが4であるとき、(c)はmが6であるときを夫々示している。
【図43】広帯域入力超音波のスペクトルを示すグラフ図である。
【図44】(a)及び(b)は実測に使用される鉄筋が埋め込まれたコンクリート塊を示す断面図である。
【図45】(a)は低周波領域での受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図46】mを2として第3の処理プログラムにより処理した時系列波形を示すグラフ図である。
【図47】切り出された時系列波形を示すグラフ図である。
【図48】(a)はmが1の場合の時系列波形を示すグラフ図、(b)はmが4の場合の時系列波形を示すグラフ図である。
【図49】(a)は中心周波数が1250kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(b)は中心周波数が1090kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(c)は中心周波数が980kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(d)は中心周波数が900kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(e)は中心周波数が833kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図、(f)は中心周波数が740kHzである場合の時系列波形を示すグラフ図である。
【図50】実測に使用される鉄筋が埋め込まれたコンクリート塊を示す断面図である。
【図51】(a)はコンクリート塊中の鉄筋が計測点近傍に埋め込まれている場合の時系列波形を示すグラフ図、(b)は計測点近傍に鉄筋が埋め込まれていない場合の時系列波形を示すグラフ図である。
【図52】図51(a)の時系列波と図51(b)の時系列波との差を示すグラフ図である。
【図53】図52に対応するフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【図54】フィルタC を示すグラフ図である。
【図55】(a)はnが12のときの時系列波形を示すグラフ図、(b)はnが18のときの時系列波形を示すグラフ図、(c)はnが32のときの時系列波形を示すグラフ図、(d)はnが52のときの時系列波形を示すグラフ図である。
【図56】大きな細石を含むコンクリート塊を示す断面図である。
【図57】n1が2、n2が20(中心周波数;480kHz)、30(中心周波数;400kHz)又は50(中心周波数;315kHz)であるときのスペクトルを示すグラフ図である。
【図58】(a)はn2が20であるときの時系列波形を示すグラフ図、(b)はn2が30であるときの時系列波形を示すグラフ図、(c)はn2が50であるときの時系列波形を示すグラフ図である。
【図59】(a)はnが6のときの時系列波形を示すグラフ図、(b)はnが10のときの時系列波形を示すグラフ図、(c)はnが14のときの時系列波形を示すグラフ図、(d)はnが20のときの時系列波形を示すグラフ図である。
【図60】(a)は外乱の影響がある受信波の時系列波形を示すグラフ図、(b)は外乱の影響がある受信波の1000回の加算平均をとった結果の時系列波形を示すグラフ図である。
【図61】図60に対応するフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【図62】(a)は中心周波数が843kHzの受信波(外乱)のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を第3の処理プログラムを用いm=2で示したグラフ図である。
【図63】1000回の加算平均が行われた時系列波形を示すグラフ図である。
【図64】高次の共振振動数を有する波のフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【図65】(a)乃至(c)は各共振スペクトルによる時系列波形を示すグラフ図である。
【図66】図65(a)乃至(c)に示す時系列波を重畳させた合成波を示すグラフ図である。
【図67】(a)は入力超音波の原波X・exp(iωt)が第1の処理プログラムの第2例によるフィルタをかけられた結果のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図68】(a)はC ・C のフィルタ及びこのフィルタをかけられた入力超音波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図69】被探知材を示す断面図である。
【図70】(a)は計測点近傍に反射物がない場合に発信点と受信点との間隔を35mmとしたときの受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図71】(a)は計測点近傍に反射物がない場合に発信点と受信点との間隔を100mmとしたときの受信波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図72】表面波、探知目標からのたて波反射波及び直接波が重畳しないで現れた時系列波形を示すグラフ図である。
【図73】(a)及び(b)は被探知材を示す断面図である。
【図74】超音波の主な径路を示す断面図である。
【図75】表2の解析例1のフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【図76】票2の解析例1の時系列波形を示すグラフ図である。
【図77】y (t)(m=4)を示す時系列波形を示すグラフ図である。
【図78】第5の処理プログラムが適用されたフーリエスペクトルYに第2の処理プログラムの第2例を用い、C (fHL=2.5×10Hz)なるフィルタをかけたフーリエスペクトルY(表2の解析例2)を示すグラフ図である。
【図79】y (t)(m=4)の時系列波形(表2の解析例2)を示すグラフ図である。
【図80】y(t)及びy(t)のフーリエスペクトルY及びY(表2の解析例3)を示すグラフ図である。
【図81】(a)はy (t)、(b)はy (t)(表2の解析例3)の時系列波形を示すグラフ図である。
【図82】(a)は表2の解析例4におけるフーリエスペクトルYを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図83】(a)は表2の解析例5におけるフーリエスペクトルYを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。
【図84】(a)は表2の解析例6の適用前のフーリエスペクトルY及び適用後のフーリエスペクトルYを示すグラフ図、(b)は時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。
【図85】(a)は表2の解析例7における反射波Yのフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形Y・exp(iωt)を示すグラフ図である。
【図86】図85(b)を拡大したグラフ図である。
【図87】他の径路の反射波の径路を示す断面図である。
【図88】(a)及び(b)は計測されるひび割れを模擬したコンクリートモデルを示す断面図である。
【図89】(a)は第1タイプにより測定された受信原波の時系列波形を示すグラフ図、(b)は第2タイプにより測定された受信原波の時系列波形を示すグラフ図、(c)は第3タイプにより測定された受信原波の時系列波形を示すグラフ図である。
【図90】第1及び第2タイプにおけるコンクリート底面からのたて波反射の伝達径路を示す断面図である。
【図91】第3タイプにおけるコンクリート底面からのたて波反射の伝達径路を示す断面図である。
【図92】同じく第3タイプにおけるコンクリート底面からのたて波反射の伝達径路を示す断面図である。
【図93】第3タイプにおいて貫通鉄筋を介して伝達する直接波及び反射波等を示す断面図である。
【図94】第3タイプにおいてひび割れ底部を回折及び迂回するたて波の径路を示す断面図である。
【図95】同じく第3タイプにおいてひび割れ底部を回折及び迂回するたて波の径路を示す断面図である。
【図96】第3タイプの受信波に第5の処理プログラム、第1の処理プログラムの第4例及び第2の処理プログラムの第2例を順に適用して得たフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【図97】(a)乃至(f)は図96のフーリエスペクトルに対応する時系列波形を第3の処理プログラムでm=4として示すグラフ図であって、(a)はnが0のとき、(b)はnが4のとき、(c)はnが8のとき、(d)はnが16のとき、(e)はnが32のとき、(f)はnが60のときをそれぞれ示している。
【図98】(a)は第1の処理プログラムの第4例を受信原波に適用し、次に第2の処理プログラムの第2例により得られたフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図99】(a)は受信波に対応する入力超音波のフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図100】ひび割れにそって第5タイプで計測された受信波毎に第2の処理プログラムの第4例を適用し、得られた時系列波の最初の起生時刻をプロットした図である。
【図101】(a)はひび割れが深い場合の起生時刻図、(b)はひび割れの深さが中程度でる場合の起生時刻図、(c)はひび割れが浅い場合の起生時刻図である。
【図102】ひび割れにそって計測点毎に、ひび割れ底部からのたて波迂回波を求めた計測結果を示す図である。
【図103】(a)乃至(c)は極めて狭いひび割れを有するコンクリートを示す模式図である。
【図104】(a)はF・Y/Yのフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図105】異形鉄筋D20の形状を示す模式図である。
【図106】フィルタFを示すグラフ図である。
【図107】(a)乃至(f)はフィルタFをY/Y・exp(iωt)にかけて得られた時系列波形を示すグラフ図であって、(a)はnが4のとき、(b)はnが6のとき、(c)はnが10のとき、(d)はnが16のとき、(e)はnが24のとき、(f)はnが36のときを夫々示している。
【図108】(a)はy(t)=Y/Y・exp(iωt)に第1の処理プログラムの第3例を適用して得たフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)はこれに対応する時系列波形を第3の処理プログラムを適用して表示するグラフ図である。
【図109】第5の処理プログラムによる時系列フィルタを示すグラフ図である。
【図110】第5の処理プログラムにより得られた波のフーリエスペクトルを示すグラフ図である。
【図111】(a)は図107(f)の時系列波に図109に示す第5の処理プログラムを適用し、且つ第2の処理プログラムの第2例により高周波方向へ掃引して得たフーリエスペクトルを示すグラフ図、(b)は同じく時系列波形を示すグラフ図である。
【図112】(a)乃至(c)は多点計測用探触子による探知例を示す断面図である。
【図113】(a)は均質弾性体における超音波の直進性及び指向性を示す断面図、(b)は多孔質弾性体における超音波の直進性、指向性及び散乱を示す断面図である。
【図114】図88の第3タイプ計測で、A点で直下に超音波を発信したとき、鉄筋径路とひび割れ底部を迂回する超音波のB点に至る伝達径路を示す模式図である。
【図115】t、t及びtの関係を示す模式図である。
【図116】図88の第3タイプの場合で探触子間距離を135mmとしたときの解析結果である。
【符号の説明】
1;パルス発生器
1a;パルス発生回路
1b;パルス間隔変更回路
1c;パルス駆動回路
2a;発信探触子
2b;受信探触子
3;外付アンプ
4;解析装置
4a;アンプ回路
4b;フィルタ回路
4c;アナログ/デジタルコンバータ
4d;ゲートアレイ
4e;CPU又はDSP
5;表示装置
11、21a、21b、73a、73b、83a、83b;探触子
12;縁部
13、23;電極
31、51、61、71、81、91;コンクリート塊
32、62、72、82、93;鉄筋
33.34、35a、35b、36、37;波
41;多孔質弾性体材
42;反射物
52;鉄棒
53a;発信センサ
53b;受信センサ
54、55、56、57、58、59、60a、60b、60c、60d、111、112、113;径路
92;細石
121;被探知材
131、132、133;発信受信探触子

Claims (23)

  1. 超音波を発信し受信した超音波の解析を行う超音波探知装置において、発信された発信超音波及び受信された受信超音波に第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理を実行する演算装置を有することを特徴とする超音波探知装置。
  2. 超音波を発信し受信した超音波の解析を行う超音波探知装置において、発信された発信超音波をこの発信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したもの並びに受信された受信超音波をこの受信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したものに第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理を実行する演算装置を有することを特徴とする超音波探知装置。
  3. 前記演算装置は、前記第2の処理により変動した前記発信超音波の発信時刻に関連付けて前記受信超音波の起生時刻の補正を行う第4の処理と、被探知材中の目標探知物からの起生時刻の概略値が解っている場合に前記概略値に関連付けて前記受信超音波の時系列波の所定の領域を選択する第5の処理と、前記被探知材中の目標探知物による影響を受ける場合に受信される超音波と前記目標探知物による影響を受けない場合に受信される超音波との差を求める第6の処理と、複数点の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第7の処理と、同一点での複数回の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第8の処理と、発信される超音波が適当であるか不適当であるかを判別する第9の処理と、を含む処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波探知装置。
  4. 前記演算装置に接続され被探知材に超音波を発信する発信子と、前記演算装置に接続され前記被探知材からの超音波を受信する受信子と、を有し、前記発信子は、板状の基材と、この基材の両表面の中央部に形成された電極と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  5. 前記受信子は、板状の基材と、この基材の両表面の中央部に形成された電極と、を有することを特徴とする請求項4に記載の超音波探知装置。
  6. 前記演算装置に接続され被探知材に超音波を発信し前記被探知材からの超音波を受信する発信受信探触子を有し、この発信受信探触子は、板状の基材と、この基材の両表面の中央部に形成された電極と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  7. 前記第1のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表される第3のフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  8. 前記第3のフィルタは、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 31 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 31 (t)=g 31 (t)+g 31 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 32 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 32 (t)=g 32 (t)−g 32 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタであることを特徴とする請求項7に記載の超音波探知装置。
  9. 前記第1のフィルタは、前記発信超音波に含まれていない振動数の波を前記受信超音波より除去する第4のフィルタを有することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  10. 前記第2のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数n次の余弦関数との積で表される第5のフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  11. 前記第5のフィルタは、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 51 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 51 (t)=g 51 (t)+g 51 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 52 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 52 (t)=g 52 (t)−g 52 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタであることを特徴とする請求項10に記載の超音波探知装置。
  12. 前記第2のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表され極大値を与える周波数が所望の周波数にある第6のフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の超音波探知装置。
  13. 前記第6のフィルタは、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 61 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 61 (t)=g 61 (t)+g 61 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 62 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 62 (t)=g 62 (t)−g 62 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタであることを特徴とする請求項12に記載の超音波探知装置。
  14. 超音波探知装置から発信された発信超音波及び前記超音波探知装置に受信された受信超音波に第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  15. 超音波探知装置から発信された発信超音波をこの発信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したもの並びに前記超音波探知装置に受信された受信超音波をこの受信超音波に正弦関数及び余弦関数により構成されるフィルタをかけたもので除したものに第1のフィルタをかけることにより前記超音波の強度を所定の周波数帯域以上で所定値以上のものとする第1の処理と、この第1の処理を受けた超音波に第2のフィルタをかけ、この第2のフィルタにより抽出される周波数を決定するパラメータを所定の範囲内で任意に変化させる掃引処理を行うことにより任意の周波数帯域において前記超音波の時系列波を得る第2の処理と、この第2の処理を受けた超音波の時系列波を2以上の自然数乗する第3の処理と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  16. 前記超音波探知用プログラムは、前記第2の処理により変動した前記発信超音波の発信時刻に関連付けて前記受信超音波の起生時刻の補正を行う第4の処理と、被探知材中の目標探知物からの起生時刻の概略値が解っている場合に前記概略値に関連付けて前記受信超音波の時系列波の所定の領域を選択する第5の処理と、前記被探知材中の目標探知物による影響を受ける場合に受信される超音波と前記目標探知物による影響を受けない場合に受信される超音波との差を求める第6の処理と、複数点の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第7の処理と、同一点での複数回の計測により得られた複数個の受信波の加算平均を求める第8の処理と、発信される超音波が適当であるか不適当であるかを判別する第9の処理と、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項14又は15に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  17. 前記第1のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表される第3のフィルタを有することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  18. 前記第3のフィルタは、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 31 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 31 (t)=g 31 (t)+g 31 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 32 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 32 (t)=g 32 (t)−g 32 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタであることを特徴とする請求項17に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  19. 前記第1のフィルタは、前記発信超音波に含まれていない振動数の波を前記受信超音波より除去する第4のフィルタを有することを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  20. 前記第2のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数n次の余弦関数との積で表される第5のフィルタを有することを特徴とする請求項14乃至19のいずれか1項に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  21. 前記第5のフィルタは、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 51 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 51 (t)=g 51 (t)+g 51 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 52 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 52 (t)=g 52 (t)−g 52 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタであることを特徴とする請求項20に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  22. 前記第2のフィルタは、m及びnを0以上の整数としたとき、m次の正弦関数とn次の余弦関数との積で表され極大値を与える周波数が所望の周波数にある第6のフィルタを有することを特徴とする請求項14乃至21のいずれか1項に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  23. 前記第6のフィルタは、フィルタリングされる波を時間tの関数としてy(t)で表し、特定の時間をΔtとしたとき、数式g 61 (t)=y (t)+y (t−Δt)及び数式h 61 (t)=g 61 (t)+g 61 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うか、又は、数式g 62 (t)=y (t)−y (t−Δt)及び数式h 62 (t)=g 62 (t)−g 62 (t+Δt)で表される計算を1若しくは複数回行うフィルタであることを特徴とする請求項22に記載の超音波探知用プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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