JP3511693B2 - 放電加工方法 - Google Patents

放電加工方法

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JP3511693B2 JP26848894A JP26848894A JP3511693B2 JP 3511693 B2 JP3511693 B2 JP 3511693B2 JP 26848894 A JP26848894 A JP 26848894A JP 26848894 A JP26848894 A JP 26848894A JP 3511693 B2 JP3511693 B2 JP 3511693B2
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放電加工方法に関し、と
くに放電加工における電極の送り、揺動最適条件設定方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】先願技術(特願平4−284051号、
平成4年9月29日出願)は、(a)放電加工対象ワー
クの加工量、表面積、要求面粗さなどから電気条件の加
工段階を決定し、その各段階における電極の送り、揺動
量を算出することにより、自動的に最適と思われる加工
条件を設定する方法と、(b)その設定された条件で加
工を行い、その結果(加工時間、面粗さなど)と理論
値、または過去の結果のうちの1つと比較することによ
り、加工条件で問題のあると思われる箇所を少なくとも
1箇所修正し、またそれを繰り返すことにより理想的な
加工条件に近づけていくことを狙った方法と、を開示し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
は、(a)において各加工段階において取りしろ比が一
定(加工面粗さと同程度)とされていたため、周辺条件
に応じた最適な条件になっていない、また(b)におい
て、条件修正の際、加工段階順に、1回につき1箇所ず
つ変更し、また不具合があった場合は元に戻るという操
作を行っているため、理想的な条件に収束するのに非常
に回数を要するか場合によっては発散してしまう可能性
がある、という問題があった。
【0004】本発明の目的は、条件設定を最適設定(荒
面を残さないで短時間で加工できる)に近づけることが
でき、しかも設定条件の進化を最適に行なえる放電加工
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の、本発明の放電加工方法は次の通りである。 (1) 各加工段階の電気的条件、加工面粗さに対する
取りしろの比率である取り代比の初期値を設定する第1
の工程と、前記条件、取り代比に基づいて電極の送り、
揺動条件を演算する第2の工程と、前記送り、揺動条件
で放電加工を実行する第3の工程と、加工時間、最終面
粗さのデータを記録、収集する第4の工程と、前記電気
的条件、取り代比を説明変数とし、加工時間を目的変数
とした重回帰式と、面粗さとその合否を演算する演算式
を用いて、多変量解析を実行する第5の工程と、多変量
解析が正常に行われた場合には、面粗さを合格としかつ
前記重回帰式の値を最小にするような値に取り代比値を
決定し、該取り代比値を前記第2の工程にフィードバッ
クする第6の工程と、を備え、前記第2〜第6の工程を
各ワークの加工毎に繰り返して、取り代比を進化させて
いくことを特徴とする放電加工方法。 (2)前記第1〜第5の工程と、前記多変量解析が正常
に行われなかった場合には、最終加工面粗さが合格の場
合は取り代比値を減少させ不合格の場合は取り代比値を
増加させる第7の工程と、を備え、前記第2〜第5、第
7の工程を各ワークの加工毎に、多変量解析が正常に行
われる迄、繰り返す(1)記載の放電加工方法。
【0006】
【作用】
(1)の方法では、ワークの加工毎に蓄積されていくデ
ータを統計処理し、加工条件を求めることにより、加工
条件を最適条件に近づけることができる。 (2)の方法では、データ不足などにより多変量解析が
実行できない段階においても加工条件をより適切な条件
に近づけながら、データの収集を続けることができる。
【0007】
【実施例】以下に、本発明の望ましい実施例を図面を参
照して説明する。図1、図2は本発明の何れの実施例に
も適用可能であり、図1は方法のフローチャートを示
し、図2は方法を実施するための装置を示す。図3〜図
7は本発明の第1実施例に係わり、図8〜図11は本発
明の第2実施例に係わる。第1、第2実施例に共通な部
分には、同じ符号を付してある。まず、共通部分を、図
1、図2を参照して説明する。
【0008】図1は一連の処理のフローチャートを示
す。まず、ステップ1であらかじめ電気的条件の加工段
階および底面・側面の取りしろ比(取りしろ比率ともい
う)の初期値を設定しておく。ステップ2において、設
定した取りしろ比、各加工段階の電気条件における加工
面粗さ、放電クリアランスのデータ、および電極の抜き
勾配、減寸量から、送り・揺動条件を算出する。次に、
算出された条件で加工を行い(ステップ3)、加工時
間、面粗さの合否、周辺条件および取りしろ比設定値な
どのデータを記録しておく(ステップ4)。そして、蓄
積されたデータを用いてステップ5において加工時間を
目的変数とした重回帰分析および面粗さの合否に関する
判別分析を行う。データ量不足、データの内容などで多
変量解析結果が正常に行われなかった場合、直前の加工
結果より取りしろ比を変更する。底面・側面それぞれに
ついて、面粗さが合格であった場合はあらかじめ設定し
ていた変動幅分だけ取りしろ比を減少させ(ステップ
8)、逆に不合格であった場合は取りしろ比を増加させ
る(ステップ9)。多変量解析が正常に行われた場合
は、後述の図6、図7で述べる方法で取りしろ比の最適
値を算出する(ステップ10)。そして、次回の加工か
らは変更された取りしろ比より、ステップ2以降の処理
を繰り返していく。上記において、重回帰分析、判別分
析、多変量解析は、それぞれ公知の分析、解析法で、そ
れぞれ次のように定義される手法である。重回帰分析と
は、従属変数(q:結果となる量的変数)とそれに関連
のある複数の説明変数(p:原因と考えられる量的変
数)との間に一方的な因果関係(回帰)があると考え、
その関係を、たとえば次のモデル式で表現することによ
り明らかにし、要因の変動に対する結果の変動を予測し
ようとするものである。 qα=a0 +a1 pα1 +a2 pα2 +・・・+an
αn + ε ここでα :1、2、・・・、n(nはサンプル数) an :偏回帰係数 ε :誤差 判別分析(判別関数分析ともいう)とは、従属変数
(q:分類を表わす質的変数)の分類値の区分により、
2つ以上の群(母集団)から取り出したグループ分けに
影響を及ぼす複数の説明変数(p:原因と考えられる量
的変数)を用いて、次のモデル式(判別関数)を作り、
これらの変数がグループ分けに与える影響を明らかに
し、新たなサンプルの判別を行う。 fα=w0 +w1 pα1 +w2 pα2 +・・・+wn
αn ここで、α :1、2、・・・、n(nはサンプル数) wn :判別係数 fα:判別関数値 多変量解析とは、互いに相関のある多変量(多種類の特
性値)のデータをもつ特徴を要約し、かつ所与の目的に
応じて総合するための手法である。簡単に言えば、多数
の特性を同時に解析する手法群ということになる。重回
帰分析、判別分析はそれぞれ多変量解析の一手法であ
る。
【0009】図2に本発明方法による処理を自動的に行
う装置を示す。パーソナル・コンピュータ21におい
て、電気条件・電極減寸量などを選択し、周辺条件を入
力することにより、最適な取りしろ比の値を設定し、送
り・揺動条件を自動的に算出する。更にその加工条件を
もとに、NCプログラムを作成し、ケーブル22より加
工制御装置23へDNC転送する。そのNCプログラム
を用いて、加工機24で加工を行い、終了後、ケーブル
25で加工時間のデータをパソコンに転送する。そし
て、パソコンより面粗さの合否判定結果を入力し、全て
の加工データを記録する。最後に、蓄積された全データ
を呼び出し、統計処理を行い、最適値を算出するための
式を導出する。この結果より次回の加工において周辺条
件を入力すると最適条件が設定されるようになる。
【0010】つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を
説明する。まず、本発明の第1実施例を説明する。一般
に、形彫放電加工において、放電電流が大きい場合は加
工速度が速くて加工面粗さは粗くなり、逆に電流が小さ
い場合は速度は遅くて加工面粗さは細かくなる。そこ
で、形彫放電加工にて狙い加工面粗さを仕上げる場合、
大きい電流から徐々に小さい電流へと変化させていくよ
うな電気的加工条件の段階を設定し、その各段階におい
てそれぞれ電極の送り量(深さ方向の送り込み量)およ
び揺動量(平面方向の移動半径)を設定している。その
設定法の概要を図3に示す。図3の31は電極断面、3
2はワーク断面を表し、33はここで加工しようとして
いる段階の前の段階の加工による加工面断面を、34は
ここで加工しようとしている加工面断面を表している。
ここでは、前の段階による加工面断面の谷35より、取
り代36だけを加工するものとし、この取り代と放電ク
リアランス37(電極面と加工面断面の山との距離)と
から、底面を加工するための送り量と側面を加工するた
めの揺動量が決定される。送り量38は加工機の深さ基
準39と電極基準面40との距離として設定され、また
揺動量41は深さ方向に垂直な面における原点からの電
極の移動量として設定し、その値を半径として深さ方向
に垂直な面方向で電極を円運動させる。このようにして
最終加工深さ、各段階の電気条件における加工面粗さお
よびクリアランス、電極の抜き勾配42から、最終段階
から順に積算していくことにより各段階の送り量・揺動
量が算出される。
【0011】従来、各段階の加工において前の段階の面
の粗さを取り除くには、加工面粗さ分の取りしろ(図4
の45)を設定しなければいけないものとされていた。
ところが、実際にはそれより少ない取りしろ(図5の5
1)において加工を行っても荒面が残らない場合がある
ことが判明した。よって加工時間の短かい最適な送り・
揺動条件を得るためには、この取りしろを荒面が残らな
い範囲で最小の値に設定すれば良いことになる。この値
は加工段階によって、また周辺条件の違いによっても当
然変わってくるものであるが、ほぼ各加工段階における
加工面粗さに比例してくるものであると推定できる。よ
って、この取りしろ(図5の51)を加工面粗さ(図5
の52)に対する比率として全段階において統一し、こ
の値を最適な値に設定すれば良いことになる。ただし、
底面と側面の加工を比べると、底面はスラッジが蓄積さ
れやすく、単発異常放電等がおこりやすいため、側面よ
り大きな取り代を設定する必要がある。そこで今回、電
気的加工条件の段階および底面と側面の取りしろの比率
を設定すると周辺条件にマッチした最適な各段階の送り
・揺動量を自動的に算出できるようにした。
【0012】しかしながら、上記方法で設定した条件
が、必ずしも最適な条件であるとは限らない。そこで、
底面および側面の取りしろの比率を最適な値に設定する
必要がある。これらの比率は、大きな値の場合は荒面残
りは少ないが加工時間が長くなり、逆に小さな値の場合
は加工時間は短かくなるが荒面残りは増えることが前提
となっている。そこで、図1のステップ7、8、9に示
すように、あらかじめこれらの比率の微少変動幅を設定
しておき、算出条件で加工した後、底面および側面の最
終面粗さが合格か不合格かを実測または目視で判定し、
合格であれば取りしろ比を設定幅だけ減少し、逆に不合
格であれば設定幅だけ増加させるという操作をそれぞれ
について繰り返していくことにより適切な値に近づいて
いく可能性がある。
【0013】ところが、この方法だけでは、トライ&エ
ラー的であり、また周辺の諸条件の変化を考慮に入れて
いないため真の最適値を見つけ出すことはできない。そ
こで、加工毎に加工時間、面粗さの合否(底面、側面の
いずれか一方でも不可であれば不合格とする)、底面・
側面の取りしろ設定値、周辺条件(型種、電極使用回数
など)のデータを記録しておき(図1のステップ4)、
これがある程度蓄積されてきたら統計処理を施すことに
より周辺条件にあった最適値を、データより導き出すよ
うにした(図1のステップ5、6、10)。まず、加工
時間を目的変数とし底面・側面の取りしろ比および周辺
条件を説明変数として重回帰分析を行い同じ説明変数で
面粗さの合否についての判別分析も行う(ただし数値で
表現できない周辺条件については、0、1のダミー変数
で表す)。そして、次に加工を行うワークについての周
辺条件の値を重回帰式、判別式に代入し、それぞれの定
数項に加え、判別式を満足し、かつ重回帰式の値を最小
にするような値に各取りしろ値を設定する。これを加工
のたびに繰り返すことにより、データが増加していくた
め最適解導出式の寄与率が増していき、より効率的な加
工条件に進化していく。
【0014】ここで、最適値算出方法について説明す
る。底面、側面の取りしろ比率をそれぞれx、yとする
と、他の説明変数に数値を代入した後の判別式は通常図
6の61のような右下がり直線となり、斜線部が面粗さ
合格の範囲となる。同様に加工時間の重回帰式における
x、yの関係も図6の62のように右下がりとなる。こ
の直線のx、y切片の値が最小となるとき加工時間が最
小となり、通常x≧0、y≧0とならなければいけない
ので、図6の63の交点が最適解ということになる。と
ころが、この手法を用いると、x、yのいずれかが必ず
0になるが、取りしろが0となると荒面が残る可能性が
非常に大きいため、これは現実的であるとはいえない。
この判別式は図6の64の付近のデータより算出された
ものと考えられるため、実際にはこの直線に接し、x
軸、y軸を漸近線とする双曲線の第1象限側(図7の7
1)に近いものと思われる。よって、この曲線と重回帰
式(図7の72)とが1点で交わる場合の交点(図7の
73)が最適値となる。このような処理を、データが1
つ増えるたびに行うわけであるが加工機の特性の季節的
変動なども考慮し、あらかじめデータ数の上限を設定
し、それを超えたら古いデータから捨てていくようにす
る。ただし、加工条件が進化してくると面粗さ不合格の
ものが少なくなり、面粗さ合否の判別基準がなくなって
しまう恐れがあるため面粗さ合格のものと不合格のもの
は別のデータとして保存する。また、電気条件の段階ま
たは電極の図面寸法よりの減寸量が異なるものについて
は、別のデータ群として設定し、全て同じものについて
のみ解析を行う。
【0015】つぎに、本発明の第2実施例を説明する。
形彫放電加工にて狙い加工面粗さを仕上げる場合、大き
い電流から徐々に小さい電流へと変化させていくような
電気的加工条件の段階を設定し、その各段階においてそ
れぞれ電極の送り量(深さ方向の送り込み量)および揺
動量(深さ方向に垂直な面方向の移動半径)を設定して
いる。その設定法の概要を図8に示す。図8の31は電
極断面、32はワーク断面を表し、33はここで加工し
ようとしている段階の前の段階の加工による加工面断面
を、34はここで加工しようとしている段階の加工によ
る加工面断面を表している。ここでは、前の段階による
加工面断面の谷35より、取りしろ36だけを加工する
ものとし、この取りしろと放電クリアランス37(電極
面と加工面断面の山との距離)とから、底面を加工する
ための送り量と側面を加工するための揺動量が決定され
る。送り量38は加工機の深さ基準39と電極基準面4
0との距離として設定され、また揺動量41は深さ方向
に垂直な面における原点からの電極の移動量として設定
し、その値を半径として深さ方向に垂直な面方向で電極
を円運動させる。このようにして最終加工深さ、各段階
の電気条件における加工面粗さおよびクリアランス、電
極の抜き勾配42から、最終段階から順に積算していく
ことにより各段階の送り量・揺動量が算出される。ここ
迄は第1実施例に準じる。
【0016】面積が数cm2 と小さく深さが数mmの加
工では、狙いどおりの加工面粗さ(カタログ値)が得ら
れる。よって、図9に示すように取りしろを設定しない
(取りしろ=0)で算出した送り量・揺動量による加工
が最適な加工(前の段階の加工による荒面残りがなく、
最も加工時間が短い加工)となる。しかし、加工面積が
数百cm2 から数千cm2 と広くしかも起伏が大きい複
雑な形状では加工面荒さがカタログ値に比べて大きくば
らつく。そこで、各段階の加工の終了ごとに形状全体に
わたって加工寸法・表面粗さを計測する方法が考えられ
るが、連続加工との違いを考慮することは困難である。
そのため、このばらつきによる荒面残りを防止するため
に取りしろを設定する必要がある。この取りしろは、大
き過ぎると前の段階の加工による荒面残りがないけれど
も、加工時間は長くなる。逆に取りしろが小さ過ぎると
加工時間は短くなるけれども、前の段階の加工による荒
面残りが発生する。よって、加工時間の短い最適な送り
量・揺動量を得るためには、この取りしろを前の段階の
加工による荒面が残らない範囲で最小の値に設定すれば
良いことになる。この値は各加工段階によって、また周
辺条件によって当然変わってくるものであるが、加工面
粗さのカタログ値からのばらつきはカタログ値にほぼ比
例していると推定できる。よって、この取りしろ(図1
0の51)を前の段階の加工による加工面粗さ(図10
の52)に対する比率(取りしろ比率)として全段階に
おいて統一し、この値を最適な値に設定すれば良いこと
になる。ただし、底面と側面の加工を比べると、底面は
スラッジが蓄積されやすく単発異常放電が起こりやすい
等の違いがある。そこで、底面と側面のそれぞれの取り
しろ比率を設定することにより、各段階の送り量・揺動
量を自動的に算出できるようにした。
【0017】しかしながら、上記方法で設定した各段階
の送り量・揺動量は、必ずしも最適な条件とは限らな
い。そこで、底面と側面のそれぞれの取りしろ比率を最
適な値に設定する必要がある。これらの取りしろ比率
は、大きい値の場合は荒面残りは少ないが加工時間が長
くなり、逆に小さい値の場合は加工時間は短くなるが荒
面残りは増えることが前提となっている。そこで、第1
実施例と同様、図1のステップ7、8、9に示すよう
に、あらかじめこれらの取りしろ比率の微小変動幅を設
定しておき、算出条件で加工した後、底面および側面の
それぞれについて最終面粗さが合格か不合格かを実測ま
たは目視で判定し、底面および側面のそれぞれの取りし
ろ比率を、最終面粗さが合格であれば設定幅だけ減少さ
せ、逆に不合格であれば設定幅だけ増加させるという操
作を繰り返していくことにより最適な値に近づいていく
可能性がある。
【0018】ところが、この方法だけでは、トライ&エ
ラー的であり、また周辺の諸条件の変化を考慮していな
いため、真の最適な取りしろ比率を見つけ出すことがで
きない。そこで、加工毎に加工時間、底面と側面のそれ
ぞれの加工面粗さの合否、底面と側面のそれぞれの取り
しろ比率の設定値、周辺条件(型種、材料種、電極種な
ど)のデータを記録していく(図1のステップ4)。そ
して、統計処理が行える程度蓄積されたら、図1のステ
ップ5、6、10によって真の最適な取りしろ比率をデ
ータより導き出す。まず、蓄積データを周辺条件により
層別し、加工時間を目的変数、底面と側面のそれぞれの
取りしろ比率、周辺条件を説明変数として重回帰分析を
行い、同じ説明変数で加工面粗さの合否について判別分
析を行う。そして、次に加工を行うワークについての周
辺条件の値を重回帰式、判別式に代入し、判別式で加工
面粗さが合格かつ重回帰式の目的変数の値を最小にする
ようにそれぞれの取りしろ比率の値を設定する。これを
加工のたびに繰り返すことにより取りしろ比率を効率的
に最適な値に進化させていくことができる。
【0019】ここで、最適値の算出方法について説明す
る。底面取りしろ比率と側面取りしろ比率をそれぞれ
x、yとすると、他の説明変数に数値を代入した後の判
別式は通常図11の61に示すような曲面(判別式が1
次式の場合は平面)となる。同様に加工時間の重回帰式
におけるx、yの関係も図11の62のような曲面(重
回帰が1次式の場合は平面)となる。この61と62の
交わりである曲面63(判別式と重回帰が共に1次式の
時は直線)上で加工時間が最小の値になる点(x、y)
が最適な取りしろ比率の値となる。そして、このような
処理を加工を終えるごとに繰り返していく。なお、網か
け部は、加工面粗さが合格の範囲である。次に加工デー
タの取り扱い方法について説明する。加工データは加工
を繰り返すごとに次々に増加していく。その加工データ
は加工回数が多いほど信頼性の高い解析を行うことがで
きる。しかし、加工データの過去のあまりに古いデータ
が多いと、温度や種々の劣化などによる加工特性の季節
的変動のために、解析の信頼性が低下してしまう。した
がって、解析を行う場合には古いデータを随時省いて常
に新しい加工データを用いる。このように処理すること
によって、季節的変動を考慮した最適な取りしろ比率の
値に更新していくことができる。
【0020】なお、放電加工以外にも、加工条件が相関
のない複数個のパラメーター設定値より算出でき、更に
加工時間以外にも最適条件の判別基準が存在するような
機械加工については、同様の最適化手法が適用可能であ
る。
【0021】
【発明の効果】請求項1の方法によれば、放電加工にお
いて各加工段階における送り、揺動条件を、多変量分析
を用いて自動的に進化させていくことができ、設定加工
条件を最適条件(荒れ面を残さないで加工時間を最短に
する)に近づけることができる。請求項2の方法によれ
ば、データ不足などで多変量解析が適用できない段階で
も、加工条件をワーク加工毎に順次適切な条件に近づけ
ていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の何れの実施例にも適用可能な放電加工
方法の、加工条件を最適条件に近づくように進化させる
ための工程図である。
【図2】本発明の放電加工方法を実施する装置の系統図
である。
【図3】本発明の第1実施例の方法において放電加工を
実施している状態の電極とワークの位置関係図である。
【図4】本発明の第1実施例の方法と対比される従来の
取りしろと加工面粗さとの関係図である。
【図5】本発明の第1実施例の方法における取りしろと
加工面粗さとの関係図である。
【図6】本発明の第1実施例の方法における底面、側面
の取りしろ比をx、yとしたとき、xy平面における、
判別式と重回帰式の線図である。
【図7】本発明の第1実施例の方法におけるxy平面に
おける、判別式に対応する双曲線と重回帰式の直線との
関係図である。
【図8】本発明の第2実施例の方法において放電加工を
実施している状態の電極とワークの位置関係図である。
【図9】本発明の第2実施例の方法と対比される従来の
取りしろと加工面粗さとの関係図である。
【図10】本発明の第2実施例の方法における取りしろ
と加工面粗さとの関係図である。
【図11】本発明の第2実施例の方法における、底面、
側面の取りしろ比率をx、yとしたとき、xyと加工時
間との空間における判別式と重回帰式の曲面図である。
【符号の説明】
21 パソコン 23 加工制御装置 24 加工機 31 電極 32 ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23H 1/00 B23H 7/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各加工段階の電気的条件、加工面粗さに
    対する取りしろの比率である取り代比の初期値を設定す
    る第1の工程と、 前記条件、取り代比に基づいて電極の送り、揺動条件を
    演算する第2の工程と、 前記送り、揺動条件で放電加工を実行する第3の工程
    と、 加工時間、最終面粗さのデータを記録、収集する第4の
    工程と、 前記電気的条件、取り代比を説明変数とし、加工時間を
    目的変数とした重回帰式と、面粗さとその合否を演算す
    る演算式を用いて、多変量解析を実行する第5の工程
    と、 多変量解析が正常に行われた場合には、面粗さを合格と
    しかつ前記重回帰式の値を最小にするような値に取り代
    比値を決定し、該取り代比値を前記第2の工程にフィー
    ドバックする第6の工程と、 を備え、前記第2〜第6の工程を各ワークの加工毎に繰
    り返して、取り代比を進化させていくことを特徴とする
    放電加工方法。
  2. 【請求項2】 前記第1〜第5の工程と、 前記多変量解析が正常に行われなかった場合には、最終
    加工面粗さが合格の場合は取り代比値を減少させ不合格
    の場合は取り代比値を増加させる第7の工程と、 を備え、前記第2〜第5、第7の工程を各ワークの加工
    毎に、多変量解析が正常に行われる迄、繰り返す請求項
    1記載の放電加工方法。
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