JP3499825B2 - 哺乳類の歯のプレセメント質及び/又はセメント質由来細胞走化性因子(cctf)、その精製法及びそれを有効成分とする新結合組織付着促進剤 - Google Patents

哺乳類の歯のプレセメント質及び/又はセメント質由来細胞走化性因子(cctf)、その精製法及びそれを有効成分とする新結合組織付着促進剤

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JP3499825B2 JP2000509739A JP2000509739A JP3499825B2 JP 3499825 B2 JP3499825 B2 JP 3499825B2 JP 2000509739 A JP2000509739 A JP 2000509739A JP 2000509739 A JP2000509739 A JP 2000509739A JP 3499825 B2 JP3499825 B2 JP 3499825B2
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正信 棟方
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、哺乳類の歯のプレセメント質及び/又はセ
メント質由来の細胞走化性因子(CCTF)、その精製
法及びそれを有効成分とする歯と歯肉と(歯根と歯根膜
と)の新結合組織付着の形成を促進する薬剤に関する。
背景技術 歯周病とは、歯垢(細菌の塊)が歯の支持組織(歯
肉、歯根膜、歯槽骨)を破壊する炎症性疾患であり、歯
科領域において、虫歯と並んで2大疾患といわれてい
る。
歯周病のうち重度のものは、外科的手法による歯周組
織の再構築が必要となる。その目的は、歯周ポケットの
除去のみならず、歯周病により破壊された歯周組織の再
生による咬合機能の回復にある。現在行われている代表
的な手術法は歯肉剥離掻爬術であるが、術後の治癒様式
は、セメント質の新生を伴った、歯根と歯根膜との真の
付着(新結合組織付着)はごく根尖側に限局しており、
他は理想的な付着とは言えない(上皮性の付着)。
このような背景から、近年、新結合組織付着を積極的
に獲得するため種々の方法が試みられている。中でも、
歯周組織再生誘導法(Guided tessue regenerationtech
nique:GTR法)が注目を集めている。このGTR法
は、治癒しつつある歯周組織の欠損部に歯肉上皮や歯肉
真皮の細胞が入り込まないようにすることによって、そ
こに新しい結合組織付着と歯槽骨を作れる細胞を増殖さ
せて歯周組織を再生させようとする方法のことである。
この方法を概説すると、次のようになる。すなわち、
歯周病によって形成されたポケットを外科的に切除、歯
肉弁を剥離し、ポケットに対応する汚染セメント質を完
全に掻爬する。その後、歯根面を膜で覆い、歯肉を膜の
上において縫合する。
上記方法において、健全な歯周組織を再生させるため
には、歯肉線維芽細胞(以下、新結合組織付着形成細胞
と記す)の移動、付着、増殖及び分化を誘導し、歯根の
周りに新生セメント質を形成させ、新結合組織付着を得
ること、更には、歯槽骨の形成させることが必要であ
る。
しかし、現在一般的に行われている歯周病の治療法で
は、新結合組織付着及び歯槽骨の形成が不完全である。
本発明の目的は、新結合組織付着形成細胞の移動、付
着、増殖及び分化を誘導し、歯と歯肉と(歯根と歯根膜
と)の新結合組織付着の形成を促進する物質を提供する
こと、また、これを単離精製する方法を提供すること、
更には、これを有効成分とする、歯周病に羅患した歯の
健全な歯周組織を回復させるために用いられる、新結合
組織付着の形成を促進する薬剤を提供することにある。
発明の開示 本発明の目的は、SDS−PAGEによる分子量が6
7000±1000である哺乳類の歯のプレセメント質
及び/又はセメント質由来細胞走化性因子(CCTF)
により達成される。
また、本発明の目的は、哺乳類の抜歯からプレセメン
ト質及び/又はセメント質を採取し、生理食塩水中又は
コラゲナーゼ含有生理食塩水中に撹拌浸析することによ
り得られる溶出成分から、分子量分画、イオン交換吸着
クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイト吸着クロ
マトグラフィーによりSDS−PAGEによる分子量6
7000±1000のプレセメント質及び/又はセメン
ト質由来細胞走化性因子(CCTF)を精製する方法に
よって達成される。
また、本発明の目的は、上記のプレセメント質及び/
又はセメント質由来細胞走化性因子(CCTF)を有効
成分として含有する新結合組織付着促進剤によって達成
される。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、既知の細胞接
着因子、細胞成長因子等について検討したところ、良好
なものはなく、更に研究を進めた結果、哺乳類の歯のプ
レセメント質及び/又はセメント質中に、細胞走化性を
有し、また、新結合組織付着形成細胞を侵入、増殖及び
分化させて結合組織に誘引する物質が存在することを見
出した。
また、哺乳類の抜歯から採取したプレセメント質及び
/又はセメント質を生理食塩水中又はコラゲナーゼ含有
生理食塩水中に撹拌浸析し、得られた溶出成分から、分
子量分画、イオン交換吸着クロマトグラフィー、ハイド
ロキシアパタイト吸着クロマトグラフィーを行うことに
より、新規な細胞走化性因子(以下、CCTFと記す)
を精製することが可能であることを見出し、本発明に到
達した。
また、上記CCTFを有効成分とする、歯周病に羅患
した歯の健全な歯周組織を回復させるために有用な、新
結合組織付着の形成を促進する薬剤を見出した。
図面の簡単な説明 第1図は、プレセメント質及びセメント質の1%コラ
ゲナーゼ含有pH7生理食塩水抽出物のTSK・G30
00とTSK・G4000分取用カラムを直列につなぎ
HPLCゲル濾過クロマトグラフィーを行った溶出パタ
ーンである。
第2図は、第1図で得られた分子量27〜29万、5
8万及び63万以上の細胞走化活性分画を混合濃縮後、
DEAEイオン交換クロマトグラフィーを行った溶出パ
ターンである。
第3図は、第2図で得られた細胞走化活性分画(F
r.No.13)を脱塩濃縮後、HPLCハイドロキシ
アパタイトクロマトグラフィーを行った溶出パターンで
ある。
第4図は、第3図で得られた細胞走化活性分画(F
r.No.14)CCTFをSDS−PAGEで分子量
を測定したパターンである(検出は銀染色)。
第5図は、抗BSP−II抗体を用いたCCTFのウエ
スタンブロッティングのパターンである。
第6図は、抗BMP−2抗体を用いたCCTFのウエ
スタンブロッティングのパターンである。
発明を実施するための最良の形態 本発明のCCTFは、哺乳類の歯のプレセメント質及
び/又はセメント質から得られる、SDS−PAGEに
よる分子量が67000±1000の糖蛋白質であり、
細胞走化性を有し、新結合組織付着細胞の形成を促進す
る作用を有する。
このCCTFが、細胞接着因子であるフィブロネクチ
ン(分子量450Kd)、ビトロネクチン(分子量76K
d)でないことは、CCTFがそれぞれに対する抗体で
細胞走化活性が阻害されなかったことから証明された。
更に、歯肉細胞の接着に関与するセメント質より得ら
れたBSP−II(分子量33.6Kd、糖鎖含有では約
60Kd)、歯槽骨の再生に関与するBMP−2(分子
量30Kd)とはウエスタンブロッティングにより異な
ることが証明された。
また、骨の再生には、BSP−II、BMP−2以外
に、TGF−β、PDGF(血小板由来成長因子)等が
関与していることが知られているが、これらの抗体すな
わち抗TGF−β抗体および抗PDGF抗体によって、
CCTFの細胞走化活性が阻害されないことから、CC
TFはTGF−βやPDGFではないことが判明し、現
在までに報告されている細胞接着因子、細胞成長因子に
該当する物資がないことが明らかになった。
本発明のCCTFを得るためには、哺乳類から抜去し
た歯を使用する。哺乳類の中でも特に、食用目的等で大
量に飼育されており個体数が多いこと、歯の入手が容易
であること及び1本の歯から得られるCCTFの量が多
いことから、ウシの歯が好適に使用できる。
その精製法は、例えば、以下のようにして行う。
即ち、抜去した歯からスケーラー等で歯根膜繊維を除
去した後、鋭利なスケーラー等でプレセメント質及び/
又はセメント質を掻爬、0〜5%コラゲナーゼ含有のp
H7.0±0.5生理食塩水中に分散(プレセメント質
のみの場合はコラゲナーゼ不含有)し、撹拌等により蛋
白質成分を溶出する。溶出液から不溶物を遠心分離除去
し、更に、メンブランフィルター濾過を行い、その濾過
液をゲル濾過、限界濾過等の分子量分画法により分子量
27万以上の分画を得る。
次に、DEAEイオン交換クロマトグラフィーにて
(pH7.5〜±0.5にて樹脂に吸着後)、50±5
mMトリスエタノールアミン塩酸緩衝液にて洗浄し、
0.2〜0.3M塩化ナトリウム含有の50±5mMト
リスエタノールアミン塩酸緩衝液で溶出してくる分画を
集め、脱塩濃縮する。
濃縮液をpH6.6±0.3の10±1mMリン酸緩
衝液で平衡化したハイドロキシアパタイトに吸着させ、
pH6.6±0.3の10±1mMリン酸緩衝液で洗浄
後、80〜110mMのリン酸で溶出してくる分画を集
める。
こうして得られた物質は、SDS−PAGEで単一な
67±1Kdのバンドを呈する。また、アミノ酸組成は
Asp:10.6±0.5%,Thr:3.7±0.3
%,Ser:13.3±0.7%,Glu:13.8±
0.7%,Gly:23.3±1.2%,Ala:1
0.1±0.5%,Cys/2:3.6±0.3%,V
al:6.7±0.3%,Ile:3.8±0.3%,
Leu:7.3±0.4%,Lys:3.8±0.3%
であり、糖鎖を含む糖蛋白質である。等電点は6.5±
0.5である。
上記のようにして得られる糖蛋白質は、細胞走化性を
有する物質であり、更に、新結合組織付着促進の作用を
有するものである。
次に、上記のようにして得られた本発明のCCTF
を、新結合組織付着促進剤として使用するには、例え
ば、コラーゲン膜、ゼラチン膜又は他の生分解性膜に染
み込ませた形状、或いは、塗布剤、皮下注射等により行
い、これらを患部に投与する。
具体的な使用方法としては、例えば、歯周病の治療法
である歯肉剥離掻爬手術に適用する場合に、汚染物質を
掻爬滑沢化した歯根面と歯肉との間に、コラーゲン膜、
ゼラチン膜又は他の生分解性膜に、本発明の細胞走化性
因子を浸み込ませた形態のものを挿入することによっ
て、手術後、新結合組織付着を促進させる方法が挙げら
れる。このようにして使用することにより、健全な歯周
組織を回復することが可能である。
実施例 以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
実施例1 屠殺牛から抜去したウシ歯40本をまずスケーラーで
歯根膜繊維を可及的に除去した。次に、鋭利なスケーラー
でプレセメント質を含むセメント質を掻爬、1%コラゲ
ナーゼ含有pH7生理食塩水20mlに分散した。ボル
テックス(Automatic Mixer S-100,タイテック製)で1
0分撹拌後、蛋白質成分を溶出させた。次に不溶物を3
000rpm、5分間の遠心分離で除去し、上清液を得
た後、更に、孔径0.22μのメンブランフィルター
(Durapore,Nippon Milli pore社製)にて濾過を行い、
その濾過液を濃縮し4ml(ブラッドフォード法による
蛋白量として11mgとし、TSK・G3000(内径
2.15cm×長さ60cm、東ソー製)とTSK・G
4000(内径2.15cm×長さ30cm、東ソー
製)分取用カラムを直列につなぎ、HPLCゲル濾過ク
ロマトグラフィーにより分子量分画を行った。
4.2mlづつ分取し、ヒト歯肉線維芽細胞を用いた
chemotaxisassay(細胞走化性検出
法)[KW.Falkら、Immununol.Methods,Vol.33,239-24
7(1980)]に従って活性分画を調べた。
すなわち、具体的には、96well microchemotaxis chamb
er(Neuro Probe,Cabin John,MD,USA)を使用し、チャ
ンバーの下部wellに各分子量分画を10%含んだD−M
EM(無血清)を25μl/well分注した。なお、posi
tive controlとしてD−MEM(10%FBS)培地
を、negative controlとしてD−MEM(無血清)培地
を用いた。下部チャンバーの上に孔経8μmのフィルタ
ー、ラバー、上部チャンバーの順に置き固定した。上部
チャンバーのwellに5×105sells/mlのヒト歯肉
線維芽細胞を含むD−MEM培地を50μl/well
分注した。37℃、5%CO2−95%airの条件下
で、3時間培養した。培養後、Diff−Quich染
色液(International Reagents &Co.,Japan)に固定、染
色して、水洗後風乾した。メンブランフィルターの下面
にまで遊走した細胞数を計測した。計測法としては、接
眼レンズ(×10)内に方眼ミクロメータを挿入した光
学顕微鏡(対物レンズ×20)にて観察し、各wellに
おけるhigh powerfield内の細胞数を計測した。
その結果、分子量約58万以上のフラクション40〜
41(以下、A分画と記す)及び分子量約27〜29万
のフラクション47〜79(以下、B分画と記す)で細
胞走化活性が認められた。その結果を第1図に示す。
また、このA分画及びB分画は、TGF−β,BSP
−II活性を示さず、また60℃、30分の処理で失活し
なかった。
既に、A分画及び及びB分画はDEAEイオン交換ク
ロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグ
ラフィーで精製すると、SDS−PAGEで同一の分子
量バンドを示すことが準備実験で判明していたので、一
緒にして限外濾過で濃縮して2mlとし、pH7.5に
てDEAEイオン交換樹脂(TSK・DEAE−3S
W、東ソー製)に吸着させた後、DEAEイオン交換ク
ロマトグラフィー(DEAE−3SW:内径7.5mm
×長さ7.5cm、東ソー製)にて、50mMトリスエ
タノールアミン塩酸緩衝液で洗浄し、0〜0.5M塩化
ナトリウムの50mMトリスエタノールアミン塩酸緩衝
液でグラジエント溶出し、1mlづつ分取し、上記細胞
走化性検出法にて活性分画を調べたところ、0.2〜
0.3 M塩化ナトリウム含有の50mMトリスエタノ
ールアミン塩酸緩衝液で溶出してくる分画に活性を認め
た。その結果を第2図に示す。
次に、それぞれの活性分画を脱塩濃縮し、この濃縮分
画をpH6.8の10mMリン酸緩衝液で平衡化したハ
イドロキシアパタイトクロマトグラフィー(内径10m
m×長さ10cm、高研製)にてpH6.8の10mM
リン酸緩衝液で洗浄し、0〜200mMのリン酸グラジ
エント溶出を行い、1.5mlづつ分画した。細胞走化
性検出法にて活性分画を調べたところ、80〜110m
Mのリン酸で溶出してくる分画に細胞走化性活性が認め
られた。その結果を第3図に示す。
この分画を脱塩濃縮して、CCTFを700ng得
た。こうして得られたCCTFは、SDS−PAGEで
単一な67±1Kdのバンドを呈した。その結果を第4
図に示す。
また、このバンドは抗BSP−II抗体、抗BMP−2
抗体を用いたウエスタンブロッテイングで染色されなか
ったのでCCTFはBSP−II、BMP−2 とは異な
る物質であることが判明した。(第5図、第6図)。
また、得られたCCTFのアミノ酸組成はAsp:1
0.6%,Thr:3.7%,Ser:13.3%,G
lu:13.8%,Gly:23.3%,Ala:1
0.1%, Cys/2:3.6%,Val:6.7
%, Ile:3.8%,Leu:7.3%, Ly
s:3.8%であり、糖鎖を含む糖蛋白質であった。ま
た、等電点は6.5±0.5であった。
次に、5%コラーゲン溶液(タイプI−A)4mlを
作成、これに上記CCTF200ngを添加した。これ
を、24穴プレート(1穴;底面積1.77cm2,高
さ2cm)に1穴当たり0.4ml分注し、開放系で重合
させた。30分後に、そのコラーゲンゲル上に5×10
4個のヒト歯肉線維芽細胞を播種、3日間37℃、5%
炭酸ガス存在下で培養し、電顕試料を作製、エポン包埋
し、トルイジンブルー染色を施した。播種したヒト歯肉
線維芽細胞の、CCTF含有コラーゲン内への侵入距
離、細胞数を光学顕微鏡にて鏡検測定した。
また、無添加、フィブロネックチン添加、TGF−β
添加、PDGF添加及びCCTFと抗ビトロネクチン抗
体添加についても同様に実施した。その結果を表1に示
す。
表1に示すように、CCTFを添加した場合、無添
加、フィブロネクチン添加、TGF添加、PDGF添加
に比べて、コラーゲンゲル内への侵入細胞数、侵入距離
共に有意に高い値を示した。また、CCTFのこれらの
作用は、抗ビトロネクチン抗体で活性が阻害されること
はなかった。
(実施例2) 屠殺牛から抜去したウシ歯40本を、まず、スケーラ
ーで歯根膜繊維を可及的に除去した。次に鋭利なスケー
ラーでプレセメント質及びセメント質を掻爬し、1%コ
ラゲナーゼ含有pH7生理食塩水中20mlに分散し
た。ボルテックス(Automatic Mixer S-100,タイテック
製)で10分間撹拌後、蛋白質成分を溶出させた。次
に、不溶物を3000rpm、5分間の遠心分離で除去
し、上清液を得た後、更に、孔径0.45μのメンブラ
ンフィルター(Durapore,Nippon Millipore社製)にて
濾過を行い、その濾過液を、分画分子量20万限外濾過
膜で濃縮し4mlとした。
次に、pH7.5にてDEAEイオン交換カラム樹脂
に吸着させた後、DEAEイオン交換クロマトグラフィ
ー(DEAE−3SW:内径7.5mm×長さ7.5c
m、東ソー製)にて、0〜0.5M塩化ナトリウムの5
0mMトリスエタノールアミン塩酸緩衝液でグラジエン
ト溶出し、0.2〜0.3M塩化ナトリウム含有の50
mMトリスエタノールアミン塩酸緩衝液で溶出してくる
分画を集め、脱塩濃縮した。
次に、この濃縮分画をpH6.6の10mMリン酸緩
衝液で平衡化したハイドロキシアパタイトクロマトグラ
フィー(内径10mm×長さ10cm、高研製)にか
け、0.200mMのリン酸グラジエント溶出を行い、
80〜110mMのリン酸で溶出してくる分画を集め、
脱塩濃縮して、CCTFを730ng得た。こうして得
られた物質は、SDS−PAGEで単一な67±1Kd
のバンドを呈した。
また、このバンドは抗BSP−II抗体、抗BMP−2
抗体を用いたウエスタンブロッテイングで染色されなか
ったのでBSP−II、BMP−2とは異なることが判っ
た。
次に、5%コラーゲン溶液(タイプI−A)10ml
を作成、これに上記CCTFを600ngを添加混合
し、2mm厚に流し込み、凍結乾燥することにより、C
CTF含有コラーゲン膜を作製した。これを使用直前に
2時間紫外線殺菌した。
サルの上顎の左右の切歯と測切歯の唇側の歯肉弁剥離
翻転し歯槽骨を根尖側方向へ約4mmの削除し、歯根を
露出させ、表面のセメント質を掻爬し、なめらかにした
後、左側の露出歯根面をCCTF含有コラーゲン膜で覆
い、右側は露出歯根面はそのままの状態で、歯肉弁を元
に戻し縫合した。手術後、治癒が認められるまでの3週
間は毎日プラークコントロールを施した。
3週間後に屠殺、潅流固定後、組織ブロックを採取
し、パラフィン切片を作製、H−E染色を施し、組織学
的観察を行った結果、左側のCCTF含有コラーゲン膜
を施した方には新結合組織付着の形成が認められた。ま
た、歯槽骨の形成も認められた。一方、右側にはそのい
ずれも認められなかった。
産業上の利用可能性 請求の範囲第1項に係る発明は、歯周組織の欠損部に
適用することによって、新結合組織付着の形成が促進さ
れ、健全歯周組織を回復させるために、適用可能なCC
TFを提供するものである。
また、請求の範囲第4項に係る発明の精製法により、
本発明のCCTFを効率良く、抽出、精製することがで
きる。
また、請求の範囲第7項に係る発明により、歯と歯肉
と(歯根と歯根膜と)の新結合組織付着の形成を促進す
る薬剤を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/52 A61K 35/32 A61K 38/02 A61P 1/02 A61K 6/00 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(補正後)生理食塩水に溶解し、SDS−
    PAGEによる分子量が67000±1000である哺
    乳類の歯のプレセメント質及び/又はセメント質由来繊
    維芽細胞走化性因子(CCTF)。
  2. 【請求項2】(補正後)アミノ酸組成がAsp:10.
    6±0.5%,Thr:3.7±0.3%,Ser:1
    3.3±0.7%,Glu:13.8±0.7%,Gl
    y:23.3±1.2%,Ala:10.1±0.5
    %,Cys/2:3.6±0.3%,Val:6.7±
    0.3%,Ile:3.8±0.3%,Leu:7.3
    ±0.4%,Lys:3.8±0.3%の糖鎖を含む糖
    タンパクで、等電点が6.5±0.5であることを特徴
    とする請求の範囲第1項に記載の繊維芽細胞走化性因子
    (CCTF)。
  3. 【請求項3】(補正後)哺乳類がウシであることを特徴
    とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の繊維芽細胞
    走化性因子(CCTF)。
  4. 【請求項4】(補正後)哺乳類の歯のプレセメント質及
    び/又はセメント質から蛋白質成分を溶出し、分子量分
    画、イオン交換吸着クロマトグラフィー、ハイドロキシ
    アパタイト吸着クロマトグラフィーにより、特許請求の
    範囲第1項から第3項のいずれか1項記載の哺乳類のプレ
    セメント質及び/又はセメント質由来繊維芽細胞走化性
    因子(CCTF)を精製する方法。
  5. 【請求項5】(補正後)(a)哺乳類の抜歯からプレセメ
    ント質及び/又はセメント質を採取し、生理食塩水中又
    はコラゲナーゼ含有生理食塩水中に攪拌浸析することに
    より蛋白質成分を溶出し、 (b)工程(a)の溶出液から不溶物を遠心分離及び濾
    過により除去し、その濾過液からゲル濾過、限外濾過等
    の方法により分子量27万以上の分画を得、 (c)工程(b)で得た分画をDEAEイオン交換樹脂
    に吸着させ、0.2〜0.3mM塩化ナトリウム含有ト
    リスエタノールアミン塩酸緩衝液で溶出してくる分画を
    集め、脱塩濃縮し、 (d)工程(c)で得た濃縮液をリン酸緩衝液で平衡化
    したハイドロキシアパタイトに吸着させ、80〜110
    mMのリン酸で溶出してくる分画を集めることを特徴と
    する請求の範囲第4項に記載の繊維芽細胞走化性因子
    (CCTF)を精製する方法。
  6. 【請求項6】(補正後)哺乳類がウシであることを特徴
    とする請求の範囲第4項又は第5項に記載の繊維芽細胞
    走化性因子(CCTF)を精製する方法。
  7. 【請求項7】(補正後)請求の範囲第1項乃至第3項記
    載の哺乳類の歯のプレセメント質及び/又はセメント質
    由来繊維芽細胞走化性因子(CCTF)を有効成分とす
    る新結合組織付着促進剤。
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